Side:なのは


私の前に現れたのは、スカリエッティの一味と思われる『トーレ』と名乗った女性。――成程、確かに実力は高そうだね。
一見男性と見紛うほどに鍛え上げられた身体は、全身タイツみたいなスーツの上からでも割れた腹筋と、盛り上がる上腕や大腿部の筋肉が見えて取れるからね……並の
魔導師なら、苦戦は必至の相手だと思うよ。

何よりも、トーレちゃんは近接戦闘が得意みたいだから、魔導師単騎で対処するのは難しいものがあるからね。


「其処まで分かっているにも関わらず、退く気はないか?」

「「あると思ってるの?
  って言うか、自分よりも弱い相手に退く道理が何処にあるのか、原稿用紙3枚以内で是非とも説明してほしい感じかな?……貴女じゃ勝てないよ。」」

「勝てないかどうかは、その身をもって計ると良い……その首貰うぞ、高町なのは。」


さっきも言ったけど、そう言うセリフを軽々しく口にする物じゃないよ?
寧ろ貴女の方こそ、機動六課の力をその身をもって知ると良いんじゃないかな?――特に、ネフィリムの末裔たる私の力は、思い切り味わって貰おうと思ってるんだよ。

尤も、貴女を殺す心算は毛頭ないから、精々瀕死の重傷を負ってアジトに逃げ帰ると良いんじゃないかな?
そして、黒幕のスカリエッティに伝えると良いよ――機動六課は自分達の手に負える存在じゃないと言う事をね。


「誰がそんな事をするか。何よりも我等は、ドクターのおかげで此処まで力を高める事が出来たのだ……私は絶対に退かん!!」

「「予想はしていたけど、本気で言葉は届かないみたいだね……だったらもう、加減も何も必要はないよね?」」

「加減だと?」


今までの私は、デビルトリガーを発動したとは言え、全力の7割程度で戦っていたんだよ。
だけど、7割程度で倒されたんじゃ、貴女も言い訳のしようがないだろうから、此処からは私の魔導とデビルトリガーを完全開放して相手になるの!!……覚悟は良いね?


「上等だ……受けて立つ!」


威勢は良いけど、其れだけじゃ勝てないよ。――精々、六課を落とすのは容易じゃないって事を身をもって、その身体と魂に刻み込むと良いと思うの!!
さぁ、オープンコンバットだよ!!














リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission73
『悪夢との戦い〜Nightmare〜』











Side:ネロ


ったく、完全にやられちまったな……ナイトメアに取り込まれちまうとは、マッタク持って面倒な事この上ねぇぜ。

おい、フェイト、ヴィータ、ティアナ無事か?無事なら返事をするなりなんなりしてくれ――居ないってのは、流石にあんまし善い気分じゃねぇからな…この場所だと尚更に。


「此処だよネロ………」

「ちぃ……ぬかったぜ……まさか、こんな事をしてくる奴がいるとは予想すらしてなかったぜ。」

「って言うか、此処は一体……ゲル状のアレに取り込まれたにしては広すぎるような……大凡、アレの体内が此れであるとは考え辛いわね……」



良かった、3人とも無事だったか!!
まぁ、早々にやられるとは思えないが、やっぱり無事を確認するとホッとするぜ。――外傷も特に目立ったモンはないみたいだからな……とは言え、先ずは此処から脱出し
ない事にはどうにもならねぇって所な訳だが……行けるか3人とも?


「だ〜れにモノ言ってんだテメェは?
 こちとら正統ベルカの鉄槌の騎士だ!!敵を目の前にして撤退なんて言う選択肢は、そもそも存在すらしてねぇ!!」

「こんな世界にずっと居るなんて言う事は、流石にゴメン被るからね。」

「行きましょうネロさん!私達ならば、この空間から脱出する事は難しい事ではない筈ですから、全力全壊でブチかまして皆の下に帰りましょう!!」


OK、やっぱりそう来るよな――なら、先ずは作戦会議だ。

俺も戦うのは初めてなんだが、ダンテは何度か戦ってるらしくて、コイツと出くわした時の対処法と、万が一取り込まれた際の対処法も教えて貰ったから抜かりはねぇよ。

見れば分かると思うんだが、この空間には柱とも杭ともつかねぇ馬鹿でかいオブジェがあって、その先端にはサルガッソーが待ち構えてるだろ?
先ずは、全てのサルガッソーを倒すんだが、倒した其の後が面倒な事この上ないって事なんだ、ダンテの話によるとな。


「面倒だと?如何言うこった?」

「この悪魔は、取り込んだ相手のトラウマである相手を再生、再現して攻撃して来るって事だったんだよ――正にナイトメアの名の如く悪夢を再現して来るって訳だ。
 尤も、再現されるトラウマはあくまで姿形と戦闘スタイルだけであって、実力そのものはトラウマとなってる相手そのものには遠く及ばないらしいが、自分のトラウマの相手
 が目の前に再現されるってのは、確かにあんまし善い気分じゃねぇよな。」

「其れは確かにそうだね……」

「でも、私的にはダンテさんのトラウマが一体何なのかが気になるんですが……」


……其れは俺も気になったから聞いてみたんだが、案の定答えは『オイオイオイ、俺にトラウマの相手なんていると思うのか坊主?』だったぜ?
じゃあ、何が現れたかって言うと、此れまで戦った悪魔の中でも特別手強かった奴が再現されたんだと。……ったく、トラウマすらねぇってマジで無敵過ぎだあのオッサン。


「ダンテさんに精神的攻撃って効かなそうだしね……」

「ピザとストサンを没収するって言う、物理的攻撃は効果抜群だろうけどな。」


ソイツは効果抜群過ぎるぜヴィータ。寧ろあのオッサンには死刑宣告レベルだろ其れ。
っと話が逸れたが……まぁ、つまり特にトラウマとなる相手がいない場合は、特に強いと感じた奴が再現されるって事なんだろうよ。

兎に角、サルガッソーを全部ぶっ壊して、其の後現れた悪趣味なレプリカ品を打っ倒せば、目出度く此処から脱出出来んだから張り切って行こうぜ?
序に、此処から脱出したその際には、ナイトメアの本体に致命的なダメージを与える事も出来るって事だったから、脱出したら本体の方にもキッチリトドメ刺しとかねぇとな。


「ミッション的には分かり易くて助かりますね其れ?」

「この面子なら、万に一つも仕損じはねぇだろうからな?アタシ達を取り込んだ事を後悔させてやんぜ!!」

「サルガッソーは全部で8体だから、1人2体ずつ撃破して、其の後は己のトラウマを各個撃破って所だね?」


そう言うこった!ま、サルガッソーは雑魚中の雑魚、所謂一つのやられ専門のモブ敵って所だから、メインイベントの為の準備運動にもならないかも知れないけどな。
まぁ、取り敢えず死んどけ髑髏野郎!!悪夢の空間に骸骨なんてのは、流石に似合いすぎてて気色悪い事この上ないんでね!!



――グシャァ!!!



前々から思ってたが、幾ら何でも脆すぎだろコイツ等?幾ら右腕使ってるとは言え、パンチ一発で粉砕とか有り得ねぇ……なんで絶滅せずに魔界で生き残れたのか謎だ。
或は脆すぎて、弱肉強食の争いにすら参加できなかったが故に、滅ばずに生き延びられたのか――何となく、この説は間違っちゃいねぇような気がするぜ。

なんつーか、真面に相手にするのもアホクセェし、少しばかり遊ぶか……おい、ヴィータ!


「何だよ?」

「俺の、剛速球を打てるもんなら打ってみやがれ!!」

「って、サルガッソーじゃねぇか!!……だが、打てと言うなら打ってやらぁ!!
 うおおぉぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!打っ飛べぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」



――カッキーン!!



サルガッソーを掴んで投げつけたら、物の見事にホームランと来たぜ!ありゃあ、推定飛距離200mの超大型場外ホームランは間違いねぇだろうな。
ナイスバッティングだったぜヴィータ、鉄槌の騎士に恥じない弩派手な一発、堪能させて貰ったぜ。


「堪能したってんなら、アタシも全力スウィングをブチかました甲斐があったってモンだが、アタシだけ全力スウィング披露するってのは良くねぇよな?
 今度はオメェの剛腕の一発魅せて見ろよネロ!!そぉぉれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


って、そのお返しと言うか見物量と言うか、今度は俺が一発披露するのかよ?
しかも、お前が投げ飛ばしたそいつは、7つの柱の中央に位置する8本目に陣取ってた『特大サイズ』のサルガッソーじゃねぇか……ま、やれってんならやってやるけどな!

取り敢えずテメェは、ヴィータに投擲対象物に認定されちまった事を地獄の底で悔やむんだな!……Catch this!!(喰らいな!!)



――バキィ!!!



そんな訳で、右腕のアッパーカット一発で場外ホームラン相当に吹っ飛ばしてみたんだが、此れならアンタの一撃披露に見合う対価になったかヴィータ?


「充分だぜ♪丁度、フェイトとティアナの方も終わったみたいだしな。」


充分てんなら、やった甲斐も有ったってモンだぜ。
てか、フェイトとティアナもクリアか……いや、サルガッソー程度のクソ雑魚に、あの2人が手間取る筈もねぇか。――つー事は、いよいよ悪夢の空間のメインイベントだな!

さて、一体何が現れるってんだ?

どんな奴が出て来ようともぶちのめしてやるが………って待てコラ、此れは間違いなく俺のだろうが、よりにもよってテメェかジジイ!!!
まぁ、確かにキリエが死んじまう事になった直接の原因はコイツだし、キリエを連れ去ったのもコイツが操ってた天使だし、何よりも俺の腕を閻魔刀で貫きやがった挙句、あ
の『神』とか言うクソの中に取り込んでくれた訳だから、深層心理でトラウマになってるのかも知れねぇが……恐れるどころか、寧ろやる気満々だオラァ!!

「Die!(死ねやコラァ!)」


――メキィ!!


「ね、ネロさん!?」

「行き成りドロップキックで先制かよ……おぉ、更に吹っ飛んだ爺さんをスナッチで引き寄せて、ジャーマンからバックドロップ、トゥームストーンパイルドライバーに繋いで、D
 DT、エメラルドフロウジョン、更にドラゴンスクリューをブチかまして……ダウン復帰に合わせてシャイニングウィザードか!
 見事なまでにプロレスの大技コンボだな。」

「でも其れだけで終わりじゃないみたいだよ、引き起こして……」


あぁ、終わらねぇ……このジジイは100回ぶっ殺しても足りねぇくらいにムカつくんでな――トドメはタコ殴りの刑だぜ!!



――バキバキバキバキバキ、ベキベキベキベキ、ゴスバキドスドス!!



「……タコ殴りですね。」

「タコ殴りだね。」

「タコ殴りだな……ったく、ドンだけあの爺さんに恨みがあるってんだアイツは?」


Ha!コイツは只のジジイじゃなくて、帰天で悪魔化してたんでね、此れ位やって丁度良いんだよ!!まぁ、再現されたジジイじゃ、本物の半分にも満たねぇ強さだけどなぁ!

「オラオラオラ、反撃してみろよコラ!其れとも反撃すら出来ないってのか?
 だったら精々祈れ!Pray for help savior you're gonna need it?(神様が助けてくれるんじゃないのか?)――だがまぁ、取り敢えずGo down!(ぶっ潰れな!)



――メキィ!!!!………シュゥゥゥゥゥゥ……



Take easy!(チョロいな!)
だが、今のは俺のをぶっ潰したに過ぎねぇ……残る、ティアナ、フェイト、ヴィータのトラウマ、或は手強いと感じてる相手のコピーを倒さなきゃならない訳なんだが……



――シュイィィィィィィィン……



コイツは何の冗談だ?
再現された3体の内、1人はなのはだが、此れは恐らくティアナだろう……ティアナも驚いちゃいるが、怯えた感じはないから、トラウマじゃなくて手強いと認識してる相手が
再現されたってとこだろうな?……まぁ、普段の訓練を考えれば当然か。


だが、問題は残り2体!……此の子供の頃のなのはは、フェイトとヴィータだよな?
実力的には子供の頃よりも、絶対に今の方が上な訳だから、此れは手強い相手じゃなくてトラウマが再生されたって事なんだろうが……何だって子供のなのはなんだよ?

おい、フェイト、ヴィータ!!


「あ……あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
 桜色が、桜色の星が降って来る……防がなきゃ、防がないと私は……でもダメ、防ぎきれない……こんな魔力の塊なんて……そんな、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「来る………桜色が迫って来る!!
 避けなきゃダメなのに、バインドで動けねぇ………桜色が、桜色がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


って、完全にトラウマ抉られてる!?
お前は、子供の頃にフェイトとヴィータに一体何をしたんだよなのは!?ライトニングの隊長と、スターズの副隊長が完全に怯えてるとは、相当なモンだろマジで…!!!


「フェイト隊長、ヴィータ副隊長!?」

「ティアナ……こう言っちゃなんだが、この2人は今この場に於いてはマッタク持って役に立たない状態になっちまったらしい――主に子供の頃のなのはのせいでな。
 そんな訳だから、少々胸糞悪いが、この再現されたなのはは、俺達2人で如何にかするしかないらしい……行けるか?」

「私達2人で……大丈夫です、行けます!スバルとは違うけど、ネロさんも近接型なので、私の戦術も生かせるでしょうから、やりましょう!!
 其れに、幾らなのはさんが相手でも、再現されたコピーなら、本物のなのはさんよりも強いなんて言う事は無い筈ですから、私達ならきっと倒せるはずです!!」


なら、やるとすっか!――大体にして、なのはをコピーして来るなんざ胸糞が悪いからな。


けどまぁ、取り敢えず現実世界に戻ったら、なのはに子供の頃にフェイトとヴィータに何かしたのか聞いとかねぇとだな――あの2人の様子は流石に尋常じゃねぇからな。


だが、今は目の前の事に集中だな!!
あんまり良い気分じゃないが、なのはのコピーを残らず撃滅してやろうじゃねぇか……Do it!(やってやるよ!)








――――――








Side:なのは


――カン!キン!!カキィン!!!


ほらほら如何したの?そんなんじゃ、私の首を取る事なんて出来ないよ?
手加減や出し惜しみなんて必要ないから、貴女の本気で掛かってきて良いんだよ?――其れとも、今までに見せてくれたのが本気だったのかな?だったら失礼だったね。


「はぁ、はぁ……貴様、本当に人間か?
 いや、それ以前に砲撃魔導師である筈の貴様が、近接戦闘で私と互角に渡り合うなどと言う事があり得るのか!?――そんな、馬鹿げた事がある筈がない!!!」


人間かって、其れはそうであるともそうでないとも言えるかな?
私は、悪魔と天使の両方の血を受け継ぐ特殊種族『ネフィリム』の末裔って事だから、まぁ純然たる人間ではないって言う感じだけど、其れなら納得できたんじゃないかな?
ネフィリムの血を継いでいるから、その圧倒的な力を以ってして近接型の相手とも互角に渡り合う事が出来るって事なのかも知れないけど、貴女は私の敵じゃないよ。


大体にして、砲撃も射撃も使ってないのに、其れで漸く互角レベルて言う事は、貴女は決して強くない!!



――ガキィィィィィィィィン



「なにぃ!?」

「「砲撃魔導師と、クロスレンジで戦った感想は如何かな?
  デビルトリガーを発動しても尚、私がクロスレンジ戦闘が得意じゃない事には変わりがない――にも拘らずこの結果……残念だったねトーレちゃん?」」

「ぐ……貴様、本当に高町なのはなのか?
 事前情報によれば、高町なのははやる時はやる性格だとは言え、敵に対して酷薄にして冷酷になれる性格ではなかった筈だ!!其れなのに貴様は!!!」


……下らないね、そんな事が気になって居たの?
こんな事言ったらアレなんだけど、如何やら私は、デビルトリガーを発動すると、少しばかり好戦的で冷酷な性格に変わっちゃうみたいなんだよね――ネロに言われて初め
て気が付いた事なんだけどねさ。


確かに貴女は強いよトーレちゃん。其れこそ、並の魔導師だったら貴女に勝つのは相当に難しいと思う。


だけど、貴女は『只強い』其れだけで、その強さの根幹に何があるのか見えてこない――言っちゃうと、張子の虎的な強さで、強さの根拠が全然見えないんだよ貴女はね。



「!!知った風な口を!!」

「「叩いていると思う?――そう思っているんだったら、此処で終わりなの!!
  魔導と出会って10年……良くも悪くも、私は世界の全てを見て来た……だからこそ、貴女の強さが上辺だけの物だって言う事が良く分かるんだよ。」」

「ふ、ふざけるなぁ!!
 私は、ドクターが一番の武闘派として生み出した存在だ!!それが、砲撃魔導師にタイマンで遅れをとる等と言う事が有ってたまるかぁ!!!」


加えて、現実を直視できないなんて、其れこそ三流の証だよ!
強くなるには、次のステップに上るには、先ずは己の弱さを知る事が何よりも大事なんだよ?――己の弱さと弱点を知っているからこそ、其れを克服せんとして次のステップ
に進む事が出来る訳だからね。

其れすら出来ずに、己の弱さと弱点を否定して受け入れる事が出来ないなんて言うのは愚の骨頂!!三流以下のやられ役に過ぎないの!!


「貴様……何処までも愚弄して――その心の臓を抉り出してくれる!!」

「「そう言う事を軽々しく口にする物じゃないよ……私の心臓が欲しいなら、せめて奪った命を斬り捨てずに背負う覚悟をしてきやがれなの!!」」

其れすら出来てないくせに、大口を叩く物じゃないよ!!
まぁ、何れにしても、これ以上貴女に付き合う心算はないから、これで終わりだよトーレちゃん!!エース・オブ・エースと称される私の力、身をもって味わうと良いの!!



「此れは……何時の間にエネルギー収束を!?」

「「貴女と話してる間にだよ……会話の合間に魔力を収束するくらいは訳ない事だからね――流石にブレイカーを放つ事は出来ないけどね。
  だけど、一撃で貴女を行動不能にする砲撃を放つのは可能なんだよ――そう言う風に、事を進めていたからね!!」」

覚悟は良いかな?……吹き飛べ、ディバインバスター!!


『Divine Buster.』



――ドッゴォォォォォォォォォォオオォォォオオォォォオォォォン!!!




やったかな?……いや、逃げられたみたいだね……如何やら着弾直前に転移したみたいだね此れは。
単体でこんな事が出来るとは思えないから、スカリエッティ一味にはサポートに長けた優秀なバックスが居るって事を念頭に置いておいた方が良いかもしれないね。


だけど、一体スカリエッティ一味は何をしたいのかな?
ガジェットやトーレちゃんみたいな存在を投入しても、私達機動六課を落とす事は出来ないって言うのは明白だと思うんだけど……其れなのに如何してこんな事をするの?

戦力を食い潰してでも成し遂げたい事が、或は手に入れたいものがあるとでも言うの?


だけど其れは一体……少なくとも機動六課が管理してる物に、其れだけの物は無かったと思うんだけど――


『若しかして『レリック』でしょうか?』

「!!!!」

レリック!?……確かに言われてみれば、その可能性は大いにあるかも知れないね?
マリーさんが解析しても、レリックは『高エネルギーの結晶体』と言う事以外は何も分からなかった物だけど、この未知の物質をスカリエッティが欲している可能性は大だよ!

だとしたら、此の襲撃は陽動の可能性が高い!!――スカリエッティの狙いは、六課本部に保管されたレリック!!


此れは、完全に仕掛けに乗せられた!!

恐らく今から六課本部に駆けつけても多分間に合わないだろうけど、レリックは絶対に渡さない――貴方達の思い通りになんてさえないよ……レイジングハート!!


『All right Master Wide Area search.(了解ですマスター。ワイドエリアサーチを展開します。)』


レイジングハートのワイドエリアサーチの範囲は、半径1.5km――絶対に逃がさないからね!!








――――――








Side:バージル


「本当に、こっちに悪魔が居るのか?取り立てて邪悪な魔力は感じなかったが……」


あぁ、間違いなくいる、其れも相当に厄介で、面倒な奴が――何よりも、俺が感じ取ったのだから間違いはないだろう?俺の感覚は、管理局のサーチャーを上回るからな。


「確かにお前の感覚は相当に鋭い物があるが、管理局のサーチャー以上とは驚きだな。
 しかし、現場に到着した訳だが、何処に悪魔が居るのだ?――見た感じでは、何処にも見姿が見えないが……」

「そう思うのも無理はないが、地面をよく見て見ろ――見えるだろう、奴の姿が!!」

「地面を?………此れは!!此れは一体何者だ!?
 悪魔なのか?……其れにしては、ドロドロのヘドロかゲル状の何かにしか見えんぞ!?――この名伏し難い何かもまた悪魔だと言うのか!?」


まぁ、俺も此の粘つく闇の様な物体を悪魔と認識して良いのかどうか悩むところだが、コイツは間違いなく悪魔だ――其れも、魔帝が直々に作り出した悪魔の兵器らしい。


「悪魔の兵器だと?」

「圧倒的な戦闘力を内蔵し、ゲル状の身体は一切の攻撃を受け付けぬ兵器だ。
 だが、その強さゆえに、コイツの暴走を恐れた魔帝は、いざという時にコイツを実体化させる、拘束具の役割を持つ紋章も作ったらしい――其れを起動すればゲル状の身
 体は、硬質化して形になるらしい。
 ――が、ナイトメアとは良く名付けた物だ……コイツは、存在そのものが悪夢だと言っても過言ではない存在だからな?」

「成程、相当に厄介な相手の様だが、だからと言って退く気はないのだろうバージルよ?」


……フン、愚問だな?
ナイトメアと、紋章はセットの存在ゆえに、近くに紋章がある筈だから、其れを見つけ出して起動しろシグナム――硬質化した本体は、俺が斬り殺す。


「異論はないが、紋章はどのような方法で起動するのだ?」

「紋章を攻撃して力を注ぎこめばいいだけの事――分かり易いだろう?」

「……確かに、シンプルな事この上ないな。
 良いだろう、紋章起動の任は確かに承った!!――私が紋章を起動する前に、やられてくれるなよバージル?」


ククク……誰に物を言っている?この程度の相手に、俺が遅れをとる筈がなかろう?
何よりも、嘗て魔帝の手駒と化して事で、コイツの攻撃方法やら何やらは熟知しているからな――負ける事はあり得ないと言うモノだ。


加えて、この悪夢を切り伏せられぬのでは、俺はこの世界で生きて行く事は出来んだろうからな?……精々、我が刃の錆とする、其れだけの事だ――異存はあるか?


「無いな――だが、絶対に死ぬな、其れだけは約束してくれ。」

「……分かった、其れは俺の刀に誓おう。俺は、何が有ろうとも死なんとな。」

「ならば良しだ!――さて、其れでは改めて、悪夢を切り払うとしようか!!」


あぁ、コイツは見るのもおぞましいからな。――一刀のもとに切り伏せてくれる!!




精々後悔すると良いぞナイトメア……俺とシグナムと言う、最強クラスの剣士にその存在をサーチされてしまったという事をな――精々死の安息に沈むが良い!!


そして返して貰うぞ、貴様が取り込んだであろう俺の息子……ネロをな――












 To Be Continued… 





シリアスな戦闘場面のはずが。
美姫 「子供の時のなのはって」
いや、本当に何をしたんだろう。
美姫 「あの二人が予めトラウマが出てくると知らされていてなおだものね」
スカリエッティの狙いも気になるが、そっちの方が気になってしまった。
美姫 「本当に。まあ、ともあれ各地での騒動も少しずつ収まりつつあるのかしら」
どうだろうな。次回も気になる所だ。
美姫 「次回も楽しみにしていますね」
待っています。



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る