第二十六話「血戦!!」
三咲高校
「姫君たちは最高のもてなしで出迎えなければならないな」
ロアは、出迎えの用意をする。
「我が支配から逃れた娘は素っ裸にして死者達に犯させてやる」
未だ根に持っているロア。
其処へ巨大な魔力の気配が幾つも現れた。
「ロア、今日で引導を渡してやるから」
「我が城へようこそ」
「その方の命運は今宵で尽きる」
アルトルージュがロアに言う。
「黒の姫が何故此処にいる!?」
ロアも予想外だったようだ。
「理由は自分が良く知っているであろう」
ロアは、自分が吸血のターゲットした人物に関係があると理解した。
「其の小娘の事か?」
「ロア、言い残す事はそれだけ」
「之からあんさんにクロウの予言以上の地獄を味合わせてやるで」
「クロウ・リードだと!! あの陰険メガネめ俺が殺されるとでも言うのか?」
「さっきから言っているじゃん。あんたを殺すって」
「うっとおしいからバーベキューにしたる」
ケルベロスがロアに炎を吐きつける。
ケルベロスの炎で消し炭状態になるロア。
ロアの体からは煙が燻っている。
そして体が燃えて嫌な臭いがたちこめる。
「如何や!? ワイの炎で焼かれた気分は?」
消し炭になったロアが動く。
「最悪の気分だ!!」
消し炭になった皮膚が崩れ新しい皮膚が現れるロア。
「今宵が満月でなければ18回目の転生をしていた所だ!!」
何事もなかったかのように復活したロア。
「魔力が尽きるまで引き裂いてあげますわよ」
アンゼロットがロアに爪で裂きかかる。
ロアは、手にナイフを持っている。
「先ずは、貴様の生命力を貰うぞ!!」
「細切れにして……」
ロアのナイフはアンゼロットの線を捕らえた。
ロアに斬られたアンゼロットが倒れこんだ。
「体に力が入りませんわ」
「先ずは、一匹!!」
ロアは、アンゼロットの前に立っている。
「アンゼロット逃げなさい!!」
「先にあの世へ行っていろ!!」
そう言うとロアはアンゼロットを蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされたアンゼロットは廊下の壁に激突する。
「アルシャード!! アンゼロットは?」
アテネがアルシャードに聞いた。
アルシャードが、アンゼロットの状態を確認する。
「生命力が奪われているようです」
「ヤハリ、志貴と同じ状態と言うわけね」
「志貴は、まだ死んでいないのか!? ヤツの死の線を切ってやったと言うのに……」
「志貴君が!?」
さつきの目に殺意が篭る。
「志貴くんに何をしたの?」
「何って、ヤツから生命力を頂いただけだ」
ロアの言葉を聞いたさつきの怒りが爆発する。
「貴方だけは許さない!!」
さつきは、ロアを力いっぱい殴る。
ロアの骨が折れる音が聞こえるが気にせず殴り続ける。
ロアの折れた骨が皮膚を突き破り血が飛び散る。
「さっちん、怒ると怖いんだね」
ロアに体制を建て直させる間を与えず攻撃を続けるさつき。
之でトドメとばかりにロアの腹にパンチを叩き込んだ。
さつきのパンチはロアの腹筋を突き破って背骨をもへし折っていた。
「ガハッ!!」
ロアの口からは、血があふれ出る。
ロアの腹から拳を引きぬくや今度は爪で引き裂く。
引き裂かれた肉片は、17個だった。
ロアの処刑ショーを終えたさつきは、ロアの肉片を見ている。
血の海にロアの肉片が転がっている。
「ロア、志貴くんに何をしたか言ってみなさい!!」
ロアの肉片が不気味に蠢く。
ロアの肉片が繋がり再生されていく。
「凄く痛かったぞ!!」
ロアが復活する。
「今夜が満月じゃなかったら転生しなければならなかったぞ」
復活したロアは裸だ。
「とんでもない馬鹿力じゃないか!? 予想以上に回復に力を使ってしまったぞ」
ロアは、回復に力を使わされたようだ。
「だが……」
次の瞬間、血の海から血の刃が現れさつきを貫こうとする。
「盾!!」
さつきの前に不可視の盾が現れロアの血刃を防ぐ。
「俺の血刃を防いだか……あの魔術は、クロウ・リードの物」
ロアの顔つきが変わる。
「あの陰険魔術師め」
「さっちん、今の内に後退よ」
アテネの言葉を聞いて後退するさつき。
「此の能力は、此の体の元の持ち主の物だよ。此の能力で姫君たちを殺そうと思ったのだが出来ないようだ」
血の操作は、シキの物らしい。
「皆纏めて蜂の巣にしてやる」
ロアは、無数の血弾を四方八方から撃つ。
「なかなか、硬い結界だ!! だが、何時まで持つかな?」
ロアの血弾が盾を叩く。
だが、何時までたっても結界が破れる気配がない。
「ロア、覚悟は良いか?」
「あん? 何の覚悟だ!?」
「死ぬ覚悟だ!!」
「死ぬのは貴様らのほうだ!! 俺が、お前たちの死の線を切れば全てが終わるのだからな」
ロアは、疑問を抱きはじめた。
「ヒトの身でアレだけの時間結界の維持が出来るのは何故だ!?」
「ロアよ、今頃気づいたか?」
「あの女が“クロウの後嗣”と言うわけか……娘に体を痛めつけられて魔力が底をつき掛けているから血を吸うとしよう。“クロウの後嗣”なら俺に更なる力を与えてくれるだろう」
ロアは、アルトルージュの前で言ってはならない事を言っていた。
自分の言った事がアルトルージュの怒りを買った。
「ロア、今なんと言った!!」
「“クロウの後嗣”の血を吸うと言ったのだよ。黒の姫君」
「ならば、望みどおり殺してやろう……プライミッツ、ロアをかみ殺せ!!」
アルトルージュの命を受けてロアに噛み付くプライミッツ。
「霊長の殺戮者か。だが生命力を奪えば怖くなどない」
プライミッツから生命力を奪おうとするロア。
「では、行くぞ!!」
ロアは、プライミッツに蹴りをいれ上空に蹴り上げる。
ロアもジャンプし上空に蹴り上げたプライミッツに立て続けにパンチと蹴りを入れる。
「ひゃっはぁ!!」
ロアは、トドメにプライミッツを地面に叩きつけた。
ロアは、プライミッツを血刃で串刺しにした。
血刃に串刺しにされたプライミッツの口から血があふれる。
「霊長の殺戮者も大したことないな」
「プライミッツ!!」
プライミッツが倒されたことに動揺するアルトルージュ。
「其の前に、ウンメギノーネ!!」
雷の魔術を使うロア。
雷はプライミッツへ落ち黒焦げにする。
白い毛並みは血で赤く染まり、雷で黒焦げになり煙が出ている。
「次はどいつだ!?」
ロアは、次のターゲットを見定める。
「黒の姫君にしよう」
アルトルージュを次のターゲットに選ぶロア。
「ぼさっとしてるんじゃないわよ」
呆然としているアルトルージュの襟をつかんで下がるアテネ。
「プライミッツが……」
「まあ良い。無防備な“クロウの後嗣”後を頂くとしよう」
さくらは、再び魔力の封印を解く最中だ。
「さくらには近づけさせへんで」
「主は指一本たりとも触れさせん!!」
ロアの前にケルベロスと月が立ちはだかる。
「貴様には体を焼かれた借りがある。相手をしてやろう……」
「また、消し炭にしてやる」
ケルベロスは炎をロアに浴びせる。
再びロアから体が焼ける臭いがでる。
月は、上空から氷のミサイルをお見舞いする。
ロアはケルベロスの炎に焼かれながら月の氷のミサイルに貫かれるという二重の苦痛を味わっていた。
「如何や!?」
「暑いじゃないか!! 其の上痛かったぞ」
何もなかったようにロアは復活する。
「今度は、こっちから行くぞ!! 魔獣ども」
ロアが攻撃に転じる。
「簡単に切られるかい」
ケルベロスは羽を羽ばたかせて上空へと逃れる。
ケルベロスと月が上空へ逃れると攻撃対象をさくらに変えた。
さくらに迫るロア。
「ロア、さくらちゃんには触れさせないよ」
アテネとアルクェイドが立ちはだかる。
「今の姫君が、私の前に立ちはだかるというのかね?」
「あんたを葬るこまが揃った好機に何の準備もなしに来ると思う!?」
「“クロウの後嗣”の力を借りなければならない貴様など敵ではない」
アルクェイドを敵ではないというロア。
アルクェイドは、あえて演技をすること選ぶ。
「やって見ないとわからないわ」
「戦うまでも無い。今の貴様では俺には勝てん!!」
アルクェイドは、ロアに勝てないふりをして戦わないとならない。
「姫君を倒したら残りの真祖だ。その次に我が娘に教育を施し、我が配下に戻し“クロウの後嗣”の血を吸わせ八つ裂きにさせてやる。最後に我が肉体を焼いてくれた魔獣どもを殺してやる」
殺戮順位を決めるロア。
「姫君よ楽しませてくれよ」
アルクェイドに牙を向けるロア。
苦し紛れにロアの攻撃を防ぐアルクェイド。
「如何した!? 反撃する力も無いのか?」
攻撃する力があるけど無いふりを続けるアルクェイド。
「なら、死ね」
ロアは、そう言うとアルクェイドを解体した。
肉片が17個にされた。
「アルクちゃん!?」
アルクェイドに駆け寄るアテネ。
「貴様も死ね!!」
「えっ!?」
アテネも一瞬で17分割にされた。
「真祖の生き残りも大した事ないな」
ロアの殺戮ショーが繰り広げられる。
之が予め決められていた行動なのだ。
次にターゲットにされたのはアルシャードとアンゼロットだった。
アルシャードとアンゼロットもバラバラに解体されてしまった。
「他愛無い。殺しがいが無いではないか!!」
ロアは、ナイフを手に笑う。
「アルクェイドさんたちの敵は私がとるんだから」
さつきがロアの前に立つ。
「次は、娘か……。では、教育をしてやろう」
さつきに教育をすると言うロア。
「かかって来い!!」
「行くよっ」
さつきの拳をかわすロア。
「えっ?」
ズンとロアの拳が無防備なさつきの鳩尾に突き刺さる。
ロアの拳を中心にさつきの体がくの字に折れ曲がる。
「如何した!? 全然攻撃があたっていないぞ」
「うぅぅぅぅっ」
「もう戦闘不能か? 情けない。其れでも私の娘か!?」
さつきへ暴力の嵐が襲う。
「それっ。とうっ。せいっ。はっ!!」
「ぐぅぅぅっ」
呻き声を出すさつき。
体をフラフラさせながら立っているさつき。
「そんなボロボロになってもまだ立ち上がるか?」
「ロア、貴方だけは許さないんだから」
「子が親に勝つ事が出来ない事がまだわからないのか!? 体が覚えるまで痛めつけてやる」
ロアの重いパンチがさつきの腹にめり込む。
「苦しいよ……」
「黒の姫君、この娘を殺したら貴様の番だぞ」
ロアの拳は、さつきの腹に突き入れたままだ。
「かはっ」
さつきは、逆流してくる物は吐く。
「つい力がはいちまった。私の娘だからどれほどの物かと思ったが大した事なかったな。まだエレイシアの方が楽しめるぞ!!」
さつきは、ロアに気づかれない力で枯渇庭園を発動させロアの力を奪っていく。
さくらは、封印を解いている途中だ。
「何とか言ったら如何だ!?」
「遠野くん……」
さつきも時間稼ぎに徹している。
「お前の親が誰か分かったか?」
「……」
「まだ、誰が親か分からんのか!?」
ロアのしつけが続く。
「娘よ“クロウの後嗣”の血を吸え!! そして引き裂け!!」
ロアは、さつきに力を奪われ続けている事に気づいていない。
さつきは、ロアに支配されたふりをしてさくらのほうへ足を進める。
「そうだ、そのまま“クロウの後嗣”の所へ行き血を吸え!!」
さくらの前で足を止めるさつき。
「如何した!? 何故血を吸わない!!」
その時、ネオ・カオスを倒したときと同じくさくらの魔力の封印解除が終わった。
ロアは、今まで感じた事のない巨大な魔力に狂喜した。
「なんだ!? 魔力は?」
ロアの前にはさつきが何時の間にか立っていた。
「さっきのお礼を何億倍にもして返してあげるね」
「貴様、私の支配に戻ったのじゃなかったのか?」
「当たり前じゃない。さっちんは、当の昔にあんたの支配から脱しているのよ」
「姫君!! 17分割にしてやったのに何故復活している」
ロアは驚いている。
「何故って、そんな事も聞かないと分からないの?」
「そうか、そう言うことか!?」
ロアは、答えが分かってしまった。
「“クロウの後嗣”の力で蘇ったな」
「ロア、あんたの運命は終わりよ」
「俺の運命が終わりだと!!」
「貴方の運命は終わりなのよ」
「ならば、其の運命を覆してやろう」
運命を覆すというロア。
ロアは、自らの運命が尽きることを知らない。
この後、ロアは我が目を疑う出来事を目にすることになる。
ケロちゃんにおまかせ
「こんちゃにゃちわ〜ケロちゃんにお任せのコーナーの時間やで」
「今回も前回に引き続いてアルトルージュがゲストや!!」
「ゲストを呼び捨てですか?」
「硬い事、言うんやないでスッピー!!」
「構わぬぞ」
構わぬというアルトルージュ。
「黒の姫さんには、好きな事を語ってほしいんや」
「わらわの好きな事でよいのだな!?」
「はい。好きな事を語ってください」
「わらわのプライミッツを傷つけたロアは許さぬ。更にさくらの血を吸おうとした事はもっと許せぬ」
「ところで黒姫さん、何で戦わんのんや!? ロアのヤツを殺すんとちゃうか?」
「ロアのヤツは必ず、わらわがこの爪で八つ裂きにしてやる」
「そう言えば、初代のロアに返り討ちにされたそうですね」
スピネルがアルトルージュの過去を引き出す。
「過去の借りも返してやれるからな……返り討ちにされたときよりも大きな力が使えるからな」
「さくらに感謝せねばならんで」
「感謝はする。だが、其れも契約の結果だ」
さくらとアルトルージュは契約を交わしている。
「くっくっくっくっ」
「何がおかしいんや!?」
「さくらのおかげでロアを葬れるのだからな」
アルトルージュは、壊れかけている。
「続きは、ロアを殺した後だ!!」
「そう言う訳でまた今度な。ほなな」
うーん、ロアが強い様に見えるんだが。
美姫 「何処までが策のうちなのか、よね」
流石に十七分割は違うんじゃないかと思ったんだが。
美姫 「それさえも策のうちっぽい感じだったしね」
詳しい事はこの後で分かるかな。
美姫 「そんな続きはこの後すぐ」