「なんて素晴らしい。」

 

忍が恍惚とした表情を浮かべ、歓声をあげる。そのレポートに書いてあった改造案は以下のものであった。

 

『 @ 目からビーム

A     右腕をドリル

B     ノエルスクランダー

C     ス○ナー○ンシャイン

D     おっぱいミサイル   』

 

「これ、出来るの!?」

 

「できないわよ。」

 

コテッ

 

勢い込んで尋ねた忍にエリザはあっさりできないと言い放つ。擬音までたててずっこける忍。

 

「で、できないの〜。」

 

「ううん、ほんとはできる。でも、@ABDのアイディアは流石にかわいそうでしょう?ノエルだって女の子なんだから。」

 

「うーん、それはそうかもしれないけど、じゃあCは?」

 

「技術的には可能・・・・っていっても実際にはゲッ○ー線なんてない・・・・いや、平行世界にはあるんだけど、私は宝石にコネ何かないし、まあ、それはともかく代替物質なら用意できそうなんだけど、それを使ったとして強力すぎるのよね。霊長か自然界の抑止力が出てきちゃう可能性が大なのよ。」

 

世界のバランスを崩すほどの大きな現象を引き起こせば、その存在を止めるために世界から抑止力と呼ばれる超越的な存在が送られてくる。故にそれを為すのはあまりにリスクが大きすぎた。

 

「じゃあ、結局改造案てのは無いの?」

 

「ううん、3枚目までは冗談だけど4ページ目からは本物よ。」

 

そのエリザの答えを見て忍はレポートをめくる。そして彼女は凍りついた。ただし、さきほどとは違った意味で。

 

「エ、エリザ、これ・・・・。」

 

「ええ、人造魔術回路よ。」

 

 

 

 

 

 

魔術回路、人間が魔術を使うためにその神経の一部を変質させたものである。エリザはそれを機械的に再現し、それをノエルに組み込もうというのだ。

 

「信じられない・・・・こんなものを完成させるなんて。」

 

「ふふん、伊達に世界最高峰の魔術師なんて呼ばれて無いわよ。」

 

驚く忍にエリザは得意そうに言う。そしてポーズをつけて言った。

 

「これを組み込めば、魔術が使えるようになってノエルはメイドロボットから、魔法メイドロボットへと生まれ変わるのよ!!これで死徒や亡霊相手にも楽勝よ!!」

 

「凄いわ、エリザ!!」

 

学者?としての驚愕の表情からさきほどのように趣味人としての恍惚な表情に代わる。そして二人で何やら怪しげな相談を始める。それを見てクラリスは、疲れた表情をし、ノエルは心なしか不安そうな表情をし、恭也は話に途中からついていけなくなって呆然とした表情をとった。

 

 

 

 

 

「ふぅー。」

 

深夜、恭也が屋敷の庭で一息つく。あの後、ノエル改造の為に一日エリザの屋敷に留まる事になった。海鳴の事が多少心配でもあったが、さくらもいてくれているし、ルーカスもすぐには復活できないだろうから不安は少ないだろう。

 

「高町様・・・・。」

 

「クラリスさん。」

 

その時、恭也の後方から、クラリスが声をかけてきた。手にはカップを二つ持っている。その一つを恭也に手渡す。

 

「どうぞ。」

 

「あ、どうも、すいません。」

 

それを受け取る恭也。中身はコーヒーだった。砂糖が少しだけ入っている。普段はブラックで飲む恭也だったが、昼間の戦いで少し疲れていたのでその甘さが心地よく感じる。

 

「忍お嬢様にお付き合いなさるのは大変でしょう。」

 

クラリスが突然そう言ってきた。確かに忍のいきなり突っ走しったり行き過ぎたり(屋敷の護衛装置とか)する所に巻き込まれて色々苦労はしている。きっと、クラリスもエリザには苦労させられているのだろう。表情にはわずかに同情の色が浮かぶ。だが、恭也はこう答えた。

 

「いえ、楽しいですよ。」

 

それは恭也の本心。確かに苦労はしてるし、たまにかなり腹の立つ事もあるが、それでも、忍と付き合うのは色々な意味で楽しさがある。

 

「そうですか、忍お嬢様はよいお友達をお持ちになられました。」

 

そう言って小さく笑う。それは恭也が初めて見た彼女の笑みだったがとても綺麗なものだった。

 

「クラリスさんは月村とは付き合いがあるんですか?」

 

「小さいころに何度か遊びました。忍お嬢様とは比較的年も近く、あるいは幼馴染と言えるかもしれません。」

 

「そうだったんですか。」

 

恭也はその答えに僅かに驚く。そしてノエルと彼女のどこか雰囲気が似てるのはもしかしてその辺に関係があるのかも知れないと思った。その時だった恭也は何かを察知した。

 

「クラリスさん!!」

 

「?どうかなさいましたか、高町様。」

 

突然叫んだ恭也にクラリスが怪訝な顔をする。そして、恭也は昼にもらった二本の小太刀を握り締めて言う。

 

「だれか、ここに近づいてきています。」

 

「まさか!!」

 

エリザは敵が多い。故にいくつもの結界が張ってある筈である。それを気付かれずに抜けてきたなどクラリスには信じられなかった。だが、すぐに恭也が感じたのと同じ気配を感じる。

 

「来ます。」

 

恭也が警戒を促す。そして二人の男が現われた。男の内一人は何やら立派な剣を、もう一人の男はナイフのようなものを持っている。そして、その男の剣を持ってクラリスが驚愕の声をあげた。

 

「あれは!!」

 

その剣の意味、脅威を知るクラリスは驚愕する。そして男が剣を振り上げた。その剣が振り下ろされれば屋敷は丸ごと吹き飛ばされ、エリザも忍も当然、恭也やクラリスも皆死ぬ。

 

「約束された・・・・・・」

 

「!!・・・・вгк

 

素早く防御呪文を唱えようとするクラリス。だが、間に合わない。しかし、それよりも早く、本能でその危険性を直感した恭也が飛び出した。

 

 

――――――――――――――御神流・斬式奥義の極み―――――――――――――――

 

 

・・・・・勝利の剣」     

 

 

 

恭也の刀と、男の剣―――――聖剣エクスカリバー――――――が激突する。そして爆発が起きた。

 

「高町様!!」

 

クラリスが叫ぶ。剣の力が完全に発動する前に恭也が直感的に刀から魔力を引き出しそれを相殺した。だが、完全に防ぎきれたわけではなく、爆発に巻き込まれた恭也は全身に酷い重症を負っていた。

 

「下等な人間が邪魔を!!」

 

ナイフを握った方の男が怒りをあらわにし、それで恭也を突き刺そうとする。

 

гвгв!!」

 

だが、それよりも早くクラリスが魔術を二人の男に向かって放った。一人は飛びひき、一人はエクスカリバーでそれを切り裂く。そして魔術を放った瞬間、クラリスは夜の一族の身体能力を生かし、恭也のもとに駆け寄った。

 

ブン

 

だが、恭也を助け出そうとしたその時、エクスカリバーがクラリスに向かって振り下ろされた。

 

パキィィィィィン

 

乾いた音。そしてその音と同時に男の腕が凍りついていた。

 

人の家の庭でよくも好き勝手やってくれるじゃない

 

恐ろしく底冷えのする声がその場に鳴り響く。紅い髪とそれ以上に紅い目を持った、夜の一族最強の使い手、魔術師殺しエリザがここに降臨した。

 

 

 


(後書き)

今回からFateがクロスします。と、言ってもメインは今までどおりでFateキャラはほとんど出てきませんし、出てきても扱いはあんまりよくないです。

 

PS.外伝のネタ候補がこれだけあるのですが、見たいものがあったら言ってください。参考にさせていただきます。

 

@     耕介が体験した悲劇−−−決意(シリアス)

A 耕介と雨月の出会い

B 耕介と柏木一族が出会ったエピソード

C 10年後、伝説のボディガードとなった恭也の話

D 裏番外:恭也と志貴、本気の殺し合い(ダーク)

E 最強への道、耕介VS恭也




おお〜、何か恭也が大怪我を……。
美姫 「うーん、誰かさんと違って、恭也は回復力に関しては普通の人間だし大丈夫かしら」
ほら、そこはエリザもいるし、忍もついてるから多分大丈夫だろう。
美姫 「そう願いたいわね。果たして、聖剣を持つ男とは……」
う〜ん、普通に考えたら……。
美姫 「まあ、それはそうと、外伝のネタが六つも」
う〜〜ん。個人的には、Bがとても気になるな。
美姫 「私もBね。何故、耕介が柏木一族と知り合ったのか」
前の外伝もあるし、ちょっと読みたいな〜。
美姫 「そうよね〜」
それでは、今回はこの辺で。
美姫 「柿の種さん、次回も楽しみにしてますね〜」



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