『紅き翼と漆黒の双剣』




  第11話  〜試合って、分かって〜





試合が終わり2人は着替えて戻ってきた。
そして開口一番

「「令さん、すみません!!」」

2人そろって令に頭を下げるのだった

「え?え?ど、どどど、どうしたんですか?」

いきなり男2人に頭を下げられ流石に戸惑っている令

「いえ、その、竹刀を折ってしまいました」

「それも2本とも」

大の男2人が言いにくそうに声を出しているのを見て令はしばらく何も言えないで居たが

「っぷ!ふふふ、あはは」

笑い出してしまった

「「?」」

謝っているのに笑われてしまった2人は呆気にとられている

「いえ、いえ、まさかそんな事を気にして謝ってくるとは思っていなかったので、ふふ」

まだ少し笑っているが、なんとかそこまで言い切った令だった。

「流石に部の備品ですし、弁償しないといけないでしょう?」

その恭也の意見に同じくと言った様子で頷いている蓮だった

「そんなに気にすること無いですよ」

そう言ってそこに入ってきたのは顧問の教師だった

「そうですよ、それにあんなレベルの高い試合、そうそう見れるものでも無いですし。見物料だと思えば安い物だと思いますよ?」

令にもそう言われ、ひとまず納得はした様子の恭也&蓮だったが

「でも、そこまで気になされているのならどうでしょう?今日これから指導をしてそれでお互いチャラに、というのは」

にっこりしながら顧問の教師は提案してきた

「それでいいのなら、お受けします」

「そうですね、やらせていただきます」

2人はそう言って、申し出をありがたく受けるのだった。

「でもその前に・・・・・・・・・」

申し出を受け、動き出そうとした2人に令は

「私と一本試合って貰えませんか?」

その言葉に2人は考えていたが、

「わかりました、良いですよ」

そう恭也は答えた

「じゃぁ、恭也任せた。審判は俺がやるから」

一歩後ろに下がりながら蓮はそう言った
(流石にあの試合の後に手加減は出来無さそうだ、それに女の人相手に剣は振るえない)
蓮の内心はそんな事を考えていたが、顔には出さなかった。本人は至って普通に考えているようだが、こう言うところ以外と律儀のようだ

(何か美由希に鍛錬を付けるのに似ているな)

そんな蓮とは対照的に恭也はそんな事を考えていた。

恭也が防具を付け直し、新しい竹刀を受け取り、再び向かい合い構えをとる

令もそれを見て構えをとる

先ほどの試合の時と同じ静寂が道場内を包み込んでいた・・・・・・・

「それでは、無制限一本勝負、高町恭也対支倉 令・・・・・・・・・・・・・・・・・・・始め!!」

「やぁぁぁぁぁぁぁ!」

始めの合図と共に動いたのは令の方だった

「めぇぇぇぇぇぇん」

そしてすぐさま恭也の頭部めがけて面を放つ

(なかなかに速い踏み込みと面の撃ち込みだ。日頃から基礎練習の反復を大事にしているのだろうな)

内心ではそんな事を考えながら竹刀で受け流す、今回は蓮と試合ったときのようにすぐ
カウンターという事はせず、距離をとった

そんな恭也を見て令はすぐさま追撃をする

「やぁぁぁぁぁぁぁ、せい!」

合計3発、撃ち込みが来たが恭也は2発目まで受け流すと、3発目に合わせて自分も撃ち込み令の竹刀をはじいた

(痛ぅっ!今のは竹刀を離さないようにするだけで精一杯だった・・・・・・・・・・!)

そして、令の竹刀をはじいた直後、空いた胴に撃ち込み恭也の勝ちになった

(嘘?あれだけ強い撃ち込みを撃った後なのに、もう胴を撃ってるの?)

その速さに唖然としてしまった令だったが、

「勝負有り、勝者高町!・・・・・・礼」

という蓮の声を聞き、我に返って慌てて頭を下げた

そんな試合風景を観戦していた山百合会と剣道部の面々

「あの令ちゃんが負けるなんて・・・・・・・・」

先に来ていたため山百合会のみんなとは別の所で見ていた由乃は信じられない、と言った感じでつぶやいていた

それは江利子も同じのようで

「まさか令が・・・・・・・・」

とこちらも呆然としていた。

「あの黄薔薇の蕾様が・・・・・・」

剣道部の娘達もそれぞれにつぶやいていた

そんな周りをよそに

「踏み込みと撃ち込みの速さはスゴイですね、かなり驚かされました。日頃相当な鍛錬をされていますね」

と、微笑みながら令を讃えている恭也であった

「いいえ、私なんてまだまだです。それを言うなら恭也さんも相当やってますよね。大会でもあんなにあっさりと負けることは無かったのに・・・・・・・・・」

自分の実力不足を素直に認め、恭也を讃える令

そんな2人をほほえましく思いながら見ていた蓮だが

「さて、そろそろ他の子達も見てあげないとね。」

他の剣道部員を見回しながらそう言うのだった。

「そうだな」

恭也も同意し、他の部員の指導に入っていった。


「令、お疲れ様」

2人が指導に入り、少し休憩する事にした令の元に江利子がタオルを渡してあげた

「お姉さま、ありがとうございます。ふぅ〜」

「強かった?」

「はい、正直勝てる気がしません。恭也さんに、そしてその恭也さんと相打ちに持ち込んだ蓮さんにも」

「そう・・・・」

素直に胸中を明かしてくれた妹に優しい笑みで労ってあげる江利子。

そして、そんな光景を見守ってあげる蓉子達・・・・・・・・・・・約一名を除いて

「令ちゃん!」

由乃だった。未だ自分の姉が負けたのが信じられないようだ。

「負けたよ、もう完膚無きまでに」

由乃の顔を見て考えていることが読めた令はそう言って首を横に振る

「そんな・・・・・・・」

令から直に敗北を聞き、がっくりと肩を落とす由乃。

「まぁまぁ由乃ちゃん、令もまだまだこれからだし。ここは応援してあげるところだよ」

微笑みながら話しかける江利子


その会話からしばらくして、

「じゃあ、私も練習に戻りますね。まだまだ上に行きたいから」

笑顔で2人にそう言うと令は

「恭也さん、私にも教えて下さい」

と駆けていった

「うー、令ちゃん・・・・・・・・・」

「由乃ちゃん、妬かない妬かない」

その後ろでそんな会話があったとかなかったとか。

それからまたしばらくして

「今日の練習はこれにて終了します。みなさん、向かい合って礼、道場に礼、そして本日指導して下さったお二方に礼」

という顧問の声により練習は終了したのだった。

余談だが、恭也、蓮に礼をした時、部員の大半の頬が紅く染まっていたとかいなかったとか。










はい、紅蓮です♪

いかがでしたでしょうか、11話。

10話が割と真剣な勝負の話だったので、この話はほのぼのとして書いていこうと思って

書きました・・・・・・・・・・・・・

書いたつもりでしたが微妙にほのぼのとは違う感じがします【><。】(泣)

くぅ、次回こそはほのぼのを書くぞぉ

※  ※  ※

さてさて、次回から少し投稿するペースが落ちてきそうです。

労働基準法を無視しそうな勢いでバイトが組まれているので、12月いっぱいの間は

のんびり更新していきたいと思います。

ではではまた次回お会いしましょう┳┳~旦( ̄*)




恭也と蓮による指導〜。
美姫 「蓮はどうかは知らないけれど、恭也の方は教えるのはそれなりに上手いんじゃないのかしら」
まあ、既に弟子がいるしな。
でも、美由希に教えるのとお嬢様に教えるのとでは、ちょっと違うかもな。
美姫 「まあ、美由希の時よりも優しいでしょうね」
で、それを聞いた美由希が拗ねると…。
美姫 「ばれなければ良いのよ」
んな、まるで名案と言わんばかりに威張られても…。
美姫 「とりあえず、今回は二人の指導という事で」
話を逸らしたな…。
美姫 「次回も楽しみにしてますね〜」
ではでは。



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