『HOLY CRUSADERS』
第八幕『最悪の自動人形』
深夜、恭也たちは悪魔の処理に終われることになったが、翌日、恭也もロゼットも忍も、何事もなかったかのように学校に来ていた。
シルフィは昼休み三人を呼び出すと昨日の出来事について話を聞いた。シルフィは昨日の出来事の経緯を恭也たちから聞くと、
暫く黙り込んだが、とにかく無事でよかったと皆の無事を喜んだ。
恭也はそんなシルフィを見て、一つ聞きたいことがあるとシルフィに話しかけた。
「シルフィ。答えてくれ。昨日月村を襲ったのはなんなんだ?」
シルフィはその問いに考えることなく、教えるべきか悩むこともなく、即答した。
「悪魔だよ。」
恭也はシルフィのその問いにあっけにとられたような表情をした。当然である。
そんなことを言われて信じられる人間が何人いるだろうか?いや、いないと断言してもいいだろう。
「信じる信じないも恭也しだい。でも、信じないってことは自分の目を疑うことになるよ?」
シルフィは一言そう付け加えた。
「信じよう。あれが悪魔というのは信じよう。だが、あんなものがなぜ存在する?なぜ月村を狙う?」
恭也はひとまず悪魔の存在を信じたようだ。しかし、納得がいかないというのが本音だろう。
「OK。一つ一つ説明するね。まず何で存在するのか?答えは簡単。存在(い)るから存在(い)るんだ。
中世ヨーロッパにも悪魔が存在(い)るということを証明してる文献もあるし、日本で言うなら、妖怪もそれだし。
ただ、今の人がそれを信じてないだけ。細かいことを説明してたら、一時間以上かかるからオカルト物の本を読んでくれればいいよ。
悪魔は存在(い)るんだ。次に忍ちゃんを狙う理由、それははっきりいってわからない。
多分、忍ちゃんを狙っている奴が使役していると考えた方がいいね。」
と、シルフィは恭也の質問に答える。
「・・・。」
恭也はまだ納得のいかないというような表情をしている。しかし、ロゼットもこれ以上説明しようがないという表情だ。
確かに、シルフィの言うとおりなのだ。例を挙げれば超常現象というのは存在する。
しかし、信じていない人にとって、それは存在しないのだ。それと同じなのである。
「ねえ、シルフィ君。何で、マスコミが騒がないの?こんな美味しいこと、マスコミが見逃すわけないと思うんだけど・・・。」
忍がシルフィにそう聞いた。しかし、その問いに答えたのはロゼットだった。
「もし公表しようもんなら、日本中、パニックになっちゃうでしょ?そうなったら、かえって向こうの思う壺じゃない。
それに、もともと、悪魔っていうのはあんまり人前には現れないの。特殊な例、例えば悪魔使いが意識的に誰かを狙ったりしない限りね。」
忍はじゃあ、あの人が・・・とつぶやく。ここには忍の秘密を知る人しかいないために、おおっぴらに力を使っているようだ。
ロゼットの英語を理解している。
「心当たり、あるのか?」
恭也がその忍の言葉を聞き逃すことなく忍にそう聞く。忍は少し考えたが、話したほうがいいと判断したのか、
自分が狙われている経緯を話した。遺産相続のもつれで親戚に狙われていることを。
「なるほど。狙いはノエルさんか。」
シルフィは確信を持ってそういった。忍はそうだよと頷く。
「ノエルを?しかし、なぜ?」
恭也はその理由がわからないのだろう、シルフィにたずねる。
「ノエルさんは自動人形だ。いわば今からしてみるとロスト・テクノロジーなんだ。
実用化に成功すれば、末代まで遊んで暮らせるぐらいの金は入るだろうね。」
シルフィはノエルが狙われるわけをそのようにあげた。
ちなみに、恭也もロゼットも昨日の時点でノエルが自動人形であると知らされている。
「お金のためなんて・・・。」
ロゼットは怒りをこめた声音でそういった。それについては恭也も同じである。
お金のためには人の命を奪うこともいとわないというのは許されないことである。
「とにかく、昨日失敗したんだ。ここ数日が勝負になる可能性が高いね。
こういうのは間隔が開けば開くほど相手にとって不利になるのは目に見えてるし。」
シルフィはそういうと二人に今まで以上の警戒を促した。
「あ、それと。もし、ヤバ目な悪魔が出たら連絡してくれればいつでも行くから。」
シルフィはそれだけ言い残すと一人その場から教室に戻った。
「と言うらしいが・・・・。」
恭也は一連の話を聞いて今後の策をロゼットにたずねる。ロゼットへの通訳は忍が力を使って行っている。
「多分、シルフィのいうとおりだと思うよ。一応、私、銃は携帯してる。恭也君も、小太刀は携帯してるみたいだし。
あと、私、暫く忍ちゃんの家に泊まろうと思うんだ。ノエルだけじゃ、人手不足だろうし。」
ロゼットは自分の意見を忍を通じて恭也に伝える。恭也はわかったと言って忍にも確認を取る。
「私はかまわないよ。でも、危険な真似だけはしないでね。」
二人はその忍の言葉に力強く頷くと三人でその場、屋上を後にした。
「とまあ、あいつらを殺ればいいんだ。」
恭也たちがいなくなった屋上に昨日忍の家の上空に現れた女性がもう一人女性を連れてどこからともなく現れた。
もう一人の女性は栗毛色のロングヘアーに赤いカチューシャ、左腕には鎌のようなブレード、右腕には黒い鞭を巻きつけ、
忍者が着る様な赤い服を着ていた。
「そうしたら、新しい体をくれるんだな?」
その紅い服の女性はもう一人の女性にそう聞く。
「ああ。いくらでも、好きなのをくれてやる。」
忍の家の上空に現れた女性、褐色の肌に深緑の長い髪をポニーテールにしており、アラビア風の服を身に纏った女性はそう返事をした。
「上等だ。この体、どこまでも私の意志に反しやがるからな。約束忘れるなよ。」
紅い服の女性はそういって屋上から誰もいない裏庭に飛び降りて姿を消す。
「ふん。上級の悪魔とはいえ、ここまで扱いやすいと簡単で済むな。ま、どうせあいつじゃステラの息子には敵うまいて。
せいぜい時間稼ぎしてくれよ。」
屋上にひとり残ったアラビア風の服を着た女性もそういい残すと屋上から消えていなくなった。
どうやら、シルフィの思っている以上に事態は差し迫っているようだ。
放課後、シルフィは秋姫を自宅まで送るとその足で警察に向った。シルフィは正門から堂々と入ると、
そのままどんどん奥に向って歩いていく。しかし、その場に居合わせた警官たちはシルフィに声をかけることはない。
それは外人だからではなく、関係者だからという雰囲気だった。シルフィはある課の一室の前に来るとノックもせずに中に入った。
「やあ、シルフィ。」
そこで出迎えたのはリスティだった。
「ええ。で、どうですか?その後?」
シルフィは挨拶もそこそこに、ソファーに座るとリスティにそう聞く。
リスティは引き出しから書類の束を取り出すとシルフィに手渡した。
「悪魔がどこから来たかはまだ不明だね。でも、どうやら組織がかかわってるのは間違いないんじゃないかな。
いや、もしかしたら、もっと質が悪いのがかかわってるかもしれないね。」
リスティはそういってシルフィの前に座る。シルフィは手渡された書類に目を通していく。そしてある一枚で手が止まった。
「これって・・・。」
リスティはそれを手に取るとああ、これねと言って説明する。
「未確認なんだけど、来月行われるクリステラソングスクールのライブで来日するティオレ・クリステラとフィアッセ・クリステラを
狙っているっていう情報があるんだ。それはこっちで処理するから、気にしなくていいよ。」
シルフィはその説明にそうですかとだけ返事をした。
(フィアッセさんを狙ってる・・・・?無関係・・・とはいえないね。悪魔と関係なくてもさ。)
シルフィはそう思いながら一通りの書類に目を通すとそれをリスティに返して周りを見回す。
リスティはシルフィが何かを探しているのか気がついたのか立ち上がるとシルフィの前の机に大きさ1,2メートルほどの細長い木箱を置く。
「シルフィが頼んでたものだよ。全く、鎌倉時代の書物にあるこれを探してくれっていわれたときは正気かよって思ったよ。
まあ、見つかったっていうのも驚きだけどね。」
シルフィはリスティの言葉を聴きながらその箱を開ける。そこにあったのは二振りの日本刀だった。大きさは柄含めて1メートルほど。
ヤシャよりも短めである。
「キミなら見てわかるだろうけど手前が神威(かむい)、もうひとつが神無(かむな)だ。」
リスティは説明ついでにそういった。シルフィは二振りともまとめて持つと腰のベルトにさして一振りずつ抜き放つ。
神無は普通の日本刀の形だが、神威は反りがなく、鋒両刃作(きっさきもろはづくり)と呼ばれる特殊な形をしている。
「うん。これこれ。これじゃないと、御神の剣は習得できないね。」
シルフィはそういうと神威を振り上げる。当然振り下ろされるわけだが、その剣閃は目に映らない。
シルフィの前にあった木箱だけが無常に真っ二つにされていた。
「全く。十分強いのに、何でそれ以上強くなろうとするかなあ?」
リスティはわからないよと言ってタバコをふかす。
「強くなる理由?そんなのは唯ひとつ、大切なものを守るためですよ。」
シルフィはそういうと神威、神無を鞘に収め自ら持ってきた刀袋に入れてリスティに挨拶をして警察を後にした。
「ところで、ロゼットはシルフィ君に告白したの?」
下校途中、忍がロゼットにいきなりそんなことを聞いてきた。当然力を使っての英語だ。
ロゼットは突然の質問に何もないところで転んでしまった。恭也は何事かと振り返ったが、ロゼットが転んだだけとジェスチャーで伝える。
恭也は事情が飲み込めたのか、先頭を再び歩き始める。
「で?どうなの?」
忍はロゼットに再びそう聞く。
「えっと・・・。告白はしてないし、されてない・・・。」
ロゼットはぼそぼそとそういう。忍はその返事に驚いた。忍は普段の二人の関係から、
もう付き合っているのではないのかと思っているようだった。
「えっと・・・。でも、傍から見るとなんかラブラブモードを思いっきりかもし出してるんだけど・・・。」
忍はロゼットにそういった。ラブラブモードとまではいわないが、
友達以上の関係であることは誰にでも容易に想像がつくような付き合い方であることは確かだ。
「私はシルフィのことが好きだし、自惚れじゃないけど、シルフィも私のこと好きだと思う。
でも、今までの経緯が経緯だし、そういう関係になる暇がなかったから。どちらかといえば、今もそんな感じなのかな。」
忍は良くわからないような顔をしたが、まあいいやといって再びロゼットに、
「じゃあさ、キスとかは?」
その一言でロゼットは再び何もないところで派手にすっころんだ。
恭也は再び何事かと振り向くがロゼットが転んだだけと確認して再び歩き出す。
「で?どうなの?」
忍はロゼットを引っ張り起こすとそう聞いた。ロゼットはキスだけならと真っ赤になって答えた。
「いいなぁ。ラブラブで。」
忍はそういいながら前を向く。もうすぐで忍の家に着くのだ。ロゼットは顔を真っ赤にしてうつむいたまま歩いていたが、
何かの気配に気付き、急に真剣な表情になって顔を上げた。恭也も何かの気配に気付いたのか、周りを見回している。
結局、そのまま忍の家に着いたわけだが、その気配の張本人はまさしく、そこにいた。
「はん、やっと帰ってきたよ。」
そういって振り返ったのは先刻屋上に姿を現せた紅い服の女性だった。
「な・・・。」
そういって絶句したのは忍たちだった。なぜなら紅い服の女性のその左腕についたまがまがしいブレードには
一人の中年男性が串刺しにされていたのだ。忍の反応からするに、その男性が自分の命を狙っていたのだろう。
しかし、忍は別のことでも驚いていた。
「イレイン・・・。」
忍のそうもらした言葉に反応したのは以外にもロゼットだった。
「はぁ!?あの『最悪の自動人形』、『カオス・ドール』のイレイン!?冗談じゃないわよ!!!」
ロゼットの取り乱しようは忍のそれと同じではなかった。
「どうやら、友好的な態度ではないようだな。」
恭也はそういうと刀袋に入れていた小太刀を抜き放つ。
「あせるなよ。ゆっくり楽しもうじゃないか。」
イレインはそういうとブレードに突き刺さった男を無造作に放り投げると右腕の鞭を振る。
それが地面をたたく鋭い音に呼応するように悪魔たちが庭に現れた。ロゼットはうんざりするように銃をかまえ、恭也も臨戦態勢をとる。
と、そのとき。
「ファイエル。」
と、ノエルの声が騒がしい庭に響いた。イレインは屋敷のほうを振り向くとすぐに自分の立ち位置を変える。
同時に一瞬前にいたところにノエルの腕が飛んできた。しかも、その威力は半端ではない。地面に小さなクレーターができている。
「っち・・・しつこい奴だね!!」
屋敷の中から現れたノエルにイレインはそういった。が、ノエルの服は既にところどころ破れたりしている。
既にイレインと一度闘ったようである。
「あなたの相手は私です。」
言うが早いかノエルはイレインに跳びかかる。それが戦いの始まりの合図だった。恭也も庭にいる悪魔の中に飛び込んで言った。
ロゼットはふと何かを思い出したように携帯を出すと、
「シルフィ!!急いで忍ちゃんのところに来て!!イレインがいるの!!私だけじゃどうにもなんないわ!!」
と言うだけ言って携帯を切り、忍の前に立ち、襲い来る悪魔を迎え撃つ。
(やれやれ。イレインとなると冗談抜きでまずいことこの上ないね。急ごう)
警察を出てすぐ一方を受けたシルフィは近くに止めてあった鍵のかかっていなかった自転車にまたがると一直線に忍の家に向う。
天高くには真紅の満月。
人を狂わせる異様な月明かりの中。
最大にして最悪の危機の幕が開かれた。
あとがき
やっと・・・・やっと書き終えた・・・。
(フィーネ)遅い!!!
ま、待て!がうあっ!!!刺すな!!
(フィーラ)遅い!!!
お、お願いだから刺さないで!!!
(フィーリア)遅すぎるよ、お兄さん!!
お・・・お願いだから・・・・血が・・・
―――――――――暫くお待ちください―――――――――
(フィーネ)じゃ、今回のお題はたまにテレビであるアニメのランキングについて。ちなみに視聴率じゃない方ね。
またわけのわからんことを・・・・。
(フィーラ)ドラ○もん、ハ○ジ、フラ○ダー○の犬最強?
いや・・・最初のは子供が見るとして、あと二つはどう考えても対象年齢が高いと思うぞ。3、40代じゃないか?
(フィーリア)っていうか、あれってなんか古いアニメしかランクインしないよね。
人口のばらつきだな。あの年代の人が多いんだよ。まあ、アン○ンマンとか、ドラ○もんのランクインは許せるが、
巨○の星とかは何が何でも時代錯誤だろ。
(フィーネ)確かに、最近のアニメはランクインしないよねー・・・。
全国区でやるのもいいが、ある地域を含めてほしいな。ある地域での街頭アンケート見たくしてさ。
(フィーラ)なんかそれ、極端にかたよりそうなんだけど。
間違いなく偏るだろう。でも、ある意味一番信憑性があると思うぞ。アニメのフロンティアとしてだから。
(フィーリア)なんか、ゴールデンでやっても一部の人しかわかんないよね。
今はそういう人種に対する風当たり強い時代だからね。っていうか、深夜帯にありすぎ。
(フィーネ)夜遅くにしかないもんね〜。
うーん・・・。俺たちの年代が大人になったら今のアニメがランクインするかな。まさか、俺らの年代で巨○の星だー!!
とか言ってるのは少ないだろうし。
(フィーラ)あんたも毒されてるねー・・・。
オレとしてはリリ○ルな○はとか、クロ○クル○イドとか、入ってくれれば文句ないんだが。できれば、次回のそういった番組で。
(フィーリア)それは無理でしょう、お兄さん。そういうのが入りそうなのは秋○原オンリーのランキングじゃないと。
だな。っと、長くなっちゃった。
(フィーネ)じゃあ、次は・・・
(フィーラ)第九幕『兇刃』ね。
(フィーリア)まだ全くかけてないみたいだからさっさと書こうね。お兄さん。
は〜い。
(フィーネ&フィーラ&フィーリア)じゃ、またね〜〜〜〜♪♪♪
良いな、そのアンケート。
美姫 「深夜枠の番組がかなり上がりそうね」
それはそうだろう。と言うか、深夜枠にそれだけやっているという事だよ。
ほら、マリみても最初は深夜だっただろう。
美姫 「確かにね。ちなみに、アンタはどんなのを選ぶの?」
うーん、難しいな〜。爆○天○とか、MA○LA○とか。
後、リ○ルとかはどうだ?
美姫 「それでいくと、光と○のダ○○とか?」
おお、それも良いな。もっと範囲を狭めるなら、M○ZEとか。
美姫 「……何か、凄いランキングになりそうね」
いやいや、面白そうだろう。
是非、やらないかな。
美姫 「深夜枠で?」
やっぱり、深夜か、深夜になるのかー!
美姫 「ゴールデンは難しいかもね」
そんな事はないぞ、そんな事は!
美姫 「どうどう、落ち着きなさい」
はぁ〜、はぁ〜。
……あ、超○身コ○○レ○○ーとかは?
美姫 「もう良いってば。それじゃあ、次回も待ってますね〜」
ではでは。