Side:ネロ


偶には外食も良いかと思って、市外に繰り出したんだが、飯よりも前にウィンドウショッピングになっちまったなエリオ?



「そうですね……まぁ、この間の休日はおじゃんになってしまった事に、キャロは納得できてなかったかも知れないですから、その反動でこんな事になってるのかも……」

「いや、其れだけじゃねぇだろ此れ?
 確実に、ヴィヴィオを着せ替え人形にして楽しんでるよなキャロの奴は?ヴィヴィオも喜んでるから、其れは別に良いんだけどよ……」

「キャロからしたら、妹みたいな存在が出来た訳ですから、ヴィヴィオの事が可愛いのかも知れないのかもしれません。」



成程な……だが、其れなら良いさ。仲がいいってのは結構な事だからな。

だが、ただ待ってるってのも退屈だな……折角だから、俺達も服の試着とかしてみるか?試着だけならタダだし、偶にはやってみたって罰は当たらねぇだろうからな。



「試着って……無理ですよ僕には!
 ネロさんなら兎も角、僕みたいな子供じゃ、着飾ったってたかが知れてますよ……だから……」

「何言ってやがんだお前?確かにお前は子供だが、容姿は極上レベルだぜ?其れこそ、あと5年も経てば、誰もが認めるイケメンになるのは間違いねぇ。
 だから、もう少し私生活での服装ってモンを気にしろよな?」

ラフな格好ってのは悪くないが、誰かと出掛ける時には適してねぇ――其れ位は覚えておいた方が良いぜエリオ?



「は、はい!覚えておきます!!」



じゃあ決まりだな?
俺が服を選んでやるから、適当に試着しな――何か買うってんなら、代金は全部俺が持ってやるさ……此れ位やっても、多分罰は当たらねぇだろうからな。














リリカルなのは×Devil May Cry  黒き騎士と白き魔導師 Mission80
『偶には平穏に〜Calm of gerade〜』











でもって、服屋で何点か服を買って、適当に街を見回って、気が付きゃ12:30……いい加減、昼飯にしないとって感じだぜ。そろそろヴィヴィオも限界みたいだからな。
もう少し待ってろヴィヴィオ、なのはの料理には負けるが、美味い物を食わせてやるからよ。



「美味しいの?」

「あぁ、美味いぜ?何せなのはが太鼓判を捺したくらいだからな。」

「太鼓判てなに?」



……其処からか!?……『太鼓判』てのは、如何説明したもんかなエリオ、キャロ?Japanese language(日本語)の言い回しは、少しばかり特殊だから、まだ理解しきれ
てねぇんだ――なのはの親友であるフェイトの、実質的な息子と娘なお前達なら分かるだろ?てか分かるよな!?



「無茶ぶらないで下さいネロさん!!
 フェイトさんは地球の、特に日本の文系に関しては壊滅的だったみたいですから、僕だってどう説明して良いかなんて分かりませんよぉ!!!」

「わ、私もちょっと無理かもしれないです……」

「なら、足りねぇ知識を絞り出せ!!これ以上ないってくらいに絞り出せ!!
 ヴィヴィオの、この純粋なまでの質問に答える事が出来ねぇなんて事が有って良い筈がねぇだろ!!!だから頼む、マジで頼む!!」

「「そんな無茶な……!」」



まぁ、無茶だよなぁ……言った俺だってそう思うからな。――だが、此処で説明できないなんて言うのは冗談じゃねぇ……何とか説明しないとだぜ。


思い出せ、どんな時に『太鼓判』て言葉が使われてたのか!!
確か……



『スバル達も随分と強くなって来たから、そろそろ実戦投入しても良いと思うよはやてちゃん?』

『そか?……まぁ、なのはちゃんが太鼓判捺したんなら大丈夫やろな♪』



そうだ、前にこんな会話を聞いた記憶があるぜ。
って事は、太鼓判を捺すってのは『確実だと保証する意味』だと見て、間違いねぇだろうな――後でなのはに聞いてみる必要はあるかも知れねぇが、取り合えずの説明
としては充分だろうからな。

「太鼓判てのは『確実な保証』って所だな。
 つまりこの店は美味さは、なのはの保証付きって事だ――ママの保証付きなら、安心できるだろヴィヴィオ?」

「ママの保証付き……うん、楽しみ♪」




「保証付きの一言で済ませたよネロさん……」

「す、凄いです!!」



まぁ、前に其れらしい事を聞いた事が有ったからだけどな。
だがまぁ、ヴィヴィオも納得してくれた上で、更にこの店に期待を持ったみたいだから、早速入るとしようぜ?なのはが推してた以上、味の方は期待出来るだろうからな。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



んで流石に人気店だけに、待って入店したんだが、待ち時間10分なら短い方だよな?……店によっては、待ち時間が60分なんてのも有るらしいから、10分で入店出
来たってのは、ある意味で幸運だったのかもな。

まぁ、そんな事は結果論だから彼是言うのは無しにして、お前等も好きなモンを注文しろよ?遠慮はいらねぇからさ。



「じゃあ、お言葉に甘えて……私は『サーモンサンドセット』で。」

「私はオムライス〜〜〜〜!!」



キャロとヴィヴィオは、まぁ、ある意味で予想通りの注文だったな。
スモークサーモンとアボカドのサンドウィッチに、オニオンコンソメスープとサラダがセットの『サーモンサンドセット』はランチの定番らしいし、ヴィヴィオがオーダーしたオム
ライスは、この店の一番人気らしいからな?……まぁ、なのはに聞いた事だけどよ。

え〜と、其れじゃあ俺は『ステーキサンドセット』に、単品で『海老カツサンド』で。
セットメニューのポテトとドリンクはLサイズで、ドリンクはジンジャーエールで頼むぜ。――んで、エリオは如何するんだ?



「如何するって言われても、僕の大食いってスバルさんといい勝負ですから、ネロさんのお財布を圧迫しちゃうんじゃないかって……」

「んなこと気にしてたのかよ?
 支払いの方は気にすんな、こう見えても俺の貯金は400万以上あるから、お前がこの店のメニューを全部喰い尽くしたところで、痛くもかゆくもねぇんだよ本気でな。」

だから、変な遠慮なんかしないで、思ったままにオーダーしてくれて構わないぜエリオ?
どうしても気になるってんなら、その時は出世払いで構わねぇからな――寧ろ、満足できるようにオーダーしろ。そうじゃないと、俺としても誘った甲斐がないからな。



「そ、其れじゃあ……此処から此処までお願いします。
 順番とか気にしなくて良いので、出来た順に持って来てください〜〜!!」

「意外と脳筋だなエリオ……」

其れはある意味頼もしいけどな。


っつ〜訳で、気合い入れて作れよ店員共?
こう言う言い方は如何かと思うが、エリオの胃袋は普通じゃねぇから――一歩間違えれば、店ごと喰い尽くすかもしれねぇからな。あながち冗談じゃないぜ此れはな!!



「此れだけの注文をされたら、やるしかねぇだろ!!
 気合を入れろやテメェ等!此れだけの注文だが、他のお客さんを待たせねぇように全力で作れ!兎に角作れ!!一秒たりとも無駄にするんじゃねぇ!!」

「「「「了解です、店長!!!」」」」



……店主+αに気合が入ったみたいだな。
前に、翠屋で働いた時以上の忙しさになっちまったかもな厨房は……だがまぁ頑張れよ?其れがアンタ等の仕事なんだから――って、ん?



「いらっしゃいませ〜。4名様ですね?此方へどうぞ〜〜。」



アレは、ヴィッツとスバルとティアナとウェンディ?アイツ等も、今日は管理局の食堂じゃなくて外に食べに来てたのか。

「お〜い、ヴィッツ!」

「あ、ネロさん達も此処に来てたんですか?」



偶には外で食うのも良いかと思ってな。良かったこっち来いよ、隣の席が4つ空いてるからさ。飯ってのは、大勢で食った方が多いしヴィヴィオも楽しいだろうからな。



「それじゃあ、失礼しますね♪」

「お〜、皆で御飯ッス!!」

「お邪魔しますね、ネロさん!」

「失礼します。」



一気に賑やかになったな。
其れよりもヴィッツ、お前も後輩に奢りか。



「大体そんな所ですかね?ギンガも、ノーヴェ達をお昼に連れだしたみたいだし――まぁ、ギンガの方は妹達に御馳走って感じだけど。」

「確かにな。」

にしても、スバルとウェンディが居るとか、大丈夫かお前?
その2人が一緒だと、単純計算でエリオの倍だからな……俺以上に、諭吉が羽生やして飛んでいきそうな感じがするぜ?……敢えて言うぜ、紙幣の貯蔵は充分か?



「大丈夫です、問題ない!」



「其れじゃあご注文がお決まりならば。」

「オーダー取りに来たぜ?」


「私は、サーモンフライ海鮮カレーセットで。」

「私は、チンジャオ餡かけ炒飯セットでお願いします。」



ヴィッツと、ティアナは普通のオーダーだが、問題はスバルとウェンディだな……コイツ等は、何時も管理局の食堂でも滅茶苦茶食ってるからな?前に、厨房の連中が泣
きそうになってのを見た事が有るぜ……



「アタシは……めんどいから、メニュー全部持ってきて!!」

「アタシは、特製カルビ丼の特盛と、カツ丼特盛、親子丼特盛、牛丼特盛、豚カルビスタミナ丼特盛、鳥つくね丼特盛を、夫々5人前頼むッス!!」



で、予想通りか。
スバルのメニュー全部ってのも凄いが、ウェンディの合計30人前ってのがあり得ねぇ……しかも、全部肉系だし栄養バランス悪いだろ此れ?野菜も食えよお前……



「え〜〜?」

「『え〜〜〜?』じゃねえよ。
 オイ、こっちの赤毛には更にグリーンサラダの大盛りも追加な。肉系だけってのはよくねぇからな。」

っつーかよ、エリオのオーダーに加えて、スバルとウェンディのオーダーも加えたら、本気で厨房が死ぬんじゃねぇか?厨房が戦場ってのは、洒落じゃねぇかも知れねぇ。
が、頑張れよ料理担当。








――10分後







「おいしーーーー♪」

「うん、美味しいねヴィヴィオ♪」

「うん♪」



オーダーした物が届いて、ランチタイムだな。
俺がオーダーしたメニューも中々美味いし、キャロのメニューも美味そうなんだが……ヴィヴィオのオムライスは何て言うか、超豪華仕様じゃないのか此れ?
熱々の半熟オムライスだけでも最高に旨そうだが、其れにハンバーグとエビフライが付いて、其れにたっぷりのデミグラスソースがかかって、此れで780円とは、採算取
れてんのかこの店は……まぁ、良いけどよ。


んでもって……



「美味しいですね此れ!!!」

「うん、美味しいよね此れ!もう一周行っとく此れ!」

「サラダとか不要とか思ってたけど、此れも此れで美味しいっす!それに、この丼も滅茶苦茶美味いっす!!ドレだけでも食えるッス!!!」



エリオとスバルとウェンディはハンパねぇな?
厨房の方も戦場なのかも知れないが、一品喰い終わったと思ったら、待たせる事なく次のメニューが運ばれてきてるからな……其れを即たいらげるのは大したモンだ。



「物凄く美味しいから、もう一周と言わずに行けるとこまで行っちゃおうか?」

「そうですねスバルさん!!」

「スバル姉ちゃん、名案ッス!!」



……こんな事言ったらアレだが、アイツ等の胃袋の内部にはブラックホールが渦巻たりはしてねぇよな?
明らかに、身体の体積よりも、喰った量の方が多いって結果になるだろ此れは!!本気でどうなってんだ、スバル達の胃袋は!?……此れが噂の『悪魔の胃袋』か!

若しかしなくても、コイツ等は満腹中枢がぶっ壊れてるのかも知れないぜ。……取り敢えず、食後のコーヒーで一服入れるか。



ま、結果的に、財布から諭吉が数枚旅立っちまったが、エリオも満足したみたいだから、コイツは其れの為の出費って所だな。


だけど今回の事で学んだぜ……食事に誘う相手は、選ばないとならないって言う事がな……まさか、此処まで喰うとは思ってもみなかったぜ。
ま、端っから奢る心算だったから、此の出費はある意味で、想定範囲内だったけど…が、アイナにナカジマ姉妹専用メニューを作って貰うよう言った方が良いかもだな。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・



んでもって、飯の後は街を見て歩いた訳だが、気が付けばもう夕方か……文字通り『時間を忘れて楽しんだ』って事なんだろうな。
ま、今日は一日オフみたいなモンだったからこそ出来た事だけどな。

適当に買い物もして、ヴィヴィオも楽しめたみたいだからな。



「あ、おかえりネロ。それと、ヴィヴィオも。」

「なのは?」

まだ定時終了には時間があるが、何だってここに居るんだ?もしかして、『お仕事』とやらが、思いのほか早く終わったのか?



「うん。取り敢えず、この間の市街地戦その他の情報を整理するって感じだったから、思ったよりも時間がかからなくって、終業時間前に終わらせる事が出来たんだよ。」



其れはまた何とも……ま、お疲れ様だな。



「ママ〜〜〜♪」



ってヴィヴィオ!?
おいマテ、ママに会えたのは嬉しいかもしれないが、そんなに走ったら――!!



――ガクン……



「へ?」



やっぱり蹴躓いたか!!――くそ、間に合ってくれ!!!








――――――








Side:なのは


思いの外、お仕事が早く終わって戻って来たら、市街地に出てたらしいネロ達も丁度戻ってきたところだったの。実に良いタイミングだね。

でも、其れは良かったんだけど、私の事を見たヴィヴィオが、『ママ〜〜』って駆け寄ってきて……お約束的に蹴躓いて、あわや転倒!って、思ったんだけど此れは…?



「大丈夫かヴィヴィオ?」

「ふえ、パパ?」



転びかけたヴィヴィオを、ネロがギリギリで抱き留めて事もなし……なんだけど、今のネロの動作は幾ら何でもありえなくないかなぁ?
僅か数メートルとは言え、転びかけた子供を瞬時に抱き留めるなんて言う事は、普通なら不可能だよ?……其れこそ『瞬間移動』でも出来ない限りは絶対無理なの!!



「……無意識なのだろうが、エアトリックを使ったようだな。」

「やるじゃねぇか坊主♪」



ほえ?バージルさん、ダンテさん?
エアトリックって、確か御二人が使う瞬間移動術でしたよね?其れをネロが使ったって言うんですか?



「間違いなくな――性能的には、俺のエアトリックに近いようだが、間違いなく其れを使ったに違いなかろう。
 大体にして、エアトリックもまたスパーダの技ゆえ、スパーダの血を引くネロが其れを使えないと言う道理もない……寧ろ、使えて然るべきだと言うところだろうな。」

「ま、坊主自身も何が起きたのか理解できてねぇって所かも知れねぇけどな。」



無意識ですか……だけど、其れを意識的に使えるようになったら、ネロは更に強くなるんだろうね?
マッタク、何処まで強くなるんだろねネロは?……恋人としては誇らしい所だけど、六課の小隊長としては負けてられないって言う気持ちもあるから、精進あるのみなの。



「其れは結構だが、先ずは娘の所に行ってやるが良い。
 如何にネロが頑張ったとは言え、子供にとって『母』の存在と言う物は、何にも代えがたいほどに大きなモノだからな。」



そ、そうですね!では此処で失礼します!!

おかえりなさいヴィヴィオ!



「ただいまママ〜〜!」

「パパとお出かけしたみたいだけど、如何だった?」

「楽しかった〜〜♪」



そう。其れは良かったね♪――ネロも、お疲れ様だったね?



「此れ位は如何って事ねぇよ。ましてや、可愛い娘の為だから、苦労も苦労にゃならねぇさ。
 其れに、スバル達も一緒だった事がプラスになったみたいで、ヴィヴィオも大分六課の連中に慣れたみたいだからな?――まぁ、結果的には良い事尽くめだったぜ。
 だけど、ヴィヴィオは『ママが一緒の方が〜〜』ってな事を言ってたから、機会が有ったら今度は俺となのはとヴィヴィオで市街に繰り出そうぜ?」

「そうだね、其れも良いかもしれないね♪」

次の機会には3人で――ふふ、約束だねヴィヴィオ?



「うん♪」

「じゃあ約束の証として……指切りげんまん、嘘吐いたら、針千本飲〜〜〜ます。指切った。」

「切った♪」


何時になるかは分からないけど、この約束を果たす時は、きっと楽しい物になる事は間違いなさそうだね♪――なんか私も、その日が来るのが楽しみになって来たの♪













 To Be Continued… 





ヴィヴィオとお出掛けというか、外食。
美姫 「ある意味、予想通りに食べたわねエリオは」
他にもスバルたちも来た事で一気に大食い大会みたいになったな。
美姫 「まあ、これが彼らにとっては普通なんだけれどね」
まあな。さて、次回はどんな話かな。
美姫 「次回も楽しみにしていますね」
次回も待っています。



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る