〜その21〜
「とーさまっ!」
「ああ、リア……よく来たな。元気だったか?」
「はいです!リア、とーさまとお会いできたので元気いっぱいですっ!!」
「そうか、それはよかった。……リア、今日リアを呼んだ理由、覚えているか?」
「え?……えーと、はいです。リアに何か報告することがあるから、って」
「ああ、そうだ……と、その前に――二人とも、入っておいで」
「は、はい」
「し、失礼します……」
「あ、エリオにキャロ……どーしたですか?二人ともとーさまにお呼ばれされたんですか?」
「え……っと……」
「その、呼ばれたというか、何と言うか……」
「リアに話があるのは、この二人についてのことなんだ」
「ほぇ?二人の……ですか?」
「ああ。この二人から、リアには是非話しておきたい、と言われてな」
「そーなんですか……で、エリオにキャロ。お話って何ですか?」
「エ、エリオ君……」
「……大丈夫、僕から言うから」
「(……何か大変な事でもあったんですかね?凄く緊張してるです)」
「あ、あの……リアさん!」
「はい、なんですか?」
「その……僕達も、高町特佐のこと、『父さん』って呼ぶことになりました!」
「へー、そうなんですか……」
「(あ、あれ?)」
「(思ったよりも、リアクションが薄いです……)」
「(……二人とも、油断するな。――来るぞ)」
「「(え?)」」
「…………って、えぇ!!?ど、どーゆーことですか!!!?」
「わぁ!?」
「きゃっ!?」
「む……」
「とーさま!どういうことなんですか!?やっぱりはやてちゃんが言ってた通りにフェイトさんと結婚して、リアは捨てられちゃうんですか!!?」
「(……なんでそうなる)」
「「(あ、あはは……)」」
『マスター、頼みますから少しはご自覚を……!』
『無駄だ白姫、主が少しでもご自覚されているのなら、我等とてこうまで振り回される事もなかろう……』
「(……さりげなく喧嘩売っているな、白姫、黒姫)」
『『さあ、それは気のせいでは?』』
「(――今ので買った)」
「(お、お父さん!今はそんな場合じゃ……!)」
「(そうですよ!僕たちじゃ、ますますリアさんを混乱させそうで……!)」
『そうですよー、頑張って早く事態を収拾してくださいねー、マスター』
『ご自分で蒔いた種です、自分で摘み取るが肝要かと、主』
「(わかっている……後で覚えていろ、二人とも)」
「やっぱり……やっぱり、リアはいらない子なんだ……!」
「――っ、いい加減にしないか、リア!」
「ひぅっ!?(ビクッ)」
「まったく、なんでそうなるんだ……」
「あ、あ……」
「「(お)父さん……」」
ギュッ
「え、あ、とーさま……?」
「リア……頼むから、自分をあまり卑下するな」
「あう、でも、だって……」
「リア。俺が今まで、たった一度でもリアを不要だと言ったか?リアに父と呼ばれるのは不快だと……そう言ったことがあるか?」
「……言って、ないです……」
「あの時も言ったが、今一度お前に告げよう。リア。俺は、お前が俺を父と呼び続ける限り、父であり続ける。それを光栄だと思うことはあっても、不快だと、不名誉だと思ったことは決して無い」
「とー……さま……」
「……それに、あの時も言ったが。例の噂なら、誤解だ」
「え……じゃあ、なんでエリオやキャロはとーさまの事をとーさまって?」
「……本人達からの希望だ。彼等には父親がいないからな。自分が彼等の父親に相応しいかどうかはわからんが、その話を受けさせてもらった」
「はい!僕たちが恭也さんのことを父さんって呼びたくて、お願いしたんです」
「その、リアさんにご迷惑をかけてしまうんじゃないか、とは思ったんですが……」
「そー、だったんですか……」
「で、だ。ここからが、俺の用件なんだが……三人とも、聞いてくれるか?」
「「「?」」」
「俺は、お前達三人に兄弟になって欲しいんだ」
「え……」
「兄弟……」
「ですか?」
「ああ。三人とも、俺を父と呼んでくれている。だから、リアにエリオ、そしてキャロという横の繋がりを作って欲しいんだ」
「父さん……」
「お父さん……」
「とーさま……」
「それで、どうだろう?俺の提案に乗ってくれるだろうか?」
「僕は、構いません」
「私も、喜んで」
「…………」
「……リア?」
「エリオとキャロは、リアみたいな兄弟が出来て嬉しいですか?」
「はい!これからよろしくお願いします、リア姉さん!」
「色々とご迷惑をかけてしまうかも知れませんが、よろしくお願いします、リアお姉ちゃん!」
「え……リア、お姉さんなんですか?」
「「はい!」」
「だって、父さんの一番最初の子供じゃないですか」
「私とエリオ君ではエリオ君がお兄ちゃんなんですけどね」
「ほう、では三兄弟の順番も決まったんだな……リア、エリオ、キャロの順か」
「「はい!改めてよろしくお願いします、(お)父さん!」」
「ああ、よろしくな……?リア、どうした?」
「姉さん?」
「お姉ちゃん?」
「ふ……」
「「「?」」」
「ふえぇええ〜ん!」
「リ、リア、どうした?何で泣く!?」
「ヒック、ヒック……嬉しいんです、凄く嬉しいんです……!リアにこんなにいい弟と妹が出来て、凄く……!」
「―――そうか。よかったな、リア」
「ありがとうございます、とーさま、エリオ、キャロ……リアは、とても幸せです……!」
〜その22〜
「恭也!」
「…ん?リインフォースか。どうかしたか?」
「いや…その……だな…」
「?」
「お前の気持ちは嬉しいんだが……こういうことはまずは主の承認を得てからというか…」
「は?」
「……でも、どうしてもというのなら、私もそれに応えるのは吝かではない…///」
「まて。一体何の話だ?」
「ああ。リアから聞いたんだ。……その、正式にリアの父親になってくれるのだろう。そうすると…えっと…///」
修正プログラムを組んだのは恭也(正確には白姫と黒姫だが)→侵食されているリインフォースにアクセス→リインフォース正常に戻る→リア誕生→父:恭也 母:リインフォース
「…まて!?そういう解釈なのかっ!?」
「恭也………」
「う……」
「リインフォース(ゴゴゴゴゴ)」
「(ビクッ)あ、あああああああ主!?」
「ふぅん…そっかそっか。リインフォースまで抜け駆けするんやなあ」
「え、えっとその」
「悲しいわー。リインにとって私はその程度の人やったんね…シクシク」
「そんなことはありません!主は私にとって何よりも大事な人です!!」
「うん。ありがとな、リイン。嬉しいわ―――でもそれとこれとは話が別や」
「ひぃ!?きょ、恭也…」
「クスクスクス。管理者権限に於いて命ずる――」
「ひあああああああああ!?」
「すまんリインフォース……俺ではあのはやては止められない…っ」
〜その23〜
「なのはと!」
「はやてと!」
「ギンガの!」
「「「なぜなに!特別教導隊〜〜!」」」
「さてさてこのコーナーは特別教導隊についてのあれこれを聞いてみよう!というコーナーなの」
「この部隊は色々不明瞭な部分がおおいからなあ」
「というわけで今回は特別教導隊の隊員の数名の方にお時間を戴いたので。さっそくいってみましょう」
Q1 特別教導隊って?
「んー、なんていうのかなあ。言葉にしにくいかも」
「それはアンタの語彙が少ないからでしょ。特別教導隊っていうのはまあぶっちゃけた話、戦技教導隊と似たようなものだとおもってくれていいとおもうわ」
「はれ?そうなんですか?」
「ええ。やってることはほとんど一緒。唯一違うのは不穏当組織の殲滅任務があるくらいかしら」
「せ、殲滅なんや……」
「ま、よほどのことじゃないかぎりないけどね」
Q2 保有魔導師レベルはどんな感じ?
「あーそんなんあったけなあ」
「アンタはもう口開くな。うちの部隊の品位が疑われるから」
「っとそれで保有魔導師レベルだよね?あー、これはオフレコなんだけど」
「了解しました」
「そう、ならいいか。えっとね、うちの部隊は保有魔導師レベルに制限って基本的にないの」
「「「ええ!!?」」」
「やっぱ驚くよなー」
「まあ在ったとしても今はまだオーバーはしてないんだけどね。確か」
「え、そうなんですか?」
「っていうかオレBランクだし」
「アタシはA−だったかなあ」
「私はAだね――と、こんなかんじだし。隊長もAA+だしね」
「「「うそっ!?」」」
「その代わり近接攻撃がオーバーSだったり、特殊な魔導資質もってたり、稀少能力持ちの人も多いけど」
「それ以上に性格に難ありが多い。協調性なんか隊長のおかげでなんとかまとまってるってレベルよ」
「で、制限がない理由だけど。私達の任務って危険度がSとかいうのざらにあるから」
「つまり、人的損害が出やすいのよ」
「え…それって…」
「あー多分ギンガちゃんの予想であってるわ。任務で隊員が復帰不可能な重傷を負ったり死んだりする可能性がめちゃくちゃ高いんだよ」
「アンタはもうちょっと歯に衣着せてからしゃべりやがれっ!!」
「ぐは!?」
「で、でもね。隊長ががんばってくれてるから今までに死者は出てないのよ?……重傷者はやはりでてしまうけど…」
「あのバカのせいで暗くなっちゃったじゃない次いきましょ次。泣いても叫んでも過去はかわらないんだから」
Q3 訓練内容は?
「「「………(遠い目)」」」
「あ、あれ?」
「ちょう皆さん?どないしたんですか?」
「なんだか目が虚ろですよ?(汗)」
「ごめん、こればっかりは」
「ごめんね…ちょっと思い出したくないかも…」
「うぷ…思い出したら胃の中身逆流しそう……」
「「「(一体どんな内容なんだ…)」」」
「(ニヤリ)そんなに知りたいんだったら」
「(黒い笑み)こんど一緒にやろうか?」
「(ニヤソ)ああ。オレらが隊長に口きいてやるよ」
「「「ええええええ!?」」」
「ウフフ。たのしみねぇ」
「クスクスクス。どんな声で啼いてくれるのかなあ」
「ククク」
「「「(じ、地雷踏んだかも!!!)」」」
「と、というわけで」
「今回はこの辺で」
「また次回に会いましょう」
「ううううう。ひどいよ、なのは…はやて…。いくらなんでもバインドにミストルティンはひどすぎるよ…」
「あう……ひ、ひさびさに食らった…。ギン姉のリボルバーナックル…」
〜その24〜
「もう、恭也さん、少しは膝の事を考えてくださいよ」
「いや、考えてはいるんだがな。どうも指導に熱心になりすぎて…な」
「それほど、熱心にしなくても」
「昔の俺を見ているようでな。それにあの四人は何かと見込みがあるし」
「確かに、あの四人はいい資質を持ってますね。恭也さんが指導してくれるお陰で私達や なのはちゃんや、はやてちゃんが楽を出来るのは私としても嬉しいですけど。それで恭也さんが怪我しちゃったら二人が泣きますよ?」
「むぅ」
「はい、それじゃ今回はこれで終わりです」
「いつも悪いな、シャマル」
「いえいえ(///)」
「えぅ〜、なんだかシャマルがとーさまといい雰囲気です〜」
「シャマル、いい度胸やな(ニヤソ)」
「シャマルさんも敵なんだ、ワタシトオニイチャンノテキハハイジョシナイトイケナイネ」
「恭也さんと二人で密室。二人で密談(///)」
「(またですか主…。すまない、恭也。フェイトも加わっては私ではもう何も……許せっ!)」
〜その25〜
「お兄ちゃん、どうしたの急に呼び出して?」
「いや、今日はお前が休みだと聞いてな……」
『マスターはなのはちゃんの休みに合わせて、休暇を取ったんですよ』
『まあ、主も有休を溜め込んでいましたので』
「おい、お前たち!」
「えっ、じゃあ……お兄ちゃん、今日は暇なの?」
「ああ、久しぶりに一緒に出かけようと思ってな……迷惑だったか?」
「そんなことないよ!」
「それじゃ、何処へ行くか何だが……なのは、お前の好きな場所を選んでくれ」
「うん。それじゃ……」
〜日が暮れて夜になりはじめる〜
「そういや、お前もここに来たいって言ってたな?」
「そうだよ。お兄ちゃん……フェイトちゃんを連れて行くんだもん」
「それで、はやて共々フェイトを虐めたな?」
「う〜、その後の事は思い出したくない」
「まったく、しょうがない妹だ……」
「だって〜」
『(マスターだって、あの後罪悪感にふけていましたからねぇ)』
『(なんだかんだ言って、主はなのはさんには甘いですから)』
「まぁ、なんだ……、今日は好きなもの食っていいぞ」
「えっ、ほんと!やった〜!!」
「(久々に見たな、あいつの笑顔)」
〜某隊長室〜
「ふっふっふ、フェイトちゃんだけじゃなくなのはちゃんも裏切りもんや」
「私もおとーさまと一緒に遊びたい!」
「主よ、この前の制裁で懲りなかったのですか?」
「制裁ごときで諦めてたまりますか!恭也さんの愛はウチのもんや〜!」
「(なのは……、悪いけど、この前の恨みは晴らさせてもらうからね)」
〜その26〜
「はやて……」
「え?恭也さ――きゃ!」
「はやて、無防備すぎるぞ」
「え?え?ちょ…んん!?」
「ん……」
「ふぁ………」
「…はやては、俺みたいなおじさんは嫌いか?」
「え」
「…わかってる。歳の差が離れすぎてるのも、この気持ちが許されないものなのも」
「恭也さん、それって…」
「それでも――君を好きになってしまった」
「――!」
「すまない……俺にこんなこと言われても迷惑だな…」
「ちゃう!そんなことないっ!!!」
「はやて?」
「うれしい……うれしいんよ…!だって、ずっと、ずっと私、恭也さんのこと好きだったんやもん!」
「……」
「好き……大好き……。だから恭也さん……もっと、そのことを私に実感させて…?」
「はやてっ!」
「あ…!」
ドターーーン!
「そ、そんなのみとめない!!この泥棒猫っ!跡形もなく灰燼にしてやるのーーー!!!」
「だだだだだだだめ!そんなのだめ!!私の、私の方が!恭也さんのこと好きなんだからーーー!!!」
「うひゃあ!?」
「…ってあれ?おにーちゃんは?」
「あれ?さっき確かに声がしたのに…」
「な、なのはちゃん?フェイトちゃん?ど、どないしたん?」
「――はやてちゃん、隠し事はしない方が身のためなの」
「――そうだよ、はやて。バルディッシュの錆になりたいなら別だけど」
「え、えっと、こ、これはやなあ…!」
「?あれ?それってゲーム機?」
「ひゃあ!?み、みたらあかんーーーー!」
「バルデイッシュ」
<y、yes,Sir>
「またバインドーーー!?」
ごそごそ。かぱ。
「えっとこれだね……恋愛ADV『なみだのちかい』?」
「んと、「『膝に消えることのない傷を負った双剣の剣士。その時、嘆く彼とあなたは桜の木の下で出会った。そして数年後、再び再開したのはきっと運命』これはそんな彼と主人公(貴女)との交流を描く恋愛ADVです。他にも魅力的な男性キャラが数多く登場します。誰と恋を育むかは貴女次第。年上の彼らとの甘く切ない恋を体験してみたいあなたに。
「ん……「名前の変更はもちろん、同時発売のVLSをデバイスにインストールし、デバイスとゲーム機本体を接続するとよりリアルな疑似体験が可能 です。詳しくは管理局事務課販売部門までお問い合わせください」……」
「あ、ああああああ…!私の、私の秘密が…」
「「はやて(ちゃん)」」
「はひ!!!」
「「こ、これまだ売ってるの!!?」」
「シャーリーどうしたんだ。やけにうれしそうだが」
「いえいえ♪高町特佐のおかげです♪」
「?まあ、いいか。白姫と黒姫のメンテナンスは終わったのか?ずいぶんかかったみたいだが」
「ええ、すいません。ちょっと特殊なデバイスですから時間かかってしまって。あ、でもフルメンテしておきましたから〜」
「そうか、ありがとう。感謝する」
「どういたしまして〜♪」
〜その27〜
「とーさまー!」
「お父さーん!」
「姉さん、キャロ、あまり手を引っ張らないで……」
「……ああ、リア、エリオ、キャロ。訓練は終わったのか?」
「はい、さっき終了しました」
「そうか、ご苦労だったな。それで、なにか用があったのか?」
「あ、はいです。とーさまは、これからお暇ですか?」
「ふむ……まあ、時間が取れないわけではないが。どうした?」
「お父さん、私達3人と一緒にお風呂に入ってくれませんか?」
「……それはまた、唐突だな。一体どうして?」
「だってお父さん、お兄ちゃんとは一緒によくお風呂に入ってるんでしょう?」
「まあ……そうだな」
「エリオだけずるいです。リア達も一緒にお風呂に入りたいのです」
「ぼ、僕は止めた方がって言ったんですが……」
「――ふむ。まあ、リア達の意見はもっともなんだが……風呂に入る場所はどうする?さすがに、隊舎の浴場を独占するわけにもいかないだろう?ティアナやスバル、フェイトやはやて、なのは達もいることだし」
「ふっふっふ、とーさま……そ〜やって逃げようとしてもダメですよ?ちゃんと場所はあるのです!」
「なに?そうなのか?」
「はい!私やお兄ちゃんはお姉ちゃんから聞いて初めて知ったんですけど……」
「ど、どーやらプライベートビーチならぬプライベートバスを八神部隊長が持っているらしくって」
「もちろん、はやてちゃんには許可を貰いましたよー!」
「「だから、一緒にお風呂に入りましょう、お父さん(とーさま)!」」
「あ、あはは……らしいです」
「ふう。まあ、確かにそういったことも必要かも知れんな……わかった、行こうか」
「「わーい、やったぁ!!」」
「す、すみません、父さん……」
「何、お前が謝る事じゃない。あまり気にするな、エリオ」
「は、はい……」
「で……だ。そのはやてが持っているというプライベートバスの場所は、どこなんだ?」
「ミッドチルダの郊外にあるですよ。転送ポートを使えばすぐなのです」
「ふむ、わかった。では、各自用意をして、15分後に転送ポート前に集合だ」
「「「はい(です)!」」」
「(――まあ、たまには父親らしい事もしてやらないとな)」
――某隊長、執務室――
「ふう、本局での会議も終了。やっと帰れるね」
『お疲れ様でした、隊長。あ、そういえば……キャロちゃんからメッセージを貰ってるんですが』
「え、キャロから?何だろう……教えてくれる?」
『了解です。【これから、お兄ちゃんとお姉ちゃんと一緒に、お姉ちゃんが教えてくれた八神部隊長のプライベートバスへ行ってきます。隊長とも一緒に入りたいので、是非来て下さい】との事です』
「はやてのプライベートバス……ああ、あそこか。でも、結構遠かった筈だけど……?」
『その点は、転送ポートを使用して解決したようですよ?』
「なるほど……じゃあ、私は車で行くべきかな。迎えにも行けるし」
『そうですね。その方がよろしいかと』
「うん……じゃあ行ってくるね、シャーリー」
『行ってらっしゃい、お気を付けて』
(プシュー)
『――ふふ、これで種は蒔いた……と。後は、あの人達に……』
〜その28〜
――ミッドチルダ郊外、プライベートバス付近――
「……はい、とゆーわけで、到着でーす!」
「わぁ……」「すごーい……」
「これはまた……随分と広いな。温泉以外に、泊まる場所まであるのか」
「はいです!はやてちゃんご自慢の温泉施設ですから!」
「しかし、何でまたこんな森の中にあるんだ?そもそも……俺の記憶が正しければ、この近辺は確か管理局の武装隊演習場があった気がするんだが」
「とーさま、よく知ってますね!確かに、ここら辺は以前武装隊の森林などにおける実技演習場でした」
「……『でした』?」
「はいです!はやてちゃんもここで演習に参加した事があるのですが、その際に憂さ晴ら――もとい、不利になってしまった自軍の戦況を変えるために、魔法を一ぱ「待てい」……なんですか、とーさま?」
「……どこをどうツッコめばいいのかわからんくらいにツッコミ要素満載だが、魔法を放ったのか?はやてが、此処で」
「はいです!その魔法の一発で、戦況は激変。はやてちゃんのチームが勝ったのですが……何かあるです?とーさま」
「ありすぎだ……広域Sクラス指定が(憂さ晴らしかどうかは知らんが)本気で魔法を放ったんだ。むしろ、これ位で済んで僥倖……と言うべきなのだろうな。甚だ不本意だが」
「あ、あはははははは……」
「す、すごいと言うべきなのかな……?」
「ともかく、その演習でこれからの訓練が不可能になったこの土地をはやてちゃんが購入。何故か格安の値段で売却してくれたらしいですよ?」
「(脅したな……)」
「(そ、そうなんですか?)」
「(……脅してまかり通る事が出来る自体、すごいです)」
「(考えてもみるといい。購入の要請をする際に、はやて単体だけで要請したとするなら、ひょっとすれば局の人間もなんとか対応が出来たかもしれん。しかし……仮にヴォルケンリッターまで勢揃いしてお願い(脅し)てみたなら、どうだ?一体、誰が逆らえる?)」
「「((あ、あははははは……))」」
「……ともかく、だ。さっさと入ろう。じっとしていても、始まらないからな」
「そ、そうですね」
「えへへ……楽しみです」
「はい、お父さん」
「(はやて……頼むから、余り暴走してくれるなよ。最近のお前は暴走が多くて、少し心配だ)」
「ハックション!」
「あら?はやてちゃん、風邪かしら?」
「えー、大丈夫か、はやて?」
「あはは……大丈夫やよ、シャマル、ヴィータも。誰かが私の噂しただけやろ」
「そうなの?」
「まあ、だったら大丈夫でしょうけど……ただでさえ忙しいんですから、あまり無理をしないで下さいね?」
「うん、おーきにな、シャマル。……はー、それにしても、さっきのは何や恭也さんが私の事噂してくれてたよーな気がするわ」
「ええ!?そんなのわかるの、はやて!」
「モチのロンや。うちの恭也さんへの愛情は、山よりも遥かに高いんやから!」
「あ、あはははははは……(はやてちゃんなら、有り得るかも……)」
(プシュー)
「主はやて、失礼しま……な、何だこの異様な空気は!?」
「あ、シグナム、お帰り〜……で、異様ってのはナンノコトヤロカ?ウチガヘンジンッテコトヤロカナ?ソコントコ、ドナイ?」
「ひぃ!?あ、主はやて、顔、顔が笑ってませんから!!?」
「イヤヤナ、キノセイヤテ。サテ――ジックリハナシアオウヤナイカ、ナァ、シグナム……!」
「ひ……やあああああああ!!」
「(シグナム……哀れね…)」
「(……せめて、冥福を祈っておいてやるぜ……)」
――プライベートバス・温泉内――
「……いやはや、無駄に広いな本当に」
「そうですね……何だか落ち着かないです」
「大丈夫ですよー、そのうち慣れるのです」
「泳げるくらいに広いんですね……」
「お、泳ぐの?キャロ?」
「うん、楽しそうだし……どうかな、一緒に泳がない?お兄ちゃん、お姉ちゃん」
「リアは構わないですよ〜、エリオも構わないですよね?」
「え、えっと、その……」
「…………だめ?」(うるうる)
「うっ――わ、わかったよ。一緒に泳ごう、キャロ」
「くふふ、よかったですね〜、キャロ」
「うん!ありがとう、お兄ちゃん、お姉ちゃん!」
「……まあ、泳ぐのは構わないが、まずは身体を洗ってからだぞ、三人とも」
「「「はーい、(お)父さん(とーさま)!」」」
「エリオ、キャロ、身体の洗いっこするです」
「はーい、お姉ちゃん」
「いいっ!?あ、洗いっこですか!?」
「拒否権は無いですよー?覚悟を決めてカモンですー!」
「ですー!」
「うう、父さん……」
「……まあ、今回はやむを得まい。毎日という訳じゃないんだ、覚悟を決めて行ってこい」
「…………はい」(ガックリ)
「……さて、全員身体は洗えたな。では、風呂に浸かろうか」
「「「はーい!」」」
(チャプ)
「わー、いいお湯……」
「気持ちいいですー……」
「温まりますねー……」
「ふぅ……落ち着くな」
「それじゃ、早速泳ごうよ、お兄ちゃん、お姉ちゃん」
「いいですよー。じゃあ、向こうの端まで競争です。エリオもいいですね?」
「うん、わかったよ、姉さん」
「それでは、ヨーイ――」
――ドン!――
「負けないですよー!」
「わたしだって!」
「僕も、負けないよ!」
「ふふっ……」
「(三人とも、随分と仲良くなったようだな。最初の頃は心配したものだが……はは、結局は杞憂だったか。これなら、これから先も共に支え合いながら歩んでいけるだろうな)」
「ふぅ……それにしても、いいお湯だ……」
――ぺたぺた――
「…………?」
「(誰、だ?リア達では決してない。彼女達は遥か向こうに行ってしまっているからな。では一体……?)」
「エリオー、キャロー、リアー……もぅ、みんなどこにいるのかな?ここって本当に広いから、合流するまでが大変……」
「(な……に?そんな、まさか――)」
「!あ、誰か見つけた!エリオ、キャロ、リア?湯煙で見えないから、返事をして誰か教えて?」
「――――フェイ、ト?」
「え…………きょうや、さん?なんで……?」
〜その29〜
「「………………はっ!?」」
「す、すまないフェイト!」←慌てて後ろを向く
「い、いえ!こちらこそ……!」←同じく後ろを向く
「「………………」」
「……っクシュン!」
「……フェイト、取り敢えず聞きたいことはお互いに色々あるだろうが、一先ず風呂に浸かった方がいい。そのままだと風邪を引いてしまう」
「あ、でも……」
「心配しなくても俺は君の方を向かないし、君から聞きたい事を聞ければすぐに出ていく……不快かもしれないが、少しだけ我慢してくれ」
「あ、はい……」
(チャプン)
「「………………」」
「あ、あの……どうして恭也さんが、ここに?はやてに教えてもらったんですか?」
「ああ、いや……俺がここに来たのは今日が初めてだ。リア達に一緒に風呂に入ってくれとせがまれてな……まあ、断る理由も特に無かったから、たまには父親らしい事もしてやろうと思って誘いにのったんだ」
「そ、そうですか、リア達に……」
「そう言うフェイトの方こそ、どうしてここに?……場所の方は、はやてから教えてもらっていてもおかしくはないが」
「あ、私はシャーリーから、キャロ達三人がプライベートバスに行くので一緒に入りましょうって伝言がキャロからあったって聞いて……それでやってきたんです」
「キャロから?シャーリーは確かにそう言ったのか?」
「はい……だからてっきり、子供達三人だけで来てるものとばかり思ってしまって……」
「なるほど……キャロは俺達二人を呼びたかったのか?だが、それにしてはフェイトに対しての伝言には俺が出ていないし、俺に対してもフェイトの事は聞いていない……妙に手回しが良すぎる気がするな」
「……やっぱり、恭也さんもそう思いますか?」
「ああ。どうやら――第三者の存在が匂うな」
「です、ね……真相はキャロが戻って来た時に尋ねてみればわかることですけど」
「そうだな。何しろ、彼女は隠し事が苦手だしな」
「ふふっ、そうですね」
「三人とも、とてもいい子だからな……実際、俺が父親役などと言う大それたものをやっていいものかどうか、未だに悩むよ」
「そんな事……ないですよ。エリオもキャロも、恭也さんが父親になってくれて本当に喜んでます。私も……恭也さんがあの子達の父親になってくれるって聞いて、凄く嬉しかったです」
「……そう、か?」
「はい――恭也さん、改めてあの子達の父親になってくれて、本当にありがとうございます」
「いや……俺の方こそありがとう、フェイト」
「え……?」
「エリオやキャロのような、とても優しくて強い子達に巡り会わせてくれたのはフェイトだ。フェイトがいなければ、俺はきっとあの子達に会う事すらなかったかもしれない」
「あ……」
「だからありがとう、フェイト」
「いえ……なら私は、なのはに感謝しなければいけませんね」
「なのはに?」
「はい――もしなのはと出会わなければ、きっと今の私はいないでしょうから」
「そうか……いや、そうだな」
「――――はい」
「……いい、お湯だな」
「……はい、そうですね」
「……ん、どうやらそろそろリア達がこちらに戻ってきそうだな」
「え、でもまだ声は……」
「まだ少し遠いからな。けど、気配で感じてるから、わかるんだ」
「すごいですね……私も習いたいです」
「ああ、それは別に構わ「あ、あれ?父さんと……フェイトさん!!?」」
「あ、エリオ!お帰り……キャロとリアは?」
「え、あ、う……「気持ちはわかるが……落ち着け、エリオ」は、はい。姉さんとキャロは、もう少しすれば戻ってくるはずですよ」
「そう……じゃあ、私がここにいる理由については、キャロ達が戻ったら説明するね?」
「あ、はい。わかりました」
「と〜!リアが二番なのですー!」
「うう、お姉ちゃん達、早いね……」
「くふふ〜、何とかお姉ちゃんの威厳は保てたのです!」
「ふふふ。お帰りキャロ、リア」
「えへへ、ただいまです、とーさ……え!?フェイトちゃん!?」
「フェイトさん……?何でここに……?」
「二人とも、お帰り。しっかり楽しんできたか?」
「あ、はいです、とーさま。でも……」←ちらりとフェイトを見る
「はい、楽しんできました、お父さん。あの、フェイトさんはお父さんが呼んだんですか?」←リアと同じくちらりとフェイトを見る
「ああ、それは……(フェイト、やはり決まりだな)」
「(はい、そうですね。私を呼んだのがキャロではない以上、容疑者は恐らく彼女しかいないでしょう)」
「(……なるほどな、確かに)」
「あの、とーさま?フェイトちゃん?」
「……ん、ああ、どうした?」
「なにかな、リア?」
「その、何でお二人が一緒なんですか?」
「やっぱり、噂通りに二人は恋人同士だから一緒にいるんですか?」
「じゃあ、お父さんとフェイトさんが夫婦になって、フェイトさんのことは、お、お母さんって呼ぶようになるんですか?」
「と、とりあえず落ち着いて、キャロ、リア。……そりゃあ、私もそうだったら嬉しいけど……(ごにょごにょ)」
「?なにか言ったか、フェイト?」
「い、いえ、なにも!」
「……?まあ、いいが。ともかく、俺とフェイトがここで会ったのは偶然に過ぎない。何しろ、俺は今日お前達に教えてもらうまでこの場所を知らなかったのだから。そうだろう?」
「あ……」
「確かに、その通りですね」
「私も、仕事帰りにここはよく利用してるから……まあ、まさか恭也さんやリア達がここにいるとは思わなかったけどね」
「あはは、そーですね。リア達も、シャーリーにアドバイスを貰ってなかったら今日ここに来てなかったですよ」
「……シャーリーからアドバイスを貰ったのか、リア?」
「はいです、とーさま。折角あんないい温泉施設があるんだから、お父さんと一緒に入って来たらどうか?って」
「……じゃあ、はやてからの許可を貰ったと言うのは、シャーリーから?」
「ほぇ、よくわかりましたね、とーさま」
「……いやまあ、なんとなく、な(完璧に確定、だな)」
「ほら、みんな。肩までしっかり浸かって、温もろうね(はい、ですね)」
「「「「はーい、(お)父さん、(お)母さん(とーさま、かーさま)」」」」
「「!!!?」」
「お、お前達、なにを!?」
「そうだよ、恭也さんに失礼だよ……!」
「えー」「でも……」「すっごくお似合いでしたよ?」
「「な……」」←硬直中
「――――ふぅん、お似合いか。よかったね、フェイトちゃん?」
「「!!!?」」
「な……なの、は?いつここに?」
「あれ、いつもみたいに気配を感じなかったの、おにーちゃん?珍しいね?」
「くっ……!(それだけ動転していたという事か。不覚……!)」
「な、なのは。一つ聞きたい事があるんだけど」
「なにかな、フェイトちゃん?悪いけど、手短にお願いできる?」←魔力上昇中
「なのはがここに来た理由に、シャーリーの名前は入ってる?」
「……?よくわかったね?私はシャーリーに、『お疲れでしょうから久し振りに八神部隊長の温泉にでも行ってみたら如何ですか?』って言われてね、それで来たんだけど」
「「やっぱりか……」」
「?何、二人して?……まあいいや。二人とも……頭、冷やそっか?」←スフィア多数形成
「くっ……!恭也さんは、逃げて……!」
「そう言うわけにも、いくまいよ……!」
「え……(まず…のぼせたかな?)」←グラリ、と身体が傾く
「――!危ない、フェイト!」
「あ……す、すいません、恭也さん」
「何、気にするな、フェイト」
「やっぱり」「お似合いですよね」「うん、そう思う」
ブチッ――――!
「おにーちゃんと、フェイトちゃんの……」←片手が高々と天を指す
「――!」
「バカーーーーーーー!!」←スフィア全弾、発射
――結局、なのはからの攻撃はそれから30分続きました。
施設には何とか被害を出さないために私達はデバイスを起動して空中に退避。
ある意味被害者であるなのはに攻撃する、という行為に乗り気ではなかった恭也さんの意志もあり、結局私達は言葉での説得を選択しました。
そうして30分後、ようやく説得出来たなのはと共に、私達は改めてお風呂に浸かりました。
――当然、恭也さんも一緒に。
なのはを説得できた言葉。それは、こんな一言でした。
「――そんなに恭也さんと入りたいなら、私達と一緒に今から入ろう?」
当然、恭也さんはかなり反発したのですが……どうにか宥めすかして、一緒に入ってもらいました。おかげでなのははかなりごきげんです。
反対に恭也さんは、かなり不機嫌そうでしたが。
「(シャーリー……貴様はしっかりと制裁しないといけないようだな……!)」
〜その30〜
どかーん
ずごーん
神気発勝!真威・楓陣刃!!!
ぎゃあ
追の太刀・疾!閃の太刀・弧月!
ひぎゅ
「(まったく。どうして恭也さんはいっつもフェイトちゃんなんや!)」
神我封滅!真威・洸桜刃!!!
ぐちゃ
追の太刀・嵐!閃の太刀・雷!
めきゃ
「(そりゃ、私らでいちばんスタイルええのはフェイトちゃんやけど……)」
奥義の封神・楓華疾光断ーーーーーーー!
ずごーーーーん
ぎゃあああああああーー
「(私かて水準以上なのに…かといって色気でどーにかなる人やないし。むうぅ)」
「あ、あの」
「(料理かなあ。でも恭也さんの周りに料理うまい人大勢おるしな…あーもーどうしたらええんやー!)」
「八神隊長。その――」
「あ゛!?なんよ!?」
「ひい!え、えっと、その、うちのチームがちょっとまずいんですが…」
「へ?…ってなんなん!?まけそうやないか!?」
「(それはあなたが指揮してなかったからですが…)」
「あーもー!こーなったら!」
「え?って、ええ!?」
「“我請うは始まり終る神話の終焉。神無き地にて鐘鳴らす哀れな使徒達の歌を聞け”」
「ま、まってくださいそれはーーーーー!?」
「“響け終焉の笛!ラグナロク!!!”」
ちゅどーーーーーーーーーん
ぎゃーーーーーーーーーーーーーーー!
「ふう、すっきりしたー!ついでにこれでうちらの勝ちやな!」
「あ、あははは。さ、流石は広域Sランクですね―――森一帯更地にするなんて…アハハハ…」
あとがき
……はい、とゆーわけで暴走の限りを尽くした感じのするennaです。
なんか、今回はやっちまった感じがします。
特に温泉編。あんなに長くなるとは本人も想像してませんでしたw
まあ、充分に書き切れたので満足ではありますが。
これからも、まあ多分このSSSには参加していくと思いますので、何卒宜しくなのです。
ではでは、ennaでした。
え〜と、クレさんとennaさんに強制徴兵された猫神TOMです。
どうして徴兵されたかつ〜と、クレさんとennaさんが書き出すとなのはが暴走して止まらないからって……
というわけで、暴走しないなのは担当になってしまいました。
……その分、はやてが2倍不幸になってますが、まぁ、ネタキャラの宿命と言う事で(爆死)
今後も、なのは担当として参加すると思うので、どうぞよろしくです。
では、猫神TOMでした。
はい。いつの間にやら大所帯になっていました番外編の番外編。いかがでしたでしょうか。
あとがきは上記の二人にお任せしましたw
今回の構成は
その22、23、26、30を私が。
その21、27、28、29をennaさんが。
その24をペルソナさんが。
その25を猫神TOMさんが。
それぞれ担当しております。
それと今回は編集の都合上次回送りになってしまった作品もあり、その中には『あの方』が担当してくれているものもありますのでお楽しみにー。
参加者が増えつづけていくSSS。
美姫 「色んなネタが見れて楽しいわね」
うんうん。リアが可愛いし、フェイトの出番が多くて嬉しいし。
美姫 「次がどんなお話になるのかとっても楽しみね」
おうともさ! 次回も楽しみにしてます。
美姫 「待っていますね〜」