Side:なのは


あの後、現れた悪魔を全て倒して、本当の意味で事件が終わって、気が付けばあっと言う間にアレから一週間が経っちゃったね。
アレだけのことが有ったから、ミッドの市街も可成り壊されちゃったけど、はやてちゃんが即座に復興に向けた勢力を作り出し、更にミッド市民自身が、自らの手で復
興に乗り出した事もあって、街の再建は順調そのものだね。



「おはよーございまーす。」

「うん、おはようヴィヴィオ。」

そして、私とネロは、事件後に正式にヴィヴィオの身柄請負人となり、ヴィヴィオは正式に私とネロの娘となった。――ネロとの娘って言うと、少し気恥しいけどね。
だけど、それ以上に幸福を感じる辺り、やっぱり私は、ネロの事を愛してるって実感するよ。



「あふ……少しばかり寝過ごしちまったか……Good Morning Nanoha、Vivio。(おはよう、なのは、ヴィヴィオ。)」

「おはようパパ!!」

「おはようネロ。」

ヴィヴィオよりも遅く起きて来るなんて、少し寝過ごしたどころじゃなくて、大幅にお寝坊さんなの――まぁ、遅くまで復興作業を手伝ってるから、仕方ないけれどね。

兎に角、ネロもヴィヴィオも、先ずは顔洗ってきて。其れから朝ごはんにしようね?



「「は〜〜い。」」



うん、良い返事だね♪
じゃあ始めようか?今日という日をね♪










リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission112
『戦い終わって〜The Rescue〜』










Side:ネロ


僅か一週間で、アレだけぶっ壊された街が、此処まで直っちまうとは、本気で人の力ってのは底知れないって思い知らされたもんだぜ。
フォルトゥナの復興も早い方だと思ったが、それでも全ての機能が回復するには1ヶ月はかかった……だが、ミッドは最低限の機能の回復を1週間で成し遂げたっ
て言うんだから、俺からしたら驚きだな。

ホント、ミッド市民の結束ってのはスゲェモンがあるぜ。

まぁ、かく言う俺も、毎日のように復興作業に従事してた訳だけどな?――人の力では動かせないような瓦礫でも、俺の右腕なら軽く動かす事が出来る訳だし。
正直、今回の復興作業の時に、此の右腕が此処まで役に立つとは思ってなかったからな……予想外の事態だったが、役に立てたんだから問題ねぇって所か。

其れはそうと……

「仕事しろやオッサン…
 アンタは書類上は嘱託とは言え、はやての指揮下に入ってんだから、六課が総出でやってる復興作業位手伝えよな!?」

「あ〜〜〜……俺が出張ったら、確実に復興どころじゃねぇだろ坊主?
 下手したら、折角直したモンを、変に動かしてぶっ壊しかねねぇからなぁ?――だから俺はやらねぇんだよ。壊しちまったらダメだからな。」

「と、尤もらしい理由は言ったが、本音は面倒な事をしたくないだけであろうダンテ?
 貴様は、自身の琴線に触れた事に関してはトコトンやり合うが、そうでない事に関してはトコトン興味が無くなる……こう言うと、完全なダメ人間だな貴様は。」

「誰がダメ人間だ!えぇ、バージル!!!」



いや、其れアンタの事だからオッサン。
でもまあ、如何してもやりたくねぇってんなら其れでも良いぜ?但し、働かざる者食うべからずって言うから昼飯抜きな。――今日の昼飯は、イタリアンレストランか
らパスタとピザをデリバリーして貰う予定だったんだけどさ。

働きたくねぇってんじゃしょうがねぇな。あの店のクアトロとマルゲリータ、其れにアンチョビとぺパロニのピザは最高に美味いから、アンタも喜ぶと思ったんだけど。



「さぁて、ソロソロ気合い入れて本気で働こうか!
 街の復興ってのは、1分1秒でも早い方がいいだろうからなぁ〜〜〜!!邪魔な瓦礫はねぇか?壊して問題ないならぶった切ってやるぜ!!」




「……完全にピザに釣られたよなアレ。
 まさかとは思ったが、今時子供でも引っ掛からないような手で簡単に釣る事が出来るって……自分の伯父ながら大丈夫か、あのオッサン?」

「ダメだ、問題しかなかろう。……アレの性格は理解していた心算だが、アレが実の弟かと思うと少し悲しくなるぞ。
 デビルハンターとしての腕は超一流かも知れんが、それ以外の面では色々残念なポンコツとしか言えんだろう、アレでは。
 まぁ、長らくトニーとして生きて来た故に、トニー・レッドグレイブから本来のダンテに戻るのは、中々に難しいモノが有るのやもしれんがな……」



いや、未来でも大体オッサンはあんな感じだったぜ?今のオッサンと比べると、俺が全然全く歯が立たない位の、チートバグレベルの強さではあったけど。



「……もう良い、何も言わん。
 時にネロよ、なのはと言うか、六課の隊長陣は何をしているのだ?あの連中なら、真っ先に復興作業の方に出てきそうなモノだと思うのだが……」

「え?シグナムから聞いてなかったのかよ?……てっきり聞いてるのかと思ったぜ。」

なのは達は、別の仕事があるんだよ。
はやては総司令だから、各方面に指示を出したり、復興作業に当たる業者との話を付けたり、局のお偉いさん達との会議に出なきゃならねぇし、フェイトは執務官だ
から、今回の事件の報告書を纏めたり、投降したナンバーズの事情聴取が有る。
んで、なのはとドゥーエとシグナムとヴィータは、街がこう言う状況になると必ず現れる、不埒な輩の取り締まりってとこだ。



――ドゴォォォォォォォォォォォォォォ!!!



「今の桜色の閃光は……成程よく分かった。」

「火事場泥棒一名様、O・HA・NA・SHIタイムにご案内って所だな。」

ま、なのはに成敗された以上、二度と馬鹿な事をする気は起きねぇとは思うぜ?
……実際になのはに成敗されて、桜色がトラウマになった犯罪者の数は、可成りの数に上るってな事を、前にはやてとレティが話してたの聞いた事が有るからな。



「相手にトラウマを植え付ける程の攻撃か……非殺傷でなかったら、確実にその身が消し飛んでいるであろうな。
 取り敢えず、閻魔以上に怖い存在に見つかってしまった事に対し、下手人に合掌しておいてやろう。」

「ま、神様なんぞ信じてねぇけどな。」

ま、そっちはなのは達に任せて、俺達は復興作業だな。……クソ迷惑な事に、スカリエッティが造った『神』の残骸は、デカすぎて、1週間経った今でも解体除去作
業が続いてるからなぁ?

はやてが、重機のレンタル会社からさらに何台か出してくれるんだろうけど、それでも足りねぇ場合は、本気で俺が右腕でブチ砕いてやる事を考えておくか。


オイ、オッサン!こっちの方がデカい瓦礫が多いから、俺達はそっちを片付けるぜ!!








――――――








Side:なのは


うふふ……ミッドの皆が、あの厄災から復興しようとしている時に、壊れた建物に侵入して盗みを働くとは、良い度胸してるね火事場泥棒さん?見上げた根性だよ。
だけど、そう言うのは流石によくないと思うんだよねぇ?家主が居る事が出来なくなった家に忍び込んで、盗みを働くって言うのは、如何考えても酌量の余地は、微
塵にも存在しないの。

だから、

「お祈りは済んだ?トイレは?此れから先の人生、桜色を見るたびに底知れぬ恐怖を感じる覚悟はOK?

「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!スンマセン!つい出来心で!!だから勘弁してぇ!!」

「ゴメンナサイで済んだら、管理局は必要ないんだって言う事を、理解しての発言かな其れは?」

待て待て待て!気持ちは分かるがちょっと落ち着け。
 砲撃でブッ飛ばした相手の頭を踏みつけて、『物凄く良い笑顔』でレイジングハートに魔力集中してるって、どっちが悪者か分からねぇ構図だから!!
 てか、その距離でオメェの砲撃喰らったら、幾ら非殺傷でも、良くて全治三カ月、下手すりゃ精神崩壊で植物状態になっちまうから!冗談じゃなくてマジな話で!」



ヴィータちゃん、私がこの世で嫌いなモノのトップ3は、酌量の余地のない犯罪と、みっともない命乞いと、そして冤罪なの。
目の前の此れは、その嫌いなものトップ3の内の2つを満たしてるんだから、此処で撃滅しても問題ないと思わない?事後処理は、はやてちゃんが巧くやってくれる
と思うしね?

大体にして、悪い事をするなら、バレた時、捕まった時にどうなるか位の覚悟は決めておくモノだよ?
その覚悟も決めずに、悪い事をするなんて……そんなのに情け容赦は必要ないの!大人しく、因果の応報を受けるべきだと思うんだよね、私は?



「だとしても、其れを放つのは幾ら何でも拙いぞ高町。やるなら精々、頭を踏みつけてる足を踏み抜いて、意識を飛ばすくらいにしておけ。
 流石に精神が崩壊してしまっては、取り調べも出来んし、裁判にかける事も出来なくなってしまうからな。」

「シグナムさん………其れもそうだね。」

いや、どっちにしろ物騒な事に変わりはねぇからな!?



現行犯逮捕の犯罪者に容赦なし!
機動六課、小隊『スターズ』隊長、高町なのは……敵を滅殺します!!!



――グシャァ!!!!



「ベギャラッパァ!?」

「うおわぁ……首が曲がっちゃいけない方向に曲がったぞ今。
 一応生きてるみてぇだが、首の骨は……折れてねぇが、7個の頸椎が見事なまでにバラバラにずれてやがるな此れ。『S字に曲がってる』とかの比じゃねぇよ。
 いや、なのはの怒り心頭満載の砲撃をゼロ距離で喰らう事を考えたら、遥かに軽傷なんだが、普通に考えりゃ重傷だから、先ずは病院に搬送か?
 犯罪者を搬送する場合には、誰か付き添いが必要って事だから、アタシが一緒に行くが、くれぐれも火事場泥棒だからって、精神崩壊させたりするなよな?」



分かってるよヴィータちゃん♪
シグナムさんも居るから、大丈夫だって♪



「口より先に手が出るタイプが2人って、不安しか感じねぇ。」

「ならば、お前が現場に残るか?」

「馬鹿言うんじゃねぇシグナム。
 アイツが搬送中に目を覚ました場合に、大事にならないように意識刈り取れんのはアタシだけだろうが!オメェとなのはだと、やり過ぎるだろ絶対に!!!」

「「否定はしない。だが、その結果に反省も後悔もしない!」」

「まぁ、オメェ等ならそうだろうな。
 兎に角、火事場泥棒をとっ捕まえるのは構わねぇが、くれぐれもやり過ぎんなよ?オメェ等がやり過ぎたら、最終的に苦労するのははやてなんだからさ。」



うん、分かってるよヴィータちゃん。――取り合えず、其れの搬送同伴宜しくね?



「おうよ。そっちも、やり過ぎない程度に頑張れよな。」



了解なの。
とは言え、何だって火事場泥棒なんて言う事をするかなぁ?レジアスさんが尽力したお蔭でミッドの犯罪は大きく減少したし、レティさんとはやてちゃんが色々やって
くれたお蔭で、ミッドの浮浪者は殆ど居なくなった筈なんだけどねぇ……



「漁夫の利、棚から牡丹餅を狙う連中は何処にでも居ると言う事なのだろうな……マッタク持って嘆かわしい事ではあるが。
 だが、そう言った輩を取り締まり、まっとうに生きるミッド市民を護るのが、我等の使命だ。――故に、やり過ぎない範囲で、犯罪者には無慈悲にならねばな。」



ですよね。
其れは其れとして、シグナムさん、最近バージルさんとは如何なんですか?



「如何とは?」

「未だ付き合ってないんですか?」

「んな!?ななな、どうしてそう言う話しになるんだ高町!?///



うわぁ、今のシグナムさんの顔は、熟れたリンゴよりも真っ赤だね。
どうもこうも、見てれば分かりますよシグナムさん?バージルさんと一緒の時のシグナムさんて、何処か嬉しそうで、普段は浮かべないような笑みを浮かべてる時が
有りますし、バージルさんもシグナムさんと一緒の時は、鉄面皮が剥がれて、笑みを湛えてる時が有りますからねぇ?



「あう……へぐ……あうぅぅぅぅぅ……」


――プシュゥゥゥゥゥ……


「あらら……」

真っ赤になって、頭から煙出して機能停止しちゃった。
だけど、此の反応を見るだけで、シグナムさんは間違いくバージルさんに好意を抱いているよね?其れも、私とネロの関係と同じ『愛情』を抱いてるのは確実なの。

其れを踏まえると、もしもバージルさんとシグナムさんがくっついたら、シグナムさんはネロの義理のお母さんになる訳で、私とネロが結婚したら、シグナムさんは私
の義理のお母さんにもなるんだよね?

お母さんと、シグナムさんのお母さんタッグって、誰も勝てない気がするの。割と本気でね。
其れにシグナムさんが、義理のお母さんて言うのも、悪くないと思うし……取り敢えず、他に不埒者が居ないかどうか、ミッド市街を見回ろうか、シグナムお母さん?



「その呼び方は止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「あ、復活した。じゃあ、シグナムママ♪」

「尚、悪いわぁぁ!!!」



まぁ、呼び名は兎も角、シグナムさんがお母さんて言うのは正直悪くないって思ってるのは本音なんですよ?
誰よりも優しい桃子お母さんと、少し厳しくて、だけど誰よりも強くて、いざという時には護ってくれるシグナムお母さんとか最高じゃないですか!!最高でしょう!?



「その意見を私に振るなぁ!!
 と言うか、何でその発想に至ったのだなのはよ!?普通は、考えつかないだろうが!!!!」

「ネロなのと、バーシグは、最高だぜと言う、神の電波と言う名の、作者の妄想が爆発して、メガ進化してワープ進化した結果なの!!!!」

「身も蓋もない上に、思い切りのメタ発言か!!!!」



メタ発言上等!!
あの事件の後で、私とネロは、書類が受理されて、正式にヴィヴィオのママとパパになる事が出来たから、幸せ家族計画上等なの!!って言うか、其れ一択で!



「あの子が、正式にお前達の娘にか……ならば仕方ないと言う事にしておこう。
 加えて、そう言う事であるのならば、より一層ミッドの治安を向上させねばならんからな。……下衆の火事場泥棒には。情け容赦は必要ないか……!!」



つまりはそう言う事です。
街の混乱に乗じて、悪事を働く火事場泥棒に情けなし!火事場泥棒でもしないと明日が分からないような生活をしてるのでなければ酌量の余地は皆無なの!!
大体にして、私たち以外の管理局員と、ミッド市民の人達が復興に全力を注いでいる中で、こんな事をする輩には、情け容赦は必要ないよシグナムさん!!



「……確かに、そう言われてみればお前の言う通りだな高町。
 ならば、ミッドの復興の妨げにならんよう、火事場泥棒は、徹底的に取り締まってやらねばなるまい?…私としても、火事場泥棒のような連中は好かんのでな。」



ですよね♪

市街地にドレだけ居るかは分からないけど、火事場泥棒を働いたのが貴方達の運の尽き……六課最強の砲撃魔導師と、夜天の烈火の将が、彼方達の目的を叩
き叩き潰すよ!!

さぁ、次に私とO・HA・NA・SHIしたいのは誰かな?

何処からでもかかって来いなの!!
誰が何体来ようとも、私は……私達は負けないから!!絶対にね!!








――――――








Side:ダンテ


其れから更に一週間。
ミッドの街はすっかり元通りになって、アレだけの戦いが、本当に起きたのかって言う事を疑いたくなるレベルだが、アレは夢なんかじゃねぇって断言できるぜ。

坊主が、スカリエッティをブチ倒して、偽神にトドメを刺した瞬間は脳裏に焼き付いてるからなぁ……忘れろってのは無理なモンだ。
ま、其れは多分俺だけじゃないんだろうと思うけどな。


とは言え、今日が俺とレディが此処に居る事の出来る最後の日か。――昼には、アミタ嬢ちゃん達が使った時間遡行の能力が回復するみたいだからな。
俺とレディは、其れに乗る形で元の時代に帰る必要性があるから、此れもまた仕方ないのかもしれねぇんだが、そうなると、坊主の事が気になっちまうぜ。
まぁ、アイツなら、色々上手くやるんだろうけどな。


それで、何が言いたいのかって言うと、俺達と坊主は、此処でお別れって事だ。


たかが1年、されど1年……機動六課での日々は、決して俺にとっては無駄にはならなかったからな!!



だが、俺もレディも、そしてアミタ嬢ちゃん達も、そろそろ帰るべき時なんだろうな――己の生きる世界ってやつにな。
ま、分かれってのは寂しいモンだが、此れが今生の別れになるって事でもねぇから、何時かどこかで再会出来ることを信じて、笑顔で去るってのが筋なんだろうぜ。



そして、遂に、別れの時が来たってか。
名残惜しいが、中々に刺激的で楽しかったぜ、このミッドチルダで過ごした日々ってモンはな!!――良い意味で、六課の連中はクレイジーだったしよ!!

だからこそ、ソロソロカーテンコールって事だな。
つ〜訳で、クレイジーなパーティは此れにて終幕だ!!――恐らく、二度とこんなクレイジーなパーティが開かれる事は無いだろうけどな……この世に、ネロとなの
はの2人が存在して居る限りは絶対にな。

次代を担うは、アイツ等しか居ねぇからな――ミッドの事は任せたぜ、坊主、なのは嬢ちゃん!!












 To Be Continued… 




戦いに勝ったけれど、復興はまだまだこれからだな。
美姫 「それでも頑張ってやらないとね」
だな。なのはたちも手伝って回っているみたいだしな。
美姫 「ようやく日常へと戻れそうね」
とは言え、それは別れの時が近づいているという事でもあるんだよな。
美姫 「そうよね。仕方ないとはいえ、やっぱり少し寂しいわね」
だよな。次回はどうなるのか楽しみです。
美姫 「次回も楽しみにしていますね」
ではでは。



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