Side:シグナム
地獄門に辿り着いた先で待っていたのは、サキュバスと、黒騎士ネロ・アンジェロだったか……此れはまた、随分と上級な相手を配置してくれたものだ…血が滾るぞ!
尤も、ネロ・アンジェロはスカリエッティの配下ではないので、己の意思で此処に現れたのだろうが……一体何が目的で現れたのだろうか……
「目的などないだろうが、敢えて言うのならば強者を求めてと言う所だろうな。
アレの憑代になっていた事が有る故に、奴の考えは手に取るように分かる……奴は真正面から強者に挑み、死力を尽くして戦う事を最大の幸福と思っている、一種の
バトルジャンキーとでも言うべき存在だ。
故に、奴の相手は俺でなくては務まらんだろう……何よりも、奴は俺の過去の汚点そのものだ、この手で拭わねばならんからな。」
「強気相手を求めるか……曲がりなりにも騎士の精神は持っているようだな。――だが、そう言う事ならば、黒騎士の方はお前に任せるぞバージル!!」
「任せておけ……貴様の方こそ、あの醜悪な化け物に負けてくれるなよ?
サキュバスは、確かに高位の悪魔だが、精々上の下と言ったランク故、貴様が本気を出せばレヴァンティンの錆にすらならん口うるさいだけの雑魚でしかない。」
高評価過ぎる気がしなくもないが、其処まで言って貰えたのならば、其れに応えなばなるまいな。
良いだろう、此のサキュバスは私が引き受けた!!故に、ネロ・アンジェロはお前に一任する――死ぬなよ、バージル?
「ふん……誰に物を言っている?
俺はスパーダの血を引く魔剣士……そして、今の俺は、神と崇められたスパーダに勝るとも劣らない力を有しているのだ、この黒騎士如きに負ける事など有り得ん。
寧ろ、貴様の方こそしくじるなよシグナム?
サキュバス如きは取るに足らん存在だろうが、奴は毒霧といった狡猾な攻撃を仕掛けてくる故、足元を掬われんように注意しておけ。」
了解だ。
まぁ、精々見せつけてやるとしようじゃないか……暫定的ではあるが、機動六課最強の剣士と謳われる、私達の剣の絶技と言うモノをな!!
リリカルなのは×Devil May Cry 黒き騎士と白き魔導師 Mission100
『最強の剣士〜The strong Knight〜』
Side:バージル
サキュバスの方は、シグナムに任せておけば問題なかろう。――サキュバスは、最上級の淫魔だが、その淫なる魅惑もシグナムに通じないだろうからな……精々己に
降りかかる敗北と死の恐怖を噛みしめるが良い。
尤も、シグナムが相手では其れを感じる事すら出来ないかもしれんがな。
まぁ、其れは良いとして、俺達もそろそろ因縁に決着を付けるとしようか、黒騎士ネロ・アンジェロよ?
俺が魔帝の手駒と化した際に、設定された疑似人格がこうして生きていると言う事自体が驚きだ……まぁ、アインスを憑代とする事で生き長らえていたのかもしれんが。
だが、貴様の運命も此処で終わりだ……せめてもの情けとして、貴様が望む強者との戦いでの幕引きをしてやるとしよう。
「俺に勝つ心算ならば、己の全力を尽くして掛かってくるが良い……其れで勝てるのならばな。」
『ぐおあぁぁぁぁぁぁぁぁあっぁぁぁぁぁぁぁ……ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!!』
――バリィィィィィィィィィィィィィィッィィン!!!
『ぐあぁぁぁぁ……ぐぅぅぅぅ……』
俺の挑発に怒って力を解放したか……そう来なくては面白みも何もない。
力の解放と同時に仮面が割れてその素顔が明らかになったが……矢張り気分のいいものではないな、完全に闇に堕ちて魔帝の手駒になった己の姿というものはな。
とは言え、力を解放した事で、漸く通常状態の俺と互角と言ったところだ――此れも好い機会だ、力の差と言うモノを教えてやろう。行くぞ……!
――――――
Side:シグナム
さて、任された以上は其れに応えねばな……まぁ、私としても、此の醜悪な化け物を何時までも見ていたいとは思わん、手早く片付けてしまうのが吉と言うモノだろう。
尤も、この巨体ならば、其れに見合った体力が有るのだろうから、意外としぶといのかも知れんが。
『ふひひひひひ……此れはまた、何とも美味そうな娘よのう?
スパーダの血を引く奴を殺す前に、貴様をむしゃぶりつくした上で、私の子を産ませると言うのも一興だ――その身体と魔力ならば、さぞかし良い子が生まれそうだ。
誇れ小娘、悪魔の子を産む事など、早々出来ない貴重な体験だぞ?』
「断る、阿呆。お前程度の輩に負けて屈辱を受けるくらいならば、私は自ら心の臓を貫いて自害する道を選ぶ。
大体にして、お前の様な見てくれは好みではなくてな?如何せこの身を捧げるのならば、其れに相応しい相手でなくては納得も満足も出来きんさ――早い話、お前の
望む事をしてやる心算など毛頭ないと言う事だ。」
『上級悪魔って事だったけど、頭はあんましよくねぇみたいだなコイツ。
つーか、長生きし過ぎて脳味噌腐っちまってんじゃねぇのか?ごちゃごちゃ口うるさいだけの婆なんて、アタシ等の敵じゃねぇよシグナム!』
あぁ、その通りだアギト。
目の前のコイツは、確かに凄まじい力を持った上級悪魔だが、お前とユニゾンした私の敵ではないし、バージルに任された手前、勝つ以外の選択肢は存在していない。
――チャキ……
「故に貴様に残されているのは、私に斬り倒されると言う運命のみだが、さて如何する?
恐れをなして逃げると言うのならば構わん。尻尾を巻いて魔界とやらに帰るが良い。
其れともあくまでも戦うと言うのならば、其れもまた拒否はせん……我が愛刀、レヴァンティンと正宗の刃の錆となりたいのならば、遠慮せずにかかってくるが良い。」
『敵前逃亡か、無謀な戦いに挑むか選びな婆!!』
『人間風情が偉そうに……!!良かろう、その挑発に乗ってやるわ!!
だが、後悔しろ!私を怒らせた事を、私と戦う道を選んだ事を!!――我が名はサキュバス、魔界随一の淫魔……貴様等も淫なる世界に堕としてやるとしよう!!』
其れは無理だな……お前は、今此処で私に倒されるのだから。
夜天の魔導書の守護騎士、ヴォルケンリッターが筆頭騎士、烈火の将シグナム………推して参る――行くぞ、レヴァンティン、正宗、アギト!!!
――――――
No Side
こうして始まった2つ目の地獄門でのバトルは、夫々激戦と言って差し支えない激しい戦いが展開されていた。
先ずバージルは、己の分身とも言えるネロ・アンジェロと、武侠映画顔負けの凄まじい剣戟を展開していた。其れこそ、2人の剣閃を目視するのが不可能な位のスピード
で行われている超速剣戟をだ。
力ではネロ・アンジェロの方が圧倒的に勝るが、総合力ではバージルの方が上な為に、この剣戟はほぼ拮抗状態になっているのである。互いに決定打に欠くのだ。
故に、この剣劇は永遠に続くのではないかと思ってしまうのだが………
「足元ががら空きだ。」
その拮抗状態を破ったのはバージルだった。激しい剣戟の最中に、鋭いローキックをネロ・アンジェロの膝に叩き込んだのだ。
ネロ・アンジェロの鎧は確かに強力な防御力を備えているが、鎧である以上は数多に存在している鎧の御多分に漏れず、可動域である関節の防御力は極めて低いの
である――その弱点をバージルは突いたのだ。
同時に此れは、ギルバであった時代に、トニーだったダンテから同様の『関節攻撃』を受けそうになった経験から生まれた攻撃だった。
だがその攻撃は効果覿面!
『!!!!!』
流石に、膝を砕くには至らなかったが、砌穿を装備したバージルのローキックは、ネロ・アンジェロに間違いなく小さくないダメージを与えていた……叩き込んでいた!!
何れにしても、膝にダメージを受けたのならば、ネロ・アンジェロと言えど、動きが鈍くなるのは間違いなく、更に一部の技を放つ事すら難しいだろう。
だが、ネロ・アンジェロとて普通の悪魔ではない。
そんな状態にあるにも拘らず、手にした大剣を振り回して、何とかバージルを叩き潰さんとするが、力の半減した剣術では其れもまた叶わないだろう。実際に、バージル
には、直撃はおろか、掠る程度のダメージすら入っていないのだから。
しかしネロ・アンジェロの本当の目的は其れではない。
――ドゴォォォォォォォォォン!!
「!!?」
凄まじい轟音の後に、関節部へのケリを叩き込んでいたバージルが、突如として吹き飛ばされた。
見れば、ネロ・アンジェロが左の拳を突きだした状態で佇んでいた――略零距離の状態で、極大の魔力弾『メテオ』をバージルに対してカウンターで叩き込んだのだ。
大ぶりな剣技は、此れを放つのを悟られない為の『囮』だったのだろう。高い実力のみならず、逆境でも知恵を出して戦うと言うあたり、矢張り他の上級悪魔とは一線を
隔す黒騎士と言ったところだろう。
無論このカウンターで終わりではない。
『ムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン………ハァ!!デアァ!!!フゥゥゥゥゥン!!!』
吹き飛ばしたバージルを目掛けて、メテオと幻影剣を乱れ撃ちと言うのすらも生温いような、絨毯射撃を行い一気に倒さんとする。
膝を徹底的に痛めつけられ、下半身のバネを必要とする剣技の殆どが使えなくなった今、ネロ・アンジェロはこう言った方法で攻撃するしかないとも言えるのだが、だか
らこそ、此処までの攻撃をするのだろう――此れで倒さねば、やられるのは自分なのだから。
勿論、空中での剣戟に持ち込めばまた違うのだろうが、其れにバージルが応じるとは思えないと考えたのかもしれない。
メテオと幻影剣の波状攻撃は、瞬きする暇もなく続いたが………
「Don't get so cocky?(図に乗るなよ?)」
――バシュゥゥゥン!!
何度目か分からない攻撃は、バージルに着弾する前にその全てが空中で霧散した――言うまでもない、バージルが次元斬で、全て斬り捨てたのだ。
つまり、アレだけの攻撃を受けてバージルは無事だったのだ。
「随分と派手にやってくれたものだ……並のデビルハンターや、上級悪魔ならば此れで死んでいただろう。
だが、俺に対しては大した効果は無かったようだな?――尤も、機動六課での日々がなかったら、この攻撃を凌ぐ事は出来なかっただろうが……高町なのはに、防御
魔法の事を習っておいたのは正解だったか。」
土煙の中から現れたバージルは、紫色の魔力壁でその身を包んでいた。
つまりは、吹き飛ばされた瞬間に、魔法バリアを展開し、今までの攻撃を全て其れで防いでいたと言う事だろう。直ぐに反撃しなかったのは、攻撃が有効だと相手に思わ
せる為のトリックプレイだったのだろう。
尤も、その攻撃の激しさとバージルの魔法バリアの質が其れほど高くないせいで、攻撃の何発かはバリアを貫通して、軽い切り傷を負わせているのだが。
とは言え、その程度ではダメージにならない事は明白であり、バージルは悠然とネロ・アンジェロとの距離を縮めていく。まるで、死神が魂を狩りに行くかの様な様子で。
ネロ・アンジェロも、何とかしようとメテオや幻影剣を放つが、それらは全て、バージルが自身の周囲に展開した『円陣幻影剣』に阻まれてバージルには届かない。
それどころか、超速で発射される強襲幻影剣や頭上から降り注ぐ五月雨幻影剣で、逆にダメージを受ける結果になった。最早実力差は言うまでもないだろう。
「You're going down.(跪け。)」
そんな中でバージルから発せられたのは、事実上の死刑宣告。
村正で、居合の構えを取った瞬間に……バージルの姿が其処から消えた。そして次の瞬間――
――ババババババッバババババババババババッババババババババババババッバババババババ!!!
無数の次元斬と居合斬りが、文字通りネロ・アンジェロを斬り裂いた。
魔界製の強固な鎧など物ともせず、寧ろそれすらも斬り砕くかのように、叩き潰すかのようにネロ・アンジェロに大ダメージを与えた――バージルの奥義である『絶刀』が
黒騎士ネロ・アンジェロを完全に斬り裂いたのだ。
そして其れで終わりではない。
「You are not worthy as my opponent.(貴様では相手にならん。)」
『!!!!』
其処から音も無く距離を詰め、
――ドドドドドドドドドドドドッドドドドドドドドッドドオッドドドドドドドドドッド!!
「Die.(死ね)」
獄滅奥義『瞬獄殺』を叩き込んだ。
絶刀で死に体になっていたネロ・アンジェロは、如何に悪魔と言えども、この『死の奥義』に耐える事は出来ない……つまり瞬獄殺が決まった瞬間に勝負は決したのだ。
「俺の残留思念……とは違うが、貴様は良く生きた。だが、この世界は貴様の生きる世界ではない……大人しく逝くが良い。」
そう言いながら、バージルは村正を一閃し、ネロ・アンジェロの首を斬り落とし、更に心臓を貫く。
如何に悪魔と言えども、頭を斬り落とされて心臓を貫かれたら生きる事は出来ない……バージルの因縁の塊である、ネロ・アンジェロは、遂に世界から消えたのだった。
一方でシグナムだが……
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ………消えろぉぉォォォ!!!」
『燃えろーーーーーー!!!』
『な、何だこの力はーーーー!!!!』
レヴァンティンと、炎を纏わせた正宗の二刀流で、文字通りサキュバスを圧倒していた。
其れこそ、サキュバスに攻撃する暇を与えない程の猛攻で、流れを自分のモノとしていた。何ともすさまじい事だが、ヴォルケンリッターの筆頭騎士が本気を出し、更には
己との相性が抜群の融合騎とユニゾンしているのならば、当然なのかもしれない。
尤も、激しい剣技だけだったならば、最強の悪魔であるスパーダと一戦交えた経験のあるサキュバスならば対処できただろう。
にも拘らず、何故後れを取っているのかと言えば、答えは簡単だ。
「頭ががら空きだ!!」
――バキィィィィィィィィィィィィィィィィ!!
其れは、剣技に勝るとも劣らないシグナムの格闘戦技が影響している。
剣士としては右に出る者が居ないシグナムだが、実は格闘技にも精通しており、六課内でもシグナムに格闘で勝てるのはネロとザフィーラだけという位に格闘の技術も
超一流レベルなのだ。
そんなシグナムが、サキュバスに放ったのは、蟀谷を撃ち抜く神速の膝蹴り『シャイニング・ウィザード』!
あらゆるものを踏み台にして放たれる、超神速の膝蹴りは防御も回避も不能な、正に『必殺技』だ。其れを真面に喰らえば、如何に悪魔と言えども只では済まない。
『ぐあぁぁぁぁぁ……』
実際にサキュバスは、この一撃で昏倒し、直ぐに動く事が出来なくなったのだから。
だが、同時に其れはシグナムにとって最大の好機に他ならない。――決めるべき時は今なのだ!!
「此れで終わりにする!!」
『覚悟しやがれ、クソ婆!!』
そうして、レヴァンティンと正宗を逆手に構え……
「爆炎双龍刃!!!」
繰り出されたのは、左右二択、一瞬十漸の二刀流乱舞斬撃!!
レヴァンティンと正宗の二刀で放たれる斬撃は、龍の爪牙の如く鋭利で鋭く、巻きあがる炎は龍の息吹を思わせるほどの激しさであった。其れほどに凄かったのである。
『お、おのれぇぇ……』
「まだ生きているのか……呆れた頑丈さだな。」
それでも、サキュバスは死なず、恨みの言葉を口にする。
まぁ、誰が如何見ても満身創痍のサキュバスに勝ち目はないのだが、其処は悪魔のプライドがある故だろう。
『只では死なん!貴様も道連れにしてくれる!!』
「!!!」
悪足掻きとも言える、触手攻撃を仕掛けて来た――其れも、持てる全ての触手をシグナムに向けての、一斉攻撃だ。
無論、こんな物にやられるシグナムではないが、如何せん数が良い故に、全てを迎撃するのは不可能!!――遂に、触手の一本がシグナムに………!!!
――ズバァ!!!
近づいたところで、其れは斬り飛ばされた。
「図に乗るなよ雑魚が……此処が貴様の死に場所だ。」
「バージル……!」
其れをやったのはバージル。
ネロ・アンジェロを葬った後で、直ぐに此方に来たのだろう――加勢のタイミングが素晴らしすぎたのは兎も角としてだ。
「此方に来たと言う事は、ネロ・アンジェロを倒したのだろうが……些か介入タイミングが良すぎないか?……まさかとは思うが、主役を横取りする心算ではないよな?」
「そんな心算は毛頭ないが……アレがメインイベントに相応しいとも思わんだろう?」
「……言われて見れば、確かにそうだ。」
軽口の応酬とも取れる言葉のやり取りだが、シグナムとバージルにとっては此れで充分だった、充分過ぎた。
「此れで死ね!!」
「終わりだ!!」
そして言うが早いか、シグナムはレヴァンティンを、バージルは村正をサキュバスの本体に突きさす。
更に、其れだけではなく、シグナムは裏拳でレヴァンティンを、バージルは掌底で村正をサキュバスの体内に埋め込んでいく……そして其れは、只埋め込むだけではなく
サキュバスの体内で二刀が交錯し、そして夫々の場所に至る事を意味していた。
「ハッ!」
「フン。」
サキュバスの体内で交錯したレヴァンティンはバージルに、村正はシグナムの手に渡った。
そしてバージルはレヴァンティンを正眼に構え、シグナムは村正を逆手に構え、其のまま一足飛びでサキュバスを強襲!!触手が伸びて来ようとも、そんなモノは全くも
って関係ない!!
――ズバァァァァァァァァァァァァァァッァァァァァ!!!
『ギヤァァァァァァァアァァァァァァァァァッァァァアァァァアァァァ!!!』
機動六課最強の剣士による一撃は、決定的なダメージをサキュバスに叩き込んだのだった。
既に致命傷は与えたが、此れだけでは終わらない……二度と復活できないように、完全にその存在を魂から消し去る必要があるのだ。
だから、シグナムはバージルに、バージルはシグナムに得物を投げて返す。
そして、己の得物が戻って来たシグナムは、レヴァンティンを正眼に構え、バージルは村正で抜刀術の姿勢を取る……つまりは此れがラストアタックと言う事だろう。
「此れで終わりだサキュバス!!燃え尽きろ……火竜一閃!!」
「Scum……Die.(屑が……死ね。)」
其処から放たれたのは、一切の慈悲のない炎熱斬撃砲と、見切り不能の次元斬!!
如何に最上級の悪魔であるサキュバスとて、この超絶攻撃の共演を真面に喰らっては無事では済まない……と言うか、一撃撃滅は免れない。つまりは消滅だろう。
『うぎゃぁぁぁぁっぁぁぁぁあっぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!そ、そんあ、そんな馬鹿なぁ!!
こんな奴等に……こんな奴等如きにこの私がぁぁぁぁっぁぁ!!うわぁぁぁぁぁぁぁっぁあぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁっぁあっぁぁぁぁぁぁっぁっぁぁぁぁ!!!』
――ドガァァァァァァアッァァァァッァァァァァァァッァン!!!
いっそ呪詛とも言える言葉を残してサキュバスは爆散!
第2の地獄門は、バージルとシグナムの完全勝利で、その幕を閉じたのだった。
――――――
Side:シグナム
ふぅ……何とかサキュバスを倒したか……バージルの援護がなかったら危なかったかもしれんが、こうして勝つ事が出来たのだから、結果オーライと言うと言う所だな。
あとは、地獄門を破壊するだけなのだが――
――キィィィィィィィィン……
「私の左腕に装着された此れは一体何なのだ?」
「この地獄門を制御する為に使われていた魔具だな……尤も、スカリエッティが作り出した人造魔具だが、其れはお前を主と認めたようだ……予想外の事態だがな。」
私を選んでくれたと言う事か………ならば其れには応えよう!!
――チャキ……ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!
先ずはガトリング形態で地獄門をハチの巣にし……
――ドッゴォォォォォォォッォォォォォォォォン!!!
続いて大砲形態で、極大の一撃を叩き込み……
――ズバズバズバズバズバァァッァァァ!!!!
其処から回転カッターに変形して、敵を文字通りに斬り刻む。細切れどころではなく、見る人が見れば挽肉とも呼べないような何かが存在していた。
だからこそ、私は迷わない!!
――キュイィィィン……ガシュイィィィィィィィィン!
この武器の……厄災武器『ジュジュドーマ』の最終形態である、要塞砲の形態を展開し、全砲門からミサイルを一斉掃射!!此れを逃げる事は出来まい、誰でもな!!
――ドッゴォォォォォォォォン!!
尤も、其れのお蔭で、地獄門を破壊で来たのだから、彼是言うべきではないだろうな……兎に角、此れで残りは1つ……残る1つでしくじるなよダンテ、ヴィータ!!
とは言え、今回の戦いは少しばかり骨が折れた……少しばかり、肩を借りるぞバージル。
「この程度で良いならば好きにしろ、俺がとやかく言うモノでもないからな。」
あぁ、少しばかり頑張り過ぎたから、今は休ませて貰うさ。
だが、我等は我等の為すべき事を成した――だからこそ、残る地獄門のエミュレーターはあと一つになったのだからな!……残りの一つ、任せるぞダンテ、ヴィータ!!
信じているぞ……お前達ならば、苦戦はしても負ける事は無いだろうからな!!
To Be Continued…
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