『紅き翼と漆黒の双剣』
第4話 〜小笠原家〜
恭也はとある豪邸の前に立っていた。
「ここか・・・・・・・」
表札には《小笠原》の文字、そう、ここはもう一方の依頼主、そして護衛対象の1人が住む
小笠原家である。
「ここに来るのも久しぶりだな。さて、挨拶に行くか・・・・・・」
そう言って、インターホンを押すと女性の声がする。
それに自分の名前と用件を告げると
「はい、高町様ですね。お伺いしております。どうぞお入り下さい」
そう言って玄関をメイドさんであろう女性が開けてくれた。
「どうぞ、旦那様と会長がお待ちです」
と、屋敷を案内してくれた。
「旦那様、高町様がお越しになられました」
その声に対して、
「分かった、入って貰ってくれ」
部屋の中から快活な男性の声が返事をする。
その声を聞いて
「では、失礼します」
と一言言い、恭也は部屋に入った。
部屋の中には40代半ばであろう男性と、60〜70歳くらいの男性が居た。
「久しぶりだ、恭也君」
「おぉ、士郎のせがれか。なつかしいのう」
それぞれ破顔し、にこやかに挨拶をする。
「おひさしぶりです、お二方ともお元気そうで」
そう、恭也は過去に父でありまた、剣においての師匠である士郎とここ小笠原家で
仕事をしたことがあったのだ。
「士郎の事は聞いている、ホントに惜しい男を亡くしてしまった。あいつ程腹を割って話せる人物はそういない」
過去を懐かしむかのような表情と口調で弔いの言葉をかける若い方の男性。
「そうじゃな、あやつは力をもっておった。じゃが、その力を決して間違った方向につかうことは無かった。わしも気に入っておったのにな・・・・・・・」
同じように言葉をかける老人。
「父は、自分の信念を持って行動し、その結果命を賭して護衛対象を護ったのです。俺にとっては一生を賭けて目指すべき目標です。」
と、しっかりと言葉を返す恭也。
「さすが、士郎の息子だ。あの頃からしっかりしてはいたが、ホントに良く真っ直ぐ成長してくれたね、だから始めにリスティさんから名前を聞いたときに恭也君ならと、すぐOKを出したんだよ」
「そうじゃな、いくら護衛として実力があるものを雇いたいとしても、どこぞの馬の骨とも知らぬ奴に孫を任せたくないからの」
それぞれに自分が思っている事を口にしている。それが本当に心から言ってくれているのだと理解している恭也は
「はい、護衛に関しては任せて下さい。俺の剣はみんなの日常を護るための剣ですから・・・・・・」
その後、依頼内容の確認や行動制限などの質問をやりとりして、後は昔話になっていた。
「ふぅ、もっと色々話していたいんだけど、何かと忙しい身でね。今度時間があったらまたゆっくり話そう。酒でも飲みながらね」
「俺みたいなので良ければ付き合います。下戸ですが」
「まぁ、その点は気にせんでもよいじゃろ。祥子と周りの方々をよろしくたのむぞ」
そう言って、2人の男性は席を立った。
「そろそろ祥子が帰ってくる頃だろう。清子が案内してくれるだろうから顔を合わせておくと良いだろう。」
「分かりました。では気をつけて」
と礼をし恭也も部屋を出るのだった。
それから数分後、どうやら娘さんが帰ってきたらしく、清子さんが部屋に顔を出してくれた
「娘が帰ってきたみたい、とりあえず顔を合わせておかないとね。あ、でも気をつけてね?あの娘男の方が苦手みたいで・・・・・・。でも恭也君なら大丈夫かな?」
「・・・・・・どういう意味ですか?」
ホントに分からないと言った様子で尋ねる恭也に対して
「まぁ、分からないなら良いですわよ?」
恭也はどこかで見たことあるような笑顔(具体的にはよからぬ事を考えている桃子さんやリスティのこと)を浮かべている清子に激しく不安を覚えるのだった・・・・・・・・
祥子との対面はもう暫くはお預けか〜。
美姫 「どうやら、祥子のお父さんやお爺さんとは面識があるみたいね」
だな。さて、祥子の反応が楽しみだな。
美姫 「一体、どうなるのかしらね」
それじゃあ、次回も待ってます。
美姫 「楽しみにしてますね〜」