Side:ネロ


さてと、右の道を進んだ先に現れたのは、馬鹿でかいサイコロと、ダイスゲームの盤面ってか。
こんな所までフォルトゥナの時と一緒ってのが、ある意味で不気味だが――まぁ、あのアゴナスがスカリエッティに要らん入れ知恵したって事なんだろうけどな、多分。

となると、先に進むには、此のダイスゲームをクリアしなきゃならないって訳か。

恐らくは、次の階層に進むためには、此処とは違う仮想世界で、悪魔を倒さなきゃならないんだろうが、今更そんなモンは大した事じゃねぇ――寧ろ準備運動にピッ
タリってモンだぜ。

「捕らわれの御姫様を助け出す前の準備運動か、其れともラスボス前のレベル上げか――何れにしても、俺にとってのマイナス要素にだけはなり得ねぇよ。」

だったら、サクッと先に進むだけだぜ。




「おい坊主、首尾は如何だ!?」

「あぁ、問題ない。中の事は、俺となのはに任せとけよオッサン。
 ヴィヴィオを助け出して、スカリエッティをブッ飛ばしてやるからよ!!――其れよりも、外の方を頼むぜ?アンタとバージルと六課なら、多分如何にでもなんだろ?」

「うむ……神は脅威だが、俺達が負ける事は有り得ん。
 だから、外の事は俺達に任せて、貴様は貴様の為すべき事をして来いネロ。」



Ha!言われるまでもねぇさ。
俺の右腕は、大切な者を護り、クソッ垂れをぶっ殺す為に存在してんだ――この腕で、神の内部を攻略してやるよ!!スパーダの血を引く者として、徹底的にな!


こっちは俺がやるから、左側の道は任せたぜなのは!!











リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission108
『最強の母娘喧嘩〜More Battle〜』










No Side


左側の道の最深部に到達したなのはを待っていたのは、敵の手に落ち、そして聖王として無理矢理覚醒させられたヴィヴィオだった。
その身から溢れ出る魔力は、通常状態のなのはをも上回り、ともすればバージルに匹敵するほどに大きく強い――正に聖王と言うべき力を、その身に宿している。


「相手が誰であっても、私は退かないから――退いたら貴女を助ける事は出来ないからねヴィヴィオ。」


しかしなのはは、其れだけの圧倒的なヴィヴィオの力を、その身で感じ取りつつ、しかし一切の焦りも迷いも無かった――其れこそ『戦う以上は、全力で』と言わんば
かりの態度で、ヴィヴィオと対峙しているのだ。


「さぁ、おいでヴィヴィオ?私は逃げも隠れもしないから。」


更に、そう言いながら、なのはは手招きするような仕草で、聖王ヴィヴィオに攻撃してこいと言わんばかりの仕草をして見せる。そして、其れが途轍もなく様になって
居るから、ある意味で恐ろしいだろう――だってそれは、歴戦の勇士然としていたから。

レイジングハートを左手に持ち、右手で手招きするなのはの姿は、そう思わせるほどに嵌っていたのだ。


「はっ!!」

其れに対してヴィヴィオも、呼応するかのように一足飛びでなのはに近付き拳を繰り出そうとする。
が、其れはなのはに当たる前に弾かれた――なのはが、レイジングハートの柄の部分で、ヴィヴィオの拳を弾き、その軌道をずらしたのだ。

しかも、只弾くだけではなく、弾きながら右手でクロススマッシャーを放つおまけ付き。……尤も、其れを喰らったヴィヴィオもまた、全く無傷のノーダメージなのだが。


「バスターに大きく劣るとは言え、至近距離で其れを喰らって無傷って言うのは、10年前のヴィータちゃん以来かな?相当な堅さだね、そのバリアジャケットは。
 しかも、大人になった事で魔力量も極端に増えてる上に、動きも良くなってる……うん、ゆりかごの聖王の名は、伊達じゃないって言う感じはするよ、この力ならね。
 だけど、悲しいかな、実戦経験が無さすぎるよ――一応戦闘プログラムみたいな物は、聖王化した際にインストールしてるんだろうけど、『知っている』事と『やった
 事が有る』じゃ、大きな差があるからね。」


それでもなのはには、目の前の聖王と化したヴィヴィオの事を、其れほど脅威の相手とは思って居なかった。

其れはそうだろう。
なのはは、齢9歳で魔法の力を手にして以来、10年間も戦いの場に身を置き、強者との戦いを繰り返し、更には本気で死に掛けた事すらあるのだから、只力が強い
だけの相手など、脅威になり得ないのである。

まして、ネロと出会ってからは、凶悪な悪魔との戦いも経験しているのだから尚更だ。


「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「パワーとスピードは凄いけど、フェイトちゃんと比べたら全然だし、格闘の技術ならスバルやノーヴェの方が上だよ。」



――キンキンキンキキン!カンカンカンカンカン!!



その経験は、聖王化したヴィヴィオを軽く上回る程に強い。
聖王化という、圧倒的な強化が成されたはずのヴィヴィオの拳も蹴りも、一発たりともなのはには届いていない――その全てが、レイジングハートを、まるで棒術の
様な動きで振り回すなのはに弾かれているのだ。

当然、弾いた事で発生した大きな隙には、カウンターでのスマッシャーが叩き込まれる。

尤も、そのカウンターはダメージにはならないが、しかしどちらの方が上なのかなど、例え戦いの素人が見たとしても、其れは歴然としていた。
若干19歳で教導隊の教官、武装隊隊長、試験的部隊の小隊長の肩書を持ち、エース・オブ・エースの二つ名を持つ、現代最強と称される魔導師の力は、歴代最強
と謳われた、聖王(の力を宿したヴィヴィオ)を遥かに上回っていたのだ。

とは言え、攻撃が効かないと言うのは実に厄介であり、加えてなのはは、ヴィヴィオを倒すよりも救わねばならないのだから、此のままでは埒が明かないだろう。
ヴィヴィオの聖王化さえ解除できれば、簡単なのだろうが、生憎とそれには如何すればいいのかが分かっていないので、現状では戦いながら方法を探るしかない。



『やりますわね?流石はエース・オブ・エース、聖王陛下すら攻め込む事が出来ないとは、恐れ入りましたわ。
 だけど、聖王陛下の力はこんな物ではありませんわよ?……ドクターの力によって、聖王陛下は更なる高みへと至りますのよ!!』



だが、そう言う時に限って、外部からの余計な手出しと言うのはあるモノだ。

恐らくは、なのはを攻めきれないヴィヴィオを見て業を煮やしたのだろう。
クアットロは現場と通信を繋ぎ、そしてあるスイッチを押す。


「!?あ……アァァァァァアァァァァァァァアァァァァァァァァアァァァァアァァァァァアァァァァァアァァァァァァ!!」」


瞬間、ヴィヴィオの魔力が此れまで以上に膨れ上がった。
否、其れだけでなく、身体の周囲には黒い稲妻の様な魔力が迸って闇色のオーラを纏い、更には目の色が反転してオッドアイの瞳が不気味に輝いている――如何
見ても、普通じゃないのは明らかだった。


「此れは……デビルトリガー?」

『アハハハハハ!ご名答ですわ!
 其の子が聖王となり得たのは、体内にレリックを埋め込んであげたからだけれど、其の子に埋め込まれたレリックはレッドオーブを加工して作った特別製で、悪魔
 の力を宿している代物ですわ。
 そしえ、その力を起動してあげれば、レリックが無事である限り切れる事のないデビルトリガーの完成ですわ……さて、如何しますエース・オブ・エース?』



其れは、ヴィヴィオの体内に埋め込まれたレリックを起動する事で、デビルトリガー発動状態になった証だった。
此れだけの事をするとは、正に悪魔の所業、外道のする事だが、しかしなのはは、デビルトリガー状態になったヴィヴィオを見ても、落ち着きを失っては居なかった。

何故か?


「デビルトリガーを発動したって言うなら、私も其れに応えるだけなの!」

『Deviltrigger Drive ignition.』

「「I go by full strength!!(全力全開!!)」」


其れは、なのはもまたデビルトリガーが発動できるからだ。
ヴィヴィオの其れとは違って有限ではあるが、元より最強レベルであるなのはがデビルトリガーを発動したのならば、其れはベルカ時代の最強であるオリヴィエ、そし
て10年前に虚数空間へと消えた、現代の最強の魔導師であったプレシア・テスタロッサすら凌駕するだろう。

現実に、デビルトリガー発動時の、なのはの魔力ランクはSSSと言う凄まじいモノであるのだから。


「「さて、癇癪起こして暴れてる困ったちゃんには、少し手荒な方法で大人しくなって貰うしかないかな?」」


逆巻く桜色の魔力を纏いながら、なのははヴィヴィオに向けて、無数の誘導魔力弾を放つ。
其れも只の魔力弾ではなく、弾丸の外側を、魔力弾よりも密度の濃い魔力でコーティングした『徹甲魔力弾』をだ。――六課最強の防御力を有するザフィーラが『此
れを完全に防ぎきるのは難しい』と称した辺り、その破壊力の凄さが分かると言うモノだ。

砲撃の様な面の破壊力は無いが、此方は点の貫通力で勝ると言う事だ。
そして、其れだけの貫通力を持った魔力弾が雨霰と襲い掛かれば、如何に強固なバリアジャケット――聖王の鎧を纏っているヴィヴィオであっても只では済まない。
無論、何発かは弾き飛ばすだろうが、30発以上の魔力弾の全てを捌き切るのは、幾ら何でも不可能だし、被弾してバリアジャケットが破損したら、其処にバスター
が叩き込まれて意識を刈り取られるだろう。
そうなってしまえば、ヴィヴィオを元に戻す方法はゆっくり考える事も出来る――なのははそう考えて、この攻撃に踏み切ったのだ。


「……!?」


其れは効果が有ったらしく、自分の周りに展開された無数の魔力弾を見て、ヴィヴィオはどう対処して良いのか分からなくなっている様だった。


――此れなら行ける!


其れを見たなのはは、内心でガッツポーズをする。
最低でも5発当たってくれれば、ヴィヴィオのバリアジャケットの防御力を削る事は出来るし、削ったら、後はデビルトリガーで威力を底上げしたバスターで終わりに出
来ると、そう考えたからだ。


『考えましたわねエース・オブ・エース?でも、そうはさせませんわよ〜〜!!!』


だが、此処でクアットロからの横槍が。
今、正に発射されようとしていた徹甲魔力弾に向かって、壁や天井からビームが放たれ、発射待機中の弾丸を誘爆させてしまったのだ。1つ残らず、全部、全て!!

如何やらこの眼鏡、なのはとヴィヴィオの戦いを高みの見物するだけでなく、安全圏からなのはに攻撃をする心算らしい。


「「自分は安全な場所に身を隠して、そして戦いに介入……見下げ果てたクズだね貴女って。」」

『なんとでも!最終的に勝てばいいのよ!勝てば官軍て言うのは、貴女の故郷の言葉でしょう?』

「「……確かにね。
  なら上等だよ、2人纏めて相手をしてあげるから。――現代に蘇ったネフィリムの力って言うモノを知ると良いよ。」」


それは、なのはにしてみれば業腹モノの所業ではあるが、相手が姑息な手段を取ると言うのならば、其れごと粉砕すればそれで良いだけのこと――少なくとも、なの
はにとってはそうなのだろう。


「「覇っ!!」」

「!!!」


言うが早いか、ヴィヴィオに接近し、レイジグハートを使っての槍術擬きで徹底的に攻め立てる。
勿論、そんななのはに対して、クアットロは壁や天井からビームを放つが、それらはなのはが展開した、レイジングハートのシールドビット『イージス』によって阻まれ
てしまう……無論全て防げるわけではないが。

防ぎきれないビームは、なのはのバリアジャケットを破損させ、白い肌に赤い筋を刻んでいくが、なのははそんな事は気にせず、徹底して目の前のヴィヴィオを攻め
続ける。まるで、攻める事が助ける事に繋がると言わんばかりに。

一方で、攻められているヴィヴィオもまた、巧みな防御でなのはにクリーンヒットを許していない。――とは言っても、それはなのはが不得手な近接戦闘を行っている
からであり、クアットロの余計な横槍が無ければ、魔力弾×沢山からの必殺砲撃で終わっていただろう。

だが、此のままではどちらも決定打はなく、永遠の攻防が行われてしまうが――


「「其処!!」」


その拮抗を破ったのはなのはだ。



――バキィィィ!!!



カチ上げ攻撃の動作でヴィヴィオのガードを上げると、カチ上げずに其のまま横っ腹に鋭い一撃を一閃!!歴戦の戦士の経験からくるフェイントを使っての一撃だ。



「がっ…!!」

「「マダマダぁ!!」」


――ガァァァアァン!!


更に上体が折れたヴィヴィオの顎を、レイジングハートの柄で叩き上げ、ダメージを叩き込んでいく!
如何に非殺傷設定であるとは言え、物理的な力で顎を強打されれば脳が揺れて、次の攻撃に対しての反応が鈍ってしまう。


――チャキ……


「「此れで終わりだよ。」」


その隙をなのはが逃す筈もなく、ヴィヴィオの腹部に、レイジングハートの先端を押し当てて魔力を集中!!
疑似的デビルトリガーと、聖王の鎧で強化されたヴィヴィオであっても、デビルトリガーを発動したなのはの直射砲撃をゼロ距離で喰らったら一撃必殺は必至だろう。

だが――


――シュゥゥゥゥゥン……



「え?」


砲撃を放つその瞬間に、なのはのデビルトリガーの発動限界が訪れ、魔人化が解除されてしまった。
更には、デビルトリガーの解除と同時に、集中していた魔力も霧散し、今度は逆になのはが無防備な姿をヴィヴィオに対して曝す結果となってしまったのである。


『……如何やら其処までの様ですわね?
 さぁ、聖王陛下、敵は戦力を出し尽くしましたわ!!今こそ、聖王陛下の手で賊に裁きを与えてあげて下さいませ!!』


「……ぐ……うあ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!」

「ヴィヴィオ!!……きゃあ!!!」


其れはつまり、攻守の逆転を意味し、クアットロに煽られる形で、ヴィヴィオはデビルトリガーの切れたなのはを攻めたてる。
カウンター気味に突き刺さった横蹴りを皮切りに、後ろ回し蹴り、右ストレート、ワンツーボディアッパー、飛び膝蹴りからの空中踵落とし――あらゆる格闘攻撃でなの
はを攻撃し、的確にダメージを叩き込んでいく。


「此れで終わり……」

「……ヴィヴィオ……!!」

「死ね……!!」


そしてヴィヴィオは、なのはの首を掴むと、其のまま力任せに壁に叩き付ける!
その威力はすさまじく、なのはが叩き付けられた壁はクレーターが出来て、叩きつけられたなのはは、気を失ったのだろうか?グッタリと、クレーターの壁に背を預け
る状態になっている。


此れに歓喜したのは、別室でこの戦いをモニターで観戦していたクアットロだ。


「ククク……あはははは!!やった、やったわ!!エース・オーブ・エースは倒した!!コイツがやられたと知れば、ネロとか言うのもショックで戦意喪失は確実!!
 私達の勝利ですわ〜〜〜!!」


その思考は正に外道の其れだが、それだけに、この状況は狂喜乱舞物なのだろう。


「でも、此のまま終わらせるのも勿体ないわね?エース・オブ・エースは飛び切りの美人な訳だし……なら、蘇生処置を施した上で洗脳して、聖王陛下と彼是を……
 愚腐……腐腐腐腐腐腐腐腐……母娘百合最高ですわ〜〜〜!!!!」


そして、可成り思考は腐っていた。もはや手の施しようがない位に腐っていた。


だがしかしだ。



――ヴォン


「へ?」


突如その場に、光の玉が現れた。
更に――



「「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」


ヴィヴィオに倒されたはずのなのはが復活し、あろう事か発動限界を迎えたデビルトリガーを再び発動したのだ。――否、其れは只のデビルトリガーではない。
栗毛の髪は白銀に染まり、瞳は金色になり、バリアジャケットは右半分が漆黒、左半分が純白となり、その背からは白い天使の翼と、黒い悪魔の翼が、夫々片方3枚
ずつ、6対12枚の翼が生えている。

その姿は、正に悪魔と天使の両方の力をその身に宿したネフィリムそのものだった。
此の土壇場で、なのはは自身の中に眠るネフィリムの血を完全に覚醒させるに至ったのだ。


『Wide Area Search successful.Coordinates are specific. Distance calculated.(ワイドエリアサーチ成功。座標特定、距離算出。)』

「「見つけた……!」」


「エリアサーチ!!まさか、戦いながら、ずっと私を探してた!?」


其れに戦慄したのは、勝利を確信していたクアットロだ。よもや、ヴィヴィオと戦いながら、自分の居場所を探っているとは思わなかったのだろう。
確かに、普通ならば、戦いながらエリアサーチをするなど不可能に思えるが、なのはは30発以上の誘導魔力弾を、夫々自由に操れるほどの並行思考能力の持ち主
なのだから、戦いながらのエリアサーチなど朝飯前なのである。

更にネフィリムの完全覚醒と同時に、ヴィヴィオをバインドで拘束して、動きを封じていた――故に、邪魔は無い。


「だ、だけど此処は神の最深部……此処まで来られる人間なんて……!!――ま、まさか壁抜き!?そんな、馬鹿げた事が!!」


自分の居る場所を考えて、まだ安心していたクアットロだが、其処まで言った所で、脳裏に4年前の空港火災の光景が鮮明に蘇って来た。
4年前のあの時、なのははスバルと共に火災現場から脱出する為に、瓦礫も炎も、直射砲撃で吹き飛ばして脱出路を確保していた――それを、思い出したのだ。


「あ……あぁ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


瞬間、クアットロの顔には絶望の色が浮かぶ。
理解してしまったのだ、自分は此処で終わるのだと、高町なのはは絶対に敵に回してはいけない存在だったのだと言う事を。


「「ブラスターァァァ……3ィィィィ!!」」


――轟!!


そんなクアットロの事など知らぬとばかりに、なのはは強化プログラム『ブラスター』を最大のレベル3で発動し、更にカートリッジを3発ロードして、エリアサーチの結果
が教えてくれた座標に向かって狙いを定める。


「「ディバイィィィィィィィン……バスタァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」」


――キィィィィィン……ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!


そして放たれた砲撃は、正に最強無比!
クアットロの居る、神の最深部までに存在する隔壁を何枚も打ち貫きながら、しかし威力は減衰しないで、圧倒的な力を持ってクアットロに向かって行く。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


憐れクアットロは、逃げる事も叶わず、其のまま桜色の砲撃に呑み込まれて、細胞レベルで消滅!!――外道には、相応しい最期であっただろう。
加えると、この砲撃はクアットロを消し去った後も突き進み――



――バガァァァァン!!



「うおっと!アレは……カミサマの内部で、なのは嬢ちゃんがぶっ放したって所か?」

「だろうな……尤も、穴は直ぐに閉じられてしまったがな。」


外の世界まで貫通!
尤も、その穴は圧倒的な力による神の再生力で即座に閉じてしまったが、取り敢えず、神の中では途轍もないバトルが行われていると言う事は伝わった事だろう。

エース・オーブ・エースは、ギリギリで勝利を手にしたのだった。








――――――








Side:なのは


はぁ、はぁ……ギリギリの土壇場で『超デビルトリガー』に覚醒するとは思って居なかったの……尤も、そのおかげでクアットロを倒せた訳だから文句は無いけどね。
だから残るはヴィヴィオ。

クアットロを倒したから、精神支配からは解き放たれた筈だから、あとは埋め込まれたレリックを処理すれば、此れもゲームエンドだよ。ね、ヴィヴィオ?



「あ……あ……うわぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「「へ?ヴィヴィオ!?一体如何したの!?」」

「私……私、ママに酷い事しちゃった……それどころか殺そうとしちゃった!!――私は!!」



ヴィヴィオ!!其れは違うよ!!
貴女は心神喪失状態だったんだから、其れは仕方ない事だよ?だって、クアットロの指示に従う以外の道は無かったんだから。
だから、私は怒っていないよ?――それどころか、ヴィヴィオを目覚めさせることが出来たって言う頃で、充分だよ…だから、今度はヴィヴィオの気持ちを聞かせて?

貴女は、此れから如何したい?



「私は……私は……ママとパパと一緒に居たい!!一緒に暮らしたい!!
 だけど、其れなのに、身体は言う事を聞いてくれない……助けて、助けてよママ!!!」

「「助けるよ、此れまでも、此れからも!何があっても絶対に!!」」

だから、少しだけ痛いの我慢できる?



「うん……」

「「良い返事だね。」」

だったら、此れで終わりにするの!!

体内に埋め込まれたレリックを摘出する事は出来ない……だったら、圧倒的な魔力ダメージで其れを吹き飛ばせば良いだけの事!レイジングハート!!



『All right.Blaster bit Setup.(了解。ブラスタービットセット完了。)』



全力全壊!!
スターライトォォォォォォォォォォ……ブレイカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!




――ドガバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!




「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



ヴィヴィオ……だけど、此れなら埋め込まれたレリックも!!



――ピキ、ピキ……バリィィィィィン!!



砕けた!!
ヴィヴィオは?ヴィヴィオはどうなったの?無事なの!?


「あ……う……」

「ヴィヴィオ!!」

光が収まった先には、元の姿に戻ったヴィヴィオの姿が!!――耐えきったんだね、私のブレイカーによる荒っぽい療治を。……よく頑張ったねヴィヴィオ。偉いよ。


――ギュ



「ママ?」

「よく頑張ったね、ヴィヴィオ……だから、今はもう休んでいいんだよ――後は、私とネロで何とかするから。」

「ママ……うん、信じてる。」



任せておいてヴィヴィオ!――貴女のママとパパは、世界最強って言っても過言じゃないんだからね!――必ず全てを終わらせるよ……絶対にね!!








――――――








Side:スカリエッティ


ククク……聖王陛下を退けるとは、エース・オブ・エースの力は侮れないね?
まぁ良い、彼女達には、彼との戦いを見越しての人質となって貰うとしよう――其れが最善の策だろうからね……何れにしても、最後に笑うのはこの私只一人だ!!

覚悟したまえエース・オブ・エース、君は聖王諸共、もう一度この神に取り込んでくれよう。

如何に足掻こうとも、君達に勝利の道は無いと言う事を、知るがいい――この世界は、私が支配してこそなのだからね。


精々無駄な足掻きをしたまえ……キハハ、キハハハハ、キヒャ〜〜〜ッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!この世界の支配者は、この私なのだから!!













 To Be Continued… 




なのはとヴィヴィオの勝負はどうにか決着したか。
美姫 「クアットロの邪魔もあったとは言え、なのはが見事に勝利したわね」
流石と言うべきだな。
美姫 「ヴィヴィオも取り戻したしね」
後はネロの方か。
美姫 「こちらも色々と仕掛けがありそうね」
どうなるのか、楽しみだな。
美姫 「そうね。次回も待っていますね」
待っています。



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