「さて、早速始めようか・・・・・・とっ、その前に、おーい、リスティ隠れてないで出てこいよ。」

 

寮の林を抜け、開けた場所にでて、さあ試合を始めようかというその時、突然耕介が明後日の方を見て叫びだしたのだ。

 

「耕介、鋭すぎ。なんで100メートルも離れたところに隠れてたのにわかるんだよ。」

 

そう言って、リスティが林の中からでてきたのだ。それを見て耕介が溜息をついて言う。

 

「まったく、いつもの事とはいえ、何考えてるんだ。」

 

「ごめん、ごめん、面白そうな事やろうとしてたみたいだから興味を惹かれてね。邪魔しないように隠れてるつもりだったんだけど、耕介には敵わないみたいだね。」

 

そう言って、おかしそうに笑うリスティ。そこでアルクェイドが手を上げて発言する。

 

「私も気付いてたよー♪」

 

うれしそうというか誇らしそうにいうアルクェイド。そんなアルクェイドと耕介を見てシオンは呆れた顔をする。

 

「あなた達は一体どういう感覚をしているのですか?野生の獣なみですね。」

 

そう言って同意を求めようと志貴の方を見る。しかし、彼は何やら申し訳なさそうな表情をしていた。

 

「あのー、シオン、俺も気付いてたんだけど。」

 

おずおずと志貴が言う。驚いた顔をして、今度は恭也の方を見るシオン。すると彼も同じような表情をして言った。

 

「申し訳ありません。俺も気付いていました。」

 

何故か謝る恭也。二人の言葉にシオンは一瞬呆然とした後、ポツリと呟いた。

 

「・・・・・・・・と、言う事は気付いてなかったのは私だけということですね。」

 

そして何やら自信喪失したようにうずくまってしまう。それを見て慌てて慰めようとする志貴とそこに加わるリスティ。

 

「ほ、ほら、シオンは感とかで戦うタイプじゃないから。」

 

「そうそう、耕介や恭也は普通じゃないから、基準にしたら駄目だって。」

 

が、こういう時、下手に慰められると却って落ち込むものである。その後、落ち込んだシオンを慰めるのに皆は10分の時間を要する事になった。

 

 

 

 

 

 

「さっ、気を取り直して始めましょうか。」

 

「あ、ちょっと待って。せっかくだから僕も参加させてもらいたいな。そうすれば丁度3対3で数も合うしね。」

 

シオンが復活し、耕介が仕切りなおそうとした時リスティが突然口を挟みそう発言した。

 

「え、リスティ珍しいな?」

 

別段リスティは戦いが好きな訳ではないし、真雪に似たせいでどちらかというとめんどくさがり屋である。故に彼女が自分からこんな事を言い出した事を耕介は意外に思った。

 

「たまには思いっきり暴れてみたくなってね。最近運動不足だったし。それに吸血相手だったら少しぐらい怪我させても大丈夫でしょ?」

 

と、物騒な事を言うリスティ。まあ、確かに再生能力が高いので大丈夫なのは確かなのだが。

 

「彼女は戦えるのですか?」

 

そこでシオンが疑問を挟んだ。確かに一見してリスティは強いようには見えないし、魔力も霊力も強い訳ではないのでそう思うのも無理ないことだった。そこで恭也がその疑問に答える。

 

「シオンさん、リスティさんはHGS能力者なんですよ。」

 

それを聞いてシオンは驚いた表情になり、すぐに興味深そうな顔をする。

 

「そうですか、話には聞いた事がありますが、実際にあったのはこれが初めてです。その能力の程は私も一度見てみたいと思っていたので私としては特に異論はありません。」

 

「俺も、別にいいですよ。」

 

「私もいいよ。」

 

シオンが賛成した後、志貴もアルクェイドもついで賛成し、耕介達も特に反論しなかったので、結局、リスティも参加する事になった。

 

 

 

 

 

 

最初に戦う事になったのはリスティとシオンだった。二人が一定の距離を置いて、対峙し、他のメンバーがそれを見守る(観戦する)。そして、勝負が始まった。

 

「サンダーーーーーブレイク!!」

 

いきなり強力な電撃を放出するリスティ。逃げ場はない。だが、シオンはエーテライトを避雷針代わりにしてそれを逃がす。

 

「流石にやるね。」

 

「驚きました。想像以上の出力です。」

 

シオンの汗に冷や汗が垂れる。もし、まともに喰らっていたら昼間の今なら彼女は一撃で戦闘不能になっていただろう。

 

「これで手加減はいらない事はわかったら次は本気でいくよ?」

 

「なっ!?」

 

リスティの言葉に驚愕し、慌てて身構える。そしてその宣言どおり、先ほどを超える電撃が放たれた。

 

「くっ。」

 

先ほどと同じように電撃を逃がすが今度は完全にはそらせず、体にしびれが残る。

 

「どんどん行くよ!ウルトラタイフーン!!」

 

続いて放たれたのは衝撃波。それによりシオンは木に叩きつけられぐったりとする。

 

「あ、やばい!やりすぎちゃったかな?」

 

それを見て慌てるリスティ。だが、シオンは分割思考を使い冷静に策略を考えていた。

 

『このまま気を失った振りをして相手の隙を狙うのが良策か?』

 

『しかし、これはあくまで試合、下手をすればここで止められてしまうかもしれない。』

 

『いくらなんでもここまで一方的にやられたままというのはプライドが許しません。』

 

『相手のパワーを考えると真正面から戦うのは例え夜でも分が悪い。ましてや今は無理だ。

 

『さきほどの事からしても志貴たちのうち誰かが私が気を失っていないことに気付いている可能性は高い。』

 

『おそらく彼女は私の容態を確かめる為に近づいてくる筈。』

 

『相手が近づいてきた時に一気に決める!!』

 

そして、彼女の予想通り、試合の停止はされず、リスティがシオンに向かって近づいてくる。そして、彼女に対して手を伸ばした。

 

(今だ!!)

 

「フルバースト!!」

 

閉じていた目を開き、同時に愛用の銃を素早く抜くと強力な魔力を発射した。リスティがその光の中に消える。

 

『やりました。私の勝ちです。』

 

『威力は抑えました。強力なHGSは再生力が高い。これは試合前にも確認を取った。今の一撃なら相手を殺してしまう事はない。』

 

だが、その光が晴れた時、リスティの前には力の壁があり、無傷だった。

 

『シールド!?』

 

『それも計算の範囲内です!!』

 

だが、シオンはそれさえも計算の範囲内に入れ、同時にエーテライトを飛ばしていた。それが、彼女の脳内につきささり、彼女の自由を奪った・・・・・・筈だった。

 

「残念♪」

 

意地の悪い笑みを浮かべるリスティ。エーテライトは彼女の頭部直前で彼女の能力によって止められていたのだった。

 

「!!よまれていたのか!?」

 

驚くシオンに対し、リスティはいたずらっ子のような表情を浮かべていった。

 

「そ、まさに読んだんだよ。僕の一番得意な能力は相手の心を読むテレパシー系の能力だからね。」

 

そう、罠を張ったシオンに対し、リスティは更に罠を張っていたのである。心を読み気絶していない事に気付いたリスティはその作戦を逆に読み取り、完全に防いで見せたのである。

 

「私の負けですね。完敗です。」

 

そこでシオンが敗北を認めた。二人の勝負はリスティの勝利となり、試合は終わった。そして、ついで前に立ったのは恭也と志貴だった。

 

 


(後書き)

リスティとシオンの[無線LAN]VS[有線LAN]対決()はリスティの圧勝になってしまいました。まあ、はっきり言ってリスティは彼女にとって天敵もいいところな相手でおまけに昼での勝負なのでこんなもんかと。次の機会には彼女にも活躍の場を与えてやりたいものです。

そして次回は恭也VS志貴、そして耕介VSアルクェイドです!!

 

PS.ところで書いてて、シオンが時々どうにもセイバー化してる気がするのですが、大丈夫でしょうか?


リスティの勝ち〜。
美姫 「次回の対決は見物よ〜」
両者、接近戦を得意としているからね。
でも、恭也は飛針や鋼糸といった手もあるな。
美姫 「そうなると、遠距離からの攻撃ができない志貴が不利かしら」
うーん。試合で直死の魔眼を使うかどうかだよな〜。
美姫 「次回が楽しみね」
ああ。一体、どんな戦いになるんだろう。ワクワク。
美姫 「それじゃあ、次回を待っているわ」
ではでは。





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