Side:レティ
公開演習場に現れた巨大な悪魔――其れ自体は、なのはさん達が頑張ってくれたおかげで、見事撃退できたから何の問題もないわ。
寧ろ、最大の問題はその悪魔を倒した直後に発生した小規模次元震に、なのはさんとネロ君が巻き込まれて――そして消えてしまった事よ。
正直な事を言えば、あの2人なら次元震に巻き込まれてどんな世界に飛ばされていようとも生き延びてるのは間違いないでしょうね。
だけど万が一にでも死んでしまった何て言う事があれば、リンディの――引いてはクロノ君の管理局内での立場は一気に悪くなるのは略間違いないわ。
この公開演習の企画を持ち出したのはリンディだから、その公開演習中に局員2名がMIAになったとあってはお偉いさんからの追及は免れない。
更に、その息子であるクロノ君にだって最高評議会の魔の手が伸びるのは火を見るよりも明らか――そうなってしまう前に何としても2人を見つけないと!
「なのはさんか、ネロ君からエマージェンシーコールは?」
「……ダメです、未だエマージェンシーコールはキャッチできません。
恐らくですが、高町一等空尉もネロもエマージェンシーコールを発動出来ない状況に置かれているのではないかと推測します!!」
緊急時のエマージェンシーコールが発動されていない?
しかも、今の彼の言い方だと発動しないんじゃなくて、発動出来ない状況?……だとしたら一体何処に飛ばされてしまったの、あの2人は!?
もしも見つける事が出来なかったら――!
「……らしくないわね、何を弱気になって居るのよ…!!」
なのはさんもネロ君もMIA判定がなされただけで、死亡が確認された訳ではないのよ?だったら、とことんまで捜索を行わない理由はない。
本当に諦めて、そして絶望するのは2人が息絶えた状態で見つかったその時でも遅くはないもの。
……そしてその瞬間は絶対に訪れないと言いきれるわ!なのはさんもネロ君も、そう簡単に死ぬ魂ではない……ギリギリの状態でも生きて居る筈だから。
リリカルなのは×Devil May Cry 黒き騎士と白き魔導師 Mission33
『極寒の地〜Blizzard Stream〜』
Side:なのは
見渡す限りの銀世界、視界を覆う程のブリザード――此処は一体何処なの〜〜〜〜!?
悪魔と一戦交えて、その挙げ句に飛ばされた場所が究極クラスの極地って、幾ら何でも酷過ぎない!?てか、冗談抜きで寒すぎるよ!
「レイジングハート、此処の外気温はドレくらいなの?」
『現在気温はマイナス40度です。
バリアジャケットがなかったら、間違いなく瞬間的に冷凍人間になって居ると言っても過言ではない寒さです。』
ま、マイナス40度!?
其れは、幾ら何でもバリアジャケットの耐寒機能の限界を超えてるよ!?幾らバリアジャケットを纏った状態だって肌寒い筈なの!
「冗談抜きで寒すぎるな?
取り敢えず、吹雪を凌げる洞窟か何か探さないと、このブリザードに一気に体力も命も奪われちまうぜ。」
「確かにそうだね……せめて洞窟くらいは探し当てておかないと、極寒の地では命取りになりかねないしね。」
だけどネロ君は寒くないの?
ネロ君の服は、私と違ってバリアジャケットじゃないから、耐寒・耐熱機構は備えられてない筈だよね?――だとしたら、私以上に寒さを感じているんじゃ…
「No problem Nanoha.(問題なしだなのは。)
確かに相当に寒いが、フォルトゥナにも吹雪が吹き荒れる場所は有ったから、この程度のブリザードは大した事はねぇ………そもそも俺は悪魔だしな。」
ネロ君……だけど、だからと言って無理をして良い理由にはならないから、疲れたら遠慮なく言ってね?
「そん時は、そうさせて貰うよ。
……しかし、こんな雪山に投げ出されるとは、俺達は中々に籤運が無いらしいな?所謂『大凶』って奴か?」
「幾ら何でも大凶は――って言いたい所だけど、この状況を見る限りでは、否定する事も出来ないからね……」
けどまぁ、エマージェンシーコールをするにしても、先ずは落ち着ける場所に辿り着かないと其れも難しいし、兎に角今は洞窟みたいなものを探そうか?
「良いね、其れには全面的に賛成するが――そう一筋縄では行かないらしいぜ?」
「みたいだね……」
話をしてた私とネロ君の周囲には、青色の巨大なトカゲ――うぅん、小型の肉食恐竜とでも言うべきモノが集まって……如何やら獲物に認定されたみたい。
正直な事を言うなら、全力の模擬戦を2回やった挙句の悪魔とのバトルだから、残りの魔力は多分可成り少なくなってるのは間違いないと思う。
そんな状態で戦闘を行うのは自殺行為にも等しいけど、だからと言って、やらなきゃやられるのは間違いなさそうだからね?
「貴方達に恨みはないけど、私達も生きる為に此処を突破しないとならない……ゴメンね……」
「恨むなら、俺となのはをこの世界に飛ばしやがった、小規模次元震とやらを恨んでくれ……
何にしても、俺もなのはもこんな所で朽ちる心算は毛頭ねぇし、お前等の胃袋を満たしてやる心算もねぇ!――悪いが押し通らせてもらうぜ!!」
だね!先ずは押し通って、其の後で洞窟の類を探さないと!!
取り敢えず、眼前の相手の数は約20だけど、私とネロ君が組めば苦戦する相手じゃないと思う。
残存魔力が些か不安だから、速攻で終わらせる必要はあるんだけど――ネロ君は大丈夫?まだ行けるかなぁ?
「デビルトリガーは無理っぽいが、そうじゃないならマダマダ行けるぜなのは?
其れにだ……こんな極寒の地で、得体の知れない恐竜擬きにやられて人生にピリオド打つなんてのは余りにもカッコ悪すぎるからな……!」
「マッタク以って、その通りだね!!」
数の上では、圧倒的に私達の方が不利だけど、見たところこの恐竜擬き達には司令官となるべき存在が居ないのが分かった。
うぅん、本当は居るのかもしれないけど、この場には現れなかったのは僥倖としか言いようがないね――現れてたら、物凄く面倒な事になったかもだから。
「「「「「「「「「「キョエェェェエェェェェェェェエェェェ!!!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「ギャオォォォォォォォォォォォォン!!!!」」」」」」」」」」
「来やがったか……Eat this!!(喰らいやがれ!!)」
――バキィィィィ!!
ネロ君ナイス!
一斉に襲い掛かって来たところに、カウンターでのバスターは効果覿面だよ!特に、こう言った集団での狩りを得意としてるだろう相手にはね。
「「「「「「「「「ギョワ!?」」」」」」」」」」
うん、出鼻を挫かれて完全に困惑してる!このまま一気に切り抜けよう!!
何時もなら全部相手にしても良いけど、残り魔力の少ない今は、必要な相手だけを撃破しないとあっと言う間にジリ貧になっちゃうかもしれないから。
加えてこの寒さだと、体力だってドンドン奪われていっちゃうから、余分な体力も使う事は出来ないもんね。
「死にたくなかったら道を開けなトカゲ野郎!生憎と、真面目にお前等の相手してる暇はなくてなぁ!!」
「お願いだから道を開けて!!」
雪が深くて歩いて移動するのは困難だけど、魔力の節約って言う事で超低空飛行をしながら牽制用の誘導弾を放ちながら一気に駆け抜ける!
でも、相手は流石にこの環境になれてるから、雪と吹雪の中でも難なく追いかけて来る……!
「しつこい奴だな……Kill best!!(くたばれ!!)」
「ギョワァァアァ!!」
追いついて来たのは、その都度ネロ君が殴り返してるけど、此れじゃあキリがないよ!
何とか、一撃で相手の戦意を奪うような一撃でも喰らわせないと――って、そう言えばこの恐竜擬きは、何時か何処かで見た事が有るような気がするの。
博物館とかじゃなくてもっと身近な………そうだ、モンスターハンターに出て来るバギィにそっくりなんだ!
って言う事は此処はモンスターハンターの世界――は流石にないだろうけど、だとしたらアレは炎が弱点の筈!
「ネロ君、炎の一撃を喰らわせて!私の予想通りなら、アレの弱点は炎の筈だから!!」
「極寒の地に住んでるから、逆に超高温には弱いってか?
OK!丁度また、しつこい奴が追い付いて来やがったからな…Humph!Barning&…Catch this!!(フン!燃えろ……そして喰らえ!)」
追いついてきたバギィ(仮)を掴むと同時に燃やして、後続の集団に投げつけた!?
あらら……如何やら本当に炎が弱点だったみたいで、投げつけられた火達磨の仲間に一気に混乱して、蜘蛛の子散らすように逃げて行ったね?
取り敢えずは撃退成功かな?
『その様です――が、Master残存魔力が10%を切りました。
バリアジャケットの維持と、飛行の続行を考えると、これ以上の魔法戦闘は不可能です。』
「其処まで消耗してるの!?」
『極地故の過酷な環境のせいで、普段よりも消費が大きいのではないかと推測します。』
成程ね。
確かに魔力的にも体力的にも、これ以上の戦闘は結構きついかもなんだけど――こう言う時に限って、更に面倒な事が起きるのはお約束なんだよねぇ…
「ウガァァァァアァァァァァァアァァァァァアァァァァァァァァァァァ!!!!」
ほらやっぱり。
今聞こえた咆哮は、さっきのバギィ(仮)の物とはまるで違う……もっと凶暴で巨大な相手を思わせるモノだよ。
しかも、この猛吹雪の中で此れだけハッキリ聞こえるんだから、近くに居るのは間違いない――
「バゴアァァァァッァァァアッァァァァッァァァッァァッァアァァッァ!!!!」
「マジかよ?……コイツはまたトンでもない大物が出てきやがったな?」
と思ったら現れたね!?って言うか、幾ら何でも此れはないよ!!なんだって、新たに現れたのが此れなのかな!?
緑色の巨大な体躯に、幾つもの傷痕を持つ並々ならない大きさの恐竜みたいな生物……誰が如何見ても凶暴竜なの〜〜〜〜!!
「こんなの相手にしてたら身が持たないよ!!
三十六計逃げるに如かず!逃げるもまた兵法、戦略的撤退だよ此処は!!」
「尻尾巻いて逃げるなんてのはガラじゃないが……今は其れが上策だな!!」
と言う訳で逃げる――
――ガクン……
へ?な、なに?行き成り飛べなくなったって……
『Caution!残存魔力が5%を切りました。
バリアジャケットの維持をするためには飛行も不可能です。』
そんな、此処に来て飛べなくなるなんて……此れじゃ逃げる事も出来ないよ!!
「ウガァァアァァァァアッァァァァァァアァァァァァァァァ!!!」
「ちぃ……やかましいぜデカブツが!大人しく……寝てろぉぉぉ!!!!」
――バキィ!!
ネロ君!!
「Come on Scum bag!(来いよクズ野郎!)なのはには指一本触れさせないぜ?
万が一なのはに何かあって、俺だけ無事に戻ったとなったら、小隊の連中に殺されちまうし――なのはが死んじまうような事は全力でお断りなんでね。
それ以前に、俺に挑んだ時点で終いだ!ダンテ以外の奴に負ける気はマッタクしなくてな?You lose Big guy!(お前の負けだ木偶の棒!)」
「アガ?」
「You will not forget this devil's power!(悪魔の力を思い知れ!)」
――バン!バン!!ドガシャァァッァァァァァァァッァァア!!!
うわ……あの巨体を掴んで地面に叩き付けまくった挙句に投げ飛ばすって、相変わらずトンでもない力技だね?
幾ら悪魔の右腕だって言っても、あの巨体を投げ飛ばすにはネロ君自身の体幹バランスと強さが無いと到底無理だからね……ネロ君は地力も強いよ。
「ったく、ドンだけバイオレンスな世界なんだ此処は?
極寒の地な上に、更に凶暴な捕食者が居るなんて、ある意味で悪魔がうようよしてる魔界よりも性質が悪いんじゃないのか?……ったく厄日だぜ。」
「本当に厄日だね……」
『ですがMaster、そう悪い事だけでもないようです。
エリアサーチを行った結果、此処から南に300mほどの場所に洞窟らしきものを見つけました。』
本当に!?
其れは確かに不幸中の幸いだね!300mなら其処まで長い距離じゃないし、歩いて移動しても15分もあれば到着できるの。
「そいつはあくまでも魔力と体力が充実してて、しかもこんな極地じゃなければの話だろ?
たかが300mとは言え、このブリザードの中を普通に移動したら1時間は掛かるぜ?おまけになのははもう飛ぶ事もままならないんだろ?」
「う………其れは、その通りなの。」
だけど、避難できそうな洞窟があるなら多少無理してでも行かないとでしょ?
仮にそこに到着した瞬間に、残存魔力が0になったとしても、其処で休む事は出来る訳なんだし――
「けど、魔力と体力を残しておくに越した事はないだろ?――こんな場所じゃ何があるか分からねぇんだからさ。
……それでまぁ、そう言う事だから少し失礼するぜ?」
――ひょい
ふえぇぇ!?ね、ネロ君、一体何を!?何でいきなり私の事『お姫様抱っこ』してるの〜〜〜〜!?
「300m程度なら未だ飛ぶ事は出来るからな?……こっちの方が運ぶのにも楽な格好なんだよ。
如何しても嫌だって言うなら、背負うなりなんなりに変えるが……」
い、嫌じゃないよ?只少し驚いただけ……お姫様抱っこなんて、初めて経験する事だから。
しかも、其れをしてくれたのが超絶イケメンのネロ君とくれば、幾ら何でも照れるよ……し、心臓のドキドキが止まらない…心臓の音、聞こえてないよね?
「少しばかり我慢してくれよなのは?
安全運転で行く心算だが、飛行中も何があるかは分からないからちゃんと捕まっててくれよな?」
「うん……」
けど、ネロ君にこうして抱きかかえられるのは嫌な気分じゃない。
それどころか、ネロ君の温かさを直に感じられて、猛吹雪に見舞われてる筈なのに凄く温かい気持ちになれる……何とも不思議な気分だよ。
でも、如何してこんなにドキドキするんだろう?……若しかして、私はネロ君の事が好きなのかな?
――そうLikeじゃなくてLoveの方向で。……でも、もしそうだとしたら如何すればいいんだろう?…全然分からないけど、今は少しだけ甘えても良いよね?
――ギュム……
「なのは?」
「少しだけ…洞窟に付くまでの間だけ、こうさせて……」
「……まぁ、別に良いけどな。」
ありがとうネロ君………ふぅ、ネロ君の腕の中は温かいなぁ…
――――――
Side:ネロ
ふぅ、魔力が尽きるギリギリで洞窟に辿り着けたか。
つーかマジでギリギリだぞ此れ?多分、今の俺はチャージショット1発ブチかます程度の魔力も残ってねぇ……残存魔力は5%未満てとこだろうな。
だが、魔力が完全に尽きる前に洞窟に辿り着けたのはラッキーだったとしか言いようがねぇぜ。
あのデカブツをぶちのめすのがあと10秒遅かったら、多分洞窟に辿り着く前に俺の魔力は尽きて、なのは共々やばい状況になってだろうしな。
其れは兎も角、洞窟内部に枯れた木の枝やら何やら燃えそうな物があったのは僥倖だな?
此れがあれば少しは暖を取る事も出来るし、暖を取れればなのはだって少しは安心できるだろうからな。
「此処までくれば、外のブリザードの影響は殆どないだろうな。」
「殆どって言うか、確実に影響は受けてないよね?
相当奥にまで来たって言う事は間違いないけど、其れだけで外のブリザードはほぼ完全にシャットアウトできているからね。」
だな。此処なら当面はブリザードと極寒の空気をシャットアウトできそうだが――問題は何時救助が来るかだぜ?
一応エマージェンシーコールは発動したが、だからと言って一両日中に助けが来るとは思えねぇからな?…助けが来るまで、何としても生き抜かないとな。
「くしゅん!」
「ん?大丈夫かなのは?」
「あ、うん…大丈夫だよ?少し鼻がムズムズしただけだから……」
ったく、嘘が下手だななのは?
明らかに今のは寒くて出たくしゃみだろう?……ほれ、此れ着とけよ。
――バサァ……
「コート!……だけど此れじゃネロ君が寒いんじゃ……」
「Ha!生憎と俺は悪魔の血を引いてるおかげで、この程度の寒さで如何にかなる事は無いんでな。
だから、そのコートはなのはが使ってくれ。そんなモンでも、少しは寒さを凌ぐ事が出来るだろうからさ。」
「…あ、ありがとう。
だけど、やっぱり私だけがコートを借りるのは気が引けるよ……だから……」
――ふわり……
「こ、こうして2人でコートに包まれればもっと寒くないよね?///」
「そ、其れはそうかも知れないが、だからって実行するか普通!?///」
確かに此れなら、俺もなのはもそれ程寒くないだろうが、幾ら何でも密着し過ぎだろ!?其れこそ此処に来るまでの間に抱きかかえてた時の比じゃねぇ!
Shit(クソッ)……ガラにもなく緊張しちまってるな――まぁ、なのはみたいな美女と一つのコートに包まってるなんて状態で緊張するなってのが無理だが。
……仮にダンテに見られたら、確実にからかいの材料にされてただろうな。
だけど何だって俺はこんなに心臓の鼓動が高まってるんだ?
仮に、キリエと2人きりで同じ状況に陥ったとしても、多分此処まではドキドキしない筈だ――多分キリエはあくまでも母親兼姉代わりだったからだろうけど。
なのに、なのはにはこんなにドキドキしてるって事は、若しかして――いや、若しかしなくても多分そうなんだろうな。
きっと俺はなのはの事が好きなんだろう――恐らくはLikeじゃなくてLoveの方向で。
だが、だとしても俺に誰かを愛する権利があるんだろうか?
誰よりも大切だと思っていたキリエを護れなかったって言うのに、其れなのになのはの事を好きになって愛する権利なんて有るのか……この俺に?
――ぎゅむ……
「なのは?」
「ゴメン、なんだか凄く寒くて……少しだけ、こうさせて貰っても良いかな?」
あ、あぁ……そんな事で寒さが少しでも凌げるんならな好きにしてくれよ?
やれやれ……取り敢えず俺の疑問は後回しだな。
今は、救助が来るまでは何が何でも生き抜く事を考えないとだ――最悪の場合は、せめてなのはだけでも帰還させないといけないからな。
だが、本音を言うなら2人揃って帰還したい所だ。
――金輪際信じる心算は毛頭ないが、もしも本当に居るってんなら、この願いは叶えてくれないか?居るかどうかも疑わしい、カミサマよ………!
――――――
Side:バージル
フン……この極限状態に陥って、ようやく自分の思いにおぼろげながらも気付くに至ったか――マッタク面倒な性格だな?俺の遺伝かもしれんが。
だがしかし、今のままではまだ踏ん切りが付かんのだろう。
……マッタク持ってガラではないが、少しばかり背を押してやるか――俺と同じ道を歩んでほしくはないからな。
となると、冥界に赴いてキリエとか言う小娘の魂を連れてこなくてはなるまいな?……その小娘の後押しがあれば、ネロもまた踏ん切りが付くだろう。
過去を忘れろとは言わんが、何時までも其れに捕らわれていては前に進む事は出来ん。
お前は何時の日か、俺も、ダンテも……そしてスパーダすら超える者となるだろう――だからこそ、真に己の大切なモノを知り、そして護り抜け。
お前ならば其れが出来る筈だネロ……お前は俺とは違い、力だけではなく、スパーダの誇り高き魂を継ぐ事が出来る者なのだからな……!
護り抜いてみせろネロ、お前が真に大切だと思うその小娘の事を――!
To Be Continued…
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