Side:ネロ
戦いが終わって、復興作業が進んで、気が付きゃアレから1週間か……まだ1週間しか経ってねぇのか、それとももう1週間経っちまったのか……多分どっちも間違
ってはいねぇんだろうな。
復興がある程度終わった場所からしたら『まだ』だが、まだの場所からしたら『もう』だろうからよ。
だが、其れは兎も角として、オッサンたちはソロソロ元の時代に帰る時みたいだな?――まぁ、ミッドに降りかかる厄災を払う為に集った様な面子な訳だから、事が
済んだら、本来の居るべき場所に帰らねぇと、面倒な事が起きちまうかもだからな。
で、そんな別れの席だから、普通に送ってやろうと思ったんだが……
「Go to Hell!!(地獄に落ちろや!!)」
「ミギャァァァアッァァァアァァァァァァァァァァァ!?」
土壇場でオッサンが、なのはに『別れの挨拶』の名目で抱き付こうとしたからカウンターのバスターで引っ剥がして、そのままテスコーピオン・デス・ロック(蠍固め)
で、思い切り締め上げてやったぜ!!プロレス好き舐めんな!!
それ以前に、別れの戯れに、なのはの抱き付こうとしたなんざ死刑確定だぜオッサン!!
「執行猶予は?」
「ある筈がねぇだろ!!!」
――メキィ!!!
「たわらばぁ!!!!」
尤も、こんだけやっても、即復活するってんだから、オッサンはドンだけ頑丈なんだって事だけどな……このオッサン、本気で剣が刺さらねぇし!マジな話しでな!
ったく、アンタは強いんだから、その残念な性格を何とかしろよ?そうすれば、良いカミさんだって貰えると思うぜ?――言うだけ無駄かも知れねぇけどよ。
リリカルなのは×Devil May Cry 黒き騎士と白き魔導師 Mission113
『未来への懸け橋〜Sacred Force〜』
Side:ダンテ
Hoo〜〜〜、効くねぇネロの坊主の一撃は……ま、今回は少しばっかり、俺も調子に乗っちまったからな。
幾ら何でも、坊主のガールフレンドであるなのは嬢ちゃんに手を出そうとしたのは拙かったうん……寧ろ、此れだけで済んだってのが奇跡的な事だぜ――もしもシ
グナム嬢ちゃんに手を出したら、バージルに斬り殺されてたかもだからなぁ……気をつけよう。
時にバージル、アンタは如何するんだ?
俺達一緒に、戻るのか、それとも此処にとどまるのか……アンタは、どっちを選ぶ?――答えは聞くまでもないのかも知れねぇが、一応な。
「愚問だなダンテ――俺は、此処に残る。
第一にして、俺と貴様が存在していた世界軸に於いては、俺は故人となっているのだろう?……ならば、尚の事、貴様等と一緒に行く事など出来ん。
死した筈の存在が、その世界に存在していては、無視できない歪みが現れてしまうかも知れんのでな。」
「言われてみりゃ確かにな。」
俺の世界でのバージルは、他の誰でもない俺との戦いに負けて、魔界の深淵に落ちて消息不明になっちまったからな……死者が、生きてたなんてのは冗談にも
ならねぇってなモンだ。
まぁ、エンツォ辺りは、性質の悪いジョークとして笑い飛ばすかもしれねぇけどな。
「さてと……未来でもだったけど、今回もアンタの世話になっちまったなダンテ?」
「気にすんな坊主。俺とレディは、その為にこっちに来たんだろうからな。」
「そうかい……アンタらしいモノ言いだな。
アミタ達の力で、アンタは全部忘れちまうだろうから言うだけ無駄かも知れないが、アンタの世界で未来の俺と出会ったその時は、ドロップキックに注意しな。」
ドロップキック?……何だかよく分からないが、取り敢えず気に留めておくぜ坊主。
もしもなんかの拍子に、またこっちに来る事が有ったらその時は、なのは嬢ちゃんとの子供の顔でも見せてくれや。
「アンタなぁ……普通言うか其れ?
俺だから良いが、なのはが聞いたらBoil Octopus(茹蛸)みたいに真っ赤になって、頭から湯気出して、照れ隠しに砲撃が飛んできちまうぞ、多分きっと。」
「Wao……何ともCrazyでHardでぶっ飛びまくった照れ隠しだな?
だが、なのは嬢ちゃんで其れだと、同じ事をバージルやシグナム嬢ちゃんに言ったとしたら……」
「間違いなく、斬られて燃やされて、幻影剣で串刺しだな。それでもアンタなら死なねぇだろうけど。」
確かに死なないが、痛いからやめとこう。ぶっちゃけ、こっちに来てから何回バージルに刺されたか分からねぇしな。
さて、ソロソロだが……ん?
「お世話になりました、アミタさん。シュテル達も、ありがとうね?」
「いえいえ、10年前には私達の方がお世話になりましたので、その時の恩を返しただけの事ですよ、なのはさん!」
「其れに、貴女があの時よりもずっと強くなり、己の道を邁進しているのを見て安心しました。
加えて、ネロと言う良きパートナーを見つけ、此れからもきっと貴女は貴女の道を歩んでいくのでしょう?」
「うん、勿論だよ!
え〜と、其れでねアミタさん、良ければ此れ持って行ってください。」
なのは嬢ちゃんが、アミタ嬢ちゃん達と別れの挨拶をしてるみたいだが、今渡したアレは『ホーリーウォーター』!?其れも、1リットル瓶が1ダースもだとぉ!?
1本3万レッドオーブもする、効果なモンが何だってあんなに……
「管理局が、俺が持ってたのを解析して作ったんだよ。
聖水の成分さえ分析できれば、後は必要な元素を揃えて魔力処理してやる事で、聖者の祈りがなくたって、限りなく本物に近い物を作る事は出来る訳だしな。」
「そいつは吃驚だが……だとしても、何だってあれだけのホーリーウォーターを?アミタ嬢ちゃんの世界にも悪魔が出んのか?」
「いや、なのはから聞いた話なんだが、アミタ達の住んでる『エルトリア』って場所は、何年も前から『死蝕』って現象によって、滅びに向かってるらしいんだ。
アミタ達は其れを食い止める為に色々やってるって事なんだが、どうにも死蝕に浸食された大地ってのは、その穢れを取り除いてやれば元気になるらしい。
だったら、人力で穢れを取り除くよりも、ホーリーウォーターを霧状にして散布して清めた方が遥かに効率が良いし、アレだけサンプル持ってけば、後はアミタ達が
自分達で其れを作り出すだろ?」
「成程、そう言う事かい。オジサン納得しちゃったぜ。」
「まぁ、それでも、ホーリーウォーターの生成は簡単じゃないから、そんなモンを合計で12リットルも作るってのは、マリーが相当苦労したのは、間違いねぇけどな。」
おぉい、マジか!?
マリー嬢ちゃんも、中々に災難だなぁ?本気で技術力が半端じゃねぇから、こう言う事があると真っ先に頼られちまって、下手すりゃ貫徹だったんじゃないかねぇ?
まぁ、好きでやってる事だから、俺のデビルハント同様、疲れを感じないのかもしれないけどな。
「それじゃあ、次元時間移動の装置を作動しますので、ダンテさんとレディさんは此方へ!!」
っと、如何やらタイムアップか。
じゃあな坊主。この世界はお前さんの生きる世界だ、何があっても護り通して見せな?バージルをはじめとして、此れだけの仲間がいる上に、なのは嬢ちゃんて言
う最高のパートナーが居るんだから、難しい事じゃないだろ?
「言われるまでもないぜダンテ。こっちは俺達に任せて、アンタはさっさと最強になっちまえよ。
それと、アンタの未来での俺の事を宜しく頼むよ――あん時の俺は、今以上に生意気で反抗的で、扱いにくいとは思うけどさ。……覚えちゃいないだろうけど。」
「OK、任されたぜネロ。
頭の中から消えちまっても、魂に刻まれた約束ってのは消えねぇもんだから、その時が来たら、俺は覚えてなくても、そう言う風に動く筈だ。間違いねぇよ。」
「かもな……達者でなダンテ!」
「お前も元気でな、ネロ!!」
――シュゥゥゥン……
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え〜〜っと、俺達は此処で何をしてたんだ?
確か、依頼があって、悪魔共をぶっ殺して、そんでもって仕事が終わって……其れから如何しようとしていたんだっけかレディ?
「ちょっと待ってダンテ……何か記憶が。
え〜〜っと、そうよ、此れからアンタの事務所に行って、ウォッカトニックとジントニックで乾杯して、ピザ食べて、そのまま夜のお楽しみって事だったんじゃない?」
「そう言えばそうだったな。」
何となく、長い時間が経ったような気もするが、まぁ気のせいって事にしておくか。
其れよりも、ピザだピザ!其れとジントニック!ピザはあれだな、アンチョビのピザをオリーブ抜きでだな。
「相変わらずオリーブは嫌いなのね。
て言うか、ほとんど毎日食事はピザをはじめとしたファストフードで、夜の飲み物は強い酒。アンタ、将来間違いなく高血圧の肝硬変、序に糖尿病やるわよ?」
「あん?悪魔って病気にかかるもんなのか?」
「……少なくとも、半分は人間なんだからかかるんじゃないの?」
なら、少しばかり気をつけよう。デビルハンターってのは、潤沢に人が居る職業じゃないし、何時また魔界が復活するか分かったもんじゃねぇからな。
さて、今夜は寝かさないぜレディ?……と言いたい所だが、お楽しみの前にもう1ゲームらしいぜ?さて、何分で片付ける?
「5分未満でSSSランク、5分以内でSランク、10分未満でAランク、10分以上でBランク以下ね。――聞くまでもないと思うけど、どのランクを狙う心算なのダンテ?」
「決まってんだろ?SSSランクだ!」
大体にして5分未満?冗談、コイツ等程度なら、カップヌードル1個分の調理時間が有れば充分だろ?――だから、大人しく眠ってな!!
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――14年後
――西暦2012年:フォルトゥナ・魔剣教団教会
Hoo……レディが持ってきた話に乗って、魔剣教団とやらを襲撃してみたが、成程コイツは、中々にイカレタ連中の集まりみたいだな?
最初に脳天に鉛玉くれてやった爺さんに始まり、俺に襲い掛かって来た教団所属の剣士は軒並み悪魔……正確に言うなら、悪魔化した人間とは、正気を疑うぜ。
加えて、此の悪趣味な『魔剣士の像』は如何なんだ?
少なくとも親父はこんなじゃなくて、息子の俺からしてみても『親父みたいになりてぇ』って思わせる位の良い男だったぜ?俺を見れば分かりそうなモンだ。
「キャ!!」
っと、ブッ飛ばした剣士にぶつかって、お嬢ちゃんが倒れちまった。この子は……人間だな純粋な。
あ〜〜〜〜……少しばかり不注意だったな。とばっちり喰らわせて、悪かったな嬢ちゃ――
「キリエーーーーーー!!!!!」
――メキィ!!!
ぶ!?
こ、此れはまた何とも、打点の高さもタイミングも、そして破壊力も申し分のない見事なドロップキックが飛んで来たなオイ!?しかも完璧に顔面に突き刺さったし!
何だか、何時かどこかで『ドロップキックに注意しろ』ってな事を言われた気がするが、確かにコイツは注意が必要な位の破壊力だったな。
と言うかだな、俺じゃなかったら鼻骨折して、前歯がまとめて吹っ飛んでるだろうから、並の人間にかましていい技じゃねぇな今のは。ダメだぜ絶対に。
「此処は俺がやる!クレド、キリエを連れて逃げろ!!」
「……分かった。
直ぐに応援を寄越す。死ぬなよ、ネロ!!」
「応援ね……期待してねぇよ。」
で、目の前の坊主が、さっきのドロップキックをかましてくれた訳か。
中々やってくれるじゃないか……この坊主も、コイツ等とは違う感じだが純粋な人間じゃないだろうから――って、何処となくバージルに似てる感じがするな、オイ?
他人の空似ってもんじゃなくて、コイツには俺と同じ血が流れてる……俺の中に流れるスパーダの血が其れを教えてくれる。
どうやら、アンタとの因縁は未だ切れてないらしいなバージル。
「銃だけじゃ駄目か……なら今度は、剣の勝負と行こうぜ?背中の、その馬鹿デカい剣は飾りじゃねぇんだろ?」
口が減らないな坊主?
だが、お前みたいな奴は嫌いじゃないぜ?――だから、少しばかり遊んでやる。持てる力の全てを持ってかかってきな坊主。叔父さんが相手になってやるからよ。
レディの持ち込んでくれた面倒な案件と思ってたが、コイツは存外楽しむ事が出来るかも知れないな。
――――――
――新暦75年:ミッドチルダ
Side:ネロ
行っちまったか……俺達は未来に影響しないって事で、記憶を消されてないだけに、この別れってのは中々に思うモノが有るってモンだ――オッサンには特にな。
十数年すれば、俺とオッサンは出会う事になるが、その1年後に俺はこっちに来ちまったから……特別何かが無い限りは、二度と会う事は出来ねぇだろうからよ。
「そうだね……そう考えると、少し寂しいかな?」
「かもな……だけど、あのオッサンだったら、将来的に次元を渡る術を身につけて、こっちに来る可能性があるってのも、案外否定できねぇよな?」
「……言われてみれば確かに。」
「どんなチートバグだ其れは?我が弟乍ら、否定できんのが、微妙に悲しいモノが有るが。」
何だろう、ガチでオッサンがこっちにもう1度来る可能性が否定できなくなって来たぜ……まぁ、来ても良いけど、面倒な案件だけは持って来てくれんなよ?今まで
の経験から、アンタが俺に仕事を持ち込んで来た時は、間違いなく面倒な事だったからな。
でもまぁ、此れでダンテ達もアミタ達も元の世界に帰った訳だから、後は俺達で色々頑張らねぇとだろ?
完全復興までもう少しってとこ頃だから、此処は気合い入れて頑張らねぇとな!!
「だね。
で、復興作業が一段落したら、私は一度ヴィヴィオと、く〜ちゃんと一緒に地球に帰省する予定なんだけど、その時はネロも一緒に来てもらっても良いかな?」
「Wh'ts?(何で?)
行くのは別に構わないが、何だって俺が同行しなくちゃならないんだ?別に必要ないだろ?」
「だって、ヴィヴィオの事をお母さん達に紹介しないといけないし、ネロはヴィヴィオの『パパ』になってくれるんでしょ?」
其れか!!
まぁ、確かに俺はヴィヴィオの『パパ』になるし、なのはは『ママ』になる事が正式に書類上で決まっちまったからなぁ……要するに、結婚の承諾をしろって事かよ!
「有体に言えば♪」
「マジかよ!!」
いや、何時かはそんな日が来るんだろうなとは思ってたけどさ。――いざ、その時が来ると思うと、流石に緊張しちまうぜ。
桃子は速攻で了承してくれるかもしれないが、親父である士郎と、兄貴である恭也は、そう簡単にはいかないかもだから、一戦交える事も考えておかないとだな。
「あ、其れからバージルさんも一緒に来てくださいね?」
「何故だ?」
「私の両親が居るのに、ネロの親が居ないって言うのは如何かと思いますし、お母さん達だって、ネロの親の事を知りたいと思うので♪」
「……拒否権は、無さそうだな。ならば、同行させて貰おう。
正直な事を言うのならば、あれほどの強さを持っている貴様の家族と言うモノには、些か興味も有ったのでな。」
でもって、バージルも巻き込んだってかオイ!!
だがまぁ、此れも何時かは通らなきゃならねぇ道だから、逆に早い時点で通る事になったってのは僥倖だったかもだぜ――後になると、その分だけ面倒だしな!
思わぬ形で発生したExtra Missionだが、やり遂げてやろうじゃねぇか。
俺はなのはを愛してる。その思いだけは、この世界の誰にも負けねぇって思ってるかな!!
だから、絶対に認めさせてみせる、士郎にも恭也にも、俺がなのはの公私に渡って、生涯のパートナーであるって言う事を――魂に刻み込んでやるぜ!!!
士郎、アンタの愛娘は、悪いが俺が頂くぜ!!
To Be Continued…
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