Side:レディ
オークション会場の方は隊長さんやダンテ達に任せるとして、私達は周辺警護ね。
ハヤテが言うには、敵が現れたら多少は派手にやっても良いって事だから、その時は精々暴れさせて貰うわよ?――思い切りやらないと、全然面白くもないからね。
「其れは良いんですけど、公共物や個人使用の車の破壊はしないでくださいよ?」
「大丈夫よ、ダンテと違ってその辺は心得てるから。
大体にして、そう言った物を壊しちゃったら、何割かは不可抗力として見て貰えるとしても、弁済はしないとならないんだから、お金が飛んでくじゃない?
費用対効果が見合わない仕事はしない主義なのよ、私はね。」
まぁ、ダンテは自分の興味が惹かれた仕事なら二束三文の報酬でも喜々として受ける『変人』だけどね。
「そうなんですか……だけど、こう言ったらアレですけど、レディさんはオークションに参加じゃなくて良かったんですか?
レディさんだって美人だからオークション参加でも良かったと思うんですけど……」
「嬉しい事言ってくれるわねティア?
だけど、幾らドレスで着飾っても、此のスカーフェイスを隠す事は出来ないでしょ?――元よりドレスとか趣味じゃないし、こっちの方が性に合ってるのよ、私には。」
「あ……ゴメンナサイ、無神経でしたね。」
謝らなくても良いわ、此れは私が選んだ道の結果だもの。
悪魔との戦いは命懸けだから、仕事の度に生傷が絶えないモノなのよ……特に、生身の人間である私は、半魔のダンテと違って受けた傷は即時治癒はしないしね。
だから、大きな傷は如何しても跡が残っちゃうんだけど、此れもまた仕事中に受けた『名誉の負傷』ってやつよ。
私の身体の傷と、平和に暮らす人達の魂を天秤に掛けたら、此れ位の傷で多くの人を救えたなら御釣りが来るわよ、誇張抜きでね。
「強いんですね……」
「此れ位は神経が図太くないと、デビルハンターなんて職業はやってられないのよ。……まぁ、私もダンテも半分は趣味でやってるような物だけどね。」
取り敢えず、此の話は此処までにして、今はお仕事に集中しましょう?
態々ハヤテが出張ったこの任務……何も起こらないなんて言う事は、其れこそ考えられないモノですからね――――――
リリカルなのは×Devil May Cry 黒き騎士と白き魔導師 Mission62
『ホテル・アグスタ〜The Auction〜』
Side:ネロ
Hoo………会場に入ってみると、コイツは予想以上の人の多さだな?
大オークションって事だったが、この感じだと確実に会場に入れない奴が居そうな感じがするな……まぁ、俺達にとってはあんまし関係ない事だけどさ。
「にしても、なんだか随分と注目を集めてないか俺達?」
「そら極上のイケメンが3人も、それも夫々が美女を連れて会場に現れたら、注目されて当然やろ?」
自分で自分を美女って言うかはやて?……いや、否定する気はないけどな?
でも、ドレスアップしたなのは達は、確かに否定できない位に、誰もが振り向くレベルで綺麗だからな……注目されるのも仕方ねぇか。
因みに、俺のパートナーはなのはだが、バージルのパートナーはフェイトで、ダンテのパートナーははやてな……ある意味で、理想的な組み合わせだぜコイツはよ。
それにしても、一体何が出展されるのやら……一応オークションの参加は出来るんだが、六課の経費で落とせるお宝は、果たして出てくるもんかな?
ま、欲を張らずに楽しむとするか。………ん?
「やあ、久しぶりだねなのは!元気だったかい?」
「ユーノ君!本当に久しぶりだね!私は何時でも元気だけど、ユーノ君の方こそ元気だった?」
「クロノから仕事を回される事も有るから其れなりに忙しいけど、其れでも体調管理には気を使ってるから、見た目の割には元気でやってるよなのは。」
なのはと話してる中性的な金髪眼鏡……誰だコイツ?知り合いかなのは?
「あ、ネロは初めてだよね?
此方は『ユーノ・スクライア』君。私が魔法に係わる切っ掛けになった事件の時に出会って、そしてある意味では私の魔法の先生なんだよ。」
「魔法の先生か……つー事は10年来の付き合いになる訳だ。」
取り敢えず……ネロだ、宜しくな。
「君がネロか。……初めまして、ユーノ・スクライアです。以後お見知りおきを。」
心配すんな、もう覚えた。――なのはが魔法に係わるようになった原因てんなら、俺は逆にアンタに感謝しなくちゃならないからな。
なのはが魔法に係わる事が無かったら、俺と出会う事もなかったって事になるからな……そんなのは真っ平御免だぜ……なのはと一緒に居られないなんてのはな。
「そっか……悪いけど、少しだけなのはは席を外して貰えるかな?彼と――ネロと、少しばかり話をしてみたいんだ。」
「ほえ?そう言う事なら別に良いけど……オークションが本格的に始まる前には、ネロを戻してね?……ネロと一緒じゃないと、オークションだって興醒めだもん。」
「言いきられると流石に……だけど了解だよなのは。
……さてと、少しいいかなネロ君?」
良いぜ?態々会場から離れたんだ、アンタにとっては大事な事なんだろユーノ?
「あぁ、大事だよ……ともすれば僕の命よりもね。
ネロ……僕はなのはの事が好きだった、其れこそ誰よりもなのはの事を愛していた……何時か、此の思いを伝える心算だったんだけど、君に先を越されたね。
――未練がましいかもしれないけど、事と次第によってはなのはを取り返す事が出来るかも知れないと思ったけど、其れは遂に叶わ無い事だって思い知ったよ。
だけど、自然と僕の心は穏やかなんだよ――或は『諦めの境地』って言う奴なのかもしれないけどね。」
アンタもなのはに惚れてたのか……大体そうじゃないかと思ってたけどな。
だけどユーノ、其れを俺に言ってアンタは何をどうするんだ?
「其れに答える前に、先ずは僕の問いに答えてくれ。
ネロ、君はなのはの背を護りたいのかい?其れとも、ともに並んで歩いて行きたいのかい?……君は、一体どちらの道を選ぶのかな?」
分かり切った事聞いてんじゃねぇよユーノ、なのはと共に肩を並べて歩む道に決まってんだろ?
背を護るってのは確かに大事だが、其れって言うなれば、常に自分は一歩下がった場所に居るって事だろ?……生憎と、そんなのは性に合わねぇんだよ俺はな。
もっと言うなら、戦いの場では互いの背を護りながら、でも共に肩を並べて歩んで行きたいってのが俺の理想――いや、そうする心算だ。
「……そう来たか……だけど、成程、そう言う事か……僕では、元より役者不足だったって言う事だろうね。
背を護りたいと思う者と、ともに並んで歩みたいと思う者では、思いの強さが段違いだけど、背中を護りつつ肩を並べてとは恐れ入ったよ。
僕の入り込む余地は何処にもなかったと思い知らされたよ。」
「……そうかい。んで、なのはの事が好きだったってのを俺に言った真意は何なんだ?」
「何となくとって言うか、今更なのはに言っても意味はないから、せめて僕の気持ちを知っておいて欲しかったって言うところかな?
……もっと言うなら、はやてに言おうものならどんな尾ヒレが付いた状態で、なのはの耳に入るか分からないからね……でも、君は言いふらしたりしないだろう?」
「しねぇよ、其れはアンタの大事な思いだったんだろうからな。」
「うん……君なら、なのはも大丈夫そうだ。――なのはの事、宜しく頼むよネロ。」
Ha!言われるまでもねぇよユーノ!
なのはの事は何が有っても俺が隣りにたって護るぜ?――どんなに無様でカッコ悪い姿を晒しても、俺の命のある限りはな。
「君には完敗だよ……時間を取らせて悪かったね。」
「いや……俺もアンタと話が出来て良かったぜユーノ。」
「僕もだよ。――と、そうだ。
今日のオークションには其れなりに面白い物が出品されてるから、もしも興味が有ったら競り落としてみても良いんじゃないかな?経費で落ちるんだろう?
まぁ、仕事序にオークションも楽しむと良いよ。」
まぁ、興味がそそられるモンがあればな。アンタも仕事頑張れよ。
さてと、あんましなのはを待たすのも良くないし、改めて会場入りっと……如何やら丁度始まるみてぇだな。
「悪い、待たせたな。」
「大丈夫だよ、今から始まるところだから。
其れよりも、ユーノ君と何をお話ししてたの?」
そいつはなのはでも教えられねぇな。『誰にも言わないでくれって』事を暗に言われたんでね……ま、破る事の出来ない『男の約束』って事で納得してくれ。
只一つだけ言えるのは、アイツとは良いダチになれそうだぜ。
「其れじゃあ仕方ないかな……でも、お友達になれそうなら良かったの♪
あ、いよいよ始まるみたいだね、大オークション会が。」
『Ladies&Gentleman!ようこそ、ホテルアグスタの大オークション会に!
今宵のオークションは、名品から珍品まで、目の肥えた皆様を満足させる事が出来ると自負する品々を多数ご用意しておりますので、どうぞ最後までお楽しみを!』
あぁ、始まったな。
合法ロストロギアなんかは六課の経費で落とせるからアレだが、なのはに似合いそうなアクセサリーの類が出てきたら、自腹で競り落とすか。
――――――
Side:なのは
さてと、オークションが始まった訳なんだけど、今の所はまだ合法ロストロギアは出て来てないね。世界的に珍しい鉱物の巨大結晶とかは出て来たけど。
って言うか、幾ら貴重なモノだとは言っても、重さ1t近い『ミスリルの結晶』を競り落とした人は言った何処で保管する心算なんだろう……普通に場所食いだよアレは。
『さて、次なる品は……古代ベルカの聖王『オリヴィエ・ゼーゲブレヒト』が愛用していたという髪飾り!先ずは、10万から!!』
「200万。」
此れはまた凄い品が出て来たけど、行き成り何物凄い値を付けてるのネロ!?幾ら何でも経費じゃ落ちないよ此れは!?
「自腹切るから問題ないだろ?其れに、あの髪飾りはなのはに似合いそうだからな。」
「ほえぇ!?わ、私にくれる心算だったの!?オリヴィエ陛下の髪飾りを!?其れで自腹の200万!?」
「使う事もねぇから、武装隊の頃からの給料溜まりまくって、貯金が500万くらいあるからな。」
だからって、貯金の約半分をつぎ込むかな普通!?……そうまでして、私の為に競り落としてくれるって言うのは、嬉しくも有るんだけどさ……
『い、行き成りの200万!!他には!?……如何やら居ないようですので、200万での競り落としになります。』
しかも、競り落としちゃったし。
まぁ、行き成り初期額の20倍もの値を付けられたら、手を出す気は無くなるかも知れないけどね。……だけど、こんな高価な物を、私が貰ってもいいのかな?
「寧ろ貰ってくれ、その為に競り落としたんだからさ。」
「……其れもそうだよね――ありがとうネロ、大切に使わせて貰うね。」
「そうしてくれ。なのはの此の笑顔が見れたなら、200万なんざ安いな。」
さてと、次なる品物は……
『次なる一品は、これまた珍品中の珍品!古代の遺跡から発掘されたと言う、謎の刀!
数千年前の遺跡から発掘されたにもかかわらず、全く錆びついていない刀身は、一体如何なる材質で出来ているのか?』
「!!!」
刀が一振り……何だけど、如何したのネロ?
「右腕が反応してる……アレは魔具の類だ!
バージル、ダンテ、アンタ等も感じてるだろ?アレから発せられてる『魔具特有の魔力』は?」
「おうよ……まさか、こんなもんが出品されてるとはな……」
「アレは、力なき者の手に渡って良い物ではない……何としてでも競り落とさねばな――幾らまでならば経費で落とせる、八神はやてよ?」
「ぶっちゃけ、物が物なら『幾らでも』やでバージルさん。
流石にやり過ぎると、私等のお給料にも大打撃喰らうんやけど、危険物を野放しにする事は出来半からね……取り敢えず1500万までやったら大丈夫な筈や!」
確かに、私達のお給料よりも、ミッドの市民の安全の方が大事だからね。
幾ら合法とは言っても、ロストロギアや魔具の類が、何の力もない人の手に渡って暴走でも起こったら、其れこそ取り返しのつかない事態になりかねないモン。
「その珍品は是非とも……300万だ!!」
「温い、900万だ。」
で、バージルさんもノリノリですね。
300万をコールした人に対して、速攻で3倍額を提示とは凄いですよ……しかも、静かにコールして髪をかき上げる動作が、異常なまでに様になってますからね?
其れは兎も角、流石に900万以上の値は出ずに、無事競り落とす事が出来たの。
「私が競り落とせないとは……!」
「俺に勝つ心算で居たのか?……愚かな。」――キン!
……態々村正を抜刀して、そしてスタイリッシュに納刀する必要があったのかは恐ろしく謎だけどね。
だけど此れは、そんなにすごい物なのかな?
「凄いなんてもんじゃないぜ、なのは嬢ちゃん。
一体何時の物かは分からねぇが、コイツは人間に退治された悪魔が姿を変えた魔具だ……俺のベオウルフみたいにな。
元となった悪魔はぶっ殺されてるから、アレなんだが、この刀の持つ魔力はトンでもねぇ――ともすれば閻魔刀に匹敵するレベルだぜ此れは!!」
「そんなモノが出品されるとは……俺達が此処に来たのは正解だったかもしれんな。」
其れは何とも……だけど、其れだけにバージルさんの言うように私達がオークションに参加したのは正解だったかもしれないね。
この調子で、合法ロストロギアも競り落として―――
――ドォォォォン!!!
!!な、何!?なんなの今の揺れは!?
「此れは地震の揺れじゃねぇ……来やがったか、クソッ垂れ共が!!!」
「……そう言う事か……仕掛けて来たんだね、スカリエッティの一味が?」
「そいつ等だって言う確証はないけどな。」
だけど、十中八九そうだと思うよ?……合法ロストロギアが出品されるオークションには現れるだろうって予想してたからね。―――はやてちゃん!!
『あ〜、あ〜〜!ども、時空管理局の機動六課総司令の八神はやてです。
今し方の震動は、如何やらこのホテルがテロリストの攻撃を受けたために起きたようです……先ずは、係員の指示に従って避難をしてください!』
実に見事な避難誘導だよはやてちゃん。
敢えて、機動六課の総司令を名乗る事で、オークション参加者からの信頼を得る事が出来たし、此れなら多少は暴れても問題なさそうだから――やっても良いよね?
「寧ろ思い切りブチかましたれぇ!!
外道悪党のテロリストに手加減は不要や!――私等『機動六課』が出張ったオークションに、襲撃掛けて来た事を骨の髄まで後悔させたれや!!」
「「了解!!」」
「やってやるよ……全力でな!!」
「イカれたパーティは大歓迎だぜ?……OK!Let's rock!!(派手に行こうぜ!!)」
「フン……精々遊んでやろう。」
其れなら全力全壊で!!
私達はホテル内をやるから、ネロとバージルさんとダンテさんは外をお願いします!!
「All right Nanoha!Trust me.(了解だなのは!俺に任せとけ。)」
「取るに足らぬ有象無象を粛正する……This is also fun.(此れも一興か。)」
「Ha-ha!コイツは良いね?Absolutely crazy about it!(楽しすぎて狂っちまいそうだぜ!)」
ネロ達は大丈夫そうだね…………さてと、襲撃して来た者にはお仕置きの時間だよ……市民の娯楽を邪魔するような外道は、全力で全壊してなんぼだからね!!
――――――
Side:スバル
大きな揺れを感じたと思ったら、はやて司令の予想通りに敵襲が来た………こんな予想は当たって欲しくないんだけど、こうなった以上はやるしかない!!
大体にして、相手はガジェットオンリーだから、この程度ならアタシ達でも如何にかする事は出来る!――悪魔が出てきたら、流石に未だヤバいかもしれないけどね。
「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ぶっ飛びやがれ、やられ専門の雑魚共がぁ!!」
――バガァァァァァァァァァァァァァァァン!!
だけど、ガジェット程度じゃ、アタシとノーヴェのコンビネーションを止める事は出来ないよ?
自慢じゃないけど、アタシとノーヴェはシューティングアーツの有段者だから、この程度の相手じゃ止まらない……加えて!!
「せいやぁ!!」
――バキィィィィィ!!
ギン姉も居るからね!ガジェットは完全封殺だよ!!!――正直言って相手にもならないね。
さらに、それだけじゃなく……
「こう言う使い方も有るの?さぁ、出血大サービスよ!!」
――ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
ティアのバイクにタンデムしたレディさんが、カリーナ=アンのマイクロミサイル乱れ撃ち――通称『ヒステリック』を使って、ガジェットを完全に粉砕!玉砕!大喝采!
アタシとノーヴェが展開したウィングロードとエアライナーを巧みに使っての攻撃だから、本気でレディさんはハンパ無い感じがするよ。
此れならこのまま押し切れる気がするんだけど……
『キシャァァァァァァァ!!!』
流石にそうは問屋が卸さないか――!
まさか、10m以上の蛇龍が出て来るとは思わなかったけど、悪いけど此処で退場して貰うよ!!
『キヤァァァ!!』
って、巨体の割に速い!?
目視できるレベルだけど、あの巨体でこのスピードは、素直に驚くよ此れ!?……ノーヴェも驚いたでしょ!?
「認めたくねぇけどな!……ったく、此処で悪魔が出て来るとはな……だけど、相手にとって不足はねぇ!!トコトンやってやろうじゃねぇか!!!」
「そうだよね…そう来なくちゃね!!」
相手が悪魔であっても、アタシ達は怯まない!!絶対に勝って見せる!!
『愚かな……妾の子を受け入れよ!!』
――パシュン!パシュン!パシュン!!!
ん?……アレは『種』?そんなモノを何で?……飛び道具の心算なのかな?
「誰が、受け入れるかよクソが。」
――バン!バン!!バァァァァァァァァァァァァン!!!
と思ったら、ネロさんが現れて、種をブルーローズで全部粉砕しちゃった……い、今のって何なんですかネロさん?
「キメラシード……他の生物に寄生して生きる悪魔の種さ。……アレを喰らってたら、間違いなく寄生されたぜ?――寄生させる気は毛頭ないけどよ。」
「そんな危険物だったのかよ!?……流石に在り得ねぇ……」
寄生生物って……其れは確かにゴメン願いたいですよ!!
まさか、そんな悪魔が居るなんて!!
『オノレェェ……一度と言わずに、二度までも妾の子供達を!!人間風情が生意気なぁ!!』
――グバァァァァ!!
って、蛇龍の頭がパックリ開いて、中から女の人の上半身(?)が出て来た!?
若しかしなくても、そっちが本当の姿って事だよね?……ヒステリックな性格みたいだし、何か面倒な相手っぽいよ此れは……
「子作りは他所でヤレっつったろババア!――其れとも何か?逃げるのに必死で俺の話は聞いてなかったのかクソババァ?……エキドナさんよぉ?」
『生意気な小僧が……あの時の屈辱、今此処で晴らしてくれるわ!!』
「Ha!来いよオラ!
テメェもベリアル同様に、スカリエッティとか言う奴の手で蘇ったんだろうが、蘇った事を後悔させてやるぜ……ババアはババアらしく、大人しく隠居してろってんだ!」
『もう、殺してくれる!!』
「やってみろよ、ヒステリーババア!!!」
其れでも、此れだけの相手を前に、まるで怯まないネロさんはやっぱり凄いと思う。
『妾の力、見るがいい!!』
「見たくねぇよ、そんなモン!!――大人しくくたばれ妖怪ババア!!寧ろ死ね!!」
――ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
だって、エキドナって呼ばれた悪魔の突進をバスターでカウンターして殴り飛ばしちゃうわけだからね……アハハ、本気で味方で良かったとしか言いよう無いよ此れ。
うん、ネロさんは絶対に敵に回さない様に注意しとこう。
――――――
Side:バージル
フン……ガジェットも悪魔も、所詮は三流以下の雑魚か……マッタク持って話にならん――村正の錆にもならんな此れでは。
ネロの方も、無事に事を熟しているようだから、此方があまり干渉するべきではなかろうが――このホテルに何か用か?壊れたコートの剣士と、小さな炎の精霊よ?
「気付いていたのか…その若さで大したものだ。」
「自慢ではないが、闘気や殺気の類を感じる力は、人一倍鋭くてな?……仮に完璧に消したと思っても俺には分かる……僅かな大気の変化でな。」
「だとしても、旦那に気付くとはタダモンじゃねえ!!……コイツには手加減できそうにないよ旦那?」
「其れでも良いだろう……倒す事が目的なのも否定はせん――だが、貴様等が俺を倒そうなどとは100年早いと知れ!」
どんな事情があるかは知らんが……俺達に襲撃を掛けて来たのだ……死の覚悟は出来ているな?
――精々思い知るが良い、貴様等が挑んだのは『神をも超えた神の子』だったと言う事に!そして、後悔するが良い……一体誰を敵に回してしまったのかをな――!
To Be Continued…
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