――六課本部壊滅から二日後・時空管理局次元航行艦待機ドッグ
Side:ネロ
六課本部は壊滅状態になっちまったが、未だ終わりじゃねぇ……俺達が終わりにはさせねぇ。
六課のメンバーが全員死んじまったってんならバッドエンドまっしぐらだが、俺達はこうして生きてるんだから、バッドエンドフラグなんざクソ喰らえだ。てか、絶対に在り得ねぇ。
「だな。何にしても此れだけの事をしてくれたんだ、敵さんには、この借りを万倍にして返してやらないと、大凡満足出来ねぇさ。そうだろう、坊主?」
「俺達が、敵戦力を見誤っていた事は否定できんが……其れでも、アレだけの事をしてくれたのだから、キッチリと落とし前を付けて貰わねばなる無い……色んな意味でな。」
アンタ等に言われるまでもないぜ、ダンテ、バージル!!
スカリエッティがドンだけの力を持って居ようが、悪魔の力を手に入れてようが、そんなモンは全く持って関係ねぇ……そんなモンは、纏めて俺の右腕が粉砕してやるぜ!
いや、俺だけじゃねぇ……
「ヴィヴィオを助け出す為なら、私はどんな事でもする……たとえ修羅となってでも、ヴィヴィオを助け出して見せる……ううん、絶対に助け出すの!!」
なのはもその気で、やる気は充実してるみたいだからな。
とは言っても、気持ちばかりが急いてたんじゃ、思わぬしっぺ返しを喰らっちまうから、此処ははやてから何らかの指示があるまで下手な動きはしない方が吉って事だろうな。
だが、あのはやてが自分の部隊を此処までぶっ壊されて黙っているとは思えねぇ……先ず間違いなくリベンジマッチ吹っかけるだろうし、敵戦力の殲滅・滅殺は間違いねぇ!
まぁ、其れは俺達も望む事だから、やるとなったらトコトンやるだけだ。
クソッ垂れな悪魔も、それ以上のクソ野郎であるスカリエッティも全部纏めてぶっ殺して、そしてヴィヴィオを取り戻す!!其れだけだぜ!!
リリカルなのは×Devil May Cry 黒き騎士と白き魔導師 Mission90
『渦巻く陰謀〜The Scheme〜』
「以上、此れより私達機動六課は、次元航行艦アースラを暫定的な本部として利用する事になった……六課本部の修復には、思った以上の時間と手間が掛かるからな。
些か六課本部と比べると不便な点もあるかも知れへんけど、其処は其れとして我慢したってや。」
まぁ、次元航行艦と六課本部じゃ差はデカいだろうな。
規模だけで言うなら次元航行艦の方が上だが、その一隻に全ての機能を持たせなければならないから、内部施設は、六課本部に相当劣るって言うのは理解できるぜ……
とは言っても、其れに文句を言うやつなんざ居ねぇだろうけどよ。
其れよりもはやて、地獄門の方はどうなった?
アレが起動しちまったら、数えきれない程の悪魔が溢れ出して、一瞬にして世界は文字通りの地獄と化しちまうぜ?
……そうなる前に3基のエミュレーターを破壊し、一番デカいオリジナルの地獄門をぶっ壊す必要があるんだが……其れもまた一筋縄じゃ行かねぇだろうしよ。
「ネロ君の言う通り、地獄門を破壊するのは一筋縄では行かへんね。
一際大きい1個以外の3つからは凄まじい魔力を感知したし、その門の守護者とも言うべき存在が、3つの門には備わってるみたいやからね。」
「門の守護者か……確かに、そう言った存在は居て然るべきだろうが、どうやってそれを調べたのだ?
六課本部が壊滅状態になった事で、真面に飛ばせるヘリも無かろう?サーチャーを飛ばすにしても、可成りの距離が離れている故に、簡単な事ではないだろう……如何に
貴様が魔導師として優秀であってもだ。」
「そら、確かに難しいけど、ヘリもダメでサーチャーも難しいってんなら別の方法を付けばいいだけやでバージルさん♪
種明かしをすると、使い魔である2体の白狼、フレキとゲリを現場まで飛ばして見て来てもろたんや。夜天の魔導書と魔力リンクを繋いだ状態でな。
此れやったら、フレキとゲリが見たモンがダイレクトに書に記録されるし、書に記録された物やったら、魔導書の持ち主である私の意思で、取り出す事が可能な訳なんよ。」
成程、使えるカードは何でも使うって事か?
まぁ、確かに彼是手段や方法を選んでられるような状況でもねぇから、使えるモンは何でも使ってリベンジマッチの勝利をもぎ取らねぇとだからな。
そんではやて、エミュレーターの守護者ってのは誰か分かったのか?
「3つのうち2つは、何か大きな魔力が渦巻いてるだけで何が居るかは分からへんのやったけど、1つに関しては守護者の姿をハッキリと捉える事が出来たで?
書に記録された、フレキ視点で見たのが此れや……正直、目を疑ったけどな。」
「そんな、此れは……!!」
「ギンガ…!!」
「ギン姉……そんな、如何して!!」
「マジかよ……幾ら何でも冗談キツイぜオイ……!!」
「何でギン姉が地獄門の番人になってるっすか!?訳分からねぇッス!!こんなの絶対にオカシイっすよ!!」
ドゥーエ達の驚きは当然だろうな……つーか、俺だって驚いちまったし。
本気で、何の冗談だコイツは?幾ら何でも、性質が悪いにも程があるぜ……エミュレーターの地獄門の守護者の1人がギンガだったなんて事は……幾ら何でも有り得ねぇ!
なんだよ此れは、洗脳でもされちまったって言うのかよ!?
「洗脳……確かにそいう事が出来るかも知れへんね。
スバル達からギンガがドナイな状態になってしまってたかは聞いとるけど、其れを考えると、スカリエッティがギンガを直した上で己の手駒とした可能性は凄く高いで?
そんでもって、己の戦力としたギンガを即時地獄門に配置するとか……本気でえぇ性格しとるでスカリエッティ!!本気で顔面パンチ喰らわせたいほどの良い性格や!!」
「気が合うなはやて?俺も同じ事を思ってたぜ。」
「アタシもだよ……」
「スバルだけじゃねぇ……ナカジマ姉妹全員が同じ事を思ったぜ……ギンガを手駒にするとか、絶対に許さねぇ!!!つーか、許しちゃならねぇだろ絶対に!!」
あぁ、絶対に許せる事じゃねえぜ此れは。寧ろ最大級の天誅ブチかますのが上等だ……つーか、それ以外にはありえねぇだろ絶対に!!
訓練校時代のダチ公が、敵の手駒と化しちまったなんて事は、『はいそうですか』と流せるもんじゃねぇからな!!
「……この地獄門にはアタシが行きます。
ギン姉が敵に操られてこんな事になってるって言うなら、妹であるアタシが一発打ん殴ってギン姉の目を覚ます!!そんでもってギン姉を取り戻して、地獄門もぶっ壊す!」
「アタシも行くぜスバル……アンだけふざけた事をし腐った挙句にギンガをテメェの手駒にするとか、喧嘩売ってるとしか思えねぇからな……ぶっ潰してやるぜ、マジでな!!」
スバルとノーヴェが行くか……まぁ、コイツ等なら大丈夫だろうな。
どっちも正統派の格闘タイプでギンガとも互角に渡り合えるし、コンビネーションで攻めたてればギンガを超える事だって出来る筈だからな……ギンガの事はスバル達に任せ
て良いんじゃねぇか、八神はやて総司令様よ?
「せやな。やったら、ギンガの事はスバル達に一任するで。せやけど、一任された以上、失敗は許されへんと言う事も理解しといてな?
プレッシャーをかける心算は無いんやけど、今の六課は言うなれば背水の陣やから、敗北がイコール死に直結すると言っても過言やない……やから、気張って行ってな?」
「「応!!」」
ったく、ドンだけ胆が据わってるんだコイツ等は?
敗北が死に直結するなんて事を聞いた日にゃ、其れだけで委縮する奴だって居るってのに、委縮するどころかやる気満々になっちまうとは、幾ら何でも凄すぎだろオイ?
ダンテやバージルだったら、不敵な笑み浮かべて行くかも知れないが……如何やら、ナカジマ姉妹の度胸は、ダンテにも引けを取らないらしいぜ。
でもまぁ、そう言う事なら大丈夫だろ?……そっちはお前等に任せるから、バッチリギンガを取り戻して来いよ?
「言われるまでもねぇ……ギンガは絶対に取り戻す!!」
「ギン姉が居ないなんて、絶対に嫌だから!!」
OK良い返事だ。
だが、懸念材料があると言えばある。
ぶっちゃけ、この状況はフォルトゥナでの一件と余りにも酷似してる。其れこそ、フォルトゥナでの一件をミッドチルダにコピー&ペーストしたんじゃないかと思う位に酷似してい
る部分が多いぜ…。
3つのエミュレーター地獄門、そしてオリジナルの地獄門……攫われたヴィヴィオ。
ヴィヴィオがキリエである事以外は、殆どがフォルトゥナでの事件と符合している……そうなると――まさか!!スカリエッティの奴は、アレすら再現しようとしてるのかよ!!
「その可能性は否定できん……あちら側にアグナスが居る事を考えると尚の事な。
最悪を想定した場合、奴が再び神を作り出した可能性とてゼロではない……寧ろ、その可能性は高いと見た方が良いだろう。」
「だよな、ヤッパリ。」
「あの〜〜〜……ちょっとスンマセンッス、神ってマジっすか?神様が出て来るッスか!?
天使が出て来たって事だから若しかしてとは思ったッスけど、マジで神様降臨なんスか!?本気で神様が出てきちゃったら、人間と悪魔の連合軍じゃキツイッスよ〜!?」
「ちょっと落ち着けよウェンディ!!本物の神様の筈ねぇだろ!!」
「左様、少し落ち着け赤パイナップル。」
「王様、そのネーミングは如何かと思うで?……でもまぁ、確かに神様が出てくる言うんはちょっと無視できへん。
ネロ君とクレドさんは、其れが何か知ってるんやろ?やったら、教えてもろてえぇかな?」
「無論。私達が『神』と呼称しているのは、嘗てフォルトゥナで起きた事件の際に、魔剣教団が作り出した圧倒的な力を持つ巨大な人造悪魔の事だ。
何千、何万と言う悪魔の魂を、20m以上の巨大な人型の器に詰め込み、帰天した教皇がその魔力を持ってして動かしていた――恐らくこの世界では、スカリエッティとやら
が、何らかの方法で動かすのだろうがな。」
でもって、普通に動くだけでも結構頑丈で厄介なんだよな。馬鹿でかいからパワーも有るし。
……そして、其れが真の力を解放した場合には、ミッドチルダはあっと言う間に灰燼に帰すのは間違いねぇだろうよ――未来のダンテですら、ちょいと苦戦したらしいからな。
「未来のダンテさんが、ちょっととは言え苦戦するなんて、其れは確かにトンでもない相手だね?
でも、今の言い方だと、真の力を解放するには、何か特別な手順が必要になるのかな?そうじゃなかったら、起動した直後に全力を出す事が出来る筈だよね?」
「流石に鋭いななのは、その通りだ。神の力を完全に引き出すには、必要なモンが2つある。
1つは、スパーダの血だ。俺やバージル、ダンテと言ったスパーダの血を引く存在を、その身に取り込む事で神はその力を完全に開放する事が出来るって訳さ。
でもってもう1つが、魔剣スパーダ。最強にして伝説の悪魔が使っていた魔剣の魔力で、神内部の悪魔を統率し、より高い精度で動かす事が出来るって事らしいぜ。」
スパーダは此処にはない、てか封印状態の『フォースエッジ』があるだけだが、あの糞顎蟲野郎とスカリエッティだったら、其れに近いモンを作っちまうかも知れねぇ。
でもって、スパーダの血となれば、間違いなく俺をターゲットにしてくるだろうな。
ヴィヴィオって言う人質が居る訳だし、あの顎野郎はバージルやダンテよりも、俺の方が未だ倒しやすいって思ってるだろうからな。
「成程な……其れが出て来てもうたら確かにトンでもないわ。
加えて、ネロ君を誘い出そうとしてくるのは火を見るよりも明らかや……そして、そうなった場合には、間違いなくなのはちゃんかて一緒に行くんやろ?」
「行かない理由がないからね。」
「まぁ、貴女ならそう言うでしょうねナノハ。」
マジか……って当然か。お前はヴィヴィオの『ママ』だからな。
仮に、スカリエッティの奴が『1人で来い』って言っても、アウトレンジから手加減無用の砲撃ブチかます分には問題ないだろうからな。…てか、そもそもルールなんぞねぇし。
尤も、其れはマジで神が現れた場合の事なんだけどが――
『八神隊長!!』
「ん?ドナイしたんやルキノ?」
『ミッド市街上空に、魔力反応の増大を確認!!……此れは、来ます!!!』
「ちょ、魔力反応の増大て!!其れに来るて………って、ちょっと待てやコラァぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!なんじゃありゃぁぁぁぁぁぁ!?」
突然の通信か。
魔力反応が増大したって事だったが……確かにコイツははやてでも叫びたくもなるだろうよ……ミッドの市街地の上空に現れたのは巨大な神殿――魔剣教団の本部その物
だった訳だからな……良い趣味してやがるぜマッタク。
「Hoo〜〜〜!コイツはまた、中々に大層なモンを持って来てくれたもんだな?
パーティってのは、華がないと面白くないもんだが、コイツは些か奮発し過ぎじゃないか?張り切り過ぎて金が無くなっちまったなんてのは幾ら何でも笑えないぜ?」
「安心しろ、そうなるのは貴様だけだ。
だが、パーティには華がないとつまらんと言う事に付いては同意してやろう……取るに足らん雑魚だけでは、幾ら斬った所で俺の中の修羅は満足しないだろうからな。」
……ダンテとバージルが何か言ってるが、其れは敢えて無視するとして、教団本部を再現したアレの中心部には、間違いなく神が居るよなクレド?
「間違いなく居るだろう。……アグナスめ、よもや此処までの事をするとはな………どうやら、完全に人ではなくなってしまったらしい。」
「あの顎だけで元々人じゃねぇよアイツは。」
だが、態々このタイミングで、アレを持ち出して来たって事は何かありそうだな?それも、相当に良くない方向で。
――ヴィン
『此れは此れは、お初お目にかかる、機動六課の諸君。
私が、このたびの事件の黒幕であるジェイル・スカリエッティだ。以後、お見知りおき願おうか。』
でもって、光学モニターが起動し、現れたのはマッドサイエンティストとしか思えねぇオッサン……コイツが、スカリエッティか――冗談抜きで、殴り倒したい面してやがる……!
おいコラ、何の用だ?こっちはテメェに構ってるほど暇じゃねぇんだ、用件があるなら簡潔に、そして的確に言いな。
『ククク……其れは確かに。
では、言おうか?……今から24時間以内に、ネロ及び高町なのは、此方が示した座標の場所まで来たまえ。閻魔刀とレイジングハート、そして聖王の髪飾りを持ってね。
もしも、期限を過ぎても2人がこなかった場合は、問答無用で、ミッド市街を破壊し、捕らえた少女を処刑するからその心算で居たまえ。』
「テメェ……予想はしていたが、マジで其れを言ってくるとか本気で腐れ外道だなオイ……だが上等だ。
テメェがそう来るなら、望み通り出向いてやろうじゃねぇか?そんでもって、土下座して謝りたくなるくらいにブッ飛ばしてやるよ。文字通りのフルボッコにしてやるぜ糞が!」
「それ以前に、私とネロを名指しして喧嘩売るとは良い度胸だって褒めてあげるよ、ドクター・スカリエッティ。
だけど、貴方は一つだけ間違えた……スパーダの血を引く最強剣士と、ネフィリムの末裔の魔導師に喧嘩を売ってしまったんだからね……精々それを後悔すると良いの!」
なのはの言う通りだぜスカリエッティ?精々テメェの馬鹿さ加減に後悔しな。ヴィヴィオは絶対に助け出すし、ミッドの破壊だってさせねぇ!
それに、万が一にも俺となのはがしくじった所で、残された仲間達が何とかしてくれるだろうから、そもそも不安も何もねぇんだよクソが!!細切れにしてやるから覚悟しな!
「Fack You!(やってやるぜオイ!)」
「Go down to Hell!(地獄に落ちやがれなの!)」
「悪魔の右腕の中指立てるネロ君と、左手をサムズダウンするなのはちゃん……アカンレベルのダークヒーロー全開や此れ!!だが良いぞ、もっとやれ!!」
『あくまでも戦うか……其れも良いだろう。
ならば精々、後悔しないようにしておくと良い……私は既に最強の力を手に入れたと言えるのだからね!!……精々、私をガッカリさせないでくれたまえよ!!!』
言われるまでもないぜクソッ垂れが。精々首を洗って待ってな!!――って通信が切れてら。
まぁいいや、そんで如何するはやて?
少なくとも明日の朝までには、俺となのはは指定された座標に行かなきゃならねぇんだが……此処から如何言う風に部隊を配置するんだ?
「……ネロ君となのはちゃんの結果次第やけど、シグナムとバージルさんを西側の門に、ダンテさんとヴィータを東側の門に、ギンガが守護しとる北側の門にはスバルとノーヴ
ェと……行けるか、ヴィッツちゃん?」
「はい……シャマル先生のお蔭で完全回復できましたから!!」
ヴィッツ!!おまえ、もう大丈夫なのかよ!?相当に重傷だった筈だが……
「大丈夫ですよネロさん、完全回復してますから!!
それに、親友を助け出すのは当然の事です!!敵に捕らわれてしまったギンガは、必ず助け出して見せます――其れも出来ないのでは、親友は名乗れませんからね!」
「そうかい、成ら頼りにしてるぜ。
で、残りは如何するんだ?まさか、アースラで待機なんて事は無いだろ?」
「当然や。残りの隊員は街中に現れるであろうガジェットと悪魔の掃討や。文字通り殲滅するだけや!!」
「異議なし……と言いたい所なんだけど、悪いけどはやて、良い機会だから、私は『最高評議会の抹殺』に行ってくるわ。今の状況なら、脳味噌共のガードは薄いだろうし。」
「……そう言えば、そんな事も有ったなぁ?……まぁ、そっちは任せるわ――くれぐれも無茶だけはせんようにな?」
「分かってるわよ♪」
ヴィッツが戦線復帰ってのは大きいな。
戦闘力では大した事ないが、サポートに徹した場合には滅茶苦茶強かったからな――加えて、この局面で最高評議会の抹殺か……中々視野が広いじゃねぇかよはやて?
本気でアンタが味方で良かったと思うよ。
だが、其れとは別に、待ってろよヴィヴィオ……必ず助け出してやるからな!!
――――――
Side:ゼスト
ぐ……ぐは……はぁ、はぁ……どうやら、この身体もそろそろ限界が近いらしいな……フルドライブを使用したら、その瞬間に使い物にならなくなるのは間違いあるまい。
だが、其れでも俺はスカリエッティに問わねばならぬ……レジアスに何をしたのかと言う事を!!!
「だからって無茶し過ぎだよ旦那!!此のままじゃ、アイツに一太刀食らわせる前に終わっちまうって!!
これ以上やったら、死んじまうぞ旦那!!」
「そんな事は百も承知……元より死したるこの身体、今更どうなろうとて悔いはない!!
戦いの果てに朽ちるもよし、経年変化に耐える事が出来ずに崩れると言うのならば其れもまた一興だ……俺は不器用でな、これ以外の事が思いつかんのだ。」
「旦那……」
そんな目をするなアギト。
俺が死してもお前は死なぬ。故に、俺よりも優れたロードを見つける事が出来るやもしれんのだ……だから笑って居ろ。お前は笑って居た方が、良い感じがするからな。
「旦那……分かった、アタシは泣かない!!
どんな結果になろうとも、アタシは最後まで旦那の味方で居る!!居て見せる!!――だから、死ぬなよ旦那ぁ!!」
「確約は出来んが、一応了解したと言っておこう。」
俺がスカリエッティを倒す事が出来れば其れで良いが、倒せなかったとしても機動六課の精鋭達が何とかしてくれるだろうし、アギトの真のロードとなる存在も現れるやも知れ
んからな……この身朽ちるまでやらせて貰うさ。
長く生き恥を曝していたが、其れもようやく終わるのかも知れんな………
――――――
Side:なのは
ふぅ……1時間後にはあの巨大建造物に突入するんだよね、私とネロの2人だけで。
負ける心算は毛頭ないけど、此れがあからさまな罠の匂いがするのは否定できない事なの――はやてちゃんも『怪しい匂いがプンプンするな此れは』って言ってたからね。
でも、此処は行くしかないよね……ミッドチルダの為に、そしてヴィヴィオの為にも。
「負けられない……。」
「あぁ、負けられるはずがねぇだろ此れは?ヴィヴィオを助け出す事が出来なかったら、最悪以外の何者でもねぇからな。」
「ネロ……」
だよね!絶対に負けられないの!!
其れに、今この瞬間にだって、きっとヴィヴィオは助けを求めてる!!他でもない私とネロに!!だから、絶対に助け出さないと!!ヴィヴィオを取り戻さないとだよ!!
「言われるまでもねぇよ……だから、安心しろって。
機動六課最強の魔導師であるお前が、そんなに手を震わせてたら周りに示しがつかねぇから、如何にかして押さえろよな?…如何してもダメな場合は切り札があるがな。
さて、如何する?」
なはは……ちょっとダメっぽいかな?
だから、ヴィヴィオを救い出すためにも切り札を切って貰えるかなネロ?その切り札がどんな物であっても、私は其れを受け入れるから!!
「OK……コイツがその切り札さ。」
「へ?」
――ちゅ
って……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇえぇぇ!?
きききききき、切り札ってキス!?触れ合うだけだけど、それでもなんて言うか……心地いいって言うか、一切の不安が吹き飛んじゃう感じがするの。気のせいじゃなくてね。
其れと同時にネロの思いが伝わって来る…・・・大丈夫、勝てるよ私達なら。
だから必ず取り戻そうヴィヴィオを!そして、ミッドチルダの平和を!!
「言われるまでもねぇさ。」
「だよね♪」
最終決戦の第一幕、精々弩派手に踊らせて貰うの!!第一幕が派手であればある程、第二幕以降の盛り上がりは大きくなる訳だからね!!……全力全壊なの!!
最高にして、最強、そして最大級にイカレタパーティの最終章の第一幕を、そろそろ上げるとしようか!!
To Be Continued…
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