Side:ドゥーエ
ネロとなのはが正式に付き合う事になった訳だけど、だからと言って何が如何変わったって言う事はないのよね。
あの2人は元々『付き合ってない?嘘だろオイ』って言うくらいに仲が良かったから、多少一緒に居る時間が多くなったかもだけど、それ以外は特に変化なし。
時と場所を考えずにいちゃつく事はないから、精神ダメージ喰らわなくて済むって言うのは有り難いわよね。恋人同士としてはドライな感じがしなくもないけど。
だけど、晴れて結ばれたあの日以降、未だにファーストキスには至ってないみたいなんだけど、此れは完全に私達のせいだわ。
はやて達と出刃亀かましてたせいで、なのははファーストキスを逃して、其れがなされないまま今に至るわけで……何だか凄く罪悪感が拭えないわね此れ。
あの日も結局とっ捕まって、正座で一時間以上の説教を喰らったけど、なのはは微妙に涙目だったし。
……好きになった人とのファーストキスを邪魔されれば、そりゃ泣きたくもなるわ――私の有休を、2人に割り当ててデートでも設定しないと申し訳ないわね。
まぁ、其れは其れとして、ネロとなのはが相思相愛の恋人同士になったのは、意外な事に普段の仕事に大きな影響を及ぼしてる訳で……
「イィヤァ!!One、Two!Catch this!!(1、2!喰らいやがれ!!)」
「ディバイィィィン……バスター!!!」
――ドッガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!
出動した事件現場で、只今絶賛無双中!!私達要らないんじゃないかって位に無双中!!
こう言っちゃんなんだけど、銀行強盗に合掌だわ此れ。
ネロのバスターで投げ飛ばされた後で、なのはのディバインバスターでダメ押しって、ドンだけ強烈なコンボ!?タイミングが前よりも絶妙になってるし!!
「この程度か……俺達と戦うには――」
「――スタイリッシュさが足りないね。」
ネロは右手の中指を立てて、なのはは左手をサムズダウン……なんだか、物凄く絵になるわこの2人だと。あ、残った銀行強盗が……ビビって失神した。
此れは若しかしたら、否、若しかしなくても次元世界最強のカップルが誕生したんじゃないのかしら?――そう思っても罰は当たらないわよね、多分……
リリカルなのは×Devil May Cry 黒き騎士と白き魔導師 Mission40
『覚醒の章〜Hayate&Fate〜』
Side:はやて
結果論から言えば、要らん事してもうたけど、なのはちゃんとネロ君が結ばれたんは、嘘偽りなく嬉しい事や。万々歳や。
ぶっちゃけ、あの2人は何時くっつくんかとやきもきしとったし、アリサちゃんも気にしとったから――取り敢えず相思相愛になって万々歳ってところやろうね。
まぁ、あの日なのはちゃんとネロ君に思いっきり説教喰らった訳やけど、其れもまた良い思い出……やないな、出刃亀は程々にせんと痛い目見るわ本気で。
本音を言えば、ファーストキスを激写したかったけど、其れは出来なくて、そのせいで未だに2人は相思相愛の恋人ながらファーストキスはな…
「まぁ、あそこで出来なかったんは私のせいやとしても、其れ以外は全く持って私は無関係やからし〜らないってな。
大体ネロ君も男なんやから、何て言うか……時には強引に迫ってなんぼやろ?寧ろなのはちゃんみたいな美女を相手に迫らないなんてないんやないの?」
「其れは偏見だとおもうですマイスターはやて。なのはちゃんとネロ君は、そんな感じじゃないです。」
うん、分かっとるよリイン。
なのはちゃんとネロ君は、純愛の果てに身体も心も結ばれるタイプやと思うしね。――まぁ、そうなったらそうなったでからかい甲斐があるけどな♪
「マイスターはやて?」
「……人の色恋沙汰ほどおもろいもんはこの世に無いで?」
「かもしれないですけど、こうもあっさり言いきるとは、中々に最低ですねマイスターはやて。」
おふぅ!予想外のカウンターや!
ちょっとした冗談やないのリイン!シグナムとヴィータは出張中で、寂しくデスクワークに勤しんどる憐れな小狸をあんまし苛めんといてぇぇ〜〜〜〜!
おまけにフェイトちゃんも出張で、なのはちゃんとネロ君かて要請受けてどっかの次元世界に出動しとるんやから〜〜〜〜!
「マイスターはやてのハートは鋼鉄製で、更に表面を強化防弾ガラスで覆っているから、この程度ではダメージにもならないと思うです。」
「……正解やツヴァイ!この程度で私がへこたれる筈ないやん!!」
けどまぁ、今日はもうやる事もないから帰ろか?ご飯の準備せなアカンからね。
「はいです♪」
そう言えば、今朝の広告であのデパートは豚肉が安かったなぁ?……よし、今夜のメニューは『八神はやて特製ソースカツ丼』で決まりやな!
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さてと、今日も良い買い物が出来たわ〜〜。とんかつ用の豚ロースが半額以下で買えるとは予想外やで。早速家で美味しいとんかつを―――
――ヴォン……
と、思った矢先に結界やと!?
「マイスター!!」
「あぁ、此れは閉じこめられたみたいやな?」
――只の結界やない?てか普通の結界やったらシャマルが気付いて、何事かって連絡して来る筈やし。
つまりは私だけを狙った封鎖結界言う事か?シャマルにも気付かれんなんて相当なモンやで?ご飯の前に面倒なモンに巻き込まれたもんや……厄日か?
――ギュルリ……
「!?――誰や!!!」
「………」
突如私の背後に現れたのは、身の丈以上の槍を携えた強大な悪魔と思しき存在――私に一体何の用やろうか?
「………汝の力を見せて欲しい……」
「私の力を見たい…やと?――アンタ一体何モンや?」
「……我が名はボルヴェルグ。嘗ては神の眷属だったが、戦いに敗れ邪神として追放され、悪魔となった者……
スパーダと戦い、封じられたが……千年振りに復活してみれば……面白い力を感じたのでな………」
そんで私の前に現れた言う事か?面白い力言うのは……多分『夜天』の力の事やろうな。
態々結界まで張って、私の力を見たいいう事は、アンタと戦えって言う事やろうけど……タイマン勝負やったら、期待に応える事は難しい思うんやけどなぁ?
「…………」
「だからと言って、戦わずに済む言う事でもないようやし、どの道アンタを倒さんと帰れそうにないからなぁ?
――しゃーない、タイマンはあんまり得意やないんやけど、一丁相手になったるわ!行くで、リイン!!!」
「はいです!」
コイツは恐らくは最上級クラスの悪魔やから、手加減できる相手やない、初っ端から全力全開や!ユニゾン!
「イン!!!」
融合完了!ほな、先ずは挨拶代わりや……喰らえ、バルムンク!!!
「従者と融合して戦う……面白い術だ………来た甲斐があったと言うモノ……
そして……魔力を短剣型にして撃ち出すこの攻撃も………見事だ……ならば、私も……全力で行かせて貰おう………ムン!!」
――カンッカンッカンッカンッ!!!
ちぃ……槍を振り回して迎撃するとは、流石は嘗ては神と言われただけの事はあるなぁ?
せやけど、私かて最後の夜天の主やし、人呼んで『歩くロストロギア』やで?最上級クラスの悪魔相手でも、簡単にはやられへん!行け、ブリューナク!!
「今度は速射弾………物量攻撃か………だが………ムゥゥゥン!!」
「のわ!?」
《凄い高速突き!技のモーションすら見えなかったですよ!?》
ホンマになんちゅう高速突きやねん!!咄嗟に回避できたんは、ホンマに奇跡に近いで!?……どうやら、2m以上の巨躯ながら動きは素早いみたいやな。
流石に本気になったフェイトちゃんには敵わんやろうけど、この巨体で今のスピードは、ぶっちゃけ可成りの脅威や。パワーかて凄いやろうし。
何よりも、万能武器として名高い槍が得物言うのがこの上なく厄介や。槍に剣で挑むのは3倍の力量が必要て言われるくらいやからね。
せやけど、手が無い訳やない。
槍は確かに万能武器やけど、その大きさ故に、必殺の突きや斬り払いを放つ前や放った後には必ず大きな隙が出来る。
達人やったらその隙すら最小限に留める事が出来るんやろうけど、完全に隙を無くす事は出来へん――其処を叩けば私でも如何にか出来る筈や。
「如何した……避けてばかりでは……勝負にならぬぞ?」
「無茶言うなや、こちとら元々クロスレンジはポンコツな上に、激烈苦手なタイマン勝負しとるんや、多少の防戦位大目に見んかい!」
「だとしても……このままでは……勝てぬぞ?」
分かっとるわ!………せやから喰らっとけ、なのはちゃん直伝のクロスレンジ砲撃魔法、クロススマッシャー!!!
――バガァァァァァァァァァァァァァン!!!
「ムゥ!?」
「こう言う戦い方もありやろ?……追撃や……彼方より来たれ、宿り木の枝……」
《銀月の槍となりて、撃ち貫け…》
「《石化の槍、ミストルティン!!》」
「……でぇぇぇぇぇぇぇいい!!………ムゥゥゥゥン!!」
流石に全弾叩き落すとは見事やけど……その振りの大きい薙ぎ払いは待っとったで!!
脇が隙だらけや!!A.C.S……ドライブ!!!
――ドガァァァァァァァァァアッァァアァァッァァアァァッァァァアァァァァァアァァ!!!
「ムオォッォォォ!?」
「なのはちゃん直伝の突進攻撃や……破壊力はハンパやないで……どぉりゃぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
そして……此れで止めや!!
A.C.Sで突っ込んだ果ての、ゼロ距離クラウソラス!!防御も回避も不可能な直射砲撃で、ぶっ飛んでまぇぇぇぇぇぇぇ!!!
――ドガバァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!
「はぁ…はぁ………幾ら何でも此れ位ブチかませば流石に効いたやろ……ってか、此れでダメやったらお手上げやでホンマに………」
「見事………汝の力……見せて貰った……」
んな、身体に大穴開いても無事やと!?……アカン、此れ完全に詰んだかも知れへん……(涙)
って、あれ?何か身体崩れてきてへん?
「不完全な……復活では……此れが限界だったか………後100年もあれば完全復活できただろうが……其れでは、汝とは会えない……故にな。
見事だ、不思議な力を持つ者よ……嘗て神と呼ばれた私を制するなど、スパーダでなければ…出来ぬと思って居たが、そう言う訳でもないらしい……
だが……甲斐はあった……異端とも言える力を持つ汝の……力を見れた……その力は……素晴らしいモノだ……汝の才覚と併せてな……」
ボルヴェルグ……アンタ……
「スパーダに封じられたあの日から……私は死に場所を求めて居たのだろうな………其れが漸く叶った……礼を言おう……
そして……汝ならば……我が僕を預けるに値する……彼等を……大事にしてやってくれ………」
――シュゥゥゥン……
消えた……邪神として追放され、スパーダさんに封じられたアンタは、神として戦士としての死に場所を求めてたんか……せやったらもう寝とき?
アンタの僕とやらは、私が大切に受け継がせて貰うさかい、冥界の淵で私のこれからを見とってや?……アンタの予感は間違ってなかったって証明したるで。
『『………………』』
《マイスターはやて……この子達は……》
「ボルヴェルグの言うとった僕やろうね。」
で、私の前に現れた2体の白狼………フレキとゲリやったかな?
アンタ達のご主人様に頼まれて、此れからは私がアンタ達のご主人様言う事になるみたいやけど……こんな小娘が主でえぇんか?拒否るなら今やで?
『『ワオォォォォォォォォォォォォン!!』』
拒否はしないか……せやったら、此れから宜しくなフレキ、ゲリ!最後の夜天の主は、彼方達を歓迎するわ♪
既に我が家には、蒼き守護獣がおるけど、ザフィーラは別に新参者を排斥したりはせんやろうし、寧ろ蒼白の守護獣なんて何ともカッコイイから無問題や!!
其れに新しい家族が増えるんやから、これ程嬉しい事はない。
よっしゃ、もう一度買い物行くでリイン、フレキとゲリの分もご飯用意せなアカンから、とんかつ用のロース肉を、さらに4人前調達するで!!
《了解ですマイスター!!》
まさか、私が悪魔から力を託されるとは思わなかったわ。
……やけど、私が託されたのはフレキとゲリだけやない……否、あの2体を受け継いだからこそこの力はあるんやろうね。
全てを凌駕するであろう、悪魔の最強能力、ネロ君の切り札―――絶対無敵の『デビルトリガー』……トンでもない力、得てしまったようやな……
――――――
Side:フェイト
ある事件の調査の為に出張した訳だけど、調べれば調べるほどこの事件は不可解な事が多過ぎるかな?
被害者が全員死んでしまったって言うのは未だ分かるけど、事件の黒幕とされる人物まで『殺されてる』って言うのは流石に納得しがたい物があるんだよね。
何よりも、全員が全員一撃で心臓を貫かれて絶命してるなんて、ドレだけ熟練の暗殺者であっても出来る事じゃない……ドゥーエだって無理な筈だよ。
にも拘らず、この状況……一体何が?
――ヴォン……
!!………な、なに?――此れは、剣?中空に浮いて……まさか、ロストロギア!?
『……その魔力……或は我を扱う事が出来るやもしれぬ………試させて貰うぞ――!』
――シュン……ドスゥゥゥゥゥゥゥ!!
「え………?」
「いやぁぁぁぁっぁあぁぁぁぁあ、フェイトさぁぁぁぁぁぁあぁぁぁん!!!!」
あ、アレ?……な、何で私の胸に剣が突き刺さって?………って言うか、此れは心臓を貫かれてる?………ま、まさかの貧乏籤を引いちゃったのかなぁ?
だったらこのまま…………じゃない!こんな所で終わる事は出来ない……私は、まだ!!まだ、死ぬ事なんて出来ないんだぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!
――――――
No Side
心臓を貫かれて生きている人間が居るかと問われれば、其れは略間違いなく否と誰もが答えるであろう。
事実、フェイトが貫かれたのを見た補佐官のシャーリーは、フェイトの死を感じとり悲痛な叫びを上げてしまったのだから。
だが、だからこそ気付かなかった……心臓を貫かれて絶命した筈のフェイトの指が僅かに動いている事に、魔力が膨れ上がっている事に。
「ぐ………あぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁあっぁぁぁぁぁ!!!!!!」
――バリィィィィィィィン!!
「「「「「!?」」」」」
そして、まるで獣の咆哮を思わせるフェイトの叫びと共に魔力が弾け、胸を貫いた剣が吹き飛ばされて床に突き刺さる。
魔力が弾けたのと同時に、フェイトはバリアジャケットを展開し、ふらふらと床に突き刺さった剣に近付き――其れを確りと掴んだ。自分のモノだとばかりに。
「成程……彼等は貴方を扱うに値しなかった……だから死んでしまったんだね。」
そして、フェイトは理解した、事件の全容を――何の事はない、犯人はこの剣だったのだ。
己を扱うに値する者を選定した結果、誰もこの剣の眼鏡には適わずに心臓を貫かれて絶命してしまったのだろう……つまりフェイトが初めて剣を制したのだ。
「フェイトさん、大丈夫ですか!?」
「うん……大丈夫だよシャーリー――私はこの子を、アラストルを制する事が出来たみたいだから。
この子は魔剣アラストル……高位の雷の悪魔が『剣』となった物で、自分を扱う事が出来る者をずっと探してたみたいだから。」
心配するシャーリーをよそに、フェイトは手にしたアラストルの感触を確かめるように振り回し、そして背中にマウントする。
フェイトのバリアジャケットに剣を背負う機構はないが、其れでもアラストルはばっちりと背中に張り付いている――流石は悪魔の武器であると言えよう。
「えっと、大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ?私は試練を超えた訳だし、アラストルが突き刺さった場所だって無傷だからね。
だけど、此れは本局には原因不明の事件として報告するしかなさそうだよ?……まさか、悪魔の武器が犯人だなんて事は、流石に書く訳に行かないから。」
「あ、成程。」
犯人不詳……は、仕方ない事だろう。誰も一振りの剣が犯人だと言っても信じはしないだろうから。
――――――
Side:フェイト
まさか、剣が事件の犯人だったなんて予想外にも程があるよ――何とか制して、私のモノにする事が出来た訳なんだけどさ。
だけど、私が得たのはアラストルだけじゃない……考えなくても、本能で理解する事が出来る。
悪魔の武器を手に入れた事で、私は使えるようになってしまったらしい……最強にして無敵の、ネロの奥義とも言うべき技――デビルトリガーを……
だけど恐れはない。
どんな力だって自分のモノにして見せる!!寧ろ、其れ位じゃないと新たな相棒は満足してくれないだろうし……そうでしょう、アラストル?
『………』
沈黙は肯定と取るよ?……まぁ、此れから色々あると思うけど宜しくね?頼りにしているから。
『御意だマスター。私の目は未だ曇ってはいなかったらしい。』
だけど、如何したモノだろうね?
事件の犯人はロストロギア級の悪魔の剣で、其れは私が手にしちゃった訳で……此れは、お母さんとレティさんにお願いして何とかして貰うしかないかな……
はぁ……何とも厄介で面倒な――そして、バルディッシュに匹敵する、最高の相棒を手にしたみたいだね私は。
うん、何とも手に馴染むよ――改めまして、此れから宜しくねアラストル。
To Be Continued…
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