『紅き翼と漆黒の双剣』
第12話 〜帰宅道〜
剣道部での見学が終わり、空も赤から黒へと変わって行きそうな様子だったので
今日の所は解散となった。
時間が時間なので祥子の提案によりそれぞれ車で送っていくという話になったが、令はまだ部の片づけが残っているとの事で遠慮していた。
「なら、俺も残りましょう。流石に暗くなる時間に1人で帰してしまうのもあれなので」
そう言って蓮も残ることにした。
令が残ると言ったので由乃も残る事になり、
「じゃぁ由乃ちゃん、また明日ね。蓮君、令と由乃のことよろしくね」
江利子は2人の事をお願いし頭を下げた。
他の面々はほほえましく見ていたが、1人だけ反応が違っていた
「あぁ、江利子も蓮君って読んでる〜」
言わずもがな白薔薇様その人だった
「だって、紅さんって呼ぶより蓮君の方が呼びやすいでしょ?」
「うぅぅ〜」
本人を余所にそんな討論をしている江利子と聖であった。
「紅、今日はありがとう。いい鍛錬になった」
まだ言い合いをしている黄薔薇、白薔薇様を無視して恭也が入ってきた。
「こっちこそ、また試合たいね。」
あぁ、とそう言って2人は握手をしていた。
そんな男2人の様子を見ていた他の面々は頬を紅くしていたりしている
そんなこんなしているうちに小笠原家の車が来て蓮と由乃、武道場にいる令を残した面々は帰宅の路に着いた。
「ふぅ、やはり大勢はなれないな・・・・・」
ため息を漏らしながらそうつぶやいた蓮に
「どうかなさいましたか?蓮さま」
その様子を不思議に思った由乃が尋ねた
「あ、聞こえてしまいましたか。いえ普段こんなに多人数で話したり行動したりする事が少ないので、少し疲れたかなと」
「そうなんですか?あまり違和感とかを感じなかったので、そう言う風には見えませんでしたが」
そんな感じで談笑していると
「あれ由乃?それに・・・・・蓮さん?!一体どうしたんです?」
片づけが終わったのであろう令が道場から出てきて驚いたように言ってきた。
「日が傾いて暗くなってきているので送っていこうかと思って。流石に女性だけで帰すのは気が引けるので」
「私もそれに便乗したの」
蓮と由乃はそれぞれ自分の意見を令に述べた。
「え、あ、なるほど。でも・・・・・・・・」
2人の言葉を聞き珍しくあたふたしている令、それを見た由乃が
「令ちゃんが慌ててる〜、めずらしいね。」
悪戯めいた笑みを浮かべ、いじわるを言うのだった。
「まぁまぁ、そろそろホントに暗くなってしまうのでここを出ましょう。」
蓮にそう言われ3人は学園を後にした。
その道すがら
「それにしても蓮さんと恭也さんお強いですね。実際に試合ってみてレベルの違いを思い知らされました」
今まで由乃と喋っていた令がいきなり切り出してきた。
そのセリフを聞き微妙に苦虫を潰したような顔になる由乃。実際に自分の姉から敗北宣言を聞くのはあまりいい気がしていなかった
「でも、負けてもむしゃくしゃしたりはしなかったんです。たしかに悔しいではありますが、なんかこう滅多にあえない本当に強い人と会った感じです。」
「そうですか、自分はどうか分かりませんが恭也は相当強いですよ。」
2人より少し前を歩いていたため蓮は振り返りながら返事を返す
「ん?」
その時由乃がふとある物に気がついた。
「どうしたの由乃?」
令が由乃に尋ねてみる
「もし間違っていたら申し訳ありません。蓮さま、耳になにかピアスのような物を付けられていませんか?光の加減の所為かもしれませんが、何か光って見えたので」
由乃の言葉に蓮は一瞬顔を”しまった”と言う風にしかめたが、すぐに戻し
「これに気がつきましたか、さっきもそうでしたが由乃さんは油断なりませんね」
笑みを浮かべながらそう言って自分の片方の耳についている小さなピアスを外して2人に見せた。
「へぇ〜、蓮さんってこういうの着ける人なんだ。なんかちょっとイメージと違う感じがします。もう片方の耳にも着けてるんですか?」
(いやいや令ちゃん、反応するところ違うから!学園ではそういうの禁止されてたじゃない〜)
「ええ、これと同じのを着けています。まぁ男がこんな事を言うのは変かも知れませんがお守り代わりです」
(うむ、やはり学園では禁止か。見つからないように気をつけないとな)
普通に会話している2人と、1人冷静に突っ込んでいる(心の中で)由乃
「あぁ、とりあえずお二方にはお願いがあります。」
「「?」」
「ピアスのことは黙っていて貰えますか?流石に視察先で生徒指導にひっかかりたくはないので」
頬を掻きながら2人に話す蓮。
「私は構わないですけど、学園に居る間だけでも外すというのは駄目なんですか?」
令からの質問に少し困ってしまった蓮だが
「ええ、もう着けていることに慣れてしまったので外してしまうとどうも違和感があって・・・・・・・」
と言い、ピアスをはめ直す
「分かりました。黙っておきます、由乃もそれで良い?」
「令ちゃんがそう言うなら仕方ないね、私も良いですよ」
流石に姉に逆らうような事はしたくないし、わざわざ人が嫌がるようなことをするというのもいい気分がしないのでひとまず賛成することにした由乃
「ありがとうございます、助かります」
そう言って蓮は2人に頭を下げた。
男性にそれも年上の人に頭を下げられ恐縮してしまう令と由乃
「さて少し急ぎましょうか、本格的に暗くなってきました。」
そう言って蓮は2人を急かし、送り届けたのだった。
まぁ送った先の家で一悶着あったのだがそれはまた別の話である
はい〜紅蓮です〜。
ほのぼのを目指したつもりがなんか蓮の秘密の一部公開〜みたいな感じに
なってしまいました【><。】(泣)
気がつけば10話を超え、長編になりそうな気配をかもしだしながら進んでいる
この話ですがなんとかがんばって書こうと思います。
実際、まだ蓮と恭也が出会ってから2日しか経ってないですもんね(笑)
しばらくは日常・・・・・・・・・・・・が書ければいいな(遠い目)┳┳~旦( ̄*)
ピアスか…。
美姫 「ひょっとして」
さてさて、それはどうなんだろうね。
まあ、回を追っていけば、そのうち分かるだろうし。
美姫 「それを楽しみに待ちますか」
そゆこと。
美姫 「それじゃあ、また次回も待ってますね〜」
待ってます。