「さて、それじゃあ、行きますか。」

 

立ち会う耕介とアルクェイド。耕介は何気なくそういうと霊力を解放し構えた。

 

「「「!!!!!」」」

 

「・・・・へえ、やるじゃない。」

 

耕介から放たれたその霊力は完全に人を超えていた。並の退魔市100人分に相当し、天才と言われた薫と比較してさえ5倍を超える圧倒的な霊力を前に始めて目の当たりにする恭也、志貴、シオンが気おされ、アルクエィドが感嘆の笑みを浮かべる。

 

「神気発祥・神咲一灯流、真威・楓陣波!!」

 

御架月から放たれた霊力の奔流がアルクェイドを襲う。だが、アルクェイドはそれを交わすと、一瞬で間合いを詰める。そしてその爪を振り下ろす。

 

「追の太刀・疾!!」

 

バシュウウウウウウウウウウウウウ

 

それに対し、耕介は腕に霊力を集中させ加速した。耕介の放った追の太刀とアルクェイドの爪がぶつかり合い、エネルギーが放散される。

 

ダンッ

 

そこで耕介は脚部に霊力の集中を移し、ひととびで10メートル以上後方に飛び下がる。そして再び構えをとり技を放った。

 

「神咲無尽流、蓮華!!」

 

威力の分散された霊力の奔流が同時に数十発生し、それが一斉にアルクェイドに向かって飛び、そして爆発した。

 

ズガアアアアアアアアアアン

 

激しい土煙が姿が立つ。だが、その中から黒い影、ほとんど無傷のアルクェイドが飛び出した。

 

ガキィィィンン

 

アルクェイドの爪と反射的に盾にした御架月が激突し、せめぎあう形になる。耕介は霊力を腕と御架月に集中して押し勝とうとするが、びくともしない。

 

(なら!!)

 

「えっ?」

 

そこで耕介はわざと力を抜いた。突然のその行動にアルクェイドは驚きの声をあげながら、前のめりになりバランスを崩す。

 

「桜月波!!」

 

そこでその状態から抜け出した耕介はすばやく側面に回り技を放つ。

 

「きゃあ。」

 

流石に体勢を崩したところに側面から技をくらえば立ってはいられないそのまま転び尻餅をつく。だが、それだけだった。

 

ダン

 

そこで一旦距離をとる耕介。ペースこそ彼が握っているものの、その実、与えられたダメージはごくわずか。それにしたところで、昼とはいえ、真祖である彼女はすぐ回復してしまう。

 

(勝つには大きな技を当てるしかないか・・・・。と、なると奥義クラスか接触系の破壊力の大きな技かな。けど、楓華疾光弾は溜めが大きいし、他の一灯流奥義は俺は使えないしなあ。と、なると“無尽流”か・・・けど、”鬼滅刃”なんか使ったら彼女を殺しかねない。あるいは彼女を暴走させてこの場の全員が殺されるか・・・・・・・。流石に使えないな。それ以外となると・・・・。)

 

耕介は思案し、そこで構えを今までと少し変えた。

 

「神我封滅・神咲無尽流、真威・冥翔閃!!」

 

放たれた閃光の刃、冥翔閃は神咲最速の剣であり、その速度は音速すら遥かに超える。だが、アルクェイドはそれさえもかわしてみせた。

 

「追の太刀、激!!」

 

だが、その瞬間、距離を一気に詰めた耕介は追撃の技を放つ。激は神咲最重の剣、相手の内部に霊力を送り込み内側から破砕する。最速と最重の耕介がもっとも得意とする連携。一撃目の回避為、わずかに体勢を崩していたアルクェイドにはその一撃を回避できない。

 

ズガアアアアアアアン

 

激しい破砕音。だが、それはアルクェイドの前に“生まれた”壁が壊れた音だった。激はその破壊力と引き換えに貫通力を全く持たず、さらに大振りで技を放った直後無防備になる。そしてそこにアルクェイドの爪が迫った。

 

ビュッツ

 

 

 

 

 

 

 

(・・・・・・・えっ?)

 

誰もがアルクェイドの爪が耕介を貫くと思った。いや、これはあくまで試合なのでアルクェイドが寸止めするか、あるいは手加減しただろうが、どちらにしても耕介に回避はできない、そう見えた。だが、耕介は平然と立っていた。アルクェイドの間合いの一歩後ろに。アルクェイドの爪は空振りしたのだ。あまりの予想外に一瞬呆然と仕掛けるがすぐに飛び引き、そして耕介を睨むアルクェイド。

 

「・・・・あなた、今、何したの?」

 

「志貴君の魔眼も教えてもらったし、こっちも教えないと不公平かな。今のは“螺旋”、時流から逃れることで、自分自身の時間を数倍に引き延ばす無尽流の奥義を使ったんだ。ちなみにさっきは時間を3秒に引き伸ばしてかわしたんだよ。」

 

アルクェイドの問いに対し、平然と凄い事を言う耕介に特に魔術や魔法に詳しい者は驚愕する。

 

「・・・・・まさか、魔法の領域の力まで使えるなんてね。驚いたわ。」

 

本当に驚いたという顔をするアルクェイド。そしてそれだけではなく、彼女には珍しく緊張が浮かんでいた。

 

「消耗が激しいであんまりできないんだけどね。ま、そういう訳で次で決めさせてもらう。」

 

「へえ、凄い自身ね。そう簡単にいくかしら?」

 

軽い調子でだがその表情は真剣そのものの様子ではっきりと断言する耕介。それに対し、挑発の笑みを浮かべるアルクェイド。そして耕介は再び螺旋を使った。ただし、今度は2倍速、螺旋は引き延ばす感覚を2倍に増やせば霊力の消耗は4倍、3倍なら9倍というように自乗的に消耗が増える上、制御、維持も難しく成る。今の耕介には3倍速は一瞬しかできない。

 

ギィィン

 

耕介の振るった剣が、それについてきたアルクェイドの爪が防ぐ。そして2撃目。

 

ギィィン

 

またも防がれる。霊力で強化し、さらに異なる時間間隔の中で動いてなお、その速度はほぼ同じだった。しかし、技量の差によって生まれたわずかな速さの差、耕介の3撃目が迫る。

 

(決まった!!)

 

耕介は勝利を確信した。このまま首を狙ったその一撃を寸止めにする。それで終わりだと。だが、その時、耕介の目にアルクェイドの目が映った。彼女の“金色”の目が。

 

(!!!!!!!)

 

理屈で考えたわけではない反射的な動き。その目が見えた瞬間、耕介は強烈な悪寒を感じ、螺旋を解除すると、腹部に霊力を集中した。そして、その次の瞬間、アルクェイドの拳が耕介の腹にめり込んだ。

 

ドオオオオゥゥゥゥン

 

そして耕介は10メートル以上吹き飛ばされ、そこで動かなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ア、アルクェイドやりすぎだぞ!!」

 

「耕介!!」

 

「耕介さん!!」

 

その光景を呆然と見ていた志貴が正気にもどり、アルクェイドに詰め寄る。そしてリスティと恭也が耕介のもとに向かう。

 

「あ、ごめん、やりすぎちゃった。」

 

瞳の色が戻ったアルクェイドがそう言って「てへっ」、っと笑う。その姿に脱力する志貴。

 

「げほっ、げほっ。」

 

その時、耕介が咳をしながらよろよろと立ち上がった。

 

「ア、   アルクェイドさん、勘弁してくださいよ。普通なら確実に死んでますよ。」

 

そう耕介が抗議する。実際、彼が受けたのは、肉体的には普通の人間である恭也や志貴がくらえば内臓破裂ではすまないほどの一撃だった。

 

「ごめんね、耕介思ったより強いからついシエルとやってる時みたいな感覚になっちゃって。」

 

そう言って笑うアルクェイド。その様子に耕介も脱力し、霊力もほとんど使い切ってしまった耕介はそのままへたり込んでしまう。

 

「まったく。」

 

リスティはそんな耕介を支えながら、頬を膨らました。

 

「ほんとにすいません。」

 

アルクェイドに代わって頭を下げる志貴。そして、シオンがよってきた。

 

「あなたたちの実力は十分わかりました。正直、予想以上です。これからよろしくお願いします。」

 

「ええ、こちらこそ。」

 

そう言って握手を求めるシオンに対し、恭也が答え、手を差し出そうとしたその時だった。

 

「おやおや、これは豪華なメンバーで。」    

 

「「「「「「!!!!!?」」」」」」

 

突然の声、全員が一斉にそちらを向く。そして、そこにはアルフレッドと2体の鬼が立っていた。

 

 


(後書き)

 

知佳:あれ、ここは・・・・・もしかして、後書き座談会!?って、ことは私、出番ないの!?

柿の種:いや、心配するな。君にはちゃんと出番がある・・・・・筈だ。まだ、先の予定だがな。ちなみに君は耕介の正妻だ。

知佳:えっ、お兄ちゃんの♪・・・・・・正妻?

柿の種:うむ、耕介は8股かけてる。

知佳:は、8股ああああああああ!?

柿の種:最初に言っただろう3主人公ハーレムものだと。

知佳:じゃ、じゃあ、恭也君や志貴君も?

柿の種:いや、恭也は“まだ”、誰にも手はだしていない。志貴はまあ、それなりに。

知佳:うう、なんて爛れた・・・・・。

柿の種:まあ、気にするな。ところで次回だが。

知佳:鬼とか強そうな相手が出てきてるけどお兄ちゃん達大丈夫かなあ。

柿の種:鬼といってもピンキリあるが、耕介は力を使い果たしてるし、恭也と志貴は少し怪我してる、アルクェイドとシオンは昼で力が落ちてると結構ピンチだなあ。

知佳:うー、心配だよ。

柿の種:じゃあ、今回はこの辺で、さらば。(←走り去る柿の種)

知佳:あ、ちょっと待って。・・・・・・行っちゃった。えーと、じゃあ、柿の種さんに代わって、私が挨拶を。次回もよろしくお願いします♪


耕介8股……。
美姫 「成る程。これがハーレムの意味だったんだ」
てっきり、これから手を出していくのかと。
美姫 「しかし、恭也はまだって事は…」
……ま、まあ深くは考えないでおこうか。
しかし、今回は最後に大ピンチ!って所で終ってるな。
美姫 「次回が気になる所で〜〜!」
お、落ち着け、美姫!
と、とりあえず、また次回を待ってます!





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