Side:ジェスター


悪魔のぼーやと栗毛の嬢ちゃんが両想いになってソロソロ半月か……そろそろ俺っちから祝福のプレゼントをくれてやらないとだな。
まぁ、ぼーやと嬢ちゃんには生半可なプレゼントじゃ物足りないだろうが、こっちも其れなりに戦力は整ってるから最高のプレゼントをくれてやるぜBoy&Girl!!



でだ、御機嫌は如何よサキュバスさんよぉ?


「最悪の目覚めだな……よりにもよって貴様のような道化師が目覚めの場に居るとは…」

「そいつは失敬。
 けどなぁサキュバス、目覚めたばかりのアンタに、俺は耳寄りな情報を持って来たんだぜ?無碍に扱うってのはちょ〜〜っと、酷いんじゃないの?」

「耳寄りな情報だと?」


喰いついて来たな?
よ〜〜〜く聞きな……嘗てアンタをぶちのめしたスパーダの血筋がある世界に居るんだよ……其れを聞いて、アンタは如何する?
アンタは魔界の中でも可成り強い力を持った上級悪魔だ……スパーダ本人に復讐できなくても、その血筋に復讐しないなんてのは有り得ない……そうだろ?


「裏切りの徒……スパーダの血筋だと?
 ……あの裏切り者の血筋となれば、確かに生かしてはおけん……道化師風情にしては良い情報を持って来てくれたと褒めてやろう。
 2000年前に受けた屈辱を、スパーダの血筋に対して注ぐと言うのもまた一興だ……ククク…全てを喰らい尽くして私の力としてくれるわ!!!!」


そうかいそうかい、まぁ、精々頑張んな――悪魔のぼーやと栗毛の嬢ちゃんの踏み台としてな。
どんなに強い力を持っていようとも、アンタ程度じゃぼーやと嬢ちゃんには敵わねぇよ――精々成長の為の踏み台ってのがお似合いだぜ。



さてと、他にも適当な上級悪魔をそそのかしてみるか――何がどうなるのか、実に楽しみだぜ!あひゃひゃひゃひゃ……ひゃ〜〜ッハッハッハッハッハ!













リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission41
『厄介事極〜Troublesome fact〜』











Side:なのは


目標補足……行ったよ、ネロ君よろしく!!


「All right Boss!(任せとけ隊長!)
 おぉぉぉぉぉ……Be gone!!(失せろ!!)覇ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……Catch this!!(喰らいやがれ!!)――Hoo…Take easy.(チョロいな。)」


今日の任務は『ロストロギア及び質量兵器の密売を行ってる犯罪組織の壊滅』なんだけど、質量兵器で武装した相手でも全然ネロ君の敵じゃ無いね此れは。
まぁ、武装はしてても戦闘のプロではないから『どうぞブッ飛ばして下さい』って言ってるような物なんだけど、其れを考えてもネロ君の強さは別格過ぎるね。


「Ha!何だよ、もうお終いか?だとしたら拍子抜けだな――俺達はマダマダ元気だぜ?
 其れとも何か?俺達の強さにビビっちまって縮こまってんのか?……だったら精々春まで冬眠してろ、ビビり屋のチキンには用はねぇからな。」

「言いたい放題だねネロ君……」

「事実を言ったまでだ、何か問題があるか?」


一切ナッシングなの!寧ろ良く言ったって所だよ!
今の敵戦力を掃滅するのだって、イクシードMAXのストリークから、手加減無用のバスターだからね?――うん、実に見事なコンボだったと思うの!!


「まぁ、ストリークは流石に峰打ちだけどな?っと、Don't resist wastefully?(無駄な抵抗はするなよ?)」


――ドドドドドドドドドドドドドドドド!!!


「ひぃ!?」


で、動こうとした相手を幻影刀で壁に張り付け……上着とかズボンの裾だけを正確に狙うとは良いコントロールだね。
此れで略全員確保したから、そろそろ最後の仕上げと行こうかな?やっぱり最後は、隊長自らが決めないとだと思うし、此れは私にしか出来ない事だしね。


「仕上げって、コイツ等で大体終わりじゃないのか?」

「『大体』は終わったけど、レティさんから渡された資料に乗ってた『組織のボス』が居ないんだよ。」

「戦闘のどさくさに紛れて逃げた!?いや、俺達が乗り込む前に『ヤバイ』と思って逃げやがったのか!!」


多分ね。だけど、まだこの場所に入る筈だよ?
資料には『物欲と金欲は相当強く、欲しい物は略奪同然に手に入れ、密売する時は法外な値段で売り付ける』って書かれてたから、多分まだ此処に居る筈。
其れだけ欲が深いんだったら、逃げるまでの間に出来るだけこの場にある密売用の品物や自分のお金を集めてから行くだろうから――



――チャキ……



「レイジングハート『正確に撃ち抜いて』。」

『All right.Divine Buster.』


――ドガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!



「天井抜き?」


このアジトには地下室らしきものは無いから、逃げるとしたら屋上から飛んで逃げるしかない。
更に、沢山の荷物やお金を持って逃げるとしたら飛行機能を持った乗り物で逃げる事になるだろうけど、こう言う場所だと垂直離着陸型しか使えないから――


「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!へぶお!!」

「天井を垂直に撃ち抜けば、ご覧の通り!」

「I see, it's very admirable.(成程、実にお見事なモンで。)」


顔面から落ちたみたいだから、此れは相当に痛いだろうけど、其処は自業自得って所かな?
此れだけ違法な事をやってたって事は、其れがバレた時にどうなるか位はわかってやって居たって事だろうからね?当然、怪我の一つや二つ位は、ねぇ?


「まぁ、そうよね?兎に角、此れにて犯人全員確保ってところかしら?」


見ての通り、一人残らずね。
ドゥーエちゃんの方は?証拠物を押さえるのをお願いしたけど、その顔だと結構出て来たってところかな?


「出たわよ、たっぷりと。
 何処で見つけたか良く分からないロストロギアとか、ネロのブルーローズ並にデカい拳銃とか、ホントに良く此れだけ集めたって感心する程に出て来たわよ。
 そして、それらを違法に密売して得た金も沢山ね。ったく、危険物とか人殺しの武器売って私腹を肥やしてたかと思うと、ネイルの錆にしてやりたくなるわ。」

「その意見には賛成だが、それやっちまったら俺達が犯罪者になっちまうから、どんな沙汰が下りるかは司法の場に任せようぜ?
 大体にして、俺達の仕事はこう言う奴等を裁く事じゃなく、こう言う奴等をぶちのめしてとっ捕まえて裁きの場に送ってやる事だ――そうだろ?」


その通りだよネロ君♪
犯罪者を裁くのは司法の場に居る人の役目。私達の役目は、説得不能な犯罪者や武装組織を『力』を持って制圧して司法の場に連れて行く事だからね。

そう言う意味では、この小隊は間違いなく管理局最強の武装隊だよ?
自慢じゃないけど、第97独立機動小隊は、設立されてから只の一度も犯罪グループを取り逃がした事はない検挙率100%の武装小隊だから!!


「そんな気はしてたが、本気でそうだったのかよ?……マジでスゲェな。
 まぁ、其れは其れとして、今回の任務はコイツでCompleteだろ?なら帰ろうぜ、こんな何にもない無人世界に何時までも居る必要はないからな。」

「そうだね。」

じゃあ、押収品と犯人グループを乗せた次元航行艦は先に行ってください。
私達は、現場の最終確認をした後で戻りますから――



――ヴォン………



「「「「「「「「!!?」」」」」」」」


な、此れは結界!?
其れも、赤い網目状の結界って言う事は……悪魔の結界!!


「イヤ〜〜〜〜〜ッホウ!Welcome to a hell.(地獄へようこそ。)遠くから見させて貰ったけど、ホントに凄いねぇ悪魔のぼーやと栗毛の嬢ちゃんは?
 いんやぁ、その二人ほどじゃないにしても、金髪の嬢ちゃんと他の奴等も大したモンだ。人間風情がコンだけの力を持ってるとか、本気でおどろきだぜぇ?」

「ジェスター……テメェ、何しに出てきやがった!」

「キシシシシシ、そういきり立つなよぼーや。
 敢えて言うなら祝福さ……漸く結ばれたぼーやと嬢ちゃんを俺っちなりに祝福してやろうと思って、ちょいと趣向を凝らしてみたんだ……ま、楽しんでくれよ?」



――ギュオォォォォォォォォン………



今度は転送魔法!?
此れは……拙い、逃げられない!!


「其れとだ、此れからお前さん達が転送される場所は、此処とは時間の流れの異なる場所だ。
 無事戻ってくれば、此処ではせいぜい5秒程度しか経過した事にしかならねぇから、安心して存分まで楽しんで来てくれよ?――地獄の遊園地をなぁ!!」



く……う……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!








――――――








No Side


光に包まれたと思った次の瞬間、なのはは全く知らない場所に転送されていた。


「……此処は?」


其処は、古代のコロッセオを思わせる円形闘技場で、なのは以外には誰も居ない。
恐らくは転送の際に夫々別の場所に飛ばされたと言う事なのだろう――通信は通じないモノと考えた方が良いだろう。


「ジェスターの物言いからすると、多分此処で可成り強い悪魔と戦う事になるって言う事だよね?」


そんな状況に置いても、なのはは冷静に現状を確認し、此れから起こるであろう事態を予測していく。此れもまたなのはがエース・オブ・エースたる由縁だろう。


そしてその予想は見事なまでに的中。


――バリィィィィィィィィィィィィィィ!!!


なのはの居た場所に、突如として強烈な雷撃が炸裂し地面を抉ったのだ。
無論なのははギリギリで其れを回避して無傷だが、地面を抉るほどの雷撃となると、此れを放った者の力量は相当なモノで、オーバーSなのは間違いない。

だが、此れで怯むなのはではない。


「其処!!」


即座に雷撃が飛んできた位置をめがけて直射砲照射!!
確実に襲撃者を捕らえた一撃だが――その砲撃が巻き起こした砂煙の中から現れたのは、凄まじい体躯を誇る鳥型の大悪魔『グリフォン』だ。

『只者ではない』とお互いに思っただろうが、だからと言って戦闘を止める訳ではない。


現れたグリフォンは、雷弾をなのはに放ち、なのはも其れを的確にアクセルシューターで相殺していく。
グリフォンが突進すれば、それを紙一重で躱してクロススマッシャーを放つが、グリフォンも其れは見事な防御で防ぐ――如何やら実力は略互角らしい。


「私と此処までやりあえる人間が居たとはな……実に見事、名を聞かせて貰おうか?」

「お褒めに預かり光栄です。
 私の名は『高町なのは』……以後、お見知りおきを――強い力を秘めた悪魔さん。」


互角の戦いに感銘を受けたのかグリフォンは地上に降り立ち、なのははスカートの端をつまみ、まるで貴族の令嬢がするように一礼して見せる。


「礼儀は弁えているか……我が名はグリフォン!
 強き者と戦えると聞いてこの地にはせ参じたが――如何やら其れは間違いではなかったようだ。」


グリフォンもまた、紳士がそうするように、右腕(右翼)を胸元に持って来て一礼。
如何やらグリフォンは、礼節を持った悪魔であるらしい。


「では、如何しますかグリフォンさん?」

「汝の力、見せて貰うとしようか!!!」

「そう来ると思って居ました!!
 レイジングハート、今の私に出来る最大出力で行くよ!!」

『All right Master.』


だが其れは其れとして、互いに相対したのならば戦うより他に選択肢はない。


ディバイィィィン……バスターァァァァァァァァ!!!

「喰らうが良い!」


直後、桜色の砲撃と、黄金色の雷がぶつかり、凄まじいまでの大爆発を引き起こす。
だが、その爆発の煙が晴れるな否や、なのははグリフォンに肉薄してゼロ距離バスターを繰り出し、グリフォンも其れをギリギリで回避して見せる。


人間vs悪魔の最強空中戦の火蓋が切って落とされた――そう言っても過言ではないだろう。








――――――








Side:ネロ


あんのクソピエロ……次に会ったら鼻の穴を増やしてやる程度じゃ済まさねぇ……鼻から後頭部を貫通する風穴を開けてやるぜ。…寧ろぶっ殺すってとこだ。
転送された先にはなのは達が居ない――完全に分断されたっぽいなコイツは。

まぁ、何が来ようとも俺となのはの敵じゃないだろうが、ドゥーエ達の事が心配だな?

ドゥーエと他の奴等が纏めて一緒ってんなら兎も角、そうじゃなくて散り散りになったとなると面倒な事この上ない――上級悪魔が居るとなれば尚の事だ。
尤も、アイツ等が簡単にやられるとは思えねぇけどな。



――ガキィィィィン!!



「其れで……アンタ達が俺の相手か?
 ドンだけ強い奴が来るかと期待してたんだが、まさか背後から奇襲を仕掛けてくるようなチキン野郎だったとは、正気言って拍子抜けしてガッカリしたぜ。」

奇襲そのものを否定する気はないが、二人掛かりで背後からの奇襲ってのは頂けねぇな?
俺を倒したいなら、せめて俺に感づかれない程度に殺気を小さくしておけよな?……やる気満々のテメェ等の殺気は、分かり易すぎんだよ弩阿呆共が!!


『スパーダ……裏切りの徒……』

『殺す……必ず……殺す……殺しきる!!』


Ha!何だよ、アンタ等も結局はスパーダにぶちのめされたクチか?
ったく、爺さんが有名だと孫も苦労するぜ……だけどな、テメェ等如きは俺の敵じゃねぇ!Eat this!!(喰らいやがれ!!)


――ズバァァァアァァァァアァァァァァァァァァ!!!


「「!!!」」

「速過ぎて見えなかったかクソ共?だが、今のを見切れないようじゃ、テメェ等は俺には絶対勝てないぜ?
 ハンターとキリングフェイス……魔界に於いては相当強いんだろうが、テメェ等如き俺に言わせれば鼻糞だ。俺を殺すならダンテ級の力を身に付けて来い!」

だが、此れで終わりじゃないだろ?
来いよ、ハンター、キリングフェイス!!テメェ等が一体誰に喧嘩売っちまったのかって事を、骨の髄にまで教え込んでやるからよ!!

「Does waste……paw… at most? It's because it isn't besides the absolute "death", to depend on you!」
 (クズが……精々足掻けよ?テメェ等に待ってるのは絶対的な『死』以外にはないからな!)」

なにより、なのは達の事が気がかりだから、此処は押し通らせて貰うぜ!!
Open the way, of a grandchild of underling and an addict swordsman of a legend, you're passing!(道を開けろ三下、伝説の魔剣士の孫のお通りだぜ!)


『スパーダァァァァァァァァァァァァァアァ!!!!!』

『裏切りの血筋……殺す……殺しきるぅぅぅ!!』



やってみろクソッたれ!
最初に言っとくが、俺の前に立ち塞がるなら、例え『神』であろうとも俺は斬り捨てる――大切な人を護る為なら尚更な。

テメェ等如き掃き溜めのクズに、なのはが遅れを取る事はないだろうが、万が一って事も考えられるからな…速攻で終わりにするぜ、跳ねっ返りの負け犬共!








――――――








Side:ドゥーエ


転送された先にあったのは広大な荒野……で、なのはとネロ以外は纏めて私と一緒に転送されたみたいね?
此れは、此処はこの戦力で充分て判断されたのかしら?――だとしたら随分と舐められたモノね私も?――えぇ、この上なくムカつく評価をしてくれたじゃない。

確かに直接的な戦闘力で言えば、なのはやネロに劣るのは否定しないけど、だけど雑兵で如何にか出来るほど私は弱くない。勿論小隊の皆もね。


「此れは……如何なさいますかドゥーエ副隊長?」

「面倒な事はこの際無しの方向ね。
 私からの命令は只一つ――『現れたら躊躇しないで叩きのめせ』それだけ。一切の手加減なしでやって良いわよ――副隊長権限で許可するから。」

何よりも、私達とは別の場所に転送されたなのはとネロの事が気がかりだから、速攻で終わらせて二人の元に向かうわよ!


あの二人がやられるとは思わないけど、だからと言って楽観して良い理由にはならないもの。



――ギュウィィィィィィィン………



『『『『いひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!』』』』

『『『『あ〜〜〜〜っハッハッハッハッハ!!』』』』

『『『『ギヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!』』』』



ともあれ、先ずは現れたコイツ等を撃滅するわよ?
時空管理局、第97独立機動小隊副隊長、通称『姿偽る暗殺者』と言われる私と、小隊の隊員を軽く見た事を、精々後悔すると良いわ――地獄の奥底でね!!














 To Be Continued… 




遂にジェスターが動いたか。
美姫 「みたいね。でも。これでなのはたちを倒すつもりという訳でもないみたいよね」
だよな。なのはたちが勝つと思っているようだしな。
美姫 「二人を成長させて何をするつもりなのかしらね」
まあ、ジェスターの思惑は兎も角として、部隊ごと転移させられたみたいだな。
美姫 「流石に油断は禁物だけれど、その辺りは皆分かっているでしょうしね」
さて、どうなるのか。
美姫 「次回も楽しみにしていまね〜」
待っています。



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