「どうやら着いた様だな」


眼を覚ますと時空を渡るのに成功したらしく見知らぬ場所に来ていた

どうも俺のいた世界とは似て非なる世界らしく調べておく必要があるな

いざと言うとき力を出し切れなく負けるなんて愚の骨頂だ


(マスター、これからどうするの?)


色々と思考していると俺のデバイス――プレッヂが聞いてきた

普通のデバイスは話すことは少ないらしいがプレッヂは違う

まるで人間のごとくペチャクチャ話す


(ああ、とりあえずお世話になる家に行くつもりだ)


誰の世話になるかは知らないが師匠から地図を渡されていた


(はへぇ〜どんなとこかな?)


(知らん)


(ぶ〜! 恭也つ〜め〜た〜い〜)


なんでこいつはこうムカつくのだろう

…………いっそ一思いに壊してやろうか


(あ、あの今なんか不吉なこと考えてなかった?)


ほぉ、中々鋭いな


(考えてたと、言ったら?)


(恭、恭也なんか顔が凄く恐いんだけど)


ふむ、案外意識してできるもんだな

…………そう言えばデバイスは顔を見れるのか?


(ひぃ〜許して恭也〜)


俺が考え込み沈黙していると

それを怒っているからかと思ったのかプレッヂは怯えていた

俺ってそんなに恐いそうなのだろうか

別に自分に自信があるわけではないが、この反応に少し心が傷ついた


(まぁ、いいか。さて行くと…………これでどうすれと?)


地図を開くとそこには大きく文字が書かれているだけだった


(地図じゃなくて住所だね)


(的確な表現ありがとう)


仕方ない人に聞くとするか

…………あまりやりたくはないが

父さんが死んだ後、俺は師匠以外にまともに接した人がいない

だからできれば最低限の人以外に関わるのは嫌だった

多分師匠はその事を読んでいたのだろう…………多分


(恭也!)


「わかってる!!」


プレッヂが警戒の声をあげた瞬間、俺も気づいた

大きな力を持ったものが俺たちの方へと向かってきていた


「どこだ…………草陰か!」


草陰のほうを見ると同時に草が揺れた

そして、そこから何かが俺へと飛び出してきた


(恭也!!)


プレッヂが叫ぶ

だが、もう遅い

虚をつかれ、いくら俺でもかわせない位置まで相手は来ていた

まさか、始まる前に終わるとはな……


「きょうやだ〜」


「え?(え?)」


俺とプレッヂの声が重なった

何故なら俺に飛び込んできた――妖弧が俺の名前を言いながら頭をスリスリとこすり付けてきていたからだ

俺たちとしてはシリアスになっていたため、どうしようもない雰囲気になっていた


「く〜ちゃ〜ん、待って〜…………ってお兄ちゃん!? え〜! でも小さい!?」


固まっていると先ほど妖弧が出てきたところから一人の少女が出てきた

どうやら呆けていたせいで接近に気がついていなかった

…………まだまだ修業が足りないな


(現実逃避してる場合じゃないんじゃないの?)


…………わかってる

だが、こちらの世界に来て五分も経たぬうちにこの子に会ってしまうとは…………狙っていたんではないだろうか?


(気にしちゃ負けだと思う)


「うにゃ〜うにゃ〜!!」


そうだな

とりあえず今は目先の事をどうにかするか


「あ、あの」


「うにゃ?」


「高町なのはさんですよね?」


少女――高町なのははもう一度大声を上げた








        魔法少女リリカルなのはA'S

          〜漆黒の王者〜

  第一話 接触








俺は今、翠屋へと向かうためなのは(こう呼ぶよう言われた)と一緒に歩いていた

適当に師匠の知り合いだといい師匠に渡された紙を見せたら何となのはの家だったらしい

俺は斜め前を歩くなのはを横目で見た

高町なのは――師匠の妹でPT事件呼ばれる事件で魔法と出会い

その秘められた力で事件を解決した子

確かにもの凄い魔法量だ


(でも、恭也の方が凄いもん)


何でお前が拗ねてるんだ?

それに確かに俺はなのはより強いが魔法使いとしては下だ


同じ兄妹――まぁ俺は一応違うが――のハズなのになのはと俺のタイプは全然違う

俺が接近戦タイプなのに対してなのはは遠距離が得意らしい

らしいと言うのは俺はあくまで映像としてしかなのはの戦闘を見ていないため断言はできない


「ねぇ、恭也君」


「……何だ?」


どうやら少し思考に没頭しすぎたな少し反応が遅れた

だが、なのははごにょごにょと言っていて何ていっているか聞き取れない


うむ、俺が無愛想で無口だから気でも使って話しかけたが話題がなかったってところか

師匠に話を聞いていたためあまり他人の気がしなかったが相手からしたら知合ったばかりの男だな


実際は恭也が真剣な表情でなのはを見ているので恥ずかしくなっただけだが恭也は全然気づいていなかった

尚且つなのはの顔が少し赤いことに気づいたが


(調子でも悪いのか?)


としか思っていなかった

所詮恭也は恭也であると言うことだった

ここだけの話だが恭也(大)と旅するようになって恭也(小)の鈍感っぷりに拍車がかかった

ちなみにこの時なのはは


(きょ、恭也君の真剣な顔って凄くカッコイイな

お兄ちゃんは兄弟だけど恭也君なら…………うにゃ〜!!)


何とも二人の思考は食い違っていた

ただ一人?だけ気づいているプレッヂは


(ぶ〜ぶ〜)


拗ねていた

そして、おまけで恭也の上で寝ている久遠はと言うと


「くぅ〜くぅ〜」


もちろん寝ていた


















「ここが翠屋だよ」


「ほう、ここがそうなのか」


あの後、何故か赤くなったなのは手を引っ張られ走って翠屋まで来た

と言ってもなのはは体力もなく足も速くなかったので俺としては早歩きぐらいの感じだったが

途中で手をまじまじと見て更に赤くなったので熱を測ったらもの凄い勢いで後ずさりされ少しショックを受けたのは秘密だ

うむ、俺みたいな奴の顔が近くにあって怖かったのだろうな


(絶対違うだろうけどね…………)


何故そんなに疲れたように喋るんだ?

疲れなど感じないはずだろうに


(ハイハイ。そうですね)


何かバカにされたように感じるがなのはが扉を開けたのでうむやむとなった


「ただいま〜! お兄ちゃんの言ってた人もいるよ〜!!」


「おかえり。その子が例の子なのね。ほんと恭也にそっくりだわ」


「おっ! 本当だな。ハハハッこいつも女殺しになりそうだな」


「ってまんま恭ちゃんじゃない!?」


「強さも師匠なみだったりしてな」


「それはさすがにないやろ」


準備中だったためガランとしている店の奥にある席に座らされた恭也の周りに人が集まってきた

士郎を初め桃子、美由希と知らない女の人が二人いた


「えっと初めまして不破恭也です」


「不破?」


「あっ、師匠……恭也さんからもらいました。僕は苗字がないので」


士郎がポツリ呟いたのが聞こえとっさに嘘を言ったが何とか納得してくれたらしい

不破と言えば士郎が疑問に思うのは当たり前であることを忘れていた

師匠を見ていても思ったが俺は意外と抜けているのか?


「まぁ名前まで一緒なのね。私は高町桃子よ」


「俺は高町士郎だ」


「恭ちゃんの義妹の高町美由希よ」


「俺は城島晶。ちょっとした事情で居候してるんだ」


「鳳蓮飛、レンって呼んでな」


「はい。あと、本当にいいんですか? 自分で言うのもなんだけど僕は怪しいですよ」


ここにおいてもらえられないと野宿になるんだが聞かずにはいられなかった

それに、これだけ暖かい家に俺みたいな奴がいたら不幸になるかもしれない


(別にそんなことないわよ)


そうかもしれない

だけど、俺は死神に好かれているからな


「だって恭也が頼んだのもの。オッケーよ」


「それに、どこか他人気がしないしな」


「恭ちゃんは人を見る眼あるしね」


置いてもらっている身である晶とレンは何も言わなかったが同じ意見のようだった

それほど恭也はみんなに信じられているということだ


やっぱり師匠は俺であって俺ではないんだな

俺にはこんなに沢山の人に信じてはもらえない

…………でも、それでもなりたいと願ってしまう


(なれるわよ恭也なら)


…………そうだな

まずは今日知合った白が似合う子を守ることから始めてみるか


なのはは俺の視線に気づくと満面の笑みを向けてくれた

この時、確かに凍てついてしまった心が少し動いた

そのことに気づかず俺はみんなを見て頭を下げ




「みなさん、これからよろしくお願いします」








これから始まる新たな生活。
美姫 「それによって、恭也にどんな変化が現れるのかしらね」
いやー、今後の展開が楽しみです。
美姫 「次回はどんなお話かしらね〜」
次回も待ってます。
美姫 「それじゃ〜ね〜」



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