この話はSS【八神の家】の幕間ではなく、もしも(IF)の話です。(既にIFではなく捏造の領域ですが)
ですのでSS本編がもしStSまで進めば、必ず相違点が出る代物です。(と言うか完全に別物です)
ですから二次創作のIFを了承できる剛の方以外は読まれない方が賢明です。
注1)リインフォースが空に還らず闇の書の闇はどうにかなっています。
注2)階級に関しては自衛隊で使用されているものを流用していますが、将官の階級は原作通り第二次世界大戦時の日本軍の階級名に倣っています。また作中階級が明記されていない面面の階級については作者の捏造設定です。
注3)速人の外見年齢はリインフォースと同じかちょっと幼いぐらいです。(髪の長さはリインフォースとフェイトの中間程度で、ストレートです)
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
魔法少女リリカルなのはA‘S二次創作
【八神の家】
とある可能性編 二つめ:とある騒動
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
―――機動六課へリポート―――
「………言う事を聞かない奴は使えないって事ですか?」
明らさまに不満と怒りを篭めた声で喋るティアナ。
それを明らさまに呆れた表情のなのはが表情通りの呆れを篭めて返事をする。
「はぁ………自分で言ってて分からない?当たり前のことだよ、それ………」
「現場での指示は聞いてます。
教導だってサボらずやってます」
話しながらも目に涙が溜まっていくティアナ。
それを見たヴィータが面倒臭そうな表情で後頭部を掻きながらティアナと話をしようと歩きだす。が、それをなのはは制した。
一瞬なのはを見やるヴィータだったが、直ぐに先程以上に面倒臭そうな表情で溜息を一つ吐いて引き下がった。
そしてそんな遣り取りも気にしていないティアナは更に食い下がった。
「それ以外の場所での努力も教えられた通りの努力じゃないと駄目なんですか?
私は……なのはさん達みたいなエリートじゃないし、スバルやエリオみたいな才能も、キャロみたいなレアスキルも無い。
少しくらい無茶をしたって!…死ぬ気でやらなきゃ強くなんて成れないじゃないですか!!」
瞳に涙を湛え、そうなのはに食って掛かるティアナ。
そしてその言葉が譲れぬ琴線に触れたのか、それを聞いていたシグナムが二人の間に割って入り、ティアナの胸倉を掴み、その顔目掛けて手加減せずに拳を放った。
しかし―――
「失礼します」
―――そんな何気無い様な言葉と共に何時の間にかシグナムの右側に居た速人は、シグナムが振り被った右腕の付け根を左後方へと押し飛ばす様に掌底を放った
掌底を受け重心を崩されたシグナムの右拳はティアナの顔をギリギリで掠めない程度に逸れ、シグナムは拳が空振った勢いと重心が崩れた為少少よろめいた。が、シグナムは直ぐに自力で体勢を立て直そうとした。
しかし、シグナムが自力で体勢を立て直すよりも早く速人はシグナムの後ろ側に回り込み、そっと背を支えた。
対して殴られかけていたティアナはシグナムが速人に背を支えられた時に胸倉を放された為、呆然とした顔のままその場に尻餅を着いた。
背を支えられたシグナムは直ぐに体勢を立て直して身体ごと背後の速人に向き直り話しかける。
「……背を支えてくれた事に対する礼を述べるべきなのだろうが、先に行動の真意を問わせてもらう。
…………何の真似だ天神…三士?」
怒りではないが、殴打を中断させられたことに対する不機嫌さを隠しもせずに眼と声に篭めているシグナム。
対してそれを浴びせられている速人は、何時もと変わらず淡淡と返答をする。
「明らかな越権行為と判断しましたので御止め致しました」
「………先のティアナの発言は命令無視若しくは上官反逆だ。
妥当な対応だと思うがな」
「僭越ながら私見を交えて返答させて頂きますが、構いませんか?」
「構わんぞ。
気にせず存分に話せ」
「分かりました。
では私見で御座いますが、ティアナ・ランスター二等陸士の発言と行動はシグナム二等空尉の仰っている通り命令無視若しくは上官反逆と思われます。
そして口頭で納得させられぬならば、上官として部下の暴走を抑え込む為に武力行使による鎮圧も妥当な判断と思われます。
しかし、それは直属の上司の高町なのは一等空尉、並びにその副官のヴィータ三等空尉が居られる場では、自身に直接害が及んでおらず又前途の二名が判断を下すに十分と推測される時間的余裕が有る場合は明らかに越権行為と思われます。
故に僭越ながら御止め致しました。
以上です」
速人は軍人口調のようで微妙に軍人口調ではない口調で話し終えたのと同時に、視線でシグナムにヴィータ達の出撃を促した。
そしてそれを理解したシグナムは直ぐにヴィータ達に出撃を促す。
「……場を乱してしまってすまない。
この場は任せて直ぐに出撃するといい」
「あいよ。
うんじゃとっとと行って片付けてこようぜ
……ほら、心配ならとっとと行って、とっとと片付けて、とっとと戻ってくりゃいいことだろ?」
ヴィータの言葉に嫌嫌ながらも納得したなのはとフェイトは、渋渋ながらもヴィータと共にヘリに乗り込んで出撃していった。
黙ってそれを見送ったシグナムは、自分の傍に控える様に佇んでいる速人に若干驚きつつ(言い終わったら場を離れていると思っていた為)、改めて話しかけた。
「………さて、何と言って良いものか難しいところだが、その前に聞いておくが………まさか隊舎の中から此処に駆けつけたのか?」
「いえ、輸送用航空機の整備状況をヴァイス・グランセニック陸曹に報告し、機動六課隊舎内に移動中に現場に遭遇し、現在に至ります」
「…そうか……。
この場に居た理由も止めた理由にも納得がいった。
軽挙妄動を諌めてくれた事と背を支えてくれた事に対して礼を言おう。
感謝する」
頭こそ下げていないが、二等空尉が三等陸士に対してする礼としては破格の対応を返すシグナム。
そしてその破格な対応に納得がいかない速人としては、その発言を撤回させる為に言葉を返した。
「分に過ぎた謝辞を頂き感謝致します。
しかし上官が己の行動を軽挙妄動と指すのは控えた方が宜しいかと思われます。
私ではシグナム二等空尉の行動理由を推測して発言する立場にはありませんので申せませんが、私はシグナム二等空尉の行動は規律に則ってはいませんでしたが、決して軽挙妄動ではないと判断しております。
…それと僭越ですが、私が上官に対し武力行使に及んだことに対する処分を御聞きしても宜しいでしょうか?」
家庭的な機動六課に措いて唯一の職業軍人や滅私奉公人と呼ばれている速人は、そう呼ばれるに相応しい対応を返した。
しかし速人程常時公人としての対応をする事を良しとしないシグナムは、若干不機嫌な声で返答した。
「…私の発言の不備についての指摘は考慮しておこう。
……それとお前…天神三士についての処分だが、不問に処す。
………これは上官として厳正に思案して判断した結果だ。異論も反論も認めん」
「分かりました」
「良し………、引き止めて済まなかったな。
業務に戻ってくれて構わない」
「分かりました。
それでは失礼致しました。シグナム二等空尉」
敬礼の後シグナムに頭を下げ、それからその場の雰囲気をものともせずに普段通りの歩みで隊舎内に向かう速人。
先程のシグナムとの会話が原因で予定が推しているので、凄まじい速さ(フェイトの魔力未使用時の全力疾走以上)で歩きながら(競歩で)部隊長室に速人は向かった。
背後でシャーリーが先程の場を纏めようとしているのを聞きながら。
―――機動六課ヘリポート―――
■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
―――機動六課部隊長室―――
「はあ〜、それはそれはまた…………」
「……よくもそれだけ拗れたものだな……」
「ですですぅ」
出撃した隊長陣の戦闘が済んだ後、小休憩も兼ね、はやて達は全員部隊長室に居た。
部隊長室到着後、先程速人がヘリポートからロングアーチへ到着するまで遅かった原因を聞いていたはやて達は、速人が話し終わった後三者三様呆れたような声を発した。(ロングアーチへの到着は確かに遅かったが、時間指定はしていなかったので遅刻ではない)
そしてそんな発言に対し、データ整理しつつ速人は話しかけた。(説明中もはやての許可を得てデータ整理はしていた)
「部隊長として事態収拾されるのでしたら今から予定を調整しますが、どうなされますか?」
「う〜ん………正直ココでうちがしゃしゃり出るんは何か違う気がするんよ。
ティアナがそうなった原因は当然ティアナ自身の問題やろけど…………そうなってしもた責任は正直なのはちゃんの対応と管理問題やからな………。
そりゃ最終的な責任は全部うちに収束するんやけど、そやからって、なのはちゃん無視してうちが問題解決したら溝は埋まらんやろ?」
「ですね。
ここで当事者の高町を欠いて仲を取り持とうとすると、全員高町よりの立場に思われかねません。
それでは仲違いを解消してもフォワード陣と高町………いえ、寧ろ隊長陣との溝は深まるばかりです」
「ですです。
ここは辛くともなのはさんとティアのお二人でしっかり話し合ってもらうのが一番です!」
速人が淹れたストレス等の神経症を抑えリラックス効果の有るセージ茶を飲みつつはやてはそう言い、茶と同じく速人が作った茶請けのクッキーを食べつつ(口の中は空にして)リインフォースははやての言葉に同意を返し、ブドウ糖即時摂取の為に速人が作ったレモンの蜂蜜漬に豪快にかぶりつきながらツヴァイも同意した。
そしてそんな意見を聞いた速人ははやて達が失念している事を一つ遠回しに指摘した。
「その判断で決定ならば、直ぐにでもその旨を関係者に通牒致しますか?」
「うん?
そんな急がんでも……て……………速人はん、それって今直ぐティアナになのはちゃんよりの説明しそうな人が居るいうことか?」
「推測が混じる発言―――」
「―――速人はーん、うちは一応速人はんの直属の上司で速人はんの所属するこの機動六課の最高責任者や。
そやからうちが尋ねたんなら気兼ねせんで推測でもバシバシ言うて構わんで?」
「…了解致しました」
速人の返事を聞き、一本取ったとばかりに満面の笑みを浮かべるはやて。
しかし―――
「それではこれより八神二佐の質疑は全て命令と解釈致します」
―――という予想の斜め上の答えを返され、満面の笑みが直ぐに引き攣った笑みに変わるはやて。
そんな遣り取りを見てどちらに対してか、はたまた両方に対してかは分からぬが溜息を吐くリインフォース。
そして少し思案してリインフォースははやてに話しかける
「……恐らく高町側で説明をランスターにするのは、高町が撃墜されたことがある事を知る者に限られるでしょう。
そして六課内でそれを知っている者はここに居る四名以外では、シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、テスタロッサ、フィニーノ、そして当事者の高町の計11名です。
ここに居る4名と出撃して帰還していない3名を除けば残るは4名で、寡黙なシグナムとザフィーラを除けば残るはシャマルとフィニーノの2名になり、ここまで絞り込めばどちらかということは容易に判断出来ます。
よって私はフィニーノが話すと推測します」
「……ああ……うん………いや…説明は嬉しいんやけどな、出来たら休憩時間の遣り取りで速人はんにバッサリ切り返された私のフォローもしてくれると嬉しいんやけど…………」
若干引き攣り気味の乾いた笑顔でリインフォースに返すはやて。
そんな言葉を聞き、リインフォースは僅かに微笑みながら言葉を返した。
「いえ、とても楽しそうに見えましたので、つい………」
「……う〜〜ん………リインにはどんな風に見えてたん?」
「そうですね……………少少意味合いが違うかもしれませんが、仲の良い喧嘩に見えました」
「………なんか言いたい事は分かるし納得も出来るんやけど………何かその言葉はそこはかとなく違和感あるな………」
「まぁ感覚的にその言葉が一番近いというので使っただけですので、私も話していて違和感を覚えました。
あと、話を戻しますが、ランスターに対する一件はどうされます?」
弾みかけた会話に名残惜しさを感じながらも、会話の軌道を修正するリインフォース。
そしてリインフォースと同じく弾みそうだった会話を名残惜しく思いながらもはやては答えを返した。
「……速人はんの話聞く限りじゃ、ティアナの実践や訓練中の行動はたしかに度を越しとるやろけど、なのはちゃんが訓練中ティアナにしたんは更に度を越しとる。…………控えめに言うても粛清やん、アレ。
そやのに誰が話すにしてもなのはちゃんを欠いた状態でのティアナの説得なんて、やった本人としちゃ善意のつもりやろけど、客観的に見たら隊長陣の馴れ合いとか、なあなあで済まそうとしとるんと同じや。
親しき仲にも礼儀……っちゅうか通すべき筋がある。馴れ合いと仲良しは全然違うしな。
そやから今回はシャーリーにちょいと釘を刺すことにするわ」
「それが妥当でしょう。
では………」
そう返事をして速人に眼で語るリインフォース。
そして何を云わんとしているかを読み取った速人は書類やデータを軽く片付け始めた。
そんな速人を見てはやては少し表情を曇らせながらも直ぐにいつも通りの笑みで速人に話しかける。
「速人はん、何をするにしても出来る限り穏便にな?」
「事を成せるならばその様に行動します。
それと確認ですが、既に高町一頭空尉を欠いた状態で説明が終了若しくはその途中であった場合は如何なされるおつもりですか?」
片付けながら返事と質問する速人。
その言葉に少少思案したはやてだったが、速人が片付け終わる前に答えを返した。
「もし説明が終わっとったら、そん時は後でうちがなのはちゃんにティアナと二人で話すよう一言言うつもりや。
そやから速人はんが何するつもりか聞かんけど、用事が済んだんなら直ぐにここに戻ってきて、なんかもう現実逃避気味にお茶飲んでまう程の仕事手伝ってや」
「了解致しました。
それでは失礼します」
命令ではなく独断行動なので復唱せずに会話を終了させ、はやての返事も待たずに部隊長室を後にする速人。
そんな速人を見送ったはやては重い溜息を一つ吐き、自嘲とも苦笑とも取れる感じで誰にともなく話し始めた。
「………こういう時………何て声かけて見送れば良かったんかな………」
それに少少鋭い表情ながらも気遣いが見て取れるリインフォースと、はやてが少し鬱になりかけて慌てながらも気遣うツヴァイが声をかけた。
「何も声をかけずに送り出すべきでしょう。
第一軽軽しい謝辞は、主が機動六課を率いて且つ自分が其処に属す限りは、部隊維持の為の汚れ役や憎まれ役を引き受けると言った意志を汚します。
もし謝辞をかけるのでしたら解散した時かここから抜けた時か、若しくは汚れや憎しみに塗れて助けを求めた時にかけるべきでしょう」
「お姉さまの言う通りです。
お兄さまはここではやてちゃんがシャーリーに命令出したら、もしかしたらシャーリーだけじゃなくてそれを聞いたスバル達もはやてちゃんを疑うと思ったから引き受けて行ったんです。
なら事情を知ってる私達は、心の中でいっぱいいっぱい感謝しながら謝って、戻ってきた時には笑顔でご苦労さんて言うだけです」
リインフォースに諭され、ツヴァイに励まされ、少し鬱になりかけていた気分を振り払いながら、はやては努めて明るく返した。
「そやな。リインやツヴァイの言う通りや。
私らに出来るんは精々速人はんが戻ってきた時、見惚れるくらいの笑顔で出迎えることやな」
「ですです。
あ、ですけどお兄さまが見惚れるのはお姉さまだけです。
はやてちゃんの笑顔は子狸さんの笑顔ですから、見ても和むだけです」
「言うやないか、覚悟は出来とるか?」
「ですです。
さっきのは自分でも上手い事言ったと思ったです。
子犬さんじゃなくて子狸さんて言ったのがツヴァイ的に座布団3枚です」(胸を張りながら言う)
「ツヴァイ……頼むから早く主音声を聞き取れるようになってくれ。正直胃が軋む。
それと主、そろそろ休憩を切り上げて作業に取り掛かりましょう。
このままでは仕事に追われた泣き顔か疲れた顔で出迎えることになりますよ?」
「っとと、そうやったね。
今はこの洒落にして投げ出したい量のデータと書類を片付けるんが先やね」
「ですです!
はやてちゃん!お兄さまが戻ってきた時にビックリするくらい片付けるですよー!」
「ああ、気合入れるで〜」
先程空間が不協和音を奏でていたのが嘘の様な息が合っている会話にリインフォースは内心溜息を吐きたい心境だった。
(ツヴァイ…………頼むからお前の中の人物相関図で主の位置を上昇修正するか問題発言を控えるかどちらか…………いや……可能な限り両方してくれ。
………時折主から放たれる暗黒視線がキツ過ぎる………)
―――
何処を如何間違ったのかツヴァイの中のはやて達の位置付けは、
【リインフォース=速人>>>越えられない壁>>>はやて≧ヴィータ≧シグナム達>>>>>>A.T.フィ○ルド>>>>>>>なのは達六課陣】
となっていた。
しかも「お姉さまもお兄さまも両想いですから一緒になって妹のツヴァイと楽しく暮らすです!あとはやてちゃんを愛人に迎えてヴィータちゃん達とも一緒になれば完璧です!!」と爆弾発言を公言して憚らず、度度はやての神経を逆撫でしていた。
特にリインフォースがはやてより速人とお似合い且つはやてより女性としての魅力に優れているとツヴァイが認識している辺りが、客観的に見たら全く以ってその通りとはやて自身が思っているので余計腹立たしいらしく、八つ当たりと承知でツヴァイ諸共リインフォースに胡乱気な眼をはやてが向けることが度度見受けられた。
リインフォースとしては溢れんばかりの好意を抱くだけでなくそれを言葉や行動に表してくれるツヴァイを愛しく思っているが、偶にはやてより女性としての嫉妬と合わせて自分の子を横取りされた母の様な嫉妬の眼を向けられ、その度に胃に穴が空く程居た堪れない思いで過ごしていた。
無論はやてが女性としての嫉妬は兎も角、本気でリインフォースがツヴァイを横取りしたとは思ってはいない事は重重承知していたが、それでもリインフォースとしては少少後ろ暗い様な部分が在った。
なので以前はやてのツヴァイ内の位置向上の為にツヴァイと離れて暮らしてみたのだが、迂闊にも何も考えずに速人と同棲していたことをはやて達が知り、急ぎ問答無用で呼び戻されたが時既に遅く、ツヴァイの中では完全に恋人関係にあると認識されてしまっていて、はやての位置が愛人候補その一に固定されてしまった。
―――
だが、過去に自分が迂闊な行動に出たのが原因の一つと承知しているのであまり強く言えず、リインフォースはどういう風に対処すれば良いのか分からず途方に暮れていた。
しかしそんな内心を億尾にも出さずリインフォースは仕事に取り掛かった。
内心―――
(今度ある程度暇が出来た時にでも誘うなり訪ねるなりして相談しよう…………。
このままでは銀髪が白髪になってしまいそうだ…………)
―――と、いう状況悪化に拍車をかける事を思いながら。
―――機動六課部隊長室―――
■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
―――機動六課のとあるロビー―――
「なっ!…………どういうつもりですか!?」
突如ロビーに現れた速人は場の空気を無視してシャリオに話しかけ、そして話の邪魔とばかりにシャリオが空間パネルに映していた映像を上位権限で一方的に消し、更にシャリオが放映出来ぬよう制限をかけた。
だが当然そのような事をされて黙っていられないシャリオは不信感も露に速人に行動の真意を問い詰めた。
が、その答えは―――
「邪魔なので消しました」
―――という素っ気無いモノだった。
無論それで納得出来ぬシャリオは文句を言おうとしたが、今の今まで失念していた事を持ち出されてそれを遮られてしまう。
「時空管理局内部監査機関直属特殊監査部特殊監査官資格保持者として越権行為並びに職務放棄、そして殺人幇助並びに背任の疑い有りと思しき現場に遭遇。
よってこれより特殊監査官資格保持者の三佐相当権限を持って対象の指導及び尋問を開始します」
「………え”?」
変人で名が通っている速人だが、実は三佐相当権限持ちの三士だというのはロングアーチでは周知の事実だったが、フォワード面面は知らなかったらしく、皆驚いた表情をしており、特にティアナは速人が自分の目指す執務官以上の権限を持つ特殊監査官資格保持者で、しかも魔導師ランクを持たないのに就いていると知り唖然とした表情だった。
しかしシャリオはティアナ以上に驚いているというか愕然としており、呆然とした眼で速人を見ていた。
唯一シグナムだけが驚いていなかったが、一瞬凄まじく苦い物を噛んだ様な表情をしたが直ぐに無表情に変え、そして先を促すように速人を見た。
そんな自分に集まる様様な視線を一切気にせず速人は淡淡とシャリオに告げる。
「シャリオ・フィニーノ一等陸士、教導官と教導生の間に発生した確執を無関係な者が無許可で干渉を試みるのは越権行為です。
出撃待機命令の下されていた者に精神の安定を欠かせる可能性の高い記録を鑑賞させる行為は通信士である貴方の権限を越えており、更に長時間通信士としての職務を行なわないと解釈されるその行為は職務放棄です。
又、その行為は出撃待機の者達の精神を徒に乱して事故死させる可能性が高い為、先の事件の者と通じた背任と殺人幇助の可能性有りと判断されます。
因って之より最寄りの取調室若しくは類する物を一時挑発して指導及び尋問を行います。
シグナム二等海尉、三佐以上の者の命令遂行中若しくは命令待機中でなければ直ちに護衛と見張りを兼ねて同行して下さい。
尚、命令系統に関しては特例として強制介入が認められておりますので、此の場で私の命令を受諾した事による被害に関しては特殊監査部が保障致しますので御安心下さい。
それとこの件に関する詳細情報を其方に転送しましたので、私の発言が不信ならば急ぎ確認して下さい」
「いえ、八神部隊長よりその旨は聞き及んでおりますので、その心配は無用です。
それと……同行に異論はありません」
「了解。
ならばシャリオ・フィニーノ一等陸士を連れて最寄りの取調室若しくはそれに類する場所への先導を」
「………分かりました。
フォワード陣は別命あるまで全員その場で待機。
………行くぞ、シャリオ…一等陸士…………」
「……………はい」
あまりの言い分に反論しそうになったシャリオだったが、言っている事は一切間違っていない事を十分理解しており、又、迂闊な反論は却って自分の首を絞めると理解したので大人しく同行することにした。
だが微塵も納得いかないスバルが速人に反論をする
「待ってくだ―――」
「シグナム二等海尉は別命有るまで待機と言った。
別命が無いにも拘らず待機命令を放棄するならば、それは自身の問題だけではなくシグナム二等海尉の管理能力を問うことになると理解するように」
「―――さ……い……………っっっっ!!
シグナム副隊長は天神さんの身内じゃ―――」
「止せスバル。
天神…特殊監査官資格保持者が言っている事に間違いは何も無い。
あとお前が今話そうとしていたことは、管理局員として言ってはならない事の一つだ。局員としてやっていくのならそれを速やかに自覚しろ。
そしてもう一度言う。別命有るまで待機していろ」
「―――ないん……で…………………」
速人とシグナムに鰾膠も無く言葉を遮られるスバル。
しかし全く納得出来ていないのがハッキリと見て分かる程、スバルは速人とシグナムの言葉を不服としていた。
そしてスバルが暴走しだしているのを感じたティアナは、未だ喪失感や空虚感が身体に満ちていたが、スバルの暴走の大本の原因は自分であり、又これ以上自分が原因でスバルに迷惑を掛けたくないと思い、何とかエリオとキャロと一緒にスバルを抑える。
「落ち着きなさい、バカ!
これ以上は命令違反で本当に拘束されて連行されるわよ!?」
「スバルさん落ち着いてください!
少しお話しするだけみたいなんですから!」
「そうですよ、落ち着いてくださいスバルさん!
今スバルさんが何かしてもシャーリーさんにシグナム副隊長、それにスバルさんの上司のなのはさんの立場が悪くなるだけですって!」
「っっ!!そんなのおかしいよ!
だってシャーリーさんは天神さんと同じ六課の仲間なのに何であんな目に遭うの!?
そしてそれに文句を言って何で同じ六課の人の立場が悪くなるの!?
だいたいシャーリーさんは何も悪いことなんかしていないのに、それを犯人みたいに扱う天神さんの方がよっぽど悪い人だよ!?
なのになんでみんなそんな風に納得してるの!?」
スバルの疑問と呼びかけを意に介していない速人はシグナムに先導するよう眼で促し、シグナムは無言でシャリオを連れて先導を開始した。
シグナムに連れられているシャリオはスバルに落ち着く様に一声かけようかと思ったが、スバルとの会話が長引いたらスバルが速人にどんな容疑を掛けられるか分からなかった為、少しでも速くこの場から自分が離れることが最良と思い、黙して何も語らず唯シグナムに連れられるままになっていた。
そしてそのままスバルに全く構わず速人達はドアまで移動し、ドアが開いて廊下にシグナムとシャリオが出た時にスバルは速人達が何処に居るかを改めて知った。
「っっ!!?待って下さい!!」
その声と駆け出すだけならば然して問題は無かったのだが、走るだけでは間に合わないと思ったのか、あろうことか実戦と訓練や試験時以外にデバイスを起動させ、しかも上官と上官相当にスバルは突進した。
「「「スバルッ(さんっ)!!?」」」
ティアナ達の制止を振り切ってスバルは瞬時にバリアジャケットを纏い、そしてマッハキャリバーで速人の前まで割り込ませたウイングロードを疾走した。
―――
スバルとしては決して上官や上官相当に反逆する意志は無かった。
唯、速人にシャリオを犯人扱いする事を思い止まってもらうよう、説得するだけのつもりだった。
しかしそれは言い訳出来ぬ程上官反逆罪であったのだが、スバルの中では仲間を犯人扱いする速人が悪人で、自分は仲間を助けるのだから何も間違っていないと疑いも無く本気で思っていた。
どうやらスバルは短い間とはいえ師とも呼べるなのはに汚染されたのか、猪突猛進や視野狭窄や独善性や極度の自己正当化という、似ずともよい所まで似てしまったらしかった。
しかも最も似ずとも良い【自身の甘い判断を裏打ちにした自信】という悪癖や汚点と言うより、もはや欠点以外の何でもない箇所まで似通っていた。
なにしろ上官反逆は自分にはする意志が無いから問題無いと思い、命令違反は速人を悪者にすることで正当化するという所もなのはに似ていたが、それ以上にシグナムは自分が仲間のシャリオを助ける事を邪魔しないと思い込み、更にはとりあえず速人を殴ってでも止めてその後ゆっくり説得すれば殴った事も問題に成らないと本気で思っており、その思考は正しくなのはの劣化模造品とも言えるモノだった。
特に自分が相手から絶対に傷を負う事すら有り得ないと、宛ら自分を絶対者のように勘違いしている点などは生き写しと言っても良いほどであった。
―――
そしてそんなスバルの内心を読み取ったのか、速人は腕を振り被って突進してくるスバルに常時している平淡な眼差しを向け、それと同時にシグナムが慌てて迎撃しようとしていたが、速人は左腕を上げてそれを制しつつ、それと同時に右半身を捻って勁力を蓄えた。
そして、殴り飛ばすとも突き飛ばすとも、どちらとも言える腕の振り被り方で速人に突進してくるスバル。
しかし碌な格闘技術も無く、軌道予測がし易いウイングロードの上を愚直に疾走しながら自動二輪並の速度を乗せただけの一撃は、一定以上の迎撃能力を持った者には然して脅威ではなく、寧ろ唯の狙い玉だった。
だがそんなことに気付かず、魔法が使えない相手からは反撃すらないと思っているスバルは腕を振り被って叫びながら速人に迫ってきていた。
「はあああああああっっっ!!」
最早誰が如何見ても攻撃行動にしか見えない行動と様相で、成人男性を余裕で撥ね飛ばせる速度で腕を振り被って速人の前に回り込もうとするスバル。
しかし速人は上半身を反らすだけでスバルの突進をあっさり躱し、そして上半身の反らしすら勁力に変え、正確にスバルの重心点に発勁の変形回し蹴りを放った。
「すあ″っっっっ!?!?!?!?」
肺から空気を強制的に吐き出させられた時に奇妙な声を上げつつ、スバルは若干押し戻される様に進路を90度以上変えられて壁に突っ込んだ。
バリアジャケットのせいなのか、それともスバルの身体構造が特殊なのか、人が壁にぶつかった時に発する筈の無い音を撒き散らしてスバルの突進は止まった。
対して速人はスバルの突進を若干押し戻す様に蹴りを入れた為、少少軸足の関節が痛んでいたが半日程安静にすれば治る程度のモノで、スバルと違って特に問題は無かった。
あまりの結果に呆然となっているフォワード陣を無視し、速人は気絶していると判断しながらもスバルに告げる。
「処分は上司を介して通達する。
以上だ」
そう言って速人は廊下に出ながらシグナムを眼で先導するよう促し、そして直ぐにドアが閉まり速人達は見えなくなった。
後に残されたのは未だ沈黙してピクリとも動かないスバルと、それに心配そうに駆け寄るティアナ達だけだった。
―――機動六課のとあるロビー―――
■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
―――機動六課部隊長室―――
機動六課部隊長室。
其処は名前が示すように機動六課という部隊の長が居る室であり、又其処の主は機動六課では最も礼節を払われるべき役職に就いているとも言えた。
だが現在機動六課の一員である高町なのはは殴り込む様に部隊長室に押し入り、そして開口一番その部屋の主であり機動六課の最高責任者の八神はやてに敵意も露に怒鳴り散らしていた。
「どういうことはやてちゃん!?
何でスバルが怪我負わされたのに何もしないの!?
いや、そもそも何で会おうとすらしないの!!?」
それをあまりの肺活量で発せられた怒声の為、少し耳鳴りがする耳を揉みながらはやては返事をした。
「と、とりあえず落ち着いてやなのはち―――」
「落ち着いてなんかいられないよっ!!
シャマル先生に診せたらしいけど、異常があるかもしれないからって本局のスバルの担当医を呼び寄せる程酷かったらしいんだよ!!?
それにシャーリーなんか色々有りもしない疑いかけられて取り調べ中だっていうじゃない!!
なのに何でそんなに平気そうな顔してるの!!??」
「―――ゃん……………って、あああああ!?!?
お、お願いやからその書類唾で汚さんでや〜〜!
また嫌味代わりに現場や捜査の権限を制限されてまう〜〜〜」
「っっ!!今はそんな書類の事なんかよりスバル達の事の方でしょ!!?」
そう言って乱暴にはやての執務机を叩くなのは。
そしてその振動ではやてとは反対方向に紙の塔が崩れだし、それを食い止める為に飛んで駆けつけてそれを支えるツヴァイ。
「むんっ、です!
って……あわわわわ!?」
何とか紙の塔の崩壊を支えたかの様に見えたが、しかし体格や力負けが原因で紙の塔を支えきれず、結果紙雪崩に巻き込まれて机から書類と一緒に押し出されてしまう。
が、床に落下して書類に押し潰される前にリインフォースがツヴァイを掬い上げ、そしてツヴァイに圧し掛かる筈だった書類は机に向かって掬い上げ気味に差し出されたリインフォースの掌から二の腕辺りに辛うじて全て乗っており、ツヴァイに降り注ぐのを阻止していた。
そして何とか書類の順序を乱さずリインフォースとはやては協力して書類を元の形に戻し、それから両者ともツヴァイに声をかけた。
「大丈夫か?紙で肌を切っていないか?」
「平気か?腰とか肩とか痛めとらんか? 」
ほぼ同時にかけられた言葉だったがツヴァイは両方聞き取ったらしく、笑顔で胸を張りながら返事をする。
「大丈夫です。ツヴァイはこれくらいへっちゃらです!」
そんな過保護とも取れる遣り取りを見て少しは落ち着いたのか、なのははバツが悪そうな顔をしていた。
そしてそこに呆れと怒りが混じった声でリインフォースが声をかける。
「漸く落ち着いたようだな。
もしまだ落ち着いていないのなら………凍結魔法で頭以外を氷漬けにしてやるから………覚悟しておけ」
「………お、落ち着いたので結構です。
…………あと…………取り乱してごめんね、はやてちゃん。
はやてちゃんが私達が現場で自由に動けるよう頑張ってくれてるのに「そんな書類」なんて言って………」
「……まぁ、なのはちゃんの気持ちも分からんでもないからそんな気にしとらんよ。
なんせ帰還してみたら教え子が蹴り飛ばされて気絶したんで医務室に運び込まれた聞けば、まあ……ちょい慌てすぎな感もするけど、そないおかしな事やないて」
「だけど……ごめん。
それとツヴァイもごめん」
そう誤るなのはにツヴァイは胸を反らして言葉を返す。
「ツヴァイは大人ですからあんなことじゃ怒らないです。
だけどココに来た時みたいに、自分の事棚に上げてお兄さまを悪く言うのはドハツテンです。イカリシントウです。プンプンです」
腰に両手を当て、頬を膨らませてそう言うツヴァイ。
ツヴァイとしては怒っていると周囲に訴えているのだろうが、それはリインフォースとはやてを和ませ、そしてなのはに用件を思い出させるだけで本来の目的は微塵も達成されていなかった。
「ってぇっ、そうだ!
はやてちゃん!どうして―――」
「風邪になっても有給の心配が無いから安心だな」
「―――なにも……って………………………ハイ大丈夫デス落チ着キマシタデスカラ周リノフリジットダガーヲ消シテ下サイ」
机に両手を突いてはやてに詰め寄らんばかりに身を乗り出したなのはだったが、その瞬間頭部を除いた全身に向けて全方位からフリジットダガーが急速接近しているのを視界に納めたので、急遽詰め寄るのを中断して辛うじて氷漬けになる事態を回避した。
そして額に冷や汗が流れているなのはを見つつ、リインフォースは溜息交じりに言い放つ。
「発言と行動には気を付けろ。
私はまだ公私混同気味で甘いから氷漬けに成らずに済んでいるが、普段のココでその様な事をすれば普通に刃傷沙汰の後に更迭されるから覚悟しておけ。
それともう一つ忠告しておくが、私が甘いといってもなあなあで済ませる程甘くは無い。何より次にツヴァイが危険な目に合うような行為や主の苦労を踏み躙る行為をしたならば上官反逆罪を盾に……………………?ぐぞ。
………更迭や連行をされたくなければ行動を少しは自粛しろ」
「………はい……………今度から気を付けます」
リインフォースの言葉にあっさりと納得して引き下がるなのは。
―――
普段は自身の行動に重大な過ちがあると認めず、そして自分以外が話し合いの途中で攻撃行動を取る事を認めないなのはだが、速人によく似てズバ抜けた判断能力を持っているが最低限の人間味を判断に混ぜるリインフォースの言い分にはどうにも反論し難いらしく、少少隙の有る理論武装と情に依った主張を併せ持つリインフォースの発言は、なのはにとっては兎に角反論し難いモノだった。
なにしろ速人と違って理論だけでなく情も交えて相手を説き伏せようとするリインフォースの言い分を聞くと、合理的にも社会的にも間違いと指摘された挙句、人倫的にも道徳的にも間違いと指摘されるので全く反論出来ず、なのははリインフォースが母の桃子やリンディ以上に逆らい難い存在であった
尤もなのはにとっては先の二人と違ってリインフォースは凄まじく苦手で、嫌いではないが可能ならば平時は顔を会わせたくない存在であった。
―――
そしてあっさり納得したなのはを見、何度も言う必要も無いだろうと思いリインフォースはそれ以上言葉をかけるのを止め、取り敢えず書類の塔の一番上の書類をツヴァイと一緒に引っくり返してなのはが見えないようにしていった。
そんなリインフォースとツヴァイを視界に納めつつも特に何も言わず、なのはは今度は落ち着いてはやてに問う。
「それではやてちゃん……………スバルを蹴り飛ばしたりシャーリーに有りもしない疑いをかけて閉じ込めているっていうのに、どうして何もしないの?」
語気が荒くなりそうななのはだったが、語気が荒くなれば頭に血が上ってうっかり暴走してしまいそうだという自覚があり、そしてそうなれば今度こそ自分は氷の彫像になってしまうと理解していた為、普段まるで働かせていない自制心を限界近くまで働かせていた。
「どうしてって…………そりゃ止めるだけの理由も用意出来とらんのに、ホイホイと気安く人の仕事の邪魔は出来んやろ?」
はやては懸命に自制するなのはを見、改めて裏方や後方支援にはまるで不向きだと認識し、内心で、
(武勲や戦闘能力だけで軽々と昇進させるのはやっぱ問題ありやな〜。
なのはちゃんには悪いけど、なのはちゃん見てると良い人が良い上司になれるワケやないとつくづく思うしな〜。
………そら功績や実力に対して報奨を出すいうんは分かるんやけど、そうホイホイ昇進させるんやなくて昇給でもいいと思うんやけどなぁ…………。
まあ、お金以外に地位や権力………良く言えば理想を具現化するのに必要な力……やろか?………まあ兎に角そういうんを欲しがるんは一杯居るし、それに働きや実力に対してお金しか出んのやったら別に管理局に入らず余所の民間企業の用心棒にでも就くやろしな…………。
多分高ランクの魔導師が管理局に入る理由の一つに、お金以外に地位や権力いうのも有るやろから、高ランク魔導師を逃がさん為にも厚待遇しとるんやろけど…………そういうんが海に黙って引き抜かれたりする理由になって、そんで軋轢生む要因に成ってるんやろな………)
と、考えていた。
無論考えている事を億尾にも出さず、取り敢えずなのはが言いたい事を言い終わるまで黙って聞くことにした。
「止める理由ならあるよっ。だってスバルを派手に蹴り飛ばしたんだよっ?
他にもシャーリーに有りもしない疑いかけて尋問したりしてるし、それにシグナムさんをはやてちゃんの許可なく勝手に見張り役にさせてるんだよっ?
呼び出す理由なら、スバルに怪我を負わせた事と、シャーリーに有りもしない疑いを掛けた事と、シグナムさんを勝手に見張り役にした事と、三人分の業務を滞らせた事と、規律を乱した事と、合わせて5つもあるんだから直ぐに呼び出して馬鹿な真似を止めさせてっ」
怒鳴りだしてはいないが相当に荒い語気で話された内容をはやては聞き、そして言いたい事を言い終えたと判断したはやてはなのはに溜息が出そうになるのを堪えながら返事をする。
「なのはちゃん…………ソレ…………言ってる事は嘘やないけど……………相手の理由とか立場とか完全無視した発言やで?
あと……もしかして………話の触りしか聞いとらんの?」
「きちんと聞いてるよっ。
特にスバルが蹴られた時の事は映像で見たよ。
………躱すだけで済んだのに…………わざわざ蹴って傷付けるなんて……………………許せない」
表情に表す分の怒りを声と眼に充てるなのは。
それに内心で凄まじい溜息をついたはやてがどういう風に柔らかく説明しようかと悩んでいた時―――
「大概にしておけ」
―――と言う声がなのはに投げ掛けられた。
なのはが声をかけた者の方を見ると、そこには憮然とする程なのはへの評価が高くない為に憤慨気味のリインフォースがなのはを見ていた。
そしてなのはの視線を受けたリインフォースは、先程の発言の説明をする事への煩わしさを感じつつも、それよりも文句を混ぜた注意と説明を言った方が気は晴れると思い、少少怒りが篭った声でなのはに告げた。
「先ず、管理局員としての意見を言わせてもらう。
ナカジマへの対応だが、バリアジャケットを纏い且つデバイスを戦闘モードで起動させ且つ魔法を使用して上官相当に命令無視をしながら突撃したのだ。本来ならば規律違反以前に暴行罪等で立件されても文句は言えぬところだが、処遇をここの責任者の主に全て一任したのだから、感謝はすれども文句を言うのは筋違いも甚だしいぞ。
次にシャリオへの対応だが、就業時間中に無許可で出撃待機命令が解除されていない者を一箇所に纏めて精神の安定を欠きかねない映像を見せようとしていたのだ。万が一再度ガジェットの襲撃等で待機していた者達が出撃する際、精神の安定を欠いた状態で出撃し、結果出撃した者達が死傷するだけならまだしも、任務に失敗し最悪一般人にまで被害が発生し、機動六課が槍玉に挙げられ現場での行動を制限される事を考えたならば、敵側と通じていると考えてもそこまで不自然なことではない」
怒り混じりのリインフォースの指摘を聞き、なのはは微塵も納得は出来なかったが、少なくともそういう見方が在るとだけは辛うじて理解したので、少しは裡で渦巻いていた怒りが鎮まった。
そしてなのはの怒りが若干静まったの見てとったリインフォースは、自身の怒りや苛立ちも少しは鎮まるのを感じながら話を続けた。
「次に個人としての意見だが…………そもそもお前がランスターへの管理や対応を誤ったのが大元で、更にはそこからお前の管理や教育が不十分だったナカジマが暴走する原因になったのだ。
本来ならばお前に糾弾する資格は微塵も無く、寧ろお前が糾弾されるべき立場だというのを忘れるな。
後……………もしナカジマの攻撃を受けて怪我をしていた時にあのような事を言ったのなら………………………私が怒りと制裁と怒りと粛清と怒りと八つ当たりと怒りと遣る瀬無さとその他諸諸を載せた攻撃を放ち、お前を強制的に病院のベッドで療養させているところだったぞ………」
敵意は兎も角、唯傷付ける事や殺す事が目的の害意や殺意に耐性の無いなのはは、真正面からリインフォースに害意を叩き付けられ、顔面蒼白にして背中に冷や汗を掻きながらも辛うじて返事をする。
「だ…大丈夫だよ……です……。
い、いくら私がちょっと暴走しがちだからって私の教え子が怪我させたのに謝る前に文句なんて言わないって………です」
「なのはちゃん…………その喋り方メッチャ変やで?
あとリイン………あんまなのはちゃんを脅かさんでやってや。
めちゃくちゃ怖がっとんやんか…………」
「いえ、脅しではなく唯の事前通告です。
相手が大人しいからと過ぎた暴言や暴行を行えば、代わりに私が怒りの言葉を吐き、そして怒りの拳を振るう、と。
悪評や怪我を気にせず歩み続けるならば、せめて私が傍で其れ等を掃い、気持ちを汲み取り続けようと思っていますから………」
「あー……うん…………言いたい事は分かるしスゴクイイことと言ってると思うんやけど…………とりあえずその自覚無しの惚気話はやめてくれんかな?」
顔も声も眼もにこやかに笑ってそう言うはやてだったが、その身に纏う雰囲気が暗に【ツヴァイの勘違いの火種を爆炎にする様な発言は止めろ!】と語っていた。
そしてそれを直ぐに理解したリインフォースだったが、既に吐いた言葉を戻す事など出来ず、とりあえず急ぎツヴァイの方を向いたのだが、そこには案の定上機嫌な顔をしたツヴァイが居た。
何も言わずニコニコ顔で浮いているツヴァイを見、リインフォースは内心直ぐに誤解を解きたかったが、あまり話の脇道に逸れるわけにもいかないので後で誤解を解こうと心に決め、はやてに眼でその旨を伝え、とりあえず話を続けてもらうようにした。
リインフォースに眼で促され、はやては内心でツヴァイの誤解を解くのは速人がリインフォース以外の誰かと恋仲に成らない限り無理なんじゃないだろうかと思いつつも、とりあえず話を戻すことにした。
「っと……ちょい脇道に逸れてもうたな。
んで話を戻すんやけど…………、リインが言うたようとりあえず速人はんを責める理由は無いんよ。
…………たしかになのはちゃんが教え子を傷つけた速人はんに厳重注意なり罰則なり下してほしいのは気持ち的に分かるんやけど…………ちょいと考え方が大袈裟過ぎると言うか慎重過ぎる気もするんやけど、違反しとらん以上は個人の裁量の範囲やから、上司の私でも文句や注意じゃなくて意見しか言えんのやけど…………それでいいなら一言意見を言うとくけど………もちろんそれで納得は………」
「当然しないよ。
うん………たしかに局員としては間違ってないから注意も出来ないし謝る必要も無いかもしれないけど…………………だけど……………………どんな理由であれ人を傷つけたんだからキチンと謝ってもらわないと納得出来ないよ………」
「……………………………………まあ……局員としてじゃなくて個人として何か言うたり行動するんやったら別に構わんと思うで。
無論最低でも相手に個人として話していると認識させんと駄目やけど。……あと、出来たら周りにも気い遣ってほしいけどな」
内心で「ティアナを墜とした時になんでそれをしとらんの?」とツッコムべきかどうか悩んだはやてだったが、今の頭に多少血が上った状態で言っても話が拗れるだろうと思い、速人と話して落ち着いた時に指摘すればいいだろうと思い、この場で指摘する事は一先ず止めておいた。
そしてリインフォースもはやてと同じ結論に至ったのか特にツッコミは入れず、はやての意見に同意しながらたった今入った報告を告げる。
「私も同感だな。三佐相当権限の下での正当な行動を、一尉が一方的に糾弾すると色色と問題があるからな。
それと今尋問という名の取り調べが終わり、今は一人その場で調書や報告書を作成中とのことだ。
話すならば今がうってつけだろう」
「! それじゃあ今からちょっとお話に行って来るよ!」
そう言ってあっと言う間に部隊長室を出て行ってしまったなのは。
ドアの向こうに消えていったなのはの方を見つつリインフォースが呆れ気味に一言呟いた。
「ノックもせずに入り込みそうな勢いでしたね………」
「いや、ノックはすると思うんよ。ただ返事を聞かんで入りそうやけど………」
見事な暴走列車ぶりのなのはを見てはやてとリインフォースは、以前は人見知りしがちなスバルが今の様に成ったのは、間違い無くなのはを目標にしたのが原因だろうと確信した。
「………弟子が師に教えを受けて感化されるのは当然だが、師も弟子から学ぶ故に弟子に感化されると言われるのだが………」
「………なのはちゃんの場合、スバルが一方的に感化されとるだけみたいやな………」
「ですね。
もしこれでランスターまで高町同様の思考に成ってしまったならば………フォワード陣は特攻組とでも名を変えなければなりませんね」
「やね。
なのはちゃんやスバルのようなムードメーカーは大切な存在やけど、チームの半分以上居ると暴走した時に歯止めが効かんからね。
…………やっぱストッパー役も兼ねてギンガに来てもらおかな。
…………もしかしたらティアナが少し一人で考る時間が欲しいて言うて来るかもしれんし……」
「そうですね。
それに局員の立場としても個人の立場としても隊長陣とフォワード陣の橋渡しが出来る稀有な人物です。
陸戦Aと言う魔導師ランクも魅力的ですが、局員の立場や人間性も非常に魅力的ですし、やはり六課に出向してもらえるように話をつけるべきでしょう」
そう話を纏めたリインフォースは先程から黙っているツヴァイが気になり、ニコニコ顔で浮かんでいるツヴァイに声をかけた。
「…………ツヴァイ…………先程から黙っているがどうかしたのか?」
「あ、大丈夫です。なんでもないです。ツヴァイは元気一杯です。
ちょっとお姉さまとお兄さまと一緒に暮らしている光景を夢見ていただけです。あ、そこにはキチンとはやてちゃんも愛人としていますし、ヴィータちゃん達も家族として一緒に居るですよ?」
眩しい笑顔でそんな事を言うツヴァイ。
だがそれを聞いたリインフォースは頭を痛め、愛人扱いされたはやては頬を引き攣らせていた。
「……どの様な夢を見ようが文句は無いが、とりあえず私は―――」
「―――いえ!夢じゃ終わらせないです!何としてでも実現させるです!
六課が解散するまではミッドチルダに居るってお兄さまは約束してくれたんですから、アリサが居ない間に何としてでも幸せな家庭を作るです!!」
海鳴に居るアリサを幻視して闘志を燃やすツヴァイ
そんな若干別の世界に行きかけているツヴァイにはやては落ち着かせようと一声かける。
「私の扱いに対する文句は一先ず置いとくとしてや、別にアリサちゃんをそんな敵視せんでもええと思うで?
速人はんとアリサちゃんは正真正銘完全無欠に友達なんやから、速人はんとアリサちゃんが恋人になることなんてありえんで?」
「そんなことは百も承知です!
寧ろツヴァイはあの女がお兄さまを誑かし、どこか遠くに旅立たせようとする事を危惧してるのです!」
「誑かすて…………」
「誑かしてるです!
現にあの女が余計な事を言ったからお兄さまは家を出て行ってしまったですよ!?
…………あの女はツヴァイの夢の前に立ち塞がった最大の敵です………」
静かに敵対宣言をするツヴァイ。
それを聞き、はやては少し困り気味の顔でアリサのフォローをした。
「いや……別にアリサちゃんはただのキッカケやで?
どの道速人はんは私らがコッチに越した時には、別の家に住む気満々やったで?」
「そんなのは関係ないのです!
現にツヴァイの予定表ではあと半年お兄さまが家に居れば、お姉さまと完全無欠にラブラブになってたです!そしてこっちでツヴァイと三人で幸せな家庭を築くはずだったんです!
それをあの女が余計な事を言ってツヴァイの夢とお兄さまとお姉さまの仲を引き裂いてくれやがったです!
…………………今度会ったらヴィータちゃんに作ってもらったこの【ぐらーふあいぜんJr君しにくされ】で叩き潰してやるです!」
そう言って何処からともなくグラーフアイゼンの小型版を取り出し、力強く握り締めて頭上に翳すツヴァイ。
そして頭上に掲げた後えらく気合の入った掛け声で振り回すツヴァイを見つつ、はやてがポツリと呟いた。
「…………ツヴァイの本来の予定表じゃ、私らさり気無くハブられとるんやな」
「い、いえ、それは単にツヴァイの言い忘れかと………」
「……………深く考えると鬱になりそうやから仕事するわ……………」
そう言って仕事に没頭し始めるはやて。
どこか落ち込んだ感じのする雰囲気を纏いながらも間違いなく超優秀に部類する速度で仕事をするはやてを見、どうフォローするかをリインフォースは考えたが、とりあえず仕事をしながら考え、そして仕事が終わったあとにフォローしようと決め、未だ空中で仮想のアリサに向かって攻撃をし続けるツヴァイを現実に引き戻して仕事に没頭し始めた。
―――機動六課部隊長室―――
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
とある可能性編 二つめ:とある騒動――――了
【後書】
またもやA‘S編の本編も幕間も終わってないのに何を思ったのかSts編を書くという暴挙に出てしまいました。
しかも今度は本編の息抜きに書いただけでなく、新たな書き方の練習も兼ねて書いているので、本当にツッコミ所満載ですが、それでも楽しんでいただければ幸いです。
それと尻切れトンボ的な終わり方かもしれませんが、この後の展開は容易に推測されるだろうから特に書かなくていいだろう、と思って書いてません。(一応万が一にでも需要が有るならば喜んで書きますが)
で、作中補足です。
【作中補足】(流し見する事を強くお勧めします)
● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○
【勁】
詳しく書くと500KBくらいになりそうなので簡略化しますが、要約すると勁とは【運動エネルギー】のことで、勁力とは【自身の身体で発生させた運動エネルギーを減衰させずに束ねられたモノ】で、発勁とは【勁力を特定の運用法で対象に作用させること】です。
尚、発勁とは勁力の運用法の一つであり、他にも寸勁や浸透勁といった一般に知られているものから沈墜勁や十字勁や纏絲勁や爆発勁や蓄勁や波濤勁やら其の他多数あります。
因みに速人が多用するのは主に前途したモノで、効果は以下の様な感じです。尚、発勁と浸透勁と寸勁は有名なので省いています。
(流し見と言うか飛ばし読みされる事を強くお勧めします)
1.沈墜勁
自重が重力に引かれて落下(墜落)する時のエネルギーを利用する技術。
但し、それには十字勁を要求され、十字勁により威力の集中を行います。又、瞬間的なものではなく、永続的に発揮し続ける事が可能になります。
2.十字勁
身体を上下左右の方向へ伸張させて微妙なバランスを取る技術。
平均台の上で転倒しないようにバランスを取る時の感覚が近いですが、安定させずに転倒と安定のギリギリの位置を維持する事によって沈墜勁を掌握する身体の技術です。
3.纏絲勁
身体の各関節で別れた部分を統合させる運動です。
人体は関節という接続部品で繋がれた物体であり、どの様にその連結を効果的に繋げるかが武術としては重要であり、その方法論として、分かれている部分を一斉に効率的に運動させる技術です。
4.爆発勁
横隔膜を瞬間的に移動させて得られる運動エネルギーを利用する技術です。
その練習法は内蔵を鍛える事から始め、筋肉を鍛えるのとは全く異なる過酷さを要求され、又爆発勁だけではその威力が四方八方に散ってしまうので、沈墜勁を発揮して威力の固定化を図る必要があります。
5.蓄勁
沈墜勁や纏絲勁を体内に留めた状態です。
矢を番えた弓は正に張りつめてエネルギーを宿している状態ですが、一見では分かりません。しかし、それに触れると一種のエネルギー感を感じるのと同じように、蓄勁で勁を溜めている状態は静謐を彷彿させるエネルギー状態です。
6.化勁
本来は形意拳の三段功夫を指す言葉ですが、現在では相手からの攻撃を吸収・拡散・避弾する事を指します。
現在の意味で使用すれば肋骨が粉砕する打撃であっても、力量次第では皹入ることすら防ぐことも出来ます。
尚、本来の形意拳の三段功夫は、形意拳の修行者が第一段階の明勁と言う剛的な発勁に類するモノと、第二段階の暗勁と言う寸勁等の動作が表に表れ難い柔的な発勁に類するモノの二つを、剛柔を相済したより進化した勁の運用の事です。余談ですがこの先に無勁という概念もあるそうです。
7.波濤勁
人体は水質であるという理念を基に、その水質に直接働きかける運動法です。
他の勁力応用技術とは異なり、西洋力学による説明が極めて困難且つ体得し難い技術ですが、本来なら中国拳法のどの技撃にもこの技術が用いられるほど中国拳法の原点とも言える究極の体の運用法の一つです。
具体的には天上●下の某高柳の様に身体を金剛石級に硬化させたり、他にも打撃の衝撃や圧力を全身に散らして威力を拡散したり、其の他諸諸ありますが、漫画の中の世界と思われがちな事が実現可能になります。
尚、6番目の化勁と併用すればライフル弾の直撃でも掠り傷で済むとか何とか…………。
以上です。
尚、基本的にこの六つは特に描写が無くても、速人は何気無い日常生活でも行っていると思って下さい。
余談ですが、速人にとって勁力を扱う事は戦う為に習得した武術ではなく、生存過程で自然に体得した体の操作法の一つです。要するに天才と言うより天然です。
● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○
【作中補足終了】
現在19話製作中なのですが、これがとんでもなく長くなっていっています。
正直三つに分けて投降した方が良いと思うのですが、分けて投降したならば三つ目の話が掲載されるまでツッコミ所満載な消化不良の話が掲載されるので不愉快にしてしまうかな〜、とか思ってますが如何なんでしょうかね?
と言うか、そもそもこのSSに需要が有るのか本気で謎ですが。(いえ、冗談や謙虚さなんて抜きで本気で)
………やはり需要を考えたらこのサイトらしく、恭也を主人公にした方が良かったんでしょうかね?
…………………若しくは子育て中のアセリア一家や、原初離脱後の時間樹冒険中のナルカナ達とクロスさせるとか…………………て、絶対パワーバランス崩壊しますね。
世界さえ選べば全員単独で管理局潰せるでしょうし。(いや、ユーフォリアは引き分けですかね?)
まぁクロスさせるとしても本編が終わってからですけど。
毎回好き勝手暴走しているSSを掲載して感想を頂ける管理人様と御読み下さった方に沢山の感謝を。
● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○
【おまけ】(没案になった恭也が主人公の概要)
―――
はやての誕生に駆けつける為はやての父親が運転していた車に恭也は撥ねられ膝を壊し、はやての父親はその時恭也を轢き殺さないために無茶にハンドルを操作して事故死。
紆余曲折はあったがその後ちょくちょく八神家に顔を出すうちにはやてに懐かれるようになった恭也。
その後はやての母親も死亡し、高町家に引き取られる筈だったはやてだったが、母親との絆の苗字や家を捨てたくないと一人で八神家に残る事を決意。
それからはグレアムの経済支援と恭也を筆頭に高町家の面面に支えられながら生活を送るはやて。
そしてはやて9歳の誕生日に八神家に居た恭也は魔法を知ることになる。
とらは3のフィアッセ編混じりの美由希編から分岐しており、美沙斗を殺してしまったことで美由希が皆伝になると同時に殆ど逃げるように八神家で暮らしだし、偶偶恭也の様子を見に八神家を訪問した忍に色色あって魔法がバレ、様様な思惑が混じりながらも月村家にそのままはやて達は移住。
シグナム達や恭也という家族と、早い段階ですずかという友人を得て幸せに暮らすはやて。(なのはとは恭也が家出同然に高町家を後にして以来疎遠)
だが書の侵食で余命幾許も無い事を知った恭也達は蒐集を決意。
しかし魔法技術を取り組んで驚異的な技術進歩と、夜の一族の高い基礎能力で魔導師に匹敵するほど強くなった忍と違い、ヒトという肉体の限界に悩みながら暗殺者若しくは殺戮者の道を選ぶ恭也。
そして本編とは違い、月村家を滅ぼそうとする夜の一族及び那美経由で悪霊等の位置を特定し、ソレ等から蒐集を行い、管理局の介入が無いまま蒐集を進めていく。(グレアムの監視は月村家には及んでいない)
そして蒐集が完了した時書が暴走し、そこで初めて管理局が介入しだす…………。
―――
【手抜きで終わる】
密かにこっちの方が面白かったんじゃなかろうかと思ったりもしましたが、ハーレムモノになりそうな予感がしたのと、オリジナル展開が強すぎるのと、ギャグを入れる隙間も無い程全編ダークシリアスになると思ったので没にしました。(今のSSも十分ダークシリアスだというツッコミは流します)
あと恭也が噛ませ犬に近い扱いになりそうなのが、このサイトではタブーだろうと思ったのが最大の理由ですが。
● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○
相も変わらない速人に何故か安心してしまう。
美姫 「でも、こっちの話だと更に二人ばかり速人を援護する人も居るわね」
確かに。特にツヴァイが、シリアスで続く中の清涼剤のように。思わず和んでしまいます。
美姫 「今回もまた楽しませてもらいました」
ではでは……の前に、投稿に関してはうちは何でもありなので問題なしです。
美姫 「そうそう。好きなようにやっちゃってください」
ではでは。