第七話「友枝町の死徒」
〜アルクェイドのマンション〜
『では、此処からは昨夜起こりましたセンチュリーホテルの事件の特集をお送りします』
テレビの画面に字幕と共にセンチュリーホテルの映像が映し出される。
『事件が起こりましたホテルからは従業員、宿泊客ら200名以上が忽然と姿を消し、全員の行方は不明のままです』
吸血鬼事件を差し置いてトップで伝えている。
『警察では、全力で行方不明者の捜索に当たっていますが、現場の床や壁から大量の血痕、動物のものと思われる毛が大量に発見されており事件と関係がないか慎重に調べています』
ニュースは、終了時間を大幅に超えているが繰り返し伝えている。
『尚、事件の為、ホテルの運営会社は事件のあったホテルを無期限休業すると発表しました。其れでは、ホテルの運営会社の記者会見の模様をLIVEでお送りします』
映像がホテルの運営会社の記者会見の会場に切り替わる。
〜ホテルの運営会社〜
「本日は、昨夜の失踪事件についてのお詫びと休業についての会見を行います」
運営会社の社長がマイクを手に会見を始める。
「この度は、当社の運営するホテルで大量失踪者をして真に申し訳ありませんでした」
社長を始とする幹部が全員頭を下げた。
新聞社のカメラマンは、フラッシュをたきながらシャッターをきった。
「警備が十分じゃなかったのか!?」
社長らに罵声が浴びせられる。
「宿泊客の家族に如何説明するんだ」
「当社としまして、ホテルの警備体制は万全だったと思っています」
「万全じゃ無かったから行方不明者が出たんだろう? 素直に認めろ!!」
失踪者の関係者と思われる男性が社長に飲み物の缶を投げつける。
其れを切欠に次々、投げつけるものが増えていく。
「危険ですから物を投げないでください」
司会が静止を呼びかける。
「五月蝿い!! 司会は、黙っていろ」
そして司会にも缶を投げつける。
「うわあああぁ」
〜アルクェイドのマンション〜
映像が、記者会見の会場から放送スタジオに切り替わった。
『記者会見の模様を最後までお伝えする予定でしたが会見場の暴動の為、一旦終了させていただきます』
『之は、ホテルの安全管理体制が問われることになるでしょうね』
『黒崎先生。若し、賠償金を請求された場合、どのくらいの額になると思いますか?』
『少なく……』
其処で、テレビを切るアルクェイド。
「お金のことなんか、私には関係ないから」
〜三咲高校食堂〜
「最近物騒だな」
テレビを見ながら食う有彦。
「弓塚が学校来なくなったと思ったら今日は遠野まで来ない。まあ、遠野は何処かで貧血起こしてぶっ倒れたんだろうな」
『えぇ。もう一度、会見場に映像をまわして見ましょう』
映像が、会見場に切り替わる。
『非を認めたら如何だ!!』
『ですから、先程から話している通りで……』
『其の態度が認めてないと言っているんだ』
『私たちの家族を帰してよ』
『そうだ!! 俺たちの家族を返せ!!』
『返せといわれましても』
『お前達の会社ぶっ潰してやるからな』
『じゃあ俺は、お前らの家族をバラバラにしてやる』
当然、此の言葉はテレビを通じて警察の耳に入ることになった。
暴言を吐いた被害者達は一転、脅迫罪で逮捕されることになったのは後の話である。
〜友枝中学校地下〜
「省吾様、後一時間ほどで日没です」
ブリミルが省吾に言う。
「じゃあ、死者たちを配置に就けさせて」
「校庭は、日没後に配置します」
「じゃあ、四天王を呼んで来て」
「畏まりました」
ブリミルに呼ばれた四天王が省吾の前に来て膝をつく。
「お呼びですか? 省吾様」
アイルトンが省吾に聞いた。
「うん。呼んだよ」
「遊ぶ為には、あのお姉ちゃんに気づいてもらわない困るんだ。四天王の誰かが町で騒ぎを起こして、おびき寄せて欲しいんだ」
騒ぎを起こして欲しいと言う省吾。
「では、四天王一の俊足の持ち主のマッサに騒ぎを起こさせます」
「マッサ。僕の為に騒ぎを起こしてくれるね」
「はい。省吾様!! 此のマッサが騒ぎを起こしターゲットを誘い込みます。此の死者の溢れる城へ」
省吾は、懐中時計を見て言う。
「じゃあ、八時になったらゲーム開始だよ」
そして、八時きっかりにゲームがはじまった。
〜友枝町繁華街〜
繁華街は、静けさに溢れていた。
一時程ではないが今だ警察による規制が敷かれている。
「さっさと家に帰ろうぜ」
「あぁ。まだ、犯人が捕まっていないんだろ?」
規制線の解除された区画の会社の会社員が家路を急ぐ。
「其処の若いの。町は物騒なんだから、早く家に帰りなさい」
「そうだぞ。犯人がまだ捕まっていないんだからな」
「君たちには悪いが、此処で死んでもらわないと困るんだ」
マッサが二人に死んでくれと言う。
「死んでくれって、まさか……」
魔力を開放して、二人の会社員を引き裂いた。
〜大道寺邸〜
「まったく何処に城を作っているのよ」
アテネはイラつく。
探せど、城は見つからなかったのだ。
だが、その時……。
魔力の気配を感じた。
「此の気配……」
「間違いありませんわね」
「じゃあ、狩に行こうか」
「よっしゃ!! さくら、吸血鬼退治や」
さくらとアテネたちは気配のほうへ向かう。
〜友枝町繁華街〜
「如何やら気づいてくれたみたいだ」
近づいてくる気配を感じつつ移動するタイミングを図る。
「そろそろ、次の場所へ誘導するかな」
そう言って次の場所へ移動するマッサ。
マッサが去って数分後……。
「ちっ。逃げた後か」
アテネが舌打ちをする。
「魔力の残りがは、あるんだけど」
「久々に血祭りにして差し上げられると思いましたのに」
アンゼロットが毒舌を吐く。
「逃がさへんで!!」
「折角ついて来ている知世ちゃんには悪いけど、守りながら戦うの厳しいから此処でリタイヤね」
「そうじゃな。護衛をつけて家で大人しくしていてもらおうかの」
「残念ですわ。素晴らしいシーンが撮れると思っていましたのに」
残念がる知世。
「なるべく戦力の分散をしたくなかったのじゃが、誰を護衛にするかの」
「いいじゃん。皆で行けば……」
「しかし、其れでは苦戦する事になりますぞ」
「さくらちゃんの盾があるじゃん」
「確かに盾なら敵の攻撃から身を守れるじゃろう……だが、前進するたびに張りなおさないとならん」
「じゃあ、さっちゃんに戦ってもらおうかな? 死者相手に私たちが出なくてもいいよね」
アテネがさつきに聞いた。
「勿論、死者相手に真祖の能力を使う必要ないよね」
「そうですわ。死者相手に真祖の力を使う事は許しませんわ」
「では、さつきには、ごく普通の死徒のふりをして戦ってもらうかの。敵に手の内を見せん方がいいからな」
「よっしゃ。さくら、追跡の魔術を使うんや」
「うん」
そう言って追跡の魔術を使うさくら。
「彼の地に残りし魔の力を持つ者の居所へ我らを導け!!」
さくらが呪文を唱え終えると空間転移て移動して行った。
そう。吸血鬼の城へ……。
別の場所で、追ってくるのを待っているマッサは……。
「そろそろ、此処に来る頃かな?」
しかし、待てども来る気配が一向に感じられない。
〜友枝中学校〜
さくらの空間転移で、校門前に現れた一行。
「魔の気配がピンピンするで。此処が吸血鬼の城や」
「如何やら、そのようだ」
グラウンドには、死者たちが待ち構えていた。
まるで、此処から先には生かさないと言わんばかりに。
「では、学校一体に結界を張るかの」
そう言って、学校周辺に結界を張るウォン。
結界が張られるのを確認して死者の群れに飛び込んで行くさつき。
省吾の城での戦いの幕があがった。
ケロちゃんにおまかせ
「こにゃにゃちわ〜皆、元気か? ワイは元気や」
顔がアップで映る。
「今回は、真祖の姫さんがネロのヤツに襲撃を受けとったが無事に逃げれたんやろうか?」
一枚の写真を見る。
「此の写真を如何やって撮ったかやって? そらぁ、秘密や。まだ本編でも出してないネタを語れるわけ無いやんか」
写真の撮影方法を秘密と言うケルベロス。
「なんや!? あの会見がどうなったか知りたいやて? しゃあない。教えてやるさかい、面玉開いてみるんやで」
ケルベロスが語った額はとんでもない金額だった。
「最終的にホテルの運営会社が賠償金込みの慰謝料、数百億を支払う事で決着がついたんや。数百億やで、数百億」
ホテルの運営会社が総額数百億の金を失踪者の家族に支払う事で決着がついたのだある。
「其れにしてもとんでもない額やな。知世が言っとたが、あの会社支払い大丈夫なんか?」
「私がお母様に聞いたところ、支払い能力がないそうですわ」
「何で知世がおんねん!!」
「其れは、ケロちゃんが知らなくていいことですわ」
「あぁ。もう終いの時間や!! 今回は、まともに話せへんかったが次回はまともに話すで。ほな!!」
マッサは無視された!?
美姫 「いやー、まさか待ちぼうけを喰らうとは流石に思ってないでしょうね」
いきなり本拠地へと乗り込んださくらたち。
美姫 「次回は戦闘ね」
どんな展開が待っているのかな。
美姫 「それでは、この辺で」
ではでは。