Side:なのは


独立機動小隊とは言っても、何も事件が起きなければ基本的に出動する事はないから平時は意外と暇だったりするのが現実。
まぁ、私達が出動するような事態何て言うのは無いに越した事は無いんだけどね――出動が無ければ無いで、全力全壊のトレーニングをするだけだし♪


ジェスターの方も、私達が出動しなければ悪魔を呼び寄せる心算はないのか、ここ最近は悪魔の襲撃はない……ある意味不気味だけどね。



で、そんな平穏無事な中で、私はレティさんに呼び出された訳だけど……

「昇格……ですか?」

「えぇ、ここ1年の貴女の働きを考えると、1階級昇進して『一等空尉』にならないのはオカシイくらいよ?
 尤も独立機動小隊の隊長と言う立場から佐官には昇格させられないのだけど――尉官の最高地位になる気はないかしら?」


一等空尉――私が身を置く尉官の最高位……
確かに昇格すれば色々権限は増えるけれど……良いんですか?

「確かに自分としても頑張って来たとは思いますが、私に一等空尉――一尉の資格はあるんでしょうか?」

「勿論よ……と言うか、貴女が一尉になって居ないのがオカシイくらいだわ。
 貴女の友人であるフェイトさんは既に一等空尉となっているし、はやてさんに至っては佐官にまで上り詰めているのよ?
 其れであるにも拘らず『エース・オブ・エース』の称号を持つ貴女が、同期3人の中で一番階級が低いと言う事の方が寧ろ問題と言えるのよ……
 『エース・オブ・エースが二等空尉のままと言うのはオカシイ』って言う意見も現実にあったしね……ある意味でこの昇格の話は色々と都合が良いわ。」


成程……意外に有名みたいですからね私も。
その有名人の階級は、最低でも尉官の最高位にしておきたいと言う事ですか……分かりました、その昇格の話は謹んでお受けさせて頂きます。
一等空尉の名に恥じないよう、此れからも日々研鑽を積んでいきます。


「ありがとう。
 それと、其れとは別に第97独立機動小隊には、明日から1週間の休暇を取って貰うわ……そろそろ休暇を取って貰わないと面倒な事になるし……」


あ〜〜〜……休暇を取ってない事に難癖付けて来る人が居ますからねぇ……ま、そっちもありがたく拝領しますよ♪
丁度、そろそろ一度地球に帰っておいた方が良いかなぁと思ってましたし、ある意味でタイムリーですよ?隊員の皆にも良い休暇になってくれる筈です。




あれ?そう言えば1週間も休みになったとしてネロ君は如何するんだろう?
ネロ君は此処とは違う世界から来た訳で、帰省っていうのも無理な訳で………ん〜〜、此れはちょっと誘ってみようかな?














リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission21
『帰省〜Return to Home〜』











Side:ネロ


なのはが昇進して一等空尉になった……其れは良いんだが、其れを祝しての宴会は、幾ら何でもアレはやり過ぎだ。
祝うなとは言わないが、焼き肉店を借り切るか普通!?まぁ、俺も大層食わせて貰ったからあんまり言えないが。因みに俺はタレよりも塩の方が好きだ。

因みに、隊員の中には二十歳を過ぎてる奴等も居るから酒も出て来たんだが……なのはとドゥーエへの一杯を阻止した俺は悪くない。
俺もオッサンに勧められて、興味もあったから飲んだ事はあるが――アレはヤバイ。

オッサンの好物がジンやウォッカってのもあるんだろうが、アレは人の飲み物じゃないだろ!?一口飲んだだけで視界がグルグル回っちまった。
おまけに思考も霧が掛かってハッキリしなかったし、足元もおぼつかなくなってたな……


オッサンが言うには『一口飲んだだけでソファーに突っ伏した』って事だが……そんなモンをなのはに飲ませられるかよ!!
つーか、一応法的には此処では二十歳未満は飲んじゃ駄目なんだろ!?なのに普通に飲ませようとするなってんだ、マッタクよぉ………


結果的に実害はなかったから良いが……寧ろ俺的には、此れからの1週間の休暇の方が問題と言えば問題だな。
この世界から見たら、平行世界からであるフォルトゥナから飛ばされてきた俺には、長期休暇だからと言って帰るような場所もない。

だからと言って1週間をミッドの娯楽施設をフル活用して過ごせと言われても、其れは無理だと断言できるぜ?……施設は多いが種類は少ないからな。
娯楽の種類が少なければすぐに飽きちまうからなぁ……ギターの1本でも買っとけば、適当な演奏で暇も潰せたんだが……結果論は言っても仕方ねぇ。

この1週間をどう過ごすかを考えないと――



――コンコン……



ん?……誰だ、鍵は開いてるぞ?


「え〜っと、私、なのはだよネロ君♪……入っても良いかな?」

「なのは?……あぁ、別に構わないぜ?」

「それじゃあ、おじゃまします♪」

「おじゃましま〜〜〜す。」


久遠も一緒だったのかよ?

…何か用か?生憎と俺の方は、1週間の休暇をどう過ごすかを思案中なんだが……


「そうだったの?……だったら此れはある意味でタイムリーかも知れないね♪」

「タイムリー?」

「うん。
 今度の休暇なんだけど、もしも特に予定がないなら、私達と一緒に『地球』に行かない?私とくーちゃんは久々に戻る予定なんだ?」


地球に?
まぁ、確かに現段階で、何か予定があるって事でもないが……如何して俺を?


「ん〜〜〜……何て言うか、ネロ君は所謂平行世界からやって来た訳で、ストレートに言うなら休暇でも帰る故郷は無い状態でしょ?
 で、そうなると1週間もの休暇をどう過ごすか悩んでるんじゃないかな〜〜と思って、だったら一緒に地球に行って海鳴を観光って言うのもどうかなと。
 あ、勿論海鳴の街は私と――まぁ、私の友達とで案内してあげるから安心してね?」

「……ある意味で、完全に俺の思考読んでるよな君は…」

だけど良いのか?
実際なんの予定もなかっただけに、そいつは有り難い提案なんだが――なのはだって予定はあるんだろ?
俺にウミナリって所を案内するってなったら、なのは達の予定は丸潰れになっちまう気がするんだが……そいつは流石に気が引けるぜ?


「大丈夫、本当に久しぶりに帰省するだけで、向こうでの予定は特に立ててなかったからね。
 それに、出来れば一緒に来て欲しんだ?……私の家族にネロ君の事紹介したいからね♪」


……うん、この場にダンテが居なくて良かったと切に思う。
ダンテが居たら絶対に『Ha-ha!大胆だな嬢ちゃん、未来の旦那の紹介かい?』とか言ってからかって来るに違いないからな……容易に想像できるぜ。


ま、なのはの事だから純粋に『新しいお友達』として紹介する心算なんだろうな。


そう言えば、こんだけ遠慮なく付き合える異性ってのは居なかったな?
キリエは姉さんみたいなもんだから兎も角として、レディやトリッシュは向こうが一方的に遠慮がないだけで対等な関係じゃなかったし……年下は辛い。

そう言う意味では、マッタク同い年の異性の友人てのはなのはが初めてかもしれないな――コイツも存外悪いもんじゃないけどな。

「OK、そう言う事なら有り難くそのお誘いを受けさせてもらうぜ。向こうでは宜しくな、なのは、久遠。」

「うん♪」

「任せて〜〜♪」


しかしアレだな……何と言うかこう、久遠は見てて癒される。きっと妹とか居たらこんな感じなんだろうな……

時になのは、グローブか何かあるか?
流石に地球でこの右腕を曝すのは問題ありだろ?


「そう思って、肘から下を隠せるレザーグローブを借りて来たよ?此れなら隠せるよね?」

「サイズは……ピッタリだな。」

此れなら大丈夫だ。
こっちでは受け入れて貰えたが、魔法とかその他の事が発展してない地球じゃ、俺の右腕は異端そのものだからな――隠しとくに越した事はないぜ。


ま、取り敢えず明日からの1週間は楽しむとするか。








――――――








Side:ジェスター


キシシシシシシシシ……いっや〜〜、本気で悪魔の坊やとお嬢ちゃんが悪魔相手に大立ち回りするのは見てて飽きないぜ。
アーカムの奴とつるんでた時は、奴さんが色々画策してたせいでオレっちは其処まで楽しめなかったんだが、此処ではそんなの関係ねーからな?

次に何か事件が起きた時には、此れ前よりももう少し派手に行ってみるか!

その為にもあの2人の予定とかは覚えとかねぇとな?
ドンだけのセキュリティでもオレっちには無意味だから、あの2人の予定を閲覧するくらいは何て事ない………と、コイツだな?

「……うそん、此れってマジか!?
 あの嬢ちゃんが隊長を務めてる小隊は明日から1週間の休暇!?で、嬢ちゃんは故郷に帰省の予定って……そりゃないぜ!?」

休暇って事は何かあっても坊やと嬢ちゃんが出動するって事はないって事で……つまりはオレっちは1週間は退屈を持て余すのかよ!?
幾ら何でもそいつはキツ過ぎるだろ〜〜〜〜〜!!1週間と言わずに2〜3日の休暇で終わらせてくれよ〜〜〜退屈で死んじまうって〜〜〜!!!



ちっくしょう、コイツは何処かで弩派手な遊びをかまさないと満足できそうにないかも知れないぜぇ?
ま、そうなったらそうなったで、多分オレっちは楽しめるだろうからある意味で結果オーライか?……とは言っても1週間は長いよなぁ?


仕方ねぇ、一度魔界に戻って、グリフォンとファントムでも炊きつけて派手に喧嘩でもして貰うとすっか……其れも面白そうだしな。








――――――








Side:ネロ


翌日、俺達は転送ポートを使ってこの世界の地球に来たんだが……ダンテが言ってたジャパンの街並みとあんまり変わりはない印象だな?
平行世界とは言え文化レベルに差はないって事か……


「此処が私の故郷の日本の海鳴市だよ♪」

「良い場所じゃないか?
 結構大きな街みたいだが、適度に自然も残ってるし空気も澄んでる――初めて来た俺にも分かるぜ、此処が良い街だって言う事くらいはな。」

願わくばフォルトゥナもこうなって欲しいもんだ。


さて、先ずは何処に連れて行ってくれるんだ?


「其れなんだけど、ミッドと海鳴だと結構な時差があるから、海鳴はもう午後2時を過ぎてるんだ?
 だから今日は家に帰って、観光案内は明日からって事になるんだけど良いかなぁ?」

「時差じゃ仕方ないだろ?」

て事は先ずはなのはの家族と御対面て事か……何となく、なのはがアレだから家族も普通じゃない気がするんだが…多分気のせいだよな?

事前に実家は喫茶店をやってるってのは聞いてたが……果たしてどんな場所なのか……

取り敢えず挨拶済ませたら、こっちでの1週間を過ごすためのホテルを探さないとだな。




「到着〜〜♪此処が私の実家兼喫茶店の『翠屋』だよ♪」

「いらっしゃ〜〜〜い?」


何で久遠は疑問形なんだよ?
まぁ、如何でも良いが――其れほど大きい店じゃないが、何となく良い感じの店だな?……実は結構流行ってたりするのか?


「正解♪
 自慢じゃないけど、翠屋は地元紙や雑誌にも掲載された事が有って、市外や県外からも訪れる人が多い、ちょっとした海鳴のスポットなんだよ♪」

「そいつは凄いな。」

其れだけの店の経営者がなのはの両親――少しはオッサンにも見習ってほしいぜ。
個人経営の店を営むなら、経営の仕方を考えろってんだマッタク……表向きは便利屋を掲げてるんだったら、悪魔退治以外の仕事を断るなってんだ。

しかも借金塗れのくせにピザとストロベリーサンデーに散在するってんだから救えねぇ……こうして考えると完全にダメ人間だよなダンテって……


「ネロ君、如何かした?」

「いや、ダンテの野郎になのはの両親を見習ってほしいと思っただけだ……」

「?良く分からないけど……取り敢えず――ただいま〜〜、お父さん、お母さん!!」

「ただいま〜〜〜〜♪」


「なのは!!おかえりなさい〜〜〜、待ってたわ♪」

「帰ってくるのは随分久しぶりだからね……首を長くして待ってたよ。」


この人達がなのはの両親か――って、ちょっと待て両親!?姉と兄じゃなくて!?
なのは、本当にこの人達が君の両親なのか!?俺には如何見ても兄と姉にしか見えないぜ!?此れで40過ぎとか冗談だろ幾ら何でも!!!!


「ほえ?本当だよ?高町士郎と高町桃子……紛れもない私の両親だよ?」

「有り得ねぇ……ダンテですら40間近で結構なオッサンだったてのに、この2人は20代後半の見た目とか絶対オカシイだろ!!」

其れとも何か?この世界の奴等は不老とでも言うのか!?
思い返せば、レティの奴も大凡アラフォーとは思えない見た目だったからなぁ!?……本気でどうなってんだよ……


「不老って……お母さんとお父さん、更にお姉ちゃんを見ると一切否定できないね其れは。
 っと、紹介するねお父さん、お母さん!ミッドで新しく友達になったネロ君だよ。」


「あら貴方が……どうも、なのはの母の高町桃子です♪」

「君が……成程、確かに腕は立ちそうだな……
 んん……なのはの父の高町士郎だ、娘が随分とお世話になってるようだね?」


ネロだ。
世話って……寧ろ世話になってるのは俺の方だ――何かと気に掛けてくれるから色々助かってるよ。

其れにだ、なのはは俺が所属する小隊の隊長さんだぜ?
だったら部下として隊長をサポートしてやるのは当然の事じゃないのか?…サポート出来てるかどうかは微妙だけど、出来る限りの事はしてる心算だ。


「ふむ……その若さで中々の力だねネロ君?……その実力は恭也をも上回るか……

「自慢じゃないが、こう見えても其れなりの修羅場を潜ってるんでね。」

其れを初対面で見切ったアンタも相当だけどな?
なのはの親父さんは、若しかしたらデビルトリガー発動してないダンテとなら互角に戦えるかもしれないぜ……って、其れはドンだけのチートキャラだ!?

いや、なのはの親父さんなら若しかしたら………考えるの止めとこう、頭痛くなって来たぜ……


っと、そうだなのは、この辺に安く泊まれるホテルってあるか?


「ホテル?有るけど何で?」

「何でって……1週間もこっちに居るんだから寝泊まりする場所くらいは必要だろ?
 其れとも何か?1週間は野宿しろって言うのかよ?」

「そうじゃないよ?
 別にホテルに泊まらなくたっていいんじゃないかな?……私の家に泊まれば良いんじゃないかと思うんだけど?」


は?……何言ってるんだよなのは?
幾ら君の友達って紹介したとしても、初対面の得体の知れない男を自分の家に泊めるなんて事は――


「あら〜〜、其れはグッドアイディアねなのは♪」

「もう少ししたら美由希も買い出しから戻って来るだろうし、久しぶりに大人数で楽しくなりそうだねぇ♪」


有った!?てか普通に承諾したって本気かオイ!!
少しは怪しいとは思わなかったのかよ!?自分で言ってりゃ世話ないが、銀髪蒼眼の右腕グローブ野郎なんぞ怪しさ大爆発じゃ済まねぇと思うぞ俺は!



「大丈夫よ〜〜、何よりもなのはが信頼してるみたいですもの。
 其れに、こう言う接客ありきの商売を続けていると、自然と人を見る目と言うのは育つモノよ?
 その経験が『ネロ君は危険じゃない』って告げているんだから、貴方は絶対に大丈夫な筈でしょう♪」



そう来たか……ったく参ったね。
なのはと親御さんとの信頼関係は、計り知れないレベルって事か……少しばかり羨ましいぜ……俺には親が居ないからな。



だけど、そうまで言われたら此処で拒否するのはかえって無礼になるよな?
なら有り難く泊まらせてもらうさ――ホテル代も浮いて助かるし……取り敢えず、1週間世話になるぜ?


「うん、大歓迎だよネロ君♪」

「ご宿泊〜〜〜♪」

「ゆっくりしていってね?」

「部屋は……恭也が使ってたのを使って貰えば良いかな?今は空き部屋だし。


ったくどいつもこいつも……だがこのノリ自体は嫌いじゃない。
ま、海鳴観光にも興味はあるし――取り敢えず1週間の間だけだが、世話になるよ――取り敢えずこの休暇は、退屈だけはしないで済みそうだぜ。














 To Be Continued… 




一週間の休暇を取る事になったみたいだが。
美姫 「流石に魔法に関係ない世界だから、ジェスターも仕掛けてこないみたいだしね」
本当にゆっくりとできそうだな。
美姫 「実際にゆっくりできるかどうかは分からないけれどね」
ネロと桃子たちとの対面は問題なく済んだし。
美姫 「初日は問題なさそうね」
次回がどうなるのか、楽しみです。
美姫 「次回も待っていますね」
ではでは。



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