第三十二話「『時の魔女』を探して」






 
 遠坂とルヴィアは、イギリスから遠く離れたアフリカの地を『時の魔女』を探して旅をしていた。
 何故か衛宮士郎も同行していた。
 荷物を背負って……。
「なんで、俺が付き合わないとならないんだ!?」
「タダで家を直してあげると思っておりますの?」
「じゃあ……」
「家の立替分、働いてもらいますわ」
「シロウ、私も手伝いましょう」
「セイバーは、何もしなくていいよ」
「セイバーも荷物持ってもらいなさい」
「ぐっ、重い……」
 凛とルヴィアは、士郎を置いて先へ進んでいく。
「一寸待ってくれ!」
 だが無視して先へ進む。
「後を追ってきてみたらシロウを残して先に行った見たいね」
「イリヤ! なんで!?」
「ちょっと様子を見に来ただけよ」
「リン、お兄ちゃんに荷物を押し付けて先に行っちゃったのね。バーサーカー、荷物を持ってあげて」
 バーサーカーに荷物を持たせるイリヤ。
 イリヤと凛を追う士郎。

「凛、士郎に荷物を押し付けるなんて酷いんじゃない?」
「イ、イリヤ! 何であんたまでいるのよ!?」
「倫敦に居ても面白くないから……」
「バーサーカーまで連れて来る必要はなくてよ」
「凛達は聞いたことがないの? 『時の魔女』が2000年以上生きている大魔法使いだと言うことを……」
「それ、本当なの?」
「もしかして知らなかったの? クロウ・リードや『次元の魔女』、その後継者も知っているのに」
「もしかして、私達、元帥に遊ばれているのでは……」
 今頃、遊ばれていることに気づくルヴィア。
「あの爺、後で思い知らせて上げますわ」
「どうせ、遊ばれるかからかわれるだけよ」



 その頃、倫敦では……。
「あの二人、そろそろ死にましたかね?」
 死んだか聞くエルメロイU世。
「あの二人にはいい薬じゃ」
「薬になればいいですね」
「おぬしも来たか……」
 エリオルが時計塔に来ているようだ。
「どうせ、この結末も知って居るのだろう?」
「はい。とっても面白い結末ですよ」
 ニコニコしながら言う。
「まぁ、彼は災難でしょうけど」
 その人物は……。


「はっくしょんっ!!」
「志貴、風邪? 寒いんだったら、私が暖めてあげるよ」
 志貴に抱きつくアルクェイド。
 しかも、裸だ。
 志貴には、刺激が強すぎた。
「いいから、服を着ろ!」
 服を着るアルクェイド。
「何も、怒らなくてもいいのに」
「ったく、何なんだよ。あの爺さん!」
「ゼル爺のこと?」
「そうだ! いきなりアフリカへ行けなんて……」
「折角五月蝿い妹に邪魔されずに済むんだし、ヤろうよ!」
「ヤろうってなぁ、こんなジャングルの密林でか?」
「私が、ここに城を出せば済むじゃない」
 アルクェイドは、ここに城を具現化するようだ。
 赤い悪魔一行が訪れるとも知らずに。
 志貴が文句を言うが無視して城を出した。
「さぁ、志貴早く気持ちよくなろう」
 志貴を引きずって城の中に入るアルクェイド。


 アルクェイド、志貴とお楽しみ中。



 そして、赤い悪魔一行は……。
 ジャングルを彷徨っていた。
「完全に道に迷った」
 道に迷ったようだ。
「道に迷ったのは、貴女のせいですわ!」
「なにを言うのよ! アンタのせいよルヴィア」
「こんな所で喧嘩は止めてくれよ」
「「五月蝿い!」」
 何故か息が合う遠坂とルヴィア。
「それよりもあそこに建物があるけど」
「建物?」
「野宿せずに済みましたわ」
 野宿せずに済むという事で確認せずに足を進める。
「そうね……うりゃっ!」
 城のドアを蹴破る凛
「お、おい」
「とりあえず寝れる部屋を探しましょう」
 城の中を捜索し始める。
「人の話を……」
 士郎を無視して家捜しを始める。

「ここでもない」

「ここも違いますわね」
 次々ドアを開け中を調べていく。

 そして……。
 あるドアを開けた瞬間……。
「……………………」
 とんでもない光景を目の当たりにした。
 それは……。

「あんたたち、私の城に勝手に入ってきて何のよう?」
 アルクェイドは、裸だ。

「遠坂、何固まっているんだ!?」
 間が悪いことにそこに士郎がやってきた。
 そして、モロニ見てしまった。
 アルクェイドの裸を……。
「ブハッ」
 盛大に鼻血を噴射した。

「あぁ、鼻血だした!」

「ちょっと、士郎?」

「私の裸、刺激が強かったかな?」
 士郎は、鼻血を出し続けている。
「早く止血しないと出血多量で死んじゃうわよ」
「あんたのせいなんだから、何とかしなさいよ」
「何とかって言われても、この出血量じゃ助からないかな?」
「アルクェイド、何かあったのか?」
「あっ志貴。そこの奴が……」
「お前、早く服を着ろ! お前の裸は刺激が強いんだから……」
「はぁい♪」

 その後、士郎は何とか一命を取り留めた。

「貴方が、噂の『真祖の恋人』?」
 イリヤが志貴に聞く。
「なに? それ……」
「知らないの? もう、倫敦にまで噂が広まっているわよ」
「もう、広まっているの?」
「多分、時計塔中に広まっているよ」
 もう噂が広まっているようだ。
「その噂、誰が広めたか言ってくれる?」
「誰って、魔導元帥とクロウ・リード以外居ないじゃない」
「そう、あの陰険眼鏡も絡んで居たんだ」
「なぁ、陰険眼鏡って誰?」
「あんた、知らないの?」
「知らない」
「志貴は……知っているわけないか」
 志貴は、クロウ・リードのことを知らない。
「これからたっぷり教育してあ・げ・る♪」


 志貴、士郎教育中。


 志貴と士郎は、クロウ・リードの事をたっぷりとアルクェイドとイリヤに教え込まれたのだった。
 教えられたものが全てではない。
 最強クラスの魔術師の情報だ。
 教える方も大変である。
 自分が知っている範囲でしか教えられないのだ。


「何時まで、講義続くんだ!? 明日も歩くんだろ?」
「そうね、今日はここまでにしましょう」
「明日は、今日よりも多く教えて差し上げますわ」
「明日もって事は、私も同行するの?」
「当たり前じゃない! 貴女が居れば、野宿せずに済むから」
 アルクェイドの城を宿代わりにするのが見え見えである。
「貴女達も『時の魔女』の所に行くんでしょ?」
「そうだけど……」
「貴女と殺人貴が一緒なら怖いものないから」
 確かにアルクェイドと志貴が居れば怖いものなしだ。
 ネロとロアを殺したのだから。





 そして、伽藍の堂では……。
「トウコ、アフリカに行けとはどう言うことだ!」
「もう一人の直死の持ち主が真祖の姫君と行ったという情報を掴んでな……」
「オレ以外にも居たのか?」
「あぁ、なんでもロアとネロを殺したそうだ。お前も会ってみるといい」
 式は、血がうずく。
「その前に、真祖の姫を殺したそうだ」
「そいつに会ってみたくなった」
「よし。なら行って来い!」
「燈子さん、今からって、どれだけ時間が掛かると思うですか? それに旅券とかも……」
「それなら心配要らん。目的地まで飛ばしてやる」
「コクトウ、お前も来い」
「なんで僕まで……」
「諦めて式と楽しんで来い」
 幹也の身に地獄が待ち受けていることも知らずに……。



「志貴、おはよう」
「あおはう、アルクェイド」
 朝を迎えたようだ。
 そして、赤い悪魔は……。
「*********」
 寝ぼけていた。
 相変わらず、朝に弱いようだ。
「相変わらず遠坂は、朝に弱いよな」
「そんな事より、朝食の用意をして」
「もう、したから起こしに来たんじゃないか」
「すぐ着替えるからまってて」
 眠い目を擦る凛。
「早くしないと出発が遅くなるぞ」
 着替えて士郎と共に食堂に向かう。

「トオサカ、どれだけ待たせれば気が済むのです」
「リンが一番最後です」
 すでに皆、食べるのを待っていた様だ。
 慌てて席に着く。



「忘れ物はない? ないなら、城を消すよ」
「忘れ物はないよ」
「じゃあ消すよ」
 そう言って城を消した。


「ったく、ここはどこなんだ?」
「分からないよ。取りあえずアルクェイドと言う人を探さないと」
「コクトウ、静かに……」
「如何したの? 式」
「人の声が聞こえる」
「人の?」
「すぐ近くだ」
 雑木を掻き分けて駆ける式。
 その後を追う黒桐。
「待ってよ式!」




 そして、アルクェイド達は……。
「?」
「如何した? アルクェイド」
「誰かが近づいてくる」
「誰かって、吸血鬼?」
 戦闘態勢をとるアルクェイドたち。


「見えた」
 ナイフを手に襲い掛かる式。


「アルクェイド!」
 志貴もナイフを構える。


 雑木の中から式が飛び出てきた。
 式は死の線を狙っていた。
 そのナイフを自分のナイフで食い止めた。


 こいつ、俺の攻撃を食い止めやがった。
 こいつが、もう一人の『直死』か……。

「お前が、もう一人の『直死』の持ち主か?」
 式は、ストレートに聞いた。
「ふ〜ん。あんたがアテネが言ってたもう一人の『直死』なんだ」


 ここに、『直死の魔眼』を持つものが出会った。
 この出会いが何をもたらすのだろうか。




 そして、時計塔では……。
「妾と契約を結びたいと申すか」
「結ぶ! あの二人を……トオサカとエーデルフェルトを圧倒する力がほしい」
 力が欲しいと言う男。
「その方は、何故力にこだわる?」
「あの二人のせいで、死に掛けたことが何度あると思う!?」
 この男、死に掛けたことが何度もあるようだ。
「力を手に入れ如何するつもりだ!」
「あの二人を地べたに這いつくばらせてやる! そして、あの邪魔な男を殺す」
「まぁ、よかろう……契約してやる」
 契約する為に変身するアルトルージュ。
「そなたは、何を対価にする?」
「勿論……」
「如何した? 言わぬのか?」
「わたしの人としての命だ」
「命を差し出すか……」
「命を代償に何を望む」
「私を死徒に……それも力ある二十七祖に」
「まぁよい。理由はどうあれ契約はしてやろう」
 そう言って契約するアルトルージュ。
 アルトルージュと契約するラインハルト。
「これで、復讐が出来る。待っていろ! トオサカ、エーデルフェルト!」



 ケロちゃん&アルトルージュにおまかせ
「こにゃにゃちわ〜ケロちゃん&アルトルージュにお任せのコーナーの時間やで!」
「ぬいぐるみ! この噂はしているか?」
「何や? 噂って……」
「作者がRPGなる物を製作を考えているらしい」
「ワイも出てくるんか?」
「それは、貴方の態度しだいでしょうね」
「何が何でも出てやるで!」
「貴方の出番はないみたいですよ」
「ワイの出番がないってどういうことや! それに、アルトルージュの出番無いとちゃうか?」
「わたしの出番は、あるそうです。ただ、マップ移動用のドット絵が大変見たいですけど」
「そんなぁ」 
 落ち込むケルベロス。
「ワイの活躍の場が……」
「司会がしょぼくれて如何する?」
 だが、ケルベロスは落ち込んだままだ。
「ぬいぐるみが、仕事を放棄したので妾が変わりに進めてやろう」
 変わりに司会をするアルトルージュ。
「次回も騒動が起こりそうじゃ」
「妾と契約したものがどうなるかは、次回を待つがよい」
「そろそろ時間のようじゃ」
「次回も楽しみにしているがよい!」



凛、幾らなんでも扉を蹴破ってって……。
美姫 「それより、アルトルージュと契約って、そんな簡単にできるのかしらね」
代償を支払うにせよ、どうだろうか。
美姫 「とりあえず、この辺で」
ではでは。



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