Side:なのは


「「ただいま〜〜〜〜〜。」」

今日も今日とてお仕事を終えて、くーちゃんと一緒に帰宅。
私は現在友達のフェイトちゃんとルームシェアをして生活中――まぁ、お互いに仕事が忙しい上に部署も違うからあまり一緒の事は無いんだけどね。


「あ、おかえりなのは。」

「久遠もおかえり〜〜!お揚げ沢山買って来たよ♪」

「わ〜い♪」


今日はアルフと一緒に家に居たみたい。
合計4人での生活は中々楽しいモノがある――くーちゃんとアルフも仲良しだから言う事ないし……ところでフェイトちゃん、其れってお仕事?


「うん……2週間ほど前に起きた、デパートでの警備員殺害事件の資料だよ……最近担当になったんだ。」

「あぁ、あの事件の担当に……そうだったんだ……それで、むずかしい顔してたけど如何したの?」

「……難しい顔にもなるよ、この事件は『不可能犯罪』としか言いようが無いんだ……如何考えても、こんな事は出来る筈がない。」


不可能犯罪?……其れって如何言う事?


「先ず当時デパート内に居たのは被害者の警備員だけで、他に店内に人は居ないし、誰かが外部から侵入した形跡もない。
 自殺の線も考えらえたけど、切り傷と刺し傷の異常な多さに加えて、背後からも刺され、斬り付けられてる事からその線も除外。
 誰かが魔法的な何かを使ってマネキンを操った可能性も有ったけど、監視カメラの映像を解析しても其れらしきモノは一切なし。
 マネキンが自動的に動いて警備員を殺害したって言うのが状況的には一番適切かもしれないけど、其れは無理があるからやっぱり除外。
 正直言って此処まで面倒な事案だとは思ってなかったよ…」


其れは何とも面倒だね……犯人はマネキン何て言う訳にも行かないし――って、アレ?独りでに動く人形?
操られた様に動くマネキン人形……操り人形――マリオネット………等身大の人形を依代にする悪魔………!!……でも、そんな――まさか、ね。












リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission6
『とある一日〜The One Day〜』











「けど、本当に不可能な犯罪なんて有り得ないから、何処かに絡繰やトリックがある筈――其れを暴くのも私の仕事だからね。
 こっちの方は、あんまり煮詰まらない程度に頑張ってみるよ――で、なのはの方は如何?今期の訓練校の訓練生達で有望な人は誰か居た?」


居るよ、今期の訓練生は想像以上に粒揃いなの。
特に、ネロ君とギンガとヴィッツはその中でも群を抜いてる――この3人のチームが暫定最強チームと言っても言いすぎじゃない…其れ位に強いの。


「ネロって、なのはの推薦で訓練校入りした、確かシグナムに勝ったって言う剣士の…」

「うん。だけどネロ君は剣だけが全てじゃない……射撃、防御、機動力の全てがとっても高い。
 加えて腕力なら、きっと管理局の誰よりも強いと思うよ?……大型トレーラーサイズの仮想敵を、アッパーで打ち上げてから殴り飛ばしたからね。」

ホントに半端ないよ悪魔の右腕って。
ただ単純に豪快な力技だけかと思ってたら、伸縮自在の性能を生かして『何かを掴んで移動』って言うトリッキーな動きも出来るからね。

しかも其れだけじゃなく、私のバスターを1発だけとは言え完全に防ぐ『アイギスの盾』や、植物を思い通りに操る力とか……本当に凄い事ばかりなの。


「1発だけでもなのはのバスターを防いだ!?それ以前にトレーラーサイズの仮想敵を殴り飛ばすって……!」

「もっと言うなら、殴り飛ばすだけじゃなく、持ち上げて叩き付けたり、片手一本背負いの要領で投げ飛ばしたり…」

「其れはもう腕力とかの問題じゃない気がするけど…凄いんだねネロって。
 ……なのはは訓練生の事をいつも真剣に考えてるのは知ってるけど、こんなに色んな意味で評価高い子は初めてな気がするよ?
 其れに判定とは言えシグナムに勝った実力者――機会があれば私も戦ってみたいかな。」


フェイトちゃんもシグナムさんに負けず劣らずの『戦闘好き』な部分があるよねぇ?
『模擬戦』って言う名目なら、申請すれば訓練生と戦うのは可能だけど――ソニック未使用なら、フェイトちゃんは多分ネロ君には勝てないと思うよ?

「フェイトちゃんのスピードは、インパルスフォームでも亜光速に達してるけど、ネロ君は恐ろしく動体視力が良い上に勘が鋭いの。
 インパルスフォームのスピードなら、多分数回で見切るだろうし、何よりネロ君にはザフィーラを遥かに上回るほどの圧倒的な腕力があるからね。
 圧倒的パワーで繰り出される、重さ40kgの大剣の連続攻撃はその重さを感じさせないほどに素早いし、間合い外から悪魔の腕も伸びて来る。
 直射用の魔力弾と、変幻自在で行き成りどんな空間にも発生させられる魔力刀……此れだけでも並の魔導師を遥かに上回るでしょ?」

「其れって訓練校では強すぎる存在に成ってるんじゃないの?……他の訓練生、心折られてない?」


その辺は大丈夫……って言うか私の推薦て事で、ネロ君に対抗意識燃やしてる人が多くて、模擬戦でやられてもめげないと言うか何と言うかね。
更に、ネロ君と一緒のチームのギンガとヴィッツも凄い子達で、この3人が目下今期の訓練生では最強…で、周囲も其れに触発されてるの。

今期の訓練生は、若しかしたら卒業時には全員が最低でもB+レベルの力を身に付けてるんじゃないかなぁ?


「其処まで!?……思いもよらない起爆剤って感じだね。
 だけどなのは、なのははネロを保護する心算で訓練校に推薦したんでしょう?
 其れなのに、そんなに強かったら幾ら推薦者の居る部隊…なのはが所属してる小隊に配属されるって言っても佐官クラスの人がスカウトしたら…」

「其れは大丈夫だよフェイトちゃん、私が所属してる武装隊の最高責任者はレティ提督だよ?」

「あ、そうだった……其れなら大丈夫だね。」


うん。
仮に一部隊の隊長である佐官クラスの人がネロ君をスカウトしようとしても、更に階級が上のレティ提督がネロ君をスカウトすれば無問題。
其の後で、私の小隊に配属してもらえば良いだけの事だもん。其れ位はちゃんと考えてるよ?


「そっか……そうだよね。」

「此れ位はね―――で、話は変わるんだけど、フェイトちゃん一度ネロ君に会ってみない?」

「え?其れは構わないけど、如何して?」


なはは……何となくかな?
はやてちゃんとシグナムさんとヴィータちゃんは会ってるけど、フェイトちゃんはまだ会った事ないし――顔見知りは多いに越したことは無いからね♪


「なのはらしいね。
 其れなら今度の日曜日が良いかな?日曜なら仕事も休みだし、訓練校も教練は休みだよね?」


其れが良いね。
訓練校も日曜日は教練は休みだからね――まぁ、自主練をしてる人は居るけど。

それと、当日は担当事件の資料持って来てもらっても良いかなぁ?


「え?……別に構わないけど……必要なの?」

「割と必要かもしれないよ?……その事件の犯人、ネロ君なら分かるかも知れないからね……」

私の考えが正しければ、その事件の犯人は管理局の常識が通じない相手――悪魔かもしれないからね。








――――――








Side:ネロ


Be gone!!(消えちまいな!!)

ちぃ……紙一重で避けるか……だったらコイツは如何だ?Eat this(喰らいやがれ)……マキシマムベット!!
って消えた!?……く、上からかよ――相変わらず容赦ねぇ!……だけどな、その攻撃はもう分かってる、スナッチからのバスターを決めてやる!!




「!!!なっ……嘘だろ!?」

スナッチをギリギリで躱して急降下……しまった!!!!



「……今回も俺の負けか――イメージトレーニングでもアンタに勝つ事は、マダマダ難しいみたいだぜダンテ……」

初めて会った時と比べれば、俺だって随分強くなったと思うんだが、其れでもダンテを相手にしたら、デビルトリガーを発動して漸く互角って所だな。
そうなると、ダンテもデビルトリガーを発動したら俺は絶対勝てない訳で………クソ、あのおっさんバグってんじゃねぇだろうな?強過ぎるだろ!!
……ぶっちゃけ、今のチームで挑んでもダンテだったら余裕で勝っちまう気がする……伝説のデビルハンターは伊達じゃないって事か……

「目標までの道のりは果てしなく長そうだが、何時か必ず超えてやるからな…!!」

アンタなら『Ha-ha!そいつは良いや、やってみなぼーや!』とか言いそうだけど、其れ位しないと俺は俺の欲する『力』を手に入れられない。
アンタくらい強くならないと本当の意味での『護る為の力』を得る事なんて出来ないだろうからな。


「あ、此処に居たんだ。日曜なのに精が出るねネロ君。」

「ふぅ……オーバーワークにならない程度の自主練なら問題ないだろなのは?」

久遠は今日も一緒か?本当になのはの事が好きなんだなお前は。って言うか、今日は子ぎつね状態で頭にへばりつきかよ。
幾ら子ぎつねの姿とは言え、重くないのかなのは?


「へ?此れ位大丈夫だよ?子ぎつねのくーちゃんは5sもないから全然軽いし。
 其れに私の昔の知り合いには全身猫まみれになっても平然としてる子が居たし、其れに比べたらくーちゃん1人くらいは如何って事ないよ。」

「確かにシュテルは凄かったよね……」

「何モンだよその知り合いってのは…」

で、今日は如何したんだ?日曜は教導はなしの筈だろ――其れなのに態々訓練校にまで来るなんて。
ギンガとヴィッツも出掛けてるから居ないぜ?


「うん、今日はネロ君に私の友達を紹介しようと思って――其れからちょっと聞きたい事も有ったから。」


聞きたい事?……まぁ、俺に答えられる事なら別に構わない。
んで、紹介したい『お友達』ってのはそっちのブロンドの奴と……獣耳生えたオレンジ色の髪の奴か?


「紹介するね、私の友達のフェイトちゃんと、その使い魔のアルフ。」

「フェイト・T・ハラオウンです――なのはから色々話は聞いてるよ?」

「アルフだ。……ふぅ〜ん?こうして見ると、とてもトレーラーサイズの相手を殴り飛ばすような奴には見えないねぇ?」


ネロだ、宜しくな?
トレーラサイズって……なのはからバスターの事を聞いたな?――やろうと思えばもっとデカい相手だって殴り飛ばせるし投げ飛ばせるかもだけどな。

まぁ、其れは良いか。
フェイトとアルフは此れからも宜しくだが……本命はそっちじゃなくて『俺に聞きたい事』だろ?一体何を聞きたいんだ?


「其れなんだけど……此れを見てくれるかな?2週間ほど前に起きたデパートでの殺人事件なんだけど……」

「An?……あぁ、アレか――コイツが如何かしたのか?」

「フェイトちゃんが言うには、此れって『不可能犯罪』なんだって。
 状況を突き詰めてくと、『マネキン人形が勝手に動いて警備員を殺害した』としか考えられない状況――若しかしたら『アレ』かなと思って。」


アレって――悪魔の事を言ってるのか?
……下級の悪魔がマネキンを依代にしたとしたらあるかも知れないが、もしそうだとしたらこの事件は解決不可能だ――犯人も死んでる筈だぜ?


「「えぇ!?」」
「どうして?」
「如何言う事だい?」


そのマネキン人形は、マリネットやフェティッシュが依代にしてた人形と違って、本来は一切可動部のない物だろ?
依代を必要とする奴等は元々そんなに力は強くないから、可動域のある人形に取り付くか、仮面や骨に取り付いて身体を霊体化させるかなんだ。
そんな奴が可動域のない人形に憑依しちまったら、依代を動かすのに力を使いまくって、10分も動いたら力尽きてあの世行きが関の山。

「恐らくは警備員を殺して、その魂を喰らおうとしたんだろうが、4体のマネキン悪魔に1人の人間じゃ全然足りなかったんじゃないのか?
 殺したは良いが、エネルギーの補給が出来なくて敢え無く地獄行き――ったく、頭悪いにも程があるってもんだろ…所詮雑魚だ。」

これじゃあ、殺されちまった警備員だって浮かばれねぇよ……胸糞が悪くなる話だがな。


「本当だね……だけどネロ君、悪魔ってそんなに簡単に現れるモノなのかな?」

「下級の奴等ならな。
 魔界と人間界を隔ててるのは、言っちまえば大雑把な網みたいなもんで、力の強い奴は其れが災いしてこっちに出て来る事は滅多にない。
 だが、力の弱い奴は其の網に目を簡単に抜けられるんだが……そう言う連中はこっちだと身体の維持が出来ない。
 だから、人形なんかを依代にして活動する奴が圧倒的に多いんだ――人の失踪や解決不能の不審死の何割かはそんな連中の仕業だろうぜ。」

「そうなんだ……何て言うか遣る瀬無いなぁ……」


悪いな、あんまし役に立てなくてさ……


「うぅん、取り敢えず犯人が何であったか分かっただけでも前進だよ――流石に犯人が存在してないんじゃ、事件はお蔵入りさせるしかないけど…
 ふふ、だけど今日はネロに会えただけでも良かったかな?なのはが注目してる期待の新人さんにはぜひ会っておきたかったからね。」

「そいつは何とも光栄な事だな。」

フェイトも迷わず右手で握手か。
前のはやてとシグナムもそうだが、なのはの友達ってのはこの右腕を怖がらない奴等ばっかりだ――ギンガとヴィッツもそうだけどな。



「ん?」

「如何かした?」

「いや……」

何だ?握手したフェイトから感じた妙な『違和感』は?――この感じは何処かで………そうだ、トリッシュから感じたのと同じ違和感だ!!
フェイトは間違いなく人間だが……フェイトもトリッシュ同様に『造られた存在』だとでも言うのか?……まぁ、だからと言って何が如何って事もないか。

仮にそうだとしても、一つの命である事に変わりはないし、大事なのは如何生まれたかよりも如何生きるかだからな。
ま、深く聞く事でもないだろうな……それに折角なのはが紹介してくれたんだ、出来れば仲良くしたいもんだぜ――――ッ!!!?

Hold on!(動くな!)


――Bang!


「ネロ!?」

「ネロ君、如何したのイキナリ!?」


「いや……悪魔の気配を感じたと思ったんだが――如何やら気のせいだったみたいだ……」

今は全く気配を感じねぇ……如何やらマジで気のせいだったみたいだ、驚かせて悪かったな。


「気のせいなら良いんだけど。って言うか、ネロ君射撃の腕上げたね?
 ブルーローズを取り出してから狙いを付けて引き金引くまで1秒も掛かってなかった!この間よりも更にコンマ2秒動作が速くなってる!」

「はぁ!?そんなとこまで見てんのかよなのは!
 てか、コンマ2秒を完全に把握するってドンだけだ!?まさか、訓練生の上達もコンマ○秒レベルで把握してるとか言わないよな!?」

「勿論してるよ?教え子が昨日よりどれだけ上達したかをちゃんと把握しとかないと、適切な教導なんて出来ないもん。」


マジかよ半端ねぇ……若しかしたら、なのはの観察眼はダンテよりも凄いんじゃないか?ったく本気でスゲェ奴だな、なのはは。
これじゃあ、訓練生は嫌でも力量が上がるし、同時になのはの教導官としての評価も上がる訳だよな……少しばかり尊敬しちまうぜ。








――――――








Side:ジェスター


あっぶね〜〜〜〜!気配は完璧に消してた筈なのに、こっちに気付いて行き成り銃をぶっぱなしてくるなんて、おっかないね悪魔の坊やは。
危うく俺っちの鼻の穴が4つに増えちゃうとこだったよ〜〜〜〜ん?

どうやら、マリオネット達をけし掛けた頃よりも更に強くなってるみたいじゃないの?
コイツはそろそろ大掛かりな『悪戯』を仕掛けてみようかな〜〜〜?あの栗毛のお嬢ちゃんと、その使い魔とか言う狐の嬢ちゃんも巻き込んで。


管理局とやらに忍び込んで調べてみたら、こりゃまた随分色んな面倒事を引き受けてるもんだ。
確か、何処かの『遺跡の調査』ってのがあったよなぁ?……いひひひひ、コイツを利用してみるか?

あ、そうだ!どうせなら悪魔の坊やの同級生とやらにも参加して貰ったらもっと面白い事になりそうだね〜〜〜!こりゃ遣り甲斐があるぜ〜〜!


この遺跡なら、ギガピード位なら出て来させることも出来るだろうし……いひゃひゃひゃ、こりゃ楽しみだ!

見せて貰うぜ、悪魔の坊やと栗毛のお嬢ちゃん……お前さん達の力ってやつを〜〜〜!ジェスター楽しみに待ってるからなぁ〜〜!!













 To Be Continued… 




裏では悪魔が色々と画策しているみたいだな。
美姫 「今回、フェイトが担当した事件に関しては関わっていないのかしら」
まあ、ネロの話を聞く限りでは自滅って感じみたいだしな。
美姫 「となると、当面の危険はジェスターの企みのみね」
とは言え、その存在自体にまだ気づいていないしな。
美姫 「一体、どうなるのか不安ね」
だな。次回も楽しみにしてます。
美姫 「待ってますね〜」
ではでは。



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