Side:なのは


あふ……もう朝になったの?……時差のせいでミッドよりも少しだけ早い感じがするなぁ?
此れが時差ぼけって奴なのかな?……まぁ、私はミッドでも非番の日は早起きしないタイプだから、少しばかり緊張が解れてちょっとだけお寝坊さん?

まぁ、およそ1年ぶりの実家だし、ほっとするのは仕方ない事だよね?
昨日の夜も、大層盛り上がって、ネロ君も楽しんでくれたかなぁ?……楽しんでくれてたらいいなあ♪


時刻は6:30……お父さんとお母さん、其れにお姉ちゃんは間違いなく起きてるだろうけど、ネロ君は如何だろう?
何時も早起きして自己鍛錬してるみたいだけど、休暇であっても其れは変わらないのかな?………と言う事は若しかしたら道場にいるかも知れないね。


『その可能性は極めて高いと言えるでしょう……尤もお父上やお母上に確認を取るに越した事はないと思いますが?』


だよね?
道場に行くにしても、空振りだったら意味ないけど、お父さんとお母さんなら多分ネロ君が起きているか否かは分かる筈。
でもって、起きてるなら何処で何をしているのかだって多分知ってるよね?――ネロ君が道場を使ってる事前提だけど……取り敢えずリビングに行こう。



「おはよー、お父さん、お母さん♪」

「あら、おはよう、なのは♪」

「おはようなのは、昨日は良く眠れたかい?」


其れはもう♪
ところで、ネロ君は?あてがった部屋の扉をノックしても一切返答がないんだけど、何か知らないかなぁ?


「あぁ、ネロ君なら『トレーニングをしたい』って言っていたから道場の場所を教えてね――今頃は美由希と模擬戦をしているかもしれないね?」


……模擬戦て…言っちゃ悪いけど、お姉ちゃんでもネロ君に勝つ事は出来ないと思うなぁ?
純粋に剣士としてのお姉ちゃんは確かに強いんだけど、ネロ君は存在が反則と言うか…道場が吹っ飛んでないと良いんだけど…多分大丈夫だよね?














リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission22
『休暇〜Have a Break time〜』











と言う訳で早速道場に来た訳なんだけど――まさか此処までとは思わなかったよ?

道場の中では、二刀小太刀を装備したお姉ちゃんが、木刀1本のネロ君に対して手も足も出ない状況になって居た。
ハッキリ言ってお姉ちゃんは間違いなく強い……其れこそ、今ならお兄ちゃんと互角の勝負が出来るレベル――つまりは最強クラスなんだけど…………


Eat this!!(喰らえ!!)


ネロ君の敵じゃないのは明らかだね。
閻魔刀とデビルトリガーを封印した上で、左手1本でお姉ちゃんを圧倒するなんて……凄いねネロ君♪



「……Yes I'm Won!(俺の勝ちだ!)」

「文句の受けようがない位に貴方の完勝よネロ君……うぅ、一番得意だった小太刀二刀流が通じないとなると流石にへこむわぁ……」


ま、まぁネロ君は色々規格外のある種のバグキャラだから其れに突っ込むのは無粋と言うか何と言うか……突っ込むだけ徒労だよね?

「おはよう、お姉ちゃん、ネロ君♪」

「あっ、おはよーなのは♪」

「あぁ、おはようなのは。」


2人とも朝から精が出るね〜〜?まぁ、トレーニングを怠らないのは良い事だと思うけどね。
可也打ち合ってたみたいだけど、ネロ君は如何かなお姉ちゃん?


「自己流って言ってたけど、此処まで自分のパワーを前面に押し出された剣の攻撃は私じゃ捌ききれないかな?恭ちゃんでも難しいかもしれない……」

「凄いでしょ?私と同い年だけど、多分実力はもっと上――今の模擬戦でだってネロ君は本気は出してなかったからね……」

「えぇ!?アレで本気じゃないの!?……ネロ君恐るべし………!!」


右腕とデビルトリガーは封印してたみたいだからね……と言うか其れを使ったら、お姉ちゃんはおろかお兄ちゃんとお父さんも瞬殺される筈だもん。
尤も、右腕をグローブで覆ってるからネロ君がこっちで『悪魔の右腕』を使う事は先ず無いと思うんだけどね。
……デビルトリガーと右腕の事はまだ内緒だけど。



「其れよりもそろそろ朝ごはんだから、ここらでお開きにした方が良いよ?
 特にお姉ちゃんは、朝ごはんの前にシャワー浴びた方が良いと思うんだけど…汗でシャツが身体に張り付いてるよ?」

「えぇ!?……夢中になってて気付かなかったわ……!!」


と言う訳だから、速攻でどうぞ。
ネロ君は碌に汗もかいてないだろうからこのままリビングに案内するからね〜〜♪


「……何と言うか、凄いななのはの家族は?
 確かにデビルブリンガーとデビルトリガーは封印して戦ったが、正直言うと左腕一本で美由希と戦うのは、存外きつかった……中々の剣士だったぜ?
 だからと言って負けてやる心算は毛頭ないし、逆に美由希から色々と盗ませて貰ったけどな。」

「なはは……ネロ君は本当に『強くなる事』に貪欲だね?」

「強くなきゃ大事なモノを護る事は出来ないだろ?……其れはなのはだって同じなんじゃないのか?」


まぁね。
大事な何かを護る為に強くなる事は間違いじゃない。大切なのは何の為に強くなるのかを忘れない事だよ?
何の為に高めた力なのかを忘れて、力を揮ったら其れは只の暴力。故に力を持つ者は力の意味を忘れてはならない…此れ、お父さんの教えだよ。


「至言だな。只の暴力には何の意味もない。
 俺もフォルトゥナでの事件の時に、怒りに任せてデビルトリガーと閻魔刀をぶん回した事があったが、あっさりとダンテに止められちまったからな…。
 んでだ、話は変わるけど、なのはの家族の感覚ってどうなってるんだ?」

「ほへ?何かあったかなぁ?」

「何かって……昨日だって俺が此処に泊まる事アッサリ了承しただろ?
 序に言うと、ディナーの時に色々な事――特に右腕の事を聞かれるんじゃないかと思ってたが其れもなし。
 うっかり漏らした一言から俺に家族が居ないと知るや、桃子も士郎も『だったらネロ君もウチの家族になればいい』とか言う始末ってオカシイだろ!?
 ドンだけフリーダムなんだこの家は!?警戒心とかないのか!?其れとも何か、この世界に於いては俺の感覚の方がオカシイのか!?」


あ〜〜〜……まぁ、ウチも色々だからね?
そもそも、私とお姉ちゃんは血が繋がってないし、今此処に居ないお兄ちゃんと私も半分しか血は繋がってないんだよ。

で、その他にも家族同然に付き合ってる人達が大勢居るしね?
血の繋がりとかはあまり関係ないんだよ高町家に於いては――だから、割と初対面の人でも『悪い人』じゃなければ受け入れる傾向にあるんだ。


「結構複雑なんだななのはの家も……」

「私はこの家を気に入ってるけどね♪」

さてと、そろそろ私達もリビングに行こうか?朝ごはんが出来てるだろうしね。
因みに今日の朝ごはんは、さっきチラッと見た限りだとネロ君は喜んでいいと思うよ?


「と言うと?」

「今日の朝ごはんは、ご飯に、豆腐とわかめとなめこのお味噌汁。
 更に納豆とアジの開きに胡瓜と白菜の浅漬けと言う純和食のメニューですので♪ネロ君和食好きでしょ?」

「I'ts Great!(そいつは最高だな!)」


昨日の内に、お母さんに『ネロ君は和食が好き』って伝えておいたのは正解だね♪


さてと、今日はネロ君と海鳴観光だからシャキッとしないとね!アリサちゃんとすずかちゃんも一緒だからきっといい観光が出来るよね♪








――――――








Side:ネロ


美味かった……今日のブレックファーストを一言で言うなら其れに尽きるだろうな。
管理局の食堂のレベルも高かったが桃子の料理はそれ以上なのは間違いない――と言う事はつまり、なのはの料理の腕も凄いって事だろうな。


其れは其れとして、今日はウミナリを案内してくれるって事だが……


「あ、居た居た!アリサちゃん、すずかちゃん久しぶり〜〜!!


「なのは!本気で久しぶりね〜〜〜!!電話ではちょくちょく連絡取ってたけど、実際に顔合わせるのは…え〜と……」

「中学卒業以来だから3年ぶりだね?」

「えぇ!?もうそんなに経つんだ……!!」


この金髪と長髪が一緒って事だよなぁ?
なのはの態度から察するに、恐らくはなのはの古い友人だと思うんだけど……良ければ紹介してくれないか?


「あ……えっと、此方はアリサ・バニングスちゃんと月村すずかちゃん。今日の海鳴観光を手伝ってくれる人で、私の幼馴染で大親友だよ♪
 で、アリサちゃんとすずかちゃん、此方はネロ君、私のお友達でミッドでは私が隊長を務める小隊のエースだよ♪」


ネロだ、宜しくな……って、如何したんだ2人とも?


「な、なのはが……」

「なのはちゃんが………」

「「彼氏を連れて来た!?」


待てコラ何処をどう解釈したらそうなる?
なのはは1週間の休暇で特に予定のない俺を誘っただけで他意は無いし、今の説明で何をどうやったらその答えに行きつくかの方が俺には謎だ!!!


「はぁ?何言ってんのよアンタ!!
 なのははアレよ?ソロソロ付き合いが10年になるユーノにですら『お友達』感覚なのよ?
 そのなのはが男同伴で帰省したって、其処に何かあるって考えるのは人の常であり、ある意味で常識でしょうが〜〜〜〜〜!!!」


ない!何もない!!
俺となのはの関係はあくまでも上司と部下であり、それ以上でもそれ以下でもない!!天地神明に誓ってそう言いきるぜ俺は!!!

「なのはも何とか言ってやれよ?」

「ネロ君が私の彼氏?……此れは確かに悪くないかもしれないね?
 って言うか、ユーノ君と比べたらネロ君の方が1000倍男らしいし、何より強いし………此れってもしかして優良物件?」


OK、少しばかり落ち着けなのは。
何を混乱してるかは知らないが、俺と君は友人であり上司と部下――其れだけで何か特別な関係じゃないだろ?


「はぁ?1週間の休暇中に自分の実家に招くなんて事自体が既に『只の友達』じゃない事を物語ってるわ!!
 さぁ言え!洗いざらい白状しなさいなのは!!アンタは少なくともネロに対して『友情』以上の感情を持ってるわよね!?持っている筈よね!?」

「ふにゃぁあ!?いらい……いらいのありしゃちゃ〜ん!(痛い……痛いのアリサちゃ〜〜ん!)
 ふぁ、ふぁしかにネロ君の事はしゅきだけど、あくまでもおもばちとしてだよ!?(た、確かにネロ君の事は好きだけど、あくまでも友達としてだよ!?)」

「……本当に?」

「ふぉ、ふぉんとうなの……(ほ、本当なの……)」


何やら色々な問答があったような気もするが、取り敢えずバニングスの拘束からは脱出できたか。――大丈夫かなのは?


「だ、大丈夫だよネロ君。
 ……オホン!今も言ったけど、私とネロ君は只の友達で、仕事上の上司と部下でそれ以上は何もないからね?

「無自覚か……性質が悪いわねマジで……」


?……バニングスが何か言った気がするが気のせいか?
まぁ、今日は俺にウミナリの色んな所を紹介してくれるんだろ?――正直言って楽しみだったんだ、だから案内頼むぜなのは!!



「勿論♪ネロ君には海鳴の色んな事を知って貰いたいしね♪
 ――其れじゃあ行こうか!海鳴大観光の始まりだよ――!!♪」


Hoo……随分と派手に宣言したな?
ま、其れだけに頼もしいし楽しそうだ――アリサとすずかも名所を見せてくれるだろうしな――如何やらこいつは最高の観光になるのは間違いないぜ!








――――――








Side:アリサ


昨日の夜になのはからメールが来てたんだけど……如何にもネロって言う『お友達』の事が気になったからちょっと調べてみたのよね〜?
名前からは性別の判断はつかなかったから、其れも含めて調べてみたんだけど…


ぶっちゃけ何も分からなかった。
何時生まれたのか、両親は誰なのか?そして出身地は何処なのか?――せめて其れ位は知りたかったわ。

だけど、だからと言ってなのはに何か危害を加えるとかそう言う事は無さそうね?

てか口には出さないけど、なのはとネロは互いに互いを好き合ってるわよね間違いなく……アタシ達で自覚させるのは……無理だわ絶対に。



ま、此ればっかりは本人の意識レベルに直結するからアタシとすずかが彼是やっても意味は無いわ。

なら、今日はネロにこの海鳴の素晴らしさを骨の髄まで叩き込んであげるわ!!


アタシとなのはとすずかのナビゲートを甘く見ない方が良いわよネロ?
今日一日で可能な限りの海鳴の魅力をアンタに叩き込んでやるから、その心算で覚悟しておきなさい!!!


「お手柔らかに頼むぜ?」

「アリサちゃん…やりすぎないでね?」


まっかせなさい!
アタシとすずかでバッチリ海鳴の名所を案内してやるわ――へこたれずに付いてきなさいよネロ!!


「上等だ……こう見えても修羅場を潜った数はアンタ等よりも多いんだ……やってやるぜ!!
 俺の知る限りでも此処は凄く良い場所だってのは分かるしな――観光案内は頼むぜ?」


言われるまでもないわ♪
見どころ沢山の海鳴だけど、先ずは何処に行こうかしら―――やっぱり此れでしょうね?……てかこれ以上はない筈だわ。


さぁ、楽しい楽しい海鳴観光の始まりよ!アンタには海鳴の魅力を嫌と言う程味わってもらうから、覚悟しておきなさいよネロ!!


「楽しみにしてるぜ?……で、先ずは何処に連れて行ってくれるんだ?」

「よくぞ聞いてくれました!!」

「観光の最初は、海鳴でもトップクラスの人気スポット――『海鳴海洋博物館』だよネロ君♪」


すずか、其れはアタシのセリフよ!!
まぁ、其れから始める心算だったから良いんだけど……先ずは海鳴近海の生物の彼是を展示した海洋博物館――水族館から案内してあげるわ。


「水族館……そう言えば、初めてかもしれないなそう言うのは?」

「だったら思い切り楽しまないと損だね♪」



ん〜〜〜……やっぱりなのはとネロは只の『上司と部下』には見えないわ。
多分お互いに無自覚なんだろうけど、これは機を見て深層心理の思いを発掘してやった方が良いかもしれないわね……何よりもなのはの為にも………


ま、其れは其れとして、久しぶりの水族館をアタシも楽しむとしますかね♪













 To Be Continued… 




海鳴二日目は朝からいつも通りに鍛練から始まったみたいだな。
美姫 「ネロらしいわね」
確かにな。にしても、美由希も善戦したみたいだけれどやっぱり勝つのは無理だったか。
美姫 「まあ、仕方わいわよ」
だな。朝食の後は観光みたいだが。
美姫 「アリサたちとの対面も問題なく終わったしね」
うーん、問題なく? まあ、特に何か問題があった訳でもないしな。
美姫 「アリサが突っ込みというか怒鳴ってばかりって感じなだけよ」
まあ、ともあれ次回はあちこちを見て回る事になるのかな。
美姫 「そうね。次回も楽しみね」
次回も待っています。
美姫 「待ってますね〜」



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