ネロ?……知ってるわよ、武装隊のアイツでしょ?
どんな奴かって?……そうねぇ……先ず笑っちゃうくらいに腕が立つわ。
聞いた話だと、何時ぞやは質量兵器で武装した銀行強盗相手に、妙な刀一本で軽々切り抜けたとか、異形の右腕でブッ飛ばしたとか、そんなのばっかりよ。
加えて物凄く変わり者よアイツは?
昇進の話を軒並み蹴ってるって事みたいだし、自分の気に入らない相手だと例え上官であっても、絶対に言う事は聞かないって来てる……マジで変わり者だわ。
そのくせ、エース・オブ・エースこと、高町なのはさんの指示には軽口叩きながらも素直に従うとか……本気で訳が分からないわよ。
だけど、アイツに勝てと言われて、勝つ事の出来る魔導師は多分存在しないんじゃないかしら?――多分、良い所『時間切れ引き分け』が関の山だと思うわよ?
うん、エース・オブ・エースが出張ったとしてもね。
そう言えば、聞いた噂だと、そのエース・オブ・エースと恋仲になったとか……其れが本当だとしたら、本気で凄いわネロって。
何で?
だって、今まで数多くの男性局員が、高町なのはにアタックしたけど、その全てが玉砕してるのよ?
それを考えたら、彼女と恋仲になったネロは凄いって事が分かるでしょ?
って言うか、何時ぞやの公開演習では、見る者を魅了する位のコンビネーションを見せてくれたし――あの二人のタッグは、言うまでもなく管理局最強でしょうね。
そう言えば、その二人は、八神はやて二佐の新設した部隊に配属されるとか……何か、凄い部隊になりそうだわ。
まぁ、其れは其れとしてネロの強さはハンパ無いって事だけ言っておくわ。
アイツに睨まれたら、其れこそ悪魔ですら泣きだすかもしれないわよ?――其れ位に強いからね、ネロって言う奴はさ。
――ある管理局員の世間話より抜粋
リリカルなのは×Devil May Cry 黒き騎士と白き魔導師 Mission47
『始動開闢〜Start beginning〜』
Side:ネロ
分かり切ってた事だが、ヤッパリな眠いな此れは。
年度が変わって、4月1日の今日、はやてが新設した『機動六課』が世間に向けてお目見えする日で、壇上でははやてが何か言ってるが、耳には入らないな。
こっちに来てか、丸2年が経ったが、如何にも長い演説には慣れそうもない……だからって、寝たら寝たで大問題に発展しかねないから……もう少し我慢するか。
――と、そう思ってたんだが……ダメだ、やっぱり眠気が襲って来る……
「寝ちゃダメだよネロ?」
「あ、あぁ……大丈夫だぜ、なのは?」
んだが、隣りに居るなのはに、コートの袖を引っ張られて一気に脳味噌が覚醒したぜ!!
あの眠気を一気に吹っ飛ばすとは、流石はなのはと言うか何と言うか……取り敢えず、サンキューなのは、寝ちまわなくて済んだよ。
「此れ位はね……って言うか、改めて見ると凄い部隊だね此れ?」
「凄いどころの騒ぎじゃねぇだろ?
俺となのはとドゥーエだけでも戦力的には充分だってのに、はやてお抱えの騎士達にフェイトだろ?其れから、訓練校を卒業したばかりの新人達――」
「ティアナ・ランスター、エリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエ、それから私の妹が4人ね。」
そう、其の内4人がドゥーエの妹と来た。
まぁ、其れだけで判断する心算は無いが、ドゥーエの妹を含めた7人も只者じゃないんだろうな……態々はやてが、自分の新設部隊に引き抜いた位だからな。
加えて、デバイスとかの整備や開発にマリーが居て、ヘリとかの操縦士にも一級の奴等を揃えてるって事みたいだし、裏方の方もバッチリって訳か。
でもって、この部隊の後ろ盾になってるのはレティとフェイトの兄貴と、更に『伝説の三提督』とか言われてる、爺さんと婆さんと来たモンだ……本気でスゲェよな。
こう言っちゃなんだが『部隊のランク保有制限』とかどうなってるんだ?明らかにオーバーしてるだろ?
「其処は、はやてちゃんが巧くやったかな?
部隊設立に必要な書類の上では、私とネロ、はやてちゃんとフェイトちゃんとドゥーエちゃんにはリミッターを掛けてランクを下げるって事にしたみたいだから。」
「書類上って事は、実際には掛けねー訳だな?
物は言い様っつーか、なんつーか……前に行ってた、昇進の為に身体をってのは、実は上層部の老いぼれ共に口出しさせない為の裏工作だったのかもな?」
「なはは……有るかもねはやてちゃんなら。
私やフェイトちゃん、ドゥーエちゃんだったら絶対出来ないような裏工作も、はやてちゃんだったら割と簡単にやってくれちゃうからね。」
敵にしたくねぇなマジで。
其れと、此れを言ったら元も子もないんだが、良く設立出来たよなこの部隊?
最高評議会とやらをぶっ潰すための部隊って事なのに、連中が何も言ってこなかったのか?……其れとも、如何とでも出来ると思って放置してんのか?
「其処も、はやてが巧くやったって所ね。
機動六課は、表向きには『古代遺物管理部』って事になってるみたいよ?だから、最高評議会の脳味噌共も何も言ってこなかったんじゃないかしら?
尤も、レジアス中将が最高評議会のメンバーのままだったら面倒であったかもしれないけれどね。」
「……部隊の本質すら欺くとは、本気で侮れねぇな部隊長様はよ。
そんだけ本気って事なんだろうけど……まぁ、もう賽は投げられたんだ、覚悟を決めてテメェのやる事やるだけだぜ。」
ぶっちゃけ、誰が来ようとこの面子で負ける事の方が想像出来ねぇ……つーか、絶対に敗北なんざ有り得ねぇからな。
『……と言う訳で、今此処に新部隊『機動六課』の設立を宣言します!
期間限定とはいえ、今日からこのメンバーが新たな部隊や!1年間、宜しく頼むで!!!』
はやての演説も終わったか。
つー事は、今この時を持って、新設部隊『機動六課』は部隊運用が開始された訳だ!んじゃまぁ、改めて宜しく頼むぜ、なのは!ドゥーエ!!
「此方こそ宜しくね、ネロ!」
「武装隊最強と謳われた『第97独立機動小隊』からの出向者の実力、見せてあげましょ♪」
OK!…This may be fun.(良いね!…楽しめそうだぜ。)
俺は、間違いなく武装小隊だろうからな?精々、思いっきり暴れさせて貰うさ。
と、其れとは別に、良い機会だから、後でフェイトとはやてにどうやって『デビルトリガー』の力を手に入れたのか聞いとかないとだな。
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んで、設立式の後は、武装小隊に配属されるメンバーの顔合わせか。
大体予想はしてたが、新人7人は全員武装隊みたいだが――アンタの妹達の腕前はドレくらいなんだドゥーエ?ギンガは結構強い奴だったが……
「そうね、取り敢えず全員がシューティングアーツとストライクアーツの有段者で、スバルとノーヴェは3段の腕前ね。
ディエチとウェンディは初段しか持ってないけど、その分ミドル〜ロングレンジでの戦闘技術はナカジマ六姉妹の中でも特出してる…強いわよ、私の妹達は。」
そいつは結構だ。
となると、実力未知数なのは、残りの3人――ティアナとエリオとキャロか。
尤も、ティアナは訓練校を3位の成績で卒業してるから、優秀なのは間違いねぇよな……つーか、卒業時の成績トップ5がナカジマ姉妹&ティアナみたいだけどさ。
其れよりも気になるのが……
「其れって、本物のドラゴンなのか?」
「ふへ!?……あと…えっと……ネロさん…でしたよね?」
悪い、驚かせちまったか?なら悪かったな……その白いドラゴンが気になってね。
改めて聞くが、其れは本物のドラゴンなのか?随分と小さいが……ぬいぐるみじゃないんだろ?
「はい、フリードは私の大切なパートナーの『アルザスの飛竜』なんです。
小さいのは、力を抑えてるからで、私が力を解放すれば巨大な飛竜の姿になりますけど……その状態だと、管理局内には置く事が出来ないので……」
「そりゃそうか……だが、ドラゴンを使役するなんて凄いんだなお前は?
機会が有れば、ソイツの背に乗せてくれよ?ガキの頃から、一度ドラゴンに乗って大空を舞ってみたいと思ってたんだ、良いかな?」
「はい、機会が有れば。フリードも、貴方の事を警戒して居ないみたいですし。」
ならその時は頼むぜ?
改めて、ネロだ。同じ部隊の仲間として、頼りにしてるぜキャロ?それと、そっちの赤毛の少年――エリオもな。
「はい、宜しくお願いしますネロさん♪」
「宜しくお願いします!」
あぁ、宜しくな。――この2人は此れで良しと!
んでもって……顔が近いぜ、赤毛のパイナップルヘアー?
「すまねっす……でも、出来ればちゃ〜〜〜〜〜んと、面と向かって挨拶をしといた方が良いと思って……ウェンディ・ナカジマ、宜しく頼むッス!!」
「ウェンディな……OK、覚えたぜ。だから取り敢えず離れろ。なのはが『取っても良い笑顔』でお前の事を見てるから、死にたくなかったら離れろ。」
「死ぬのは嫌っす!!てか、勢い余っただけで他意はないっすよ、高町隊長!!」
「だよねぇ?――他意が有ったら、ディバインバスターブチかましてたから♪」
『It's dangerous thought surprisingly, isn't it Master?(割と過激ですね、マスター?)』
サラッと恐ろしい事言ってんじゃねぇ!!隊員をぶち殺す気かよお前は!!
心配しなくても、俺が愛してるのはなのはだけだぜ?他の女になびく事なんざないって、天地神明に誓って言えるからそんなに心配しなさんなって。
「なら良いけど……六課は可愛い子が揃ってるから、心配になっちゃうの……」
「大丈夫だって……こう見えて、俺は意外と一途なんだからさ。」
――ギュ……
これで、少しは安心したか?
「うん……」
「甘〜〜〜〜〜い!!メッチャ甘いっすよネロネロ〜〜〜〜!!!
もう見てる方が赤面全開で、砂糖吐くレベルっす!!塩をくれ!醤油をくれ!!寧ろ豆板醤と辣油をくれってレベルっす!!めっちゃ、お似合いっすよ!!」
あ……ワリィ、ついやっちまったぜ。
まぁ、そう言う訳で、俺となのははこんな関係だから了承しといてくれ――其れで、自己紹介の途中だったな?ネロだ、宜しくな。
「うぃ!改めて宜しくッス、ネロネロ!」
「ディエチ・ナカジマです、宜しくお願いします。」
「ドゥー姉とギン姉から、噂はかねがね……スバル・ナカジマです、宜しくお願いします、ネロさん!!」
「ノーヴェ・ナカジマだ、訓練校の伝説になってる人と同じ部隊になるなんて思っても居なかったが……今日からは、仲間だからな?宜しく頼むぜ!!」
All right!It's the intention of course.(任せときな!勿論その心算だからな。)
んで、最後に……此れから同じ部隊の隊員として、宜しくなティアナ?
「え?……あ、はい!宜しくお願いします!!」
「……なんだって、そんなに緊張してるんだお前?」
「そりゃあ緊張もしますよ……此れだけの精鋭が集った新設部隊なんですよ?
私みたいな『凡人』が居て良いのかって思いますし……正直、自分が此処に引き抜かれた理由が分からないって言うか……兎に角、緊張はするんですよ。」
そんなモンかねぇ?
だが、自分を凡人とか言うのは良くないぜ?この世に『凡人』は存在し得ない――どんな奴だって、必ず自分の才能ってモノを持ってるんだからな?
其れが開花するのが早いか遅いかの違いはあっても、無才の人間は存在し得ないんだぜ?
何が、お前が己を凡人と言わしめてるかは知らないが、自分を凡人だなんて言うなよな?鍛えて物にならない奴なんて存在しないんだからさ。
「!!……確かに、自分を卑下して居たら、伸びる物も伸びませんね……其れにすら気付かないだなんてね。
少し気分が楽になりました……改めましてネロさん、ティアナ・ランスターです、宜しくお願いします!!」
あぁ、宜しくな。
んでよぉ、フェイト、はやて――お前等一体何処で『デビルトリガー』を手に入れたんだ?アレは早々簡単に手に出来る代物じゃねぇんだぜ?
「なんや、気付いとったんか?……確かに私はデビルトリガーの力を有しとるよ。
前に『ヴォルベルグ』って悪魔と戦ったときに、その悪魔の僕たる2体の白狼を受け継いでな?……そん時にデビルトリガーを会得したみたいなんよ〜〜?」
「私の方は、この『アラストル』を手に入れた事がトリガーだね。
アラストルを手にしたとで、その力を使ってデビルトリガーの発動が出来るようになったみたい。」
つまり、俺やなのはとは違って後天的に外部からの力でデビルトリガーの発動が可能になったって所か……本気でハンパねぇ感じだ。
だけどフェイト、アラストルを従えたって事は――アンタは応える事が出来たんだよな?アラストルからの、有り得ない程の熱烈なラブコールにさ?
「流石に意識が飛びかけたけど、何とか応えられたよ?
もしも応えられなかったその時は、リアルに心臓を貫かれてたかと思うとゾッとするけど、だけど応える事が出来たから、アラストルは大事な私の相棒だよ♪」
マジかよ……ダンテ以外にアラストルを従える奴が居たとは驚きだぜ。
俺となのはに、はやてとフェイト――そう遠くない未来に、ドゥーエもデビルトリガーを習得すると思うのは俺だけなのかねぇ?……マジで、トンでもねぇ部隊だぜ!
時にはやて、部隊編成って如何なってんだ?
此処に居る奴等は全員、機動六課の武装小隊になるんだろ?……流石に1チームで済ますって事は無いと思うんだが……
「勿論、武装小隊は、高町一尉が隊長を務める『スターズ』と、テスタロッサ一尉が隊長を務める『ライトニング』に分けとるよ。
折角やから、この場で部隊編成発表してまおか!!寧ろ、そうすべきやと、私の中の本能が輝き叫びまくっとるからなぁ!!覚悟は良いか、野郎ども!!!」
覚悟も何も良いから、取り敢えずどうなったのか発表しろや。
果たして、どんな部隊編成になるのか楽しみにしてる俺が居るってのも、割と事実なんでね。
「ほな、発表するで!先ずはスターズ!!
隊長を高町なのはとし、副隊長にヴィータとドゥーエの2名を任命する!そして、ネロ、スバル、ティアナ、ウェンディを隊員として配属するで?異論はないな?」
「うん、異論はないよはやてちゃん。寧ろ最高の編成かな?」
「なら良かったわ〜〜――続いてライトニング!
隊長はフェイト・T・ハラオウンとし、シグナムとザフィーラを副隊長に、エリオ、キャロ、ノーヴェ、ディエチを隊員として配属する!!バランス的には良いやろ?」
確かにバランス的には良いかもな?
Ha!ともあれ、今日から1年間はこのメンバーでチームなんだ、息を合わせてバッチリ行こうぜ!
「「「「「「「ハイ!!!」」」」」」」
面倒事や厄介事が起きるのは間違いないだろうが、どんな困難だってこのメンバーだったら乗り越えられるだろうよ。
精々、思いっきりやってやろうじゃないか。
最高評議会の脳味噌共に、機動六課の設立を『是』とした事を、文字通り脳髄の奥底まで後悔させてやるぜ!!覚悟しておけよな、クソッ垂れの脳味噌共が!!
――――――
――機動六課設立式から凡そ20時間後・ミッドチルダの郊外
Side:???
ぐ……此処は、何処だ?俺は………俺は確か……
「そうだ、俺は魔界でダンテに負け、魔界の深淵へと堕ち、そして魔帝に戦いを挑んだのだったな……」
其処から先の記憶がハッキリしないが――俺は負け、魔帝の手駒になり下がったのだろう……朧気ながら、ダンテに二度目の敗北を喫した記憶はあるからな…
ダンテに敗れ、そしてマレット島の爆発で死んだと思ったが、トコトン俺は簡単に死ぬ事が許されていないらしいな。
だが、閻魔刀が無いと言うのは流石にキツイと言うのも本音な所か……イミテーションとして再現した『ベオウルフ』では格闘戦も高が知れているだろうからな。
『『『『『『ギャギャギャギャギャ……!』』』』』』
尤も、俺の周りに現れた奇妙な機械人形にやられてやる心算は毛頭ないがな。
ふ……来るが良い、雑魚共。
閻魔刀が無いので、全力とは行かんが、貴様等に格の違いと言うモノを教えてやる――スパーダの血筋を、簡単に制する事は出来ぬと知るが良い!!
――バキィ!!
『『『『『!?』』』』』
「フン……大層な見た目の割には脆いな……この程度では、準備運動にもならん――纏めて掛かって来るが良い、その力、余す事なく屠ってやろう。」
精々、俺の糧となるが良い――この程度でも回復の為には使えるのでな。
だが、まさかこの後で、俺自身も認知して居なかった俺の息子と会う事になろうとはな……マッタク持って、運命と言うのは分からんものだな―――――
To Be Continued…
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