『紅き翼と漆黒の双剣』




第16話  〜憂鬱〜




蓮が3年菊組の教室へ入ると黄薔薇様こと江利子が挨拶をしてきた

 「ごきげんよう、蓮君」

「ああ、ごきげんよう江利子さん」

普通に挨拶を返したのだが、江利子の頬が少し赤くなっていた


(もう、昨日蓮君があんなこと言うから意識しちゃうじゃない!)

周りでそんな黄薔薇様の様子を見ていた生徒達は、驚きのあまり声が出ていなかったとか



そんな事があったりもしたがとりあえず今は昼食時間だ。

今薔薇の館には恭也を含む5人が座っていた

だが、会話は無く黙々と昼食を取っているだけだった。

そんな所へ・・・・・・・

「やっほ〜、みんなのアイドル参上!ってあれ?みんなどうしたの?なんかお葬式み
たいだよ」

いつもよりテンション高めな聖が登場した

「またあなたは・・・・・・・・」

そう呟き、頭を抑えているのは山百合会の母的存在(聖談)蓉子である

ちなみにこの場に居るのは紅薔薇ファミリー、由乃、恭也に今入ってきた聖だ。

「食事中にうるさくするのはお行儀が悪いと思いますが?白薔薇様」

そう言って視線を聖に向けた祥子

(あわあわ、ど、どうしよう・・・・・・・)
その内心を隠すことなく表情に出している祐巳

「恭也さま、お茶のおかわりはいりませんか?」

「ええ、では頂きます」

いつもの事だと言うように気にしていない由乃と、こういった光景に慣れてきた恭也
である。

「ん〜、蓮君まだ来てないんだ?それに志摩子も江利子もいないね」

祥子の言ったことを軽く流しつつ、疑問に思ったことを口にする聖

「蓮さまやお姉さまは遅れてくるようですよ。それに志摩子さんは今日学園を休んで
いらっしゃいます白薔薇様」

「え?今日志摩子休みなの?」

「はい、軽く体調を崩してしまったみたいです。」

「そうなんですよ〜、私心配で・・・・・・・・」

聖に状況を教えている由乃と、先ほどまでと変わり志摩子の事を心配している祐巳

「そっか・・・・・・・・・・」

聖も説明を受けて納得しているようだ、それに志摩子のことを考えてるのか表情が
曇っている

「・・・・・・・・・」

恭也も志摩子の事は気になっていた。あんな事があった翌日のことなので尚更である。

「ふ〜、でも志摩子が休むなんてめずらしいわね。祐巳ちゃん由乃ちゃん何か理由聞いてる?」

聖の質問に

「体調が悪いようなので今日1日は休むとの事ですよ」

と由乃が答えたのに対し

「………」

祐巳は答えられなかった。体調不良と言うのは当たりだろう。だがその原因が昨日の
事だろうと予想がつく上に、そんな事を話して余計な心配をさせるのが嫌だからだ。

「由乃ちゃんありがと。でも祐巳ちゃんの顔を見てると何か原因がありそうな気がす
るわね?、志摩子の体調不良」

聖は笑顔だった。だが祐巳を見ている目だけは笑ってはいなかった

””ドキドキ””
今の祐巳の心情を表すのに一番適した擬態語だろう。

祐巳は迷っていた。正直に話すべきなのか、はたまた心配をさせたくないのではぐらかすか

(どうしよう・・・・・・・)
そう思いながら答えを求めるようにちらりと姉である祥子を見る

祥子も困った顔をしていた。恐らく考えていることは同じなのだろう。

「聖・・・・あのね・・・・・・・・・」

仕方がないと思い蓉子が話し出そうとしたその時

「ごきげんようみんな、遅くなっちゃった」

「遅くなりました」

ガチャリとドアを開けて江利子と蓮が入ってきた。

「ん?みんなどうしたの?」

蓮と江利子が入ってきたため話が中断してしまい、みんなどうして良いのか分からないの


「・・・・・・・」

蓉子さえもどう喋って良いのか分からないために黙っていた
そんな所に

「どうやら志摩子さんが体調不良で欠席しているそうなんだ。だから皆さんで心配し
ていたところですよ」

恭也がさらりと言ってのけた。

「そうなんだ・・・・・・・・・・早く良くなるといいわね・・・・・」

その事を聞いて江利子も表情を曇らせた。

「ふ〜、ちょっと雰囲気重くなっちゃってるけどお昼を食べちゃいましょ?、ぼ〜っ
としてると昼食時間終わっちゃうしね」

江利子の発言でこの話題は一段落しそれぞれ昼食を取るのだった。




「それじゃまた放課後ね」

昼食時間も終わりが近いため、この場はお開きとなった。




教室へと戻る道すがら恭也は蓮を呼び止めた。そして蓮にだけ聞こえるように小声で


「少し話がしたいんだが、後で時間取れないか?」

「ああ、構わないよ。次の休み時間にあの木の下で」

恭也の言葉に蓮もそう小声で返すと江利子と一緒に教室へと戻っていった。

その背中を見送りながら恭也は昨晩、リスティからの報告を思い返していた。




〜昨晩・小笠原家〜

深夜、鍛錬を終え自室としてあてがわれている部屋へ戻ってくるとタイミング良く携帯が鳴った。

「Hi 恭也。さっきはお疲れだったね」

「いえ、それでリスティさん何か分かったんですか?」

電話の相手はリスティだ。こんな時間にと言うことはさっきの件の報告だろうと思い、聴いたのだった

「あぁ、さっき捕まった奴らは恐らく直接今回の事件に関わっているわけではないと思われる。脅迫状の事について尋問してみたけど心に反応が無かった。多分焚き付けられただけだろうね。それと・・・・・・・・」

リスティはそこまで言うと言葉を続けるのを弱冠躊躇った。
それを感じ取った恭也は

「紅の事で何か分かったんですか?」

恐らくこのことで躊躇ったのだろうと思い先を促す

「あぁ、そうなんだが・・・・・・・・・・」

とここで一呼吸おき

「実はその紅
蓮の事なんだが、今まで何をしていたかの痕跡がまるで無い。一応学歴などは調べられたんだがそれ以外はサッパリだ。」

「そうですか・・・・・・・・」

「意図的に隠してあるようだ。少し警戒しておいた方がいいだろうね」

そこまで聞いて恭也は

「わかりました注意はしておきます。でも・・・・・なんとなくですが彼が敵だとは考えられません。これは直感に近いモノなので説明はしづらいのですが・・・・・・」

「そうか。まぁこんな時の恭也の勘は鋭いからな。そこら辺の判断は任せるよ(まったくなんで普段はこんなに達観してるのに自分に対する好意には気が付かないなんて・・・・・・・)」

最後の方は呟き程度の声だったので雑音が入りやすい携帯同士での会話なため恭也に聞こえることはなかった

「とりあえず今日の所はこんな感じだ。また何かわかったら連絡するよ」

「はい、分かりました。こちらからも何かあったら連絡します」

そう言って電話を終える。

「「紅…蓮……いったい何者なんだ……」」

奇しくも電話のあちらとこちらで同じ様な言葉が紡がれていた


〜視点戻って〜

今は先ほどの昼食時間から1時間ほど経った時間。つまり休み時間である

恭也は前の授業が早めに終わったため、教室を抜け待ち合わせの場所へと来ていた。

それから5分ほどして

「そろそろかな・・・・・・・・」

恭也がそう呟くと

「恭也」

校舎の方から紅が歩いてきていた・・・・・・・







はい〜どもです紅蓮です。

実に1ヶ月以上ぶりの更新となります〜

楽しみにして下さっている皆さん(いたら感謝)申し訳ないっす

年明けの忙しさも少しずつ収まり、何とか執筆できるくらいに時間ができましたσ(^◇^;)。。。

できれば週1ぐらいではUPできるようにがんばりますのでささやかな応援お願いします〜。

あ〜ホントに応援とかあったら密かに小躍りしながら喜んでそうですね、自分(笑)

えっと、感想、注意点、間違いの指摘などガンガン募集しておりますので送って下さいなw

さてさて、本編は・・・・・・あまり話が進んでいないような気がしますがキニシナイヽ(゜∀。)ノ

スミマセン次は頑張って進めます

というわけでまた次回にでも

ではでは┳┳~旦( ̄*)





遂に明らかになるのか!?
美姫 「蓮の正体は一体!?」
次回が非常に気になるぅぅぅ〜。
美姫 「一体、何があるのかしら」
次回も待っています。
美姫 「待ってま〜す」



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