この話はSS【八神の家】の幕間ではなく、もしも(IF)の話です。
ですのでSS本編がもしStSまで進めば、必ず相違点が出る代物です。
ですから二次創作のIFを了承できる剛の方以外は読まれないのが賢明です。
注1)速人のインチキ級能力でリインフォースが空に還らず闇の書の闇はどうにかなっています。
注2)階級に関しては自衛隊で使用されているものを流用していますが、将官の階級は原作通り第二次世界大戦時の日本軍の階級名に倣っています。また作中階級が明記されていない面面の階級については作者の捏造設定です。
注3)速人の外見年齢はリインフォースと同じかちょっと幼いぐらいです。(髪の長さはリインフォースとフェイトの中間程度で、ストレートです)
注4)速人ははやて達とは暮らさず一人暮らしです(住所登録は地上本部近辺の見た目廃墟のアパートです)。
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魔法少女リリカルなのはA‘S二次創作
【八神の家】
とある可能性編 二つめ:とある騒動 其の伍
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――― とある訓練場 ―――
ティアナが思考に耽っている最中、スバルを拉致していた速人は特に隠密行動もせずティアナが視認出来る場所まで移動してきていた。
そしてエリオに注意されて辛うじて速人らしき物体を視認したティアナだったが、相対距離が600m以上も在る為、自身の間合いまではかなり距離が離れている為、その間に急いでこれからの対策を考えだした。
(…とりあえずあの速度ならあたしの間合いに入るまで後5分はかかりそうだから、その間に急いで対策を考えなくちゃ。
……まずあたしの精密狙撃間合いは最長でも150m以内、通常狙撃が約400メートル以内なんだけど、…………なんか天神先輩相手だとゼロ距離で撃っても躱されそうね。
……ていうか、さっきスバルを拉致った時の回避行動を見る限りじゃ、ホントに眼が二つだけなのか疑う程死角からの攻撃を避けまくってたし、どういう運動神経と反射神経をしているのか知らないけれど、シュートバレットだけじゃなくてカートリッジ無しとはいえクロスファイアーを当たり前のように片手で迎撃してたわね。
………もしかして範囲内全体攻撃以外の攻撃って全部迎撃か回避されるんじゃ……って、そういえばいつだったかヴィータ副隊長が訓練の合間にポソッと[判断力や単純な技量なら、アタシよりハヤトがブッチギリで高いぞ]って言ってたから、強ち的外れじゃ無さそうね。
っていうか、以前スバルが本気を出してた吶喊をアッサリ蹴り飛ばしてたのを考える限り、バリアジャケットを纏っていても気絶する程の一撃を放てるんだから、さっきの立ち回り込みで考えるなら、最低でも完全近接限定の陸戦Cで、予想ではA。そして空戦魔導師や広域殲滅タイプの魔導師以外じゃ多分陸戦AAA+〜S+でしょうね。
…………やっぱり詰みね。
知識は超巨大図書館に対して子供落書き帳程の差。個人戦闘力は超凄腕の近接限定の暗殺者に対して能力任せの平凡な半人前程の差。容赦の無さは史上屈指に対して傷を舐めあうのがデフォ程の差。
おまけに相手は逃げても勝ちは拾えるけれど、こっちは逃げれば負け確定。
しかも奇跡的に勝ててもその後は針の寧ろだし、そうならなくても実戦じゃ人死にを出す程の間抜けなミスを立て続けにしているから、勝っても評価の低下に歯止めをかけるだけで上昇修正は無し。
と言うか、ここで勝てても既にヤラセとしか思えない程勝敗が見えてるんだから、ここであたし達が勝てばヤラセをしたと避難の嵐。逆にあたし達が負ければ質量兵器を持たない非魔導師に完封される役立たずの烙印をあたし達だけじゃなく、最悪六課全体にまで押されてしまう………のだけれど、やっぱりこの結果は無いわね。
あの[滅私奉公人]の天神先輩がどっちに転んでも六課の損にしかならない状況は絶対に作らない筈。
って言うか、初めから無抵抗で天神先輩が負けても無駄な時間を使うだけだから、この模擬戦は少なくても単純な勝ち負け以外の目的があって天神先輩は受けた筈。
そしてあたし達がその目的に気付き、今からでもその目的に乗ったなら、多分お偉いさんの心象は有耶無耶になった上にあたし達はレアな経験ができるという終り方ぐらいは出来る筈。
………と言うか天神先輩の目的は多分あたし達に経験を積ませることでしょうね。
仮に普段の模擬戦の様に天神先輩に訓練をつけてもらってたら、まず間違い無くなのは隊長やフェイト隊長が即座に止めるから、こんな状況でもなきゃ実践宛らの訓練なんて出来なかった筈だし。
…………つまり……この現状を打破するためには天神先輩の目的にあたし達が…………と言うかあたしが気付いたとそれとなく知らせて、それから天神先輩が作る流れに乗ることね。
…………なんかやたらと穴だらけな感じがするけど、これ以上はフォワード陣の一陣員のあたしじゃなくてが管理や運用する側の問題でしょうから、情報不足のあたしが考えてもこれ以上の事は推測できそうにないからヤメた方が得策ね。
それじゃあ穴だらけの作戦だけど、なんとか成功させてこれからのあたしの未来と六課の未来の為にも頑張らなくちゃね。
…………………と言うか今のあたしの立場というか考えって、絶対に現場指揮隊長と後方指揮官が合わさったものよね。
……そう考えたなら今回の模擬戦は凄く有意義よね。
将来執務官になるなら絶対に役に立つし。
…………何か絶望的な状況の上逃げも隠れも出来なくて、しかも穴だらけの作戦の上に暴走危険の高い仲間と挑まなきゃいけないし、トドメに勝つ確率がまず無い上に単に勝ってもその後は針の筵で良い事無し。
………ここまで希望が無きゃ逆に清々しく強気に出れるわね。
……………さて、と。
それじゃあそろそろ天神先輩が間合いに入るけど、一体どうやってあたしが天神先輩の思惑をある程度理解した上で乗るんだって、それとなく伝えればいいのかしら?
……………まあ、何もしなくても普通に気付くでしょ。
副隊長達が言うには天神先輩は、[空気は殆ど読めてないけど、考えてる事は殆ど読めてる]って言ってたから、大丈夫でしょ)
考えを纏めたことと速人が接近していた為思考の海から脱したティアナは、その時漸く近くのエリオが心配と不信と焦燥、他にも色色な負の感情が混じった顔と眼で自分を見ていることに気付き、急いで自分の考えを伝える。
「エリオ。絶対に先制攻撃はしないでちょうだい。
絶対とは言えないけれど、少なくても今までの天神先輩の仕留め方を考える限り、後の先タイプか先の先タイプの筈よ。
ヴィータ副隊長の受け売りだけど、カウンタータイプは相手から攻撃させるのが一番よ。そしてアサシンタイプには現状見晴らしのいいこの場所に陣取る以外対処法が思いつかないわ。
だからエリオは天神先輩をひたすら足止めしつつ、あたしが放つ射撃魔法に巻き込まれないようにしてちょうだい。
そして抜かれてあたしに天神先輩が向かってきたら、無理して止めに入る必要は無いわ。
あたしが攻撃を受けた瞬間に攻撃を仕掛けてあたし諸共仕留める。
分かった?解ったわよね?
後、これより良い案があるならすぐに言ってちょうだい。
ただし厭だから他の案にしてなんて意見は聞く気は無いし、議論する時間も無いからしないでちょうだい。
あたしが聞いてるのはこれより良い案が有るのかどうかだけよ。
分かった?解ったわよね?
なら直ぐにはいとかYesとかJaとかOuiって言いなさい」
「そ……そんな…………」
「ああもう時間が無いから返事はいらないわ。
少なくてもエリオが天神先輩と接近戦をしてるとバンバン天神先輩目掛けて射撃魔法を撃つから、エリオはそれに当たらない様に注意してちょうだい。
それと抜かれた後の対応は好きにしてもいいけどあたしの邪魔はしないでちょうだいね。
数に物言わせた自爆に巻き込んで倒すつもりだから。
分かった!?解ったわよね!?
要するに作戦を破るならせめて邪魔はしないでってことよ!?
それじゃ返事は別に要らないから前を向くっ!!!」
「は、はいぃっっっ!!」
何所と無く訓練時のヴィータの劣化版とも言える雰囲気をティアナから感じ取ったエリオは、納得は全くしていなかったが半分反射的に即座に了承の返事をした。
――― とある訓練場 ―――
――― とある観戦場 ―――
「スターズ分隊隊長高町なのは一等空尉、頭は冷めたか?
頭が冷めて落ち着いたならば敗北の判定要員なので通信を許可するが、そうでないならばそのまま蚊帳の外に居てもらう」
「お、落ち着いた!落ち着いたから!
だから早く解放してくれないかな!?」
「………………上官に対する礼節以前に、全く反省もしてなければ落ち着いてもいないようだな……」
そう言いながらリインフォースは目の前に転移させたなのはの顔と言うより頭部全体を、宛ら自分の庭に投げ込まれたゴミを見るような眼で見ながら告げていた(リインフォースの今の心情は、[ゴミを庭に投げ込んだ者達は許すまじ]であった)。
そして何故問題を矢鱈と起こすなのはが六課に在籍し続けられているのかという理由を思い出し、そしてその理由を消し、なのはの問題行動を封じる為にこそこの模擬戦を承諾したのだと思いだしたリインフォースは表情こそ変えなかったが、内心から溢れ出す不快感を隠そうともしなかった。
―――
なのは(とフェイト)が六課に居る経緯は、簡単に言えばリンディとクロノのゴリ押しだった。
はやてはカリムの依頼を受ける際に、依頼を完遂する為の準備の協力及び夢の応援として部隊設立に尽力してくれると聞き、カリムの依頼が自分の夢に対立しておらず且つ姉のように慕っている上に恩も有るカリム達ての依頼なので、部隊設立に尽力してくれるという打算も僅かに働いたものの恩返しの意味を多分に込めて直ぐに了承の意を返した。
それから直ぐにカリムは行動を開始したのだが、いくら本局所属の少将とはいえ、管轄の違う地上に新たな部署を設立するのは酷く難航した。
だが、そのことをカリムは茶飲み友達と呼べる速人とリインフォースに非公式で相談し、後日速人はそれに協力する為オフレコでレジアスに、リインフォースも同じくオフレコでレティに協力を打診していた。
そして更に後日地上の重鎮と本局の重鎮と教会の重鎮がオフレコで一堂に集り、一触即発の様を呈しながら議論が始まった(当然部署の最高責任者予定のはやてと、声をかけた速人とリインフォースもその場に居た)。
新たな部署設立の目的をレジアスに伝えて良いかどうかという所からカリムは迷ったが、自分の能力を相手が知っている以上、この場で追い返してもどうせ直ぐに感づかれると思い、毒を食らわば皿までとばかりに綺麗さっぱり設立目的を告げた。
そして然して当てに出来ない的中確率の予言の為に貴重な予算や人材を割き、更には連携を乱しかねない新たな部署の設立などは当然認められないとレジアスは述べた(かなり高圧的且つ嫌悪感丸出しで)。
対してレティは予言とは別に地上と連携を取る為の実験部署だと思えば悪くは無いと述べる。
が、それに対しレジアスはそんな名目で新たな部署を設立したとしても、地上と本局の連中の非難を双方から受けてまともに機能しないのは眼に見えている上、そもそもその名目で人が集るかも謎だと述べた。
だが、そこでリインフォースは部署が問題ならば既存の部署に新規の課を設立し、予算を最低限に抑える為、海や空の負傷して一線を退いた局員をリハビリ兼訓練等の名目で引き抜き、力が戻った場合2人に1人は海か空に返して残りは地上の増強に充てるのを目的とした部隊を設立してはどうかと案を出した。
最終的にレジアスはリインフォースの案を受け入れ、レティとカリムと後日その案を煮詰めることに決めた。
しかし、此処まではどちらかと言うとレジアスに妥協させる方向の案のみだったが、それで終ってしまえばレジアスが一方的に割を食って終ってしまうので、そうならない為に速人は一つの波紋を呼び起こした。
それは非魔導師の質量武器、可能ならば質量兵器の運用実験をその部隊で行うことだった。
当然カリムとレティは反論したが、使用を重刑脱走犯若しくは危険行為の現行犯、そして無生物限定時に限り、有事の際は部隊で保管して有る質量兵器を逐一持ち出して事に当たるという方向で纏まった。
無論上の許可、若しくは責任を取るのが絶対条件とは念押しをしていたが、その程度の事は当然なので、レジアスはアッサリそれを承諾した。
これによりレティには負傷して一線を退いた局員が返り咲いた際にそれを問題なく引き抜け、更に地上にも多少の融通が可能なった(海の局員を理由をつければ堂堂と地上に送りつけられる)。
対してレジアスは一線を退いたとはいえ、ベテランを補充出来且つ返り咲いても半分は手元に残しておけ、更には積極的でこそないものの、質量兵器の運用実験の賛成者を本局と教会側の重鎮から得られた。
そして新部隊の設立の方向で問題なく話が纏まりかけた時、今まで碌に喋っていなかったはやてがレジアスとレティに、[はやての実力を知らず、且つ闇の書事件の最重要参考人の自分を責任者に置くことに疑問は無いのか?]、と訊ねた。
しかしそれに対してレジアスは淡淡と、[史上屈指の優秀な補佐が二名も就くのだ。張りぼての神輿でも問題ない。そしてそう思われるのが嫌ならば力と成果で見返してみろ]と告げ、レティは[私も殆ど同じよ。あ、それと忠告だけど、あなたの夢の為に部隊が在るんじゃなくて、多くの人の平和の為に部隊が有るんだって忘れないでね]と告げ、その後直ぐに二人はその場を去り、それで機動六課設立に向けて動き出した。
が、レジアスが極秘に自身とレティとカリムの連盟及び三提督までもが質量兵器の運用実験の許可申請を最高評議会に提出し、それが管理局の重鎮達と教会側の重鎮の連盟という効果もあって無事に受理される筈だったのだが、その直前、質量兵器の運用実験が地上のある部隊で行われると掴んだ海の上層部が一斉反発したのだった。
結果最高評議会に海の上層部が一致団結した非難交じりの意見が殺到し、混乱を治める為に質量兵器の運上実験許可は見送られてしまった。
当然レジアスはカリム達が嫌がらせで情報を漏洩させたのかと思ったが、あれだけ質量兵器に反感を持っている者達に質量兵器運実験の許可申請書にサインをしたとバレればただでは済まないと思い(連盟した者達は所属と階級だけがばれていたが名前はばれていなかった)その考えを否定し、では速人達がバラしたのかと思ったが、はやては分からなかったが速人とリインフォースならばその様な凄まじいマイナスにしかならない事は実行しない上に実行させないのは明らかであり、結果、必然的に消去法で最高評議会及びその直属の者が情報を横流ししたとレジアスは当たりを付け、最高評議会への疑惑を得られたことを収穫と割り切って変わらずに機動六課の設立に動いていた。
しかし、質量兵器を運用実験しなければ部隊運用できないような部隊は不安だと海の上層部がゴネ、新設部隊の最高責任者と交友の深い本局のフェイト・T・ハラオウンと、その友人の高町なのはを強引に機動六課に捻じ込んだ。
尚その理由は、その二人を利用してはやてを引き抜き、芋蔓式的に守護騎士達にリインフォース達(速人とツヴァイ)を引き抜くという杜撰な算段が透けて見えており、それが原因でレジアスを酷く苛立ったが、約を違える事はせずに機動六課を設立に助力した。
が、いざ設立してみると所属の違うフェイトとなのはがかなりの問題児である事が発覚し、特になのはは教導官や隊長職云云以前に局員の基本すらまともに身に付いておらず、しかも其のことで処分しようとしても所属が違うので陸側で処分が出来ず、本局や空に文句を言っても全く相手にされず、ならば叩き返そうとしても質量兵器を使わねば回らないはずだった部隊にそんな余裕は無いだろうから無理をするなとしか言わぬ為話が進まず、レジアスは堪忍袋自体が裂けかけていた。
そしてその時になってレジアスははやての言うような陸と海と空の連携とまではいかずとも、害しか生まない縄張り争いと足の引っ張り合いは打開せねばならないと痛感し、はやての理想の[善意や理想で連携]を取るのではなく、[互いに利益若しくは弱みを握り合って足の引っ張り合い排した組織変革]を目指しだした。
しかし陸を海の人材供給所としか見ておらず且つ質量兵器というだけで無条件に騒ぎ立てる海や空の重鎮達は、搾取される側との対等な関係などは望んでおらず且つ質量兵器の承諾許可を密かに出して運用実験を目論む者を兎に角消したいらしく、レジアスが立ち上げた部隊が失態を犯して責任問題に発展させて追い落とそうと画策した。
そしてその時に白羽の矢が立ったのが、速人と局規違反級どころか犯罪級に相性の悪い高町なのはだった。
フェイトとなのはにレジアスの悪評を流させて陸から引き抜き、更に速人相手に反発するなのはに不祥事を起こさせ、部隊設立者の一員兼陸の最高責任者のレジアスへと責任を追及して追い落とす算段だった。
そしてその為、海と空の上層部はなのはが機動六課でどれだけ不祥事を起こそうが揉み消し、それどころか少しでも陸に隙があれば陸に責任を擦り付ける気満満であった。
ただ、それを抜きにしてもなのはは時空管理局の広告塔なので迂闊に処分は出来ず、それを理解したレジアスは執務室の壁に大穴を複数開ける程八つ当たりを行った。
またそれを知った速人とリインフォースは兎に角なのはから権限を限界まで剥奪し、不祥事を起こした際の規模を限界まで押さえ込もうとした。
が、迂闊に権限を剥奪すれば周囲、特にフォワード陣が猛反発して実働部隊が空中分解してしまうので、それに見合うだけの理由を揃えられる時まで只管待つことにした。
尤も、はやてはフェイトとなのはが自分を引き抜こうとしているのが善意であり、更になのはがレジアスを追い落とそうとしているのは全て無自覚な(都合良く利用されている)筈なので、注意だけで何とか現状を打破しようとしたが、それは今に至るまで悉く失敗していた。
しかしそんな状況にも終止符を打てる状況が遂に整った。
速人と自分の教え子の模擬戦をなのはは提唱し(喚き散らしただけとも言う)、自分の教導の正しさを速人に知らしめようとした。
だが、その際に速人がある程度の力を揮えばなのはの教え子達が無傷で済むわけは無く、粉砕骨折か内臓破裂級の怪我を負うのは眼に見えており、そしてその際に癇癪を起こすのも容易に予測できた。
因って、機動六課側の運用失敗でなく、なのは及びなのはを教育した者達の不手際となる癇癪に因る暴走を大大的に上層部に生放送で知らしめ、空に除隊か更迭、若しくは機動六課に出張させ続けるならばなのはの管轄権は陸が保有するものとするかのどれかを迫るつもりであった。
つまり模擬戦の限定的にとはいえ戦時特例と同等の措置が取れる理由は、不祥事を起こした場合の罰則も戦時特例と同等に行わせる為であった。
尚、空と海が言い逃れ出来ぬよう、罰則も戦時特例に則ると途轍もなく迂遠な言い回しだが明記されており、内容の確認も相手が辟易して必要無いと言う程確認させたので、言い逃れは不可能であった。
又、模擬戦自体は非公式であっても、模擬戦を行う事は秘密裏にとは言え公式に認めてあるので、その際の規約を違約すれば犯罪にはならずとも明確な軍規違反の為、降格及び左遷処分は甘んじて受けなければならず、速人達の長い雌伏の時が遂に報われる時が来たのだった。尤も、雌伏の時と思っていたのはリインフォースとツヴァイとレジアス(+オーリス)で、はやてはなのはを説得か意識改革するための時間と思っており、速人は普段の業務の一環と全く気にしていなかったが。
―――
そして今までの経緯を思い返し、これで漸く[精神を毎日グラインダーで削り続ける日日が終る]とリインフォースは思い、ストレスで人格崩壊を起こさなかった自分を褒め称える事でなのはの愚挙に対するストレスに耐えつつ言葉を発す。
「余りに哀れな愚考と愚挙に対して一つ忠告をしておこう。
この模擬戦が終れば地位や名誉の為に取らずに済まされていた責任がどれほどのモノかを痛感することになるだろう。
精精周囲の溜飲を下げる様を晒らし、皆のストレス解消に役立つことだ」
「え?え!?
私、自分の責任はキチンと取ってるよっ!?」
「……無知に責任を求めるのではなく、無知な者が要職に就けるような組織構造とその責任者に責任を求めるべきか、それとも無知で在る事が罪なのか、それとも無知では立ち行かない事態に遭遇した不運さが罪なのか? 判断に迷うな」
その独り言はなのはに聞かせるつもりではなかったが、どうやら確りと聞こえてしまったなのはは、若干憤慨気味に声を出す。
「何だかよく分からないけど、悪いことをした人が悪いんだから、何も知らないことや運が悪い事が悪いわけないよ!?」
「………」
なのはのその言葉にリインフォースは内心、[言葉だけを聞けばそれなりに耳障りの好い事を言っているのだろうが、善悪の判断基準が自分の好き嫌いに由来すればただの暴言だな]、と思っていた。
尤も、それを言う程の私的関係をリインフォースはなのはと培っているわけでなく、又態態述べる公的理由も無いので、リインフォースはなのはの発言を記憶と言うよりは記録する感じでその様な事が在ったとだけ覚えることにし、なのはの首(と言うか頭部)をどこかに転移させて視界内から消す為にも要件を速やかに告げだす。
「現在正常な思考……いや、冷静な思考が不可能判断した為、敗北の判定権剥奪した上で引き続き拘束する。
尚、責任や罰則などについては模擬戦終了後機動六課隊舎に搬送後通達がある。
では拘束されたままだが暫く休憩と思い体を休めておくことだ。
直に今の様な状態になってでも構わないから休みたくなる程の状況になるからな」
そう告げたリインフォースはなのはの反論を聞かずに首を視界外(正確には喚き散らされても声も聞こえない程遠く)に転移させ、空間モニターに映る速人を見つつ溜息交じりの息を吐き出しながら思った。
(………いくら非公式とはいえ、非魔導師が未熟とはいえC+〜Bランク魔導師4名を相手にこうも見事に立ち回ったのだ。
………レジアス以外の陸の上層部が質量兵器以外に卓越した人間の有益性に今更ながらも気付き、急ぎ引き抜いて教導官等に据えようとするのは火を見るよりも明らかだな。
尤も、長くとも六課解散時までしか管理局に在籍する気がないのだから、当然断って無駄に軋轢を生むのが面倒と言えば面倒だが…………、まあその辺りはレジアスに任せるとしよう。
…………偏見に近い潔癖さと理想に対して盲目気味な点は気に入らないが、それでも敬意を払うに値する者だ。上手くやってくれるだろう。
さて……と。
模擬戦は終っていないが既に主目的は果たした以上、後はランスターの成長を期待して見守るとしよう。
…………精精足掻くといい、ランスター。
何をしようと勝つことも分けることも出来ぬだろうが、負けぬ道は用意されている。
………この模擬戦で勝つことも分けることも出来ないと認めることができる判断力と、その上で負けぬための道を模索できる思考力と精神力を培え。
………執務官という単独行動を目指すなら、それはいつの日かお前の力になる)
そう思いながらリインフォースは思考の海を漂っている最中のティアナが映るモニターを見やった。
そして視線を思考しているティアナに固定したまま更にリインフォースは思考する。
(………まあ、ランスターの成長を見てみたいのは本心だが、成長せずに負担が掛かる事無く終ってほしい気持ちの方が強いが……………、当の本人がランスターの成長時に掛かる負担を是としている以上、とやかく吠えるのは筋違いか………。
ならば、……………ランスターが気付いて成長し、魔法があれば質量兵器を用いぬ徒の人間など取るに足らない存在だと思っている全ての者の曇った眼を晴らす瞬間を待つとしよう。
【二番手以下は全て敗北者だ。ならば敗北者が自信を持つ、若しくは自慢できる要素は一つも無い】、………か。
…………生憎と私は化け物と呼ばれる程の天才がその言葉を述べても許せるが、人間の理想像の一つとも言える存在が…………しかも私の認めた者がそんな言葉を吐くのは許せない。
故に私がその存在を世に知らしめて世論という容で自身という存在を正しく理解させ、そして自分がどれほどの価値を持っていてどのような選択肢と可能性を有しているかを自覚させる。
…………そうすれば選択肢は広がり、最終的には同一の結末を迎えようと、その過程で多くの者が幸せになれる道も存在すると知ってもらい、歩もうとする道に一つの可能性を提示し、一助となりたい)
―――
相変わらず口に出せば惚気か恋愛絡みの告白としか解釈されない事を平然と思考するリインフォース。
だがリインフォースとしては速人を恋愛対象として捉えているつもりは微塵も無く、自身としては尊敬や友誼等の恋愛感情の混じらない想いのみを抱いているつもりだった。
尤も、幾らリインフォースがその様に周囲に主張しようが、基本的に周囲の者は【恋愛>友誼・尊敬】という様に恋愛を尊敬や友誼の昇華されたモノと捉えているので、友誼が恋愛に劣ると思っていないリインフォースの主張は今一理解されなかった(ツヴァイは理解して納得した上で相思相愛だと解釈している)。
しかしそんな思考をある日すずかが、[パ○プキ○シザーズでも上司と部下の関係は恋人に劣らないって言ってたから、恋人が一番の関係じゃないんだよ]、との発言で少しはリインフォースへの風当たりが柔らかくなった。
だが、やはりそこは後でオチを付けたがるすずかと言うべきか、後日、[少なくても恋人の上は魂の片割れとかだと思うんだ]、と、問題発言をしており、そこから意気投合したツヴァイと一緒にすずかは未来予想図を描いてツヴァイの暴走に大きく関与し、現在もせっせと暴走のネタをツヴァイに吹き込んでいた。
尚、その関係でツヴァイはすずかと非常に仲が良く、地球に居た頃は速人の研究所に泊まる比率の半分程の頻度ですずかの部屋に泊り込み、良くも悪しくもすずかの思考の影響をかなり受けており、ツヴァイの暴走原因の約33%はすずかが原因と言われていた(残りの約66%速人とリインフォースと言われている)。
―――
そしてヤンデレともツンドラとも言える思考をしていたリインフォースだったが、その時ティアナが戦術的には100点だが、戦略というか己の立場的には50点とも0点とも言える行動を採ったのを見、ティアナの立場の不遇とこの後自分に中間管理職ならではの面倒が舞い込む事に無言の溜息を吐き、在りもしない腕で頭を抱えたくなりながら黙って空間モニターに展開されている現状を見続けた。
――― とある観戦場 ―――
――― とある訓練場 ―――
ティアナが速人相手に辛うじて精密射撃が可能と推測している間合いに速人が踏み込む直前、速人は震脚の様な一歩で以って、瞬間的にとはいえティアナ達の視線を振り切る速度でティアナ目掛けて疾駆した。(自分の頭が腰の位置より低くなる程の疾走体勢で)
そしてティアナが速人相手に推測していた間合いを易易と深くまで進入した速人は、速人とティアナの間に存在するエリオの間合いまで易易と深く(腕の内側)まで進入した。
当然の事ながら、姿を見失っている最中に突如眼下(腰辺り)に入り込まれたエリオは速人を直ぐに捕捉する事は出来ず、結果速人が左手に逆手で握った撥で右膝を突き砕こうとする攻撃を見逃してしまう。
が、エリオが気付かずともデバイスのストラーダは速人の現在地をギリギリ認識しており、なんとか小規模ながらもシールドを右膝近くに展開させて速人の攻撃を防ごうとした。
しかし、元元エリオの攻撃スタイル的に防御魔法の必要性が薄い為、ストラーダに登録されている防御魔法の数と質は最低限といえるモノであり、当然そんなモノは体重の乗った速人の攻撃を防げるレベルではなかった。
が、速人はストラーダがシールドを自動展開するのを見越していたので、態態威力を殺がれると解っていて尚威力を込めた攻撃を行わず、自身に負担を極力かけぬ為に速度だけの攻撃を行っていた。
当然速度だけの速人の一撃は呆気無くシールドで防がれる。が、足腰や背、更には肩の筋肉に殆ど力を入れていない一撃を受け止められたとしても、疾走している慣性を中和しきれるほどの反作用は発生しない為、結果、疾走していた慣性を十分に残した速人の体当たりがエリオの胸に炸裂した(エリオの膝にシールドを緊急展開していた為ストラーダは速人の体当たりまではシールドで防ぐことは出来なかった)。
しかも、エリオが受けた速人の体当たりは普通の体当たりは異なり、震脚や発勁の応用を用いて体当たりであり、更にはエネルギーの殆どはエリオの内外で炸裂せずに推進力となった為、エリオは電車に撥ねられたかの様な勢いで叩き飛ばされた。
その上エリオは叩き飛ばされる瞬間、右肩で体当たりをしていた速人が素早く回転しつつ、左手に握った撥でエリオの両手首を打ち払って砕き散らした(先程シールドで速人の左腕での攻撃が防がれた際、反作用で左腕が首に巻きつく様に弾かれた為、体当たりをしている最中に腕を振り始めていた為、攻撃の溜めは短縮されていた)。
そしてエリオは両手首が砕かれた為ストラーダを手放し、その状態でティアナに向かってと叩き飛ばされていった。
しかし自身の方に普通ならば在り得ない程の距離を叩き飛ばされてくるエリオを目の当たりにしたティアナだったが、初めから頭の片隅で自身の予想を全く無視した方法でエリオと自分を打倒しに掛かると思っていた為、急展開に慌ててこそいたが然して驚かずにいることができた。
だが、驚いて思考を止めることはなくとも、慌てているために後の事を考えずに現状で自身に出来る最善と呼べるであろう行動をティアナは起こしていた。
――― とある訓練場 ―――
―――地上本部中将執務室―――
機能性よりも景観や格式等に気を使っているのであろう、一般的な執務室よりも遥かに高い位置に天井がある執務室で、執務室の主のレジアス・ゲイズ 中将とオーリス・ゲイズ 三佐が速人達の模擬戦が映し出されている空間モニターを見ていた。
だが、ティアナが速人に体当たりで叩き飛ばされたエリオを見て焦ってはいるが、然して驚かずに片腕で辛うじてだが受け止め、更には受け止めた左腕からずり落ちる前に急いでエリオを左腕で速人の方に押し飛ばして速人の追撃と攻撃に対する防波堤兼盾とし、しかもただ押し飛ばすだけでは飛距離も速度も難が有るため、ティアナは左腕で薙ぎ払う様に押し飛ばした直後、間髪入れずに一歩踏み出した右足でエリオの鳩尾付近を蹴り付け、飛距離と速度を飛躍的に向上させたのを二人は観、視線を固定したままレジアスは独り言の様に呟いた。
「………これは高町一尉の訓練の賜物と言うべきか?」
思う所が色色在る為、僅かな驚愕や公憤や私憤や憮然さや其の他諸諸が混ざったレジアスの声音にオーリスは淡淡とした声を返す。
「いえ、私見が混じりますが、これはランスター二士の資質であり、高町一尉の訓練で研鑽されたモノである可能性は極めて低いかと思われます」
そう述べるオーリスにレジアスは視線を空間モニターに固定したまま、僅かに愉快さが混じった声音で尋ねる。
「ほう?
ならばランスター二士が自力のみで示した結果と言うのか?」
「いえ、これも私見が混じりますが准しょ………失礼、天神三士が資質を覚醒させ開花させるように誘導したと思われます。
特にこの模擬戦においての天神三士の行動はその傾向が強いと思われます」
「…………まあそうだろうな。
だが私としては穀潰しを駆除してから伏線を張ってほしかったものだ。
……万一癌細胞の暴走よりも小娘の覚醒や開花が早ければ、最悪小娘の奮闘が原因で癌細胞がが暴走しない可能性が有るからな」
「……過ぎた事を言っても詮無いですが、天神三士の話術と戦闘傾向上、高町一尉の暴走は避けられないと判断しています。
しかし……………天神三士が機密ではないとはいえ、余り口外するべきでない情報を公言していますが、宜しいのですか?」
現在のティアナとしては戦術的に満点とも言える対処で速人の迎撃を防ぎきった後、速人がティアナにこの模擬戦の目的の幾つかを暴露していたので、オーリスはレジアスに地上の上層部が騒ぎ立てる情報をこれ以上流されないように口止めするかどうかを問う。
だが、その返事は―――
「構わん。
自身の発言で周囲がどのように動くかなど知り尽くしている筈だ。
にも拘らず機密に近い情報を暴露している以上、十分な利が有ると考えるのが妥当だろう。
寧ろ半端に干渉すれば損失を招く可能性が高い」
―――レジアスにしては珍しく他者を評価した上での放置と言う選択だった。
そしてその言葉を聞いたオーリスは若干嬉しそうな顔でレジアスに話しかける。
「片腕に成るであろう方を信頼されているようで何よりです」
「いや、片腕といっても所詮は借り物の義手の様な者だ。
私の現在の片腕はオーリス、お前だ」
「………片腕と仰られても右腕に成れない程度の存在ですが、御褒めの言葉と有り難く受け取らせて頂きます」
皮肉など微塵も混ぜず、嘗て右腕であった者と現在右腕の位置にいるであろう者への尊敬の念からその様な返事をするオーリス。
しかしそれに対して執務中にしては珍しく厳つい表情を僅かに緩めながらレジアスは言葉を返す。
「左腕が無いのに右腕が二本在っても困るだけだ。
そもそも右腕に成れる者が左腕に成れるとは限らんし、逆も然りだ。
……胸を張れ。
お前以上の左腕は居ないと思っている」
賛辞としては微妙だが、信頼としては最大級の言葉をオーリスに贈るレジアス。
そしてその言葉を聞き、内心では苦笑しながらも表情は微塵も変えずにオーリスは返事をする。
「……失望させぬ様、必要ならば全力を超えた力で以って努めさせて頂きます」
「くっくくくっ。
………止めておけ、お前に鉄面皮の適性は低いし、何より似合わん。
第一、お前は微笑を湛えていた方が良い」
「………………個人的意見に対しては黙秘させて頂きます」
内心複雑な感情が入り混じっているオーリスだったが、とりあえず顔は鉄面皮を貫きながらそう返した。
しかし、顔は怜悧と鋭利の中間の様な表情であっても、所作や雰囲気には内面がダダ漏れしており、レジアスの言う通り適性が低いのが窺えた。
そしてその様子を視界の片隅で見ていたレジアスは内心―――
(………これで慌てふためいている表情と所作をすれば、所謂ぎゃっぷもえとか言うヤツで男を沈められるというのに、……………何故行き遅れにリーチがかかるような性格になったのだ?
………………いや、有能過ぎ且つ機密を取り扱う役職に就いているのも浮ついた噂が無い理由の一つだろう。
………………これは生きている間に孫を見る所か、婿になる者と殴りあうことも出来そうにないな)
―――と、考えていた。
しかしそこまで考えた時、空間モニターに今も尚映る、レジアスが山程問題点は在るが何だかんだで自分が認め、更には愛情や好意が有るかは分からないがオーリスも認めている一人の人物ならば、娘の晴れ姿と孫を抱ける可能性も有るのではないかと思い、本人としては迂遠な言い回しで訊ねてみる。
「………時にオーリス。
これは完全に興味本位の個人的質問だが、お前、速人のような奴は好きか?」
「………………」
迂遠な言い回しと本人は思っているが、本人以外はこれ以上無い程直球と思うであろう質問をするレジアスにオーリスは若干呆れて暫し沈黙していたが、答えないにしても無視するわけにもいかぬと思い、渋渋返事をする。
「………好悪で問われれば好意を抱いているでしょうが、それは愛情というよりも尊敬という部類でしょう。
…………それと私の好みの男性像は故ゼスト氏の様な男性の魅力が溢れる方ですので、天神三士の様に人間としての魅力に溢れている方は尊敬こそすれ愛情は抱かないでしょう」
自身がオジコン(?)と暴露するオーリス。
対して娘が自身の親友と言うべき存在を一人の男性として見ていたと知り―――
(まさかゼストを一人の男性として見ていたとはな。
……………もし今生きていたら、間違い無く罪科の念よりも殺意に呑まれて縊殺していたな)
―――と、考えていた。
そして男手一つで育てたせいで、オジコンとファザコンが混じった様な価値観にオーリスがなってしまったと思い、レジアスは子育てを失敗したと思い、せめて家政婦でも雇っているべきだったと思った。あと、密かな親バカ思考のため、ゼストに僅かだが洒落にならない純度、なのはのような殺し合いを経験していない者なら確実と言っていい程の確率で立ち竦む以上の結果を出せる殺意が漏れ出していた。
「…………申し訳ありませんが不穏な雰囲気が漏れていますので、直ちに収めていただけませんか?」
「ん?ああ、すまんな」
オーリスに指摘されたレジアスは直ぐに親馬鹿な殺気を納めた。
そして意識を模擬戦と言うよりも茶番に変じている様を映し出しているモニターに観、半ば独り言のように声を出した。
「ふぅつ………これはこの後本局の連中だけでなく、我等陸からも小物連中が抗議に来るな」
「………確かに忙しくなるでしょうが、厄介事を処理出来るだけでなく、陸の上層部の能力と派閥を知ることが出来ると思えば悪くないかと」
「ふむ………まあ確かに今までのように処理しなければ更に不利益を齎す案件でなく、処理さえすれば利益を齎す案件と思えば気は滅入らんな」
「そうして下さい。
それでは私はこれから予測される抗議に対する準備を始めますが、宜しいですか?」
「この部屋から出ぬならば構わん。
………あぁ、それと嫌がらせと経験を積ませる意味を兼ねて、陸の小物と判断した連中の抗議は全て機動六課に回せ。
特に本局に不満がある者は高町なのはに転送するように手配を整えておけ」
「……………高町一尉ではほぼ確実に処理しきれませんが、宜しいのですか?」
「構わん。
処理出来ずに困るのは本局側の連中で、民間人に実害は無い。
それに仮に実の無い抗議等を封殺出来るだけの知識也経験也を得たならば、それは有意義なことだ」
「解りました。
ではそのように手配します」
趣味と実益が一致しているのでオーリスは特に反論せずに準備に取り掛かった。
そしてそれを視界の端に捉えつつ、眼前の空間モニターに映し出される光景を見たレジアスは、これで漸く抜け毛と胃潰瘍の心配から脱することが出来ると思い、既に冷めてしまっている速人から貰った漢方茶を啜りながら安堵の息を零した
――― 地上本部執務室 ―――
とある可能性編 二つめ:とある騒動 其の伍――――了
【後書】
はい、仮に待たれておられた方がいらっしゃるのなら、もう土下座した頭を地面に擦り付けなければいけない程長い間お待たせしてしまった事を詫びなければならない程前回の投稿から時間が開いてしまいました。本編21(仮:Ver 02)でも書いていますが、本当に申し訳ありません。
…………仕事内容が変わったんですけど、一日にポカリを3リットル飲んでも用を足す必要が無い程汗を掻く内容でした。
手首と膝の靭帯は半断裂状態だったり、椎間板ヘルニアになりかけていたり、横紋筋融解症で何度も点滴したり、体の各所が疲労骨折していたり、其の他諸諸で体が中破していました。
…………冗談ではなく特殊部隊訓練に匹敵する厳しさの内容でした。………毎日微妙に仕事量が増えるので一向に楽にならなかったですし。
………まぁ、流石に筋肉が膨らむのではなく筋肉が引き締まって脂肪が削げ落ち、骨が負荷に耐え切れず疲労を起こして皹が入り、汗を常時掻く為髪と頭皮が汗の塩分に晒されすぎて強制的に髪質が浮浪者のそれに近くなったりしてもう一杯一杯でしたので、とりあえず修了課程が終了した直後に即座に異勤か辞職を表明して事無きをえましたが。
………この体験のおかげで、労働基準法は政治家が自分達だけ怠ける為に作った法律だと言う事を痛感しました。
「睡眠?それって気絶のことか?」、や、「自由時間?死後の世界の話なんてしてんじゃねえ!」、や、「プライバシー?チンカ○に在るわけ無えだろ!!」、ってのがあそこの感覚でしたし。
…………あの職場はゲーム風に言えば、1日毎に最大HPが10減っていく呪いが蔓延している感じでしたから、毎日ドーピングするかLvUPしないと最大HPが0になり、事故という容で死亡しますしね。
………ええ、本当に日本の法整備は温いと痛感しました。
話し変わって今回の話ですが、なのはが悪役というより邪魔者扱いされています。それも壮絶に。しかもレジアスだけでなくはやてサイドからも。
というか作者が[アンチ・リリカルなのは]と言うよりは、[アンチ・なのは]っぽく見えるでしょうが、作者は[アンチ人類性善説&アンチ人類性悪説]なだけです。
ようするに「物事の本質に善悪を求めるなよ」、ってのが思考の基となっているので、善意を物事の前提にしているなのは達は悉く扱いが悪くなりますが、別に嫌いじゃないですよ?
それとティアナの覚醒ですが、基礎的な部分は訓練校時代で既に構築されているので、速人がした事は本当に切欠だけであり、このSSのはやて達でも多少時間はかかりますが、速人と同じ結果を起こす事は可能です。
つまりティアナのレベルアップの最大の功労者達は訓練校時代の教官達です。
あとIF編と本編の速人の違いですが、気付いておられる方は気付いておられるでしょうが、簡潔に括るならば、【堕落しているか堕落していないか】が差になっています。
要するに人間臭くなっているかどうかということです。
ですので、本編の速人ならば絶対にしない行動をIF編の速人は幾つか選択しています。
但し人格や性格には変化がありませんが。
それとIF編で速人がなのはに敵愾心を持たれまくっているのは、なのはの暴走行為の責任問題だけでなく、「殺しても法的に構わない人間の命は死刑囚として存在している」、「覚悟とはただの自己暗示」、「夢を目指す事とは夢への逃避」、「傲慢と認識していない正義は世論でしかない」、等等etc………と言われたのも大きく関わっています。
………今更ながら管理局についてツッコミを入れていくと、自動的にアンチなのは+おまけになると気付きました。…………しかもこの方程式はほぼ全てのSSに該当していて、はやては展開次第でさらにアンチされるか、若しくはアンチする側に回るか、それとも空気になるという式も追加されると気付きました。
…………逆にアリサやすずかは高確率でアンチする側に回るか不干渉に回るという、SSの主軸側に賛同乃至共感するという境遇の良さ。…………原作でハブられていただけにSSでの待遇は破格か厚待遇ですね。……実際このSSでも超厚待遇ですし。
後、前回今回でこの一軒が終わると書いていましたが、無様にも終わらせられず、只管頭を下げるばかりです。
本当に申し訳ありません。
更新速度は遅く話の展開も遅い上暴走しているSSを掲載して感想を頂ける管理人様と御読み下さった方に沢山の感謝を申し上げます。
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【作中補足】
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【速人の本来の階級】
裏設定ですが、実は速人は本局の理事官代理である為、理事官であるカリムの部下です(頻繁にベルカ自治領に足を運べる為陸所属ですが、速人は派遣扱いなので直属の上司はレジアスです)。
尤も、基本的に管理局にいないカリムに変わって代理をしている為、カリムには重要報告と最重要機密案件以外は一切回していないので、事実上速人が理事官です。
但し、理事間代理は教会と地上と本局の橋渡しの試験運用というおまけ程度であり、本来の役職は地上の諜報課の副司令です(司令はレジアスが兼任しています)。
その為その地位に相応しい階級を得ていますが、それら全てが速人にとってはおまけの業務感覚であり、速人自身の本分ははやて達に一定期間求められる儘助力することです。
尚、理事間代理と諜報課副指令を兼任しているIDこそがオリジナルで、機動六課職員としてのIDはソコから様様な資格や階級や役職を大幅に削ぎ落とした劣化コピーとも呼べる物で、更には名目上潜入操作等の理由で二重登録状態の理由付けが有る為、仮に本来の階級として振舞っても一切違法にはなりません。
因みに速人が准将だという事は、最高評議会とレジアスとオーリスとカリムが公的理由により知っており、リインフォースとスカリエッティとアリサが私的理由により知っています。
尚、功績を考えるとどれだけ低く見積もっても准将で、妥当な所で中将で、贔屓すれば元帥にもなれるほどの功績が在りますが、知名度や本人の意向の為に准将で落ち着いています(准将になって其れ等の役職に就いたのは極最近で、それまでその役職は架空の人物が据えられているだけで、実際は今と何ら変わっていません)
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【速人とティアナのステータス対比】(速人を100として算出)
体力・・・・・・・・・・:130(ティアナが気絶したり根を上げたりしなければ)
筋力・・・・・・・・・・:20(速人の瞬間筋力数値が異常に高い為この数値)
耐久・・・・・・・・・・:600以上(BJを展開している場合の数値)
敏捷・・・・・・・・・・:10(筋力と同じ)
魔力・・・・・・・・・・:2万〜3万
幸運・・・・・・・・・・:別格(正確には速人が別格)
技術・・・・・・・・・・:0.01
演算力・・・・・・・・・:0.0001(ティアナは感情等に演算の殆どを振り分けているので、厳密には≒100)
精神力・・・・・・・・・:別格(正確には速人が別格)
作戦立案力・・・・・・・:1
作戦実行力・・・・・・・:0.1
殺害回数・・・・・・・・:0
総資産・・・・・・・・・:0.0000001以下
知人数・・・・・・・・・:0.01以下
友人数・・・・・・・・・:66
なのはとの衝突回数・・・:0.5未満
×××回数・・・・・・・:100(つまりどちらも0回)
一人××××回数・・・・:別格(速人がゼロなのに100なので、1を数値化することが不可能。つまりティアナは【隠しまーす】)
ツンデレ属性との同調率・:40以下
狂科学者属性との同調率・:70以下
トラブル遭遇率・・・・・:3
以上です。
因みに現在のティアナの理論上限値(潜在値)は、殆ど速人を上回っており、上回っていない項目は男女の肉体構造の違いからくるもので、総合的に見れば速人とティアナの理論上限値の比率は【1:100】程開きが在ります(魔法関係で軒並み底上げされる為)。
但しこの数値は本人の価値観等を完全無視した結果であり、10以上の存在に成ろうとすれば一度自我や人格等の全てを消去する必要があります。
尚、この八神の家で最も理論上現値が高いのはリインフォースの別格で、次がすずかの1千万前後で、次にアリサとはやてとツヴァイの7千前後で、ヴォルケンリッターとなのはとフェイトが4千前後です(リインフォースとすずかが異常に高い理由は耐久性と再生力以外に寿命も関係しており、ツヴァイは頻繁なメンテナンスがほぼ不可欠な関係上相当低くなっています)。
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【ティアナの精密狙撃の意味合い】
ティアナの精密狙撃は誘導性能を付加した攻撃で、目標点に弾丸が命中する様に追尾修正を行えることで、目標点に弾丸の中心点を命中させる事を前提としていないので、射撃自体の精度は極一般的です。
つまり精密狙撃というよりも、精密に狙撃後操作出来るという意味です(精密な操作とは言い難いですが)。
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【作中補足終了】
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【おまけ】ある日の昼休み(IF編壱と弐の間の時間)
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<ふむ、つまり君は機械と融合した人間はそれほど脅威ではないと思っているわけかい?>
<そうではない。
戦闘機人は下限値が現行の常人を大きく上回っているが、上限値は寧ろ低く、更には汎用性に欠けていると判断しただけだ。
事実、触覚だけで1nm単位の凹凸の知覚は出来ず、他には音波の反射に因る物体把握、分子数10以上での味覚識別等も在る>
<……ふぅ、そんな事が可能なのは熟練した存在か、君の様な天才を超えた天然存在だけだよ。
普通の者………いや、例え優れた魔導師であろうと肉体をそこまで操作しきれる存在はまず存在しない。
なぜならば肉体を鍛える事は魔法の技術を磨く為の序としか考えておらず、肉体の可能性を理解している存在は管理世界において100名も居ないだろう。
故に上限値の低さなど然して問題にならないだろう。
殆どの者が機械と融合した存在を超えれる可能性が自身に在ると気付きもせずに徒に魔法を妄信し、そのような者達は機械との融合存在を量産された時に物量で押し切れるのだから>
<管理内世界だけならばそうだろうが、管理外世界ならばそうはならないだろう。
例で出せば第97管理外世界、俺の出身世界としている現地名称地球に、記載された通りの存在を100万体用いて戦争を起こしたとしても、核爆弾すら使われずにほぼ間違い無く殲滅若しくは捕獲される。
戦闘や戦争意識の差以前に、基本的な技術練度に開きが有り過ぎる>
<それほどに君の出身世界の兵は強力なのかい?>
<個人的推測だが、エース・オブ・エースと言われる高町なのはと、地球の特殊部隊の一隊員が、両者完全武装で遠距離中距離近距離の戦闘を行えば、100の試行回数で高町なのはが相討ち以上に持ち込める回数は3回以下だろう。
魔法と兵器の攻撃力に然して差は無いだろうが、それを扱う者の差が圧倒的過ぎる>
<ふむ、…………ならば質問を変えるが、君の世界の一般的な特殊部隊員が何名居れば地上本部を制圧若しくは壊滅できると思うかい?
ああ、当然最低限の設備と指揮者及びそれ等の配置場所を知っているものとしてだが>
<1名でも可能性は約2%在るが、成功確率99.9%越えにするならば50名が7日は潜伏して情報収集に徹する必要が有る。
尚、携行質量兵器を用いないならば500名で準備期間に30日はかかる>
<………質量兵器を用いない場合はどうやるのか教えてくれるかい?>
<乗用車及び強奪した飛行機等を地上本部にの波状突撃させる>
<………それはまた過激だね。
……………だけど………強奪した乗り物に人質を押し込めて突撃すれば迎撃はまずされないだろうから、たしかに成功率は高いだろうね。
…………しかし…………死を前提とした作戦は拒否されるんじゃないかい?>
<人質を搭乗させた状態で車体若しくは機体を突撃させられるならば、例え突撃中で離脱しようが構わないので、死を前提としていない以上拒否される可能性は少ないと判断している>
<それが本当だとするなら地球の特殊部隊は恐ろしいね。
…………自分達を知った人質と攻撃対象を効率的に死なせ且つ自身も死の危険に晒される作戦を拒否しないなんて、管理局員じゃまずありえないよ>
<時空管理局と違い地球の軍隊、若しくはそれに順ずる組織は過程ではなく結果を第一としている為、結果に繋がるならば敵味方問わず殺人程度は簡単に行う>
<………正に理想の駒と言うべき兵士だね>
<駒と言うより個体よりも群体の一部と成るべく、虐待や洗脳と揶揄される訓練が行われている>
<凄まじいね。
……だけど、そんな事をしていたら兵士や其の家族や恋人から軍自体が非難されたりしないのかい?>
<例え命令に忠実に従う兵士になったとしても公私の切り替えもつけさせるので日常生活に影響は殆ど見られず、見受けられる影響も職業病程度で片付けられる場合が殆どだ。
更にそれだけ過酷で在る以上福利厚生は充実しており、殉職すれば遺族には十分な金銭が給付されるので然して非難は浴びていない。
無論少なくない非難を浴びてはいるが、それは思い違いした無責任な理想を掲げる平和主義者か暇な批評家が殆どだ>
<思い違いした無責任な平和主義者とは手厳しいね。
恐らくその者達の言う事は誰もが理想とする平和なのだろう?>
<誰もがとは言わぬが、大多数が思い描く理想だろう。
だが犠牲の無い上での平穏は極端に維持が難しく、又破綻した際の被害は犠牲無く平穏を手に入れた代償に平和惚けしている人数と期間分が上乗せされ、最終的には総被害では変わらないだろう。
又、自身達の活動圏内を掌握した者達は新たな組織を発見して生贄にするか、それとも自身達の組織から生贄を用意して組織の大多数の精神と実益に安定を齎す必要が在る。
少なくとも既存の人間の精神では原理的に此れは覆らない。
人間の望む幸せとは他人を巻き込む幸せであり、そして巻き込まれる側の誰もがソレを許容出来ぬ以上、争いの火種は常に存在し続けるのだから>
<幸せを望む事が争いの火種と断じるとは、………もしかして君は厭世家かい?>
<厭世する程人間の世の中に思い入れは無い。
単純に人間の営み全般がどうでもよいだけだ>
<………たしかに人間の営みは突き詰めればどれだけ種を反映させるかの一つに収束するからね。
だけど………人間の営み全てがどうでもいいという事は、もしかして厭世家じゃなくて自殺願望が在るのかな?>
<自殺願望など抱いていないが、逆に生存本能も無いだろう。
俺は俺の目的を遂行する上で自身が生存して行動した方が遂行率は高いと判断したので生きているだけだ>
<清清しいまでに個人主義だね。
………しかも完全な自己完結型ときている>
<自己完結と言うよりも自己中心なだけだ>
<くくくくくっ。
………自己中心的と言わない所が君らしいな>
<個性と呼べるモノを確立しつつあるなら、お前との付き合いも無駄でなかったということだな>
<くくくっ…………、本当に君は愉快だよ。
誠実と不誠実、そして打算と矜持をこれほどの純度で持ち得ている者を私は知らない>
<戦場で精神構築に失敗した儘成長した者と然して差意など無く、場所にも因るが俺は極普通だ>
<くくくっ、君は殊更普通で在る事に拘るね。
………ソレは俯瞰した思考を維持する為の一つの防護策かな?>
<徒俺という存在がそう在るだけであり、其処に俺の意思は基本的に介在しない>
<なるほどなるほど。
………つまり君は自動的ということなんだね。
君の自由意思………いや、君の意志は自立行動を阻害しない程度にしか存在していないわけだ>
<最近は俺に意思が在るかも疑わしいが、概ねその解釈で構わない>
<なに、確か君の出身世界の言葉で、[我思う、故に我在り]、と言う素晴らしい言葉が在るだろう?>
<絶対的な主観があればそうだろうが、僅かでも客観が混じれば[胡蝶の夢]だ>
<君程醒めている者が夢に浸り続けているかもしれないと言うのは笑えないジョークだね>
<俺からすれば他者の人生とは笑えない冗談そのものだ>
<くっくく、たしかに。
………他者の人生なんて作為性を感じずにはいられない程良く出来た物語、若しくは有り触れたどうでもいい幼稚な物語のどちらかだからね。
だけど…………、素晴らしいことに作為性を感じるとは私も相当に穿った物の見方をしているのか、はたまた私の知らない理論に私が触れているためなのか、…………興味深いな>
<解明することに価値は在るだろうが、分析心理学や神秘学の領分の研究及び研鑽をするならば管理外世界を勧める。
特に第97管理外世界は多くの者が人間の精神に限界を感じているので、心理学に類する命題を描いた書籍や映画等が多く、又、未開地域の原住民族等の神秘学等も興味深く、更にそれ等の論文を発表した際の反応も活発な為、拠点にする事を勧める。
尤も、人間の精神の限界を感じている者が多いだけあり、力を持たぬ者には住み難い所だろうが>
<なに、窮屈さや世知辛さ、更には理不尽さや組織的展望の絶望度はミッドチルダの方が数倍上だろう。
何しろ殆どの管理内世界の住人は管理局が力に驕って横暴な振る舞いをしているのを疑問にすら感じていないのだから。
………くくくくくっ、ここまで巨大な規模と活動範囲でありながらも内外に敵を作り続ける組織は歴史上初だろうからね。
だが、…………本当に人間は愚かだねぇ。
事の善悪正邪以前に自身達の行く末すら考えようとしないなんてね>
<友人の弁だが、【愚かな考えと行いをしてこそ人間】、とのことだ。
更に続きだが、【但し、自身の考えと行いを考えぬ者はどうしようもないクズ】、とのことだ>
<……その友人と是非とも一度語り合ってみたいものだよ。
君の友人だけあって清濁併せ呑む思考は清清しいしね>
<俺の友人という事はその人物の価値とは然して関わりが無いだろう。
それと俺は清濁を併せ呑む程度の器ではなく、清濁を生み出す程の存在と捉えている。
その程度の評価は見縊りすぎだ>
<ふははははははっ!
君にそこまで言われる存在とは是が非でも会ってみたいものだよ!
訪問でも来訪でも通信でも構わないから会えるように手引きしてくれないかい?>
<相手がそれを了解すればそうしよう>
<ふむ。……………此処で安易に了解しないのはやはり其の友人を大切に思っているからかな>
<この程度の事は中立的行動をするべきだと思っているだけだ>
<くくくっ、なるほどなるほど。
少なくとも私は君の誇れる友人と天秤に掛けられる程度の存在であるということだね?>
<敬える若しくは誇ることが出来ぬような者は友などではない>
<……………………いや、すまない。
どうやらいつの間にか卑屈になってしまっていたようだね。
いやはや…………天才という人界に属す優秀な個体ではなく、天然という人界に属さぬ超越存在を前にするとどうにも卑屈になるね>
<俺に人間を超越している部分は無いが?>
<くくくくっ、…………たしかに君の価値観からしたらそうだろう。
現に世間一般の判断基準で考慮しても、君の肉体の限界値は間違い無く人類の平均より若干下程度だろう。
だが、君の精神の在り方は間違い無く人間を超越している。
断言しよう。君の在り方は人間の理想の結晶だ。
…………朽ちず、砕けず、染まらぬ精神。善悪正邪尊卑から逸脱した価値観。そして自他の幸福に全く頓着しない達観。
………………仮令疎まれる事があろうとそれは君の方向性の問題であり、君の在り方そのものは疎まれるようなものではない、と、重ねて断言しよう>
<超越しているのではなく、単に逸脱しているだけだと思うが、その点を議論する気は無いので此れまでにする。
それで話は変わるが、今回の対談は有意義だったか?>
<ああ。相変わらず得難い刺激と知識、更には無駄としか思えない話に感じられる充足感。
…………正しく青春と言う他に無い時間を満喫させてもらったよ>
<互いに納得のいく得るモノがあればこの関係は続くと思われるので何よりだ>
<ああ、それじゃあ名残惜しいが今回は此れでお別れだ。
又今度も語り合おう、超越>
<分かった、今度は俺が友と思っている者を紹介する段取りを連絡する時になるだろう。
では、又。無貌の神>
・・・
・・
・
「………つまり、今度そのナイアーラソテップとかいうヤツとあたしを画面越しにしろ直にしろ、一度会わせたいってわけね?」
「その通りだ」
「うーん…………別に構わないけど、管理局員が地球産まれの地球育ちのあたしをミッドチルダ関連のヤツに会わせた際の問題点はどうなってるの?」
「予測され得る問題点とその対処案を此れに纏めてある」
「…………六法全書級の本を指して言ってるんなら、纏めたとかいう表現は撤回してくれないかしら?」
「ならば圧縮したと表現するが?」
「…………やっぱどうでもいいわ。
………………まあ………………このライフル弾も余裕で止められそうな物体は1週間以内に読むから、返事はそれからにするわよ?」
「分かった」
「なら後はいつも通り吠え面をかかせるための喧嘩、そしてその後は恒例のお茶会をしましょう」
「骨折や内臓破裂を伴うのは喧嘩というよりも模擬戦だと思うが?」
「いいのよ、べつに。
……………じゃれてるだけなんだから」
「忠告しておくが、乳幼児の扶育若しくは涵養の際にはその認識か行動を改めるか制限するかをした方が良いと思うぞ」
「……………流石に自分の子供が子供の時にそんなコトするつもりなんて無いわよ。流石にそれくらいの年齢にそんなことしたら死にかねないし」
「…成長したらどのように接するかを何れ見物させてもらう」
「……まぁ…部屋は余ってるからいいけど、…………あんまり余計な誤解を招きそうな発言はやめてよね?
この手の話しをすると高確率で何所から聞きつけたのかママがからかいに来るわ、パパが暴走を通り越して覚醒状態になって突撃してくるんだから」
「…どうやらそのようだな。
現在其の二名と思しき者がこの部屋目指して移動していると思われる。
一度壁内及び室外の壁周りを点検してみるといいだろう。
恐らく振動感知器と送信機が見つかるはずだ」
「……………室内じゃないし、何より監視じゃなくて監諜とかだから平気と言いそうで腹が立つわね」
「アリサが構わなければ衝撃吸収素材の絨毯や壁紙の設置を手配するぞ?」
「いや、いいわ。
こういうのは話し合いで決着つけるのが楽しいしね」
「…何故楽しいのだ?」
「うん?
そりゃ親しいヤツがフザケタ真似した際の御礼参りは楽しみじゃない。
ほら………こう………なんていうか………親しいからこそ加減も遠慮も無しでぶちかませる快感て言うの?」
「理解し難いがアリサがそういう存在だというのは納得した」
「……………そこはかとなく馬鹿にされた気がするけど…………まぁいいわ。
で、もうそろそろ会話を盗み聞きしてたパパやママが来そうな気がするから、面倒なことが厭なら、又窓から出るのを勧めるわ」
「そうするとしよう。
では又何れ」
「ええ。それじゃあはやて達によろしくね。
あ、あとリインフォースに、[又すずかとはやてと一緒にお話しましょ]、って伝えといて」
「分かった。
では」
・・・
「…………相変わらず常人やヒトというより、生物離れした運動能力してるわね。
全く…………一体何所の蜘蛛男やターザンかって言いたくなるほどの動きをして……。
と言うか、空気抵抗や重心移動や慣性や揚力や重力を式に当て嵌めて計算できるだけの演算力と肉体を意識的に操作できれば人類の90%以上ができるとか言ってたけど、 …………なんか魔法使いとか戦士っていう職業じゃなくて、超人とか魔人とかいう生物というか存在の格的な隔たりを感じるわね……………。
乳児や老衰し過ぎの老人以外のほぼ全員が蜘蛛男バリの動きが出来る世界って…………、厭過ぎよね。
さて、と。
それじゃあパパとママをやりこめましょうか」
【打ち切り】
● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○
【おまけ】とある日の食堂(IF編壱と弐の間の時間)
● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○
「ふーん、エリオ君は女難も高いけど女運も高いんだ」
「ま、冷静に考えてみると回りは女だらけだからね。
女難も高いけど女運も高いのは頷けるわね」
「うーん、でも女難て多分ティアのことじゃない?
いつもがみがみガミガミ言ってるし」
「あ ん た がっ、主な原因でしょうがっ!」
「お、落ち着いてくださいティアさん
ぼ、僕は僕が女難だ何て思ってませんから」
「……微妙に引っかかるけどまあいいわ。
で、シャマル先生、次は隊長達の相性や運勢を調べてくれませんか?」
「はいはーい。それじゃあまずはフェイトちゃんから………」
そう言ってシャマルは占いの本をめくって調べ始めた。
そして割と直ぐに調べ終わったのか音読しだす。
「えーと、……恋愛運及び結婚運、どれも目を背けずにいられない程低し。
健康運は概ね良し。しかし不注意が原因で大怪我を追う可能性あり。
金運は概ね良し。しかし思慮の浅い行動が原因で大損する可能性高し。
対人関係は公私のケジメを着けると友人の不興を買い、公私のケジメを着けぬと上司から不興を買う。
仕事運は、上司と部下及び公私の関係の板挟みが原因で進退窮まるので只管に悪し。
……………踏んだり蹴ったりな結果ね。
あ、理想の相手は……………………………………色々な意味全部がなのはちゃん」
「「「「あー………」」」」
占いの結果が微塵も外れている気がせぬため納得の声を上げるフォワード陣。
そしてフォワード陣が納得している間にシャマルは次の人物の占いをしており、フォワード陣が納得し終わると同時に次の人物の結果を音読しだす。
「で、次はなのはちゃんね。
えーと、…………恋愛運及び結婚運は…………死ぬまで振り続けたサイコロが全部同じ目になる確率より低し。
健康運は思慮が浅ければ…………【訴訟される可能性がありますので紙面では掲載できません。どうしてもお知りになられたい方は会員になられた後に所定の手続きをして下さい】………だって。
金運は割りと高し。但し備えを怠ると非常に危険。
対人関係は………、諦めが肝心です。唯一の解決策は誰とも関わらない事。
仕事運は…………、気付かない限り順風満帆に感じられます。
理想の相手は………………………………、色々イロイロな意味で速人さんとフェイトちゃん」
「「「「……………………」」」」
これ又占い結果がなのはを狙い撃ちし方の如く的中しており、最後の相性も欠点を補う相手と考えれば速人は十分納得できた(相性は別にして)。
そしてフォワード陣が苦笑を通り越して笑え無い程的中していると思える占い結果を聞いて固まっている時、突如話題の本人達が現れた。
「ふ〜ん。
随分と面白占いの本だね」
「な、なのは。
う、占いの結果だから、………あ、あんまり気にしないほうがいいと思うよ?」
本人としては笑っているつもりなのだろうが、意図的に笑おうと顔を歪め過ぎた為結果的に不気味な表情になり、更には怒りが渦巻く濁った暗い眼をしたなのはと、何とか宥めようと四苦八苦しているフェイトの姿がそこにあった。
「うん?大丈夫だよフェイトちゃん全然気にしてないからただどうしてあんな結果が出たのか不思議に思っただけだから」
「ふ、不思議も何も………、本に書いてある通りに進めた結果みたいだから、聞くなら本の編集部相手だと思うけど?」
普段は天然でボケ担当のフェイトが理論的なツッコミを入れる様に、本人となのは以外は珍しいモノを見たと内心思っていたが、直ぐになのはをどうにかしなければ要らぬ被害が出ると思ったシャマルがなのはを押さえに入った。
「う〜ん、今はこの本でみんな楽しんでるから貸すことは出来ないけれど、本の題名と月号数を教えるから、後で書店で買って確認する?」
「今すぐ知りたいんでスバル達の了解が在れば貸してくれますか?」
「だ め。
それじゃあ仮になのはちゃんにその気がなくてもスバル達が変に気を使っちゃうしね。
と言う訳で、今此処で私がなのはちゃんに貸す気は無いから諦めた方がいいわよ?
それと、仮にスバル達が貸すように頼んでもこの場で貸す気は無いから、スバル達をいくら脅したって無駄よ?
だって私が今この場でなのはちゃんに貸す気無いんだもの」
シャマルが自分達になのはの悪感情が向かないようにしている言葉を聞き、フォワード陣はシャマルの対応を大人の対応だと思い、尊敬の眼差しで見ていた。
対してフェイトはシャマルが正面からバッサリとなのはの半恐喝を断ってしまったため、なのはの方を恐る恐る見やり、その表情に変化こそ無かったが雰囲気がかなり酷いことになっていると理解した瞬間、凄まじい速さで視線を戻して見ていない振りを決め込んだ。
「……わたしは何であの人なんかとの相性が最高って出たのかを調べたいだけなんだけどな………」
そう言いながらデバイスを構えなのは。
そしてそれを見て驚くというか慄くフォワード陣とフェイト。
対してシャマルはそのなのはの行動に呆れるというか疲れを感じつつ、それでも一言注意しようとした。
だが―――
「その行動は武力行使を示唆した恐喝行為及び強盗未遂と判断しましたので、刑法及び局規違反の現行犯として現時刻13時12分54秒を以って特殊監査官資格保持者の三佐相当権限を以って武装解除の強制を勧告及び拘束します。
尚、貴女には黙秘権が有るので不利な証言は発言なさらずとも構いません。又、弁護士を雇う金銭的余裕が無ければ此方が手配します。但し、黙秘権を行使する場合は時空管理局局員としての報告の義務を放擲する事になりますので、その場合は局員を懲戒解雇される以上の処分もあると留意して下さい。
それと弁明が有るならば拘束及び連行要員が到着するまでの間は聞きますが、取調室で発言されることを推奨します。高町なのは一等空尉」
―――若気の至りに対して微塵の容赦も無い速人が現れ、洒落や冗談ではないと誰もが解る内容を、同じく洒落や冗談ではないと誰もが解る口調でなのはに告げた。
突如相変わらずの速人の対応を見たシャマルは、溜息を吐きながら速人に話しかける。
「状況説明をするために同行した方がいいですか?」
「この食堂には監査装置が設置されているので現状では不要です。
因ってシャマル二等海尉達は御気になさらず歓談を続けて下さって構いません。
尤も、恐喝行為及び強盗未遂として立件されるならば御同行して頂いた方が手続きが早く済みます。
尚、立件される場合は此方が業務に関する調整等は引き受けますので、御自身の業務に対する責任及び査定に関しては御気になさらず結構です」
そう速人が言うと同時に食堂の横開き式の扉が開き、リインフォースとツヴァイが凄まじい疲れと呆れを漂わせながら入ってきた。
「両副隊長は現在の職務を離れる事が困難な為、私達が代理で拘束及び連行要員となりました。
尚、挨拶や照会は省略させてもらいますが、必用ならば述べて下さい」
「異論はありません。
それと先程武装解除強制の勧告を無視した為、強制連行をして下さって構いません。
では先導しますので取調室まで連行して下さい」
「「了解した」です」
そうリインフォースとツヴァイは返事をし、その後直ぐに速人達は食堂から姿を消した。
・
・
・
そして、食堂が静寂満ちた頃、シャマルはスバルが騒ぎ出すであろう事を予見して先に独り言のように呟いた。
「まぁ、エース・オブ・エースがあの程度の犯罪や局規違反で裁かれたりしないでしょうから、直ぐに解放されるでしょうね〜」
「本当ですか!?」
「絶対とは言えないけれどほぼ確実にそうなると思うわ。
第一、速人さんとなのはちゃんが一緒に居て今まであんな事が一度も無かったと思う?」
「「「「……………」」」」
シャマルの言葉に相性が最悪として(なのはが一方的に憎悪しているだけだが)知られている速人となのはの関係をフォワード陣は思い返し、下手すれば会う度に先程の様な事が起きる可能性も十分に有ると認識し、割と日常茶飯事なのだろうと思い、これ以上深く考える事を止めた。
但し、なのは信奉者というかなのはの共鳴者とも言えるスバルだけはシャマルに疑問をぶつけた。
「あの…………天神…先輩……は、どうしてあそこまでなのはさんを邪険にするんですか?」
「邪険って…………、あのね、何か勘違いしているようだけど、さっきの速人さんの対応に不正や不備は少しも無いわよ?」
「で、でも、アレくらいは冗談で済ませられるじゃないですかっ」
「……………たしかに、凄ーく好意的に解釈したらそうなるけれど、………好意も悪意も交えずに判断すれば、誰が見てもただの武力行使を示唆した恐喝よ。
………多分スバルは身内なら少しは考慮してほしいと考えてるんでしょうけど、どれだけ親しくても馴れ合いを微塵もしない速人さん相手にその考えは抱かない方がいいわ。
……まぁ、馴れ合いじゃなくて取引や利用と言う意味でなら弁護をしたり不問にしたりもするんでしょうけど」
「それって自分に都合のいいことは見逃すって意味ですよね!?
馴れ合いよりよっぽど悪いじゃないですか!!?」
「う〜ん……………言い方が悪かったわね。
………つまり解りやすく言えば、速人さんは理論武装で意見や問題を封殺するって事よ。
…………たしかに自分の都合の良い時にしかそんなことはしないでしょうけど、少なくとも理屈はきちんと通っているから違法じゃないわよ?」
「で、でも………自分の為に権力使うなんて…………公私混同ですっ!」
「……(公私混同って言葉と意味を知ってたのね)……たしかにそう取れなくもないけれど、そこはその役職に就いた者の裁量の一つでもあるから公私混同とは言い難いわね。
…………その行動結果に問題が無い場合は特に」
「でも………………」
「まぁこの話はいいじゃない。
答えなんて偉い人の考え次第でコロコロ変わるんだし」
「………………シャマルさん………………その説得は色々アウトだと思います」
「ええと……………ちょっと将来に希望が持てなくなるんですけど………」
「あの………流石に局員としては駄目な気がします………」
「え?あら?」
「………折角大人な意見と対応を見せて尊敬してたのに………」
「………僕もシャマル先生がすごい大人と思ってたのに………」
「………わたしも………」
「やっぱりヴィータ副隊長の言う通り、必ず最後に化けの皮と化粧が剥がれてオチがつく人なんですね………」
「「「あ………」」」
「………スバル…………訓練で大分疲労して体が参ってる上、暴食が過ぎてるみたいだから冷たい物は控えた方が良いわね」
「えっ!?
ま………まさか…………」
「そ、アイスは暫く控えるべきね。
………とは言っても、まだそれを強制できる程スバルの状態は悪くないから本人と周囲への警告止まりだけど」
「よ……よかったああぁぁぁ〜」
「あ、でも……………メールをチョチョイのチョイ………っと」
「「「「?」」」」
「あ、今のは速人さんに、[明日のお弁当だけど、スバルの消化機能が芳しくないから考慮して下さい]、ってれんらくしただけよ?
…………YOかったWAねー、スBAル。
…………明日は一人特別せいYO。www」
「?」
「………シャマル先生………大人気ないですよ」
「「………僕(わたし)の分を分ければ―――」」
「―――全部食べられるわね。
………図々しさの原子で出来てるような奴よ?
おまけに好きな物を食べてる時には遠慮とか自制とかいう行動とは無縁になるわよ?」
「「……………」」
「ま、昨日ヴィータ副隊長がくじで当てたアイス一年分を一人で図々しく9割以上食べておなか壊し気味だし、胃腸を休めるって意味と、ヴィータ副隊長の機嫌を取るためにもちょうどいいんじゃない?」
「………そうですね。
………夕方ヴィータ副隊長が出張から戻って食糧備蓄用の倉庫を点検していた速人さんにアイスが無いって聞いた時、しばらく固まってましたからね………」
「………八神隊長達と食べようとしたらしいけど、4つも足りなくてリインフォースさん達とザフィーラが遠慮したそうですけど、すごく暗い雰囲気で食べたそうです………」
「そりゃ家族達と食べようとしたのが、しかも365個もあったのに半日で4個まで減ってたら落ちこむわよ。
……………しかもアレ、1個1万円以上の超々高級アイスよ?
あの馬鹿一人で最低330万円分以上のアイス食べたのよ?
あたしだったら戻らないって分かってても腹に撃ち込んで吐き出させて、それから土下座させて謝らせるくらいはするわね」
「…………2……20個食べたから…………」
「20万円だね。
…………たしか私達のお給料より高い筈だよ?」
「…………ちなみに私達がご馳走になってる弁当だけど、原価だけで平均70万円で、商売するなら色々な経費や技術料込みで200万円はするんだって」
「そ、そんなお金どこから用意してるんですか!!?」
「詳しくは知らないけど、部隊長補佐達って常識外れの資産家らしいわよ?」
「………宝くじでも当たったんでしょうか?」
「……キャロ、それだとお金持ちよ。
あたしは資産家って言ったの」
「「??」」
「要するにお金を持ってるだけじゃなくて、会社とかを持っててお金を増やし続けられるってこと」
「………じゃあ何で局員になってるんでしょうか?」
「知らないわ」
「……と言うか、常識外れってどれくらいなんですか?」
「嘘かホントか知らないけれど、首都ミッドチルダを全部地上げできる程だって」
「「……………」」
「ま、深く考えない方が良いわよ。
部隊長補佐達は良くも悪…………りがたくも普通の人とは色々違うから。
(………大丈夫だとは思うけれど、突っ込まれる発言は喋らないどこ……)」
「「……たしかに………」」
「さて、それじゃあ昼休みも終わりそうだし、あそこでシャマル先生に生活習慣を注意されてる馬鹿は放っといて行きましょ」
「「あ、はい」」
・
・
・
翌日、自分の分だけ香辛料や食物繊維、更にはアイス以前に冷たい物すらない無い速人製弁当を受け取ったスバルは、暫く呆けた後号泣した。
その泣き声は肉親を殺された者の慟哭と同じだったと多くの者は語った。
【投げっ放しで終わる】
● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○
【おまけ】一発ネタ・もしも速人がネギま!?のエヴァンジェリンと出合っていたら?
● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○
―――出会いより約半年後―――
「投降地獄?
戦闘になった際に無条件に相手に降伏する類のモノか?」
「………えらく私の呪いが軽いモノに思えてきたな」
「チッ。ドウセナラソッチノ呪イダッタラヨカッタノニヨー」
「黙れチャチャゼロ!
………まあお前がそう勘違いするのも無理は無いだろうが、登校地獄とは―――略―――」
「それなら恐らく5分以内に解除可能だが、解除した方が良いか?」
「なにっ!?本当か!?……………って、魔力の無いお前がどうやってこの呪いが解けるというんだ?」
「術式解体は俺の能力では現実的ではないだろうが、呪いの楔となっているこの学園を消せばその呪いは解除されるだろう」
「いや…………確かにそうかもしれんが…………まさか核爆弾とやらでもココに落として地図から消すつもりか?」
「その場合呪いの解除前にエヴァンジェリンが蒸発して消滅する可能性があるので最終手段だろう」
「って、核なんぞ用意出来るのか!?」
「ゴ主人………今更ダゾ?」
「話しを続けるが、俺が提案するのはこの麻帆良学園の書類上廃園に因る呪いの解除。
これは呪いが麻帆良学園に通うようにされているだろうと推測される為だ。
二つ目は麻帆良学園の物理的解体に因る廃園。
此れは物質的な楔があると判断される際の処置だ。
…何か問題点はあるか?」
「………思い切り力押しだな」
「ケケケ、此レナラアノ小煩イ馬鹿達モ文句ヲツケラネエナァ」
「無いならば此れより実行するが構わないか?」
「あ、ああ。
存分にやってくれ」
・
・
・
――― 結果、見事に登校地獄は解除。
そして麻帆良学園は魔法螺学園へと解明。―――
「流石にあれだけ派手なことをやると私が協力者のような者と居るのはバレるな」
「ト言ウカ半年近くバレナカッタコトガ不思議ダゼ?
イクラゴ主人ノヨウニ引キ篭モリシテタトシテモヨー」
「黙れ馬鹿従者。
私は引き篭もりではなく、人間が鬱陶しくて会いたくないから外に出ないただの出不精だ」
「ケケケ、ソレヲ引き篭モリト言ウンダゼ、ゴ主人。
マァ、ゴ主人ノ場合ハ引キ篭モリト言ウヨリハニートカ駄目人間………ッテ言ウカ駄目吸血鬼ダナ」
「おいチャチャゼロ、お前私に喧嘩を売ってるな?そうだろ?ソウダロ?はいって言え」
「オイオイゴ主人、俺ハ親愛ノ情トカ言ウヤツデ話シカケタダケダゼ?
ソレヲソンナ風ニ思ワレルナンテ心外ダゼ〜?」
「抜かせ、無差別殺人人形が。
どの口が愛だの親しみだのを垂れ流す?」
「ケケケケケッ、ソリャゴ主人ガ熱上ゲテル奴ガ格好イイト言ッタ俺ノ口カラダゼ?」
「オイコラ!?
誰が誰に熱を上げてるって!!?
私―――」
「迂闊ナ発言スルト出テ行クゼ?」
「―――が一体何時何処であんな小……………」
「ケーケケケケケ、アノ鳥頭トイイ今度ノ案山子トイイ、ドウヤラゴ主人ハ振リ回サレルプレイガ好キミテエダナ?
…………ロリババツンデレ基本Sノ本性Mトハ、要素盛リ沢山ダナ?」
「私の新たな従者になる予定の人形が完成するそうだから、この機会に別荘の倉庫の番人にでもなるか?」
「ケケケケッ、ソウナッタラ倉庫ヲ漁ルアイツト向コウ1年程話シ込ムカラハブラレテナ」
「ギッ、グッッ、ギィッッッ!」
「マァ、コレ以上ヤッタラ後ガマジで怖ェカラコノ話ハ此レデ終イニスルトシテ、話ハ変ワルケドヨ、アイツヲ一人デ行カセテ良カッタノカ?」
「………後で覚悟しろよ。
………私が居ると話が面倒になるそうだから仕方ないだろうが。
第一………正義の魔法使いじゃ速人は殺せんさ。
ハーツを監禁なり殺害なりすれば中近東に核が物理的にもデータ的にもばら撒かれるんだからな。
………下手をしなくても第三次世界大戦に直結だぞ?」
「………自分デヤッテネエケド、事実上世界中ノ人間ヲ人質ニ取ッテル状態ダナ………」
「全くだな」
「テ言ウカヨー、タッタ半年チョイデ世界ニソコマデノ影響力持ツ程頭良イッテ、今俺ノ妹ヲ創ッテル奴トドッチガ頭良インダ?」
「ああ、それは私も気になって超に聞いてみたんだがな、超が言うには、「私の頭脳は万人向けで、彼の頭脳は自分専用だから、比較するのが難しいヨ」、だと。
ただその後、「単純な知識なら対等だろけど、閃きとかその辺りは悔しさも湧かない程彼が上ネ」、だと言っていた」
「………スゲエナ。
コレデアイツガゴ主人ノ従者ニナリャ、俺ガ近距離デゴ主人ガ中・遠距離、ソシテアイツガ遠距離カラ超長距離デ隙ガ無クナルシ、凄過ギテアホミタイニ思エル程頭モ良イカラ、参謀トシテモ超一流ダゼ?」
「……………………あいつはヒトだ。
後100年もすれば死ぬだろうし、その時あいつを従者にしていれば恨みを買いまくった私は集団私刑で死ぬだけだ」
「オイオイ、アノ鳥頭ミタイニ誘ワネェノカ?」
「それはあいつの存在意義を否定するだけだから、するだけ無駄だ」
「ソウカ?俺トシチャ人間ヨリ丈夫デ長持チスル生キ物ニナルンダカラ、寧ロ喜ビソウダト思ウゾ?」
「真祖なら兎も角、寿命は在るわ弱点は多いわそこまで強化されない唯の吸血鬼になるつもりは無いだろう。
何より、私が吸血鬼にした場合、少なくても力を蓄えるまでの間は私に服従せねばならないのだ。
…………自分の意思を他者に委ねるような決定は断じてせんさ」
「アア、特ニゴ主人ハ少シヤンデレガ入ッテルカラナ。
下僕ニシタ瞬間、[常ニ傍ニ居ロ]、ダノ、[足ヲ舐メテ忠誠ヲ誓エ]、ダノ、[腎虚ニナルマデ抱ケ]、ダノ、爛レテ病ンダ台詞ガ飛ビ出シマクルダロウカラナ」
「…………お前が私をどう見ているのか良く解った。
解ったから今度従者が生まれたら別荘の隅で草むしりでもやりながら私に対する言葉遣いを考えてろ」
「オ?イイノカ?ソンナコトイ言ッテ?
ソレナラゴ主人ヲカラカウ為ニ習ッタ慇懃無礼ナ話シ方デオチョクルゾ?」
「………………時間差を最大にしてから何も無い空間に叩き込んで退屈死させてやるぞ?」
「ケケケケ、流石ニソレハ勘弁シテホシイカラ、オチョクルノハ止メニスルゼ」
・
・
・
――― その後、学園長と広域指導員を表の正論で完封し、麻帆良市改め魔法螺市の事実上最高権力者に速人が成った後 ―――
「おいハーツ。
今朝方桜咲が指名手配になっていたが、お前何かしたのか?」
「先日脅迫及び恐喝及び暴行を受けた際、一部始終を目撃および記録した警官等が居たので、即座に逮捕に移ろうとしたがその場で逃走したので、即日銃刀法違反・脅迫行為・恐喝行為・暴行の現行犯ということで指名手配になった。
尚、それらは全て立件するが、法廷に立つのは代理人を用意しているので俺が法廷に立つことは無い」
「……………容赦無いな」
「オイオイゴ主人、ソノ場デ殺サレテネエダケマシダロ?
多分ゴ主人ガココヲ何ダカンダデ気ニ入ッテルッテ言ッタカラ、ソノ場デ殺サナカッタンダト思ウゼ?
ソウデナキャ今頃死体ニナッテル筈ダゼ?」
「む………たしかに…………。
と言うか、お前もハーツもそんなことがあったなら昨日の内に一言くらい言え。
慌てふためく爺達をつまみに酒を飲んだというのに………」
「[ガキ共の相手で疲れたから寝る。急ぎの要以外じゃ朝まで起こすな]と言っていたが、急ぎの要件だったのか?」
「いや……………そういうわけではないが……………そんな面白そうなモノならば一声欲しかったと言うか……………………ええいっ!兎に角察せ!」
・
・
・
――― その関西呪術協会の長と取引をして刹那の件は示談。
その後殉職希望の教師や生徒を次次と社会的に抹殺。
そして速人とは違った意味で無法な存在のネギが来日 ―――
「…………ハーツ。
………………お前、あの坊やをどう評価する?」
「社会不適格者」
「クゥゥッッククククッッ!
………………ズバッと言い切ったな」
「ケケケケケッ!
オ前ニ言ワレチャオ終イダロウケドヨォ、タシカニアレハダメダナ。
教師トシテモ子供トシテモ魔法使イトシテモダメダメダナ。
ナンセイキナリ人前デ友達トカ言ッテル奴ノ心読ンデ大声デ暴露シテンダカラヨ」
「全くだ。
友人の心内を初対面の者に詫びとして覗いた挙句暴露しようなど、人前で魔法を使う点で魔法使いとして駄目だは、生徒の機嫌を取る為に他者のプライバシーを踏み躙る点は教師としては駄目だは、友人を自らの保身の為に売るのは子供であっても駄目だは………。
…………駄目の三重奏だな。
……面白可笑しく死ねば愉快なんだがな………」
「オッ?珍シクイイ事言ウジャネエカ、ゴ主人」
「俺としては世間の注目を集める愉快や滑稽な死に様よりも、簡潔且つ速やかに誰にも注目されぬよう死体に成る方が良い」
「…………………何気に酷いな」
「何に対して酷いんだ?」
「いや…………冷静に考えてみたらそんなに酷い気がせんな」
「寧ロ慈悲ッテヤツジャネエノカ?
周リニ落胆ヤ馬鹿ニサレタ挙句迷惑振リ撒イテ死ヌヨリモ、ヨッポドアノ小僧モ本望ダト思ウゼ?
ヨク言ウ幸セナ最後ッテヤツダロ?」
「たしかに………………悪い話じゃないな」
「反対意見が無い様ので即座に実行しよう。
明日にでも大型タンクローリーから小動物を救助した後、大型タンクローリーが不可解に宙を舞い、着地した衝撃で半径400mのクレーターを形成する程の爆発が起き、大量の死者にその存在が埋もれるだろう」
「待て待て待て待て待て!!!
お前はここを阿鼻叫喚地獄にする気か!
と言うか、いくらあの坊やが気に入らないからと言って、覚悟もしていない周りの者ごと殺そうとするな!!
と言うか!、坊やを含めて女子供がどれだけ巻き込まれて死ぬと思ってるんだ!!?」
「死者600〜800、重傷者300〜500、軽傷者900〜1100、ライフライン破損に因る二次被害は5%〜10%だろう」
「具体的過ぎて嫌過ぎるな!!?
と言うか私は自分が手を下さずとも他の奴が女子供を虐殺しまくるのを見過ごしはせんぞ!?」
「その点は問題無い。
現在の日本の倫理と法律に照らし合わせても問題無く、更にその件に関わる者が全て自由意志で決断を下した末に起こる事故は虐殺とは言わん」
「蓋然性犯罪など糞喰らえだ!!
って言うかお前はそれで龍宮以外の四天王を全て裁判所送りにしたり、他にもウルスラや小賢しい正義馬鹿の教師を一人一人ピンポイントで社会的制裁を与えまくってただろが!!?
少なくてもお前が絡むと蓋然性なんて言葉は欠片も信用出来んわ!!!」
「落チ着ケヨゴ主人。
ッテ言ウカ、ゴ主人達ノ身長デゴ主人ガ胸倉掴ンデ揺スッテルト、ソイツノ股間ニ腰叩キ付ケテルヨウニシカ見エネエカラ、卑猥過ギテ笑エルゼ〜?。
ツウカ、モシカシテ無意識ニヤッチマウ程溜マッテンノカ?
モシソウナラ相手シテモラエヨ。
ドウセ人間トヤッテモガキナンザ出来ヤシネエンダシ、引キ擦リコメテ一石二鳥ダロウガヨー」
「な!な!な!な!な!な!な!な!?
わ、私はそんなつもりなど無いわぁっ!!?
第一昨日部屋でヤッたばかりなんだから溜まってるわけあるかっっ!!!」
「オイオイゴ主人、コンダケ放置サレテタノニマダアノ鳥頭デヤッテンノカヨ?」
「誰が今更ナギでするか!!?
ヤるならハーツに決まって…………………………て……………」
「チッ、モウ正気戻ッチマッタノカヨ。
モウ少シ素直ニ墓穴掘リナガラ暴露シテタラ楽シカッタノニヨー。
………ッテ、ゴ主人?」
「……………………………………………………………………………ア…………………アハハハハハハ、ハHaHaHaHAHAHAHAhAhAhaaaaaaaaAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」
「……………壊レタカ?」
「ククククク苦供狗琥9×9、腑婦腐浮夫HUFU」
「……………終ニ来タカ?」
「……………終わった終わってしまった従者の前ばかりか本人の前で言ってしまった私のプライドはもう終わってしまった誇りある悪じゃなく痛い悪になってしまったああエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは死にエヴァンゲリオン・A・K・B・マクドナルドという選ばれし永遠のニートに成ったんだそうだニートに成ったからにはとりあえずほとぼりが冷めるまで部屋に閉じ篭って遣り過ごそうそうだ今まで生きてきた時間と同じだけ引き篭もろう流石に知り合いは全員死んでるだろう良しそうしよう」
「…………アーア、本格的ニ壊レチマッタナ」
「錯乱しているだけのように見えるが?」
「半永久的ニ続クダロウケドナ。
…………ッテ、別荘ニ引キ篭モル気カヨ。
オイ、面白ソウダカラ後ヲ着ケルゾ。
ア、後坊主ノ抹殺計画ハゴ主人ガ元ニ戻ルマデトリアエズ止メトケ
ソレニ久シ振リニ馬鹿ヲ切リ刻ミタイシナ。ケケケ」
「分かった」
・
・
・
――― その後、エヴァンジェリンが虚ろな状態で別荘の内外時間差の設定を適当に調整した為、内部時間が限界まで引き延ばされ、別荘内での1日が外での半年になってしまった。
その結果学園長がエヴァンジェリンを当て馬や師匠にしてネギを鍛える計画などが全て潰れ、修学旅行で復活した鬼神相手に有効な手段が無かったので打倒手段があると言う超鈴音に依頼をし、超は速人より購入していた戦略級核爆発に匹敵する唯の火薬爆弾を搭載したミサイルを発射し、関西呪術協会ごと纏めて消滅させた。
更にその後の悪魔襲撃時にはネギ達だけでは対処できず、学園の多数の魔法関係者が参戦するが、人質を取られている状態では満足に力を振るえず、死者こそ出なかったものの再起不能級の重傷者を多数出して終わった。
そして、学園祭ではネギ達の全てが余りに未熟以前の問題であることが露呈し、ネギ達では超鈴音を止めることが出来ず、ネギの代わりに航時機を持っていない学園長が超鈴音と対決し、手加減が出来ぬ為に殺すという容で辛うじて事態を収束させた。
その後夏休みに魔法世界へネギ達は入国したが、実力が不足と言うより欠落していることが原因で何名か死者を出し、生き残った者も魔法世界に飛散したまま二度と現実世界の地を踏むことは無かった。
尚、何度も学園長がエヴァンジェリンに会おうとエヴァンジェリンの家を訪ねたが、速人が何時の間にかどこかの国連直属非公開組織級の装甲や防衛力をエヴァンジェリン宅に付加しており、全く侵入出来なかった。 ―――
【一発ネタらしくいい加減に終わる】
● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○ ● ○
管理局ってやっぱり軍の面が大きいから、それで考えると確かに問題があったりするんだよな。
美姫 「結構、難しい所だけれどね」
にしても、速人の行動は相変わらずで何故かほっとしてしまう。
美姫 「それはあるわね。おまけの話にしてもね」
だよな。一貫して同じだし。
美姫 「次はどんな事が起こるかしらね」
次回も待っています。