Side:なのは


取り敢えず、ホテル・アグスタでの一件は何とかなったね。オークションに出品された物は、只1個を除いて無事だった訳だしね……尤も、其の1個がスカリエッティ一味
に持って行かれたって言うのは、何とも不安要素が有るんだけど、持っていかれた物は仕方ないかなはやてちゃん?


「もってかれたモンはしゃーないやろ?
 寧ろ、バージルさんが900万で競り落とした此の刀が、スカリエッティの手に堕ちなかっただけでも僥倖やで?割とガチな話でな。
 命を散らした悪魔が姿を変えたこの刀が、広域指名手配されとるマッドサイエンティストの手に渡ったら、其れこそトンでもない事に成るのは火を見るより明らかや。
 此れを護れただけでも、大きなモンやでホンマに。」


確かに言えてるかも知れないね。
悪魔の武器が、マッドサイエンティストの手に堕ちたら、ドレだけの厄介事に成るか何て事は、考えるまでも無い事なの。

だけど、ちょっと気になるのは、その刀を扱える人が居るかって事だよね?
この刀を扱う事が出来れば、その使用者は悪魔の力を手にして、デビルトリガーが使えるようになるのは想像に難くないの。――フェイトちゃんの例もあるからね。


「まぁな?でも、そう都合よく六課のメンバーに適合者が居る筈ないやろ?
 確かに、この刀を使う事が出来れば悪魔の力を得てデビルトリガーの発動が出来るかも知れへんけど、失敗したらお陀仏やろ?……そんな事は、部隊長として…」


だよねぇ?
だけどちょっと手遅れ。シグナムさんが、件の刀に触れちゃったよ……気持ちは分かりますけどねぇ…


「ちょ、シグナム何してんねん!!
 其れは悪魔の武器やで!?そないなモンに触ったら、どんな副作用が起きるか分からへんのや!!直ぐにその刀から手を離してぇ!!!」

「……いえ、如何やらその心配はなさそうです。
 手に取った瞬間に分かりましたよ……此れは、私の刃だと――そう確信しました。」


で、終わってみればシグナムさんが適合者だったって事で落ち着きそう。
オークションは滅茶苦茶になっちゃったけど、その結果として六課の地力が底上げされたって言うなら、其れはむしろ歓迎すべき事かも知れないね。


……時に、悪魔の武器を手にしたシグナムさんはデビルトリガーを発動できるようになったと思うんだけど、発動したらどんな見た目に成るんだろう?
それも、少し楽しみであるかも知れないね♪














リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission64
『発現した闇〜Rising Darkness〜』











Side:ネロ


ホテル・アグスタのオークションから数日、六課は相変わらず賑やかだが平和なもんだぜ。
オークションの翌日に、シグナムが悪魔の武器であるあの刀――『正宗』の適合者となり、デビルトリガーを発動できるようになったって事には、誰もが驚いてたがな。


んで、俺が今何をしてるかと言うと………

「んの野郎……ガキのクセに、俺の右手とタメはるとは、相当な力持ちだなレヴィ!!」

「僕は力のマテリアル!!例え悪魔の右腕が相手でも、負けて堪るかぁぁぁぁぁぁ!!!!」


絶賛レヴィとアームレスリングの真っ最中って訳だ。
どうにも、オークションでの一件の時、俺がエキドナをバスターで投げ飛ばすのを見ていたらしく『凄いパワー』て事で、すっかり懐かれちまったらしい。悪くないがな。

で、レヴィも『力のマテリアル』だから、俺との力比べが起こるのはある意味必然て事なんだろうな……模擬戦は被害甚大が確定だから、アームレスリングだけどな。
だが、こんなモンでも、レヴィにとっては楽しいんだろうな……かくいう俺も、楽しくなって来たからな!!

俺の右腕と、パワーでタメ張れるってのはガチでスゲェよレヴィ。
あの、最強無敵のオッサンですら、アームレスリングだけは、俺に只の一度も勝つ事は出来なかったんだからなぁ!!!


――ピシ…ピキ……


だけどな、俺は負けず嫌いだから、此処で負けてやる事なんざ出来ねぇんだよ!!
其れに、そろそろ机が限界みたいだしな……此処で終わりにするぜレヴィ!!Go down!!!(落ちろ!!)


――バガァァァァァァァァァァァァン!!!


「うわぁぁぁあ!?……くっそー!また負けた!!だけど、次こそは僕が勝ってみせるからなねろ!!!」


はいはい、期待しないで待ってるよ。
或は、お前が完全に大人になったら、其れこそ最高の勝負が出来るかも知れないが――今この場は俺の勝ちだぜレヴィ?悪魔の右腕は、そう簡単に負けないぜ。


「確かに言えてるねネロ。
 こんな事言ったらアレかも知れないけど、ネロの右腕を超えるって言うのは、相当な事だと思うよ?パワーだけなら、ヴィータちゃんだって敵わないと思うし。」

「まぁ、幾らアタシでも、ネロとガチンコでパワー勝負したら、勝てるかどうか分からねぇからな……。
 けどよ、其れを踏まえると、ネロとこんだけ力比べが出来たレヴィのパワーってドンだけだよ!?普通に、乗用車位は持ち上げられるんじゃねぇのかマジで!?」


確かに、俺とこんだけの力比べが出来たんだから、乗用車位は持ち上げられるかもしれないぜレヴィは。ホントのとこが如何なのかは知らないけどな。


「多分出来るでしょう。
 エルトリアでの復興作業中には、数tは有りそうな巨岩を1人で持ち上げていましたし、巨大有害生物もバルニフィカスで遥か彼方にホームランして居ましたから。」

「いやぁ、アレは凄かったですね〜〜〜♪」

「エッヘン、僕は強い!!」

「お〜〜〜、凄いっすレヴィヴィン!!」


そら確かにスゲェわ。
つーか、見てくれがガキ……レヴィの場合は精神もガキだけど、其れだけに、そんな事をやった時のインパクトは半端ねぇだろうな。

「しかしまぁ、マッタク持って今更だが、賑やかだよな機動六課ってさ。」

「なはは……まぁ、大所帯だし、ダンテさんとかレヴィとか、賑やかなのが好きな人も多いからねぇ。」


ま、俺も賑やかなのは嫌いじゃないけどな。


「おい、坊主!!」

「ネロさん!!!」



のわっ!?なんだよダンテ、其れにティアナ!!行き成り特攻してくんじゃねぇ、流石に驚くだろ!!
特にダンテ、アンタが相手だと反射的に打ん殴りそうになるから、突然来るのは止めてくれマジで!!……殴られてぇってんなら話は別だけどな?


「そう言う趣味はないから、此れからは気を付けとくぜ坊主。」

「そうしてくれ……んで?何の用だ?」

「ネロさんの個人的な意見で構わないんですけど、私のクロス・ミラージュと、ダンテさんのエボニー&アイボリーだったら、どっちがデザイン的にイケてますか!?
 性能の方は、デバイスと質量兵器なので比べないとして、見た目はどっちが良いと思いますかネロさん!?」


は?何やら珍しい組み合わせで話をしてるとは思ったが、銃談義だったのかよ?
まぁ、スタイルは違えど、ダンテもティアナも2丁拳銃スタイルだから、互いに話の合う部分もあるんだろうけど、その話の中でどっちの銃が良いデザインかって話になっ
たと……んで、互いに自分のが一番だって譲らずに、俺に判断を任せたと?


「はい。」

「有体に言えば、そう言うこった。
 そんな訳で、評価をプリーズだ坊主!確かに嬢ちゃんの相棒も、中々のデザインだが、45口径の芸術家が作り上げた俺の相棒にゃ敵わねぇだろ!?」

「クロスミラージュはマリーさんとシャーリーさんでくみ上げてくれたものですけど、外見は元々私が使ってた自作のアンカーガンの儘なんです!
 マリーさん達も、『良いデザインだね』って褒めてくれたんですよ!?」


成程ねぇ……そりゃ、どっちも譲らない訳だ――なら敢えて言うぜ、デザインだけを言うなら俺の『ブルーローズ』が一番に決まってんだろ。
シルバーメタルのボディに、薔薇の棘の装飾と、青い薔薇のレリーフ、更に上下のツインバレルの大口径リボルバーだぜ?相当にイカしたデザインだと思わないか?


「く……言われてみれば確かに……ネロさんの銃は、性能も然る事ながら、外見の美しさも相当でしたね……」

「しかも装飾まで自作ってんだから、大したモンだよなうん……てか、俺のよりゴツイとは、良い感じのイカレ具合だぜ坊主。こりゃ参ったね。」


だろ?んで、つまりそう言う事なんだよ。
俺も、ティアナも、ダンテも、結局は自分の相棒が一番って事だ。其れをどっちが上だなんて張り合うなんてのは、少々ナンセンスだぜ?そうは、思わないか2人とも?


「……そりゃそうだ。確かに自分の相棒が一番に決まってるな。
 悪かったな嬢ちゃん、ちょいとムキに成っちまったぜ……コイツは、あの婆さんの遺作だったもんで、ついな……」

「あ、いえ……私の方こそ、少しムキになり過ぎました……」


ったく、そんなにムキになる位に思われてるんだから、間違いなくアンタ等の相棒は幸せモンだ。ま、二丁拳銃使い同士、仲良くやれよな。
其れとダンテ、女の子相手にあんましムキになるなよ?そんなんじゃモテないぜ、オッサン。……って、聞こえてねぇなありゃ。


「完全に聞こえてないねアレは。
 だけど、如何やらティアナは何時も通りみたいで安心したよ……午前中の訓練の時、少しおかしかったからね?ネロも気付いたでしょ?」

「あぁ……時々『ぼ〜〜』っとしてる事が有ったし、らしくない無茶な指示をスバル達に出しかけたりしてたからな……身体の調子でも悪いじゃないかと思ったんだが…」

「今の様子だと大丈夫そうだね。
 一応、訓練の後にシャマル先生に頼んでメディカルチェックをして貰ったけど、疲労がたまってるような事もなかったみたいだしね。
 まぁ、多感な時期だから色々思う事もあるのかも知れないし、それとなく精神面でもサポートしてあげないとだよね?…ホント、色々ある時期だからねあの位って。」


その辺も巧くやらないとだな。
まぁ、ティアナにはスバルやノーヴェみたいなダチ公が居るから大丈夫だろ?レディとも仲は良いみたいだから、悩みを相談できる奴は存外多いみたいだし、悩んだ末
に、如何にもならなくなって馬鹿な事をするってのだけは無いんじゃないかと思うぜ?


「だね。友達が居るって言うのは、思ってる以上に心の支えになる事だからね……私も、8年前そうだったから、友達の大切さは良く分かるんだ。」

「成程、なのはが言うと説得力があるよ。」

確かにダチ公ってのは、頼りになる仲間だからな。其れが居るのと居ないのじゃ全然違うからな。
其れを踏まえると、スバル、ノーヴェ、其れにディエチとウェンディってダチ公が居て、レディとも仲が良いんならティアナは大丈夫だ。


さてと、そろそろ昼休みも終わりか……今日の午後は、確か俺はダンテと組んで、シグナム&フェイトとの模擬戦だったな――ま、精々頑張るとするか。
若りし頃の、ヤングなオッサンと組むってのも、其れは其れで面白そうだしな。








――――――








Side:レディ


ふぅ……今日も今日とて、お疲れ様と言ったところね。
悪魔退治と比べたら全然楽だけど、六課のルーキー達からしたら、此の訓練は結構ハードかも知れないわ――尤も、ハードであるだけに効果は物凄いんだけどね。
特に、なのはの教導は見事としか言いようがないわ。

徹底的に基礎を固めつつ、夫々の長所を伸ばしながら課題を克服させるって言うんだから、本当に無駄のない訓練だわアレは。
六課以前は武装隊の隊長をしてたって事だけど、実はなのはって教導官の方が向いてるんじゃないのかしら?何だかんだで、私も地力が底上げされてるからね。

「御馳走様アイナ、美味しいウォッカトニックとピンチョス(スペインの一口おつまみ)だったわ。」

「此れくらいなら、何時でもOKですよ?」


で、少し飲みたくなって、アイナにウォッカトニックとおつまみを作って貰って、静かに晩酌を終えて……少し夜風に当たろうかしら?今日は、良い月夜だしね。


「風邪をひかないでくださいね?」

「そんなに柔な身体はしてないけど……その気遣いは、受け取っておくわ。」





そして外に出てみると、此れは良い風ね。
予期せずこの世界に飛ばされてしまったけど、ミッドチルダって言うのも中々悪くない街だわ………ん?



「はぁ、はぁ……ダメだ……こんなんじゃ、まだ届かない!!」


アレはティア?こんな遅くまで自主練かしら?……少し、根を詰め過ぎな様にも見えるんだけど……ちょっと、大丈夫ティア?


「うわぁ!?……って、レディさんですか……驚かさないでくださいよ。」

「Sorry.(其れは失礼。)だけど、何してたのティア?
 そろそろ就寝時間も近いし、こんな所を、特にシグナム副隊長なんかに見つかったら大目玉どころじゃ済まないわよ?」

「完全就寝時間前には部屋に戻るから大丈夫ですよ。
 何をしてたかについては、見ての通り自主練です。超人揃いの六課の中では私は凡人ですから、此れくらいやらないと、役立たずになりかねないんですよ。」


役立たずって、誰も思わないわよそんな事は?
なのはだってティアの指揮官としての素質は認めてるし、私だって幻術を応用した戦術の組み立ては見事だと思うわ……貴女は六課に絶対必要だと思うんだけど?


「だとしても、私はもっと上に行かなきゃダメなんです……その為には、必要なんです力が!!」


ちょっと待って、もっと上に行かなきゃならないって、如何して貴女は力を求めてるの?
過ぎた力を求めて行きつく果ては破滅なのよ?……私の父がそうだったようにね。――もしよかったら、何で力を求めるのか聞かせて貰っても良いかしらティア?


「……私には兄が居たんです。
 兄は、私と同様の魔導師で局内でも優秀な局員だったんです。……でも、ある事件の際に兄は殉職して帰らぬ人となってしまった。
 でも、其れだけなら兄さんは職務を全うして命を落とした、自らの命を引き替えにミッドの市民を護った兄だと、私の最高の兄だと胸を張る事が出来た!!!
 だけど、兄さんの葬儀に現れた兄さんの上官は、自らの命を投げ出した兄さんに『ワシの顔に泥を塗りよって……トンでもない役立たずだ』って言ったんです!!
 ………許せなかった、そして悔しかった!!だから、私は証明したいんです、ランスターの弾丸は役立たずじゃない、どんな敵でも撃ち抜く事が出来るって!!
 其れを証明する事が、妹である私に出来る、兄さんの弔いだから!」


……成程……死者を貶めるとは、トンでもない下衆が居たモノね。
貴女の言う事は理解できたけど、根を詰め過ぎて無茶したらだめよ?貴女が大怪我してしまう事は、多分貴女のお兄さんは望んでいないと思うからね……OK?


「分かってますよそんな事………でも、此れくらいやらなきゃ、私には全然足りないんです!!」


……難義よね、自分を凡才って思ってる天才って言うのは。
ティアは指揮官として天才的な能力を有しているんだけど、今此処で其れを言ったところで、多分通じないでしょうね……マッタク、こんなのは私のキャラじゃないけど…

「その気持ちは分からなくもないけど、程々にね?
 貴女が無茶して、取り返しのつかない事に成ったら、スバルを初めとして悲しむ人が大勢いると言う事を忘れないで。貴女は六課に絶対必要なんだから。」

「……肝に銘じておきます。」


せめて此れ位は言っておかないとね。
此れから如何するかは、ティア次第だけど、力に魅入られる事だけは無いようにね?さっきも言ったけど、過ぎた力を求めた果てに待つのは、破滅一択なんだからね。

貴女が破滅する姿なんてのは、見たくないわよティア?……貴女の友人の1人としてね……

せめて、私の言う事が伝わっていれば良いんだけど……ね。








――――――








Side:ティアナ


レディさんの言う事は、良く分かる……嫌だって言う程に良く分かる……だけど、私には妹として兄さんの汚名を返上する義務があるから、止まる事なんて出来ない。
ランスターの弾丸は、決して無能じゃないって言う事を証明しなきゃ、兄さんだって浮かばれない!!


『無能じゃない証明か……滑稽だな。
 お前は其れを理由に、実は兄を貶した者への復讐を考えているんだろう?――闇雲に力を求めるのが、その証拠だ……いい加減、己の闇に素直になれ、そして闇
 に身を委ねよ……さすれば楽になり、お前の望みを叶える事だって出来るぞ?』


黙れ!!誰がそんな事を……私は、復讐なんて考えていない!!


『だとしても、隊長殿……高町なのはの指導に不満があるのは間違いなかろう?
 ドレだけの訓練を熟しても、最も基礎的な部分は、訓練の度に繰り返されている……この基礎の繰り返しに、正直ウンザリしているのだろう貴様は?
 ……ならば、高町なのはを殺すか……奴さえいなければ……』



なのはさんを!?……そんな事はさせないわよ!!


『勘違いするなよ?……私は、直接手を下す訳ではない……やるのは貴様だ、ティアナ・ランスター!』


――ヴォン!!!



え…?……なんだか意識が遠く……私は……ランスターは無能じゃないって事を証明したいだけ……其れだけなのに、なんで……なのはさん、ネロさん………








――――――








Side:なのは


さてと、今日も張り切って訓練を頑張ろうか!
今日の午前中は、私とネロとくーちゃんがティアナ、スバル、ノーヴェの3人と模擬戦で、他のメンバーはフィジカルトレーニング。
で、その模擬戦が終わったら、今度はシグナムさんとバージルさんとダンテさんが、ディエチ、ウェンディ、エリオ、キャロと模擬戦。で、午後はミーティングの予定なの。

私とネロとくーちゃんのチームだったら負ける事は無いと思うけど、ティアナとスバルとノーヴェの3人は、今年の卒業生の中では、成績トップのチームだった筈だから油
断は禁物だね……最高の指揮官を有してのフロントアタッカー2人って言う布陣は、思ってる以上に型に嵌ると厄介だからね。

私の方がバランス型だけに、特化型に流れを掴まれたら厄介な事になりかねないモン。


「それじゃあ、行きますよなのはさん!!」

「全力でやってやらぁ!!」


っと……開始直後に此れは、見事な布陣だね?
スバルが私を攻撃して砲撃の隙を与えず、ノーヴェがネロに攻撃して、ティアナが魔力弾の拡散でくーちゃんを翻弄……教導官としては、花丸をあげるレベルだね。

だけど、戦う相手としてはまだ甘い……くーちゃん!!


「任せて……!!」


――ゴォォォオォォォォォォォォォォォォォ!!!


魔力弾の拡散攻撃は見事だけど、拡散した事で1発の威力が低下してるから、其れを相殺するのは難しくない。
加えて――


「来いよオラ、そんなモンじゃないだろお前は?」

「の……その化け物みたいな剣で、其れだけの連撃ってドンだけだよオイ!?……カウンターをブチかます暇すらなしかよ、クソッたれが!!」


幾ら格闘戦が得意とは言っても、ネロにクロスレンジで勝つのは至難の業だよ?……幾らノーヴェが、シューティングアーツの有段者であってもね。


「でぇりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


――ガキィィィン!!


そしてスバルもね。
確かに私はクロスレンジは、其れほど得意じゃないけど、だからと言って正直実直な拳を、馬鹿正直に喰らってあげるほど優しくはないよ?…良い一撃だったけどね。

だけど、其れだけ力を込めた拳打は、打った後の隙が思ってる以上に大きいって言う事を肝に銘じておくべきだね……その隙を突いて来る相手だって居るんだから!


「分かってますって……だけど、『掛かりました』ねなのはさん?」


え?……此れは、私の相手をしていたのはティアナの作り出した幻影のスバル!!って言う事は、本体は別に……此れは完全にしてやられたよ。

だけど、此の一手は悪くないね……ティアナの幻術を利用した作戦、其れはとっても効果があると思えるから。


「本物はこっちです!!覚悟ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


そして、本命の突進!!完全に虚を突ける一撃だから、此れはとっても効果的なコンビネーションて言えるのかも……うん、この3人はチームとして良く機能して――


――キィィィン………ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!


って……今のは何!?
魔力光からして、ティアナが何かしたんだろうけど………若しかして、スバル諸共私を攻撃したの!?……だとしたら、如何言う心算なのかなティアナ?

私は只の一度も『仲間を犠牲にしてでも任務をやり遂げろ』なんて言う事は、教えなかったと思うんだけど――如何して、こんな事をしたのかな?


「決まってるじゃないですか……勝つためですよ。
 敵を倒し、屠り、撃滅する為ならば、多少の仲間の犠牲も仕方のない事じゃないですか……其れに、仲間なんて言っても、所詮は上辺だけの関係でしょう?
 だったら、捨て駒にしたって問題はない……そうじゃないんですかなのはさん?」


其れはそうかも知れないけど、其れは最低にして最悪の考え方だよティアナ……!!!

貴女には、私の言う事は伝わってなかったのかな?何も理解して貰えなかったのかな?でも、もしそうだとしても―――!!!

「普段は言う事を聞いてる様な顔をしながら、実際には私の言う事なんて無視する……そんなの意味ないじゃない!!!レイジングハート!!!」

『All right.Restrict Lock.(了解。レストリクトロック。)』


――バキィィィィィィィン!!!


「此れは!!!」

「動けねぇ……噂には聞いてたけど、ドンだけ堅いんだよなのはさんのバインドはよぉ!!!」


少し、其処で大人しくしててねスバルもノーヴェも。


「く……此れは!!!」

「私のバインドは力では解けないよティアナ。
 貴女が何を思って、なんでこんな事を起こしたのか……其れは分からない――分からないなんて言うのは隊長失格かも知れないけどね。
 だけど、味方を捨て駒同然に使う貴女の戦術を、私は認める訳にはいかないんだよティアナ……そんな事をしても、後に残るのは後悔だけなんだから!!」

「だから何です?私は、私の結果を残せれば其れで良いんです!!!」


そっか……如何やら言葉は届かないみたいだね。
なら、不本意だけど、少し力尽くで行かせて貰うよ……貴女に何が有って、如何してこんな事をしたのかは分からないけど……ティアナ、少し頭冷やそうか――












 To Be Continued… 





オークションで得た刀はシグナムの物に。
美姫 「これでまた六課の戦力アップね」
だな。でも、シグナムのデビルトリガーに関してはどんなのかはまだ分からなかったが。
美姫 「いつ出てくるのか楽しみね」
ああ。で、ティアの方だけれど。
美姫 「これって、あの声の主に乗っ取られたのかしら」
それとも操られているのか。
美姫 「うーん、どうなっているのかしら」
非常に続きが気になる所で次回へ。
美姫 「次回も楽しみにしてますね」
待っています。



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