「なるほど、事情はわかった。」

 

寮生が全員帰宅した所で志貴達を含める全員を居間に集め、状況説明した耕介に対し真雪がそう答えた。だが、その目は彼を睨みつけていた。

 

「耕介、お前が今まで、うちのガキどもに知られないようにしながら、寮生を守っていたのをあたしは知ってる。」

 

「「!?」」

 

その真雪の続く言葉に耕介とついさきほどその事実を知ったリスティが驚きの表情が浮かぶ。

 

「けど、今、お前がやろうとしている事はその反対だ、つー事はわかってるか?」

 

「・・・・はい。」

 

耕介が頷く。耕介はアルクェイドが回復するまで、ここに彼女達を滞在させることを提案した。志貴達にとってはありがたい事だったのでためらいながらも、彼らはその申し出を受けた。そして、それを寮生達に話した時の真雪の反応がこれである。

 

「お前は、この寮の管理人だ。まず、何よりもこの寮生の安全を第一に考える義務がある。」

 

「あの、真雪さん・・・。」

 

愛が何か言おうとするが、真雪に睨み付けられてだまってしまう。そして耕介に視線を戻す。耕介は重くなった口を開く。

 

「それは・・・・・・・わかってます。」

 

だが、耕介には彼女たちを放りだす気にはなれなかった。志貴やシオンは確かに強いが、それでも、彼らだけでアルクェイドを守るのは厳しい。その時、一人の少女が発言した。

 

「あの、真雪さん、私はその人達を置いてあげて!!」

 

それは現在最年少の寮生アリサの発言だった。彼女がこの寮に住むようになったのは4ヶ月前。彼女はIQ200の天才で、そしてそれを妬んだ者達の命令で動いた数人の男達に暴行された。そして、顔を見られた事で、男達が彼女を殺そうとした時、退魔の仕事を終え、その帰りに不穏な空気を感じとった耕介に助けられた。

 

その後、傷心の彼女はさざなみ寮に引き取られた。茫然自失の状態となり、その頭脳以外に価値を見出していなかった彼女の親類は厄介者としてあっさり彼女を引き渡した。その後、4ヶ月、さざなみ寮の住人は彼女の心の傷を癒す為に必死」に努力した。呆然自失な状態は以外にも早く回復したが、事件以前より、周囲から特別な目で見られていた彼女は人間不信に陥っており、時に癇癪を起こし、寮生を傷つける事もあった。だが、皆、根気よく接し、アリサもその心に触れ、また寮生には彼女のように特別視された者が多くいる事を知り、いまではすっかりうちとけ、明るく変わっていた。

 

「正直、お人よしにもほどがあると思う。だけど、私はそんなさざなみ寮のみんなが好きで救われたから。そんなみんなが

好きだから!!だから、例え危険な事になっても、その人達を放りだすような事して欲しくないの!!」

 

アリサが叫ぶ。それを見て同じように特別視された過去を持ち、現在彼女の親友であるティムと麗、加えて美緒が賛同する。

 

「私からもお願い!!助けてあげて!!」

 

「私もお願いします〜。」

 

「あたしも頼むのだー!!」

 

そして他の住人も真雪を見つめる。それを見て真雪は頭をかいて答える。

 

「はあ、これじゃあ、あたしは悪役じゃないか。ま、憎まれ役があたしの役割だからな。と、言う訳で、寮生全員が賛成のようだから許可するが、その代わりお前が必ず全員守るんだぞ!!だれか一人でも怪我させたら、ぶっ殺す!!」

 

「はい、もちろんです!!」

 

本気で睨みつけて言う真雪に耕介はまっすぐとその目を見て答えた。それを見て真雪は溜息をつきもその目は満足そうだった。

 

 

 

 

 

 

「すいません、迷惑かけて。」

 

とりあえず、年少メンバーを解散させ、戦力組みと年長組みのみを残した状態で、さきほどの光景を静観していた志貴が謝罪する。

 

「ま、決まってことで気にしないでもいいわ。それより、これから先、しっかりやるよう気をつけるように。」

 

真雪が笑ってそういう。こういうさっぱりしたところが彼女の魅力だろう。

 

「それで、もし、敵が攻めてきたらどうしますか?」

 

シオンが発言する。耕介が少し思案した後、答える。

 

「リスティが寮にシールドを張って、俺、恭也君、志貴君、シオンさん、久遠で迎え撃つのがいいと思う。久遠は戦い方に不安があるから、恭也君と組んで動いて欲しい。これで、いいかい?リスティ、久遠。」

 

「わかった。」

 

「うん。」

 

リスティと久遠が頷く。それに対し、那美が不安そうな不満そうな顔をした。

 

「あのー、私は?」

 

「那美は恭也君と志貴君に癒しをかけておいて欲しい。酷な事を言うようだけど、今回の敵レベルの相手だと今の君じゃあ戦力にはならない。」

 

「あうー。」

 

彼女の親友である美由紀希のような情けない声をだす那美。それを恭也が慰める。

 

「那美さんの得意はこういうのではないですから。怪我を治したり、霊の人を鎮めてあげるのは俺たちには出来ない事です。それに、最近は腕前も少しずつですが、上がってきてます。あせらないでもその内強くなれますよ。」

 

「そ、そうですか(真っ赤)。」

 

剣の師匠?であり、想い人でもある恭也にそう言われ顔を赤くする那美。それを見て那美の想いに志貴は気づく。どうやら、自分以外の色恋沙汰に関しては人並みの鋭さを持ってるらしい。

 

「それで、他のみんなは異論はないかな?」

 

そんな那美を微笑ましく見ながら、耕介が皆を見回す。皆、特に異論は内容だった。

 

「じゃあ、そういうことで、みんな、ゆっくり休んでいてくれ。俺は夕食を作っちゃうから。」

 

そう言って立ち上がる耕介。だが、それをシオンと志貴が引き止めた。

 

「槙原さん、あなたこそ、休んでおいた方がいいのではないですか?」

 

「そうですよ。耕介さんずっと休んでいないんでしょう?」

 

戦いの後、シオンと耕介は敵を警戒しとアルクェイドを見守り続けていた。シオンはそれでも耕介に言われて少し仮眠を取っていたが、耕介はそれすらしていない。

 

「夕飯は俺たちで作ります。耕介さんは少し休んでいてください。」

 

「耕介のご飯が食べられないのは残念だけどそれで耕介が戦えないじゃ、シャレにならないしね。」

 

「言っただろ耕介。お前には寮生を守ってもらわにゃならないんだ。今日は全自動炊事洗濯マシーンやめて、全自動、防衛マシーンになれ。」

 

恭也とリスティ、真雪もそれに続く。皆に言われて耕介はおとなしくそれに従う事にした。

 

「わかりました。それじゃあ、みんなよろしく頼む。」

 

そう言って寝室へ行く。そして3時間後、恭也や志貴が中心となって、真雪とティム、那美が手伝った夕食はそれなりに好評で、なかなかのものだった。

 

 

 


(後書き)

ななこ:わ、わたしがゲストですかー!?

柿の種:うむ、適当なのが思いつかなかったのだ。よって、次回のゲスト希望があれば募集します。よろしくお願いします。

ななこ:な、何ですか、そのいい加減な扱いは!!私はこれでも、由緒正しき・・・・・

柿の種:ま、それはおいといてだ。今回の話だが。

ななこ:あぅー。無視されました。

柿の種:最近のssでは、さざなみ寮の女性陣は料理ができないみたいに扱われているのが多いがそういう人はゲームを

ちゃんとやっているのだろうか?耕介が凄すぎるから目立たないが、人並み以上にできるメンバーは多いぞ。そしてそうい

うssに限って恭也とかをそういう手段で引き立てようとしているのが多い。好きなキャラを引き立てるのは別にいいと思う

が、その為に他のキャラを貶めるのはファンとしてどうかと思う。そして、そういう設定を信じてしまった人がさらにssを書く。

よって間違った認識が広まる、悪循環だな。もっともこのssでは、本気でできそうな人がいないが。(愛、舞、麗、美緒、リスティ、久遠じゃなあ。)

ななこ:そうですねー。このメンバーが作る料理なんてのはマスターのカレーより遠慮したいです。けど、那美さんも料理できなかったんじゃあ?

柿の種:多くのssではそうなってるが、これはおおいなる間違いだな。耕介に手伝ってもらいながらとは言え、ほとんど始めてあれだけ作れたのならむしろ才能はあるだろう。やった事がある人はわかると思うが教えられながら作るというのは実はそれほど簡単じゃない。

ななこ:そうですねー。話は変わりますけど、アリサさん、かわいそうでしたねー。」

柿の種:うむ、とらハの中では原作で最も可哀想なキャラだしな。だがこれから先はきっといい事も一杯あるだろう。

ななこ:ええ、きっと。ところで、彼女に酷いことをした人達はどうなったんだ。

柿の種:実行犯はともかく、その命令を下した奴らは金持ちの権力者の子供だった為、罪を逃れてしまった。

ななこ:えっ!?

柿の種:が、しかし、それが、さざなみ寮、裏人脈のメンバーに知れて恐ろしい目に合わせられたという事だけ言っておこう。

ななこ:恐ろしい事というと?

柿の種:その中に琥珀さん、秋葉、君のマスター並に恐ろしい人と美姫さん並に凄い人がいるといえばわかるか?

ななこ:・・・・・・・・・・・ガタプルガタプル

柿の種:ゲストが壊れてしまったようなので、今回はこの辺で。それでは。

 

 

柿の種:なんか、今回かなり偉そうな事言ってしまいましたが、とらハファンとしてはどうしてもこれだけは言っておきたかっ

たのでブーイング覚悟で言わせていただきました。

     


今回は戦いの幕間って所だね。
美姫 「そうね。この後、大きな戦いが…」
果たして、耕介たちは勝利をその手に掴む事が出来るのか。
気になるところだね。
美姫 「ええ。続きを早く早くとせがむしかないわね」
せがむだけにしておけよ。
美姫 「分かっているわよ。一般人にこの剣は振るわないわよ」
それなら良いんだが。
それじゃあ、次回も待ってます。
美姫 「まったね〜」



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