Side:ネロ


最後の謎を解いて、此れでクリアかと思ったら脱出前にステージボスの登場か?ある意味お約束だな。
しかも、感じる気配はさっきのファントムよりもずっと強いと来た――マッタクやってくれるぜ。

だがまぁ、完全に後ろを取っていたにも拘らず不意打ちをしないで出て来て、おまけに俺の要求に応えて本当の姿を曝すとは、悪魔にしては珍しいな?
其れに今も俺達と対峙するだけで攻撃してくる気配はない……Ha、掃き溜めのゴミにしちゃ中々礼儀を知ってるじゃないか?

「礼儀を知ってる序でに、名も名乗ってくれるとありがたいんだけどな?」

「…………」


……ネロ・アンジェロ――黒き天使とは大凡悪魔が名乗る名前とは思えないな。
と言うか、念話で伝えないで口に出して言えよ?ギンガ達が頭の上に『?』浮かべてるだろ?


「……………」

「徹底して無口か……あんまり好きなタイプじゃないな……」


――ジャキ……!!


フン、無口だろうとやる気は充分か?
マッタク、刃物を人に向けちゃいけないって位は親から教わらなかったか?其れとも、騎士風に相手に得物を突き付けての宣戦布告のつもりかよ?


「…………!!」

「……ついて来いってか?……あくまで正面からか……良いね、気に入ったぜ黒騎士!」

そのバイオレンスなダンスの誘いは受けてやるぜ?……だけど、そっちから誘って来たんだ――先にくたばるなんて事だけは無しにしてくれよな…!












リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission15
『黒騎士〜Nero Angelo〜』











「ネロさん、大丈夫なんですか!?」

「大丈夫だろ?アイツは間違いなく悪魔だが、同時に悪魔には珍しい『騎士道精神』の持ち主らしいからな。
 アイツが挑んできたサシの勝負で俺が勝てば退散する筈だ――寧ろ下手に手を出して、アイツの機嫌を損ねる方が危険だと思うぜ俺は。」

俺もそうだが、1vs1の戦いに横槍を入れられるのは好きじゃない――寧ろムカつく事だ。
自分と同等、或は上の相手と1vs1のサシの勝負ってのは、本気で自分の力が試される場所だからな――横槍は厳禁の御法度だ、理解したか?


「「「「「はい。」」」」」


そう言う訳だから、アイツと戦ってくる。
万が一、俺が負けた場合は奴とは戦わないで一直線に転送ポートに急げ……アイツはお前等が束になったって勝てる相手じゃないだろうしな。


「悔しいけどそうするしかないよね……多分あの黒騎士はなのはさんよりも強いかもしれない。」

「下手に参戦するのは、ネロさんへの侮辱にもなりますしね――分かりました、精々バルコニーに出て観戦する程度に留めておきます!!!」


そうしてくれると助かるぜ。






……さて、外で俺を待つのは鬼か蛇か――何にしても虎穴に入らんずば何とやらだ、望み通りやってやるぜ!!


――バァァァン!!


「出てこいよ黒騎士!俺は来たぜ?まさか逃げちゃった訳じゃないだろう?」

奴の気配はまだ有る……少なくともこの城の内部に居るのは間違いない――一体何処に居るんだ?姿が見当たらない。
バルコニーの下の広場意外には何もないし、隠れる場所は無さそうだ……取り敢えずは下に降りてと……



――ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!



「この気配と……この異様に長い影は……」

塔の天辺か!……そんなところに居たとはな?マントを翻しながらとは、随分と洒落た待ち方じゃないか。
其れに、俺が体勢を整えるまで待っててくれたのか?……広場に降りた瞬間に不意打ちをかます事だって出来ただろうに――本当に騎士なんだな。

Humph……気に行ったぜ黒騎士!!


――ドルゥゥゥン!!


一切手は抜かねぇ……マジでやろうじゃないか!


「………トゥア!!」


試合開始のゴングは鋭い跳び蹴りか!
だが、着地の隙が大きいぜ?Be gone!!(失せろ!!)


――ガキィィン!!


ち……隙を突いたはずのストリークに対応してくるとはやるな。コイツはダンテ以外には見切られた事は無いんだが、其れだけの奴って事かコイツも!
まぁ、今のは挨拶代りだ、此処からは派手に行くぜ?精々遅れないように付いて来な!!


「フアァァ!!」

「Crash!(砕けろ!)」


居合の構えからストリークに似た突進薙ぎ払いか……馬鹿デカい剣を使ってる割に、攻撃の速度は早いな。
コイツは『振りのデカい攻撃にカウンター』ってのも中々難しいモノがあるかも知れないぜ。


「トゥゥゥゥ……イィヤァ!!」

「!?」

な……今の突進突きは『スティンガー』――ダンテの、引いてはスパーダの技じゃないかよ!?
それにスティンガーだけじゃない、コイツの……黒騎士の剣の太刀筋は紛れもなくスパーダの剣だ。

スパーダは魔界でも有名な悪魔だから、その剣技を身に付けようって奴が居ても不思議じゃないが――コイツはその剣を完全に自分の物にしてる!
只真似てるだけじゃない、コイツはスパーダの剣を、ダンテとは違う形で時間を掛けて自分流に昇華したってのか?……何て奴だ!!

オッサンと戦った事が有るからある程度は見切れるが、其れでもこの剣は敵に回すと厄介な事この上ないぜ。


「タァァァ!!」

「ちぃ……Eat this!!(喰らいな!!)」

更には剣だけじゃなく、体術も一流レベルかよ――コイツは思った以上の強敵だな。
正面から打ち合うのは少しばかり分が悪いか……だったら俺だけの一発でブッ飛ばすだけだ!Break!(砕けな!)


――バキィィィ!!


「クアァ!?」

「御大層な鎧を纏ってても、この右腕の一発は結構効くだろ?」

「フッ………」


瞬間移動…!第2ラウンドはバルコニーから続いてたらしい屋外廊下か?付き合ってやるぜ!!
右腕伸ばして適当な壁を掴んでヘルバウンドで移動すると同時に……移動の勢いを上乗せした飛び蹴りで第2ラウンド開始のゴングだ!!


「フ………ハァァアァァァァ!!」

「You Trash!(派手に散れ!)」

相当に勢い付けた跳び蹴りを喰らいながら、即座にハイタイムで反撃してくるとはマジでトンデモねぇ。
即座にスプリットを繰り出してなかったら吹っ飛ばされてた――尤も、斬り上げは斬り下ろしよりも隙がでかい……貰ったぜ!Burning!(燃えろ!)


――バガァァン!!


さっき戦った蜘蛛野郎から手に入れた炎を扱う力だ。
幾ら鎧を着こんででも、掴まれて爆発させられれば無事じゃ済まないんじゃないのか?


「グアァァア……タァァ!!!」

「ゴフ!!」

怯まずにノーモーションからのボディアッパー……!!く…結構効くぜ此れは……!!
しかも休む間もなく、ストレート、ボディブロー、ミドルキック、後ろ回し蹴り、蹴り上げの連続攻撃――普通の人間だったら此れで完全KOされてるぞオイ。

辛うじて点をずらしたおかげで決定打を喰らわないで済んだが――って、間髪入れずに居合いか!?
回避は間に合わないか……なら防ぐしかねぇ!!


――ガキィィィン!!……ピシッ!!


!!オイオイオイ、マジかよ!?レッドクイーンに罅が入るって、ドンだけ頑丈なんだコイツの剣は!?
自慢じゃないが、レッドクイーンはオッサンのリベリオンとも互角に打ち合ったんだぜ?おまけにマリーがデバイス化する時に強度上げてくれたってのに。


ち……これ以上レッドクイーンで戦うのは得策じゃないな。
モードリリース、此処からはお前の出番だぜ閻魔刀!!


――カキィィィン!!


「ムゥ?」

「レッドクイーンと違って、閻魔刀はスパーダお手製の悪魔の剣だ。
 今度はお前の剣と打ち合っても破損はしないぜ?You shall die.(死をくれてやるよ。)」

居合い切り一閃を合図に、俺も黒騎士もジャンプして空中で切り結ぶ。
で、着地した先は搭と塔を結ぶ屋外渡り廊下――第3ラウンドは此処が舞台か?最高の眺めでお前みたいな奴と戦えるってのは悪くないな?


「フッ……」


――ジャキ……


居合の構え……如何やらそれがお前の一番得意な技らしいな?
レッドクイーンが使えればストリークで相手をするところなんだが――閻魔刀を使う場合なら、俺もまた得意なのは居合いさ。

互いの最速の剣で決着ってのも悪くないだろ?……行くぜ。

You're going down……Time to die!(跪け……そしてソロソロくたばりな!)

「ハァァァァァァァァァァァ!!」


――轟!!!


抜きの速さは略互角……って事は後は技の破壊力が勝負を分けるって事か。
だったら負けないぜ?この居合は右腕で抜かせて貰ったからな……この腕のパワーは誰にも負けない!!例えダンテが相手でもな!!


――キィィィン……


「!?」

な、なんだ?行き成り頭の中に映像が……


『……一つ覚えの砲撃、通ると思ってか?』

『通す!レイジングハートが力をくれてる……泣いてる子を救ってあげてって!!』


此れは黒騎士と……子供の頃のなのは!?まさか、此れは黒騎士の記憶なのか?


『ですが、ナハトが止まりません!暴走も、もう!!』

『……止まって!!』



はやてまで……この黒騎士はなのは達と関係があった?
しかも良く見ると、映像のコイツと黒騎士は似てるけど結構違う……映像の奴は肌の色も人の其れだし、目も白目だけじゃない…


『私はもう世界で一番幸福な魔導書です……ありがとうございます、我が主……』

『待って!行ったらアカン!行かんといて!!』



映像の最後……雪の舞う空に消える黒騎士……お前は一体?


――バキィィィン!!


「ウアァァァ……」


押し勝ったか……黒騎士、お前は一体何者なんだ?……元から悪魔だったわけじゃないよな?


「ウ…グ………あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「お、オイ待て!!」

黒い炎になって何処かに行っちまったか……此れは一応俺が勝ったって事になるんだろうなぁ?謎が残っちまったが……


「「「「「ネロさん!!」」」」」

「来たのか?
 ……見ての通り黒騎士は居ない、ギリギリだったが撃退したぜ?……止めを刺すには至らなかったけどな。」

まぁ其れでも、もうこの城内でアイツと会う事は無いだろうけど。
其れよりも、さっきの制御盤はあるか?この渡り廊下に在る此れって、如何見ても城の制御装置だよな?


「ですね……それじゃあ早速制御盤を組み込んで……」


――ギギギギギ……ゴウン、ゴウン…


「正常に起動したみたいだな、魔力溜まりもなくなったみたいだし。」

「そうみたいですね?重苦しい魔力ももう感じないし。」


ならコイツで試験クリアだな――なのはの許に戻るとするか。
……帰ったら、それとなく黒騎士の事をなのはに聞いた方が良いかもしれないな。








――――――








Side:なのは


「ネロ以下5名、試験課題をクリアし帰還したぜ。」

「お疲れ様♪」

ネロ君達も戻って来て、此れで全員が卒業試験を終えたね。……誰1人としてリタイアする事無く課題をクリアしたって言うのは嬉しい事だね。
此れなら全員が文句無しに合格だよ――1人もリタイアしないでって言うのは初めてかも。

後は書類を纏めて、卒業後の配属先別に資料を送れば問題なしと。
お疲れ様、皆♪この結果なら全員が文句無しで合格だよ♪今日は疲れただろうから、ゆっくり休んでね?


「「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」」


其れじゃあまた明日――って、如何したのネロ君?


「少し聞きたい事があるんだが……なのは、お前銀髪で赤目の女が知り合いに居ないか?」

「へ?如何したの行き成り?」

「試験会場に…悪魔が出たんだよ、魔力溜まりに惹かれた奴がさ。
 ほとんどは雑魚だったんだが、最後の最後で手強い奴が出て来てな……そいつとの戦いの中で頭の中に映像が流れ込んで来たんだよ。
 ……子供の姿のお前と、銀髪赤目の女が戦う映像がさ。」


子供の頃の私と戦う銀髪で赤目の女の人?――ちょっと待って、其れってまさか……!!
でも、もしそうだとしたら、如何してネロ君にその映像が?……一体何があったのネロ君?


「その悪魔ってのが、映像の中の銀髪赤目女とそっくりだったんだよ。
 まぁ、その悪魔は目は白目オンリーだし、肌の色も緑と言うか、ブロンズ色だったから、ただ似てるだけなのかもしれないが…少し気になったもんでな。」


肌がブロンズ色って……何処のデ○ラー総統なの?
其れは別人!絶対別人!!だってあの人はちゃんと肌は肌色で、目も白目だけじゃなくてちゃんとあったもん!
幾ら何でもブロンズ肌と白目なんて、絶対別人だよ!他人の空似に間違いないの〜〜!!


「って事は、アイツはあの銀髪の魂の情報を元に生まれた悪魔って事か?
 其れなら、戦ってた俺にあの映像が流れ込んできたのも一応の説明が出来るし――肌と目が全然違うのも納得できるからな。」

「多分そうだと思うの……まさか、そんな事が起きてただなんて驚きだよ……」

勿論詳しく調べる必要はあるかも知れないけど、今はこの事ははやてちゃんには伝えない方が良いかもしれないね。
まだ、詳しい事は分かってないし、何よりもはやてちゃんにとってあの人は特別な存在だから、変に刺激するのも良くないもん。


他人の空似なら其れで良いけど、もしも消えた筈のあの人が何らかの事情で悪魔になったんなら、元に戻してあげないといけないから……!


まぁ、其れもまだ先の話だね。
今は全員が卒業試験をクリアした事の方が大事だよ――主に私の仕事量的な意味で。


じゃあこの話は此れで良いかな?
悪魔と戦ったんならネロ君も少しは疲れてるでしょ?今日はゆっくり休んでね♪


「そうさせて貰う……悪魔だけじゃなく、城の中もしょうもない仕掛けだらけで疲れちまったからな――大人しく休む事にするぜ。」


そうして下さい♪





それから数日後、全員に卒業試験合格の旨を伝え、そして訓練校の卒業式が行われた――此れで皆も晴れて管理局の局員だね。
その後の卒業記念パーティも滞りなく終わり――










――
そして、ネロ君が私の小隊に配属される日がやって来た。












 To Be Continued… 




最後の最後に現れた悪魔だけれど、その姿にはびっくりだ。
美姫 「やっぱり何かしらの関係があるのかしら」
とっても気になる所だな。
美姫 「まあ、撃退したみたいだし試験自体は合格したからね」
今回はそれで良しとするしかないか。
美姫 「また会う事があれば、その時には何か分かるかもしれないしね」
ともあれ、これでネロはなのはの小隊へと配属か。
美姫 「ここからどうなるのか、楽しみね」
だな。次回も待っています。
美姫 「待ってますね〜」
ではでは。



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