Side:バージル


閻魔刀の奪還はダンテに任せた……まぁ、奴ならば何が出て来ても余裕ですべき事を成すだろうな――トニー・レドグレイブと名乗っていた頃から、其れだけは絶対に
変わらないのだろうからな。

ギルバだった時代に、皮肉を交えて忠告してやった事も有ったが……お前の力が最大限に発揮できるのが此れなのだから、今更咎める気も起きん。


Die!(死ね!)


加えて言うなら、この程度の有象無象にやられてやるほど、俺は弱くは無いのでな……俺を殺したいのならば、せめてブリッツクラスの悪魔を1ダース用意してこい!!
マッタク持って、貴様等程度では準備運動にもならん――せめて、俺の動きについて来れる奴を見繕ってくるが良い。

尤も、貴様等がドレだけの兵器を持ち出し、悪魔を召喚したところで、俺は少しだけその上を行く。――其れ位は出来なければ、戦場で生き残る事は出来んからな。

だが、此れから何がドレだけ来ようとも、此処から先に進ませる心算は毛頭ない。
何よりも、ダンテに啖呵を切った手前、貴様等の様な有象無象を、一々相手にしてる暇は無いのでな?……大人しく散るが良い!!!



――シュン!!……キン!!



『『『『『ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!』』』』』


「雑魚が……身の程を知るが良い。」

屑が……腹の足しにもならん。
さて、まだかかってくる奴はいるか?
――居るのならば、遠慮せずにかかってくるが良い……望み通り、村正の錆にしてくれる!!――今日の村正は、殊更悪魔の血に飢えている様だからな!!!














リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission104
『不屈の雷光〜 Fate Testarossa 〜』












Side:フェイト


「貴女が、私達2人の相手をすると?――此れはまた、何とも思いきった無謀な選択をしたモノですねお嬢様?
 確かに貴女は強い……こと、スピードに関しては、管理局の魔導師で右に出る者は居ないでしょう?……其れこそ、執務官の器で終わる人では無い筈だ!!!!」



だから何かな?
私は、私の意思でこの道を選んで、そして現在進行形で進んでるんだ……其れを、貴女達にとやかく言われる筋合いは何処にもないんじゃないかな?



「そうでしょうか?『Fの遺産』で有る貴女は、我等と共に来るべきでは?――貴女も所詮は『作られた人間』なのですから。」

「……確かに、私は『プロジェクトF・A・T・E』の技術を流用して作られたアリシアのコピー……その事実を否定する気はないんだ――其れを含めての『私』だからね!!」

だけどそれ以上に、私は『フェイト・T・ハラオウン』であり、『アリシア・テスタロッサ』じゃない!!
そして、フェイト・T・ハラオウンは、相手の計略には屈さない!!――だから、貴女達2人には、此処で退場して貰うよスカリエッティのナンバーズ!!



「其れは楽しみだが……果たして、帰天した我々に勝つ事など出来るだろうか?……デビルトリガーを発動したところでね……まぁ、見せて貰うとしましょうかお嬢様!」

「………」



なら、篤と見ると良いよ――私とアラストルの生み出す、雷光の芸術って言うモノをね!!
それと『非常に残念』だけれど、悪魔の力に手を出しただけなら兎も角、其れに溺れ、捕らわれ、人の心すら失って完全に悪魔となった者を救う術は存在しないんだよ。

『クソッ垂れな悪魔には手心なんぞ加えてやるな。欠片も残さずぶっ殺してやれ』って言うのは、確かダンテさんの言っていた事だったね。――其れを実行する!!

「「Strong wind and crash of thunder!(疾風迅雷!)」」

『Deviltrigger.』



――バチィ!!!




悪魔の力を得るだけじゃなく、悪魔その物に身を堕としてしまった、己の愚行に対する懺悔の時間だよ――尤も、悔いても救いは無いけれどね!!








――――――








No Side


そして始まった、フェイトとトーレとセッテの超バトル!!
管理局最高のスピードを誇るフェイトに対して、追い上げる事は出来なくとも、ナンバーズ最高のスピードを誇るトーレは、勝るとも劣らずの実力をいかんなく発揮して
いた……正に目にも留まらない超速バトルと言って良いだろう。――現実に、超スロー再生で録画した動画ですら、フェイトとトーレの動きを捉え切れてはいないのだ。


「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」


そんな中でも、フェイトは己の戦い方は崩さない。
バルディッシュと、アラストルの雷剣二刀流で戦って来た故に、光速の世界での戦い方は誰よりも知っている。だから、光速の世界でも、全てが見えているのである。

更に、デビルトリガーを発動した事で、攻撃力、防御力、スピードと言った基礎能力が底上げされ、今のフェイトは、文字通り『雷神』と言っても過言ではない程の強さを
体現しているのである。帰天した戦闘機人2体を相手にしてだ。


「………其処。」

「「小賢しい……アラストル!!」」


無論相手の方が数で勝る戦いに於いて、片方にだけ集中してしまうのは最悪の悪手であるのだが、今のフェイトにとってはそんな事は全く関係ないらしく、セッテの放っ
たブーメランブレードに対しても、アラストルを投げつける……ラウンドトリップで対処する。

そして、ラウンドトリップを放ちながらも、バルディッシュでトーレとの戦闘は継続していると言うのだから、フェイトのバトルセンスは素晴らしいと言う他はないだろう。


「よもや此処までとは……」

「……データ以上。」


流石に此処までとは思って居なかったのか、トーレとセッテの2人の顔にも焦りが見えて来る。(セッテは本当に焦ってるのかどうか、全く分からないのだが。)
読みを誤った――と言う訳ではないだろう。
善悪の区別は兎も角として、ジェイル・スカリエッティと言う稀代の天才が、管理局の戦力を読み誤る等と言う事は先ず有り得ないだろう――少なくとも数字上では。

そう、スカリエッティの計算した数字の上では、帰天したナンバーズと上級悪魔まで揃えた魔の軍勢の戦力と、機動六課の戦力を比較した場合、僅かではあるが自分達
の方が上回ると言う結果が出ていて、だからこそトーレとセッテも『勝つ心算』で来たのだ。

だがしかし、人の力と言うモノは数字だけでは計れないモノだ――特に、人の特権とも言える『心の力』は、絶対に数値化して計る事の出来ない力であり、同時に無限
の力を秘めているモノなのだ。

特に、機動六課の面々は、その心の力が強い。
正義、信念、目標、生き様……形は様々だが、誰もが確固たる『ぶれる事のない心』を持って居る――そして、フェイトの場合の其れは『未来』と『前進』と言った所か?

恐らく、機動六課の面子に於いて、最も過酷な人生を歩んできたフェイトは、しかし膝を折る事なく、なのはと出会ってからは前だけを見て生きて来た。
しかも、過去を斬り捨てるのではなく、過去を抱いたまま未来へと前進していったのだ――そう言う意味では(なのはは対象外として)、機動六課で最も心が強いのは、
フェイトであるのかもしれないのだ。

そんなフェイトが全力を出し、そしてデビルトリガーを発動したらどうなるか?――其れは言うまでも無く、スカリエッティの計算上の強さを遥かに凌駕して然りであろう。



「「By and by shall I bring to an end……!!(そろそろ終わりにしようか……!!)」」

『Riot.』



そんな状況の中で、フェイトはバルディッシュをライオットの二刀流に換装すると、アラストルを自身の周囲をランダム旋回させて、一種の『三刀流』状態に移行する。
フェイトの雷速の二刀流攻撃に対処するのは至難の業だが、其処にフェイトの身体の周囲を旋回するアラストルの斬撃が加わったとなれば、此れはもう防御も回避も不
可能な連続攻撃と言っても過言ではないだろう。


「ぐ……馬鹿な!!ふ、防ぎきれんだと!!」

「刃の軌道が見えない………防ぎきれない……」


其れを証明するかのように、トーレとセッテには、少しずつ、しかし確実に傷が刻み込まれて行く。
ライオット二刀流のバルディッシュに対処しようとすればアラストルの斬撃が襲い掛かり、アラストルを如何にかしようとすれば、その隙にライオットの斬撃が突き刺さる。
正に最強!!

この布陣を突破できるのは、恐らくなのはとネロを除けば、ダンテとバージル位なモノで、デビルトリガーを発動したシグナムで互角と言った所だろう。

其れは兎も角、この状態は、フェイトの最も得意とするラッシュ戦闘にも向いているのだ。
二刀による斬撃に、アラストルの斬撃を加えた息もつかせぬ斬撃ラッシュは、確実にトーレとセッテを追い込んでいた……それこそ、パーフェクト勝利が出来る位に。


「「これで終わらせる……散れ!!」」



――シュウゥゥゥゥゥゥン……



だが、最大の一撃を放とうとしたその瞬間に、フェイトのデビルトリガーが解除された――あと少しと言う所で、デビルトリガーの発動限界時間が来てしまったのである。


「!!……そんな、こんな所で!!!」

「……如何やら、形勢逆転の様ですねお嬢様?」


歯噛みするフェイトとは対照的に、トーレとセッテは打って変わって強気の姿勢に転して来た。
と言うのも、強化率では劣るモノの、帰天はデビルトリガーと違って発動限界時間と言うモノが存在しない――つまり、1度発動すれば、自分の意思で帰天を解かない
限りは、半永続的に悪魔の力を得る事が出来るのである。

此の土壇場で、デビルトリガーと帰天の差が、最悪の形で現れてしまったのだ。


無論フェイトとて発動限界がある事は分かっていたし、其れを計算して戦って居た心算なのだが――僅かに計算が狂ったと言う事なのだろう。
再びデビルトリガーを発動できるようになるまで、牽制を降り混ぜた攻撃を使いながら時間を稼ぐと言う手もあるのだが、素の状態で帰天したトーレとセッテを相手にして
の其れは、如何に『管理局三強』に数えられるフェイトであってもきついだろう。



「ククク……その身体、斬り刻んでくれる!!」

「……死ね。」



――バババババババババババババババババババババババッバババババッバババババババババババババババババッバ!!!



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


そして其れは現実であり、トーレとセッテは、デビルトリガーの解けたフェイトを、此れまでのお返しとばかりに斬りつける!それも、絶対に致命傷にならないようにだ。

トーレとセッテが動くたびに、フェイトの白い肌に赤い筋が刻み込まれ、其処から赤い滴が流れ落ちる……わずか1分程度の間に、フェイトの身体には無数の傷が刻み
込まれる事になったのだ。


「ぐ………はぁ……はぁ……一思いに殺さないとか、サディストも此処まで来ると表彰モノだね……」

「……まだ減らず口を聞けるとは、呆れを通り越して尊敬しますよお嬢様。
 ですが、此れが最後通告です……我等の仲間になりなさい。そうすれば、これ以上痛い思いをしなくてすみますよ?――貴女だって、こんな状況は好まない筈だ。」

「……確かに、こんなのは私の趣味じゃない……だけど、彼方達の仲間になるなんて言うのは真っ平ごめんだよ。
 畜生にも劣る悪魔の仲間になる位なら、私は自ら此の命を絶つ事を選ぶ――私の魂は、永劫私だけのモノだから……誰にも好きにはさせないから!!」


しかし、圧倒的に不利な状況であっても、フェイトの瞳から、闘志が消え去る事は無かった。
トーレの懐柔とも思えるセリフに、真正面から『No』の意思を突きつけ、アラストルを逆手に持ち、バルディッシュを正眼に構えて、まだ戦う意思がある事を相手に示す。


「あくまで戦うか……愚かな。」


だが、普通に考えれば、圧倒的に不利な状況に陥ったのならば、逃げられるなら逃げるのが最上策であるにも拘らず、フェイトは逃げずに戦う意思を示して来たのだ。
フェイトは猪突猛進の猪武者ではなく、冷静な判断力を持った管理局屈指の執務官だが、それが戦う意思を表明したと言うのは、一体どんな意図があるのだろうか?


「愚かかどうかは、その目で判断すると良いよ。
 ……アラストル、貴方の力を解放する為に、私は今一度、貴方にこの心臓を捧げる!――此れが私の全力全壊……受け取れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


そんな疑問をよそに、何を思ったか、フェイトは逆手に持ったアラストルを自分の胸に突き立てた!しかも、確実に心臓を貫けるように。


「「!!!!」」


この予想外の事態には、トーレとセッテも驚く。(しつこい様だが、セッテが驚いているか分からない。)

絶望的な状況を悲観して自殺したのか?普通なら、そう考えるのだろうが……そうでは無い。



――バチ……バチ……バチ



自らの心臓にアラストルを突き立てたフェイトからは、確かに派手に血飛沫が待ったが、しかしその身は倒れず、未だに立って居る……心臓を貫かれたら、即死なのだ
から、立って居る事など不可能であるのにだ。


ならば何故?


「「万が一の可能性に、賭けた甲斐はあったね。」」


答えは簡単、フェイトは死んではいなかったからだ。
否、死ぬどころか、今再びデビルトリガーを発動して、トーレとセッテの前に現れたのである――しかも、その姿を此れまでとは大きく変えた状態でだ。

黄金の髪は白銀に変わり、肌は大理石を思わせる抜けるような白となり、目の色が反転し瞳は赤く輝いている。
此れだけでも充分過ぎる変化だが、バリアジャケットがソニックフォームに換装され、腕と足の金属ガードの部分に龍の眷属を思わせる爪や棘の装飾が現れ、更には
背中には巨大な翼が、腰からは身の丈以上の尾が生えている――その姿は『雷光の龍人』と言った所だろう。

早い話、フェイトは再びアラストルに心臓を捧げると言う荒業で、一時的にアラストルと自身を融合したのだ。目の前の2人を倒す為に。


逆に、トーレとセッテからすれば予想外も良い所だ。自分達が有利な状況になったかと思ったら、フェイトが自らの心臓を貫き、そして絶命するどころか先程までよりも、
更にその力を増して来たのだから。

だが、僅か一瞬でも呆気に取られてしまったと言うのは(あまりにも有り得ない光景に出くわしたのだとしても)、戦場に於いては最大にして致命的なミスだろう。


「「疾っ!!」」


その一瞬で、フェイトはトーレに肉薄し、再びライオットとアラストルの三刀流での戦闘を仕掛ける――ギリギリでトーレが反応出来たのは、奇跡に近いだろう。
そして、セッテも戦闘が再開された事を知り、すぐさま戦線に加わろうとするが………


「どぉぉぉぉっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!!」

「!!?」



――ドッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!



動きだそうとした所に、雄叫び一発蒼雷炸裂!!
辛うじてセッテは避ける事が出来たが、蒼雷の着弾点は地面のコンクリートが派手に抉れており、相当に凄まじい威力だったのは間違いなさそうだ。


「お前等〜〜〜!2人がかりなんてひきょーだぞ!!そっちのピンク、お前は僕が相手になってやる!!」


で、その蒼雷を放ったのは、何処から現れたかアホの子(レヴィ)!!……恐らくは、適当に戦場を飛び回ってる最中に、この戦いを見つけて乱入したのだろう。


「「レヴィ!?」」

「お〜〜、かせーするぞ、オリジナル!
 って言うか、なにそのすがた!すっごくカッコイイじゃん!!翼とか尻尾とか、爪とか!!如何やったの!?僕にもおしえてよオリジナル〜〜〜〜!!」

「「えっと、此れは教えて出来る事じゃないから、ちょっと無理かな?」」

「が〜〜〜ん!……でも其れならしょうがないか。
 だけど、ちょっぴり悔しいから、この悔しさはあのピンク髪にぶつけてはっさんする!うん、すっごく良い考えだな!!」

「「レヴィ、其れは只の八つ当たりだよ!?」」


そして、存在しているだけで、場の緊迫した雰囲気を破壊してしまうのだから、シリアスブレイカーとは良く言ったモノだろう――が、そんなシリアスブレイカーが現れても
トーレとセッテはぶれない。

むしろ、レヴィの登場で仕切り直しが出来るのだから有り難い位であり、目の前で漫才(?)を繰り広げているフェイトとレヴィは、格好の的だった。
この好機を逃がすまいと、攻撃を仕掛ける!!


「「……狙いは悪くないけど、分かり易いね。」」

「お〜〜〜、此れを狙っていたのか〜〜?頭いいな、オリジナル!」


――ズバァァァァァァァァァ!!


「な……!?」

「………!?」


捕らえたと思ったその瞬間に、フェイトとレヴィの姿が消え、逆に背後から強烈な一撃を貰う結果になった。
何の事は無い、フェイトは相手の攻撃を誘う為に、態とレヴィに付き合っていたのだ。と、同時に何をするかは分からなくとも、フェイトがベースで有る為、レヴィも何かを
感じ取って、直ぐに動けるようにし、トーレとセッテが強襲してきた瞬間に、スプライトフォームに換装してカウンターをブチかましたのだ。

この完璧なカウンターは、ある意味でこの戦いを決定付けた一撃であったと言っても良いだろう――何故なら、其処からはずっとフェイトとレヴィのターンだったのだ。


「く……此処までとは……!!
 ドクターの読みが外れたなんて言うレベルじゃない……それ以前に、そんな姿になるなんて、そんな事は起こる筈がない!怒る筈がなかったのに、何故だ!!」

「「データと数字でしか、相手を見れないんじゃ、その力も高が知れてるよ。
  人の力には無限の可能性があるし、時には今みたいに予想外の事態を引き起こす事だってある――其れが人の力だ!!」」


アラストルと融合したフェイトは、その圧倒的な戦闘力でトーレを圧倒し、的確に、そして圧倒的に追い込んでいく。
己の命をコインにした賭けに勝ったフェイトを相手に、ナンバーズ最強のトーレですら、帰天した状態でありながら相手になっていないのは、誰の目にも明らかであった。


「「消えろ!!」」

『Vortex.』


目にも留まらぬ……否、目にも映らない超高速連続攻撃の締めは、全身に雷光を纏って放つ錐もみ突進攻撃『ヴォルテックス』で、トーレを吹き飛ばす!!
戦闘不能に至らずとも、大ダメージは間違いないだろう。




一方のレヴィは……


「あ〜〜〜っはっは〜〜!そんな鈍い攻撃が僕に当たるか〜〜!はなったのを見てからでも、よゆーで避けられるぞそんなモノ〜〜♪」

「………!」


帰天したセッテを相手に、完全に何時ものペースを貫いていた。
セッテのブーメランブレードでの攻撃を全て躱し、其れだけでなくブレイカーフォームに換装したバルニフィカスで、的確にカウンターを叩き込んで、戦いの主導権を握って
居たのだ。

総合的な能力で言うならば、帰天したセッテの方が上だろうが、スプライトフォームに換装したレヴィは、能力をパワーとスピードに全振りしているため、其の2つに関し
ては、帰天したセッテを遥かに上回っているのである。

無論防御への割り振りが0で有る為、攻撃を喰らったら=戦闘不能なのだが、スプライトフォームのレヴィの動きは、そもそも人の目で捕らえられるモノではなく、もっと
言うのならば、帰天したセッテであってもその動きを捉え切る事は出来なかったのだ。

つまり、正に『当たらなければ装甲は必要ない』を体現したレヴィに攻撃を当てる事は困難であり、同時に雷速の攻撃を防ぐ術は無かったのである。


「僕はさ、エルトリアで世界を救おうと頑張ってるんだ……だから、お前達みたいにへーわなせかいをぶっ壊そうとする奴は許せない!
 だから容赦はしないぞ!!……ぶっとべ〜〜!爆光破ーーーーー!!!!」


――ドガァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


加えて、エルトリアと言う滅びゆく大地を何とか救おうとしているレヴィにとって、平和な世界を壊そうとしているスカリエッティ一味は、見過ごす事の出来ない『敵』だ。
強烈なゼロ距離砲撃で、セッテの事を吹き飛ばす――それは、奇しくもフェイトに吹き飛ばされたウーノが居る場所だったが。

何れにしても此れは好機だ。


「「ライトニングバインド!」」

「おりゃ〜!動きを止めるぞ〜〜〜!!!」


決着を付けるべくフェイトはトーレを、レヴィはセッテをバインドで拘束する。
フェイトのバインドは計算に基づく強度を模しているし、レヴィのバインドは『とにかく動けなくすればいい』と言う感覚で作られているため、非情に堅く抜けるのは困難。

つまり、トーレとセッテの2人には、事実上の『死刑宣告』が下されたのと同義なのだ。


「「悪魔になり果てた者に慈悲は無い……精々大人しく、輪廻の輪に加わると良いよ。」」

「お前等、これでおわりだーーー!!!」


普段は心優しいフェイトだが、敵に対して情けを掛けてやる程甘くはない。――同時にレヴィには敵に情けを掛けると言う思考その物が存在していない。
其れはつまり、此れから放たれる一撃は、文字通りの『必殺』であると言う事だ。


「「サンダー………ェェェェェェェイジ!!!」」

雷刃封殺……爆滅剣ーーーーーーーーーーーーーー!!!



――ドガバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!


――ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!



そして放たれた、金雷と蒼雷の必殺技は、身動きの出来ないトーレとセッテを容赦なく打ち付けて行く……まるで、此れまでの行いを悔い改めさせるかのように強烈に。



「「終わったね。」」



タップリと30秒も続いた雷撃が終わり、噴煙が晴れたそこには、何も残っていなかった――トーレとセッテの亡骸すら残ってはいなかったのである。
其れはつまり、フェイトとレヴィの最大の一撃は、骨すら残さない程の破壊力で、トーレとセッテを葬ったと言う事なのだろう……マッタク持って、恐ろしい力だと言える。


何れにしても、結果はフェイトとレヴィの完全勝利!!


そしてこの勝利は、フェイトにとって、自身の因縁を断ち切り、其れを超えた勝利でもあった。








――――――








Side:ダンテ


Hoo……漸くゴールかい?
――刺激的なのは大歓迎だが、このパーティは、少しばかり奮発し過ぎじゃないのか?……此処に来るまでに、フロストを10体相手にするとは思わなかったからな。

ま、良い感じの準備運動にはなったけどよ。


しかしまぁ、この先に閻魔刀とレイジグハートが有るってのを考えると、柄にもなく緊張しちまうね?
……アレの奪還無くして、俺達の勝利は無いだろうし、恐らくは、ネロとなのは嬢ちゃんを救い出す事も出来ねぇだろうからな……絶対に奪還しねぇとだからな。

正直、この先に何が待ってるかは分からねぇが、何が来ようとも、俺の流儀で相手になってやるだけだから、覚悟を決めときなクソッ垂れ共…手加減はしねぇからな!


其れにだ、もう十分使っただろ?分部不相応のデカい力ってのはよ?
だから、そろそろいい加減に返して貰うぜ?閻魔刀(坊主の力)と、レイジングハート(なのは嬢ちゃんの力)をな!!

「ふあぁ!!」



――バガァァァァァァァァァァァァン!!



この先に誰が待ってるかは知らねぇが、イカレタパーティの幕間を始めるとしようじゃないか?

だが、俺をガッカリさせる事だけは無しの方向で頼むぜ?折角のイカレタパーティも、ガッカリする事が有ったら、其れだけで興醒めだからな――楽しみにしてるぜ!!

さて、一丁スタイリッシュに決めてやるか!!












 To Be Continued… 




フェイトの戦いは結構、ヒヤヒヤしたな。
美姫 「初めは優勢だったんだけれどね」
発動限界が来た時はどうなるかと思った。
美姫 「それでも最後には逆転ね」
だな。レヴィの加勢もあったしな。
美姫 「あっちこっちで繰り広げられた戦闘も、着々と終息していくわね」
ああ。ダンテの方もレイジングハートへと近づいているみたいだし。
美姫 「続きが気になるわね」
次回も楽しみにしています。
美姫 「次回も待っています」
ではでは。



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