この物語は外伝ではなく幕間に位置していますが、殆どが本編には直截関係の無い話で構成されています。
またこの話はオリジナル主人公登場の魔法少女リリカルなのはA‘Sの二次創作です。
自分の文才の無さが原因で登場人物の人格及び性格が変わっている可能性もあります。その様な事に耐えられない方は気合を入れられて見るかブラウザの戻るを押される事をお勧めします。
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魔法少女リリカルなのはA‘S二次創作
【八神の家】
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「よっし♪掃除も終えたし御節も作った、お風呂も入ったしお蕎麦の準備も済ませた。暖かいコタツにミカンも用意したし、スナック菓子にジュースも沢山準備した。そして紅白ももう直ぐ始まる。これで年越しの準備は万全や」
黄昏色から茜色に空が染まりかける頃、リビングではやては満足気な顔で満足気な声を発した。
「う〜ん、去年は業者呼んで掃除してもらって、出前に小さな年越し蕎麦付けてもらって、食べたらいつも通り直ぐに寝ただけやったのに、それに比べて今年は大充実やな〜♪」
上機嫌にはやては数々の年越しグッズ(はやて命名)を見ながら楽しく年を越して新年を迎える気でいた。
と、そこにはやてが独り言のつもりで呟いた言葉に速人が返事を返した。
「掃除と調理の手間が短縮され、尚且つ規則性の取れた睡眠を確保しているので非の打ち所が無いと思うが?」
「あ、その考え方は駄目やで?自分達の世話は出来るだけ自分達でするんや」
「自給自足をしろということか?」
「別にそこまでしろとは言わんよ。ただ自分達の身の周りの世話ぐらいは自分達でしようということや」
「つまり日常生活を維持する為に恒常的に必要な作業は、可能な限りその集団内で対処するということか?」
「え〜と……………うん、そうやね」
「了解した。以後可能な限り他者に介入させない」
淡々と返事を返す速人に苦笑いしながらはやてが声を掛ける。
「そんな堅苦しく考えんで単に普通にしようという事やって。平々凡々、日々是何事も無し。ありふれたモンの中にこそ大切なモンがあるんや」
「有り触れたモノはそれに見合った価値しかないと思うが?」
至極尤もなことを述べられ返答に窮すはやて。
「う…………そやけど日々穏やかに健やかに慎ましやかに生きるんが人間の喜びなんよ」
「人間の喜びについての定義は不明だが、そのように生きることは有り触れていないぞ。
歴史や現在の情勢を鑑みても生きることにかなりの労力を割かなければ生きていくことも出来ない者が世界の大半を占めている」
「あ…………そ、そやね。平和ボケしすぎとったな。平和なことを有り触れとるなんて言うとったら、平和を築いた人達に失礼やね。
………うん、いつでも傍に在るからって当然って思うとったらあかんね」
はやての言葉に特に返事をすることも無いと判断し黙っている速人。
場に沈黙が降り、はやては少し気まずい沈黙だと思い別の話題を振ってみた。
「なんかちょっと重い話になったのでとりあえずこの話はこれまでにして、もうちょい明るい話題にして楽しく年を越そうや」
「先の話題は益体の無い話より遥かに建設的で、生命の危機に晒されたことのない平和に慣れた者の思考が侵されていく様は実に興味深く、またはやてに危機管理意識を植え付ける為にも先程の話題は続けるべきだと思うが?」
「たしかに価値のある話と思うし平和ボケしとるうちには必要な話かもしれん。
けどな、大晦日はその年に起きた事の感謝と反省をして、年を越したら新年を祝える程余裕を持って無事に迎えられた事に感謝して、そしてその年も無事に過ごせる様に祈願してそして自身の抱負も胸に刻むんや。
そやからそういう話はせめて三箇日が終わってからにしようや?」
「感謝と慶祝は何に対してするのかは理解し難いが、反省と自戒は常日頃から行うべきものだと思うが?
それと安全保障関連の議論は祭事や神事とは関係無く、問題点が発覚した際に速やかに行うべきと判断しているのでその提案には反対だ」
速人の反対意見より理解出来ない言葉あったのか思案顔で速人に話しかけるはやて。
「えと……………速人はん…………【けいしゅく】って何や?」
「慶び祝うことの意だ」
速人の返答に納得したはやては少し考え込んでから速人に話しかけた。
「速人はん、感謝と慶祝は自分と自分に深く関わっとる大切な人……………家族とか友達とか恋人やね、ともかくそういう人達の繋がりとそして一緒に無事新年を迎えられた事に対してするんや。
そやから堅苦しかったり重い話はその間は一先ず置いといて、大晦日から三箇日は反省したり抱負を決めたり、何より喜び祝う大事な期間なんや」
「はやてが言わんとしている事は理解した。が、だからといって安全保障関連の議論しない理由にはならないと判断する。
ただ反省や自戒や感謝をする事は否定しないし、それを拒む理由も無いので共にそれらを行うことは構わない」
「うぅーーー。なんかうちの考えとった穏やかな年越しや正月とは程遠い感じやけど、言ってる事は正解とは言えんけど的外れってワケでもないし、速人はんも歩み寄ってくれとるみたいやからそれで納得する事にするわ」
不承不承と言う程では無いが、若干不服そうな顔で速人の意見を飲むはやて。
その言葉に殆ど間髪入れずに淡々と返事を返す速人。
「あまり要望に添えなかったようだな。以後はやての不興を買わないよう適切な妥協案を提示しよう」
またもや無表情で無感動な声で淡々と以後の対策を述べる速人にムッとした感じのはやてがそれに反論した。
「……………速人はん、たしかに相手を不快にさせないようにするんはいいことやと思うけど、最初から妥協案を打ち出すんは駄目やで?
まず最初は互いの意見を主張してぶつけ合うんが大事なんや。妥協案にするんはどうしても意見が纏まらない時にだけするんや。特にうち達はまだ家族になったばっかりなんやから沢山意見ぶつけ合って互いの理解を深めていかなならん。それに家族同士に礼儀は在っても遠慮は無用やで?」
はやての想いを込めた主張を何時も通りの無表情で聞き、そして無感動な声ではやての予想の斜め上や斜め下の答えを淡々と返す速人。
「解りました。以後礼儀を払いながらも己が意見を隠す事無く発言しましょう。またその際に私の意見が貴女の気分を害する場合もあるでしょうが、他意は有りませんので私の発言を許容して頂きたい」
言っている事に遠慮は無いが、先程と打って変わって不気味な程に礼儀正しい発言に面食らうはやて。
「呆然と私を凝視されているようですが、何かしらの体調不良ですか?それとも私の発言に対して何かしらの不満が或るのでしたら遠慮せずに発言して下さって結構です」
謙ってはいないがとても家族に対してするとは思えない程丁寧な…………………慇懃無礼ではないが距離感を感じずにはいられない応対をされ困惑するはやて。
「は…………速人はん……………………、何で急にそんな喋り方になったんや?」
「先程貴女の発言に家族同士で礼儀を払うと解釈される発言が有り、私自身もその考えに異論が無い為にその場で口調を改めました」
「………………………………………たしかに礼儀正しい口調やと思うし礼儀を払おうとしてくれとるコトに関しては素直に嬉しい。
そやけどそんな堅苦しい口調で接さんでさっきの様に接して構わんよ。
…………………っちゅうか言ってる事は凄く丁寧なんやけど、さっきと変わらん感じの声で喋られるともの凄〜く距離っちゅうか壁を感じるんや。そやからお願いやからさっきまでの様に普通に話してや」
はやての言う通り速人の喋り方はたしかに丁寧だが先程の無感動な声で平淡に喋っているので機械音声のような感じで、先程のまでの無遠慮な喋り方がまだ人間味が在った。
正直今の速人の喋り方はSP等の喋り方に近く、この喋り方ではやてと速人が家族と感じられる要素は微塵も無かった。
「先程の口調は礼儀正しい口調とは判断しかねるもので、家族間に礼儀を払うとするならば現在の様な口調に矯正するべきだと判断しますが?」
「………………うちの言い方が悪かった。礼儀正しゅう無くても構わん。ただ優しさや想い遣りさえあるならそれで十分や」
「残念ながら私はその二つは持ち合わせていません。現状で貴女の願いや望み、ましてや求めに応えることは出来ません」
速人のそのセリフにはやては不機嫌になるかと思いきや、にこやかに笑いながら応えた。
「大丈夫や。速人はんは自分で気付かんだけで十分優しさも想い遣りも持っとるよ」
自信満々に言い放つはやてに僅かな間逡巡してから返事を返す速人。
「貴女が私の中に在ると言うのでしたら私にそれを否定する気は有りません。
しかし私は自身で在ると認識していないのでいつか自覚せずにそれらを捨て去る時が来るかもしれません。その事は念頭に置いていてください」
「そんな事無いと思うし、もしそう成りそうならうちがしっかり注意してそうならんように止めるから安心しといて構わへんよ。
そやから喋り方元に戻してや。その喋り方、丁寧なんやけど悲しくなるくらい余所余所しいんや」
はやての言葉を聞きまた僅かな間速人は逡巡し、そしてまた話しだした。
「それでは以後口調は丁寧語で話さず粗雑に話しますが構わないですね?」
「そうしてや。
以前の速人はんの話し方は暖かくなくて冷たかったけど心に染み渡る綺麗な感じやったのに、今の喋り方は温い濁った水を浴びせられる様な感じでうちは好かん」
「解りました。では以後この口調で接する。
それと先程までの俺の話し方が不快だったようだが礼儀を持って接していたはずだが、何処に不快に感じる要素があったのだ?」
「う〜ん………礼儀を払うことが不快なんやなくて、思った事がそのまま言葉に出て来ない話し方が不快っちゅうか好かんだけなんや。
少なくともうちとしては、話す内容を考えるのは構わんけど、話し方を考えるのは遠慮やと思っとるからそういう事は止めてな?………………いや、遠慮無しも時と場合によるかもしれんから完全に遠慮無しに喋れとは言わへんけど……………」
「不快に感じた理由は理解した。
遠慮無しに話す事は了解したが、遠慮して喋る時と場合は俺では判断が付け難いので、俺が判断を誤ったとはやてが判断した際は指摘してくれ」
「任せといてや。そやから速人はんは遠慮せずにガンガン話してくれて構わんで」
「了解した」
「うん、素直でいい返事や。
それじゃこの話はこれで終わりにして、これからは紅白を見ながらダラダラお菓子を食べながらまったりと年越し近くまでお喋りしながら過ごそうや?」
「不摂生をすると健康を害するので通常通りの生活を送ることを推奨する。
特に虚弱気味のはやては生活習慣を乱すのは控えるべきだ」
にこやかに述べられたはやての言葉に冷静に現実的な意見を述べる速人
「た、たしかにそうかもしれんけど、年に数回位は不摂生しても構わんやろ?
毎日毎日規則正しく生きてばっかりじゃ息が詰まってしまうやんか。息抜きも必要とうちは思うんやけど……………どうやろか?」
「俺ははやての意志を束縛すつもりは無い。はやてが自身で不都合を承知で何かを行うのならば、俺はその後に起こり得ると予測される不都合に備えるだけだ。ただ備える限度を超えると予測した場合、はやてに行動制限を強いる場合はあるだろうが」
「……………反対されんのは嬉しいんやけど……………何か速人はんに一方的に迷惑かけてるようで気が引けるわ………………」
苦笑いの様な顔で少し陰のある笑顔でそう述べるはやて。
「迷惑や邪魔ならばその旨を隠す事無く告げる。故にその旨を告げられていないならば気にする必要は無い」
「……………解った。うちも隠さず告げるから速人はんも気にせずどんどんしたい事言ってな?」
「了解した」
「うん♪それじゃ今度こそ準備した年越しグッズを存分に使って年越そうな」
「使用が飲食を指し、購入した全てを飲食するのならば、はやてに対して行動制限を強いると言っておく」
「あはは、流石に全部食べはせんよ。これは沢山有った方が楽しい気分になるから買ってきたんよ」
「食べる事が目的でないのならば、身体に負担をかけて消費期限が迫っている生菓子等を食べる必要は無いぞ。その手の類の物は冷蔵若しくは冷凍して後日食すなり、他にも家畜の飼料とするなり、今なら仏閣や神社に正月の供物として納める等の方法で対処できる」
「速人はん!それナイスな思いつきや!冷やしても大丈夫そうなのは冷やして、飼料になりそうなのは飼料に回して、それも無理そうなのはお供え物にすれば全く無駄無く使いきれるわ!」
「それは何よりだ。
それと俺がその案を提示しなかった場合はどのように対処するつもりだったのかを尋ねても構わないか?」
「あ〜〜……………………三箇日御節と御菓子の大食い大会?」
バツが悪そうに苦笑いしながら答えるはやて。
それを聞きながら何時も通りの声で返事を返す速人。
「余り物に対処できない時でもはやてはなるべく普段通りの食生活をするがいい。運動が満足に出来ないはやてでは摂取した養分を十分に消費出来ずに健康を害する」
「うっ……………た、たしかにうちだと食べてもあんまり運動出来んから脂肪が付いてまう……………」
「肥満よりも血液の粘度やヘモグロビンA1Cの値や各内臓関係の負担等が問題だ。肥満状態で安定するならばまだ対処は容易だ」
「なんかよく解らんけどリアルな問題点を出されると気をつけなあかんと思ってまうな……………」
「誰に強制されるでもなく自戒し自制するならばそれが一番だろう。
だがあまり気にする必要は無い。調味料の類を大量摂取等しない限りは日々食生活面において健全と目されるはやてならば、4日ほどの不摂生ならば大事には至らないだろう」
「あ、速人はんからそういうこと聞くと安心できるわ。
よっし、それじゃダラダラマッタリ悠々自適に自堕落的な正しい年越し送ろうか?」
晴れ晴れとした顔で駄目人間が吐くセリフを述べるはやて。
「自堕落的な過ごし方については拒否させてもらうが共に年越しする事に異論は無い」
「…………まぁ自堕落に過ごす速人はんは想像付かんし、それくらいの真面目さは十分個性やし構わんよ。
それじゃあコタツに入ってもう始まってしもうとるけどゆっくり紅白見ようや」
「了解した」
その遣り取りの後二人はコタツに入り、はやては自身が言った通り悠々自適に過ごし、速人は紅白を見つつはやてと菓子を食べながら片手間に片手でモニターを碌に見ずにノートパソコンにデータを入力していた。(両手を使いモニターを確り見ているとはやての機嫌が悪くなる為にそのようにした)
そして和やかとは言えないが穏やかな時間が過ぎていった。
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「ふうぅ〜〜。今年も残るところあと少しやな〜」
年越し蕎麦を食べ終えて食器も片付けた後、テレビを点けたまま年を越さずに静かに二人で年を越そうとはやれてがテレビを消している為、静かなリビングにはやての感慨深気な声が響いた
「時報によると残り294秒」
「後5分足らずか。……………速人はん、残り10秒になったら一緒に秒読みしような?」
「何故だ?」
「こういうのは一緒にすることで同じ時間を共有しとるっていう連帯感得られるし、絆を深める為の儀式のようなものなんや。
まぁ尤もうちとしてはそんな小難しい理由よりもただ速人はんと一緒に何かしたいって事なんやけどな」
悪戯っぽい笑顔で速人を見ながら喋るはやて。
そしてその話を聞き、返事を返す速人。
「理解した。そして了解した」
「うん。ほな一緒に秒読みしような」
にこやかにそう言い、そして少しの間場に沈黙が降りたが直ぐにはやてが困ったような、そして笑い声のような独り言を発した。
「う〜ん、今年一年を振り返ろうとしても思い返されるのは速人はんと出遭ったクリスマスからばっかりやな〜」
秒読みの間まで今年一年を振り返ろうとしたはやてだったが、思い返されるのはクリスマスに速人と出遭って今に至ることばかりで、しかもその間あった色々な事を思い出して笑っていた。
「突如生活習慣が変われば印象は深いだろう。ここ最近の事象が思い返されるのも普通だろう」
そしてそこにはやての感慨をぶち壊すように現実的に冷静な意見を述べる速人。
しかしそれにはやては笑って返した。
「いや、これが一緒に暮しだしたのが速人はん以外やったらここまで深く印象には残らんやろ。
何しろ一日目は寝る時は二人して寝ると不測の事態に対応できないって片方ずつ眠ろうと言い出すし、二日目は緊急時に備えて即座に簡易核シェルターを設置しようとか言い出すし、三日目は水と電気は自前で供給できるように発電機と浄水設備を設置しようと言い出すし、四日目は休息する場所はせめて耐弾・耐爆仕様の建築材に作り変えようとか言い出すし、五日目は外で買った物に薬物が混入してないか調べる薬物検知器を買おうと言い出すし、六日目は周囲に無闇に人が住んでいると危険だからって辺り一体買い占めて住民を立ち退かせようとか言い出すし、今日は家に何か仕掛けられていないか大掃除と一緒に検査しようとか言い出すし、速人はんの提案には驚かされてばっかりやったな。
他にもうちに石投げつけてきた子に投げられた石を正確に投げた子に打ち返すし、押し売りの訪問販売を家宅侵入として刑事告訴する手続きの紙と証拠の映像見せて会社強請ろうとするし、何時の間にかうち用の防弾服作っとったし、入口以外から入ると作動するトラップを庭に仕掛けまくるし、何てこと無い様に朝に株買いまくって夕方売り抜いて大儲けするし、速人はんの行動にも驚かされっぱなしやったで。
断言するけどこれほど印象残るような一週間送れるのは速人はん以外におらへんよ」
その時々に速人を諭したり諌めたり周囲に頭を下げたりしたことを思い出したのか、疲れ気味で…………しかし嬉しそうな苦笑で話すはやて。
「俺も多くの者達が無防備にも拘らず生き残る備えを意図的に放棄して生を謳歌しようとしているのは知識としてしか知らなかったので、この1週間の体験で民衆を扇動する精度が飛躍的に上昇した筈なので充溢した期間を印象深いと言うなら印象深い1週間だと思っている」
「……………………なんかうちの存在が空気みたいに聞こえるんやけど………………」
少し頬を引き攣らせながら述べるはやて。それに何時も通りに無表情に淡々と返事を返す速人。
「的確な表現だな。常に傍あるがその存在を常時認識していることは無く、しかしその存在は不可欠なモノ。
この1週間のほぼ全ての事ははやて無しにはまず起りえなかった事で、その基点となっているはやての存在が空気の様に俺にとって不可欠な者だというのは的確な表現だ」
「う…………、そ…………そう言われると何か凄く照れるなぁ…………」
顔を赤くしながら縮こまって照れるはやて
「はやての求めに応えられているかは不明だが、俺は非常に充溢した時を過ごせている。
はやてから寄与されるだけでなく、俺もはやてに寄与出来るよう努めよう」
その言葉を聞いて、はやては優しげに笑いながら速人に話しかける。
「大丈夫やって。うちが何かしたら速人はんは応えてくれとるし、速人はんが何かしたらうちは応えとるつもりやから、一方的な関係やないよ」
「そうならば問題無く何よりだ。
尚今年度終了まで残り30秒未満だ」
「っと、そろそろ秒読みに備えなね。あとゼロで年明けたら最初に言うのは新年の挨拶………【新年明けましておめでとうございます。今年も一年よろしくしお願いします】やからな?」
「了解した」
「うん、それじゃあ………………」
残り十秒までの数秒を沈黙が降りる。
そして残り10秒に近くなった時にはやてと速人が秒読みを始める。
「10」「残り10秒」
いきなり足並みが乱れるはやてと速人。
速人は無表情だがはやてはコタツに突っ伏しそうになるのを堪えながら苦笑して秒読みを続ける。
「「9………8…………7………6………5………4………」」
出始めこそ乱れたがその後は何事も無く秒見の足並みは揃っていた。
「「3………2………1………」」
そして秒読みをしながらはやては来年は新しく出来た家族と一緒に驚いた呆れたりしながらも楽しい一年が迎えられるようにと想いながら最後の秒読みを発した。一方速人は年越しや年明けに思う所は特に無いらしく無感動に最後の秒読みを発した。
「「0」」
ノートパソコンの時計が12/31から01/01に切り替わり時刻も00:00:00になって新年を迎えたことを示した。
「「新年明けましておめでとうございます。今年も一年宜しくお願いします」」
速人は相変わらずの無表情で無感動な声で挨拶をし、はやては一人じゃない今年一年に期待で胸を膨らませて嬉しそうに挨拶をした。
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幕間二之一話:慌しくも穏やかな年越し――――了
【後書】
自分のPCのHDDがリカバリー中の為書きかけの話が進められないので、あまりSS本編に影響の無い話を書き上げようと思いこんな話が出来上がりました。
またSS本編で最近はやてが蔑ろにされているような感じなので、この幕間で少しでも補填できたらいいかな〜と思い書きました。
ただSS書き出した頃の速人の人格も性格も掴みきれてなかったのがこの話書いて痛感しました。一体前の自分はどうやって書いていたのか謎です。
一応狙い通りダラダラとした日常を描けたかと思っていますが、読み返してみると当然ダラダラしていて面白く無いですね。
もしお一人でもこの後の初詣編とかを希望されたら喜んで書かせていただきますが、多分誰もいないだろうと思う程先に期待が出来ない程面白くない出来ですね、この話。
多くの投稿SSがあるにも拘らず毎回御読み下さり、御感想付きで掲載してくださる管理人様に感謝を申し上げます。
そしてこのSSを御読み下さっている方、拙い文を御読み下さり感謝します。
年越しのお話〜。
美姫 「とは言え、やっぱり速人は速人だと思うような対応があったり」
家族同士であそこまで丁寧な言い方をされれば、はやてじゃなくても驚くって。
美姫 「でも、それがらしいわよね」
うんうん。何となくほのぼのと和むお話でした。
美姫 「本編も楽しみにしてますね」
ではでは。