「ハッ!!」


力強く踏み込み、その勢いで肘をつきだす


「甘い!」


だが、向かってきた肘を横か軽く押し軌道をかえ足払いをかける

こけそうになるも何とかバランスを保ち、浮いた足を相手の後頭部目掛けて繰り出した

しかし、足が当たると思った瞬間、いきなり姿が消えた

実際の所、しゃがんだだけだが、そのスピードが速かったため見失った

そして、下から強烈なアッパーを顎目掛けて突き出した


「ッ!? 危なっ!!」


間一髪後ろに飛ぶことで難をのがれた

かすった髪が切れているのに気付くと冷や汗を流した


「おいおい、こんなもんか?」


相手の挑発に少しイラついたが直さま頭を切り替えた

その振る舞いに相手は満足そうな表情をみせた


「行っくぜ〜!!」


いつの間にか手に持っていた真剣を構え突っ込む


「来い!!」


相手も、いつの間にか真剣を持ち構えた


「テリャッ!!」


上段の構えから一閃する

その動きから、かなりの実力者である事が覗えた


「見え見えだ!!」


中段の構えから神速の一閃を軽々防ぎ弾き飛ばす

そして自分も走り出した

着地した瞬間を狙うつもりだ


「クッ! こんちくしょう〜!!」


何と空中で回転し強引に体勢をかえ切り裂いた

だが、予想していたのか常人離れした反射神経のなしえるものなのか

とりあえず起死回生の一撃は受け止められてしまった


「チッ!!」


何とか牽制程度にはなったが受け止められたのがショックなのか顔を歪め舌打ちをした

そして片手を突き出し


「光波烈風!」


眩い光の塊が地面を抉りながら襲い掛かる

光と言うこともあって、その速度は速かった


(決まった!)


「ふむ、威力、タイミング、速度、どれも申し分ないな」


そう呟くと持っていた剣が輝きだした

そして目の前に迫りくる光の壁を一閃した


「そんな無茶苦茶な!」


すると光の壁は真っ二つに割れた

そのまま背後の壁にぶつかり爆発がおきた


「ここまでだ」


「ありがとうございました」


「明日出発だったな」


「はい」


「頑張れよ。お前なら大丈夫だ」


爆風に髪をはばたかせながら師匠は弟子に激励をかけた

弟子――前原圭一は照れてるのか顔を逸らしている師匠をクスリと笑い


「はい!」


明日圭一は雛見沢に向かう








 ひぐらしのなく頃に

  〜裏運命編〜


第一話 未来への希望






昭和58年4月

雛見沢・雛見沢分校




「「沙都子、梨花ちゃん、おはよう」」


「おはようございますわ」


「おはようなのです」


私がこの世界に来てから一週間がたった

特段変わったことはなく平凡ながら楽しい生活を送っていた

それでもどこか虚しさを感じる自分がいた


(やっぱり、圭一がいないと寂しいな)


圭一が引っ越してくるのは、まだ1ヶ月もある


「はあ〜」


無意識の内にため息をついてしまう


「どうしたんでございますか?梨花」


沙都子が心配そうな表情で覗き込んでくる


「何でもないですよ。にぱ〜」


表情を取り繕うのに気を裂いていたから

魅音の一言は不意打ちだった


「ところでさ、今日転校生が来るらしいよ」


「え!?」


「珍しいですわね。転校生なんて」


「あの大きな屋敷の子らしいよ」


「はう〜、どんな人か楽しみだよ、だよ」


私にはレナたちの話が聞こえていなかった


(羽入どういうこと?)


(あうあう、でも変わりないのですよ)


(でも、圭一と長く過せるのはラッキーだわ)












「転校生を紹介します。前原君入ってきて」


ガラガラ


入ってきたのは当たり前だけど圭一

でも、纏う雰囲気が違うような気がする

まるで前の世界の圭一みたいだ

多くの罪に気付き持ち前の行動力と統率力で最悪の世界で惨劇を止めた圭一に・・・


(何か圭一いままでと違うのです)


羽入も気付いたのかポツリと呟く


「前原圭一、東京から来ました」


圭一はそう言うと私のほうを見てきた

そして少し笑って


「久しぶり梨花ちゃん」


「え!?」(え!?)


私と羽入は同時に声を上げた












圭一 side


「今日は転校生を紹介します。前原君入ってきて」


知恵先生に呼ばれて教室に入る

前の記憶も合わして何回もやってることだけど、やっぱり緊張するな


ガラガラ


うっ、みんなの視線が集中する

まあ、いい。梨花ちゃんは……

うん、羽入がいるな


「前原圭一、東京から来ました」


レナ、魅音、沙都子、梨花ちゃん、羽入みんないるな


(今度こそ未来を掴む!)


新たに決意を固める

まあ、まず始めに


「久しぶり梨花ちゃん」


「え!?」(え!?)


驚く二人を見ながら俺は自然と微笑んでいた










「もう、圭一びっくりしたんだから」

今、私は圭一と一緒に圭一家に向かっている

何故かと言うと圭一の両親は引っ越す前日になって仕事が入って来れなくなったらしい

そして、圭一は料理ができない

しかも、知り合いは私だけ

ということで私が作ってあげることになった

ちなみに羽入は完全無視だ

後ろで騒いでるけどね、くすくす

それにしても最初から圭一の記憶があるなんて無茶苦茶な世界ね

いったいどの世界の記憶が……


「梨花ちゃん」


圭一が何時の間にか立ち止まっていて後ろにいた


「何〜圭一」


私は意識して軽い口調で振り返った

でも、圭一の眼は真剣そのものだった

                    ・・・・
「梨花ちゃんは気付いてるだろうけど俺は、あの世界の記憶を持っている」


最悪な状況だったけど最高の結果を出した世界

あれが……鬼が私の未来への希望を壊した世界

あの世界の圭一は一番すごかった

今までの私だったら、この奇跡を誰よりも嬉しがっていただろう

圭一を見て運命は越えられる、そう思っていた

でも、やっぱり運命は越えられなかった




「じゃあ、じゃあ何で雛見沢に来たの!? 死にに来るようなものじゃない!」




どうせ死んでしまうなら、みんなには……圭一には生きていて欲しかった




来て欲しい、圭一がいない世界なんて寂しすぎるから




来て欲しくない、圭一が死ぬのは嫌だから




心の矛盾がイライラさせる


(梨花! しっかりするのです! 圭一が可哀そうなのです!)


羽入の声も耳障りだ

私が羽入に怒鳴り散らそうとした時


「羽入、俺は大丈夫だから。」


「え?」


今、圭一は何て言った?

羽入の存在は知っていても今は見ることも聴くことも出来ないはずなのに


(圭一! 僕の声が聞こえるのですか!?)


羽入も驚いたように喋る

圭一は軽く頷いて


「ああ、声も姿もハッキリとな」


こんな事はありえないはず、だって今までこんな事無かったもの

何かが違う、この圭一は前の世界の記憶を持ってるだけじゃない


「梨花ちゃん、羽入、俺の話を聞いてくれ」


コクリと私と羽入が頷くと



「俺は、あれを倒すための永遠に続く6月を越えるための力を身につけた」



「力って?」

「それは、これさ!」

すると圭一の手のひらに炎が発生した



「「えっ? えっ? ええ〜!?」」



私と羽入の声が周りにこだました


「け、圭一?」


私が圭一の顔を見ると彼は頷いて



「そう。俺は魔法使いになったんだ」



「「うっそ〜!!」」


また私と羽入の絶叫が響きあった


「これで、あれに対抗できる。梨花ちゃん、羽入これを」


圭一は混乱している私達を無視して無色のガラス玉らしき物を渡してくる


「何これ?」


とりあえず、混乱するのは後にしよう


「それは、使った人の潜在能力を高めるものだよ。それで梨花ちゃん達も魔法が使える」


「あうあう、どうしたらいいのですか?」


羽入も、とりあえず落ち着いて話に加わってくる


「それを手で握り締めてみて」


言われたとうりに握り締める

少しすると圭一が開けていいというので開けると

無色だったはずのガラス玉は水色になっていた

まるで氷のようだ

羽入のは海のような青色になっていた


「うん。梨花ちゃんは氷、羽入は水みたいだね。それを胸に当ててみて」


当ててみると溶けるように中に入っていった

いちいじ驚くにも疲れたので、あまり反応をしめさない


「それから、梨花ちゃんは氷を羽入は水を思い浮かべて」


氷、氷……ロックアイス

すると、圭一の時と同じように手のひらに氷と水が発生する


「うん、二人とも筋がいいね。でも梨花ちゃん何故ロックアイス?」


「べ、別にちょっと失敗しただけ!」


私が焦って集中が切れると氷は消えてしまった


「あっ」


「まあ、練習していったら自然にできるようになるよ」


圭一は笑いながら私の頭を撫でる

その感触を味わっていると、さっきの自分の言葉を思い出して


「圭一、ごめんなさいなのです」


圭一は、ん?と言って


「別にいいよ。梨花ちゃんは俺のことを思って言ってくれたわけだし」


その言葉を聞いて私の中である決心が固まった


「圭一、僕がんばります。もう一度、運命に抗ってみます」


「あうあう、僕もなのです」


圭一は嬉しそうな表情をして


「それなら俺――前原圭一は古手梨花、貴方の意志と気持ちが折れない限り全ての力をかすことを誓おう」


圭一の魔法使いらしき言葉を聞き改めて魔法使いなんだなと思った

しかも、契約は私の名前だけだったし

羽入が横で落ち込んでいる

羽入も圭一の事が好きだからしょうがないけどね


「それでさ、梨花ちゃん」


私達の様子に気付く様子の全く無い圭一がお腹を押さえながら


「腹減ったから飯作ってくれ」


フフッ

さっきとのギャップが激しすぎて自然と笑ってしまう

羽入も笑っている




大丈夫、圭一と一緒なら運命に立ち向かえる




「家についたら、直にやってあげるのですよ」


私は走り出した

圭一たちも追ってくる







大丈夫、運命なんて金魚すくいの網と同じなんだから







きっと、みんなで未来を迎えられる







ひぐらしの鳴き声が心地よく私達を包み込んでいた






あとがき


第一話未来への希望です

梨花「敵の詳細がわからないのです」

後でわかるさ

梨花「ご都合主義になりそうな感じがプンプンするのですよ」

フッいっただろ主人公至上主義だって

梨花「要するにご都合主義になるのですよ。にぱ〜☆」

まあ、そうなんで許してください。それじゃあ今回はこの辺で

梨花「次も読むのですよ。次回ひぐらしのなく頃に〜裏運命編〜第二話動き出す運命」

読んでやってください

梨花「バイバイなのですよ〜」



魔法という力を手に入れた二人。
美姫 「さてさて、これで未来は変えれるのかしら」
いやー、どうなるんだろうか。
美姫 「次回も待っていますね」
ではでは。



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