Side:ネロ
今日は日曜で訓練もないから、イメージトレーニングでダンテと戦おうと思ってたんだが…
「悪魔に付いての説明?俺が?」
「うん……ほら、この前の遺跡の事も有るし、前にここにも悪魔が出て来たでしょ?
デパートの殺人事件の犯人も悪魔だし――何より、ジェスターがミッドで悪さをする可能性もゼロじゃない…と言うか何れ仕掛けて来ると思うんだ。
そうなった時の為に、管理局の人が悪魔に関しての知識を持っていた方が良いと思って……この世界ではネロ君が一番悪魔に詳しいし、ね?」
なのはから管理局の連中に悪魔の事を話してやってほしいって頼まれちまった。
確かになのはの言う事は尤もだし、ジェスターの奴がミッドチルダでちょかい出してくる可能性は大いにあるからな……知っておくに越したことは無いか。
だがなのは、悪魔って言ってもこの前の遺跡に現れたのや、此処に出て来たマリオネットの類はホンの一握りに過ぎないぜ?
悪魔の種類は千差万別で、俺だって全部の悪魔を知ってる訳じゃないんだが、其れでも良いのか?
「構わないよ……寧ろ全く知らないよりも、少しでも知っておいた方が良いのは道理だからね。
幸いネロ君がこっちに来たときの映像は、レイジングハートが記録してるからその映像を使えば説明できる悪魔の種類は増えるでしょ?」
「ゼロよりは確かに……俺もダンテから教えてもらったおかげで苦戦せずに済んだ手強い悪魔ってのが確かに居たからな…
まぁ、そう言う事なら説明するのは構わないが……お偉いさんが沢山集まってるような場所で説明しろってのは勘弁してほしんだけど…ダメか?」
「其れは大丈夫だよ?
イキナリ訓練生が悪魔の事を説明したところで信じる人は余り居ないと思うから、今日は私の直接の上司にだけ説明してくれればOKなの。」
なら安心だな――偉そうな奴等を大勢相手にしてたら間違いなく俺の精神は限界迎えて適当な奴にバスター喰らわせただろうし。
なのはの直接の上司ってんなら、少なくとも権力に胡坐かいて威張り腐ってる奴って事はないだろう……なのはもそんな奴には従わないだろうしな。
「それから、其れとは別にマリーさんの所にも行くからね?」
「マリーって……技術部のマリエル・アテンザの所に?」
「うん。レッドクイーンとブルーローズに『待機状態』を設定できるようになったから来てほしいって。」
待機状態か……そいつはありがたいね。
ブルーローズは兎も角、レッドクイーンを常時背負って街中を歩くってのも少しばかり抵抗があったから、待機状態にできるなら助かるよ。
リリカルなのは×Devil May Cry 黒き騎士と白き魔導師 Mission9
『悪魔撃退法〜Tutorial〜』
で、管理局の本局に……俺がこっちに来たとき以来だな此処に来るのも。
先ずは技術部に行ってレッドクイーンとブルーローズをマリーに預けて来た。
『数時間で仕上げますから任せといてください』って、モノの数時間で仕上げるとか凄すぎるぜマリーは…少しばかり尊敬しちまった。
で、今はレティ提督とやらが居る部屋まで移動中。
なのはと一緒のせいか、随分と人の視線が突き刺さるな……まぁ、高々訓練生がエース・オブ・エースと一緒に居れば注目されるのも当然てところか。
「ところでなのは、此れから会うって言う直接の上司ってのはどんな人なんだ?」
「ん〜〜……一言で言えば『才女』って言うのが一番合ってるかな?
常に冷静さを失わずに、物事を客観的に見る事が出来る…其れで居て冷徹な事はなくて寧ろ人情派……『少し厳しいお母さん』て言う感じだね♪」
孤児院のシェスタみたいな感じの人か?
取り敢えず真面な奴みたいで安心したよ……流石に相手の態度にムカついたからってバスター叩き込みでもしたら大問題だろうしな。
「流石に其れは……まぁ、ネロ君の気持ちは私も分かるかなぁ?
頭ごなしに色々言って来た上官に問答無用でディバインバスターを喰らわせたくなった事は確かにあるしね。」
「寧ろかましてても良かったんじゃないのか?
なのはのディバインバスター喰らったら、大概の奴はKOされて二度と舐めた事言えなくなるだろ?てか言えなくなる筈だ。」
ハッキリってアレだけの砲撃を放てる奴は上級悪魔にだって早々居るもんじゃないんだぜ?
其れをたった1人で放つってんだから規格外も良い所だ――まぁ、だからこそエース・オブ・エース何て呼ばれるまでなったんだろうけどさ。
「ディバインバスターは私の魔導の根幹をなす技だからね――単純な直射砲なら此れに勝るものはないって自負してるよ?今も性能を強化してるしね。
……さてと、話してる間に到着したの……此処が私の上司である人が居る部屋だよ。」
「提督室……予想以上のお偉いさんが居るって事か。」
「別に緊張する事はないよ?……って、ネロ君にはそんなモノはないか。
――失礼します、高町なのは二等空尉、訓練生ネロを連れて参りました。」
緊張しないって……俺だって緊張する事くらい――あ、無いな……最上級悪魔と対峙した時ですら緊張の『き』の字もなかったような気がする。
自分で言うのもなんだが随分と図太い神経を持っているらしいな俺は?此れもスパーダの血筋の特徴かもな。
――プシュゥ
「失礼します。……ほら、ネロ君。」
「あ、あぁ……邪魔するぜ?」
「待って居たわ高町二尉……其れからネロ君。」
眼鏡をかけた紫の髪の女性……コイツがレティ・ロウラン何だろうな――成程確かに『才女』って感じだ。
柔和な雰囲気だが芯は強いな……多分、俺やなのはみたいに『自分の信念は絶対に曲げない』って部分があるような気がする。
でもって、この人は絶対に物凄い常識人だ、間違いない。
何て言うか、キリエの包容力と優しさに、クレドの厳格さと実直さを足したような感じだ――少なくともレディやトリッシュみたいなぶっ飛んだ奴じゃない。
「はじめまして、レティ・ロウランよ。
高町二等空尉……なのはさんが所属している武装隊の総司令を務めているわ。」
「……ネロだ。」
「ふふ……取り敢えず楽にしてくれていいわ。
此処には私しか居ないし、2人ともあまり形式ばった堅苦しいのは苦手でしょう?」
そうさせて貰う、堅苦しいのは苦手でね――まぁ、提督なんて地位に居る奴が意外とフランクな性格だってのには驚いたがな。
「じゃあそうさせて貰いますね♪
公の場なら兎も角、個人的な事で肩肘張るのはやっぱり疲れますし――8年来の付き合いになるレティさんに変に畏まるのも違和感ありますから。」
「でしょうね――私としても貴女とは楽な気分で話をしたいと思っているのよ……クロノ君とはそうでもないのだけれどね…」
恐らくなのはの人柄がそうさせるんだろうな――巧く言えないが、なのはには自然と人を惹きつける『何か』が有るような気がする。
フェイトやはやても其れに惹かれてなのはと友人関係を構築するに至ったんだろうな……多分。
まぁ、其れは良いとしてだ、俺に悪魔の事を聞きたいって事だが何を知りたいんだ?
確かにこの世界じゃあ俺よりも悪魔に詳しい奴は居ないだろうが――
「そうね……端的に言えば貴方が知っている事全てを教えてほしいと言うのが私の本音かしら。
貴方が此方に来た際に戦っていた者、訓練校に現れたと言う人形……そしてこの間の遺跡調査の時に現れたモノ…先ずはこれらについてね。」
「All right.(了解だ。)
俺だって悪魔の事を全て知ってる訳じゃないからアンタの望み通りの情報を提供してやれるかは分からないが、出来る範囲の説明はするよ。」
大体にして、他者を蹂躙する事しか頭にないクソッたれが、何の罪もない平和に暮らしてる奴を殺すなんざ胸糞が悪くて仕方ねぇからな。
俺の持ってる拙い知識とやらで少しでも其れを止める事が出来るってんなら喜んで『情報提供』させて貰うぜ。
「助かるわ……じゃあ先ずは基本的な事から聞きたいのだけれど、悪魔と言うのはそもそも何?」
「そう来たか…悪魔は悪魔としか言いようが無いんだが、言うなれば人の住む世界とは違う『魔界』って場所に住んでる奴等だ。
聞いた話だと、魔界は人間界とは違いあらゆる次元世界に繋がってて、魔界を通れば自分が居たのとは違う世界に行く事も出来るらしい。
つまり、此処にも悪魔が出て来る可能性は今までだって有った訳だが――多分、俺がこの世界に来た事で『境界』に綻びが出来たんだろうな。」
「境界?」
人間界と魔界を隔ててるのは、言っちまえば大雑把な網みたいなもんで、普通は其の網の目に引っ掛かって人間界には出て来れねぇのさ。
だが、其の網の目を抜けられる下級の雑魚は割と簡単に人間界に出て来る事が出来るんだ。
今の今までこっちに悪魔が現れた事がないのを考えると、ミッドと魔界の境界は普通よりも網の目が小さかったんだろうな。
其れが、俺がこっちに来た時の衝撃か何かで綻びが出来て悪魔が出て来るようになったんだろう――それ以外には思いつかない。
「成程ね……その綻びは直す事は出来ないのかなぁ?」
「こっちから魔界に出向いて閻魔刀で封印すれば少なくとも悪魔が出て来る事はなくなるが……魔界への入り口が開いてない以上現実的じゃない。」
「と言う事は、現れた悪魔をその都度倒すしかないと言う事ね……」
現状ではな……まぁ、其れでも俺と一緒に転送された奴等を除けば、ミッドに現れたのは最下級のマリオネットだけだからそれ程脅威じゃない。
入校したばかりの訓練生なら兎も角、今管理局に勤務してる魔導師なら簡単に撃破できる連中だからな。
「そう……其れじゃあ次の質問。
下級の悪魔は依代を必要としているって言うのをなのはさんから聞いたのだけれど、依代になる物の基準とかはあるのかしら?」
明確には分からない……取り敢えず取り付けるモンは何でも依代にするみたいだからな。
だが、人の『恐怖の念』を受け続けた物ほど連中にとっては良い依代であるみたいだ。
「「恐怖の念?」」
「あ〜〜〜〜……例えばだ、2人とも『骨』からは何を連想する?
それもスペアリブやフライドチキンなんかに付いてるようなやつじゃなくて、巨大な牛の頭蓋骨だ――無意識にも『死』のイメージを連想しないか?」
自分の意思とは無関係に、例えばハイウェイの横にそんなモンを見つけちまったら驚くし『怖い』って思うだろ?
そうやって人の『死のイメージ』や『恐怖の念』を受け続けた物は、下級の悪魔には格好の依代になる――負のイメージは奴等の力の源だからな。
フェティッシュは別だが、マリオネットやブラッディマリーも放置された等身大の人形が『不気味』と思われたせいで依代となったって寸法だ。
「って言う事はネロ君がこっちに来たときに戦って悪魔は布製の人形や氷やトカゲを依代にしたって事?」
「アイツ等はまた別だ。
布人形――スケアクロウとメガスケアクロウは、魔界で育った甲虫が布袋に詰まってあたかも1体の悪魔の様に動いてるに過ぎない。
袋を叩き破ってやれば、中身は人間界に適応できずに即お陀仏だ。
だが、トカゲ――アサルトと、氷――フロストは悪魔の中でも少しばかり特殊でな……アイツ等は魔界の帝王が作り出した悪魔らしいんだ。」
「作り出した!?」
「其れって如何言う事?」
詳しくは知らないが、魔界の一番偉い奴が『人間界に適応した悪魔』って事で侵略の兵隊として造り出したらしいぜ?
確かにアイツ等は依代を必要とする奴等とは違って耐久力がハンパじゃなく高い――アサルトに至っては盾と兜と爪で武装してるしな。
更に言うならフロストは中級レベルだが、その力は上級悪魔にも匹敵するぜ?
絶対零度の身体は超高温には弱いとは言え、岩盤みたいに堅いし、自分の身体を氷の粒にして瞬間移動めいた事までして来やがるからな。
おまけに、自らを氷に閉じこめて自己再生までしやがるからな……面倒な事この上ねぇ。
まぁ、それでもなのはの敵じゃあないだろうし、俺と模擬戦やったシグナムなら炎の剣使うから瞬殺できると思う。
「だが、気になるのは遺跡でジェスターが呼び出した連中だ。」
「ブラッドゴートとシャドウとギガピードの事?」
It's so.(その通り)
ブラッドゴートは下級ながら依代を必要としない悪魔で、シャドウとギガピードに至っては中級の上位悪魔だ其れが出て来たってのは無視できない。
アノ遺跡が有った世界がこっちよりも魔界との境界が緩いってだけなら良いんだが、如何にも其れだけじゃない気がしてな。
イカレタピエロ野郎が何を企んでるかは知らないが、もしもアイツが自在に中級レベルを使役できるとしたら面倒な事この上ないだろ?
「確かにね……貴方の話を聞く限り、中級レベルの悪魔は並の魔導師では相手にするのはキツイ気がするわ。
魔導師のランクで言うならば下級はF〜C、中級はB〜AA+って言うところかしら?」
「多分な……それで上級はオーバーSで最上級はSSはあるだろう――魔帝レベルになると測定不能かもな。」
その魔帝を葬ったダンテは其れじゃあ何者なんだって事になるが、あのオッサンは常識通じないレベルの馬鹿強さだから除外だ除外。
――と、話が逸れたな。
だが、中級レベルなら面倒でも、なのはやフェイト達の敵じゃないし、ジェスターも中級レベルだろうから上級を使役する事は出来ないと思う。
其れにこの世界には魔法が有るだろ?……其れなら悪魔への対処はそれほど難しくないと思うぜ?
悪魔の中には銃弾がスコブル効き辛い奴も居るが、そんな奴等にも『魔力を込めた銃弾』なら滅茶苦茶効果がある。
って事は、射撃魔法や砲撃魔法なら問題なく奴等にダメージを与える事が出来る筈だぜ?――依代を使ってる奴は、依代壊せば其処で終わりだしな。
「総じて悪魔ってのは魔力を込めた攻撃と、剣や体術の攻撃が効き易いんだ。
そう言う意味では、純粋な魔力攻撃が出来る魔導師ってのは悪魔にとってはなんとも『やり辛い』相手だろうと思うぜ?」
御伽話なんかで、悪魔が魔女の手先として描かれる事が多いのもその辺が関係してるのかもな。
まぁ、何にせよ悪魔と戦う場合はデバイスの『非殺傷設定』は解除しとかないと拙いかもしれないぜ?
非殺傷ってのは魔力ダメージを与えるだけで、肉体に外傷を付ける事はない――其れじゃあ依代を砕く事は出来ないし、中級には効果が薄いからな。
「悪魔との戦いに情けや容赦は必要ねぇ……奴等と出会ったが最後『殺るか殺られるか』の二者一択だからな。」
「有害生物駆除よりも更にきついモノを想定していないといけないと言う訳ね……此れは本格的に非殺傷設定について考える必要がありそうだわ。
うん……思ったよりも色々な事が聞けたて良かったわネロ君。今の情報を元に、此方でもいろいろ対策を検討してみるわね。」
そうかい?この程度の情報でも役に立ったてんなら良かったぜ。
そうだ、アンタは信用できるからコイツを渡しておくぜ?コイツを解析すれば悪魔にとって有効な武器が出来るだろうからな。
「此れは?」
「ホーリーウォーター……要するに聖水だ。
聖なる力が込められた水で、中級レベルの悪魔までならその小瓶1つで全滅させる事が出来るくらいの、悪魔にとっての劇薬だ。」
「ちょっと待って!そんなモノ使ってネロ君は平気なの!?
クォーターって言っても、ネロ君も悪魔の血を引いてるんだよね?だったらネロ君もホーリーウォーターでダメージ受けるんじゃないの?」
所が俺やダンテは全然平気なんだよ。
どうにもホーリーウォーターは使用者にはダメージがないみたいで、更に使用者が『敵』と判断したモノにのみダメージを与える仕組みらしくてな。
そもそも俺は人間の血の方が濃いから、仮にダメージ受けたとしても子供にデコピン喰らった程度にしか感じないぜ多分。
「其れは何ともチートなアイテムね……でも、ありがたく頂戴しておくわ。
其れだけ悪魔にとって有用なモノなら、此れを解析して同じ物を造る事が出来れば、もしもの時に頼りになるものね。」
「そうですね♪
って言うかネロ君、こんなに良いモノ持ってるならこの前の遺跡で使ってくれても良かったんじゃないかな?」
「そう言うなよ…そいつは物凄く高価で貴重な物なんだからさ。
遺跡に現れた連中はコイツを使わなくたって倒せる連中だっただろ?そんな奴等に貴重品を使ってやる事もないからな。」
「むぅ…確かにそうだけど……」
まぁ、1人も怪我人が出ないで突破できたんだから結果オーライって事にしといてくれ。
其れに、もしもレティ提督様が信用できないような奴だったらコイツを渡したりはしないさ……信用できるから渡しただけだからな。
もっと言うならもしもの時を考えて持ってただけで、俺やなのはには無用の長物だろ?――普通に攻撃した方が早いんだから。
言っちまえば、俺のマキシマムベットとなのはのディバインバスターを同時にぶっ放せば100体近い悪魔を一撃で葬れるぞ、間違いなく。
「……確かにそうかも。」
「だろ?ホーリーウォーターは、言うなればとっさの護身用アイテムとして使うのがベターなのさ。」
少なくともそいつを使えば、戦う力を持ってない奴でも悪魔を撃退する事は出来るからな――まぁ、有効活用してくれ。
「そうさせて貰うわ……折角の日曜日なのに態々済まなかったわね。」
「いや、気にしないでくれ――俺が話さなかったせいで誰かが悪魔の犠牲になるなんてのは嫌だからな。」
だから拙い情報だったかもしれないが、可能な限りの対策を練ってくれ――あのイカレピエロが何時悪戯を仕掛けてくるかは分からないからな。
――――――
Side:なのは
レティ提督への報告も終わって、再び技術部に移動中〜〜……レティ提督も言ってたけど、意外と色々な事が聞けたね。
此れなら悪魔が出て来た時の対策も立てやすいと思う――おまけにホーリーウォーターって言う反則級のアイテムまで入手できて万々歳なの♪
で、マリーさんから『出来ました〜〜〜!!』ってメールを貰って技術部に向かってるんだけど、幾ら何でも早すぎないかなぁ?
レティ提督との会談はせいぜい1時間程度だから、其れだけの時間でレッドクイーンとブルーローズに待機状態を設定するって凄すぎだと思うよ!?
「好きな事は集中して出来るタイプなんじゃないか?
其れならこの短時間で待機状態を設定出来たってのも頷ける……俺もブルーローズの装飾は自分で思った以上に早く出来たからな。」
「確かに自分の好きな事だと作業効率は上がるけどね…」
マリーさんのそれは何て言うか其れをも超えてる気がするんだよねぇ……ある意味此れはレアスキルって言えるかもしれないの。
闇の書事件の時も破損したレイジングハートとバルディッシュをあっと言う間に治して、カートリッジシステムまで搭載してくれたからねぇ…見事なの。
取り敢えず技術部に到着。
「マリーさん、もう出来たんですか?」
「勿論!!既にデバイス化は出来てたから、待機状態を設定するのは思った以上に楽だったよ!さぁとくとご覧あれ!!!」
へぇ……メタリックな赤と青の指輪――素敵な待機状態ですねマリーさん!
「赤がレッドクイーンで、青がブルーローズか?
シンプルなデザインだが、どっちにも俺のコートに入ってる魔剣教団の紋章が刻まれてるとか芸が細かいな……気に入ったぜマリー、ありがとな。」
「いえいえ、此れ位お安いご用ですって!!
取り敢えずはめてみて?多分サイズ的にはピッタリだと思うんだけど……」
「……確かにピッタリだが、コイツを付けるとなると今付けてる指輪は外さないと付ける事が出来ないな…右腕の指じゃ入らないし。
かと言って、今してる奴は中指や小指には入らないし……ん〜〜〜………なのは。」
ほえ?なに?
「此れやるよ。」
「へぇぇぇ!?」
「待機状態のレッドクイーンとブルーローズを装備するにはその指輪を外さなきゃならないからな。
かと言ってそいつは右腕の指にはめる事は出来ない……捨てるのもなんだし、もしよかったら貰ってくれ――お古で悪いけどな。」
そ、そんな事ないよ?
確かに使い込まれてるけど、凄く綺麗だしネロ君が大事に使ってたのが分かるの……でも、私が貰っても良いのかな?
「何か問題があるか?俺がそうしたいんだ。」
「そっか……なら有り難く貰っておくね♪」
同い年の男の人からのプレゼントなんて初めてだからちょっとドキドキかな……
サイズは合わないから、後でチェーンを買ってペンダントにした方が良いかもね――って、如何したんですかマリーさん?
「いや〜〜〜ちょっと室内の温度が上がった気がしてね〜〜〜……若いって素晴らしいね〜〜〜〜。」
「「???」」
マリーさんも充分若いと思いますけど……如何したんだろうね?ネロ君分かる?
「分かると思うか?」
「…思わない。私だって分からないもん。」
「はいはい、まだお互いに無自覚って事ね〜〜〜……まぁ、じっくりゆっくり行きなさいって♪」
マリーさんは一体何を言ってるんだろう?張りきり過ぎて少し脳がオーバーヒートしちゃったのかなぁ?……取り敢えずゆっくり休んでくださいなの。
「そうさせて貰うわ〜〜〜。
取り敢えずネロさん、使ってみて何が不具合があったら直ぐに言ってくださいね?デバイスは常に最良の状態で居ないと意味ないですから。」
「OK、その時はまた世話になる。
レッドクイーンとブルーローズの分解清掃は日常的にしてた事だから、早々不具合が出る事もないとは思うんだけどな。」
「そうですか……その子達を大事にしてくださいね?」
「勿論だ。」
デバイスは魔導師にとって掛け替えのない相棒だから常に最上の状態にしておかないとだよねレイジングハート?
『I think so.(そうですね。)私達も常に最大の力を出す事が出来なければ意味はありませんので。
そう言う意味ではMr.ネロは、自分の相棒を大切にしている良き者だと思います。』
だよね♪
さて、やる事は全部終わったし――良い時間だからお昼食べに行こうか?局員食堂だけど、奢るよ。
「良いのか?……なら有り難く奢って貰おうかな。」
ふふ、指輪のお礼だよ♪――折角貰ったこの指輪は、大事にしないとだね♪
To Be Continued…
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