2004年11月……。
少女は、夢をみた。少女が見た夢は、ただの夢ではない。未来を見通すことが出来る“予知夢”だ。
「ねえケロちゃん」
「なんや!? さくら!!」
「“ネロ・カオス”と“アカシャの蛇”って知っている?」
「そらぁ、知っているがな。って、おい。何で、さくらがあいつ等の名を知ってんねん」
ケルベロスは、さくらが知っていることを驚いた。
「夢に出てきたの。その人たちが……」
「さくらは、此の世で最強の魔力の持ち主や。その夢は、間違いなく“予知夢”や」
さくらが見た夢を予知夢と断言するケルベロス。
「“ネロ”と“アカシャの蛇”が如何したんや?」
「その人たち、殺されるよ」
「殺されるやて。教会連中も手を焼いている等やで!?」
その時、さくらの携帯電話が鳴った。
さくらの携帯は、知世の母が経営している会社の製品だ。
『おはようございます。さくらさん』
「エリオルくん急に電話してくるなんて何かあったの?」
『実は、私のところにお客さんが来ているのです』
エリオルは、客に電話を変わった。
『やっほ〜。さくらちゃん、元気?』
『お久しぶりです。さくら様』
『さくら、元気?』
真祖達がかわるがわる電話に出た。
『実は、さくらさんにお電話したのには、わけがあります。放浪癖のあるアンゼロットさんが持ってきた情報によりますと“死徒二十七祖”の第十位“ネロ・カオス”が“真租の姫君”を追って日本へ向かいました』
「何やて!!」
『何を驚いているのですか!? ケルベロス』
「いや、さくらが夢を見てな……」
『さくらさんが夢ですか……其の夢は、“ロア”と“ネロ”が殺されるというものじゃなかったですか?』
「其のとおりやが」
『やはり、クロウ・リードが予想した通りに事が進んでいるようですね』
「クロウ。この結末知ってんのんやろ」
『よくお分かりですね』
「もったいぶらんで話せ!!」
『今回の事件に巻き込まれ“死徒”に成ってしまう人がいます。その人は、不幸なことに血を吸われて即時に“死徒”に成ってしまいます。其処で、彼女に抑止力の一端を担って貰う事にしました』
如何やら“死徒”に成ってしまうのは女性のようだ。
『彼女は、過去に類を見ない才能の持ち主です。其処で、彼女を“真祖”にする事にしました』
『さくらちゃんが学校から帰る頃には、そっちへ行っているから……』
『さくらさんに“真祖創生”の儀式をしていただく事になります』
「“真祖創生”やて!! アレは、式を編み上げたクロウ以外やり方を知らん秘術やないんか!?」
『私……いえ、クロウ・リードは、“真祖創生”の式を編み上げました。しかし、使う前にクロウ・リードは、寿命で 此の世を去りました。“真祖創生”を実行できる魔術師は、此の世にまだいません』
エリオルの言うクロウ・リードが編んだ“真祖創生”。
『クロウが編んだ“真祖創生”を書き記した書はありません。さくらさん自身が編み上げ実行して頂くことになります』
“真祖創生”をさくらがやることになってしまった。
「無理だよエリオルくん。“真祖創生”なんて」
『いいえ。さくらさんなら“絶対大丈夫”ですよ』
“絶対大丈夫”……さくらの無敵の呪文だ。
「さくらさ〜ん。朝ごはんですよ」
一階から声が聞こえる。
「エリオルくん、学校へ行かないといけないから……」
『日本は、今朝六時半でしたね。忙しい時間に電話してしまったようですね』
『さくらちゃん、夕方にはエリオルの空間転移でそっちへ行っているからね』
アテネがそう言って電話を切った。
「さくらさ〜ん!!」
さくらは、朝ごはんを食べ終えると学校へ行った。
星夜月姫 プロローグ
〜私立星條高校〜
「アテネさん達がいらっしゃるんですか?」
「うん。今朝エリオル君から電話があって……」
「では、柊沢くんも此方にいらっしゃるんですか?」
「分からない。でも、一週間以内には来ると思う」
「今日の夜は、アテネさん達の歓迎会をしなくては」
そう言って知世は、携帯電話で連絡を取り始めた。
「……以上の材料を用意していてくださいな」
知世は、携帯でボディーガードに指示を出した。
「さくらちゃん、今日は、家に直接寄ってください」
「でも、お父さんやお兄ちゃんに何も言っていないよう」
「心配要りませんわ。お母様に私の家に泊まると言って貰いますわ」
「お願いね」
「やっほぅ!!」
不意に声がかけられる。
「夕方まで待ちきれないから、エリオルに頼んで送ってもらっちゃった♪」
アテネが言う。
「お久しぶりです。アテネさん」
「知世ちゃんも元気だった!?」
「はい。アテネさんもお変わりないようで……」
「其れは、いいけどエリオルが言ってたよ。“ネロ・カオス”がアルクちゃんを追って日本へ行ったって」
「“ネロ”が……」
「誰ですか? 其の“ネロ”って」
知世がアテネに聞いた。
「教会が付けた名よ。んで、“ネロ”と言うのは“死徒二十七祖”の十位の吸血鬼よ。そして今までどんな事をしても殺すことが出来ない化け物」
「どんな事をしても殺すことが出来なかったのですか」
「奴は、どんな事をしても殺せないわ。奴は形のない吸血だから……一つを殺してもまた元に戻るから意味ないのよ。其れゆえ“混沌”と言う名がついているの」
「では、カードキャプターの出番ですわね」
知世は、目を輝かせながら言った。
「無理よ。幾らさくらちゃんが世界最強の魔力の持ち主と言っても“ネロ”を倒すことは不可能よ」
不可能と言い切るアテネ。
「私に倒せなくても“ネロ”は、日本で消えるよ」
「何言い出すのよ、さくらちゃん。“ネロ”は、どんな事をしても滅ぼすことが出来ないのよ」
「でも“ネロ”は、一人の男の子の手によって滅びるよ。その人、ナイフで黒い点を刺していた」
「黒い点を刺す!? 其れって、“バロールの魔眼”……」
「“バロールの魔眼”って何ですか?」
「“バロールの魔眼”と言うのは、ケルトの神様が持っていたとされる魔眼なの」
“バロールの魔眼”について話すアテナ。
「アテネさん、お話中すみません。そろそろ午後の授業があるので続きは後でお願いします」
午後の授業の時間だと言う知世。
「ペンギン公園で待っていてくださいな」
「分かったペンギン公園だね」
そう言って、アテネは吸血鬼の能力で校外へと出て行った。
さくらと知世が教室に戻ると校内放送が流れた。
『全校生徒にお知らせします。皆さんも既にニュースで知っていると思いますが隣町の三咲町で本校生徒が何者かに殺害されているのが見つかりました。三咲町では、数日前より連続殺人事件が発生中でした。安全のため注意を呼びかけていたのにこういう結果になって残念です。先ほど緊急に職員会議をし皆さんの安全を考慮し当面部活動を禁止とし午前の授業で下校させることにしました。後ほど各担任から話があります。以上校長からでした』
教室内は、ざわめく。
「静かにしろ!! 校長の言われたとおり当面部活動は禁止だ!!」
「何でですか!?」
「本校の生徒が犠牲になっているんだ!! 生徒の安全を守るのが教師の務め。もし夜、出歩いていたら生徒指導室行きだからな」
担任は、厳しく言う。
「じゃあ、解散。お前ら、寄り道するんじゃないぞ!!」
「「「はぁいっ!!」」」
ホームルームが終わって下校を始める生徒達。
「さくらちゃん、アテネさん達を迎えに行きましょう」
そう言って待ち合わせのペンギン公園へ向かった。
〜ペンギン公園〜
「さくらちゃんに知世ちゃん、もう学校終わったの?」
アテネがさくらと知世に聞いた。
「実は、午後からの授業が打ち切りになりまして……」
知世は、事情を話した。
「ふぅ〜ん。連続殺人事件ね」
「その人は、体中の血液が無くなっていたそうです」
「体中の血液が!? アルクちゃんが日本へ来たのと関係あるのかも……アルクちゃんが日本へ来た理由は“ロア”しか考えられないわ」
「アテネさんは、如何するのですか?」
「早速、今夜から“ロア”の手下を殺して回るわ」
「でも、さくらちゃんが言っていた人は如何するのですか? 私やさくらちゃんは、動きづらいのですけど」
さくらや知世は、外出禁止令で動きづらい。
「さくらちゃんには、認識阻害の魔術を使ってもらわないといけないかな?」
さくらに認識阻害の魔術を使って欲しいというアテネ。
「認識阻害の魔術で何をするのですか!?」
「教会の犬に邪魔されたくないから……」
如何やら、教会の犬が入り込んでいるようだ。
「教会の犬?」
「教会の犬というのは、聖堂教会の事よ。私達にも何度もちょっかいをかけてくるしつこい連中が所属する組織よ」
「さくら様、私が説明を続けます」
説明役を買って出るウォン。
「聖堂教会は、吸血鬼を神の子と認めない奴らです。吸血鬼退治には、掛け値なしで戦力を……聖堂騎士達を投入します」
ウォンがさくらが理解できるよう説明する。
“クロウの後嗣”の二つ名を持っていると言え、魔術に関する知識は殆ど持っていないに等しいからだ。
「そして、埋葬機関の前身、埋葬教室を作ったのが、さくら様が夢で見られたロアと言う“死徒”なのです」
「“死徒”が敵対組織を?」
「正確には、彼がアルクェイドを騙して血を吸わせて“死徒”に成る以前の話です」
ウォンが、アルクェイドとロアの経緯を順次語っていく。
「その後、アルクェイドとロアの殺し合いは、17回に及んでいます」
「之が、今までの経緯よ」
ウォンが、アテネ達と共に之までの経緯を語った。
〜エリオルの館〜
「魔導元帥!! 私に何の用ですか!?」
「流石は、クロウ・リードの生まれ変わり……ワシが此の屋敷に入って居ったのもお見通しか」
「はい。貴方が今日、此処を尋ねることも知っていました」
「お前には、隠し事が出来ん」
エリオルに隠し事が出来ないと言うゼルレッチ。
「ネロが日本へ渡った事は、知っておるか!?」
「はい。知っています」
「と言う事は、アルクェイドも」
「日本へ渡りロアを探している頃でしょう……」
「あいつ等は、如何した?」
「私が既に送っておきました」
「既に送ってという事は何か起こるのか」
「今頃、アルクェイドは、一度殺されているでしょう」
「“真祖”を殺した奴は如何いう奴だ!! ワシが、八つ裂きにしてやる」
「そんな事をしたら、ネロとロア、タタリを消滅できなくなります」
「教会が消滅不能とした吸血鬼ではないか!! 其れを消滅できなくなるとはどんな奴だ!?」
「その人は、“直死の魔眼”の持ち主です」
「“直死の魔眼”じゃと!!」
ゼルレッチは、驚く。
「あの目なら“真祖”も殺せるだろうな」
「貴方が、尋ねた目的は、人為的に“真祖”を作る方法ですね」
「お前さん……いや、クロウ・リードが編み上げた“真祖創生”誰にも教えんのだろう」
「はい。誰にも教えるつもりは、ありません。それ以前に発動できるだけの魔力の持ち主は居ません」
「お前の言葉の裏を返すと使える者が居るのだな」
「あの術を使えるのは、この世に5人も居ません」
「5人も居らんか……魔法の域じゃな、其の秘術」
魔法の域だと言うゼルレッチ。
「“真祖創生”を託した私の……いえ、クロウ・リードの血縁の者を日本へ送りました。後、数時間の内に儀式が始まります」
「ワシは、儀式を見てみたいので行くとしよう」
ゼルレッチは、椅子から立ち上がりながら言った。
「エリオルよ協会にこんか? お前なら入って直ぐ主席になれるだろう」
魔術協会へエリオルを誘うゼルレッチ。
「申し訳ありませんが、私は、協会に入るつもりはありません。何度、人をよこしても答えは代わりません」
「そうか、邪魔をしたな……之で失礼する」
ゼルレッチは、転移の魔術で何処かへ移動して行った。
日本を舞台に血戦の幕があがる。
ケロちゃんにおまかせ
「こにゃにゃちわ〜ケロちゃんにおまかせのコーナーの始まりや」
ケロちゃんがマイクを前に語り始める。
「今回が此のコーナーの最初や!! 第一回目は此の話しが如何進んでいくか教えてやる」
「ケロちゃん。ネタバラシは、駄目ですわ」
「おお。知世か」
「はい」
「何故、ネタバラシがあかんのんや?」
「ネタをバラシたら、面白くありませんわ」
「じゃあ、何処までならネタバラシていいんや?」
「クロス予定作品なら大丈夫ですわ」
「よっしゃ!! 耳の穴、良く穿ってきくんやで。カードキャプターさくらと月姫以外のクロス予定作品は、『×××HOLiC』『空の境界』『MELTY BLOOD』『Fate/stay night 』『洞窟の女王』や」
「これまた、クロス予定作品が多いですわね」
「アレだけやない。幻の『月姫2』もクロスさせる予定や」
「之は、コーナーを大いに盛り上げないといけませんわね」
「おっと、もう時間見たいや。もっと話したいことが沢山あんのに……」
残念がるケルベロス。
「ほな!!」
CCさくらと月姫のクロス〜。
美姫 「何やら物凄い儀式が行われようとしているみたいね」
さくらは無事にやり遂げれるのか。
美姫 「ここからどんな風に話が進んでいくのかしらね」
楽しみです。
美姫 「次回を待ってますね〜」
ではでは。