Side:バージル
「ウオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」
「フン、遅い。」
――ガキィィィン!!
俺からすれば、目視できる程度の速度だが、純然たる人間にしては悪くない動きだ――否、悪くないどころか、人間ならば間違いなく最強クラスの一角なのだろうが…
「相手が悪かったな……貴様では、俺に触れる事すら出来ん。其れは、貴様が一番分かっているだろう?そして、その小さな炎術師もな。
――無用な殺しは好かん、早々にこの場から立ち去れ。さすれば命まではとらんぞ?」
「早々に立ち去れか……普通ならば、或は賢い人間ならば此処で退くのだろうが、生憎と俺はそうも言って居られなくてな。
分が悪い戦いかも知れんが、撤退命令が出るまでは退く事も出来ん――故に、もう少し付き合って貰うぞ剣士よ!」
「あんまり舐めんなよ!」
――バキィィィン!!
其れでも尚戦うとは、貴様には譲れぬ信念があると見た――そうでなくては、そんな身体になってまで生きる理由も無かろう?
「貴様……気付いていたのか!?」
「悪魔と言うのは、総じて人よりも五感が鋭くなるのだ――事、生死にかかわる事に関してはな。
わずか数合打ち合った程度だが、俺には其れで充分だっただけだ。今の貴様は、差し詰め『生ける死者』と言ったところか……当たらずとも遠からずだろう?」
「その鋭さには感服するが……俺とて、好きで生きて居る訳ではない。只生かされているに過ぎん……と、少し喋り過ぎたか。
いずれにせよ、何方も退けぬ身ならば戦うしか無かろう?――アギト!!」
「了解だ、旦那!ユニゾン……」
「イン!!」
――キュゴォォォォォ!!
ほう?炎術師と融合してその力を高めるとは、面白い技だな?戦闘能力の方も、単体の時とは比べ物にならんか……良かろう、もう少しだけ貴様に付き合ってやる。
ただし、此処からは俺も少しだけ本気を出させて貰うがな――ムゥゥゥゥン!!
――バチィ!!
「む!?」
《んな!?姿が変わった!?》
デビルトリガーと言ってな、俺の中の悪魔の力を解放したのだ。故に、俺もまた先程よりも強くなったという事だ。
「「さて、神をも超える力、その身をもって知って貰おうか―――!」」
リリカルなのは×Devil May Cry 黒き騎士と白き魔導師 Mission63
『超乱闘戦!〜Serious Battle〜』
Side:ダンテ
Ha-ha!良いねぇ、坊主も嬢ちゃん達も絶好調って所か?アンだけの大物相手に大したモンだぜ。
まぁ、あっちは坊主達に任せるとして、俺等は機械人形や、あのデカブツが適当に産み落とした可愛いベイビー達と遊ぶとするかい、キュートなフォックスガール?
「うん。……でも、其れはあんまり可愛くない。可愛さならスケアクロウの方が可愛いと思う。」
「……あ〜〜〜…確かにアレは見ようによっては可愛く見えなくもないか?って、オイオイオイ、何だってスケアクロウがこんなに沢山!?」
「此れは外見だけ。中は機械の『自動人形』。たった今召喚した。」
幾ら中身が無くなりゃ布袋っつっても、何作って呼び出してんだい嬢ちゃんよぉ?てか、コイツ等戦えるのか?
戦えるってんなら、まぁちょっとした戦力にはなるかも知れねぇが……
「戦えるよ?少なくとも一般家庭に強盗に入ってきた人を撃退する位には強いし。」
「そりゃあ大したモンだ!一家に1体、セキュリティに如何ですかって所か?ホラーハウスにも使えそうだし、売ったらそこそこ儲かりそうだ。
ま、其れは良いとして、アルケニーまで出て来やがったか……機械と虫と植物――さて、どうやるフォックスガール?」
「機械には電気、虫と植物には炎が有効だよ。」
電気と炎ねぇ?なら、俺はネヴァンで行くか。
でもって、アンタにはコイツを貸してやるよフォックスガール。コイツ等は、ちょいとお喋りで、少々ウザい所もあるが性能は折り紙付きだから、中々頼りになると思うぜ。
「此れは……剣?」
「アグニとルドラっつー、双子の悪魔で、今は俺が使う魔具の一つだ。
特に、アグニの方は炎属性だから、アンタとの相性は抜群に良い筈だぜ?嬢ちゃんも炎使いだろ?」
『いやいやいや、待たれよ主。何故、我等がこの子娘に使われねばならぬ?』
『兄者の言う通りだぞ主。我等は、主以外に力を貸す気はない。』
No Talking.(喋るな。)その持ち主が、この嬢ちゃんに力を貸せって命令してんだ、其れ位分かんだろ物分かりが悪くても。それ以前に、拒否権なんて存在しねぇぜ?
大体にして、この嬢ちゃんはお前等よりも遥かに格上の存在なんじゃないのか?
確か『ナインテール・フォックス』ってのは、ジャパンでは相当に凄い、其れこそ一歩間違えば『ヤバイ』レベルのヨウカイだったって記憶してるぜ。
『確かに……とても強い力を感じるが……』
『うむ……まぁ、我等を使いこなせる技量があるならば問題ないか。』
だから喋んなっつってんだろ、脳筋兄弟!
あ〜〜〜、嬢ちゃん、そいつ等あんまし五月蠅かったら、柄の下の球体部分ゴッツんこさせて黙らせてくれ。其処はそいつ等の『頭』だから。
「大丈夫、面白いから気に成らない。」
「其れなら良いが――さて、そろそろ弩派手なライブを始めるか!
Come on Babes!(来なクソ共!)俺とネヴァンで奏でる、ハードでスパーキングなロックのビートに付いて来れるか!?」
――ギュィィィィィィィィィィィン!!バリバリバリバリバリィ!!!
イィヤッホウ!!最高だぜ!!ほらほら如何した、まだまだ1曲目だぜ?
其れとも悪魔が乗り移ってるとは言え、精密なロボットボディにゃ外部からの電撃はやっぱ御法度か?そう言う事なら仕方ねぇか…知らなかったとは言え悪かった!
ま、実際ネヴァンの電撃は軽く10万ボルトは有るからなぁ?並の機械なんぞ速攻でショートは間違いねぇし、人間が喰らったら感電死確定だぜ。
そのおかげで楽勝なんだが、フォックスガールの方は如何だ?
「その鎌での攻撃は鋭いけど、シグナムやフェイトの斬撃に比べたら遅いし、起動も丸見え。
そして、1体を相手にしてるからって無防備になるとは思わない方が良いよ?……アクセルシューター久遠バージョン!」
――ガガ!ボボボボボボボボボボボボボボボボボ!!
Hoo〜〜〜!見事にアグニとルドラ使いこなして、更に遠くの敵には9つの尻尾の先から火炎弾をぶっ放して攻撃とは、流石はナインテール・フォックスってか?
あんなスゲェ嬢ちゃんを使い魔にしてるとは、本気でハンパねぇぜなのは嬢ちゃんはよ……ん?
――ヒタ、ヒタ、ヒタ……ぶわ!!
おぉっとアブねぇ!なんだよ、俺に寄生する心算だったのか?
熱烈なのは大歓迎だが、生憎と俺の身体は俺だけのモンでな、悪いがお前さんの宿主になってやる事は出来そうにねぇんだ此れが。ま、そう言う事だから……
――パァン!
って、撃つ前に弾けちまった。……今のは風か?
「随分と数が多いみたいなので、此方の援護に回るよう言われて来ました。
聞くまでも無いでしょうが、無事でしょうか御二人とも?」
「アンタは……え〜〜〜と、ヴィッツ・シュナイゼルだったか?
あぁ、見ての通り、俺もフォックスガールも全然余裕だぜ!だが、此処で華麗な風使いが登場するってのも、ライブが華やかになるから大歓迎だ!」
「ヴィッツの事は、なのはも訓練校時代に褒めてたから実力はお墨付き。」
そりゃあ良い。
そんじゃあ、新たなキャストが加わった所で、ライブの第2ステージと行こうぜ!今日のライブは、特別大入りみたいだからな!!
――――――
Side:ネロ
うおぉぉぉぉぉぉ……らぁ!!オラオラオラオラオラァ!打っ飛べ、ヒステリーババァ!
――バキバキバキバキバキ!バッキィィィィィィィィ!!!
『ゲヘヤァ!?……に、人間の小僧が調子に乗りおってぇ!!いや、それ以前に何時の間に其処まで強くなった貴様!
何時ぞやの時も退く羽目になったが、その時は其れほどの力は無かった筈だ……妾の知らぬ間に、ドレだけ強くなったのだ人間風情が!!』
Ha!ずっと死んでたテメェと違って、俺はアレから更にトレーニング積んで、特にこっちに来てからはS級の連中と毎日訓練してんだ。あの時の儘な訳ねぇだろボケが。
大体にしてな、ずっと死んでて復活した奴は、トレーニング積んで強くなった主役には勝てないのがお約束らしいぜ?ジャパンのコミックでの話だけどな。
其れにだ、テメェ何か忘れてねぇか?――お前の相手は俺だけじゃないんだぜババァ?
「リボルバーキャノン!!」
「ジェットダスター!!」
「ナックルバンカー!!」
――バッキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!
『ぐぎゃぁぁぁあぁぁぁぁぁアぁ!?』
スバル、ノーヴェ、ギンガによる、『ナカジマ姉妹シューティングアーツ3プラトン』炸裂ってな?
流石に有段者だって言うだけあって、破壊力がハンパねぇなマジで……格闘技で悪魔をぶっ倒せる純粋な人間が居る事に、ある意味驚きだけど、その効果は絶大み
たいだぜ。流石に、ドタマに破壊力抜群の蹴りと拳喰らったらキツイんじゃねぇかババァ?
『き〜〜〜〜〜!!人間如きに口惜しや!
この場は退くが、この屈辱、必ずや倍にして返してくれるわ!!其れまで首を洗って待っていろ、ガキ共がぁ!!』
あ〜〜〜、ババァのヒステリーは手に負えねぇぜ。
はいはい、分かったからさっさと尻尾巻いてみじめに逃げ帰んな、今回だけはテメェの復活記念て事で見逃してやるからよ――ま、次はないけどな。
『その余裕を後悔させてやるぞ小僧!妾が力を蓄え切ったその時が、貴様等の人生にピリオドが打たれる時だ……その時を楽しみにしているが良い!!!』
――バシュゥゥン!!
ふぅ……ダンテが『喋らない方が良い女も居る』って言ってけど、アイツはマジでそうだな。口開きゃ、耳障りなキンキン声で騒がれたんじゃ堪らないぜ。
「逃げやがった……本気で逃げ足だけは速いな?」
「そうね。でも、次に来ても返り討ちにしてやりましょう。」
「そうだね、アタシ達ならきっとできるし!!
そう言えば、悪魔って人と悪魔の区別ってつかないんですかネロさん?アイツ、ネロさんの事も『人間の小僧』って言ってましたよね?」
いや、付くぜ?仮に人間の姿をしてても、ソイツが『純粋な悪魔』なら見分けが付くらしいんだが、俺やバージルみたいな『混血』だと分からないらしいんだ。
こんな腕してるのに、俺の事を見てくれから『人間』だと誤認した奴は結構多いからな――或は俺は1/4だから余計に分かり辛いのかも知れないけどな。
ともあれ、アイツは逃げちまったし、ガジェットと悪魔も大概殲滅しただろ?
ホテル内は、なのは達が居るから大丈夫だろうし、此れは鎮圧も近いか?
「ん?なんか見える……な、何あれ!?」
と思ったが、そう簡単には行かないか!
こっちに向かって高速で飛来する何か……右腕が反応してねぇから悪魔じゃないんだろうが、其れにしたって凄まじい数だぜ!軽く見積もって100体は居るだろ!!
「ちぃ……まだまだやるって事かよ!丁度良いぜ、バージルから教わった技の実験台にさせて貰うぜ!!
破ぁぁぁぁぁぁぁぁ……打っ飛べ!おまけだ!そして落ちろ……地獄の果てまで!マキシマムオーバードライブ!!!」
――ババババババババババババババ!!!!
何が相手だろうと、来るならぶっ潰すだけだ!こうなりゃトコトンやってやるよ。――だが、テメェ等から仕掛けて来たんだ、途中でギブアップなんてのは無しだからな!
――――――
――ネロ達がエキドナを退ける少し前
Side:なのは
く……ホテル内にまでガジェットが出て来るなんて、本気で相手は形振り構わずだね?一歩間違えばミッド市民が危険に曝されるかも知れないって言うのに………!
きっとそんな事は『些細な事』って笑い飛ばすような人なんだねジェイル・スカリエッティって言う人は!!人々の平和を脅かすなんて、本気で許せないの!
幸い避難誘導が的確に行われたおかげで、市民の被害はゼロだけど、そうなると今度は出品物を保管してる倉庫の方が気になるよ。
あそこにはオークションに出品される物が保管されてるから、其処を襲われるのは拙い……ドゥーエちゃんとザフィーラが居るから大丈夫だとは思うんだけど――
「ぬぅぅぅ……でぇりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!」
「…………」
現場に付いたら、ザフィーラと漆黒の戦士が既に交戦状態!?しかも、ドゥーエちゃんはドゥーエちゃんで、中型の虫っぽいのを複数相手にしてるし……
「ザフィーラ、此れは一体ドナイした事や!?」
「主……いえ、行き成りコイツが現れ、何の説明もなしに襲い掛かって来たので交戦状態になった次第です。
加えてコイツは、単なる雑兵ではない……私同様、使えるべき主の為に存在する一種の守護者……一筋縄で行く相手では在りません。」
そんな、格闘戦でザフィーラが押し切れないなんて!!……此れは相当に強いって言う事なのかな?
「人が集まって来た……戻ってガリュー、後はこの子達にやらせるから。」
と思ってたら、現れた女の子……歳は多分10歳前後だと思うんだけど、まさかこんな子供まで、スカリエッティは戦力として使ってるって言うの!?
確かに、機動六課でもエリオとキャロみたいな子供を隊員にしてはいるけど、其処には本人達の意思があった……だけどこの子からは其れを感じる事が出来ない。ま
るで、良く出来た『人形』を相手にしているような、妙な感覚を覚えるよ……或は、心が成長できなかったのか――何れにしてもやり辛い相手だね。
「ふぅん?こんな小さな子が、こんだけの事を起こしたか……せやけど、其れやったら尚の事見過ごす事は出来へん!!
何や新たな何かが現れたけど、纏めて撃滅や!!――頼むで『フレキ』『ゲリ』!!」
――シュゥゥゥゥン!!
『『ワオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!』』
其れに対して、はやてちゃんが呼び出したのは二体の白狼!……此れが、はやてちゃんの新たな力――ヴォルベルグって言う悪魔から受け継いだ力の一端だね?
「そう言う事や!フレキとゲリは、ザフィーラと共に倉庫の護衛!
そんで、私等は……外にも現れたであろう召喚魔を纏めて撃滅すんで!!ガジェットと下級悪魔は、ネロ達が見事にぶち殺したようやからな!!」
流石はネロ、外に現れた雑兵なんて敵じゃなかったんだね!
まぁ、バージルさんとダンテさんも居て、更に成長著しい六課のフォワード陣が本気を出せば、ガジェットや下級悪魔は相手にもならないからね、誇張抜きの本気で。
あれ?そう言えば、さっきの女の子は?
「何時の間にか居なくなったよ……あの子は、召喚をメインにしたバックスなんだと思う。」
成程………だけど、あの子がいないなら、逆に全力だ出せるよ!!――そうでしょ、フェイトちゃん、はやてちゃん?
「マッタク持ってそのとおりやな。此処かは手加減不要や!………ほな、全力で行こうか!!」」
「「疾風迅雷!!」」
発動するは、必殺のデビルトリガー!
当然私だって、負けてられない!!!覇ぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……
「「I go by full strength!!(全力全開!!)」」
――バガァァァァァァァァァァン!!
さてと、もう一頑張りだね!!――此のオークションに襲撃をかけて来た事を、精々後悔すると良いの!…同時に、誰に対して喧嘩を吹っかけてしまったのかもね!!
もう一暴れ、頑張って……
「「「「行きまっしょい!」」」」
フィニッシュに向けて、思い切りいこうか?――其れこそ、手加減不要の全力全壊でね!!
――――――
Side:レディ
此れはまた、新手が随分と現れてくれたものだわね……戦闘力は中級程度だけど、それが群れを成して来たら、そこそこの戦力にはなるでしょうからね……って言う
か、既に何割かは六課メンバーと交戦状態だし……此れは、中々に侮れない相手だわ。――尤も、
「私達の敵じゃあないけどね!!」
――バン!バン!!ババババババババババババババババン!!!
群がる雑魚は、ショットガンの『ラッシュアワー』、纏めて倒してあげるけどね!!ほらほら如何したの?それじゃあ、私にダメージを与える事なんで出来ないわよ?
加えて、S級ライセンスクラスのティアのバイク操縦術のおかげで、私も此れだけの事が出来るのよ?……ホントに、ティア様様ね。……お礼にキスしても良い?
「其れはちょっと勘弁してください……って言うか、レディさんてそっち系なんですか!?」
「違うわよ、私はノーマルよ。ちょっとからかっただけなのに、そんなに反応するなんて、本気で純粋に可愛いわよ貴女。」
でも、初々しさは有れど、戦闘に成れば指揮官としての能力が発揮されるんだから驚きだわこの子。
戦闘能力は其れほど高くないかもしれないけど、現場の状況を正確に見極めて、そして共に戦う仲間に的確な指示を送る……ティアは生来の指揮官なのねきっと。
「!!新手!?……させないわ、クロスファイヤー!!」
其れで居て、状況如何によっては自らアタッカーに成る事も出来るって言うんだから、本当に大したものだわ。
今だって、放ったクロスファイヤーが、新たに現れた敵を軒並み撃墜してる訳だし――て、ちょっと待って!一発だけ弾道が逸れて、此れだとスバルに直撃よ!!
「しま……スバル!!!」
声は届いてない!!此のままじゃあ!!
「いぃやぁ!!Catch this!!(喰らいやがれ!!)」
――ドガァァァァァァァァァァァァァァン!!
……と思ったら、ネロが新たに現れた敵を射線上に投げ飛ばして結果オーライ?……何とも見事なコントロールだわ。
だけど、今回はネロに救われたわ。あのままだったら誤爆ルート一直線だったからね。
「ティアナ!テメェ、何処見てやがる!!味方を撃つ奴がいるか、馬鹿野郎!!」
まぁまぁ、そう怒らないでヴィータ副隊長。
此れだけの混戦なんだから、フレンドリーファイヤーの1つや2つ起こったって不思議じゃないでしょ?そもそも、ティアだって態とやった訳じゃないんだし、寧ろミスをフォ
ローしてあげるのが、仲間や上官の役目じゃないかしら?
「其れは…確かに。」
「でしょ?
其れに、ネロが咄嗟の機転を利かせてくれたおかげで、逆に敵を1体排除できたんだから、此処は褒めるべきでしょ?」
「ん……かも知れねぇが、アタシが言う訳にはいかないか……思いっきり怒鳴り付けちまったからな。
悪いが、それとなくティアナに言っといてくれ『だが、お前は良くやった』ってさ……頼んでも良いか?」
良いけど、どうせなら自分の口で言った方が良いんじゃないの?そっちの方が、ティアにも響くと思うわよ?
「……恥ずかしいんだよったく。何だってなのはは、こんな事が普通に出来るのか不思議で仕方ねぇよ。」
「難義な性格ね、貴女って。」
でも、そう言う事なら了解よ。それとなくティアに伝えておくわ。
其れに、新たに現れた虫っぽいのも、目に見えて数が減って来てるし、近い内に此の戦闘は終了しそうだからね?――一体スカリエッティの目的は何のかしらね……
――――――
Side:バージル
「ぐ……ユニゾン状態であっても、敵わぬとは……」
俺と貴様ではそもそもの力が違うのだ――互いに死に損ないだが、今を生きている俺と、生ける屍と化した貴様では、その戦闘力の差は火を見るより明らかだろう?
新たに、珍妙な蟲型の何かが現れた様だが、其れもまた無力……増援として駆けつけてくれたシグナムが、纏めて撃滅しているからな。
「状況は俺の絶対不利か……ならば致し方あるまい、此処は退くとしよう。」
「「此処で退く?……撤退命令は出ていないようだが?」」
「俺には俺の目的があるのでな……それを果たすまでは、簡単に死ぬ事は出来ん――だが剣士よ、次に邂逅したその時は、今日の決着をつけようではないか。」
……フン、まぁ偶にはいいだろう。貴様の提案を受け入れてやる。――この場は、此れでお終いと言う事にしておこう。
「待て!!」
無駄だ、その手を収めろシグナム。
奴は恐らく、ネロを除く六課のフォワードが束になっても勝てぬかもしれん相手だろうから深追いは禁物だ。
其れに、召喚魔の数が目に見えて減ってきている……俺達が勝鬨を上げるのは、そう遅くではないのではないか?――今回は、俺達の完全勝利なのだからな!!
「それも……そうかもな。」
ならば、余計な深追いは必要ない。
其れに、奴とは何れ決着を付ける時が来るだろうからな……その時は、加減などせずに斬り捨てる。其れだけの事だ。
尤も、戦わずに済む道があるのならば、其れを選択するに越した事は無いのかもしれんがな――
―――――――
Side:ティアナ
結局、終わってみれば被害はゼロで、暴走したガジェットやら、倒した悪魔の器官は適当に解剖されて、次世代に受け継がれるって言う事だけど、其れが可能とはね。
だけど、あの時。私の誤射がなかったらもっと早く状況を鎮圧できたのかも知れない……それ以前に私は親友のスバルを落としていたかもしれないなんて!!
――憎め
え?
――憎め、己が弱さを憎め……さすれば、お前は一皮むけ、更なる高みへと到達できるはずだ。
な、何?あ、頭の中で声がする………力が足りない、もっと力を手に入れろ……違う、私は友達を傷付けるような魔法は欲しくない!!絶対に要らないわ!!!
――ほう?……小娘が此処まで足掻くとは、実に良い物を見せて貰った。……次なる邂逅を楽しみにしているぞ。
――バリィィィィィン!!
態々ヒントを残して去って行った?……要するに見逃されたって言う訳か私は―――――!!
「あら?ネロ達も戻って来てるわね?新たに何かが出てくる気配もないし、此れでMission終了って所ね。」
そうですねレディさん。
だけど、まさか味方を誤射するなんてね……やっぱり私は、六課の中では、お荷物な凡人なのかもしれない……それを痛感してしまうわね此れは――――
結果だけを言うなら、六課の勝利だけど、味方への誤爆をしてしまったという結果は、大凡見逃せない……私は、本当に何の取り得もない凡人だ――だから私は……
――力を手に入れろ。お前には力が必要だ、絶対的な力がな。
……内なる声に抗う事が出来ずに力を求めてしまったのかも知れない――間違った、力と言う物を。
だけど、この時の私は、其れが間違いだなんて言う事は、微塵にも思って居なかった――
To Be Continued…
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