『紅き翼と漆黒の双剣』




第17話  〜会話と心情〜




「恭也」

そう彼のことを呼んだのは蓮だった。蓮は恭也に呼ばれていたためこの場に来たのだ。

「わざわざすまない」

「気にしない気にしない。もし教室にいたら女の子に囲まれてしまって何もできなくなるから」

苦笑いしながらそう答える蓮

「それで、話があるんだったよね」

「あぁ」

そう短く蓮の言葉に答える恭也
蓮には恭也が答えた後、次の言葉を発する瞬間に周りの空気が変わっていく気がした。

「昨日、下校途中で黒服を着た男グループに声を掛けられた」

「・・・・・・・・」

恭也の言葉を蓮は黙って聞いている。

それから1分ほどの間があり

「それで・・・・・?」

蓮はそう言葉を返し先を促した。



〜恭也視点〜

「それで・・・・・・・?」

そう紅から言葉が発せられた時、俺の知っていた紅はいなかった。
紅の中で何かスイッチが入ったかのようにがらりと変わった・・・・・・・・・・・ように思えた。
あきらかに周囲の空気が変わったような気がした

「あぁ、一緒にいた誰かの知人と言うわけでもなく、雰囲気もおかしかったから断ったんだが・・・・・」

俺がそこまで言うと、それに合わせるように

「有無を言わさず連れ去ろうとした」

「!!」

紅がその先を言い当てた
そしてそのまま言葉を続ける

「しかし、そいつらの目論見は失敗。理由は一男子高校生に撃退されたから」

そこで一度言葉を切り、一呼吸置いてから

「と、こんなところかな?」

先ほどのおかしな雰囲気ではなくいつもの紅に戻ってそう言った。

「あ・・・、あぁ」
(ここまではっきりと予想できているということはやはり・・・・・・。これは直接聞いた方がよさそうだな)

ここで意を決して今回ここに呼び出してまで聞こうとした事を尋ねようとした

その時

「そして、恭也はこっちの方も同じ様な事があったのでは無いか?と思い俺に聞こうと呼び出した」

そう言いながら紅はこっちを見ている。その視線から紅は今の発言に確信を持っている事が伺えた。

「こっちの考えは全部読まれているみたいだな」

そう言って紅の発言が当たっている事を示す。

「まぁ、結論から言えばあった。幸い誰にも被害は出なかったしな。弱冠怖い思い出として残ってしまうかもしれないが」

淡々とそう紅は告げた

「そうか・・・・・・・・」

とりあえず普段通りにしている由乃さんを薔薇の館で見たから安心していたのだが、やはり当事者から聞くのとでは大分違う。

「それで聞きたいのはこれだけ?他に聞きたいこととか無い?」

そう切り出され俺は少し考えてしまった。
聞きたいこと、と聞かれたらまず最初に浮かぶこと・・・・それは・・・・・・

「例えば、俺・・・”紅 蓮”の正体、とかね」

「な?!」

さっきまでの発言でも驚かされたが、今回は度肝を抜かれた。本当に考えを読まれているかのような錯覚に陥ってしまう・・・・・・・






〜蓮視点〜

授業が終わり、恭也と合うため校舎から出る。先ほど決めた場所には既に来ていた。

「恭也」

彼の事を呼んでみた。こっちが出てきたことには既に気がついていたようで顔を上げて視線をこちらに向けてきた。

「わざわざすまない」

とりあえず詫びをすることから始まった会話。なんとなく彼らしいと思ってしまい吹き出しそうになるが恭也の顔がかなり真剣だったので踏みとどまった。

それから先の会話は概ね予想していた通りで、読むまでもなかった。
まぁ恭也達も同じ様な目にあったということが確認できたので良しとしておく。

(それにしても、恭也は気がついたみたいだったな。さっき試しに少し殺気を多方向に放った時に反応していた。やはり俺と同じ世界にいるのか・・・・・・・・)

そこで俺はちょっとした賭けに出ることにした。

「他に聞きたいこととか無い?例えば・・・・・俺・・・”紅
蓮”の正体、とかね」

(やっぱり大分気になっていたみたいだな。考え読まれているかのように、言い当てられて流石に驚いているようだ)

しかし、やはりこれは賭けだった。恭也の返答次第によっては敵対しなければならなくなる。場合によってはこの場でやり合う事になりかねないからだ。

・・・・・・だがなんとなくではあるがそんな事にはならない気がしていた。だからこんな無謀な賭けもしているのだ。

(おおよそ今までの俺だとありえない行動だと、我ながら思うけどな。)

そう自分自身に嘲笑しつつ恭也を見ている。正確には中を視ているんだが。

どうやら恭也も決めたようだ。彼も俺と同じ様な事を考えていたみたいだ。

「確かにそれは気になる事だな」

その言葉をさっきの質問の答えとして受け取って、何から話した方が良いのか考える・・・・・・・つもりだったが思考の端で時間が引っ掛かった。休み時間終了まで残り少ししか無いことに気がついた。

「相互理解は大事な事だね。だけど」

と言って恭也に時計を見せた。

「む、もう時間か・・・・・・・。また後で、と言うところだな」

恭也は少し緊張を解いたのかふぅとため息をつきながらそう言った。

「まぁ、放課後には薔薇の館の方で顔を合わせるだろうし、その時にでも」

「あぁ」

そこで会話を終え教室に戻ることにした。

少し歩いてから戻ると恭也に言い、別れた。その足でちょっと離れた草陰に近付き一言

「隠れて人の会話を盗み聞きと言うのは、あまり誉められる行為では無いと思いますよ。」

そう蓮が声を掛けた草むらから女の子が2人出てきた。

1人はセミロングの髪に眼鏡を掛け、首には何故かカメラを下げている。

そしてもう1人は

「流石に山百合会の活動内容に生徒の監視なんてものはないですよね?祐巳さん」

「あぅ〜」

そう、祐巳だった。

会話の途中で他の人の気配を感じ、注意していたのだ。殺気を多方向に放ったのはその確認の為でもあったのだ。

「すみません、蓮様。私と祐巳さんがお喋りをしていたらあなた様と恭也様がいらっしゃったので通るのが憚られ、お二人が離れるまで待っていようと私が言ったのです。」

「ちょっ、蔦子さん?!」

「それに、男性2人が会話しているというのはここでは珍しくて二度とお目にかかれないでしょうから」

慌てている祐巳さんに対して余裕を持って会話している蔦子と呼ばれた女の子。

「そうでしたか。確かに珍しい光景ではあるでしょうね、女学院で」

「そうですわ。しかもお二人ともかなりのレベルでいらっしゃるので」

どこかおばさんの井戸端会議のような様相を呈してきたぞと、この時祐巳は思ったという。

「あの・・・・・・そろそろ授業が始まっちゃいますよ?」

祐巳の発言で思いだし、それぞれの教室へと帰っていくことになった。













うぃ〜っす、紅蓮です。

またもや大分期間が空いてしまいました〜、読んで下さっている皆様スミマセヌ。

次こそは早めの投稿を・・・・・・・・・できたらいいなー(マテ

それはさておき、今回もちょいぐだぐだな文章になってしまい凹んでおります。

こればっかりは書き続けていかないとどうにもならないものだとは思うのですが、

何か意識した方が良いこととかあるのですか〜?ですか〜ですかー(エコー)

他の投稿者の皆様はどんな感じなのでしょう?

ちょっと気になってしまった今日この頃です。

ん〜書くことがないな〜。

あ、個人的に何か自分に言ったり、聞いたりしたい人は

handqoo@hotmail.com にお便り下さい。あと一応同じアドレスでメッセンジャーも

していますので直で物申したい方は遠慮なくどうぞ〜(笑)

ではではまた次回にでも




蓮の正体はまた次回以降〜。
美姫 「彼は何者なのか!?」
一体、これからどうなる!?
美姫 「次回が気になるわね」
うんうん。次回も待っています。
美姫 「待ってま〜す」



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