Side:ネロ


銀行強盗が起きたって現場に向かってる訳だが、まさか護送車で行くとは思わなかったな、正直な話として。
てっきり転送魔法とかで現場に転送するのかと思ってたぜ。


「ミッドじゃない場所――他の管理世界に行く場合にはそうするけど、ミッドで起きた場合には普通に護送車でだよ?
 転送ポートを使う場合は、大概物凄く距離の離れた場所で起きた事件に対処する時くらいなの――魔法があっても、其れが全てじゃないんだよ。」


成程な。
だけど、ある意味ではこっちの方が良いのかもな?此れから現場に出るって言う緊張感があるし、何よりも気が引き締まる感じがするからなぁ?

序に言っとくと、此れだけの戦力が護送車で現場に現れたとなれば、強盗やら何やらの犯人だってビビっちまうんじゃねぇか?――てかビビるだろ絶対。


「言えてるかもね――だけど、私達が出るって言うのは、それだけの事件だって言う事でもあるからね。
 加えて今回の銀行強盗の犯人は質量兵器で武装してるって事だから、油断は禁物――恐らくは突入する事になるだろうから、その心算で居てね皆?」

「任せとけ隊長!強盗如き俺等の敵じゃねぇだろ?」

「寧ろ、私達が出張る事になった事を後悔させる方が良い――後悔先に立たずを骨の髄まで刻み込ませる………」

「なはは……頼もしいけど程々にね?
 銀行強盗の方法は兎も角、人質になってる人達は無傷で解放しないと意味が無いからね――力を合わせて頑張ろう!!!」

「「「「「「「「「おーーーーーーーーーーーー!!」」」」」」」」」


流石に隊長だななのはは、部隊の士気を上げるのが巧い――俺だって意気軒昂って感じになって来たしな。
だが、其れだけに銀行強盗の立て籠もり犯は御愁傷様としか言いようがねぇ――ハッキリ言って強盗風情が、俺達に勝つ事は絶対に無理な事だからな。












リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission18
『初出撃〜The First Mission〜』











Side:なのは


と言う訳で現場到着――思ってた以上に物々しい感じがするね。

「第97独立機動小隊、只今到着しました!!」

「!!……ちぃ……矢張り出て来たか……ゴホン、協力感謝する――だが、折角来てもらって何だが、君達の小隊の出番は無いと思われるよ?」


ヤレヤレ……私の小隊を快く思わない人が現場の指揮官だったとはねぇ……態度があからさま過ぎるよ流石に。
まぁ、其れは良いとして――一体どんな状況ですか?

私達の出番がないと言う事は、説得と交渉で犯人を投降させる手段がある――そう見て良いんですよね?


「如何にも――戦わずに済むなら其れに越した事はない。」

「一理あるが――だが、そいつは相手によるだろオッサン?
 ハナっから交渉材料に無理難題を突き付けて来る奴を相手にして、交渉も説得もねぇだろ?」


確かにネロ君の言う通りだね。
戦わずに済むって言うなら、確かに其れに越した事はないけど、説得と交渉は凄く難しい事――犯人グループは一体どんな要求をしてるんでしょうか?


「……逃走用のヘリを1台と、現金10億、そして万が一の人質として管理局員を連れて来るように言っているな。」

「Ha!マッタク大した奴だ!イカレテルにも程があるぜマジで。
 だけどな、そんな奴等を相手に交渉と説得で何とかしようとしてる、アンタが一番イカレテルんじゃないのか?
 そんな打っ飛んだ奴との交渉なんざはなっから成り立つはずがねぇ――一歩間違えば、犯人は人質にした職員や客を殺し掛けない状況だぜ?」


実際、交渉に当たってる人に対して、半分怒りながらまくしたてる犯人グループが何時限界を超えて『見せしめ』を行うか分かったモノじゃないか――

だったらやる事はただ一つだね!!

「最早交渉と説得の余地はありません。――此れより、第97独立機動小隊は、銀行内部に突入し犯人グループを確保します。
 よって、交渉役のネゴシエーターは速やかに撤収させてください。」

「ふ、ふざけるな!!後から出て来て偉そうに!!
 この事件は私の担当だ!故に指揮権は私にある!!18歳の小娘が……二尉風情が、二佐である私に対して命令する気か!!!」


……私の小隊に特権的に認められている権利は御存知ですよね二佐?
第97独立機動小隊は、現場に於いて通常の指揮系統には組み込まれず、小隊長は現場で作戦の立案と其れに基づく指揮権を得ると言う権利は。


「ぐぐぐ……だが、突入などして大丈夫なのかね!?
 犯人は質量兵器を有した凶悪犯だ!!人質が殺されでもした場合は如何する心算だ!!一歩間違えれば管理局の権威は地に落ちるのだぞ!!!」

「るせぇオッサンだな?良いから黙って見てろ。
 アンタの細々したメンドクサイ作戦よりも、相手の本質を見抜いた上でのなのはの作戦の方が万倍効果があるって現実をその目に焼き付けとけよタコ。
 それに、さっき階級が云々言ってたが、俺に言わせてもらえば、なのはの3割にも満たないその実力で、偉そうな事は言ってほしくないぜ。」

「小僧――!!」

「Ha、事実だろうが。」

「確かにネロの言う通りよ二佐閣下?
 相手は思考がふっとんだ危険人物……戦わずに済ませようと言う考えは間違っていないけれど、其れは時と場合によるでしょう?
 しかも、私達に出動要請があったのが貴方達が現場に到着してから10分、其れから私達が準備を整えて此処まで来るのに約13分。
 貴方達が到着した直後から説得を開始したとして23分が経過してる訳だけど、その間に少しだけでも状況は進展したのかしら?」

「ぐ……だが、犯人グループを此方に釘付けにする事は出来ている!!
 この状態を維持できれば、投降させる事も出来るかもしれんだろう!下手に突入して被害者を出したら責任を取れるのかね!!」


――そうなったら私に首輪でも付けて、死ぬまで管理局で飼い殺しにすれば良いじゃないですか。
レティさんから状況を聞いた時から、犯人グループに対して説得は無理だと直感したけど、現場に来て其れは確信に変わったの!

これ以上交渉を続けても、其れは犯人の神経を逆なでする行為でしかない――そうなったら、其れこそ被害者が出るなんて事になりかねないでしょう?

此処は突入して強引に犯人を確保するのが上策ですよ?


「ぐぐぐ……だが、だとしても相手の注意を引きつける役目が必要ではないか!!」

「だーってろオッサン、なのはがそんな事も考えないで突入を決めたと思ってんのか?
 既に俺達が突入するための下準備は出来てるって事なんだろなのは?――久遠が居ないのもそのせいだよな?」


ネロ君正解♪
既にくーちゃんが『子ぎつねモード』で銀行の内部に潜入してるからね……後は合図を待つだけだよ?


「!!貴様……最初から現場を乗っ取る心算で!!!」

「人聞きが悪いですね……最善の方法を選択しただけです!
 私達が一番に考えるべきは市民の安全――其れを真に考えたら、隊員を内部に潜入させて状況を探り、その上で最善の策を成すのは当然ですよね?」

一部隊を率いておきながら、そんな事も分からないと言うなら、今すぐ辞表を提出してください。
こう言うのは好きじゃないんですけど、階級にしがみついて、更に出世だけを望む人は管理局には必要ないんです!!


「つ〜訳だ……アンタは其処で見てろよオッサン。」

「貴様……まぁ良い、『問題児小隊』がどれ程のモノか、見せて貰おうではないか!!」


ふふ……問題児ほど結束して時には強いって言うのを教えて差し上げるよ二佐閣下。

《くーちゃん、状況は如何?》

《犯人グループの人数は5人――1人だけ2m以上の大男が居るけど、大した事はないと思う。
 リーダー格にバインドを掛けたら狐火を出すから、一気に突入してね?》


了解!頼りになるねくーちゃん♪



「オラァ!さっさとこっちの要求に応えやがれ!!
 あと5分以内にヘリと現金と管理局員用意しなかったら、人質を全員皆殺しにするぞこら!!!――って、なんじゃこりゃぁ!!!????」


――!!如何やらくーちゃんが巧くやったみたいだね!!
第97独立機動小隊……ミッションスタート!!1人の犠牲者も出す事なく、犯人グループを確保せよ!!


「Ha……ぶっ飛んだパーティの始まりだ!!――Let's rock!!(派手に行くぜ!!)」


派手にか――其れ乗った!!
ネロ君が加入してから初めての任務だから、精々弩派手に決めようか!!レイジングハート!!


『マッタク貴女と言う人は……ですが、異論はありません!!ぶちかまします…Divine Buster!!』

ディバイィィィィン……バスタァァァァァァァァァァ!!!!

さて、話題の『問題児小隊』に新たな武勇伝を加えるとしようかな!








――――――








Side:ネロ


なのはのディバインバスターを合図に突入したが――思った通り、強行突入を選択して正解だったぜ……!!
痺れを切らした犯人グループは、まだ小さい女の子を見せしめに殺そうとしようとしてたところだったらな――なのはの判断が10秒遅かったらヤバかった。

取り敢えず、その子に銃口を押し付けてたクソッたれを真っ先にブッ飛ばしてやったが――弱いなコイツ等。


人殺しの道具を持ってるくせに、そのクセいざとなったら俺達に銃口を向けるのを躊躇ってやがるからな。
ったく、覚悟もなく武器を手にするってんだ――ほらほら如何した?そんなに震える手じゃ、俺には弾丸が掠りもしないぜ?もっと良く狙えよな?


「ば、化け物が!!」

「化け物ね……まぁ、こんな右腕だから否定はしないが――人の心を失ったアンタに言われたくねぇよ。」

私利私欲で平和に暮らしてる人達を危険に曝しやがって……覚悟は出来てるだろうなクソが――!!



なのは、コイツ等は殺しは御法度でも『死なない程度にぶちのめす』のはOKなんだよな?


「OKだよ?レティさんも『人質の無事解放が出来れば、犯人グループは多少過激にやっても構わない』って言ってたからね?
 ――分かり易く言うなら『犯人を確保しろとの事だが、別に倒してしまっても構わんのだろう?』って言うやつだね――なので、全軍突撃〜〜〜!!!」

「「「「「「「イエス・ユア・ハイネス!!」」」」」」」

「了解!――さぁて、だ〜〜〜れを暗殺術で嬲ってあげようかしらねぇ………」


ドゥーエ……アンタそれ絶対に逮捕する側のセリフじゃねぇよ!?


……あ〜あ、なのはの笑顔と、今のドゥーエの一言で縮み上がってやがる…こりゃ楽勝だな。



「グへへへへ……そう思うかい兄ちゃん?」

「思ってるぜ?……切り札がお前みたいな『木偶の坊』って時点で、俺達の相手じゃないからな?」

「ガキが……捻り殺してやるぜ!!」


やってみろよ『ウドの大木』が!!
幾ガタイが良くたって、見せかけだけじゃ俺には勝てないぜ?――そもそもにして、ダンテって言うチートを知る俺には、お前如きなんぞ雑魚以下だ!!


「小僧……死にたいようだな?――ならば望み通りにしてやる!!」

「んな見え見えのフックを喰らうかよ!!」

寧ろそんなモーションの大きい攻撃は、カウンターバスターの良い餌食だぜ!!――取った!!



――ガシィィィ!!



「!!?」

「覇ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……Go down!!(落ちろ!!)


――ドッゴォォォン!!!


Too easy……楽勝だな。



アクセルシューター!!

クレセントスラッシャー!!


――ドガァァアッァァァン!!


――ズバァァ!!!


なのはとドゥーエも全力だな……流石は小隊長と副小隊長様だ――あの2人の実力は小隊の中でも群を抜いてるのは間違いないぜ。
デビルトリガーを発動すれば俺が絶対に勝つだろうが、デビルトリガーを発動禁止にされた状況だったらどうなるかは分からない…多分五分だろうな。


まぁ、其れは其れとして、今の一撃で犯人グループは総崩れだ!!このまま一気に畳みかけるぜ!












――只今、阿鼻叫喚の『地獄絵図』が絶賛展開中だから、少しだけ待っていてくれ。












「犯人グループ全員確保!!」

「「「「「ちにゃ〜〜〜〜ん……」」」」」



で、5分後、実に見事に犯人グループ全員を確保か……本当にドレだけなんだろうなこの部隊は?
今回は数で勝ったが、多分相手の方が数が多かったとしても結果は変わらなかっただろうな――間違いなく俺達が勝ってたぜ。



何とも惚れ惚れするほどの結果だななのは?



「だね――だけど何だろう……このまま終わるとは思えないんだよね?」


なのはもか?――実は俺もそうだ。
この事件がこのまま終わるとは思えない……俺達が出撃した以上、此れで済むとは思えないんだが――



――ヒィィィィィン……


やっぱり来やがったが―――!!


「ネロ君、その右腕は!!!」

「悪魔が近づいてるって事だ!!――来るぞ!!」




――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!


――バシィィィ!ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……バガァァン!!



「「「「「「「「「「キシャァァァァァァァァ!!」」」」」」」」」」

「「「コォォォォォォォォ!!!!」」」

「ギシャァァァァアァァァァァァッァァァァァァ!!!!!」




!!!アサルト10体に、フロストが3体――更にはブリッツまでだと!?中級レベルがこんだけの徒党を組んでくるとは…やらかしやがったなピエロが!


なのはの小隊だったら負ける事はないだろうが、だが其れでも面倒な相手である事に違いはねえ―――



「「グオォォオォォオオオォォォオォッォオォオオォォ!!!」」


って思ってたところに更に2体のサイクロプスとは……歓迎が凄過ぎて恐縮しちまうぜ………尤も、コイツは頼んでもいない押し売りサービスだがな。





良いじゃないか……やってやるぜ!!
お前等悪魔は一匹残らず刈り倒してやる――俺の右腕はその為に在るんだからな!!


――精々、足掻けよクズ共!今、この場で叩き潰してやる!!!


さて…イカレタパーティの第2章が始まりだぜ!!!








――――――









Side:ジェスター


きひひっひ……コイツは思った以上だぜ!!
悪魔のぼーやと、トンでもない力を有した亜麻色の髪の嬢ちゃんには特に気を付けないといけないから少しばかり手強いのを用意してやったぜ〜〜!。


キシシシシ……だけどこいつは面白いと思わないか?



悪魔のぼーやと、亜麻色の髪のお嬢ちゃんが、アイツ等を相手にどれだけできるか見せてもらおうじゃないのよ?
其れからそいつ等の後に控えてる奴等に対してなぁ?


キッシシシシ……約束通りの1年だ!!――精々俺っちの暇つぶしの糧になってくれよ、悪魔のぼーやと亜麻色の髪のお嬢ちゃんよ〜〜〜!!!!


コイツ等と、更に後に控える上級レベルを相手にどれだけ戦えるか、精々見させてもらうからなぁ〜〜〜!!


キシシシシ……いひゃひゃひゃひゃ!!!何とも楽しい事になりそうだぜ〜〜〜!!


精々頑張んな、悪魔のぼーやと亜麻色の髪のお嬢ちゃん?

ジェスター楽しい事をマダマダ用意してるからさ〜〜〜……此処でくたばっちまうのだけは無しにしてくれよ〜〜〜ん?




ま、取り敢えずは俺っちの用意したパーティを、精々力一杯楽しんでくれよなぁ!!あ〜〜〜〜ヒャヒャヒャヒャヒャハ!!!!












 To Be Continued… 




現場の指揮官がちょっとあれだったけれど。
美姫 「その辺は特権のお蔭で助かったわね」
だよな。本当に数秒の差で危ない所だったし。
美姫 「強盗の方は予想以上にあっさりと片付いたけれどね」
強盗の中に悪魔が居るかと思ったんだけれど違ったな。
美姫 「上級悪魔まで用意したみたいね」
更にまだあるみたいだけれど。
美姫 「一体どうなるのか、目が離せないわね」
うんうん。次回も待っています。
美姫 「待ってますね〜」
ではでは。



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る