Side:ネロ


辺り一面真っ白な空間――此処は夢の世界か。
俺は確か……そうだ、なのはの言う通りなら『完全悪魔化』してサキュバスをぶっ倒して……多分、限界を超えた力を使ってぶっ倒れたって所なんだろうな……

まぁ、限界超えてぶっ倒れるってのは少しばかりカッコワリィが、なのはを護れたんなら良しとするか。

「で、今回は何の用で俺を此処に呼んだんだバージル?」

「用と言うほどの事ではない……せめて別れの言葉くらい言っておこうと思ってな。」


別れ?
ちょっと待てよ、別れって如何言う事だ!?アンタは俺がガキの頃から俺の中に居たんだろ!?其れが、如何して今更別れだなんて、意味が分からないぜ!?


「俺は、所詮はお前の中に残った『バージルの残留思念』に過ぎん。
 お前と共に居るのも良いと思ったが、如何やら俺の役目はお前が新たな力に覚醒した事で終わりを迎えた……残留思念の消えゆく時が来たと言う事だろう。」


そんな!!……ってオイ、身体がどんどん薄くなってるじゃねぇか!!
嘘だろ……本気で消えちまう心算なのかバージル!!また、俺の前から居なくなる心算なのかよ――父さん!!


「!!……気付いていたのか?……知らぬは親ばかりなりか……
 大丈夫だネロ、消えるのはあくまで俺の残留思念であり、俺の魂の断片はお前の魂と融合して一つになる。
 それに、俺は此れからお前の身体から出て行くが、しかし二度と会えないと言う訳でもあるまい?……若しかたら、今度は俺自身が現れるかも知れんからな。」


アンタ自身が?
……OK、その言葉信じてやるよバージル!だけど、嘘こいたら承知しねぇぜ?……バスターでタコ殴りにしてやるからな!!


「肝に銘じておこう。……如何やらタイムアップのようだ。
 ……お前には何一つ父親らしい事はしてやれなかったが、此れだけは伝えておく――己の愛する者は絶対に護れ。
 どんなに血と泥にまみれて無様な姿を曝そうとも、己が心の底から愛した相手は何があっても護り抜け……其れがスパーダの魂を継ぐと言う事だ。」

「アンタに言われるまでもねぇよ、なのはの事は俺が絶対に護る。
 あぁ、其れこそどんなに無様な姿を曝そうと、俺の命が有る限りはなのはを護る!護って見せる!!……だから、安心しろよバージル。」

「……聞くだけ愚問だったか……お前ならば力の質を見誤る事も有るまい……
 あぁ、其れと最後に――不完全とは言え、よもや俺の奥義である『絶刀』を使うとは思って居なかった……精進怠るなよ?――何れまたな。」


あぁ……分かってる、日々鍛錬は欠かさないさ。――何時か、また会おうぜ。


ん?でも今まで俺の中に居たバージルは居なくなっちまった訳だよな?
そうなると、仮に次に会った時、そのバージルは俺の事が分かるのか?てか、分かる筈ねぇよな?……まぁ、其れについてはその時が来たら考えれば良いか。













リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission44
『穏やかな日〜Gentle day〜』











帰還してから二日後……取り敢えず何もなくて平和そのものだ。
帰還した直後に、俺となのはは精密検査を受けるために一日検査入院て事になったが、結果は全然問題なしだ。なのはに至っては後遺症が吹っ飛んだらしい。

つー事は、なのはは此れからリミッターなしで本当の実力が出せるって事なんだろうな……何と言うか恐ろしい気がしなくもないけど。


俺も身体にもリンカーコアにも何もなかったが――如何やら俺は、デビルトリガーの発動限界時間がなくなっちまったらしい。
何とはなしに、試しに丸一日可能な限りデビルトリガーを発動し続けてみたんだが、夜寝る時まで、発動限界が来て自動的に解除される事はなかったからな?
序にソイツの影響かどうかは知らないが、次元斬での消耗も全く無くなったみたいだ。10発使っても全然平気だったのには、流石に驚いたぜ。

なのはに、この事を話したら大層驚いてたな。(はやての奴は『スーパーネロ君や〜〜〜!』とか言って、何が楽しいのか喜んでたが。)





閑話休題(其れは兎も角)





幾ら力が強くなったって言っても、日々の鍛錬を欠かす事は出来ない。バージルにも『鍛錬を怠るな』って言われたしな。
先ずはバージルの奥義『絶刀』、コイツを完璧に使いこなせるようにならないとなんだが……

「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……疾っ!!


――シュン!バババババババババババババババババババババババババ!!!!


「こんな感じか?」

「ん〜〜〜……疾風居合と次元斬が同時に出せてるのは良いんだけど、今のだとネロの姿が『何とか目視出来る』んだよ、確かに速かったけど。
 完全魔人化したネロが使った時は、本当にネロの姿は全然見えなかった。斬撃の軌道のみが見えた……そんな感じだったかな?」


コイツが中々に難しい。
疾風居合と次元斬を同時に放つってのは、其れほど苦労しないで出来るようになったんだが『姿を消す』ってのは、思った以上に難易度が高いらしい。

と言うか、姿を消すってのも結構漠然としたモンだと思うぜ俺は?
姿が見えない程の超光速で動いてるのか、それとも本当に物理的に消えてるのか、或は光学迷彩みたいに見えなくなってるだけなのかすら分からないからな。


「消えてるとか、光学迷彩とは違うと思うんだ?
 姿を現したネロからは、魔道的な何かで姿を消した感じはしなかったし、絶刀を使った瞬間に僅かだけど音速の壁を突破した音がしたから――

「目に映らない程の超光速移動が必要って事か……こりゃ、絶刀の完成にはまだまだ時間が掛かりそうだぜ。」

「日々鍛錬あるのみ、だね♪
 だけど、多分残りの課題は姿を消すって事だけで、技の破壊力とかは充分だと思うよ?……今の一撃で、練習用の仮想敵20体がものの見事に全滅したし。」


まぁな。
正直言うと、此れだけの破壊力があるなら姿を消す事が出来なくても充分に超必殺技として機能すると思う――だけど、だからって妥協するのはダメだろ?
姿を掻き消す事が出来なきゃ、絶刀にはならないからな。


「だね。だけど取り敢えず午前中は此処までにしておこうか?
 皆もフィジカルトレーニングが終わったみたいだし、そろそろお昼休みの時間だからね。」

「もうそんなになるのか?……集中してると時間はあっという間に過ぎるってのは本当だな。」

なら続きは午後にして、取り敢えず飯にするか。腹が減っては戦は出来ねぇって言うしな。
今日は何にするか……昨日は特盛のカツ丼だったから、今日はカレーうどんのセットを特盛で行くか。思いっきり動いたから、此れ位食わないと足りないぜ。



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で、昼飯なんだが、ドゥーエは一緒の部隊だから兎も角として、最近は何時もはやてとフェイトが一緒だな?いや、別に悪くはないけどさ。
なんつーか、昼休みやちょっとした休憩の際にはこの面子でつるむのが普通になって来たよな。


「かも知れへんなぁ?まぁ、全員同い年やしね。
 なのはちゃんとドゥーエちゃんとネロ君は同じ部隊やけど、私とフェイトちゃんは特別特定の部隊に所属しとる訳やないから、ある程度自由に動けるしな〜〜♪」

「其れに、ご飯は一人で食べるよりも大勢で食べた方が美味しいからね♪」


その意見には賛成するぜフェイト。
フォルトゥナで孤児院の手伝いをしてた時も、大勢で飯食ってる時の方がガキ共は楽しそうだったからな――飯ってのは、大勢で賑やかに食った方が美味いさ。


「逆に一人寂しく食べるのは、本気で寂しさがこみあげて来るからね〜〜……家は大家族で良かったわ。
 っと、そうだ!なのは、ネロ、アンタ達に此れあげるわ、私が持ってても意味ないし。」

「ほえ、ドゥーエちゃん?」

「なんかのチケットみたいだが、何だ此れ?」

「超大型テーマパークのペアチケットよ。
 この間、籤引きで当てたんだけど私が姉妹の誰かを誘ったら誘わなかったのから非難轟々だから、アンタ達にあげるわ。デートするには良い場所でしょそれ?」


で、デートって……いや、なのはとのデートは寧ろ大歓迎だが、そいつは難しいだろ?俺となのはの非番が重なる日はないんだぜ?


「其れに関しては大丈夫よ?レティ提督にお願いして、私の有休二日分をなのはとネロに一日ずつ振り分けて貰ったから。
 そんな訳で、今度の土曜日はアンタ達二人とも勤務なしだから気兼ねなくデートして来なさい。リゾートホテルもあるから一泊して来ればいいわよ。」


アンタの有休を俺達に回してくれたのか!?
しかも一泊可能って……如何して其処までしてくれるんだよ?


「アンタ達の告白シーンを出刃亀した罪滅ぼしとでも思ってくれれば良いわ。
 まぁ、偶には羽を伸ばして思いっきり遊ぶのも大切よ?特になのはは、部隊長として結構ガッチガチな日常を過ごしてるから……デートで息抜きして来なさい。」


あの時の罪滅ぼしか……まぁ、俺もなのはも其処まで気にしちゃいないが、そう言う事なら有り難く貰っておくぜ。


けど、なのはとのデートか……少しばかり緊張しちまうな。



「ネロとデート……期せずしてだけど、ありがとうドゥーエちゃん!」

「まぁ、気にしないで?
 このテーマパークは屋内プールとかもあるから、丸一日掛けても結構遊べるはずよ?初デート思いっきり楽しんで来なさいなのは。いっそ流れたファーストキスも済ませちゃえ。

「どぅ、ドゥーエちゃん!?///


なのは?……顔が赤いけど大丈夫か?


「だ、大丈夫!大丈夫だよネロ!」


なら良いが、無理だけはするなよ?まぁ、無理しそうになったら俺が止めるけどさ。


にしても、なのはとのデートか……今から楽しみで仕方ないぜ。――当日は、一体どんな事が起きるんだろうな?








――――――








Side:なのは


時は進んで土曜日――つまりはネロとのデートの日。
えっと、此れはでおかしくないかな、レイジングハート、くーちゃん?


『No problem Master.It looks good better.(問題ありませんよマスター。寧ろ、良く似合って居ます。)』

「なのは良く似合ってる……凄く可愛いよ?」


ありがとう二人とも。
今日の私のファッションは、薄紅色のワンピースに、若葉色のカーディガンを羽織って、髪は何時ものサイドテールじゃなくて完全に下ろしたロングヘアー状態。
其れから、ネロに貰った指輪の付いたネックレスも忘れずにね。


折角のデートだから、結構気合入ってるかも……ネロはどんな格好で来るのかな?其れも楽しみだね。


だけど、一抹の不安は宿泊先のホテルなんだよねぇ……
はやてちゃんが部屋の手配をしてくれたって事だけど、如何にも嫌な予感しかしない……相部屋は多分だろうけど、絶対にそれ以上の事が待ってるよね!?


『Please probably do……resolution, master.(恐らくは……覚悟を決めておいてくださいマスター。)」


覚悟を決めないとか……まぁ、私のハジメテはネロに捧げる心算ではいるけどね。


ところで、レイジングハートとく〜ちゃんは今日は如何するの?
一緒に来るって言うなら別に構わまないよ?ネロも気にしないと思うしね。


『I'm reserved. Today is a rendezvous of a master and Mr. Nero, so KUON is looking after the house with me so as not to become obstructive.
 (遠慮しておきます。今日はマスターとミスターネロのデートですから、邪魔にならないように私と久遠は留守番をしています。)』

「初デートは邪魔者なしで楽しんできて〜〜?」


レイジングハート、くーちゃん!……その心遣いに感謝かな?
うん、だったら思い切り楽しんでくるよ、ネロとの初デートを。――それじゃあ、行ってきます♪


『Please go, master…is the rendezvous to which…is preferred.(行ってらっしゃいマスター……デートを楽しんできてください。)』

「いってらっしゃ〜〜い♪」


高町なのは18歳、此れから人生初となるデートに臨みます!


ネロは一体どんな格好で来てるのかな?……始まる前から楽しみで仕方ないよ♪――若しかしたら、こう言うのが『恋してる』って事なのかな?

良く分からないけど、ネロの事を考えると胸が温かくなるから……恋してるなんてモノじゃなく、私はネロを愛してるんだねきっと。
その愛してる人との初デート、何とも楽しみなの♪



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で、待ち合わせ場所である、ミッドチルダ駅前の駅前公園にやって来た訳だけど………何なのかな此れは?



「ね〜〜、お兄さん一人?良かったらアタシ達と遊ばない〜〜〜?」

「悪いが連れを待ってるんでね、アンタ等と遊ぶ気は毛頭ない。」

「若しかしてデート〜〜?
 だけど、お兄さん結構前から此処で待ってるよね?此れってもしかしてすっぽかされたんじゃない?てか絶対そうだから、彼女なんて放っといて遊びましょう?」


ネロの周りには逆ナンパ目的のギャルがわんさかと。
確かにネロは極上レベルのイケメンだけど、だからって逆ナンパをするかな普通?大体にして、ネロは貴女達と遊ぶ気はないって言ってるのに聞く気はなし!?


「Be silent, a demimondaine!I'm not interested in you.(黙れ売女が!俺は貴様等なんぞには興味がない。)
 俺が暇そうに待ってるように見えたんだろうが、生憎とまだ待ち合わせの5分前でね……単純に俺が早く来すぎただけで、すっぽかされた訳じゃないぜ?
 大体にして、なのはは約束を破るような奴じゃない……お前等みたいなナンパ女とは違うんだよ!」


でもネロも付き合う気は更々無いみたいだね。
其れが分かっただけでも良いかな?――ゴメンね、待たせたかなネロ?


「なのは!……いや、大して待ってねぇから気にするな。――其れに、こうやって待つのもデートの内だからさ。」


はうわぁぁぁぁ〜〜〜!ある意味でお決まりのセリフだけど、ネロが言うと此処までカッコイイの!?其れともネロが言うからカッコイイの!?此れは予想外……
しかも今日のネロの服装は、何時もの濃紺のコートじゃなくて、目の覚めるような純白のコート……凄くカッコイイよ。


「ま、少しばかり待ったのは事実だし、そのせいで変なのに絡まれちまったが、全く問題はねぇさ。
 ――そんな訳で、俺のなのはが到着したんで、アンタ等は大人しく諦めな。
 ……ドンだけ化粧や服で飾っても、アンタ等程度じゃ、なのはの魅力の足元にも及ばねぇよ――次からは声をかける相手をよく見定めるんだな。」

「「「「orz」」」」


そして見事に撃沈したね?
逆ナンパ集団が全員『orz』状態だけど、放っておいていいのかな?


「別に良いだろ?
 大体にして、なのはの事を軽く言った奴等なんて如何でも良いし興味もない。――俺の彼女はなのはだけだ。」

「そ、そう言ってくれると嬉しいよ。……私の彼氏もネロだけだからね♪
 それで、如何かなこの格好?折角のデートだから結構考えたんだけど、その……おかしくないかな?」

「薄紅色のワンピースに若葉色のカーディガン……良く似合ってるよ、凄く可愛いと思う。
 其れに髪型も、何時ものサイドテールじゃなくて、完全に下ろしたロングストレートってのも新鮮だしな――うん、凄く似合ってる。最高に可愛いぜなのは。」


はうにゃ〜〜〜……そんなにハッキリ面と向かって言われたら照れちゃうよ///
だけど、そう言って貰えるなら気合を入れた甲斐もあったかな?――うん、きっとあった筈だよね♪

其れじゃあ行こうかネロ。初デートを楽しもう?


――ぎゅ


「なのは?」

「えへへ〜〜〜……好きな人が出来たら、こうして腕を組んでみたかったんだ。……ダメ?」

「ダメな訳ないだろ?
 俺だって、こう言いうのは嫌じゃないし、なのはと腕が組めるなら嬉しいさ――なら、デート中は基本此れで行くか?」


異議なしなの♪

初めてのデート……凄くドキドキするなぁ。

でも、そのドキドキですら楽しもうとしてる私が居るのもまた事実――うん、ネロとのデートを先ずは目一杯楽しまないとだね!














 To Be Continued… 




残留思念であるバージルがネロの中から消えてしまったみたいだな。
美姫 「流石にちょっと寂しいわね」
だな。でも、当人も言ってたように本人に会うかもしれないしな。
美姫 「そうね。まあ、しんみりしても仕方ないわね」
だな。今回はなのはとデートの話みたいだし。
美姫 「二人には楽しんでもらいたいものね」
ああ。でも、部屋を手配したのがはやてという時点で何かしてそうな。
美姫 「でも、悪い事はしてない……と思うわよ」
さて、二人の初デートはどうなるのか。
美姫 「次回も楽しみに待っていますね」
待っています。



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