この物語はオリジナル主人公登場の魔法少女リリカルなのはA‘Sの二次創作です。
自分の文才の無さが原因で登場人物の人格及び性格が変わっている可能性もあります。その様な事に耐えられない方は気合を入れられて見るかブラウザの戻るを押される事をお勧めします。
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魔法少女リリカルなのはA‘S二次創作
【八神の家】
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「あ、あの〜、どちらさんか知らんが大丈夫か?」
深々と雪が降る早朝より夜明けに近い時間帯にその言葉が公園に響いた。
さして大きな声でなくともやけに今は辺りに響く。無論呼びかけた者の目の前………と言うより眼下に居る者にもその声は届く。
「……………………………………………………………あぁ」
呼びかけた者を見向きもせず、その返答も無視したと思われる程の時間がたった後に独り言の様に発せられた。
「あぁ………って、そうは見えんけどなぁ。なんか喧嘩でもしたん?それとも巻き込まれたん?」
そう言いながら体に雪が積もって寝ている者に近づく。しかし近づこうとしたが雪が積もっている為に滑りやすくなっており、車椅子のタイヤが空回りし近づけなかった。
車椅子に乗っている者は何とか近づこうと手で漕いでいるがまた空回りをするだけだった。そしてそれに見向きもせずに寝ている者は声を発する。
「喧嘩はしていないし、命に別状は無い」
その言葉を聞き車椅子に座っている者は寝ている者に近づくのを一端止め言葉をかける。
「はぁ……、けどそんなトコに寝とったら風邪っちゅうか肺炎になるで?
しんどくて起き上がれんなら人でも呼んで起こしてやろか?
それともなんや、まさか自殺か?」
その言葉に初めて寝ている者は視線だけ車椅子の方に向けた。
視線には何の感情も感慨も無かった。ただ見ているだけ。カメラの様に只その光景を移すだけの瞳を向けられて、車椅子に座る者は顔を歪めた。
「………なんや、もしかしてホンマに自殺なんか?」
「べつに……自殺する程自分に何か想う所も感じる所も無い」
「あ、初めて直ぐに返事あったなぁ。なんか私だけ喋ってて恥ずかしいやら虚しいやらで困ってたんや」
そういって車椅子に座る者は車椅子から降りはしなかったが頭を少し下げて寝ている者を覗き込むながら言った:
「自己紹介するわ。私は『八神 はやて』って言います。名前で判らへんかも知れんから念の為に言っておくけど女やで。少年じゃなくて少女やで。間違っても坊主とか言わんといてな」
車椅子の少女はそう名乗り寝ている男の返事を待った。
返事を期待されているからというより只独り言の様に寝ている者が声を出す。
「……個人主義で閉鎖社会の日本で見ず知らずの者に先に自己紹介するとは少し意外だ」
「あはは〜、たしかに普通なら素通りか遠巻きに見るか通報のどれかやしな〜」
車椅子の少女は苦笑いを浮かべながら寝ている者に自己紹介の催促を視線で促す。
それに寝ている者は億劫そうに、しかし今までの様に独り言の様な淡々としたものではなくある程度の意思が篭った声で応答した。
「不審者にしか見えない者と話すと世間の眼は鬱陶しく絡みつくぞ。即座に家にでも帰って団欒でもするのを奨める」
その言葉に車椅子の少女は少し表情を曇らせながら返答する。
「私は両親も兄弟も親戚もいないんや。だからそれは出来へんは。」
「なら勉学か仮眠する事を奨める」
「………あはは………、普通ここは気を使うわれるトコやけど、そんなサラッと応対されたの始めたやわ」
力無く笑いながら言葉を発す車椅子の少女。
そしてそれに僅かな間を置いて言葉が発せられた。
「自分は親族の有無に対して思う所が無いがやはり他人は違うのか……」
それは独り言でもあり話し掛けているようでもあった。そして言葉は続く。
「親族が居ない事に対してどう思っているんだ?
哀しいのか?寂しいのか?口惜しいのか?
それとも楽しいのか?嬉しいのか?心地よいのか?」
一般的な感覚が欠落した問いかけに気を悪くするより、その発言に気になるところがあり車椅子の少女は寝ている者に尋ねる。
「え〜〜と、親族の有無に思う所が無いみたいな発言しとったけどもしかして身寄りおらんの?」
「戸籍上既にいないがボウフラの様に湧いてくる可能性は否定できん」
「?どういうことや?」
「遺産目当てだ」
「ああ」
車椅子の少女は納得した。たしかに遺産の規模がどの程度かは知らないが遺産の規模が大きく尚且つ相続者が若輩であればあるほど不思議と親戚は何処からとも無く湧いてくる。
納得したところで車椅子の少女は聞きたかったことを尋ねる。
「だれもおらんで寂しくないん?」
それに対し寝ている者は億劫に応える。
「面白可笑しくも楽しくも無いが寂しくは無い」
そう寝ている者は言い先程の己の問いに応える気があるかと目で車椅子のものに問いかける。
車椅子の少女は先程の質問を思い出し答える。力無く、しかし明確な意思の篭った言葉を発する。
「私は両親が居んことが………家に帰っても誰も居らん事が………とてもとても寂しい。
………前は悲しかったけど今は悲しいより寂しい思いが強い。」
その独白に寝ている者は気にせず言葉を掛ける。
「使用人でも雇い親睦を深める事を奨める」
「あはは……ホンマにアッサリしてるなぁ……。容赦なく胸を抉るんやけど不思議と怒りは湧いてこんわ」
そう呟き朝日が昇りかける直前の海平線を見ながらハッキリ言う。
「私は家族がいいねん。別に血の繋がりが必要とは思わへんけど……仕えてほしいわけじゃないんや」
「それなら伴侶と暮らすことを奨める。養分の過剰摂取や病気等で肥満体系になら無い限り世間的に器量良しになるだろう。そうでなくともその人格と性格と思考ならばそのうち引手数多になるだろう」
「あ〜、まだ先の話やろうけどそん時は笑顔一杯一杯目一杯の家庭にするんや」
そう言い車椅子の少女は沈黙する。
寝ている者も沈黙する。
そうして暫く沈黙が続いた時に車椅子の少女は最初から気になっていた事をもう一度尋ねる。
「そんなトコに寝てて大丈夫なんか?ちゅうかなんでまだ寝てるん?」
「長時間寝ていたら肺炎になるがまだ大丈夫だ、そして寝ているのは特に不都合が無いからだ」
「最初の方はなんかはぐらかされているって言うよりまともに相手してくれへんかったけどようやく応えてくれたわ〜」
「一人で思考する以上は有意義な会話だからな」
「一応褒め言葉と受取っとくわ〜。で、こうして色々話してるんのも縁や。そう『袖振り合うも他生の縁』ちゅうことでもう少し話せん?ここじゃ落ち着かんから場所を変えて」
「まぁここで寝ているよりは有意義になるかも知れんし構わないが」
そう言い寝ている者は起き上がる。その際体に積もっていた雪が顔や服から滑り落ちる。
そして雪でよく見えなかったが顔は少々の擦り傷だが服のほうは襤褸雑巾の様に破れ穴が開き痣のある素肌が露出する程の有様であり、素肌に雪が溶けずに降り積もっていた事からとっくに体冷え切っている事が知れた。
「ちょっ、そんな格好で大丈夫なんてありえへんやろ?救急車呼んだほうが―――」
車椅子の少女がそのような事を言っている間に寝ていた者は水飲み場に移動していた。
そして何をするのかと思い近づこうとしたら声を掛けられた。
「濡れるから近づないほうがいい」
そう言い上着を脱ぎ始め水で洗い始めた。血と泥で汚れている為に簡単な水洗いでは落ちないが、ある程度汚れを落としたらそれで顔やズボンを拭き始め汚れを落とし、もう一度水で汚れを落とし絞って水気を切り既に襤褸雑巾と化した上着を雪が降る最中に身に纏った。そして平然と車椅子の少女に声をかける。
「で、何処で話す?この公園でか?それとも適当な茶店か?」
車椅子の少女はその言葉に呆れと心配を含んだ声で言う。
「私の家で話さん?って言うかそんな格好で喫茶店行くつもりなんか?」
「なら案内してくれ。」
そう言い車椅子の少女を促そうとし、言葉を掛けた。
「自己紹介が遅れた。名前は天神 速人(あまがみ はやと)。天つ神の速き人と書き読む。一応男だ。少年だ」
「なんかやけに似た名前やなぁ〜。あ、私は八つの神と書きはやてはそのまま平仮名ではやてや」
名前が似ているのに驚きながらも嬉しそうに話、自宅に案内しようと方向転換をしようとするが雪で滑り上手くいかず、転倒してしまう。
「あうっ。っっっっっつうううぅぅぅぅっ」
車椅子から落ちてしまい呻きながらも何とか自力で座ろうとしている少女だが後ろのほうから水音が聞こえ振り向くと水飲み場で何かを濡らしている姿が見えた。
そして地面に両手を付いたまま振り向いた時に片腕の袖が肩口から無くなって手に肩口から千切ったであろう濡れた布を持って近づいてくる姿が見えた。
「自力で車椅子に乗るのも困難な程とは判断を間違えた。先に車椅子に乗せるべきだったか」
そう言いながら濡れた布切は口に咥え車椅子から落ちた少女の膝下と背中に手を回し持ち上げお姫様抱っこという持ち方をして椅子に乗せる。そして汚れた顔と服を拭く。膝に掛かっていたショールは軽く叩きそれから拭き膝に掛けた。
「あ、ありがとさん。ややなぁ〜、見っとも無いトコ見せてもうた」
「べつに見っとも無いで言えば公園で寝ていた方が更に見っとも無いに分類されるだろうから気にするな。それよりこちらが押すから案内をしてくれ」
「了解や。あ、それとな折角自己紹介したのに名前で呼ばんのもなんやから名前で呼んでや」
今まで自己紹介しても互いに名前を呼ぶことが無かった事を思い出し、拭いてもらった頬を書き苦笑しながら言う。
それに返事をする声。
「八神……いや、はやて………こちらの方がいいな。敬称無しで構わないか?」
「構わんよ〜。じゃあ私も名前で呼ばせてもらうわ速人さん」
「………敬称無しで構わん。というか敬称を付けるのは無しだ。此方が名で呼び此方の名を敬称付け呼ばれるのは不合理だ」
「うーーーん、年上にはさん付けとかは基本なんやけどな。それで気ぃ悪くされたら本末転倒やけど呼び捨てにする事がなかったさかい、速人はんで勘弁してえな」
「………まぁ可能な限り敬称無しで呼んでくれと言っておく」
「まあ出来たらなあ〜。それじゃあ案内するから押してえや。速人はん」
「分かった。はやて」
こうして朝日が昇りかけている方に向かい車椅子の少女とそれを押す少年。
天神速人と八神はやての出会いはそんな珍奇なもので、優しさよりも清廉さとそれ以上の無遠慮が多い出会いだった。
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「ほな遠慮せずに上がってや」
はやては気楽にそういったが速人は視線を辺りに巡らせ何かを探しているといった風だった。
「速人はん何探しとるん?」
「何か拭くものはないか?結構汚れているので雑巾で構わないが」
「あ、それやったらそこの靴棚に雑巾入ってるから使ってええよ。水は玄関出て直ぐやさかい」
雑巾の在り処をはやてが示したら車椅子にタイヤロックを掛け速人は靴棚を開け中から雑巾を取り出し玄関外の蛇口で濡らして来る。
そして車椅子のタイヤを雑巾で拭いていく。
「あっ、私がよんだのにわざわざやってくれてありがとな〜」
「ああ」
軽く返事をしタイヤの接地している所は車椅子を片側だけ僅かに持ち上げ拭いき、反対側も同様に拭く。そしてタイヤの接地部分と逆の所はロックを解除し僅かに車椅子を後退させ拭き易い位置にしてから拭く。そして足載せの裏側なども拭き、一通り終るまではやてはじっとその作業を見ていながら少し思い耽っていた。
(なんやえらい無遠慮で無愛想やけどなんか落ち着くと言うか和むなぁ〜)
そんな事を思っている間に雑巾を洗い戻ってきた速人は何処に干すのか聞いてきた。
「あ、ドアノブに引っ掛けてくれてええよ」
「解った。では何処で話す?行先を案内してくれ」
「こっちやで。あ、もう押さんでも平気やで。家ん中はバリアフリーやし、それにあんま楽しよると車椅子でも動けへんごとなるし」
その事に特に返事はせずに後を付いて行く速人。
はやては特に気にせずに居間に入り着席を促す。
「うぅ〜、やっぱりエアコン付けて行けばよかったわぁ」
そういいながらエアコンを付け照明を付け様としたが明るくなりだした空を見てやめた。
台所に向かいながらはやてが声を掛けてくる。
「速人はんは何飲みますかー?緑茶紅茶コーヒーとありますけど」
「白湯」
「白湯て………、遠慮せんでどしどし言ってくれてかまへんで〜」
「硬度80未満非熱滅菌処理天然軟水を成分反応しない容器で60℃まで温めた白湯を」
「………………洒落なんか?それとも嫌がらせなん?」
「本気だ。軟水は成分的に自分の趣旨に沿うので比較的頻繁に飲む」
「………………ええと、ミネラルウォーターが在ったはずやからちぃーと待ってーな」
そういいながら冷蔵庫を探す。
ミネラルウォーターは未開封で見つかった。しかし硬度は150以上の中硬水で熱滅菌処理済だった。と言うか賞味期限切れ。
「……………流石にこれはだせんなぁ………。速人はん他のリクエストはないん?」
「緑茶なら出汁茶以外。紅茶ならミルクティー以外」
「了解や。それなら美味しい緑茶を淹れるんでそれ飲んでちょー待っててな。朝御飯作るさかい、テレビでも見て待っといてな」
そう言われテレビをつけ番組を流し見する。衛星放送とケーブルテレビの番組もあるのか30チャンネル以上あり流し見するのに一分ほどかかったが特に見たい番組も無く台所の方に歩いていく。
「暇だ。邪魔する」
そう言い味噌汁を作ろうとしているはやてを止め、煮干と昆布の場所を聞く速人。
そして煮干と昆布を手に取り煮干は頭とワタを抜取り昆布は軽く水洗いし、両方を包丁で微塵切りにした。と言うより粉砕した。
「これなら時間が無くても市販品の出汁の素を使わなくても短時間で出汁が取れる」
「ほわあぁー、凄い包丁捌きやなぁ……って私が御馳走しようとしとるのに手伝われたら本末転倒やん」
「……………複数で苦労を分かち合い作った料理の方が美味いとか言われている。だから手伝った」
「まぁたしかにそうかも知れんけど」
速人はんがそう言うと意外でしたわぁ〜、と続くはずだったが速人がはやての台詞に割り込み続ける。
「が、自分的にそれは錯覚だと思っている」
「ってそしたら駄目やん?」
疲れた目で速人に突っ込みを入れるはやて。
「まぁ材料を切るくらいなら構わんだろう?好奇心猫をも殺すと言うが退屈も人を殺すらしい」
「まぁさっきの包丁捌きを見る限り安心して任せられるから構わへんけどな」
そうして速人が材料を切りはやてが調理していく。
そして15分もしないで完成した。
御飯は昨日の残りとパック御飯を混ぜ水増ししたが、他は葱と豆腐の味噌汁・鮭の塩焼き・法蓮草の御浸し・厚焼き玉子、が完成した。
材料を切るだけだったはずだが、気が付けば勝手に厚焼き玉子一品速人は作っていた。
「火の元に居ると暖まるから」と言いコンロの火に手を翳して暖を取りながら見事な厚焼き玉子を作ってしまった。
完全に速人に引っ掻き回された形になったが特に腹は立たなかったはやてだがやはり御馳走するなら一人で作ったのをと思っていたし、いい加減そうに作った厚焼き玉子が料理の本に載るくらい見事な出来であるため、料理好きで得意と思っている身としては少し微妙な心境だった
(やっぱり一人で作ったものをご馳走したかったんやけど、まぁこれはこれで良しとするわ。楽しいかどうかは微妙やけど和んだし)
そんな事を思いながらも盛り付けが終わりはやてが運ぶのは不得手なので速人が居間の食卓に並べていく。
そしてはやてが速人に来客用の新品の箸を渡し自分の席に着く。
「それじゃあ折角の御飯が冷めるさかい、食べながら軽く話して食べ終わったら待ったりしながら話そうや」
「解った。では………」
「お、ここで勝手にいただきますも言わんで食べてたら文句言うとこやったで。折角二人で作ったんやからな」
「それはそれとして」
「えらいアッサリしとるなぁ、まぁツッコんどる間に冷めてもアホらしいし、それでは……」
「「いただきます」」
タイミングを合わせていたので綺麗にハモッた。その事がはやてにはなんとなく嬉しかった。本当に久しぶりに家で一人じゃない食事画の合図。
しかしはやてがそんな小さな喜びに浸っている間に速人は黙々と食べていた。決して速くは無いが既に厚焼き玉子以外すべてに箸をつけていた。つまりはやてが作った料理を全て味見していた。
「って無感動にパクパク食べんといてや。せめて感想―――」
「美味すぎず不味くなく丁度良い」
「くらい聞かせてえなぁ………ってえらい返答に困る感想やな。美味すぎなくて良いてどういう意味や?」
疑問符を顔に磔ながら聞くはやて。
「頻繁に食べるものが過度に美味いと飽き易い。米を毎日食べても飽きが来ないのは不味くなく印象に残らない程度の美味さがあるからだ」
「え〜とでもそれお米や無くておかずなんやけど?おかずは毎食変わるから美味すぎてもいい気がするんやけど」
「毎日外食や店屋物だと外食や店屋物も全体に飽きが来る。強制する美味さは飽きが回りやすい。ただ美味いと感じるものは飽き難い」
「う〜〜〜〜ん、要するに家庭の味とか御袋の味とかそういう味と言うとるん?」
「要約するとそうなる」
一人考えるはやてを置き去りに一通り告げるとまた食べ始める速人。
「まぁ誉めてくれてると素直に受取る事にするわ。それじゃあ私も食べるわ」
そう言いながら味噌汁を口に含む。
いつもと指して変わらない味。だしに粉末の煮干と昆布を使ったとはいえ比率は普段と殆ど一緒なはずの為当たり前だった。だが、
(なんかすごく美味しく感じわ)
そう思いながら他の料理にも手を伸ばすがいつもとさして変わらない味なのにやはり美味しく感じた。
そして唯一自分が手がけていない厚焼き玉子を口に運ぶ。
(見た目はホンマ料理の教本に載るくらい綺麗やしこれで不味いと言う事はないやろ)
口に含んで最初に感じたのは、
(なんややけにスッキリする味やわ。ホッとする味の玉子焼きは多いと思うけどスッキリする玉子焼きってないんとちゃう?)
砂糖が使用されず野菜と果物で味付けし甘い事は甘いが極僅かにしか甘くなく、寧ろ清涼感に溢れる世にも珍しい玉子焼きだった。
(私の家の味とは全く違うけどが他人の家の味言うのもいいわ。なんか冷たい感じのする味やけどとても綺麗な感じがするし)
そんなことを考えながらはやては久々に他者のナニカに触れて眼が潤んできた。
「どうした?美味くて感極まったのか?それとも他者との食事で寂しさを実感したのか?それとも玉子焼きに使った柑橘系が染みたか?それともまさか欠伸か?」
「って、二番目以外のアホな理由は無いに決まってるやろ」
「では二番目か?」
いつの間にか食べ終えた速人が緑茶を啜りながら言っていた。
「ちゃうねん。これは御飯の湯気が眼に………」
たしかに御飯は熱いが既に湯気が立ち上る程ではない。
「入らず鼻に入って刺激し続けたから涙が出たんや」
(ってどんな言い訳やねん!そないなわけあるかいな!でも他に理由が思いつかないという事はやっぱりそうなんかなぁ………。
たしかにこの家に誰も居なくなって寂しかったけど人前で泣きそうになる程は……)
そんな事をはやては一人考えながら食事していく。
考え事をしながらだったが速人が側にいてみると話にはやてを見ているのが何となくはやてには嬉しく、そのせいなのか食事はいつもより美味しく感じた。
そして二人とも食べ終えお茶飲んでいる時に速人が言葉を発した。
「で、何から誰が話す?」
「そやなぁー、んじゃあ速人はんからなんで真冬の公園に寝ていたか聞いていいか?」
割と重そうな話を訪ねたというのに速人は表情一つ変えず、そしてそんな事を尋ねたはやてもさして緊張した感じもなく軽い感じで尋ねた。速人は素なのかも知れないがはやては朝食のおかげで寛いでいたのがあったのかもしれない。
はやて自身そんな感じがしていたが寛いでいる今の感じが好きな為に無駄に重い雰囲気になる必要は無いと考えていた。
そして速人は喋りだす。はやてはどんな話かと不謹慎ながらも少し楽しみにしていた。
「凍死するので寝ていた」
「……………」
「凍え死にするので寝ていた」
「…………………………」
「体が冷え切って死ぬので寝ていた」
「……………………………………………………」
「体の――――」
「って、聞こえてるって!つうか意味も十分解っとる!
っちゅうか私が聞きたいのはどうしてあそこで寝ていたのかって事や!!」
「凍死――――」
「それはもういいって!私はさっきから何であそこで寝ていたのか聞いてるんや!
それとも自殺マニアなんか!?」
「…………理由ではなく理由が発生するに至った経緯を尋ねているのか?主に身の上話等を」
「そんなん当たり前やろが……」
疲れた感じを全身に漂わせながらはやては言う。
「なら次からは初めからそう言ってくれ。
あと話は主観的な話と客観的な話のどちらがいいか?」
「人の身の上話を客観的に聞いてもしょうがないやろが………。主観的に話してな」
「解った。何か質問があったらその都度言ってくれ」
「解った」
はやては頷きそれから速人は話し始める。
「以前………半年ほど前に親の訃報が入った。まだ自身で自活しておらず、自身が使える金銭も殆どなかったので大学の授業料を納める事が出来そうに無いので自主退学しようとした。しかし――――」
「―――ってちょっと待った!速人はん何歳なん?どう見ても小学生、若作りの限界に挑んだとしても高校生なんやけど!?」
慌てた様子ではやてが声を上げる。もし18歳以上なら若作りや童顔を飛び越えて単に成長していないと言っても過言で無い。
大人びた感は言動と行動に滲み出るというかそのまんまな感じがするが、それでも容貌は十分幼かった。
「12歳だ」
「何月生まれなん?」
「12月で次に加齢するのは来年だ」
「って、小学5年生なん?なんで大学行ってるん?」
「日本以外は飛び級が可能なところが多い。最低でもそこの上位陣以上の学力と金さえあれば極端な話し乳児でも編入可能だ」
「あー、そういえばそういう話はよく聞くわぁー。
で、何処の大学なん?」
「MIT」
「え〜と略さんで言ってくれん?」
どこかで聞いたような聞いてないような名前の為に略さないで聞くことにした。
「マサチューセッツ工科大学。米国マサチューセッツ州ケンブリッジ市にある私立大学」
「もしかして大学内でハックって言うなんか伝統的なゲリラ的な悪戯が存在してるとか言われてる………」
「偏った知識だと思うが恐らくその認識で正解だろう」
「って、えぇっ!あそこって凄い頭脳者集団の集まりだって言っとったけど」
「客観的に見て偏差値は高いな」
「じゃあ速人はん頭いいん?」
恐る恐るはやてが聞いてくる。
それに謙虚さも遠慮も自信も誇張も無くただ淡々と速人は言う。
「一応上位陣の中でも上位にいた」
「え〜〜と客観的にどれくらい頭いいん?」
「一般的な成人の偏差値が50±10、高校教師が70あれば十分、大学教授だと90あれば極めて優秀。自分は110超過130未満」
「…………それって滅茶苦茶頭いいんとちゃう?」
出鱈目すぎる数値を聞いて驚きより呆れが先にくるはやて。
しかしその言葉に誇るでも自嘲するでも無くやはり淡々と速人は言う。
「たしかに数学や機械工学、その他も一般水準よりは高いだろうが代わりに心の機微が徹底的に欠けているというのも自覚している。人間として総合能力で見るとさほど平均値から離れているとは思わない。
かなり脱線したが話を進めるが良いか?」
「ああ、ごめんな。ちょっと昂奮しすぎて脇道にそれすぎてしもた」
はやてはそう言い座り直し先を促した。
「大学に授業料を納められないので自主退学するつもりだった。自活できない以上当然の選択であると判断し、直ぐに手続きをしないと来期分の授業料が必要になるので即日自主退学した。
周りは奨学金等も奨めたが、それを拒否し国籍の日本に行き孤児院に入るか適当な理数系の仕事で自活するかを考えてMITの寮を出た時にまた知らせが入った。
なんでもかなりの額の遺産があるので、MITの授業料等を容易に支払える程のモノが在ること。そして親類が自分以外に一切居ないので管理人か後見人を用意する必要が有るとの事だった」
そこまで言い速人ははやてに何か質問が無いか眼を向ける。
それにはやては、
「質問すると脇道に入りそうやから全部終ってから聞くことにするわ。そやから気にせず話してや」
それに頷き速人は話を続ける。
「とりあえず遺産管理に必要と思われる知識は客観性を持たせる為に資格を取得し事無きを得た。なお資格は殆どが日本以外で取得した。年齢制限が日本と比べ低いからというのが理由だ」
それにはやては頷いた。
速人はそれを見て先を続ける。
「日本に到着し遺産相続の手続きを済ませると多くの物を売り払って相続税を納め、とりあえずは一段落した。が、日本では当時11歳の自分は教育機関に通う必要がある。
特に就学し通学しない理由も無いので就学し通学した」
はやては11歳の子供がどうやって遺産品処分や相続税の問題を解決したのか突っ込みたかったが、あんまり関係無いので流すことにした。
そしてさらにツッコミ所満載の速人の話は続いていく。
「余りにも遅れた授業内容。理解することを阻害する教育。生徒の成長を邪魔する為の校則。出る杭を打ち、凹む杭は放置する機構。
百害あって一利ありという程度の教育機関に見切りをつけ、大学入学資格試験合格証明書及び成績評価証明書を取り周囲を黙らせ退学した。
そして兼ねてより対人関係が自分は不得手というより全くなっていないと判断していたので、様々な所を旅し心理学でなく心の機微を学ぼうと渡り歩いた」
はやては速人の話を真剣に聞きながら考えていた。
(私が両親を亡くした頃は落ち込んでいて何もする気もなかったのに、何で速人はんはそんなに当たり前に自分の考えを持って行動できるん?
私が両親を亡くしたのが幼い頃で速人はんが今の私より年上と言うんもあるやろうけど………。両親こそ居ないけどそれ以外は知識も体も生き方も一人前言うても構わんのになんで満たされたようには見えへんの?)
不思議に思いながらも考え事をしているのが速人は解ったのか先に進めてもいいのかはやてに視線で問い、はやては先を促した。
「人間観察をし、様々な者と応対した。
乳児・幼児・児童・成人・中年・老人・教師・医者・法人・軍人・囚人・科学者・商業家・思想家・宗教家・格闘家・武術家・政治家…………様々な者と会い他者がどう思考しているか、どれを選択しどれを選択しないか?読み計る事は長けていった。
だが結局心の機微は解らなかった。読み計る事は出来ても思い図る事は出来なかった。そもそも意識を割く価値無しと判断される者が多く、思い図る以前に塵にも劣る価値しか見出せず処分を実行に移したことも多く、その度に騒ぎになりあまり回数をこなせなくなった。
しかし何とか一つの答えとして心の機微を知るには感情が欠落した現状では不可能若しくは極めて不可能に近いと判断した。故にとりあえずは感情を理解………いや実感する事に切り替えた」
それを聞きはやては考えていた。
(どうすれば自分に欠けているモノをここまで当たり前に求める事が出来るんや?
自分は足が動かへんし、走り回る事にどれだけ想い馳せたか……そしてそのために足を動かそうと足掻きまくったけどけど何をしても効果が無くて、医者もそして自分も諦めていってしもうたのに…………。
駄目やと判断したら更に別の手段を考え実行に移せるなんて…………なんか速人はんが眩しいなぁ…………)
はやてが何か考えているのを視界に納め先に進めるのを少し待ちはやての考え事が一段落したのを見計らい改めて視線で先に促すことを告げはやてはそれに頷く。
「そして簡単に実感できる感情は恐怖。自身を生命の危機にゆっくりと晒せば死を感じ恐怖を実感できると判断しすぐさまそれを実行に移した。それが昨日の夕方」
(………なんや凄く嫌な予感と言うか、アホな話が飛び出る予感がヒシヒシとするんやけど…………、ツッコムと脱線しそうやからとりあえず黙っとこ)
そんなはやての考えを知ってか知らずか速人は淡々と話を続ける。
「人通りが多い時は不適切だと考え深夜……日付変更後に不良と呼ばれる者達の集う場所に赴き適当に挑発し襲い掛かってきた者を四人戦闘不能にして激昂させ、その後無抵抗に羽交い絞めにされ顔以外を攻撃された後に公園に放り出され、凍死の危険を感じれば恐怖心が湧くかと推測したのでそのまま倒れていた最中にはやてと出会ったというわけだ」
「……………………………まぁ出会うまでの経緯は解ったわ。……………で、結局肝心の恐怖とかは実感できたん?」
ツッコミを入れたい気持ちが山程あったが、とりあえずはやては冷静に話の肝を尋ねる。
「それが全く感じられなかった。
やはり不良の殺人事件が起きているといえ大抵は手加減されるものだと解った。それでは死ぬことが無いので恐怖心は湧かない。
故に次は暴力団にでも…………いや何処かの内紛地帯にでも傭兵志願として赴くことを考えている」
(…………………………………呆れていいか驚いていいか微妙や)
そんなことをはやては考え、少し頭の中で情報を整理しそれから言葉を掛ける。
「………あんなぁーそういうんは放っておいても勝手に実感してくもんなんや。そんな淡々と命を危険に晒しても得られるモンとちゃうで」
「急いては事を仕損じると言うヤツか」
「そう、それやそれ。」
はやては満足気に言った。
(とりあえずアルカイダ辺りに行くことは防げたわ。…………兵士になら兎も角なんかの技術者や科学者になったら洒落にならんことになりそうな予感やった………)
内心ホッとしているはやてに速人は声を掛ける。
「はやては何故あそこに居た。買い物や散歩には見えなかった。車椅子で移動するのは嫌っていると判断した。
なのになぜ大した理由もなく嫌悪することをしたのか理解できない」
後半ははやてにと言うよりは独り言だった。
それを聞きはやては苦笑いしながら答えた。
「あぁその事やね。別にたいした事はないんよ…………」
そう言い言葉を濁すはやて。それに速人が言葉を発す。
「他者にとって大した事ではなくともはやてにとっては大した事だったのだろう?大事か小事かを聞いたのではなく理由を聞いたのだ。それに大事か小事かは俺が判断するので即刻話せ」
(ホンマ遠慮無くズバズバとした物言いやけど馬鹿にしてるわけでもないいうんは解る。
それに私に………ちゅうか私の話やろうけど興味を持たれるんは悪い気はせえへんな)
全く少しも遠慮も気遣いも感じられない物言い。優しくはないがそれでも不思議と安らいでいくのを感じながらはやては話を続けた。
「…………世間様では年の瀬も近くなって賑やかになってきとるしそれに昨日はクリスマスイヴや。
みんな朝起きて枕元のプレゼント見て喜ぶのかなぁーと思ったら私はこの家に一人なんやなぁーと実感してしもうて………なんかすごく寂しいと言うか虚しいと言うか惨めな気がしてな、家におりとうなくなって外に出たんや。
そして特に行く宛てもなく移動してたら速人はんと出会ったと」
そこまで言ってはやては今更ながらなんで会ったばかりの速人とこんな話をしているのか考えた。
だが考えが纏まるより先に速人が訪ねてきた。
「要するに車椅子に乗って移動するのは自身の足の不自由さを実感して嫌だがそれ以上に家で孤独感を味わうのが嫌だったということか?」
真っ当な感覚を持っているならもう少し歯に衣を着せるが全く無加工の言葉が速人の口から出た。
「ははは……………全くその通りすぎて反論も出来んわ…………」
改めて自分が孤独を感じていた事を突きつけられると言い様の無い虚無感が襲い掛かってくる。しかし速人の言葉はまだ続いた。
「しかし見た限り車椅子で移動する事を嫌悪しているようにも見えるしそして脚が動かない事に対して諦めている様にも見える。家で孤独なのも拒絶しているが諦めている様にも見える」
ワザワザ人の心の傷を穿り返して本人突き付ける速人。
「ホントその通りやわ………私はもうしょうがないって諦めてるんやわ…………」
「だが諦めていながらそれでも求める事をやめはしていない。自分で叶わないと、届かないと、手に入れられないと断じていると見受けられるのにそれでも尚求め続けている。
…………正直理解できない。可能性は0ではないが自身の力でそれを底上げできない。諦めているのに腐る事なく求め続け好機を座して待ち、好機が訪れたなら決して逃さない意思がある。理解できないがもし理解しソレを得る事が出来れば求めるモノが手に入る。少なくともそう判断した。だからはやてと話すことにした」
速人ははやてと話したのはその為だと言った。同情でも憐憫でもなく只己の為だと。
「………………………」
だがはやては速人が自分と話した理由等はどうでもいいことだった。自分がそんなだと思った事は一度もなかった。しかし言われてみれば思い当る節がある。しかしはやてはその事を考えることを直ぐにやめる。
(私の在り方とか今はどうでもいい。ただ私が好機を待っていたんなら今が正にその好機や!絶対に逃さへん!!)
目の前に現れた好機を絶対逃さないと言う意思がはやてに湧き上がった。
はやては紡ぐべき言葉を考え直ぐに紡ぐべき言葉に思い当り速人に話しかける。
「そうや。私は目の前に好機があったら逃さへん!
こんな胸の内話したのはこの家に誰もおらへん様になって初めてや。だから速人はん私と家族にならへん?っちゅうか家族になってくれへん?
速人はんは感情を実感したくて、私は自由に走り回りたいのもあるけど、何より家族が欲しい。速人はんは一人でも十分やけど感情が欲しい、私は一人じゃ抱えきれへん寂しさ哀しさの感情がある。私と速人はんが一緒なら丁度いいと思うんよ」
一気に捲し立てるはやて。そして速人の反応を見る。
「渡りに舟だし是非もない。構わんぞ」
実にアッサリと承諾する速人。しかし逆にアッサリしすぎて拍子抜けするはやて。
そして少し考え込む。
(これがドラマなら財産を横取りしたり、信用させてそのお、お、襲……………く、口では言えない事をしたりするとこやね。
だけど家族になろうといったのは私や。家族ならまずは信じることからや!)
考え込むはやてを見た速人は言葉を発す。
「べつに財産を横取りしたり臓器を取り出したりもしない。金銭なら不自由しない程度には相続したし自身でもある程度稼いだし稼げる。必要なら預金と貯金残高を見るか?」
その言葉を聞きはやては頭を下げて謝る。
「速人はん、ごめんや!私が家族になろうと言ったのに私が先に速人はんを疑ってしもうた!!」
「素性を知らない者には当然な思考だぞ」
「ちゃうねん!家族になろう言うたらまずは信じる事から始めなければあかんのに私は信じるより先に疑ってしもうた!ごめん!速人はん!」
車椅子が反動で動く程勢いよく頭を………胸が膝に当たるほど頭を下げて謝るはやて。
「可能性を考慮することは恥ずべき事じゃない。自分もはやてと共にいて求めるモノが何一つ手に入らず朽ちていく様が頭を掠めもした」
「ちゃうねん。私は速人はんを疑ったんや。速人はんは別に私がどうこうするというのは考えへんかったんやろ」
「特に何も考えなかったな。元々はやてが理解できないから側に居ようとしているのに予測するなどという無駄な事をすると理解が遠ざかる。
どちらも自分を第一に考えた結果だからはやてが一方的に謝罪する必要は無い。どうしても謝罪したければ此方にも謝罪を要求しろ」
「……………凄く納得できへんけど分かったわ。それじゃあ改めて」
深呼吸し速人の眼を見つめ話しだすはやて。
「お互い足りないモノだらけだけど、二人一緒に頑張って家族していこうや」
満開の櫻の様な笑顔で…………見る者を感嘆させる笑顔ではやては言った。
それに対して速人は、
「ああ、お互いの求めるモノが手に入るように」
そういいながら手を差し出す速人。
それが握手を求めていると分かったはやては直ぐに手を出して握り返そうとする。
(速人はんから握手を求めてくるなんて意外やけど嬉しいわ〜)
と思っていたら差し出されている手は左手だった………。
少し黙考してはやては言う。
「あんな速人はん、左手の握手は喧嘩売ってるっちゅう意味なんやで?」
「それは知っている。だがそれは利き手が右手の者が利き手を預けるに足りない者だということが始まりだ。自分の利き手は左手だから左手を出した」
それを聞きはやては一瞬虚を付かれた顔をしたが直ぐに嬉しくて微笑んだ。
(警戒心の塊っぽい感じがするのに利き手預けてくれるなんてホンマ嬉しいわ〜〜〜)
と思っていたら速人が話を続ける。
「まぁはやてに左手を出してどういう反応をするか見ておきたかったというのが多分にある」
「あらぁ〜〜」
しっかりとオチが付いた。
「ま、握手するんは賛成やけど私利き手は右手やねん。両手でするのもなんか様にならんしなぁ〜。どないしよ?」
その言葉に速人ははやての手を高々と上げさせる。
そして何をするか理解したはやて頷く。そして、
パンッ
はやての頭上より高い位置で、速人の肩より少し下の位置でそんな小さな音がした。
そして―――
「ウチの名前は八神はやてや。これから宜しゅうな!」
「俺の名前は天神速人だ。以後宜しく」
もう一度自己紹介をし、叩いたままだった手をそのまま握り締めた。
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第一話:二人いる独り――――了
【後書】
やたらと長いくダラダラした文な上オチが読みやすい最も詰まらないと思える要素を詰め込みまくった話でしたが最後まで読んでくれた読者様というか勇者様お目汚ししました。
この話はあるキャラが好きで書き始め、同時にあるキャラが嫌いで書き始めたものでもあります。
よって好きなキャラと嫌いなキャラは兎に角出番が多くなる事が確定です。(まぁ余りに不評なようでしたらこのSSごと削除しますので日の目を浴びることすらないでしょうけど………と言うかそうなる公算が大きいですね)
まぁ好きなキャラは幸福の中で溺死するほどの事になるのか?はたまた精神崩壊して苦しみ続ける羽目になるのか?予定は未定であって決定ではないですが両極端になる事は確定です。
最後にここまで読んでくださった方に感謝を………。
投稿ありがとうございます。
美姫 「はやてと出会った速人」
うーん、中々に変わったキャラですな。
速人がいる事で、これからどうなっていくのか。
美姫 「これからも頑張ってくださいね〜」
ではでは。