『リリカルなのは StrikerS IF〜tentative title〜』




3話 「drop―涙―」










新暦75年6月某日






機動六課の一室、そこになのはとはやてが真剣にモニタを食い入るように見詰めている。

そこには先日のガジェットによる列車暴走事件の任務終了間際に起きたレリックの強奪した少女が映し出されていた。




「じゃぁ、やっぱりあの少女がレリック強奪事件の犯人……」

「十中八九そうやろうね」

「あれから現れていないけど、ガジェットを操っているのも彼女なのかなぁ?」

「関係は分からないけど、多分違うと思うよ」




そう言いながらフェイトが部屋に入ってきた。




「ちゃう、ってフェイトちゃん何かわかったん?」




これを見て、とフェイトは機械の残骸が映し出された映像を指差した。




「これ……ガジェットやんね?」

「うん、その分析をシャーリーにお願いしていたんだけど……まずココ」

「っ! これって、もしかして『ジュエルシード』!?」




なのはは見覚えのある青い宝石から目を離せずにいる。




「うん、あの事件の後は局の保管庫にある筈なんだけど……まぁ、ちょっと『ジュエルシード』は置いといて……次にコレ、この部

 分」




ジュエルシードの少し上にあるプレートを指差しながらフェイトは、そのプレートの部分を拡大した映像を出力させる。




「……ジェイル・スカリエッティ」

「って、フェイトちゃんが何年も追ってる人だよね」




なのははフェイトの告げた名前を以前、フェイト本人から聞いたことがあるのを思い出した。




「うん、あからさますぎるけどスカリエッティは色々なロストロギアの知識は豊富だから、そっちの技術を使ってガジェットを作り

 出すのもわけないと思う。あの少女とスカリエッティが繋がっているかは判らないけど、ガジェットを操っているのは別にいると

 思ったほうがいいと思うよ」

「そうか、そんなら少女と別にスカリエッティについても情報を集めさせよう」

「うん、お願い」
 



この話はこれでお終い、とばかりに先程までの雰囲気と違い、はやては笑顔で二人に向き直った。




「それはそうと、二人とも明日の事、覚えてるやろな?」

「オークションの事でしょ、骨董品を間違えてガジェットが来る可能性があるからね……覚えてるよ」

「そのことなんやけどな、外は副隊長と新人に任せて私ら隊長は内部の警護に当たることにした」

「いいよ、ヴィータちゃん達がついているのなら外はそれで大丈夫なんじゃない」




はやてはなのはの言葉を聞いた途端にニヤけた顔になる。




「そんでな、主催者側から管理局の制服でうろつかれたらかなわん、って言うてきてなドレスを着なあかん事になったんよ。で、時

 間もあらへんしシャマルに言うて用意してもろたからな。こう、胸元が開かれてるヤツ」

「「……えっ」」




はやてが指先でドレスの胸元の開き具合を表現するしぐさに、なのはとフェイトから汗が一筋見えたのは気のせいではないだろう。












オークション会場の『ホテル・アグスタ』にある近くの森、そこに突如小型タイプであるガジェット・ドローンT型と大型のV型が

出現した。ガジェットはホテルに到達することは無く、スターズ、ライトニングの副隊長を中心に撃破された。しかし、問題が発生

した。ティアナ・ランスターがスバル・ナカジマを誤射する、という事故が起こった。それはシグナム、ヴィータの両副隊長が前線

でガジェットを撃破していた時に起こる。

unknownの召喚師により最終ラインのそばまでガジェットが数体転送されて来た。

現場を指揮していたシャマルはスバル達にヴィータが戻るまで無理せず戦線の維持を命じたがティアナはそれを拒否しエリオとキャ

ロを後方へ下がらせた。後で判明することだが、スバルとティアナは普段の訓練の他に連携を練習していた。この時もティアナはス

バルとの新しい連携で対処しようとしていた。スバルがウィング・ロードで敵をかく乱し、クロス・ファイヤを打ち込むというもの

だった。事実その場に現れたガジェットは撃破されたが、無理をして発動した為か、制御を失った一発がスバルの方へと向かってい

った。スバルもまさか自分の方へ来るとは思っていなかったのか、反応が遅れたが間一髪ヴィータがグラーフアイゼンで文字通り

叩き落した。







ティアナをにらみつけるヴィータ




「ティアナ、この馬鹿!!無茶やった上に味方撃ってどうすんだ!!」




スバルは激昂するヴィータにフォローを入れていたがその程度でヴィータの怒りが収まるはずもなかった。

ティアナはその様子を呆然と見上げていることしか出来なかった。




「もういい!!お前達は後ろにさがってろ!!」




ヴィータはそのまま未だに戦闘中のシグナムがいる前線へ向かおうと踵をかえした。

スバルもヴィータからティアナに視線を移したときにティアナのすぐ横の茂みからティアナへめがけて突進してくるガジェットが目

に入った。




「ティア、後ろ!!」

「えっ」




呆けていたティアナは反応できず、ヴィータもスバルの声に反応し振り返ることしか出来なかった。

ガジェットがティアナへ攻撃しようと触手を伸ばした。




「ティっ!――えっ?」




突然ガジェットが爆発し、ティアナは難を逃れる。

スバルがティアナの名を叫んだのと同時に、何処からとも無くナイフ状の武器がガジェットへと刺さりそのままガジェットが爆発し

たためだった。




「ティアさん、大丈夫ですか!?」




スバルは声の主を見るとエリオとキャロが此方へ向かって走ってくるのが見えた。




「今のエリオ達?」

「えっ、何がですか?僕達はティアさんの近くでガジェットが爆発したから来たんですけど……」




スバルさん達がやったんじゃないんですか、とエリオが逆に訊ねる。




「じゃぁ、一体何で?」




悩んでいるスバル達をよそにヴィータは今しがた撃破されたガジェットの残骸を見つめシャマルに一言二言しゃべると再び踵を返し

た。




「お前達は戦線ギリギリまで下がってろ。もうこの辺にはガジェットはいねーってシャマルが言ってる」




言うや否やヴィータは文字通り飛んで行ってしまった。





ヴィータを見送った後、エリオはスバルを見るとお互いが頷き合うとエリオはキャロを伴い、先にホテルの方へと移動しはじめた。

スバルは心配そうに振り向くキャロに軽く手を振って応えるとティアナの方へ向き直った。




「……ティアごめんね、うまくよけれなくて。次は絶対うまくやるから――だから、その」

「……私はもう少しここで様子見てるから先に行って」

「ティ「先に!行って……お願い、だから」……う、うん」




頷いたもののスバルはティアナの小刻みに震えている背中から目を離せなかった。










続く





StSはまだ見ていないから分からないけれど、ジュエルシードが?
美姫 「うーん、一体どうなってるのかしらね」
戦闘では、やっぱりヴィータも騎士だけあって凄いよな。
美姫 「そうよね。まあ、ティアの様子がちょっと気になる所だけれど」
ああ、どうなっていくのだろうか。
美姫 「これからも頑張ってください」
ではでは。



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