Side:ネロ
訓練校を卒業して、俺はいよいよなのはの小隊に配属される訳か。
濃密な1年だったから、アイツ等と別れるのは少し感傷も湧くが、だからと言ってセンチメンタルなのは俺には似合わないな――寧ろキャラじゃないし。
ギンガは卒業後は、親父さんが隊長を務めてるって言う『陸士108部隊』に配属されたらしい。
そんでヴィッツの方は、『湾岸警備隊特別救助隊』――確か、災害対策部隊の中では花形って言われてる部隊への配属だったよな…頑張れよ2人とも。
で、俺はさっきも言ったが、なのはが隊長を務める小隊――別名『第97独立機動小隊』への配属が決まっている。
今日は小隊のメンバーとの顔合わせって事らしいんだが――
「――まさか、此処まで似合わないとは思っても居なかったぜ…」
なのはから渡された『局員の制服』を着てみたんだが――何だ此れ?まるで似合ってねえ。
悪いもんじゃないんだろうが、残念な事に俺にはまるで似合ってない――最大限リミッター解除して言うなら『死ぬほど似合ってない』ってレベルだろうな。
自分で言うのもなんだが、此れじゃあまるでジャパニーズヤクザか、イタリアのマフィアだぜ。
なのはが態と此れを選んだとは思えないが……其れにしたって酷いよなぁ……仕方ねぇ、何時ものスタイルで行くか。
事情を話せば酌量の余地はあるだろうしな。
――コンコン
ん?………この感じは、なのはと久遠か?――何の用だ、鍵は開いてるから入って来るなら別に構わないぞ?
「じゃあ、失礼して…………あの、ネロ君?」
「……全然似合ってない〜〜〜〜〜♪」
やっぱり似合わないよなぁ?……なのは、明日は何時も通りのロングコートで行っても良いよな?
「構わないよ?あくまで『其れが好ましい』って言うだけで強制じゃないからね。」
なら何時も通りの服装で行かせてもらうよ―――さて、どんな奴等が居る事やらな。
リリカルなのは×Devil May Cry 黒き騎士と白き魔導師 Mission16
『武装隊〜Special Army〜』
Side:なのは
いよいよ、ネロ君が私の小隊にやって来る……また賑やかになるの。
一応は今日からは正式な管理局員になるから、ネロ君にもサイズの合った局員制服を渡しておいたんだけど――抹殺レベルでまるで似合ってなかった。
ネロ君は元が良いから何を着ても似合うだろうと思ってたんだけど、前言撤回!!やっぱり洋服は着る人を選べるんだね。
「選ぶだろうな……あれじゃあジャパニーズヤクザか、イタリアンマフィアじゃないか?……そうじゃなければ、他に何がある?」
「不良系のちょい悪ホストさん。」
「くーちゃん直球過ぎ!?」
ご、ゴメンねネロ君?くーちゃんて歯に衣を着せないって言うか、思った事をズバズバ言うところが有るから……
「別に気にしてないさ。
其れに、教団騎士になって白の騎士服を初めて着たときと比べればな……だ〜〜〜れが『潜入スパイ』だってんだ……キレかけた俺は悪くないよな?」
あはは……何て言うかアレな事が有ったんだね。
そう言えば、ネロ君が着てる『濃紺のコート』は『汚れ役の証』って言ってたけど、如何してそんな役割をやる事になっちゃったの?
ネロ君は凄く強いし、多分パワーだけなら誰にも負けないと思うし、そんな役目を押し付けられるようには見えないんだけど……
「問題児だったからな俺は。
基本的にクレド以外の奴の言う事なんか聞かないし、独断専行はお手の物で命令違反は日常茶飯事、そのくせ成果は上げるから性質悪いってな?
普通なら教団騎士をクビにされてたんだろうが、クレドが俺の腕を買って『其れなら裏方をやらせれば』って事で汚れ仕事にって訳だ。
まぁ、俺としては周りからウダウダ言われないで悪魔と戦えるから、寧ろ願ったり叶ったりだったけどな。」
「成程……でも、何で命令違反なんて……」
「兄貴分で、俺よりも強かったクレドの言う事は兎も角として、先輩ってだけで偉そうにしてる奴の言う事なんざ聞く気にならないぜ。
序に言っとくと、お祈りの時間にだけ出て来て御大層な事言うだけの教皇様の言う事もな。
挙句の果てには、その教皇様がフォルトゥナでの一件の黒幕だったってんだから、あの糞爺の言う事なんぞは無視して正解だったぜマッタク……」
なはは、ネロ君らしいね。……だけど、此処では出来れば命令無視は止めてほしいなぁ?
私も大変だし、小隊の皆や、果てはレティさんにも迷惑が掛かっちゃうからね?
「分かってるよ……独断専行はしないから安心しろ、約束するさ。
其れに、なのはの実力は分かってるし、俺だって昔とは違うんだ――組織行動の大切さくらいは分かってるって……訓練校で学んだ事だけどな。」
「其れなら安心だね♪」
「まぁ、期待には応えるよ隊長様。
それで、なのはの小隊ってどんな感じなんだ?其れに第97って事は他にも『独立機動小隊』はあるのか?」
ん?無いよ?独立機動小隊は、私が隊長を務めてる部隊だけ。
私の出身の地球が、此処では『第97管理外世界』って呼ばれてるから、レティさんが其処から『第97独立機動小隊』って名付けたの。
只局内ではもっぱら『高町小隊』とか、少し口の悪い人達は『問題児小隊』なんて呼んでるけどね。
「問題児小隊?」
「私の部隊って、一癖も二癖もある人達が集まってるんだよ――ネロ君もその1人って事になるけどね。
個性が強いって言うのかな?――通常の部隊に配属したら間違いなく問題を起こしそうな人達の寄せ集め……私なら纏められるだろうって事でね。」
「癖がある連中か……面倒くさそうだが、お利口さんよりも楽しめそうだぜ。」
言うと思った♪
確かに癖は強いけど、悪い人じゃないから直ぐに馴染めると思うよ?新隊員が来るって話をしたら、皆凄く期待してたしね。
だけど、副隊長にだけは気を付けてね?
ドゥーエちゃんは、新入隊員に行き成り暗殺術で攻撃する事が有るから……力のほどを見るって言ってたけど、本当に力試しか疑わしいんだよね……
「どんな危険人物だよ其れ……まぁ、大丈夫だろ?
副隊長って事は可成り腕も立つんだろうが、其れでもダンテ以上って事は絶対に有り得ねぇ……あのオッサンより強い奴なんて絶対人間じゃねぇ…」
「因みに私とネロ君の強さを10だとしたらダンテさんの強さは……」
「100だな間違いなく。
あのオッサンは、なのはの全力ディバインバスターが直撃してもケロッとして『刺激的な一発だなお嬢ちゃん』とか言うにちがいねぇ……」
何その無敵キャラ。(汗)
私の砲撃を無傷で耐えたのって、後にも先にもリインフォースさんだけなんだけど、ダンテさんは其れと同レベル?……悪魔の力恐るべしなの。
だけどネロ君は、パワーだけならそのダンテさんをも上回る……やっぱり凄いよね。
と、此処が私が隊長を務める『第97独立機動小隊』の部隊室だよ。
もう全員集まってると思うから、早速顔合わせと行こうかな♪
「皆揃ってる?新入隊員のネロ君を連れて来たよ〜〜〜♪」
「や〜〜〜〜っと、来ましたね隊長!!待ちくたびれてろくろ首みたいに首がなっが〜〜〜〜くなっちまうかと思いましたよ!!」
「一緒に居る彼が例の?……うふふ、此れは楽しみね♪」
「……濃いな。」
「濃いよ……こんな感じなんだけど大丈夫?」
「全然大丈夫だ。寧ろオッサンと比べたら大人しいぜ。」
ネロ君の基準はダンテさんが基本なんだね……其れなら大概の事には驚かないと思うの。
取り敢えず皆落ち着いてね〜〜〜?
先ずは新入隊員さんに自己紹介して貰うから。お願いねネロ君?
「名前以外にも何か言った方が良いのか?」
「出来れば趣味とか得意な事とか言って貰えるとありがたいかなぁ?」
「OK。
……ネロだ。趣味はギターと自己鍛錬。得意な事は悪魔退治と力仕事と料理だ。……これから宜しくな。」
はい!?ネロ君て料理できたの!?……物凄く意外なの…
「自炊も出来なきゃフォルトゥナで一人暮らしなんぞ出来ねぇよ。あそこはデリバリーとか無かったからな。
其れにだ、悪い見本があったおかげで『自炊も出来ないと金が飛んでく』ってのは嫌って程学ばせて貰ったからな……」
「その見本はダンテさんだよね絶対に……」
確かにデリバリーだけで食を賄ってたら間違いなくお金がピンチだからね……自炊能力を身に付けたのは間違いじゃないの。
まぁ、其れは其れとして、今度は皆がネロ君に自己紹介してくれるかな?
「勿論!!
クライス・ジムニィだ。噂は聞いてるぜ新入り!仲良くやろうぜ!!」
「ライザー・アトラスです。……成程、確かに高町隊長が認めるだけの事はありそうだ……頼りにしていますよネロ君。」
「ガイウス・シュナイゼルだ、アンタの事は妹から聞いてるぜ?」
「シュナイゼルって……ヴィッツの兄貴かアンタ!!」
「オウよ!仲良くやろうぜネロ!機会があれば模擬戦で一発相手してくれ。」
「ライティ・リクオウよ!宜しくね新入りさん!」
「エリア・ランクス……宜しく…」
なはは……何て言うか予想通りの顔合わせかなぁ?こんな感じの部隊だけど、宜しくねネロ君。
あれ?そう言えばドゥーエちゃんは何処?――まさか、若しかしてネロ君に『アレ』を敢行する心算なの!?
こう言っちゃ失礼だけど、ネロ君に其れは通用しないと思うよドゥーエちゃん?……だけどネロ君に教えたら意味ないし……此れも通過儀礼なのかなぁ?
―――――――
Side:ネロ
顔合わせってのが終わった……訳じゃないよな?副隊長ってのが居ないしな。
遅刻でもしてるのか?……其れとも或は……
――ズン!!
!?殺気!?……しかも強い………上等だ、やってやるぜ!!!
「そこだ!!!!」
――Bang!!
やったか?……いや、今のは避けられたな……銃弾すら避けるなんてとんでもない奴だぜ。
だが、攻撃の機会を窺ってるせいで闘気がダダ漏れだぜ?……まぁ、並の奴なら気付かないだろうが、生憎と俺は其の類の事に敏感なんでね!!
「Be gone!!(喰らいな!!)」
「……!!」
点をずらして逃げたか……なのはが何も言わないのを見ると、コイツは敵じゃないんだろうが……やってくれるぜマッタク!!
その熱烈な歓迎には応えてやるぜ!!Things're really beginning to heat up!!(燃えて来たぜ!!)
とは言っても、この狭い空間を縦横無尽に飛び回るってのは厄介だな……こっちからの攻撃は間違いなく避けられちまう。
だったら、相手の攻撃に合わせてカウンターをぶちかますのが上策だぜ!行け幻影刀!!
――バシュゥゥゥゥン!!
合計20発の幻影刀を避け切るのは無理だぜ?
そうなれば、幻影刀の隙間を狙って攻撃するしかないよな?……だけどな、其れこそが俺の狙いだぜ!!
――ガシィィィ!!!
「!!!」
「取ったぜ……取り敢えずぶっ潰れろ!!Slam dunk!(ぶちかますぜ!!)」
――ドォォォン!!!
ふぅ……未だやるか?やるってんなら相手にはなるぜ?
「止めておくわ……ギンガから話は聞いてたけど、それ以上ねネロ君?
第97独立機動小隊副隊長のドゥーエ・ナカジマよ……此れから宜しくね♪」
ナカジマ……アンタがギンガの姉さんか。
熱烈な歓迎には驚いたが、結構楽しめたぜ?……此れからも宜しくな?
「もう、やるとは思ってたけどもう少しマイルドに行かなきゃだめだよドゥーエちゃん?怪我したらどうするの!?」
「その辺は加減してるから大丈夫よナノハ。
それ以前に、彼を相手にしたら手加減とか全く不要な気がするのは私だけじゃないわよね?多分彼だけで、最高評議会の配下は潰せるわよ?」
「そうかも知れないけど、一応今日は『顔合わせ』が目的だから、死角からの暗殺術は自重してほしんだけどなぁ?」
「私に其れを要求するのは無理じゃないの?」
「だったら自分で自重してくださいなの!!」
まぁ、色々あるみたいだけどな。
だが、こんだけの奴等が居て、それらを纏め上げるのがなのはってんだから楽しめそうなことこの上ないぜ。
なのはが隊長を務める『第97独立機動小隊』………どうやら、退屈だけはしないで済みそうだ。
まぁ、改めて宜しくな?―――刺激的な毎日の始まりだぜ……!!
――――――
Side:ジェスター
い〜〜っひっひ、悪魔の坊やが白いお嬢ちゃんの部隊に行くとはな!……良い感じに門が開き始めててるし、この分なら上級が出るのも遠くないぜ!
悪魔の坊やがドレだけ成長したかも興味があるしなぁ?
其れにあの約束から1年はとっくに経ってるからなぁ?そろそろ悪戯を仕掛けても良いって事だよなぁ?
あ〜〜〜っはっは!!こりゃいいぜ!!如何やら、楽しい事になりそうだぜぇ?……俺を楽しませてくれよな坊や達!!
全力で楽しもうぜ!!あ〜〜ひゃひゃひゃ!!!
To Be Continued…
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