注意
この小説はオリジナル設定満載です
それが嫌な方は読まないほうがよろしいです
ブロロロロロロロロロロッ!!
布で顔全体を覆い尽くした1人の男が雨の降る夜の香港の町を傷だらけになりながら逃げていた。
その後ろを三機の武装ヘリが後を追う。
「くっ!」
男は左手で懐から隠し持っていたベレッタを取り出して反撃する。
しかし、それは撃ち落すには頼りなく、牽制には少し弱すぎた。
ヘリはそんな攻撃をものともせずに徐々にその差を詰めていく。
それを見た男は腰に取り付けていた奥の手とも言うべき最後の切り札(手榴弾)に手を伸ばした。
右手に持った手榴弾のピンを口で引き抜いて真ん中に位置するヘリに投げつけると同時に、路地裏に逃げ込み、左手にあるベレッタでヘリの前まで飛んでいった手榴弾を打ち抜いた。
ドカァァァァァァンンンッ!!
流石に手榴弾の爆発にはヘリも耐え切れずに共に炎上した。
しかし、その爆発の中から飛び出してくる影があった。
陰は爆発を利用して男の前まで跳躍して、退路を防いだ。
「逃げるのはそこまでにしてもらおうか、香港国際警防部隊副隊長、樺一号」
男、樺一号は自分の目の前に立つ敵を凝視した。
目の前にいるフードを被って顔を隠している、声を聞く限りでは女性と判断でき、どこかで聞いた事のある声の持ち主の強さは彼にとって、以前戦ったことがある御神の剣士と同格若しくはそれ以上と判断して動くことが出来なかった。
彼にとって敵は殲滅、それが当然のことだと認識してはいるが目の前の敵に対して本能が警告しているのだ。
このままでは確実に負けると、存在を認識した時点で逃げている間ずっと警告し続けているのだ。
それを証明する出来事は逃げる前にあった。
本来今日は部下の1人が里帰りをしているため、模擬戦を他のチームと行なっていたのだが、突如現れた敵によって物の数分で自分以外の人間すべてを撃退したのだ。
その中には自分に匹敵するとまではいかないがそれに近い実力を持つものが三人同時に攻撃したが、逆に返り討ちにされてしまったのだ。
香港国際警防部隊といえば世界最強の『法の守護者』と謳われるほどの強さを持つというのに目の前にいる敵1人によって中隊二班が壊滅させられるという出来事があった。
そして、鬼ごっこも此処までらしいと悟ると両手に鋼鉄の短棍を持ち、突っ込んでいく。
奴を倒さなければ逃げることが出来ないならば、本能に逆らって敵を倒すだけだと何度も自分に言い聞かせて敵へと駆けていく。
しかし、決着はいとも簡単についてしまうのだった。
ドスッ!!
ただ無造作に敵は彼を貫いた。
彼の攻撃を何気ない仕草で避けて、腕を伸ばして彼の鳩尾辺りを手刀で刺し貫いただけである。
そして、彼は倒れる際に自分を倒したものの顔を見ることが出来た。
そこにいたのは半年前に行方知らずになっていた知人であった。
左頬には香港国際警防部隊にとって最大の敵、犯罪組織『龍』の刺青があった。
「な……んで、君………が………」
樺一号はいるはずの無い存在に向かって最後の力を振り絞って、ただ雨に打たれている知人、『相川真一郎』に問うが彼は答えなかった。
そして、真一郎は樺一号が動かなくなるのを見届けると踵を返して、無事だったヘリに乗り込んだ。
「………任務、完了。次の殲滅対象は………日本の、海鳴」
ヘリは真一郎を乗せて闇に消えた。
雨の降りしきる路地裏に残されたのは徐々に冷たくなっていく樺一号こと陣内啓吾だけであった。
場所は変わり、ここは海鳴にある恭也達が忍の紹介により花見をした山の中、綺堂さくらは傘を差して雨に濡れる葉桜を見に来ていた。
何故、八月の雨が降っているときに見ようと思ったのか、それはただの偶然であり、真一郎が早く見つかるようにとの願掛けのつもりなのか、ただの気晴らしかもしれないとさくらは考えていた。
葉桜を見ていると不意に山の中に人の気配を感じた。
さくらは突然の侵入者が何者なのか確認しにはしり、数分で侵入者を見つけた。
しかし、そこにいたのは眠り込んでいる10歳ぐらいの少年と少年を抱きしめたまま倒れている傷だらけの少年と呼ぶには大人びた、青年と呼ぶには幼い印象の男の二人だけだった。
さくらは遊びに来ている姪とその従者に携帯で連絡して迎えに来させ、館へと連れて行った。
この出会いによって世界を賭けた大事件の序章の開幕であった。
とらいあんぐるハート
〜Lullaby
Of End〜
あとがき
ども、骨董品です
ここのところ大学行って、バイトしてといった具合に夏休みも普通にいつもと変わらない大学生活を送っているため、なかなか文が書けません
思ったよりオープニングが短いかなと自分でも思いますが、その分を前編でたくさん書かせてもらいたいと思います
それでは、前編でお会いしましょう
さよなら〜
いよいよ幕が開ける。
美姫 「一体、どんなお話が待っているのか!?」
樺一号があっさりと倒されたぞ!?
美姫 「しかも、相手は真一郎」
一体、何がどうなっているんだ!?
美姫 「次回も待っていますね」
待っています!