〜その31〜
「う〜ん……、こっ、ここは何処?確か、久しぶりにフェイトちゃんとはやてちゃんと一緒に食事してたはず……」
「お目覚めかなぁ〜、なのはちゃん?」
「はっ、はやてちゃん……?えっ、手が後ろで縛られてるし……って何で私が拘束されてるの!?」
「ほぉ、なのはちゃん。あたしらに隠し事してへんか?」
「……なっ、何はやてちゃん?って、怖いよはやてちゃん……」
「恭也さんと一日デート……イイナァ、ナノハ」
「フェイトちゃんまで!?というか、先に抜け駆けしたのフェイトちゃんでしょ!!」
「それはそれ、これはこれだよ、なのは」
「と言う訳で、第二回魔女裁判の開始や」
「まさか、私を食事に誘ったのは……」
「そうや、このためや!ついでに、シャマル特製の睡眠薬は効果抜群だったようやね」
「酷い!人を実験台にするなんて!」
「バインドで拘束して、零距離スターライトブレイカーかます人が言う台詞かな?」
「そういうフェイトちゃんこそ、お兄ちゃんと一緒に風呂入ったでしょうが!!」
「なっ、なのは!?それ、いっちゃ駄目ぇぇぇぇえ!!」
「ほぉ、フェイトちゃんも隠し事してたんか?」
「いっ、いや……何の事かな、ねぇ……なのは?」
「フェイトちゃん、親友だよね?だったら一連托生だよね?」
「ほう、どうやらフェイトちゃんもお仕置きが必要やね?」
「なっ、バインド!?って、きつい、きついよはやて!?」
「さてと、二人とも抜け駆けした報い受けてもら……」
「ほぉ、この前のお仕置きじゃどうやら足らんかったようだな、はやてよ……」
「お兄ちゃん!!(ウルウル)」
「きょっ、恭也さん!!(ウルウル)」
「なっ、なぜ恭也さんがここに!?」
「何、さっき食堂で怪しい噂が立っててな、気になって来て見たらこの場を見たわけだ」
『(マスター、完全にキレてます!)』
『(この前はなのはさんが加害者だった分まだマシでしたからねぇ……どうなる事やら?)』
―二人のバインド解除―
「なのは、フェイト……二人とも大丈夫か?」
「お兄ちゃん!!」
「恭也さん!!」
「さてと、白姫……5番を用意しろ……」
『マっ、マスター、本気ですか!?』
『やめろ白姫、既に主は暴走している』
「聞こえなかった?5番を用意しろ」
『イエスマスター!鋼糸の棺・縛』
「きゃああああああああ!!」
「さてと、悪いがフェイト……、空きロッカーを持ってきてくれ」
「えっ、あっ、はっ、はい。すぐに持ってきます!!」
「え〜と、お兄ちゃん……?」
「何、どうやらはやてには相当なお仕置きが必要でな……あのプライベートバスな、広域Sランク魔法を訓練で使用したあげくに脅して買い取った土地に建てた代物だそうだ」
「なっ、それホントなのお兄ちゃん!?」
「恭也さん!?何で、その事をしってるんや!?」
「リアが話してくれたぞ」
「あの子は……」
「恭也さん、これでいいですか?」
「ああ、ナイスタイミングだフェイト……さて」
「あわわわわ」
―恭也ははやての首根っこをつかみ、ロッカーの中に閉じ込める―
『(マスター、完全に暴走してます!)』
『(まさか、鋼鉄の少女をやるとは……)』
―恭也、無言でロッカーを殴り続ける。ロッカーは見る見る内に鋼の芋虫になっていった―
「#$I%()’’ISGFJQf」
「きょっ、恭也さん、ちょっ、ちょっとやりすぎじゃないのですか?」
「無駄だよフェイトちゃん……はやてちゃん、お兄ちゃんの逆鱗に触れてしまったの……お姉ちゃんもお兄ちゃんの逆鱗に触れた時もこうだった……」
「ふむ、いい具合に縮んだな。さて、どこかに捨てるところは……ああ、あの海に捨てるか?」
『マスター、いくらなんでもやりすぎです』
『それは次回にとっておきましょう。ここまですれば、はやてさんも懲りるでしょうから』
「ふむ……、なのは、フェイト……お前たちの意見は?」
「う〜ん、今回だけはここまでにしてあげて、お兄ちゃん」
「わっ、私もなのはに賛成です(いくらいつも酷い目にあってるとはいえ、流石に……)」
「わかった。よかったな、はやて……、命拾いしたな」
―恭也、鋼鉄の芋虫を投げ捨てる―
「さて……フェイト?」
「きょっ、恭也さん……!?」
「何をあせってるんだ?」
「えっ、私にもお仕置きするんではないのですか?」
「されたいのか?」
「なっ、お兄ちゃん!?なんで、フェイトちゃんにはお咎めないの!!」
「馬鹿たれ!先に仕掛けたのは何処のドイツだ?」
「あっ、それは、その……」
「まぁ、なんだ……フェイト」
「はっ、はい」
「君の場合、先になのはが仕掛けてるのでお咎めなしだ。ただし……」
「はい!わかってます!なのはが仕掛けてこない限り、私は何もしません!誓います!」
「素直で結構だ。そういう物分りのいい娘は好きだぞ」
「えっ(テレ)」
「う〜、お兄ちゃん?」
「ところで、なのはにフェイト」
「何、お兄ちゃん(恭也さん)?」
「今日の夜は暇か?暇なら、この前と場所が違うんだが俺の部下が進めてくれた店に食事でも行こうかと思うのだが?」
「うん、暇だよ!行く!」
「私も、予定はありません!是非!」
「わかった。予約は俺の方でしとく。ついでに俺のおごりだから遠慮せずにな」
「ありがとう、お兄ちゃん」
「ありがとうございます、恭也さん」
「さてと、後二人ほど制裁をしなければいけないやからがいるので、失礼する。二人とも定時になったら玄関でな」
「うん、了解〜」
「はい」
―某所―
「(暗い、狭い、痛い)」
「ちょっとした悪戯心なのに〜」
「はやてちゃんに従うんじゃなかった〜」
―床に転がっている鋼鉄の芋虫の上につるされている眼鏡のデバイスマスターとマッドな医者―
〜その32〜(入院編)
「ふぅ……書類整理、やっと一段落つけそう……」
(プシュー)
「フ、フェイトさん!」
「あれ?エリオに……キャロ?どうしたの、そんなに慌てて?」
「フェイトさん……フェイトさぁん……」(じわぁ)
「キ、キャロ!?どうしたの!?一体、何があったの!!?」
「グスッ、ひっく……お父さんが……おとうさんがぁ……」(ぽろぽろ)
「!!!――恭也さんに……なにかあったの?エリオ、キャロ?」
「は、はい。僕たちも今、アルトさんから聞いたんですが……父さんが任務中に、怪我を負ったって……」
「お父さん、一人の隊員さんをかばって……その隊員さんには怪我は無かったんですけど、代わりにお父さんが……」
「……そう。とにかく、二人とも落ち着いて。リアには連絡した?」
「はい。姉さんもここに来るようにって説得しました」
「説得?」
「ええ、その……姉さん、すぐに病院に行くんだって言って聞かなくて」
「ああ……確かに、リアなら言いそうだね」
「けど、すぐに病院に行くにしても、病院がどこなのかわかりませんし。だから、フェイトさんなら父さんの入院した病院の名前がわかるかもと思って、フェイトさんの所に来たんです」
「なるほど……うん、わかった。ちょっと待ってて」
ピッ……ピッ、ピッ……
『――はい、こちら特別教導隊、通信士のリネア・カムラン二等陸士です』
「……こちら機動六課ライトニング分隊隊長兼本局執務官、フェイト・T・ハラオウンです。緊急の用件につき、副隊長の李 秋鵬三等空佐に連絡を繋いで戴きたいのですが」
『――――了解しました。暫くのお待ちを』
「(何だろう、いつもと少し応対が違う気がする……やけに、警戒されてる?)」
プシュー
「失礼しますです、フェイトちゃん!」
「「(お)姉さん(ちゃん)!」」
「とーさまの入院した病院はわかりましたか?」
「今からそれを教えてもらうために、特別教導隊にフェイトさんが連絡を取ったところだよ、姉さん」
「そーですか……なら、暫く待つしかないですね」
「うん……フェイトさんを信じて待ってよう?お姉ちゃん」
「キャロ……そーですね」
『――お待たせした。特別教導隊、副隊長の李 秋鵬三等空佐だ』
「機動六課ライトニング分隊隊長兼本局執務官、フェイト・T・ハラオウンです。ご無沙汰しています、李三佐」
『こちらこそ、元気そうで何よりだ、ハラオウン執務官。で……早速だが、用件を聞こうか?』
「はい……その前に、一つ確認させていただいてもよろしいでしょうか?」
『……何だろうか?』
「そちらの隊長、高町恭也特佐が負傷により入院したとの情報は、事実ですか?」
『……事実だ』
「では、その入院した病院名をお教えいただけませんか?機動六課全体としてとてもお世話になっていますし、お見舞いに伺いたいのです」
『…………ふむ』
「(やっぱりだ。何故かはわからないけど、酷くこちらを警戒している……一体、何で……)」
『――申し訳ないが、ハラオウン執務官。貴官の要望には、私は答えることが出来ない』
「え――――」
「(そんな、どうして……)」
「ど、どーしてですか!?何で、教えてもらえないんですか!!?」
「「(お)姉さん(ちゃん)!?」」
「リ、リア!?駄目だよ、下がって――」
「――いやです!」
「「「!!!」」」
「とーさまの隊の副隊長と言うことは、リアよりも階級が上なのは承知してます。
ひょっとしたら、罰を受けてしまうかも知れないって事もわかってます。でも、だからと言って、リアは――」
「――リアは、とーさまのお見舞いに行けないなんていうのは、いやなんです!」
「リア……」
「「(お)姉さん(ちゃん)……」」
『……ふむ。彼女が隊長の娘のリア空曹長かね?ハラオウン執務官』
「……はい。あと、息子ともう一人の娘のエリオ三等陸士とキャロ三等陸士もいます」
『成る程。それならば病院名を知りたがるのも当然、と言う事か』
「はい、ですからお願いできませんか?」
『……私からの返答は、同じだ――貴官の要望には、答えることが出来ない』
「何故、ですか?それほど……恭也さんの怪我の具合が、酷いのですか?」
『いいや、そう言った訳では無い。確かにそれなりに重傷ではあるが、あと一週間もあれば復帰できるだろう』
「なら、どうして……!」
『――どうやら、はっきりと理由を述べた方が良さそうだな』
「……はい。お願いします」
『では告げよう。君達の要望に応えられない訳。それは――』
――他の誰でもない、君達機動六課を我々が警戒しているからだ――
「警、戒……?」
『ああ、そうだ。非常に遺憾ながら、我々は君達機動六課を警戒せざるを得ない』
「そんな、どうして……!?」
『――実はな。こうやって我々に隊長が入院した病院名を聞いて来たのは、貴官で三人目なのだ』
「三人目……ですか」
『そうだ。そして、貴官以外の二人も機動六課に所属している、と言えば……自ずとその二人が誰なのかはわかるのではないか?』
「――高町なのは一等空尉と八神はやて二等陸佐、ですか」
『その通り。そして、その時は我々も普通に病院名をお教えした。
なにしろ、一人は隊長の妹だし、もう一人もその妹の友人で隊長とも親しい知り合いなのだからね。教えない理由は存在しない。しかし――』
「――その二人が病室を訪れて、そこで何かをしでかした……だから警戒せざるを得ない。つまりは、そういう事ですね?」
『理解が速くて助かる……まさか病室という場所で、あれほど大規模な魔法戦をされるとは思わなかったよ』
「(魔法戦……鉢合わせしちゃった結果、か)」
『ああ、むろん隊長は無事だった。だが、全くの無傷だった、とは言えない状態でもあった』
「(なのは、はやて……暴走しすぎだよ……)」
『一応……あんな人でも我々の隊長なのでね。しかも、今回の怪我は隊員を庇ってのものだから、恩義に感じている奴もいる
……そこでああいった事をされると、いくら親しい間柄であったとしても、警戒してしまうのは仕方ない事だと思うのだが……いかがかね?』
「……おっしゃる通りだと思います。まずは、彼女達二人が行ってしまった事について、深く謝罪させてください。申し訳ありません」
『いや、君が謝る事では無いんだ。本来なら、普通に対応すれば良い事だとも思う。だが……』
「……それでは、下の隊員達は納得しない。下手をすれば、六課と特別教導隊の間にシコリを残しかねない。だからこその処置……ですね?」
『……不本意だとは思っているがね。納得していただけるだろうか?』
「――はい。この場合の処置は、やむを得ないものだと私も判断します。ですが……一つだけ、お願いしてもよろしいでしょうか?」
『内容にもよるが、聞こう。何かね?』
「せめて……せめて、この子達だけでも、恭也さんのもとに見舞いに行くことを許可してほしいんです」
「「「フェイトさん(ちゃん)!?」」」
〜その33〜(入院編)
「そちらの事情は承知しました。ですがこの子達だけでも会わせてあげて頂けませんか?」
『…………』
「フェイトさん、そんな……!」
エリオを微笑んで制止させ、リアとキャロにも落ち着かせるフェイト。
『……申し訳ないが例外は認められん。子供とは言え機動六課の隊員には違いない。
そのような例外を一度認めると、次から次に、ということになりかねんのでね』
「でも、この子達は家族なんです。家族が家族の人を心配するのはご理解頂けると思います」
『もちろん理解できる。だが、その家族であるはずの隊長の妹殿があのような騒ぎを起こした。貴官はこれでも理解せよと?』
「それは……」
『その家族が、問題を起こした。である以上、家族だからいいだろうという言い分は罷り通らんと思うのだが?』
「…………」
『そして無礼を承知の上で敢えて言わせてもらうが……彼らは隊長の本当の子供ではあるまい。
互いが互いをそう言っているだけであり、籍を入れているわけでもない』
「あんまりです! 籍がないと親子と名乗ってはいけないんですか!? 私たちと父さまの絆を馬鹿にしないで下さい!」
「わ、私には大切なお父さんなんです!」
「僕らにとっては間違いない父です! いくらなんでも貴方の言葉は……!」
「リア! エリオもキャロもちょっと……」
『構わん、ハラオウン執務官。確かに失礼な言葉であることは確かだからな。彼らが怒るのももっともだ。
リア空曹、エリオ陸士、キャロ陸士、失礼は詫びよう。だが……絆だけで全てが罷り通るわけではない。君たちの言い分はあくまで「私」の感情によるものであり、「公」でそれは通用せんぞ?』
絶対たる証拠。それがあるなのはがあんな騒ぎを起こした。ゆえにその証拠もない者が家族と言ったからと言って信用できない。
『私は隊長不在の今、この特別教導隊を預かる身。そして君らも理解できると思うが、我らは恨まれる存在でもあるのだ。
隊長を狙う輩は多い。あの騒ぎのときも、隊員の中には疑いを持つ者がいた。証拠もなしで彼らが納得すると思うかね?』
「「「…………」」」
「……申し訳ありませんでした。この子達の非礼をお詫びします」
『いや、いい。私とて非常な言い方をしていることは理解しているつもりだ』
「ですが……その上で再度お願いします。この子達だけでも、どうか会わせてあげて下さい……!」
『…………何度言われてもそれはできん』
「この子達が問題を起こさないと確約できれば納得頂けるのですよね?」
『……まあ、そうなるが』
「では、私が責任を持ちます。もしそのようなことが起こった場合、そちらの言い分に従います」
「フェイトさん……」
「この子達は間違いなく高町特佐の子供です。
特佐の人柄をご存知なら、その特佐ご自身が子供だと言うこの子達が問題を起こすと思われますか?」
『…………思いはせんが、やはりそれだけでは納得できん。所詮それは感情論だ』
「では……この子達の武装をそちらの隊員の方に預けるというならどうでしょうか?」
フェイトのその提案に、リアがさらに追従。
「そ、そうです! リミッターもつけて魔法も使用できないようにすれば……!」
「僕はそれで構いません! なんなら見張りをつけてもらっても……!」
「お父さんに会えるならそれでいいです! ちょっとだけでもいいですから、お、お願いします!」
『……………………』
「どうかお願いします。この子達に、父親である高町特佐の無事な姿だけでも見せてあげて下さい!」
『副隊長、もういいんじゃないですか?』
そこで向こうのほうに別の人物……女性だ。フェイトは彼女を見て驚いた。彼女はフェイトに笑いかける。
『ハーキュリーズ三等陸士か……通信中だぞ』
『申し訳ありませ〜ん。ですがちょっと放っておけなくなりまして』
『話を盗み聞きしていたのか? よくもそのようなことができたものだな、ハーキュリーズ……』
『あっはっは、今更じゃないですか〜、副隊長。うちの隊員なんてそんな人間ばっかだし。私はマシな方ですよ?』
『少しは直す気がないのか、貴様は……』(←呆れて物も言えない。
「あ、あの……」
『あ、ああ、すまない、執務官』
『副隊長、執務官もあの子たちもあそこまで言ってるんスよ? 武器も魔法も使用できない。
なおかつ見張りまでいるんなら大丈夫でしょ。それに、執務官が責任取るって言ってるじゃないスか』
『だが、ただ職を辞するだけでは納得いかん隊員もいるかもしれん。私はそういう可能性も考慮に入れねばならんのだ……』
『あ〜……副隊長、失礼ですが……"ただ"という言葉は撤回してもらえません?』
ハーキュリーズ陸士のそれまでの軽い口調が一転して重く険しいものに。
掴み寄らんばかりに近寄り、机を叩いて副隊長を睨んでいる。
『私は彼女をよく知っています。彼女にとって執務官とは単なる職の1つじゃない。彼女がどういう過程で、どういう考えを持って、どれほどの意思で執務官を目指されていたか、わかってます?』
『…………』
『なんなら私も問題が起こったときはクビにしてもらっていいっス。それでどうでしょ?』
「ハ、ハーキュリーズ三等陸士! それは……」
特別教導隊入りするのも、執務官並、いや、それ以上の難関だ。それを簡単に辞するというのは、とフェイトは止めようとするも、彼女はいいからいいから、と笑って手を振った。
『だってその子たちのこと、信頼してるんですよね? あなたが執務官を辞してでも、って言うくらいですし』
「もちろんです」
『ならOK!(≧▽≦)b』
「「「OKって……」」」
『…………わかった。そこまで言うなら認めよう。ならばセリア・ハーキュリーズ三等陸士、貴官に監視を命令する』
『ういういさー!』
『少しでも何か問題が起こった場合、少なくとも貴官の首は飛ぶぞ? それでいいなら現場での判断は貴官の裁量に任せる』
『どうぞどうぞ〜』
「「「「…………」」」」
こうして、子供たちの見舞いは認められたのだった。
それからすぐにフェイトの運転する車でその病院へ向かう子供たち。
病院ではすでにハーキュリーズ三等陸士が待っていた。
「あの……本当に今回はありがとうございます」
「「「ありがとうございます!!」」」
「いんやあ〜、いいっていいって。さてさて……悪いけど武装を預かるね」
「「「はい」」」
「でもってリミッターは……うん、完璧♪ んっと、隊長の病室はね……」
そこでハーキュリーズ三等陸士は恭也のいる病室を教えて……。
「それでは〜……高町隊長の子供ども! 愛する父の下へ行ってこ〜〜〜〜い!!」
「「「……あの、見張るんじゃないんですか……?」」」
「いや、いらないっしょ」(←アッサリ
「「「……(この人、本当に特別教導隊員……?)……」」」
「まあ、問題起こしてくれたら私とハラオウン執務官のクビが飛ぶけどね……そんときはもう、君たち……わかってるよねえ〜?うふふふふふふふふふふふふふ……どう可愛がろうかなあ〜……」
「「「お、起こしません! 絶対起こしませんから!!」」」(←ガクガクブルブル
「じゃ、さっさと行けーーーー! そして愛するお父さんの胸に飛び込んでこーーーーい!!」
「「「は、はいぃぃぃぃぃぃ!!」」」
脱兎の如く、病院内へ走り出す3人。
「あ、さ、3人とも! 走ったらダメ――!」
「いや〜、元気がいいねえ〜♪」
「……本当にいいの? こんなことして」
「いいんですってば。それよか……お久しぶりです、フェイトさん」
「うん、久しぶりだね、セリア。もう教導隊は慣れた?」
「そりゃもう。特佐と副隊長にはさんざんな目に遭わされてます。よよよ……」
2人の出会いはエリオやキャロと似ている。ほんの少しの間だけ、フェイトは彼女の後見人になったことがあるのだ。
彼女は問題児でそれまで多くの後見人がやめていって見放されていたのだが、フェイトだけは決してやめなかった。
「でもせっかく入れた教導隊なのに、あんな簡単にやめるとか言うのは……」
「気にしない気にしない。フェイトさんが困ってるんだから、あんなときくらい恩返しさせてくださいよ。
ただでさえ、アタシはフェイトさんには頭上がらないんだから」
「でもこんなところまで私情を持ち込んだ判断なんかしたら、さすがに……!」
「私情もありますけど、これは副隊長が許可したことだし」
「え?」
「ほら、副隊長言ってたでしょ? 『現場での判断は貴官の裁量に任せる』って。ちなみに今日はアタシしか特佐の護衛にはいませ〜ん! てことで何かあったら、助けて下さいね♪」
「それって……副隊長さんが護衛を遠ざけてくれたってことかな?」
「さあ、どうでしょ〜? あのムッツリ副隊長ってば、意外に可愛いトコあるのかもですねえ〜。あはははは。
まあそういうわけで、アタシはアタシの判断と裁量で見張りしなくていいやって思っただけです。以上!!(≧▽≦)b」
「以上って……もう、セリアったら……でも、ありがとう」
「い、いいですってば、お礼なんて! そ、それよか、フェイトさんも早く行ってあげてくださいよ」
「え? で、でもさすがに私は……」
「アタシがいいって言ってるんだから、いいんです! さあ、フェイトさん! 愛しのダーリンの下へ!」
「い、愛しダーリンって!? わ、私と恭也さんはそういう関係じゃ……なれたらいいと思うけど……」
「『恭也さん、大丈夫ですか?』。『来てくれたのか、フェイト』。『もう……心配したんですよ?』。『すまなかった』。そしてそのままお二人は……」
「セ、セリアーーーー!!(///)」
「にゃはははははははは!!」
〜その34〜(入院編)
「暇だ……この『月刊・盆栽』など、もう5度も読み返してるぞ、俺。しかし、こうも離れたところに配置されるとは……隔離じゃないか」
個室とはいえ、一般病棟にあった恭也の部屋は、やや離れた位置へ移動していた。
「(なのはもはやても、回復したら厳しく注意せねばな。心配してくれたのはありがたいが、立場ある身にも関らず、このような場所で魔法戦をするとは何事か)」
『何を抜け駆けしてるかなあ、はやてちゃん?』
『抜け駆けとはひどいわ、なのはちゃん。とにかく早く駆けつけるのが人情ってもんやんか!』
『いや、2人とも……来てくれたのは嬉しいんだが、何をそんなに殺気を飛ばし合うのだ?』
『お兄ちゃんは黙ってて! うふふふふふ、今日という今日は許さないよ、はやてちゃん?』
『ほほう、ええ度胸やないか、なのはちゃん! 恭也さんに対してはなのはちゃんと言えども譲らへんで〜!』
『お兄ちゃんは渡さない! ディバインバスター!』
『甘いわ! この近接でそんなもん当たるかいなーーーー!』
『や、やめんか、2人ともーーーー!!』
「(おかげで重病人になった気分だ。体よりも心を病みそうだな、そのうち……)」←実際、重病人
とりあえず、まだ無事であった右手に説教という名の力と想いを込めて、なのはとはやて「徹」込みデコピンを撃っといたが。
『っ痛あああああああああああああああああああッ!?…………うにゃぁぅ』
『これぐわっ、恭也さんの愛なんかあああああああッ!!??…………ガクッ』
『た、隊長……ど、どうします?』
『連れて行ってくれ。病院の迷惑にならないところに放り出しておけばいい』
『は、はい……』
「(ふっ……感じてくれたか、なのは、はやて。俺のこの溢れる想いを脳髄にまで……)」←思い出してちょっと気持ちよさげ?
一方その頃……。
「うにゃああ〜……お兄ちゃ〜ん、まだ痛むよお〜……」
「おおお……こ、こんな、腫れとるやんけ……ああ、私の如き美少女のおでこがこないなふうでは……」
しっかりと愛の鞭を受け取り、苦しむ2人がおったとさ……。
「(俺も歳を取ったと言う事かな……)しかし李三佐よ、少しくらい人を寄越してくれ、暇だぞ……」
あれ程の事があったのだ。世事に疎い恭也と言えども――いや、だからこそ厳しい副官が面会を許可する事はないだろう。
…………そんな時だったから、だろうか。
―――タタタタタッ
『あ、ここですぅ』
『…………号室、お父さんの名札もあります』
『じゃあ、みんなで――』
…………そんな声が聞こえて。
「とーさまぁあああっ!」
「父さん!」
「お父さん!」
「病院では走らない。後、ドアは静かに開けなさい」
「「「あ……ご、ごめんなさい」」」
「……はははっ、まあよしとしよう。それより……よく来てくれたな」
「「「はい!!」」
…………本当に嬉しくて、思わず笑みを零した。
「とーさま、大丈夫ですか?」
「この通りだ」
「この通りって……父さん、凄い痛そうなんですけど、その包帯……」
「む……」←隠す
「いまさら遅いです、父さん!」
「えっと、わたし……少しだけなら治癒ができます……」
「わたしもですぅ」
「おお、すまんな……あー、いい気持ちだ」
実際の所、魔法で治癒できる傷は全て治っていて、自然治癒に任せなければならないため、二人の治癒魔法には、厳密な意味では効果はない。
「(それでも……やはりいいものだ。本当に優しい、いい子達ばかりだな)」
「「どーですか?」」
「あぁ、随分楽になったよ」
「「よかったです〜!!」」
「他に何かないですか?」
「何でもします!」
「そうだな……」
恭也は、ベッド脇の台に乗ってる花瓶を示し、
「すまんが、水を入れ換えてくれるか?」
「「はいっ」」
「あー……花瓶は重いし給水場は少し離れてるから、二人でな」
「「はーい」」
「走るなよ〜」
「「あっ、あはは……はーい」」
「まったく……どこまでちゃんと聞いてたものか(苦笑」
「二人とも、本当に心配してましたから」
そう言って、これまで女の子達に遠慮していたエリオが、恭也のベッド脇に歩み寄った。
「エリオも……よく来てくれたな」
「はい……父さん、傷はやっぱり?」
「まあ、それなりにな。こんな病室に押し込められるぐらいには、重い」
「そうですか……」
「(む、いかん、暗くなった)……そ、そう言えば、よく面会を許してもらえたな。なのは達の事があったから、絶対に無理だと思っていたぞ」
「えっと、実は李三佐と少しもめてしまったんですが……フェイトさんとハーキュリーズ三士のおかげでなんとか」
「そうか……ここにはフェイトの車で?」
「はい。多分、ハーキュリーズ三士とお話されてるのかと。フェイトさんも心配してたんですから、父さんもちゃんと謝ってくださいね」
「むぅ……」
「『むぅ』じゃないです」
「分かった」
「とーさまぁ!」
「ただいま戻りました!」
「お前たち……ノックぐらいしなさい」
「「あぅ……」」
「次は気をつけるんだぞ」
「「はいっ」」
「返事だけは一人前だな、まったく……ん?……ふむ、フェイトが来たか」
「「「えっ?」」」
――コン、コン
「どうぞ」
「お邪魔します」
「「「あ、フェイトさん」」」
「三人とも」
「「「はい?」」」
「あれが、正しいマナーと言うものだ」
「「「はぅ〜」」」
「はい?」←話がつかめずパチクリ状態
「御身体の調子は、どうですか?」
「大したことはない」
「大した事がなかったら、恭也さんは入院しません」
「むぅ……」
「もう……心配したんですからね」
「すまん」
「(本当に怪我がひどいみたい……恭也さんって、初めて会ったときも傷だらけでしたよね……いつもそう、恭也さんは誰かを護るために傷だらけになる……今回の怪我が治って……闘いの場に出たら……そうしたら、またきっと誰かを護って傷を負う……)」
――今回助かったのだって、偶然かもしれないのだ。そう思うと、堪らなく不安になった。思わず顔を俯かせるフェイト。
「フェイト……どうした?」
「し……しん……ぱい……心配したんです……よ……?」(ポロポロ
「ふぇ、フェイト!?」←驚
「ああああああああっ、とーさまがフェイトさんを苛めたーー!!」
「ふぇ、フェイトさん泣かないで!?」
「父さん!フェイトさんに謝ってください!!」
「お、俺か?!俺が悪いのか!?」←無自覚
「「「他に誰がいるって言うんですかーー!!!」」」
「あ、ち、違うの……!これは恭也さんが悪いんじゃなくって……!?あ、あれ……?ど、どうしたのかな、わたし……?涙が、止まらないよ……」←ポロポロ
「とーさま!」
「お父さん!」
「父さん!」
「ふぇ、フェイト……すまん、俺が悪かった。泣き止んでくれないか……?」←子供の非難の目に耐えられず
そう言って、恭也はフェイトの頬に手を伸ばした。
「あ……」
「君に泣かれると、その……俺も困る……」
「す、すみません……」←恭也の手を、そっと両の手で包み込む。
「――フェイト?」
「すみません。少しだけ……このままでいさせてください」
「そうか……」
「はい……」←目を閉じて、じっとしている
「あ〜……コホン」
「「!?」」←慌てて手を放す。
「……失礼しまっす〜」←ニヤニヤ
「は、は、ハーキュリーズ三士! ノ、ノックぐらいしないか!」
「いやですね、たいちょ〜。ちゃーんとノックしましたよ〜?いやー、たいちょ〜さんが気配に気付かないなんて珍しっすね〜」←実はノックしてない人
「せ、セリア!こ、これは、ちょ、違うんだからね!?」
「いやいやいや、フェイトさん。邪魔するのは悪いかな〜とは思ったんだけどね〜……ほら、子供達固まっちゃってるし」
「え?……って、ちょっと、みんな!?」
「(ぷしゅ〜)……あ、ああ……う……」←顔真っ赤でフラフラなエリオくん
「「(はわわ、はぅうう〜)」」←両手で顔をおさえながらも指の隙間から,しっかり見ているのはお約束♪
「うぐ……」
「はぅ……」
「まあ、そう言うわけでして。後、副隊長と決めていた面会時間……そろそろ近づいてるんですよ。だから、今日はそろそろ……ね♪」
「そうね……ありがとうセリア。恭也さん、それでは私達はこれで失礼しますね」
「あぁ……わかった。今日はすまなかったな、本当に」
「いえ……リア、エリオ、キャロ、ほらしっかり!」
「後学のためにも、あれぐらいのシーンは慣れておいたほうがいいよ〜。ねえ、フェイトさん?うふふふふ……」
「も、もう、セリア!」
「おっと、お母さんはおっかないね〜」
「まったくもう……それでは恭也さん」
「とーさま、ちゃんとお休みしてくださいね」
「お父さん、運動しちゃ駄目ですからね」
「父さん、看護師さんに迷惑かけては駄目ですからね」
「むぅ、信用ないな……俺」
「にゃはは。こーいう時のたいちょーには、ある訳ないよね〜」
「……ハーキュリーズ三士」
「いやん、怖いですよ、たいちょ♪ はーい、んじゃフェイトさんとちびっ子達、まったね〜」
「またな」
「「「「はい」」」」
ドアが閉まり、四人の姿が見えなくなるまで手を振っていたセリアは、恭也に含みのある笑みを向けた。
「いやー……いい子達ですね〜」
「当然だ」
「フェイトさんも幸せそうで、よかったよかった」
「そうだといいんだが」
「ところでたいちょ〜」
「なんだ?」
「いつ御結婚なさるんですか?」
「!!!!!!!!!!?????????」
「そんな慌てなくても……って、たいちょ?」
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!」←悶えてる
「たいちょ、マジで顔色ヤバイっすよ?」
「(傷が開いたんだ! ちょっ、早く呼べ、呼んでくれ! 看護師を!)」←声が出せない……
「た、たいちょーしっかり!?ちょ、待って! 私のクビがとぶ!!?? 看護師さん、看護師さーーん!!?」
「(ま、待て、コラ! ナースコールを使えばいいだけだろうが〜〜〜〜〜〜〜〜!!)」←必死
「あ、ナースコール使えばいいだけじゃん!」←遠くから聞こえる
「(いまさら気づくな! そして戻ってくるな! もう行ったほうが早いだろうが!)」←泣
「たいちょ、大丈夫ですか!? いま呼びますから!!」
「(……減棒)」
親指を立て、「地獄へ行け」のアクションをしようとした恭也だが、力尽きる。
「あれ? たいちょ? ちょ、ちょっと!? 親指立てて気絶って……はっ、後のことは頼む!? 死んでどうするんですかーー!!」←違う
「だ、大丈夫ですか……って、高町さ〜ん!? 生きてますか〜!」(←看護師が言うセリフか?
「ちょ、隊長〜! 起きて! 死んだらダメだってば! アタシのクビが飛ぶ〜〜〜〜!!」←そっちかよ!
〜その35〜(入院編)
「すみません、隊長………」
「お前はもう少し、考えて発言しろ。これでも俺は怪我人だぞ?」
「うぅ、本当にすみません。反省してます」
「はぁ、まったく………お前がフェイトとはかかわりが深いから気になったのかもしれないが俺とフェイトはそんな中じゃないぞ?」
「またまた〜、嘘なんかつかなくてもいいっすよ」
「はぁ」←呆れのため息
「ちょっ、隊長!? なんでそんな哀れんだ眼で見るんですか!?」
「分からんか?」
「うっ」←色々と違う事とかで思い当たる節がある
「それにもう少し考えて行動しろ。お前は直情的過ぎる、この前の戦闘だって…………」
「すみません」
以下数十分に渡り説教
「ごめんなさい〜」←滅多にない長い説教で泣きかけ
「むっ、分かったのならいい」←涙目で見られるのにちょっと堪えた
「ふぅ、でもフェイトさんとはいい仲になって欲しいんですけどね〜」
「第一に俺とフェイトとでは年が離れすぎているだろう?」
「おやおや〜? 年が離れていなければ別にいいって発言ですかい、隊長?」
「はぁ」
「でっ、実際のところはどうなんですか? 何処まで進んだんですか?」←さっきこのことで大変な事をしでかした事を忘れている
「進むも何も俺とフェイトはそんな仲じゃない」
「またまた〜、ちゃんと答えて下さいよ〜」←じゃれ付くように抱きついて(純粋な好奇心で近寄っている
「えぇい、寄るな! 近づくな、セリア!!」
「えぇ〜、いいじゃないですか、教えてくださいよ〜」←さらに胸を押し当てている(無論、無意識
「だから………そんなに近づくな………当たっている///」
「え?…………きゃあ!///」←今更になって胸を押し当てていた事に気付いた(羞恥心は一応あるっぽい
「うぅ〜〜〜」←手で胸を守るように抱えて、恨みがましく可愛い眼で恭也を睨んでいる
「もう少し、節度を持とうな?」
「ういういさー、気をつけます///」
ガシャンと花瓶が割れた音
「そっ、そんなセリアは信じてたのにーーーー!!!」←泣きながら病院を暴走
「ちょっ、フェイトさん!!」
「フェイト勘違いするな!!」
「酷いよ、隊長………勘違いしてもらう事も認められないなんて(ポソ」
「何かいったか?」
「いえ! それよりもフェイトさんを追いかけてきて……あることないこといってきます!!」
「おい! それは違うだろ!!」
「にゃははは〜」
〜その36〜(入院編)
「それで二人とも反省した?」
「はいっ、反省してます」
「うぅ、うちも反省しとりします……」
「まったく……よりにもよって、病室内で魔法戦なんて事をやっちゃうなんて。なんでそんな事になったの? 二人がそうやって暴れなかったら、ちゃんとエリオもキャロもリアも簡単に恭也さんに面会できたのに……そして私も(ポソ」
「ごめんなさい」
「ごめん、リア達の事をちゃんと考えてなかったわ……」
「何であんな風になったのか……理由、聞かせてくれるよね?」
「うん……お兄ちゃんって、普段怪我しないでしょ?」
「それに怪我したらしたでその時は大抵入院するくらいひどいモノやし」
「だからね?今回の入院した話を聞いて……そういう時くらいはきちっとお兄ちゃんをお世話してあげたかったんだ」
「そや。普段うちらお世話になってばっかしやったから……せめて、こんな時ぐらいは恩を返したいと思て」
「それで、つい気持ちが焦っちゃって……」
「すまん、うちもそや。なのはちゃんがおったら、今までお世話された分を少しも返せへんと思ってしもたから」
「まったく、二人とも。その気持ちは私も分かるけど………次はそんな事しないでよ?」
「うん、次はそんな事しない。お兄ちゃんをちゃんと看護してあげたい」
「うちも、もうあんな馬鹿な事はせーへん。うちは病院の料理やったら味気ないやろから、恭也さんの為においしい料理を作ってあげたい」
「――ふぅ、いいよ。ちゃんと反省してるようだし。李三等空佐から、二人がきちんと反省してるようなら面会を許可してもいいって言われたから、行っておいでよ」
「ほっ、ほんとフェイトちゃん!?」
「ほんまに!?」
「その代り、デバイスは向こうに預けて、その上でリミッターをつけて、更に監視付きだからね?」
「全然構わないよ!ありがとう、フェイトちゃん!」
「恩に着るでフェイトちゃん!おおきにな!」
「まったく、二人とも調子がいいんだから……」
後日、看病のされすぎでぐったりとしている恭也が発見され、前回とは違う理由で六課に面会拒絶が言い渡された(爆
〜その37〜(入院編)
「まったく、はやてってば……少しは部隊長としての自覚を持ってもらいたいよ……まぁ、それを言うならなのは『も』だけど」
「うう、だって……」
「……だってもへちまも無いんだよ、実際?おかげで子供たちにまでとばっちりが来てるんだから……リア達、落ち込んでたよ?」
「あぅ……ごめんなさい」
「……謝ってくれてる割には同じ事やらかしちゃった訳なんだけど……その辺はどう思う、なのは?」
「うう、フェイトちゃんの視線が痛い……」
「はぁ――ホントにもう。そんな視線を当てられてるのは、一体誰のせいなのかな?おかげで機動六課と特別教導隊に微妙にしこりが出来ちゃったじゃない。こっちはお互いの窓口になる場所なんだから、出来れば余計な仕事を増やさないで欲しいんだけどな?」
「すっ、すみません、ハラオウン隊長(うぅ、静かな喋り方が逆に恐い……)」
「……本当に反省してるの、なのは?」
「……うん」
「ふぅ……まぁ、今回はここまでにしておくね。向こうにはきちんと謝罪しておくから……なのはも十分気をつけてね」
「うん……本当にごめんなさい、フェイトちゃん」
なのは、退出
「――まったく。二人とも恭也さんの事になると、暴走が止まらなくなるのをどうにかして欲しいな。その影響で、私まで変な目で見られちゃってるし……って、連絡が入ってる?(ピッ、ピッ……)え〜と、発信者は……えっ、李三佐!?」
「ハラオウン執務官、今大丈夫か?」
「えっ、あ、はい。大丈夫ですが……何か起きたのですか?」
「うむ、実は……隊長が病院から脱走した」
「はい!?」
「いやなに……うちの隊長が大の病院嫌いなのは有名でな、こういう事態にいつなるのか心配しながら経過を見守っていたのだが……流石にあの大怪我なので、今までは大人しくしていたのだ。それで安心をしていたんだが……」
「……ある程度回復したとたん、監視の目を盗んで脱走した訳ですね」
「(恭也さんったら、相変わらずだなぁ……ホントに、人の気も知らないで……)」
「そういう事だ。そこで、隊長と長い付き合いである君にも協力を仰ぎたい。勿論、見返りは払う」
「えっ、それって……面会謝絶を解除して頂けるとか?」
「ああ、君と君の子供たち限定なら……だがね」
「そこまで譲歩されると言う事は……よほど切羽詰ってる状況なんですね」
「……情けないことにな」
「……わかりました。ご協力させて頂きます」
「協力感謝する」
「ふぅ、流石にはやてとなのはには見つからないように行動しなきゃね。まぁ、恭也さんが行く所は限られているし――何処から手をつけようかな?」
ミッドチルダ南部、川辺
「ふむ、久々の外は気持ちいいな。流石に四六時中ベットで横たわってると身体のあちこちが痛くなる……おっ、引いてる、引いてる」
「……人が散々心配して探していたのに、当の本人は釣りを満喫中ですか?」
「ぬっ、フェイトか?いつからここに……って、気配を感じ取らさないとはやるようになったな」
「ええ、貴方との追いかけっこで散々鍛えられましたから……」
「……何故怒っているのだ、フェイト?」
「恭也さん、いい加減にしてください!!せっかく治りかけた身体を再び悪化させる気ですか!?」
「ぬっ、いや、しかし……」
「しかしもかかしもありません!さあ、戻りますよ……」
「嫌だ、あんな缶詰なところは!」
「いい年こいて駄々こねないで下さい!!それとも、なのはとはやてによって再び同じ目にあいたいのですか!?」
「うぐっ!?わっ、わかった、わかったから」
「素直で結構です」
「(くっ、何故だ?何故、フェイトには逆らえないのだ、俺は……)」
再び病院
「というわけで、恭也さんを連れ戻してきました」
「協力感謝する、ハラオウン執務官」
「いえいえ、その代わり……」
「うむ、許可しよう。流石に隊長の嫁さんと子供たちまで面会謝絶はやりすぎだったからな」
「おいこら、ちょっと待て三佐!?誰が、誰の嫁なんだ!?」
「ちょ、ちょっと待ってください!?私、恭也さんとそんな関係じゃ……そりゃ、そうなりたいとは望んでますけど」
「いや、違ったのですか?てっきりハーキュリーズ三等陸士が言っていたから、事実だと思っていたのですが」
「(……あっ、あいつは!?)」
「(あっ、あの娘は……)」
「でも、私から見てもお似合いだと思いますけどね、お二人は……そういうわけでお邪魔虫は退散させて頂きます」
……副隊長の意外な一言で、真っ赤に染まって固まっている二人でありましたとさ。
〜その38〜(入院編)
「今日和、恭也さん。お加減いかがですか?」
「あ…これは、騎士カリム。ご無沙汰しています」
「いいえ、こちらこそ。それより今回の件は申し訳ありませんでした」
「は?……ああ。気にしないで下さい。うちの隊員が油断していただけですので」
「しかし、もう少し詳細な情報があれば……」
「いいんですよ、騎士カリム。貴女の責任ではありませんし、この怪我は私の未熟の責任。貴女が気に病むところなどありません」
「恭也さん…」
「それに、この程度の怪我はいつものことですから」
「……だから、心配なんですよ…?」←そっと手を握る
「き、騎士カリム!?」
「いつもいつも傷だらけで……今回だって…私…わたし……」
「……カリム」
「……恭也さん…」
「抜け駆けはゆるさーーーーん!!!」
「は、はやて!?」
「―――チッ」
「騎士カリム?いま舌打ちを」
「気のせいです♪」
「は、はあ」
「こらそこ!いつまでひっついとんねん!」
「はやて。貴女に指図される覚えはありませんよ?」
「んな!?」
「それに恭也さんは嫌がっていませんし。合意の上です♪」
「恭也さん!?」
「あーいや、そのだな。騎士カリム、そろそろ――」
「カリムって、さっきみたいに呼んで下さい」
「いえ、そういうわけ「呼んで下さい」……カリム。そろそろ退いてくれませんか?」
「嫌です」
「カリム!?言ってたことと違うやん!」
「恭也さんは恥ずかしがりやなんですよ。ほんとは嬉しいんですよね?」
「あーいや、その」
「ううううううぅぅぅ!」
「はやてこそいいのですか?ここで魔法なんかつかったらまた出入り禁止になるのでは?」
「あ、……ぅぅ!」
「さ。恭也さん、私が今日一日中お世話してあげますね♪」
「………はぃ。よろしくお願いします…」←諦めた。
〜その頃〜
「カリム様ーーー!許可なし外出はやめてくださいとあれほどーーーーー!!!」
あとがき
というわけでいかがでしたでしょうか。
その31を除くと今回はずばり「入院編」と銘打って始めた企画だったり。
ちなみにその31は前回の温泉編のオチの一つだったりします。
では、他の方のあとがきをどうぞ。
はいはい、みなさまこん〇〇わ。
今回の入院編、原案作成者にしてシーン1作成者のennaですw
なんでこんな入院編なんてものを考えついたかといえば……本編でズタボロな恭也君を見て「入院」というイメージが浮かび、更に子供達やなのは、はやて、そしてフェイトがお見舞いに行くシーンが浮かび上がったからですw
そしていつしか、かなりの長さになっちゃいましたが……まあ、そこら辺はご容赦の程を。
それだけ、書いた私たちが楽しんでいたという証明でもあります。
皆さんも読んでたのしんでくださったらいいなぁ、と思いつつ。
ではでは、ennaでした。
え〜、入院編の中盤、シーン2を担当しましたFLANKERです。
セリアは書いてて楽しかったな〜。ほのぼのやギャグが苦手な私があんなに気に入ったもの書けたのは初めてだったりします……(←へたれ
かなり最初がシリアスだったりしたので、その分彼女にははっちゃけてもらったわけです。セリア様々です!(マテコラ
リレーは楽しいっす。繋ぎなら任せとけ〜ですかね。今後もああいうの書いていきたいなあ〜!(←本編書け
てなわけで、あんま長いとアレなので、ここいらで失礼をば。
というわけで入院編のあとがきです。
よろしくお願いしますね。
えっと,シーン3を担当したシンフォンです.
よもや,自分がSSSに関るとは思ってもいませんでした.
そう,思い返せば……FLANKERさんとのある一通のメールが,伏魔殿への入り口だったのかもしれません.
とあるチャットを進められ,人を疑う事など知らないピュアな私は,てこてこと入室しました.
そこが,百戦錬磨,一騎当千,黒やグロや生殺しや,その他諸々を完備した悪魔達の巣窟とも知らず.
そう,私は無知なウサギでした.
捕食されるだけの,哀れなニエにすぎませんでした.
と,まあ冗談はさておき,
PAINWESTで尊敬する多くの作家さんに囲まれ,新参者の私は日々ハムスターのように隅で震えております(嘘だ!
向かい来る黒の波動!襲い掛かる黒軍に立ち向かうは,白軍.
くっ!? 圧倒的ではないか,敵軍は!!??
元々は,そんな最中,
ennaさんがクレさんのSSSの「入院編の導入」書いたから読む? と仰ったので読ませて貰いました.
楽しかった.苦労性っぽい副官にも敬礼.
続きを,FLANKERさんが書きました.
微笑ましいな〜,新キャラだ!いい味だしてるなー.
……そう,ここまでは一読者として,ただ楽しんでいられました.
「じゃあ,次はシンフォンさんね」
――――へ?
………EEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEッ!!!???
え,ちょ? まじですか?
パニックです.
しかも,「お見舞い編」って,めっちゃ大事なシーンではないですか.
とりあえず,プレッシャーに胃を痛めながら,クレさんの本編とSSSを読み直し,構想を練って次の日(はやッ
できた.てか,ちょっと長くなった?
それに,なんか普通の短編だ.
そう思って送ったSSを,FLANKERさんとennaさんが編集してくれたのが,みなさんがお読みになったシーン3です.
そう言うわけで,シーン3につきましては「原作シンフォン,編集FLANKER&enna」なのです.
あのような素晴らしい形に,構成していただきお二人には深く感謝と,また投稿している作者の一人として感嘆するばかりです.
もしかしたら,今後もなんらかの形で合同に参加するかもしれません.
そこで,読者のみなさん.
私があの伏魔殿で,数少ない白軍として心を維持できるよう応援ください.
注)えー,文面はSSS風にはっちゃけております.内容に関しては,一部の描写はシンフォンの心の一部にすぎず,全てではないのであしからず(注意遅
というわけで皆様、ご協力感謝感謝です。
それでは担当箇所ですが
その31、37を猫神TOMさん。
その32をennaさん。
その33をFLANKERさん。
その34をシンフォンさん。
その35、36をペルソナさん。
その38を私。
となっております。
なんかすごい豪華メンバーだなあと今更ながら恐縮しつつ(汗)
いやー、豪華な執筆陣。
美姫 「本当よね〜」
しかも、違和感なく話が繋がっているところがやっぱり凄いです。
美姫 「今回は入院編との事で」
とっても楽しかったです。
美姫 「次も期待しちゃいますよ〜」
待ってますね〜。