Side:なのは
そろそろ卒業試験が近いけど、その前の最後の実力検定試験はどんな物にしようかな〜〜?
筆記試験の方は、他の教導官の人がやってくれるけど、実技試験となると果たしてどんなものにした物やら……
普通の訓練生の実技試験だったらこんなに迷わないんだけど、ネロ君達の事を考えると並の試験じゃ多分簡単すぎて、試験の意味を成さない気が…
まぁ、其れだけ皆が切磋琢磨して己を磨いたって言う事だから、教導官として嬉しいんだけど、試験内容を考える場合には悩みの種なの…
其れでも、ネロ君は最上級難易度の模擬戦をやらせても軽くクリアしそう……だけどそうなると他の訓練生には優秀でも難易度は高くなるし…ん〜〜?
「よう、なに悩んでんだなのは?」
「ヴィータちゃん!……うん、ほらソロソロ卒業試験が近いでしょ?
その前の最後の実力検定試験の実技試験をどうしようか考えてるの……ネロ君が居ると並の試験じゃ、皆の実力を測る事は出来ないと思うんだ?」
「あ〜〜〜……確かにネロが居ると並の試験じゃ如何しようもねぇかもな……
つーかアタシ並のパワーと、シグナム並の剣の腕って、明らかに訓練生としてはオーバースペックじゃねぇかよ!!」
でしょ?だから悩んでるんだよねぇ……何か良いアイディアないかなぁ?
「いやアイディアって言われてもよぉ……ん〜〜〜〜……あ、そうだ!!」
「何か思いついた?」
「おぉ!この間やったゲームのモードなんだけどよ、『サバイバルモード』みたいのは如何だ?
競技格闘みたいにライフ数値を設定して、そいつが0になるまでにドンだけのステージをクリアできるかとか如何だ?」
良いね!そのアイディアいただきだよヴィータちゃん!
確かに其れならステージ数を設定すれば、クリアステージ数で実力を測る事が出来るしね……GJヴィータちゃん、今度アイス奢るね♪
「チョコとストロベリーのダブルな?」
「了解なの♪」
ヴィータちゃんのアイディアを元に色々改変すれば、ネロ君も満足できてかつ、訓練生の皆の力も充分に量れる実技試験が出来そうだね♪
リリカルなのは×Devil May Cry 黒き騎士と白き魔導師 Mission13
『実力検定〜Bloody PALACE〜』
Side:ネロ
この世界に来てそろそろ1年か……思い返せば色々あったが、此れだけ楽しい時間を過ごしたのは若しかしたら初めてかもしれないな。
時折下級の雑魚悪魔が出て来る事はあっても、同期の奴等と一緒に訓練やら何やらをするのは存外悪い気分じゃない――寧ろ楽しかった位だ。
特にチームを組んだギンガとヴィッツとはお互いに学ぶ物も多かったから尚更だな。
まぁ、出会いがあれば何時か別れの時が来るのは世の常だ――卒業後の配属先によっては極端に会う機会も減るだろうからな。
今日は卒業試験前最後の実力試験。
1日目は筆記試験で、2日目の今日は実技試験……Hoo…やっぱり実技の方が気持ちが昂る。
しかもこの実技試験は、なのはが考えた独自の物って話だからな……期待するなってのが無理な話しだぜ――絶対クリアしてやるけどな。
「其れじゃあ今日は実力試験の実技編だね。
実技編て言う事で、此れから皆には仮想空間での戦闘を行って貰うけど、何時もの模擬戦とは違う部分があるから注意してね?」
模擬戦とは違う?……如何言う事だ?
「先ず、戦闘用仮想空間は何時もの街中みたいな広いモノじゃなくて、直径15メートル位の円形闘技場を設定しているの。
其れを3つ用意したから、3人ずつ試験を行う事が出来て仮想空間内の様子は外からモニターで見る事が出来る様になってる。
で、此処が一番違うところなんだけど今回は仮想敵を全滅させると次のステージに進む事が出来るようになってるんだ♪」
「次のステージって……如何言う事ですか高町教官?」
「うん、其れを説明する前に、今回の試験では皆にDSAAで採用されてるライフ数値を使って貰うの。設定値は全員4000ポイントでね。
で、其れが0になるか、制限時間が0になるかで試験が終了なんだけど――どちらかが尽きるまではステージを進んで行ってもらうの。
勿論、次のステージに進むまでにインターバルは取ってOKだし、ステージクリア時に制限時間のカウントダウンは止まるから安心して良いよ?
それで、ステージクリア時と仮想敵撃破時に残り時間がプラスされて増えて行く仕様になってるから頑張って沢山のステージクリアを目指してね♪
仮想敵を倒した場合に、体力回復アイテムが出る事も有るから有効活用すれば……皆なら50ステージ位までは行けると思うなぁ。」
……制限時間付きのサバイバルモードって事か。
因みに参考までに聞いときたいんだが、全部で何ステージあるんだ?まさか無限にある訳じゃないんだろ?
「全部で101ステージ♪あ、20ステージ毎に所謂強力な『ボスキャラ』が出て来るから頑張ってね♪」
「「「「「「「101ステージ!?」」」」」」」
「「なのはさん気合い入れ過ぎ!?」」
「確かに凄いステージ数だな……だけど何なんだよ101ステージって?半端過ぎないか?」
「ステージ100はボス戦で、ステージ101もボス戦……完全制覇の最後の難関だね♪」
「「「「「「「其れが貴女の全力全壊!?」」」」」」」
突っ込み所があり過ぎだろ其れ……ドンだけの難易度だ?
実際になのははやってみたのかよ?やってみてクリアする事が出来たのか?
「え〜〜っとね、大体1時間ぐらいで全ステージクリア出来たかな?フェイトちゃんも100ステージはクリア出来たからね。」
「成程、其れなら頑張れば私達も70ステージくらいはクリア出来るかもしれません……頑張ります!!」
「うん、その意気だよ♪」
……クリア可能なモンなら大丈夫か。
まぁ、この難易度もなのはが訓練生の実力を考慮して設定した訳だろうし――逆を言えば、高難易度をぶつけるくらいに期待してるって事だしな。
OK、だったらその期待には応えないといけないよなぁ?
50ステージくらいはクリアできるって言ってたが、どうせだったら全ステージクリアを目指そうぜ?てか、俺は全ステージクリアするからな?
「期待してるよ?
あ、其れから分かってると思うけど、ステージが進むたびに仮想敵は強くなるし、出現数も多くなるからその心算でね?」
「「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」」
やっぱりそう言う仕様か……まぁ、ずっと敵の強さと数が同じじゃ試験にも何もなりゃしないからな。
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で、試験が開始された訳だが――なのはの予想通り、大体の奴が50ステージ前後で終わってるな。
中には60ステージまで行く奴もいるが、其処で躓いちまってる……60ステージ目のボスは20と40で出て来た奴よりもずっと強いせいだろうけどな。
因みに、補助や回復を得意とする所謂『バックス』『サポーター』の連中は、同じチームのアタッカーと試験を受ける事で支援能力を評価されるみたいだ。
ヴィッツもギンガと組んで挑戦中だしな。
「大体予想はしてましたけど、ギンガさんとヴィッツさん……やっぱり凄い…!!」
「60ステージ目を突破してそろそろ80ステージ目じゃねぇか……格闘型と支援型がガッチリかみ合うと此処までスゲェとは……」
で、そのギンガとヴィッツはそれまで誰も突破できなかった60ステージ目を時間は掛かったが突破した。
多くの訓練生の行く手を阻んだボスの高速突進も、ヴィッツのサポートを受けたギンガには只の『カウンターの練習台』でしかなかったみたいだぜ。
ヴィッツの突風で突進の勢いを削いだところで、ギンガの打ち抜き式ジャンピングアッパーカット……アレ喰らったら普通だと顎が砕けるかもな。
此れまでの挑戦者の最大の難関をクリアした2人に、それ以降の仮想敵は大した事はないんだろうなぁ?……数の多さに手間取ってるようだけど。
『今だよギンガ!!』
『ナイスタイミングです!!』
――バキィィ!!!
で、残り時間が2分を切りながらも79ステージ目をクリア。
クリアボーナスで残り時間が3分40秒に増えた状態で80ステージ目のボスとか……残り時間的に撃破は少しきついか?
って、オイオイオイ、此れはマジか?
80ステージ目のボス敵ってのは……機械天使みたいな外見だが、身の丈以上の長剣と左腕と一体化した巨大な盾って、まるで帰天したクレドだぜ。
なのはがそれを知る筈がないから偶然なんだろうが――もしも能力までクレド並みだったとしたら、4分弱で倒すのは流石に難しいか……
ん、始まったか……思った通り、ギンガはやり辛そうだな。
攻撃は盾で防がれ、直後にカウンターでの突きが飛んでくるし、間合いが離れたら離れたで突進薙ぎ払いと、剣の投擲が来る……やな相手だ。
『く…なら!!』
『そこだよ!!』
背後を取っての一撃をヴィッツが追い風で強化して大ダメージを与えたみたいだが、決定打にゃならないか……残り時間は10秒…
――ビーーー!!
「はい、其処まで!タイムアップだよ……お疲れ様、現時点での最高成績だよ2人とも♪」
「た、タイムアップ……攻略法が見えただけに残念です……」
「だけど、今までの最高成績……此れって誇って良いんじゃない?」
仮想空間から帰還してきたか……お疲れさん、誇って良いと思うぜ?
突破不能とか思われてた60ステージ目を突破しての最高成績なんだからな?
「ネロさん……確かに誇っても良いかもですね…」
「だけどネロさんだったら、もっと行けるんじゃない?私としては是非とも全面クリアをしてほしい感じなんだけどね?」
「無論やる心算だ……其れ位しなきゃ、俺を推薦入学させてくれたなのはに合わせる顔がないからな?」
「そうだねぇ……クリアできないまでも、せめて90ステージくらいまでは行ってほしいかな?……推薦者の心情としてはね。」
だろ?ならやるさ。
ギンガとヴィッツが終わったから、その仮想空間に入るのは俺だろ?残り2つはまだ使用中だしな。
「うん……って言ってもネロ君で最後なんだけどね。準備は良いかな?」
「何時でも良いぜ?」
「じゃあ、番号42番ネロ君、仮想空間内に入って下さい。」
All right.(了解。)……さてと、少しばかり暴れるか!
――――――
Side:なのは
「スゲェ……なんつーか格が違うだろ俺達とは……何でアイツ訓練校なんかに居るんだ?直ぐにでもエースになれるだろうよあれなら…!!」
「ボス以外はノーダメージで撃破って幾ら何でも……しかもボス以外は略秒殺――残り時間が70ステージ終わった時点で68分て凄すぎ……」
なはは……何て言うか予想以上にネロ君が凄いね。
確かにネロ君だったらクリアするだろう難易度だけど、まさかここまで余裕で進むとは予想外――私だってクリア時の残り時間は10分だったのに。
だけど此れは多分経験の差だね。
私もネロ君も戦闘経験は豊富だけど、基本的に1対1かフェイトちゃん達と一緒に戦って来た私と違って、ネロ君は1対多の戦いが多かったらしいから。
だから、1人で複数の相手と戦う事になれてる。複数の相手に対する効率の良い戦い方を分かってる……だからきっとこの結果。
『Freezing!(凍り付け!)』
フロストハートの力を使っての広範囲攻撃もあるから殆ど隙なし……あ、80ステージ目を難なく突破しちゃった。
投擲された剣をキャッチして投げ返すなんて、多分ネロ君の右腕があってこそ出来る芸当なんだろうけど……うん、今のは驚いたね。
『Cry out bad!(泣き叫びな!)』
次のステージの仮想敵もマキシマムベットで鎧袖一触……何だか初めて会った時よりも格段に強くなってる気がするなぁ?
『大体Masterのせいではないでしょうか?
MasterはMr.ネロと模擬戦を行う時、他の訓練生の時とは違ってブレイカーとスマッシャーは使わないとは言っても手加減はしていないでしょう?
元々MasterとMr.ネロは、戦闘スタイルこそ違えど同レベルの強さなのですから、その2人が全力で模擬戦したら強くもなります。
其れを踏まえるとMasterも相当に強くなっているのではないでしょうか?多分今のマスターならフェイト相手に10連勝も可能だと思います。』
「其れは如何かなぁ?確かにフェイトちゃんは最近はデスクワークが多いみたいだけど、時折シグナムさんと模擬戦してるんだよ?
10回やって10回とも私が勝つなんて言うのは流石に言いすぎだよレイジングハート?」
『実際言い過ぎではないのですが……其れよりも如何やら、100ステージ目に突入するようですよ?』
えぇ!?80ステージ目をクリアしてから10分と経ってないのに!?……ドンだけなの一体…
って、アレ?100ステージ目のボスを見たネロ君の様子が何か……
『よりによってあのアゴ野郎の帰天状態とそっくりだとはな……良いぜ、本気でブッ飛ばしてやるよ……Do it!!(行くぜ!!)』』
――バキィィィン!!
ふえぇぇぇぇ!?で、デビルトリガー発動した!?
も、若しかしてあの外見てネロ君的には物凄く逆鱗に触れるモノだったのかなぁ?……だとしたら、この100ステージ目は……
『『Catch this!(取った!)……覇ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………Fuck you!!(くたばれ!!)』』
うわぁ……散々振り回して、叩き付けて、馬乗りになって右腕でタコ殴りにした挙句にレッドクイーンでホームランて、少しやり過ぎじゃないかなぁ?
予想通りに瞬殺……デビルトリガー発動したネロ君に勝つ事は多分私でも無理だね。
だけど此れで遂に最終の101ステージ。
最強のボスを相手にネロ君は如何戦うんだろう?
――――――
Side:ネロ
まさか100ステージのボスが、帰天したアグナスにそっくりだとは思わなかった。
思わずデビルトリガー発動して瞬殺しちまった……あの野郎のおかげでデビルトリガーが覚醒したが、アイツのせいでキリエもクレドも…
まぁ、ブチ切れちまったのはしょうがないが……マダマダ感情のコントロールは下手くそだな……此れじゃダンテにまだ『ぼーや』って言われちまうな。
その辺は要修業として、いよいよ最終ステージだな。
101ステージ目もボスって事だが、一体どんな奴が出て来るんだ?……今までの事を考えるとトンでもないのが出てきそうだが……
「………」
「Ha……コイツは良い…マジか此れ?」
短い黒髪にグレーのコートとジーパン……容姿はまるで似ちゃいないが、黒と白の二丁拳銃に髑髏の装飾の長剣て……まるでダンテじゃないか?
あのオッサンと比べれば多分格段に落ちるだろうが、其れでも可成り強い筈だ……OK、Let's rock!!(派手に行くぜ!!)
「イィヤァ!!」
「Be gone!!(喰らえ!!)」
今のはスティンガーか……如何やら装備だけじゃなく、技もダンテに似てるらしいな?
偶然の一致とは言え、コイツは予想外に楽しめそうだぜ!!
「ハ!フ……デリヤァァァァ!!」
「ハ!ハァ!!エリァ……イィヤァア!!!」
――カンカンカンカンカン!!!
太刀筋もダンテにそっくりだが……だからこそ、アンタは俺の敵じゃないぜ!
確かにアンタは可成り強いが、言っちゃ悪いが所詮は試験用の仮想敵だ、あのチートバグとしか思えねぇオッサンと比べたら全然弱い!!
だから……そろそろ決めるぜ?
「You’re going down!(跪け!)覇ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………Dusts to dusts…!!(塵は塵に…!!)」
「Ridiculous…(そんな馬鹿な…)」
アンタが本物のダンテなら勝てなかっただろうし、ショウダウンを叩き込む事も出来なかっただろうよ。
だけどな、俺だってこっちに来てから可成り強くなってるんだ……試験用の仮想敵如きに遅れは取らないさ……
機会があればまたやろうぜ?……じゃあな。
――シュゥゥゥン……
ふぅ……終わったか。
で、如何だなのは?全ステージをボス以外はノーダメージでクリアしてやったぜ?推薦者の面目は保てただろ?
「なはは……うん、お見事だよネロ君。
残り時間45分で、獲得ボーナスが1時間……被弾数と残りライフなんかを考えると――此れはSランククリアになるね♪」
「其処までか?……まぁ、高評価ってんなら悪い気分はしないぜ。」
で、お前等は何をそんなに見てるんだ?俺が如何かしたか?
「ネロ……頼む俺を弟子にしてくれぇぇ!!!」
「私を是非弟子に!あのすばらしい剣技を一手授けて下さい!!」
「はぁぁぁぁぁ!?」
待て待て待て!!何をどうしてそうなる!?
そもそも俺はお前等と同じ訓練生だぜ?弟子にしてくれとかオカシイだろ!!なのはもなんか言ってやってくれ!!
「む、難しいかなぁ?その子達は今のネロ君の戦いを見て、すっかりネロ君が同期生から憧れにシフトしちゃたみたいだからねぇ?
そうなっちゃった子達を、取り敢えず落ち着けるのは物凄く大変な事なの……」
マジか!?
いや、俺は師匠とかそう言うのガラじゃねぇし、そもそも人に教える事なんて出来ないぜ!?まして俺の剣技は教わって出来るモンでもない!
何とかしてくれなのは!!
「無理!外的ショックで正気に戻さないと、話も出来ないの!!」
「なら一発ディバインバスターをかましてくれ!!」
「其れは流石に危険だと思うよ!?」
「模擬戦で、仮想空間吹っ飛ばすほどの砲撃をぶっ放すくせに其れを言うか!?」
「其れとこれとは話が別なのぉ!!」
「何が如何別なのか、俺が納得できるように説明してくれ!!」
「「師匠ーーーー!!」」
「師匠じゃねぇって言ってるだろうが!!」
結局、暴走した奴等にバスター投げを喰らわせて、強制的に正常に戻したが……あんまし本気で戦うと思わぬ面倒事が起きる事が有るらしいな。
試験をSランククリアしたのは良いが、最後の最後でドッと疲れた気分だぜ……飯食ってシャワー浴びて、さっさと寝た方が得策だな今日は。
訓練校での生活もあと少しか………卒業試験てのは、一体どんな事をやるんだろうな?Hoo…今から楽しみだぜ!!
To Be Continued…
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