第二十一話「ネオ・カオス再来!!」






 
 冬木駅前
「此の地図の場所へ行けばいいようだな」
 地図を手に目的地を目指す式。
「妙な気配を感じる。コクトーを連れてこなくて正解だったな」
 黒桐幹也はついて来る気だったようだ。
 冬木の地からは妙な気配が漂っていた。
 其れも其のはず。
 冬木の地にはサーヴァントに吸血鬼、魔術師が集っているのだ。
「早いとこ、此のエミヤとか言うところに行くか……」
 式は、衛宮の家へ歩を進めた。


 衛宮邸
 衛宮邸では麻婆ダメージの回復に努める面々が居た。
 予想以上にダメージを受けているようだ。
 恐るべし紅洲宴歳館・泰山の麻婆豆腐である。
「何時まで死んでいるのですか!? ランサー!!」
「アヴェンジャー!! 早く体調を整えなさい!!」
「シェロ、水……」
 一番ダメージが大きいのはルヴィアの様だ。
「ねえちゃん。あんま、水飲むと戦いのときに困るで」
「あら、坊や達如何したの?」
「やっと来ましたねキャスター。アサシンは如何したのですか!?」
 やっと来たキャスターにカレンが聞いた。
「アサシンは柳洞寺に残してきたわよ」
 アサシンは柳洞寺から動けない。
「此の冬木で役立たずはアサシンだけのようですね」
 カレンは、アサシンを役立たずと言う。
「其れに、真祖たちもまだ来ていません」
「吸血鬼など私と宗一郎様だけで十分」
「其れだけの戦力で片付く吸血鬼ではありませんよ。キャスター……」
「誰よ。私と宗一郎様では倒せないと言ったのは!?」
「私ですよ。幾ら、貴女が神代の魔女でも倒すことは出来ません」
 エリオルがキャスターに言う。
「おい!! 衛宮とか言う家は此処か?」
 式が聞いた。
「確かに衛宮ですが……貴女は誰ですか?」
 士郎が聞き返した。
「両義式だ」
 式が名乗った。
「名乗ってやったのだからお前らも名を言え!!」
「私は、冬木の管理者の遠坂凛よ」
 冬木の面々が式に次々名乗る。
「私のことは知っているよね」
 アテネが言う。
「俺に、殺して欲しいヤツは何処にいる」
「貴女、女の子なんでしょ。男言葉を話すんじゃないわよ」
「遠坂さん。貴女も魔術師なら彼女の家の事ぐらい知っているでしょう」
「其れは、知っているわよ」
 遠坂も両義家の事は知っていた。
「退魔四家の内の一つでしょ」
「おい、俺が殺せばいい相手は何時現れる!?」
「心配せずとももう直ぐ現れますよ」
 もう直ぐ現れると言うエリオル。
「ネオ・カオスとの闘いは長時間に及ぶので覚悟していてください」
「今回も彼女に殺されかけてみますか? ギルガメッシュ!!」 
 カレンがギルガメッシュをからかう。
「セイバーをオレの物にしていないのに死ねるか」
 何処までもセイバーに拘るギルガメッシュ。
 もはや英雄王ではなくストーカーだ。
「ギルガメッシュ、セイバーさんへの求愛は吸血鬼を倒してからにしなさい」
「セイバー、吸血鬼を倒したらオレの……」
 ギルガメッシュの頭にエクスカリバーが振り下ろされる。
 ギルガメッシュに1000のダメージ。
 昼の麻婆豆腐のダメージとあわせて5000のダメージ。
 ギルガメッシュの残りライフは4000。
「無関係なところで体力を減らすような事は避けてください」
 戦闘とは無関係のところで体力を減らすギルガメッシュ。
 既にギルガメッシュの戦闘能力は大きく落ちている。
 その他の面々も本調子ではない。
 本調子なのは、セイバーとクロウ・リードの使い魔と真祖たちくらいだ。


 その時、押しつぶされるような重圧が襲ってきた。
「今度こそ、貴様らを我に取り込んでくれる」 
 ネオ・カオスが再び襲って来た。
「あいつを殺していいんだな……」
「はい。あの吸血鬼を殺してください」
 式は、ナイフを構える。
「無駄だ、ナイフごときで我を殺す事などできぬ」
「目障りだ!! オレの前に立つな」
 ギルガメッシュが、先制攻撃を仕掛けた。
「其の程度の攻撃など我には効かぬ」
 ネオ・カオスにギルガメッシュの攻撃は効いていない。
オレの攻撃が効いていないだと」
突き穿つ死翔の槍ゲイボルク!!」
 ランサーが突き穿つ死翔の槍ゲイボルクをネオ・カオスに放つ。
「なっ、突き穿つ死翔の槍ゲイボルクが……」
 突き穿つ死翔の槍ゲイボルクは、何も無かったようにネオ・カオスをすり抜けた。
「無駄だと言う事がまだ、判らぬか!?」
 ネオ・カオスは、勝ち誇っている。
突き穿つ死翔の槍ゲイボルクでも駄目か」
「アベンジャー!! 貴方も戦いなさい」
 バゼットに無理やり戦わされるアベンジャー。
「先ずは、貴様から食すとしよう」
 ネオ・カオスは、使い魔を一体はなった。
 そして期待通りに喰われるアベンジャー。
「マスター……」
「アベンジャー、何喰われているのですか!?」
「助けてくれ!!」
「助けようとしても無駄だ!! 其れは既に我の……」
 アベンジャーを喰った使い魔を式が解体した。
「貴様、何をした!!」
「殺しただけだ」
「唯のナイフで我の使い魔を殺しただと!! 貴様、何をしたか答えろ」
「答えてやる義務はない。次は、何処を殺して欲しい?」
 式が次は何処を殺して欲しいか聞く。
「人間の分際で頭が過ぎるぞ!!」
「吸血鬼、次は何処を殺して欲しいか言え!!」
「貴様を殺すのに全力を出さねばならないようだ」
 全力を出すというネオ・カオス。
「まさか、固有結界を使う羽目になるとはな……」
 ネオ・カオスは固有結界を使うようだ。
「固有結界って冗談よね……」
「我が固有結界“都喰らい”で皆纏めて始末してやる」
 そう言って固有結界を発動させるネオ・カオス。
「私の土地が……」
 凛は土地が死ぬ事に悲鳴を上げる。
 ネオ・カオスを中心に異界が広がる。
「もう、おしまいよ」
「情けないですわよ。セカンドオーナーならセカンドオーナーらしく死になさい、遠坂凛!!」
「間もなく此の地のエネルギーが私の物になる」
 ネオ・カオスは、自らに流れ込んでくるエネルギーを待っている。
「!?」
 異変を感じるネオ・カオス。
「何故、私にエネルギーが流れ込んで来ないのだ!?」
 エリオルは、ニヤッと笑う。
「貴様、私の結界の基点に何をした?」
「結界が発動しないように細工をしただけですよ」
「我の結界の基点に細工をしただと!? 我の結界の基点は簡単には見つけられん。貴様は、何故判ったのだ?」
「教えると思いますか?」
「教えるつもりは無いのであろう、クロウ・リードの生まれ変わり」
 ネオ・カオスは、エリオルの正体を見抜いた。
「よくわかりましたね」
「貴様から感じる魔力はクロウ・リードとまったく同じだ」
「気づかれては仕方ありませんね。確かに私はクロウ・リードの生まれ変わりです」
 エリオルは、クロウ・リードの生まれ変わりと認めた。
「貴様に魔術を使う隙を与えなければいいだけのことだ!! 先ずは、クロウ・リードの生まれ変わりから始末してくれよう」
「出来る物ならどうぞ。出来ればの話ですが……」
「言ったな!?」
「えぇ。言いました」
「何を企んでいる!?」
「何も企んではいませんよ」
「クロウ・リードに関わった死徒は皆、悪夢めいた最後を迎えた。貴様に関わった死徒は二十七祖にはなれんかった」
 クロウ・リードに関わった死徒は二十七祖候補になる前に消滅したらしい。

「遠坂、アイツ何て言っているんだ?」
「クロウ・リードに関わった死徒は皆消滅したって言っているのよ」
 無知な衛宮に説明する遠坂。
「クロウ・リードって凄いヤツなのか?」
「あんた!! 魔術師の端くれのくせにクロウ・リードの名前も知らないの!? 魔術師なら皆知っているほどのビックネームよ」
 知らないのは衛宮士郎ぐらいと言う遠坂。
「全く知らない……」
 衛宮の答えに脱力する遠坂。
「イリヤとバゼットは知っているよね」
「もちろんよ」
「私も名前くらいは知っています」

「貴様、さっきから何を待っている?」
「わかりますか」
「我をなめるな」
「貴様が何かを待っている事くらいわかる。何を待っているか言え!!」
「言ってもいいですが、聞いたら後悔しますよ」
「後悔するのは、貴様らの方だ!!」
「では、ヒントをあげましょう……彼の魔導元帥も興味を持っている人物とだけ言いましょう」
「死徒二十七祖第四位、キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグが興味を持つっているだと」
「はい。名前を教えてもいいですが、聞いたら震えが来ますよ」
「我が震える名など此の世に存在しない」
「では、此の二つ名を聞いても同じことを言えますか?」
「何だと!?」
「“クロウの後嗣”……此の二つ名を聞いたこと在りますか?」
「“クロウの後嗣”……何処かで聞いたような」
 ネオ・カオスは、知識を洗い出す。
 突如ネオ・カオスの体が震えだす。
「ほら、振るえが来ましたね」
「最も関わってはならない魔術師の二つ名……」
 ネオ・カオスは気づいた。
 既に自分が“クロウの後嗣”に関わってしまった事を……
 彼の運命は既に決していたのだ。
「“クロウの後嗣”が来る前に全てを片付けてやる」
「私が念話で連絡をすれば黒の吸血姫も駆けつけてきますよ」
「真祖だけではなく黒の吸血姫も見方にしておったのか……」

「黒の吸血姫って何でそんな大物の名まで出てくるのよ」
「遠坂、黒の吸血姫って誰?」 
「説明は後でしてあげるわ。その代わり覚悟しておいてね」
「ギルガメッシュやランサーでも倒せないのに如何やって倒すんだ!?」
「其れでも、前回の優勝者なの?」
「アイツに弱点なんかあるのか?」
「あんた達、戦う気が無いのなら何処かへ行っていなさい」
「貴女達こそなんで戦わないのかしら?」
「私たちは、時が来るの待っているだけよ」
「時って、私にわかる様に説明して頂戴」
 説明を求める遠坂。
「其れは、出来ないわよ。教えたらアイツを倒せなくなっちゃうから」
「嫌でも吐かせてあげるから」 
 力ずくで聞き出そうとする遠坂。
「だ、そうよ……」
「貴女には少しの間、眠っていてもらうね」
 背後から声をかけられて感じた巨大な魔力に警戒するが遅かった。
 凛は、既に眠りの世界に落ちていた。
「やって来たか!? “クロウの後嗣”」

「あの時と全く別人みたい」
「イリヤ、アイツが“クロウの後嗣”なのか?」 
 判断がつかない士郎はイリヤに聞いた。
「士郎はわからないの?」
「わかるわけ無いだろ」
「シェロ、下がりなさい!!」
 そう言ってガンドを撃つルヴィア。
「我にガンドは効かぬというのが判らないか?」 
 ネオ・カオスは、ルヴィアの前まで歩み寄る。
「それ以上近寄ればもっと強力ながんどをお見舞いしますわよ」
 ルヴィアの警告も無視して目の前まで歩み寄った。
「貴様を我が糧としてくれる」
「私を如何するですって!!」
「折角の養分だ!! 逃げられては困る。自由を奪わせてもらう」

 ズン

 ルヴィアは、突如襲ってきた激しい痛みに意識が朦朧とする。
 朦朧とする意識の中で見たのは自分の腹部に激しくめり込んだネオ・カオスの腕だった。
「うぉぇっ」
 ルヴィアは嘔吐する。
 嘔吐には血が混じっていた。
 ネオ・カオスがルヴィアの腹部から拳を引き抜くや再び突き刺した。
 今度はさっきより強く殴っていた。 
「ごふっ!!」
 ルヴィアは、血を吐き出した。
 ネオ・カオスの拳はルヴィアの腹部に深々とめり込んでいる為ルヴィアの胸元のボタンが弾けんで豊満な胸が露になっている。
 其の豊満な胸も自ら吐いた血で赤く染まる。
 ネオ・カオスが拳を引き抜くとルヴィアは地面に倒れ豊満な胸を露にした状態で腹部を押さえもがき苦しみだした。
 キレな服は嘔吐と血と泥で汚れている。
「がふっ」
 もがき苦しむ時も時折血を吐く。
「之で貴様は逃げる事が出来ない」
 ルヴィアは、逃げたくても逃げられない。
 ネオ・カオスに殴られた腹部のダメージが大きく体に力が入らない。
 起き上がろうとすると腹部に激しい痛みが襲うのだ。
「其のままでもいいが完全に動けなくしておくか……」
 そう言うとネオ・カオスは、ルヴィアの腹部に蹴りをいれ蹴り飛ばした。
 蹴り飛ばされたルヴィアを血を吐きながら木に叩きつけられた。
 木に叩きつけられた瞬間、ルヴィアの胸がプルンっと揺れていた。
 ルヴィアは地面に落ち全く動かなくなった。
 恐るべき吸血鬼ネオ・カオス。
 遠坂凛のライバル、ルヴィアをたったの一撃で戦闘不能にしてしまった。 

 会戦、数分で二名が戦線離脱となった。
 残りの戦力でネオ・カオスを倒すことが出来るのだろうか?



 ケロちゃんにおまかせ
「こにゃにゃちわ〜ケロちゃんにおまかせのコーナーの時間や」
「ついに始まったネオ・カオスとの闘い。手に汗握る展開やな」
「こちら側が一方的にやられているではいるのでは?」
「ルヴィアの姉ちゃんもたったの一撃で戦闘不能になっとたし」
「ところでケルベロス」 
「何や? スッピー」
「彼女を生きているのですか?」
「ルヴィアの姉ちゃんか!?」
「はい」
「そう言えば、ネオ・カオスのヤツに滅茶苦茶腹を殴られとったな。しかも大量に血も吐いとったな」
「彼女、危険な状態のように見えますね」
「何とか出来へんのんか?」
「エリオルなら何とかできるでしょうけど、今は結界の基点に細工をするために魔力を割いています」
「早くしないと、あのおっぱいの大きい姉ちゃん死んでしまうで」
「私に言われても何も出来ませんよ。貴方の主に頼んだら如何ですか?」
「其れは、無理や!!」
「何故ですか?」
「スッピー、言わんでも判るやろ!? さくらが戦うからや」
「其れはいいですが、早く治療しなくていいのですか?」
「あの姉ちゃんの内臓はグチャグチャやろうから真祖の姉ちゃんらに頼むしかないやろうな」
「対価は、後で請求させればいいでしょうね」
「そろそろ終いのようや」
「そのようですね」
「次回も楽しみにしているんやで。ほな!!」



思ったよりも善戦しているっぽいネオ・カオス。
美姫 「式とか相手だとピンチっぽいんだけれど、そんな中でも二人ばかり戦線離脱させたものね」
一体どうなるんだろうか。
美姫 「それじゃあ、この辺で」
ではでは。



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