立ち会う恭也と志貴、今回の戦い、流石に生身の人間同士で本物の刃物を使って試合するのはシャレにならないので、恭也は刃を落とした模造刀、志貴は七夜とほぼ同じ型のナイフの刃を潰したものを用意し使用する事にした。もっともこれらの武器であっても彼等の技量ならば十分、人を殺せるのだが。

 

「あの、俺、林の中とかの方が得意なんで出来ればそっちで戦いたいんですけど。」

 

お互い向かい合った状態で志貴が提案をする。そして恭也は承諾した。

 

「ああ、かまわない。俺の使う御神流はどこででも戦える。それから年もそう違わないだろうし、敬語を使わなくてもかまわない。」

 

「んっ、そうですか?じゃあ、えーと、恭也だったよな、よろしく。」

 

「ああ。よろしくな志貴。それから林に入ったら即、その時点で試合は始まっていると思っていい。」

 

「んっ、わかった。」

 

二人は軽い挨拶を交わし、戦う場所を決めると林の中に数歩踏み込み・・・・・・そして、そこで志貴が飛び掛った。

 

ガキィィィィィン

 

志貴のその不意打ちを恭也は左手で抜いた小太刀で防ぐ。そして、空いた右手で抜刀し、体を反転させながら振るった。

 

ブゥゥゥン

 

その刃は空を切る。志貴はそれを後方に飛んでかわしたのである。そして両者は向かい合った状態になった。

 

 

 

 

 

「驚いた。まさか志貴君がこれ程の腕前だとはね。」

 

「世の中広いね、恭也より年下で互角に戦える腕前の使い手がいるとは思ってもいなかったよ。」

 

林の外で、その二人の戦いを観戦しながら、耕介とリスティは感嘆する。二人とも足場の悪い林での戦いを苦ともせず、素早い動きで何度も結んでいた。

 

「ふふん、志貴の凄さはまだまだこんなもんじゃないんだからね。」

 

「ええ、志貴の力は計り知れない未知数のものがあります。」

 

それに対し、志貴が褒められたのがうれしいのか機嫌がよさそうに言うアルクェイドとシオン。それに対して耕介が頷く。

 

「ああ、確かに彼はまだ本気を出していないように見える。けど、それは恭也君も同じだ。そろそろ動きが見えるな。」

 

 

 

 

 

(このままじゃ不利だな。)

 

恭也と志貴の戦いは徐々に林の深い所に移動しつつあった。そして戦いの形勢は志貴が徐々に押されつつあった。

 

(だが・・・・・・・・)

 

二人技量はほぼ互角。身体能力では僅かに志貴の方が上回っていたが、致命的なのは獲物の差である。小太刀2本と小さなナイフ一本では攻撃力にしても防御力にしても差がありすぎる。障害物の多いところでは小回りの効く小さな武器の方が有利な点もあるが、それを差し引いてもあまりに大きなハンデだった。しかし、その状況にも関らず、志貴はにやりと笑り・・・・・・跳んだ。

 

(森や林は・・・・・・・七夜の領域だ!!)

 

木の枝や幹は勿論、葉まで足場とし、まるで蜘蛛のような動きで縦横無尽に動き回る。恭也をきりつける。

 

(不規則で動きが読めない。なるほど、林での戦いを望む筈だ。だが・・・・・)

 

ザシュ

 

恭也の肩口が切り裂かれる。超スピードで飛び回る志貴の振るうナイフは刃が潰されていることなど関係ないかのように“獲物”を切り裂く。

 

(言った筈だ。御神流は何処ででも戦える流派だと!!)

 

シュッ

 

恭也が投げた何かが志貴に向かって跳ぶ。それを回避する志貴。そしてそれは木に突き刺さる。志貴がそれを流し見るとそれは針だった。

 

(薄暗い林の中じゃあ、飛んでくる針なんてものはほとんど、見えないな・・・・。だが!!)

 

恭也はついで次々と飛針を飛ばす。だが、志貴は見えないはずのそれを次々に回避する。志貴は視認できない筈のそれを恭也の殺気をよむことで回避していたのだ。そして、針が途絶えた瞬間、飛びかかった志貴のナイフが恭也に迫る。だが、恭也を誘うとしたそのナイフはナイフを握った右腕ごと彼の意思と異なる方向へとひかれた。

 

(えっ!?)

 

そして気づく。彼の右腕に細いワイヤーが巻きつけられ、その先端が恭也の左腕に握られていたことに。

 

―――――――徹―――――――

 

 

恭也に引っ張られ、動きが止まったその瞬間、恭也の右腕に握られた刀が迫った。

 

ズシャ

 

その刀は志貴のわき腹をかすった。普通なら絶対に回避できないタイミングの攻撃を志貴は体をよじってかわした。そして、素早くワイヤー、鋼糸をナイフで切断すると、そのまま転がって距離をとり、立ち上がる。

 

「・・・・・今のを回避するとはな・・・・。」

 

珍しく驚いた表情をし、ポツリと呟く恭也。彼が鋼糸を志貴の腕に巻きつけたのは彼が飛針に気をとられている時だった。戦士の危機感知能力はその特性上、どうしても殺気のある方に優先される。それを知っている恭也は“おとりであった飛針”のほうに殺気をのせ、“本命であった鋼糸”にのみ殺気を乗せず放ったのだ。視認がよくきかず、殺気の方に注意を行かせすぎてしまった志貴はまんまとこれに引っかかってしまったという訳だ。

 

(だが、いまのでどこか痛めたようだな。)

 

体を無理な風に捻った為か、志貴の立ち方がどこかおかしい。それは構えの一種などではなく、どこかを痛めた為の物であることがわかる。

 

(次で決める!!)

 

恭也が構えを取る。と、その瞬間、志貴が何気なく、眼鏡を取った。それだけ、ただ、それだけで恭也は志貴の殺気がとてつもなく膨れ上がり、言い知れぬ寒気を感じた。

 

「ぐっ・・・・。」

 

思わず、息を鳴らす恭也。だが、構えは解かなかった。そして、・・・・・・・飛び出した。

 

 

―――――御神流奥義の六・薙旋――――――

 

 

恭也が最も得意とする技、小太刀二刀による4連撃。そして恭也がその技を繰り出した瞬間、同時に志貴が動いた。恭也の初撃を担った刀と志貴の刀が触れ、・・・・・・恭也の刀があっさり切れた。そのままそのナイフが恭也に向かって一直線に迫る。

 

(なっ!!)

 

あまりに予想外な事態に驚愕する恭也。このままいけば、恭也のもう片方の刀が志貴に届くよりも速く志貴のナイフが恭也に届く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静止する両者、志貴のナイフは恭也の首にある死線の手前で止められていた。そして恭也の刀は・・・・・・・・・志貴の首筋、志貴の突きつけたナイフよりもさらに近い位置で止められていた。数瞬の沈黙の後、両者が同時に刃物を引いた。

 

 

 

 

 

両者の刃が交差し追い詰められた時、恭也は相手の攻撃を回避しようとはせず、神速を使い攻撃を加速させた。そして恭也の刃は志貴のナイフよりも先に届いた。だが、志貴は死線を狙っていた。これが、もし、実戦だったならば、恭也の刀が志貴の動脈を切り裂いた後、絶命させる前に恭也は死線を切られ死に、その後志貴も死亡していただろう。死線の存在を知らぬものにはそれはわからない。だが、恭也はこの勝負が自分の勝利ではない事に直感的に気づいていた。

 

 

 

 

 

 

そして、林の外、その試合を観戦していた耕介がアルクェイドに尋ねる。

 

「・・・・恭也君の刀を切り裂いていたあの技は一体何なんですか?霊力や魔力を使った訳でもないみたいですけど。」

 

「あれが志貴の能力、直死の魔眼よ。ありとあらゆるものの死を視て、生きてるものなら何でも殺せるわ。言っておくけど、この事を他の人に言ったりしたら殺すわよ。」

 

アルクェイドが声をやや硬くして答える。その答えを聞いて言葉を失う耕介。

 

「まさかそんなものを・・・・・・。ああ、わかってる。確かにそんな力があると解れば彼は危険にさらされてしまうだろう。絶対に言わない。」

 

「そう、それならいいわ。ところで、恭也の方のあの最後の凄い加速は何なの?」

 

耕介の真剣な答えに、アルクェイドは満足そうに頷くと、今度は逆に尋ねた。

 

「ああ、あれは神速といって彼の流派の奥義だ。瞬間的に潜在能力を引き出す事ができる技らしい。」

 

「へえー。あ、帰ってきた。志貴ー、大丈夫ー。」

 

感心したように頷いた後、志貴の方にかけていくアルクェイド。そして、恭也と志貴二人の治療を済ませた後、耕介とアルクェイド、お互いの中で最強の実力者同士の対決となった。

 

 


(あとがき)

神速は勝手な解釈でこういう風にしました。次回は耕介VSアルクェイドです。

  

柿の種:どもー、作者の柿の種です。

さっちん:あれ?私は何でこんなところにいるんだろ?って、言うかこれ何?

柿の種:うむ、ここの管理人さんを真似て後書き座談会みたいのをやってみたくなってな。

さっちん:真似って・・・。いいの、それ?

柿の種:さあ?管理人さんか美姫さんに怒られたらやめるよ。

さっちん:いいかげんだね。ところで何で私はこんなところにいるの?

柿の種:うむ、君の出番はかなり先になりそう、と、いうか、最後まで無いかもしれんから、せめてここで出そうと思ってな。

さっちん:何それ!!私と志貴君のらぶらぶ話は!?

柿の種:ない!!っていうか、そういう話じゃないだろ、これ。いや、3人主人公、ハーレムものとは言ってるけど。

さっちん:うーーーー。出番!!出番!!出番!!志貴君!!

柿の種:まあ、落ち着け、それよりも本題、この話の感想・・・・はもうやってる暇ないから、とりあえず次回について一言。

さっちん:アルクェイドさんと耕介さんって勝負になるの?

柿の種:うむ。実は次の対戦にはフレーズがある。神殺しの後継者VS真祖の姫君だ。

さっちん:神殺しって前に話がでてきた?

柿の種:それだ。

さっちん:強いの?

柿の種:強い。

さっちん:ふーん、そうなんだ。で、更新はいつごろ?

柿の種:一応3日以内を考えている。多分守れると思う。

さっちん:言ったからに守りなさいよ?

柿の種:もちろんそのつもり。それでは、そろそろ最後の挨拶を。これから先もよろしければお付き合いください。

さっちん:お願いしまーす♪


投稿ありがとう〜!
美姫 「神殺しの後継者VS真祖の姫君!次回が楽しみにね〜」
しかし、柿の種さんの相手はいいな〜。大人しそうで。
美姫 「それって、私に対して喧嘩売ってるわよね。もう絶対に間違いなく!」
そ、そんな事はないぞ。さっちんの方が暴力振るわないだろうな〜とか、これっぽっちも…。
美姫 「くすくす。私が言い訳なんて聞くと思ってる?」
……思ってないです。
美姫 「それじゃあ、久し振りにいってみようかしら♪」
い、いやじゃぁぁぁーーー!
美姫 「離空紅流、天獄鳴哭斬!!」
ぬぐぉぉぉぉぉぉぉ。き、消えるぅぅぅぅ。
美姫 「ふぅ〜。それじゃあ、次回を楽しみにしてるわね〜」





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